ドラクエ2「虜・外伝」

■太陽の悪魔■

作・大場愁一郎さま

ジャンル:X指定


 春の匂いのする風が石造りの窓辺で踊り、室内の空気を暖かくゆさぶる。日の光は

新鮮そのもので、ゆったりと大地に腰を落ち着けていれば思わず睡魔がまぶたを降ろ

しにやってきそうなほど爽やかであった。

 子供達のはしゃぐ声が風に乗って玉座までたゆたい、好奇に思わず微笑したサマル

トリア王は窓辺まで歩いていた。下方を見下ろすと男の子と女の子が幸せそうに駆け

回り、ちょうど二人で草原に腰をおろすところであった。

「プロフェイン、こっちへ来てみろ。セルファビューズめ、おませにも彼氏を見つけ

たようだぞ。」

「セルファが?」

 玉座からやや離れた位置に置かれたロッキングチェアーで小説を眺めていたサマル

トリア国王子、プロフェイン・サマルトリアは父の言葉に従い、サイドテーブルに小

説を置くと、軽そうなガーブを揺らせて窓辺まで足を運んだ。父の指さす方にいる女

の子…あれは確かにサマルトリア国王女、セルファビューズ・サマルトリアであっ

た。

 汚れに強そうな、それでいて華やかさを残した普段着姿のセルファビューズは微か

にウェーブのかかった髪を風に撫でられながら、並んで座っている長身の男の子に警

戒心のない笑顔を向けている。プロフェインは妹の隣にいる男の子に見覚えがあっ

た。

「父さん、あの子は確かアイショップの跡取り息子では…?」

「うむ、覚えていたか。そう。セルファビューズとおない年の、な。確か名前は…」

「クリストファーですよ、父さん。」

「おお、そうだそうだ!はっはっは、晩餐会に招いた私が忘れていてはアイショップ

に申し訳がたたぬな、いやぁまいった!」

 そう一人納得してサマルトリア王は心地のいい笑い声を室内に響かせた。

 アイショップとは、城下にあるアドベンチャーキット専門店の店主の姓であった。

サマルトリア国で最大手の店であり、城の晩餐会にも家族で招かれるほどの銘主で

あった。

 そこのひとり息子、クリストファー・アイショップが、どうやら王女のお目にと

まったらしかった。

 きちんとした身なりのクリストファーは痩せぎみではあったが、決して病的とか軟

弱とかのイメージはなく、笑顔が似合うが軽薄そうではなく。晩餐会においてもたい

へん礼儀正しく、サマルトリア王もしきりに父の教育の賜物だ、とアイショップを褒

めたたえていたほどだ。

 控え目な性格で人見知りの激しいセルファビューズも最初ははにかみがちであった

が、それでも自分から話しかけることができるほどの感じのよい少年なのだ。

「まったくもって好青年だ。嫁がせてもきっと幸せにしてくれるであろう!セルファ

ビューズよ、よい娘に育ってくれた。お前には男を見る目がある!」

「父さん本気ですか?いくら貴族階級に近いとはいえ商人の娘ですよ?それに嫁がせ

るにしろ、まだまだ先の話ではありませんか?セルファはまだ12ですよ?」

「はっはっは、冗談、いや冗談だよ!まぁせいぜい清らかな交際の許可、に留めてお

くとしようかな!なんといってもまだ12だものな!」

 まだ四十路に入ったばかりの王はそう言うと、本当に気持ちよさそうに笑った。

きっとその胸の奥にはすでにウェディングドレス姿のセルファビューズが幸せそうに

微笑みながら佇んでいるのであろう。

 最愛の妻…サマルトリア王妃はすでに故人である。だからそのぶん愛情は息子と娘

に注がれ、人一倍未来の幸福を願っているのだ。

 はやる気持ちはわからないでもない、とプロフェインは思う。プロフェインもたっ

たひとりの可愛い妹には幸せになってもらいたいと願ってやまない。

 でも…。

 春の日差しの下で和気あいあいとおしゃべりしているセルファビューズに…プロ

フェインは憂いを秘めた鋭い眼光を送った。

 

「セルファ、起きてるか…」

「お兄ちゃん…。うん、今寝ようかなって思ってたところ。」

 夜の九時を過ぎようとした頃。静かにドアがノックされ、優しい兄の声が聞こえて

きたことに警戒心を解いたセルファビューズはベッドの上でドアの方へ向き直った。

 ゆったりしたガウン姿のプロフェインは最愛の妹の前までくると、慈しむようにさ

らさらと頭を撫でてあげた。セルファは甘えるように目を閉じ、微笑を浮かべて兄の

抱擁を受けている。

 セルファは入浴をすませたばかりらしく、花のような優しい香りと女性の肌の香り

をそこかしこに漂わせていた。プロフェインは彼女の横にそっと腰を降ろす。

「今日は…なにして遊んでたんだ…?」

 優しい、頼りがいのある兄の微笑がセルファの前にあった。時折揺れるランプの炎

が、兄の顔をより憧れに近づけるかのように彩ってくれる。一方で、長い間一緒に遊

んでいないぶん、ここまで近くに寄られるとどうにも気恥ずかしくてならない。

 それでもプロフェインはプロフェインで変わりはないはずだ。セルファはまだまだ

発展途上の胸をドキドキさせ、大好きな兄にもたれかかった。

「あのね、今日はクリスくんと花を摘んだりしたんだ!クリスくんって、すっごくた

くさん花の名前を知ってるの!まるで頭の中に辞典が入っているみたいなの!!」

「へえ、そいつはすごいな…」

 淡いラベンダーのネグリジェ姿のセルファは胸のワクワクに弾かれるように、とき

めいた声で愛しのクリストファーについて語った。プロフェインは素直に感心しなが

らも、少し思い詰めた表情で用件を切り出した。

「セルファ、ボクの言うことをしっかり聞くんだ。いいか?」

「え?いいけど…なぁに、急に。」

 引き締められた兄の表情からセルファは真剣さを感じ取り、ベッドの上で姿勢を正

した。真っ直ぐな瞳で兄の言葉を待つ。

「彼とは…もうつき合ってはダメだ。」

「え…?」

「クリストファーとはもう会うなと言ったんだ。」

「なぜ!?なぜなの!?どうしてそんなこと言うの!?」

 初めは兄の言葉を聞き違えたかと思ったセルファであったが、多少言い換えられた

兄の言葉にセルファはあからさまに取り乱した。兄のガウンの端をつかみ、今にも泣

き出しそうな顔で兄を揺さぶる。プロフェインはさらに続けた。

「これはボクが市井の友人から聞いたことなんだが…彼は、クリストファーは禍々し

い病気を持っているそうだ。すぐに他人にうつる、な。そばにいるだけで命が危うく

なるんだ。だからもう会うことは許さない。」

「ウソ…ウソだよ!クリスくん元気だもん!病気なハズないよっ!!」

 セルファはおかしなことを言う兄に激昂して、彼の肩をぽかぽかと叩き、ドンとつ

き飛ばすようにした。プロフェインはそれでもおじけづいたりしなかった。

「覚えがないとは言わせないぞ?お前、あの夜…焼却炉で何してたんだよ…?」

「え…!?ど、どうして知ってるの…!?」

 プロフェインがの言葉に、セルファは思わず攻撃の手を止めて兄の顔を見た。後ろ

めたい事情が見透かされており、あからさまに動揺して言葉を詰まらせる。プロフェ

インはやや上気した顔で続けた。

「月夜で寝付けなかったから夜の庭を散歩してたら見かけたんだ!セルファ、自分で

もわかってるんだろう?最近おかしいって。このことは誰かに言ったのか?」

「…言ってない…怖くて言えないよっ!」

 セルファとてわかっている。身体があれほど異常な状態に陥ったことなど今まで無

かった。病気の兆候かも、とは薄々感じていた。

 しかしそんな異常事を第三者に言えるハズがなかった。メイドにも、ましてや父に

も。もし身体の異変が事情が知れたら、きっと大事になるに違いない。クリスト

ファーにも会ってはいけない、と言いつけられるかもしれない。

 セルファはそう思って秘密にしていたのだ。だからあの夜にしても、わざわざ夜が

更けるのを待って焼却炉の奥深くに証拠の物を捨てたのだ。

 しかし証拠隠滅の場面は…まさかの兄に目撃されていた。そして、最悪の宣告を受

けることになってしまった…。

「それが病気だよ。クリストファーからうつった病気だ!」

「ウソ!そんなのウソよっ!」

「ウソじゃない!お前、本当に危ないんだぞ!?」

「もうイヤ!そんなこと言うお兄ちゃんなんか大嫌い!出ていって!!」

「…ボクの言うことが聞けないのかよ…」

「え…」

 幽鬼のように立ち上がり、ボソッとつぶやいた兄の顔を見上げてセルファは息を飲

んだ。兄の顔は物語で見た…夢にまで見て泣いた覚えもある、悪魔の顔であった。

 冷たい刃のような目。感情が読み取れない頬。呼吸しているのかもわからないよう

に閉ざされた口。

 こんな兄は初めてであった。今までケンカしたことも数え切れないくらいにある

し、怒らせてしまったことも何度もある。しかし、こんな顔を見たことは一度たりと

も無かった。セルファは兄に対して初めて恐怖を覚えていた。

「お…お兄ちゃん…」

 震える声を吐息まじりに漏らし、思わず両手であとずさる。トン、と背中がベッド

の端につかえた。兄の右手が真っ直ぐ伸びてくる。

「いやっ…」

 拒否の声をあげるいとまもあらばこそ。一瞬でネグリジェは引き裂かれ、繊維のち

ぎれる音がセルファの絶叫を代弁して室内に残響した。真っ白な胸元をあらわにした

セルファはどうしてよいものかわからず一瞬戸惑い、慌てて胸元を両手で押さえた。

「あぅ…あぅ…」

 助けを求めたかった。しかしプロフェインの鋭い視線がセルファの琴線を切ってし

まったかのように、声は声にならなかった。

「その手をどけろ…」

「い、いや…お兄ちゃん、どうしてこんなことするの…?」

 自ら払いのけようとはせず、セルファの意志でどけるよう指示するプロフェイン。

セルファはまだ発展途上な乳房をかばうようにしながら、ブラウンのウェーブヘアー

をそっと揺らして嫌がった。

 しかし次の瞬間、兄は予想もしなかった行動にでた。

「ボクの言うことが聞けないのか!?いつからお前はそんなになったんだっ!」

「きゃあああっ!!」

 ついにセルファは叫んだ。猛烈な勢いで固められた拳が襲いかかる。

 頬といい、こめかみといい…おおよそ頭部に名を持つ所はたいがい殴られた後、セ

ルファは唇から血を漏らして両腕を解いた。正確に表現するなら、力が抜けて落ちた

というのが適当であろう。

「こんな胸、どこに隠す必要があるってんだよ!?ぺったんこのくせに…!」

「ひっ…!!」

 プロフェインがのしかかってパクッと右胸に噛みつき、唇をすぼめていきながら小

振りな乳首を強く吸ったとき、セルファは感じたこともない、なんとも例えようもな

い異常なくすぐったさに短い悲鳴をあげた。プロフェインは果汁分に富んだ果実…さ

ながらマンゴーにかぶりつくように、たっぷりと胸の上にこぼした自らの唾液を音立

てて吸い上げた。乳首とその周辺だけは特に執拗に唇で苛む。乳首を挟み、ひっぱ

り、その周りを舌で丁寧に舐め上げて…そしてまた吸う。

「お…おにいちゃぁん…やめて…いやぁ…」

 セルファの崩れそうなあえぎ声にプロフェインはどこか気を悪くしたらしく、キッ

と睨つけると左手指の第二関節を使ってセルファの肋骨をこりこりと、みぞおちの入

り口から脇にいたるまで苛んだ。強い電流が流れたかのようにセルファはのけぞり、

肩を跳ねさせる。小振りな唇からはくぐもった笑い声のような泣き声が漏れた。

「あ、あはぁっ…くふっ、や、あっ…やめ、ひ、ひっ、いあっ…やめてっ…」

「拒むなっ!もっとくすぐったいことされたいのかよっ!?」

「あ、あう、ぐぅっ…」

 セルファは唇をかみ締めて声をたてないように努力した。努力しているのにプロ

フェインは唇と左手を止めない。セルファは激しく頭を振って、何かに耐えていた。

しかし…

「ん!?」

「あ、あぁ…やぁあああ…」

 プロフェインはガウンごしに湿った温もりを感じた。それは急速に熱を失い、冷た

さにかわってゆく。体をずらして確認してみると、案の定セルファは下着を濡らして

しまっていた。下着に包まれたむっちりした恥丘から、ほんのりと湯気がのぼり、薄

物の内側を透かして見せている。

 プロフェインはさらに厳しい目をセルファに向けた。セルファは真っ赤になって泣

きじゃくりながら必死になって弁解する。

「だ、だって…おやすみの前にトイレに行くんだけど、その前におにいちゃんがきた

から行けなかったんだよ!がまんできなくなって…」

「言い訳するなっ!」

「あぁっ!!」

 プロフェインの右手の平が閃き、セルファの頬を音高く打っていた。じ〜ん…と持

続性を有する痛みにセルファは頬を押さえて嗚咽した。

「けっ、乳首だけツンツンにしやがって、おもらしなんかするガキにしてはマセた

おっぱいだな、あぁっ!?」

「やぁ、やぁあっ!!」

 乳首をきつくつまみ、低くうなるように迫るプロフェインにセルファは両手で頭を

かばって怯えた。もっと殴られるのでは、もっとひっぱたかれるのでは、と泣きじゃ

くりながら縮こまる。

『今まで手をあげたことなんかなかったのに…。お兄ちゃんはどうしてこんなになっ

ちゃったの?あの優しいお兄ちゃんはどこにいったの?それとも、目の前にいるお兄

ちゃんはお兄ちゃんじゃなくて、物語にでてくる悪魔なの?』

 セルファは涙で顔じゅうびちょびちょにしてあれこれ思案しながら兄の行方を追っ

た。しかし現実の兄はまぎれもない本物の兄であった。今、その兄はセルファが濡ら

したガウンを脱ぎ、下着すらも脱ぎ捨てたところであった。

「や、やぁっ!?お、おにいちゃんっ!?」

「どうした、ボクのハダカがそんなに珍しいか?」

 プロフェインのムダのない引き締まった裸体が外気に触れると、セルファは思わず

両手で顔を覆って恥じらった。プロフェインは一糸まとわぬ姿でベッドを回り込み、

ぐい、とセルファの髪をつかんで顔をおこさせる。両手を左手ひとつで拘束し、ひど

く張りつめた男性器をセルファの視界に入れた。

「ボクのハダカなんて見慣れてるハズだろ?昔は一緒に水浴びしてたじゃないか。ほ

ら、もっと兄の身体を観察してみろ、目をそらすことなく、な。クックック…」

「いや…いやぁああ…」

 プロフェインはペニスを右手でかまえ、腰を動かしてセルファの頬をなぞったり、

唇を突いて口中に侵入させようとしたり、あまつさえ眼球と直接に触れさせたりし

た。そのたびにセルファは記憶にないほど巨大でグロテスクな兄の身体に戸惑い、顔

を真っ赤にして目を背けようと努力する。しかしその都度髪を引っ張られ、痛い思い

をしながら再び恥辱の世界に連れ戻された。

 プロフェインはベッドに上がると、仰向けで背中をベッドの端に預けているセル

ファの上にまたがった。セルファの髪をつかんだまま右手でペニスの先端を妹の唇に

押しつけ、殺意を秘めた笑みを浮かべる。

「舐めろ。」

 プロフェインは一言そう言った。セルファは上目遣いに兄の顔を見つめていたが、

脅えてこくん、とうなづくと、きつく目を閉じてからそっと舌を伸ばしてきた。

 舌の先がぺちょ、と微かに触れただけでセルファの舌は慌てて口中に戻った。不機

嫌そうにプロフェインは彼女の髪を引っ張りあげる。

「痛い、いたいよぉ…やめて、やめてっ…!」

「だったらちゃんと舐めるんだ。自分でしっかり握って大きく舌を伸ばして舐め

ろ。」

 プロフェインの言葉は低く、重く、有無を言わせぬ力があった。セルファは泣き出

したいのを懸命にこらえ、震える指先でそっと兄の男性器をつまみ、舌先を伸ばし

た。

「握れ、と言ったぞ。つまめ、なんて言ってない。」

「い、痛い!ご、ごめんなさいっ!!」

 再びつかまれた髪を引っ張られ、セルファは涙をぽろ、と頬に伝わせながら兄の言

いつけに従った。左手でペニスの根本の辺りを…右手で袋をころころ揉み、目を閉じ

て舌を近づけていった。

 舌先がツヤツヤな先端に触れる。きゅっとペニスを持ち上げ、セルファは舌の先を

滑らせて幹の裏側をつぅーっと舐めた。行ったり来たり…。そしてツヤツヤな先端を

ぺろっぺろっと舐め上げ、舌の腹でごねごねと舐め上げた。きゅっと引き下げると表

の方もまんべんなく舐める。幹のあたりからくびれた部分まで、舌をからめるように

必死で舐める。細かな指示はなかったが、ぞんざいにしていて怒られるよりは、と必

死だった。

 それにしても男の子の性器を…ましてや兄のものを舐めているなんて…。恥ずかし

くておかしくなりそうだった。クリストファーと一緒にいても、こんなことは想像す

らしたことがない。ましてや舐めていいものだとは思ってもいなかったのだ。

 ただ大事なところ…そう教えられていた。それがすべての知識であった。

「セルファ…今度は頬張るんだ。」

「…ほおばる、の?」

「早く。歯は絶対にたてるなよ?」

「…うん。」

 セルファは恥辱から逃れる術を探ることに見切りを付けた。諦めた表情で小さくう

なづくと、好物のバナナを食べるように、あーん、と口を開ける。バナナよりも径の

あるペニスに歯を立てるなと言われ、思いきり大きく開けて前歯に唇をわずかにかぶ

せた。

 舌の上を滑走路にして、プロフェインの長大な性器がセルファの口中に侵入する。

妹の口中は狭く、上あごに触れながら喉の奥を突いた。あごが痛くなるほどの窮屈さ

と、喉を突かれた苦しみにセルファは小さくイヤイヤした。

「そっと唇をすぼめろ…。」

「ん…」

 難しいプロフェインの注文にセルファは眉根にしわを寄せながらも努力してみた。

しかし努力は報われず、思わず前歯が強張った幹を挟んでしまった。

「…人の話を聞いてねえのかっ!!」

「きゃあっ!!」

 噛んだ、とか歯を立てたとかの強さではなく、ほんの少し前歯がつかえた、という

だけだったのである。しかし舌打ちしたプロフェインはペニスを一気に引き抜くな

り、怒声とともにセルファの左頬を容赦無しに殴りつけた。

 小さなセルファは小犬のような鳴き声をあげ、微かに血を散らしながら倒れ込ん

だ。一瞬気が遠くなり、視界が失せる。

 幸か不幸か、意識はすぐに回復した。が、激痛と理不尽さがどうしようもないくら

いにこみあがってきて、ぽろぽろっと大粒の涙が赤く腫れ上がった頬にこぼれ落ち

た。

 優しかった兄が…どうして?どうしてこんな乱暴をするの?イヤがることをするの

?あたしの知っている兄はどこへ行ってしまったの?

 倒れ込んだままでメソメソ泣き続けるセルファの髪を引きつかむと、プロフェイン

は睨み付けて吠えた。

「いいか、今度歯を立てたら許さないからな!とりあえず下の前歯は舌で隠してお

け。それからゆっくり唇をすぼめてみるんだ。」

「うん…」

 セルファは血で濡れた唇をもう一度開け、プロフェインを深く受け入れた。今度は

プロフェインに言われたとおりできたらしく、プロフェインはそっと頭を撫でてくれ

た。

「それでいいんだ。さぁ動くぞ。鼻で息をしていれば苦しくないからな。」

「ん、んんーっ!!げほっ、がっ!?やあっ、あぐ、んぐーっ!!」

「ガマンしろっ!!喉の奥まで入れられたいのか!?」

 プロフェインの乱暴なグラインドはセルファの喉の入口付近を何度も何度も強く突

いた。ツヤツヤの先端が喉の奥に潜り込もうと破砕槌となってセルファを苛む。

 そのせいでセルファは胃をケイレンさせ、激しい嘔吐感を催して息もつまり、頬

張ったまま咳き込んでしまった。プロフェインは脅迫混じりの怒声を浴びせると、セ

ルファの頭を両手で押えつけ、さらに激しく腰を突きだした。

 妹の口中はすこぶる快適であった。舌のざらざらな感触の上にたっぷりと唾液が

乗っており、背徳感と快感がペニスの根本でドロドロとうねり、声を漏らさずにいら

れないほどだ。先端が柔らかな喉の入り口につっかえるたび、歓喜に奮えた先端は渋

い粘液をほとばしらせていた。まさか、妹の口中がここまで気持ちいいなんて…。

「セルファ、上手だぜ…溜まってるから…あっい、今にも、出ちまいそうだ…」

「…?」

 セルファはペニスを頬張り、右手でぽにょぽにょと袋を揉みながら上目使いで兄を

みた。苦しそうにしながらも、頬を微かに上気させている。知識の少ないセルファ

は、兄が快感で漏らしたうめき声の意味を少しも理解できなかった。

 セルファの必死の努力で、小振りな唇はしっかりとペニスにすがりつき、幹を、く

びれを摩擦した。唇と性器が擦れ合うたびに隙間から唾液が溢れ、あごをつたって、

平坦な胸の上にぽたぽた落ちる。食べ物以外のものでも、こうして頬張っていると唾

液が分泌されるものらしい。プロフェインの官能の証である粘液も混じり、セルファ

の口中は異常な味の雫に満たされた。辛いのを覚悟で、んく、と嚥下すると、舌全体

に味が染み込んだ。

『もっと大きくなって…辛いよぉ…』

 心中叫ぶセルファ。確かにプロフェインがテンポよく突き出してくるペニスは徐々

にその太さ、固さを増してきていた。ただでさえも大きいのに、口中いっぱいに膨張

して一層彼女を苦しめる。その一方で兄は息を弾ませ、恍惚の熱い息を吐いていた。

「ああ…セルファ、セルファ…!出すぞ、出すぞ…!!」

 儚げに上擦った声でそう言うと、プロフェインは何を思ってかセルファの口からペ

ニスを引き抜いてしまった。ヌルヌルのベトベトに濡れそぼったペニスは勢いよく反

り返って天を仰いだ。

 やっと終わったのだ、と安堵して、思う存分酸素を取り込むセルファ。解放された

口中が安らぐ。空気がこんなにおいしいとは思ったことがなかった。

「うつむいてちゃダメだろ…ちゃんと見てなきゃ…」

「え…?」

 うなだれて深呼吸していたセルファであったが、例によって髪を引かれて頭を起こ

された。その目の前に、先ほど口中を犯していた醜悪な男性器が突きつけられる。

「や、やだぁっ!」

「出すぞ…セルファ、ああっ、セルファッ…!!」

 セルファは男性器を目の当たりにしている事実にあらためて気づき、真っ赤になっ

て顔を背けようとした。しかし危険な目をしたプロフェインがねばつく声でそう言う

と、右手の筒でしごかれていたペニスは強い脈動とともに…爆ぜた。

どびゅうっ!!びしゃっ!びちゃっ、べと、べと…

「熱っ…!!」

 音立てて撃ち出された精液を顔じゅうに浴びたセルファはそう悲鳴をあげた。彼女

の目で、頬で、そして唇で…黄ばみかけた白濁の精液が汚らしく臭う。驚くほど大量

に射出された精液は滑らかなあごのカーヴを生温く伝い、ぼたぽたっと胸元へと滴っ

た。

「お兄ちゃん、痛い…目が痛いよぉ…!うぇ、こ、これ…変な味ぃ…!」

 強いアルカリ性を誇る精液が眼球の粘膜を灼くように刺激するため、セルファは必

死で目を擦った。粘つく精液は涙でも順調に洗い流せない。

 舌に触れたその味も、とうてい美味とは言えぬ味であった。唾液とともに精一杯吐

き出しながら、憐憫を誘うようなしぐさと表情で泣きじゃくる。

「はあっ…はあっ…セルファ?セルファ…!?そんな、ボク…?」

 獣じみた荒い呼吸を繰り返し、射精の余韻に浸っていたプロフェインであったが…

次の瞬間ハッと我に返ったように顔を上げた。見開いた目で汚れた妹を見つめる。

 自分のした悪行が信じられない、と言った風にワナワナと震えだし、そっと目を伏

せてセルファの身体にもたれかかった。抱き寄せるように、ズル、ズル…と身体を引

きずらし、セルファを完全に仰向けにしてしまう。

 薄物一枚を僅かにまとったセルファの上で、プロフェインはせつない溜息を吐いて

彼女の胸元に頬摺りした。乳房とも呼べない胸元に何度も何度も慈しむように頬を擦

り付ける。先程放ったばかりの精液がまとわりついたが、気にはしなかった。妹の鼓

動、温もり、肌の感触…それさえ感じられればよかった。

 それどころかセルファの顔じゅうに飛び散っていた自らの精液を舐めとりはじめ

た。キスするように、愛撫するように…頬から鼻先から唇から、労るようにペロペロ

舐めた。

 セルファは泣きべそをしばしやめ、不思議な目をして兄の行動を見守った。迷子に

なった子供のような目をして顔じゅうを舐めてくれる兄が、先程までとはまったく別

人のように見えたからだ。

 これでは悪魔なんかじゃなくて…まるで、神に慈悲を乞う迷える子羊…。

「おにいちゃん…」

「セルファ…許して、許してくれ…カッとなって、夢中になってた…ボクはなんてひ

どいことを…たったひとりの妹に、ボク、ボクは…!許して、この通りだ…セル

ファ、ボクのセルファ…!」

 プロフェインはすっかり取り乱し、困惑した表情でそう哀願した。セルファは本当

の兄が帰ってきてくれたような気がして声をかけてみたのだが、兄の哀願は絶望に染

まりかけた心をたちまち希望に塗り替えてくれた。嬉し涙を浮かべながら兄の背中に

手をまわすセルファ。

 プロフェインはセルファからすべての精液を舐めとると、、平穏な大洋のような瞳

で彼女に口づけした。

「あむ…ん、んっ…ん…」

 兄の上手なキスが…恥ずかしくてならなかったキスが今は嬉しくてならない。今ま

で抱いたことのないせつない圧迫感が胸の奥で生まれる。

 兄の舌がぬめりながら唇を割って侵入してきた。戸惑ったものの、それも束の間

で、セルファも舌を伸ばして兄の口中を確かめた。もつれ合うように、舌が擦れる。

 プロフェインは白濁を嚥下してはいなかったらしく、セルファと密着したことを確

認するなり妹の口中に唾液を混ぜて送りこんだ。しかしセルファは苦汁の流入を拒も

うとはしなかった。兄の背中を抱き寄せながら、まるで夢見ているかのような表情

で…

こくん…こくん…

と小さく喉を鳴らしながらありったけを飲み干した。それが精液である、という認識

はない。ただ兄が自分の名前を呼びながら出してくれた雫というだけ…。嬉しい

雫…。

 長い長いディープキスはプロフェインの方から唇を離して終わった。唇の奥で交換

を繰り返した唾液がぽわっと湯気になる。

 プロフェインは優しい笑みを…セルファが憧れてやまなかったあの笑みを浮かべ、

彼女の腋の下に顔を埋めた。汗の匂いに混じり、男性では創れない匂いが漂ってい

る。

 それはセルファの…愛しい妹のフェロモンであった。息を深く吐きかけ、その匂い

を味わおうと舌の腹を使って舐めあげる。セルファは兄の帰還に嬉し泣きを浮かべな

がら悶えた。

「お帰りなさい…あたしのお兄ちゃん…!!」

「ただいま、セルファ…!」

 セルファの歓喜の声にそう答えるプロフェイン。彼の舌はそのまま妹の脇腹を滑

り、おへその周囲、おへそ、と唾液を擦り込んだ。両手は胸への愛撫を忘れていな

い。大きく揉みながら中指の腹で幼い乳首を押し転がす。セルファは身体いっぱいに

兄の愛情を感じ、その感じるままに悶えて甘ったるい鳴き声を聞かせた。

「ひゃ、やっ…あんっ!き、気持ちいいよぉ…お、おにい、ちゃ、ん…」

「セルファ…お前は…ボクだけのモノだっ…!」

 プロフェインはとうとう想いを口にすると、セルファのスラリと伸びた左脚を抱え

こんだ。セルファは両脚の奥が下着ごしとはいえ丸見えになる体勢に恥じらい、きつ

く目を閉じて顔も背けた。

 プロフェインはセルファの足の指を一本一本口に含んで丁寧にしゃぶった。指の間

も舌を伸ばして念入りに舐める。くすぐったくてならないセルファは部屋いっぱいに

可愛らしい鳴き声をあげ、何度も身をよじった。

「セルファ…」

「あ、あはっ!や、やだ、やめてよぉっ!やだ、だめっ、ははっ、やんっ!」

 プロフェインが足の裏をくすぐると、セルファは素直な反応を見せて一層強く悶え

た。くすぐったさに笑い出しながらも艶かしい女性の鳴き声を遠慮無しに聞かせる。

 そんなセルファに、ジワリ、と違和感が襲ったのはその時であった。下着の奥が…

兄に見られて一番恥ずかしいところが、再び濡れ始めたのだ。

『やだ…またおもらししちゃったの…?でも、なんか違う…アソコの奥から、なん

か、熱く出てきてるよぅ…!?』

 幼い妹の困惑を敏感に察知したプロフェインは、セルファを楽な姿勢に戻しながら

ふくらはぎから太股の内側にかけていくつもキスマークを残してゆき、顔を身体の中

心にたどりつかせた。じっとりと濡れそぼった下着の中央付近は布地の外にまで熱い

粘液が滲み出ていた。指でぷにゅ、と割れ目を押すと、指先にねっとり女性の匂いが

こびりついた。下着の上から割れ目に沿って、ぬる、ぬる、と刺激を与えるとセル

ファは細い悲鳴を上げて腰をガクガクさせた。

「おにいちゃん、助けて…!なんかおかしいの…おもらしじゃないのに下着が濡れ

て…おなかの中から外まで、びりびりって熱くなってきたの…」

 セルファは自らの異変に怯え、兄に助けを求めた。恥ずかしいのも忘れていた。

 身体じゅうが熱い…。怖いくらいに気持ちよくなっている。兄に触れられるだけで

こんなに身体が火照る…。本当に兄の言う病気なのかも、と考え出し、セルファは不

安に押しつぶされそうになった。

「あたし…やっぱり病気なの…?クリスくんの病気、うつっちゃったの?」

「恐らく、な。見せてみな…?」

「え…?」

「セルファのここ、ボクに見せてくれ。」

「そ、そんな…あ、やぁ…」

 プロフェインはセルファの返事も待たず、濡れた布地の横から人差し指を入れ、そ

のまま引っ張って下着を脱がせた。無色の粘液が太ももを濡らしてゆく…。

 そしてとうとう、セルファは一糸まとわぬ姿で兄と対峙することになった。裸どう

しは初めてではなかったが、今夜のように混乱と不安と戸惑いを感じながらは初めて

であった。

 プロフェインはセルファの両脚をぐいっと前に押し出し、小さな体を二つ折りにし

ようとする。セルファは恥ずかしい部分が兄にくっきりと見られる姿勢に激しくいや

いやして懇願した。兄の両手を力を込めて制止させる。

「いやっ、いやだよぉっ!こんな格好、お兄ちゃんにでも恥ずかしいよっ!お願い、

見ちゃだめえ…おしりの穴まで見えちゃうよっ!!」

「見せてくれ、でないと…わからないだろう?」

「うぅ…」

「ボクを信じて、セルファ…」

 頼もしげな兄の言葉を信じ、セルファは至高の羞恥を受け入れた。そっと腰から力

を抜く。こんな格好は父にも、大好きなクリストファーにも見せたことがない。

 ランプの明かりにまざまざと浮かび上がったセルファの割れ目に…プロフェインは

顔を近づけ、事細かに観察を始めた。

 柔らかなうぶ毛がさらっと生えただけの恥丘から割れ目をたどるが…その割れ目は

ぴっちり閉ざされている。指を差し込んでむにゅっと開くと、真っ赤に充血した峡谷

がかたどられ、潤みきっていた愛液がへそのほうへと流れた。峡谷の縁にある濃桃色

の小さな宝珠も愛液に濡れて光る。

「セルファのここ、美しいな…」

「ひゃあっ!!だめ、触らないで、おにちゃんっ!!」

 プロフェインがクリトリスを指で押すと、セルファは感じたことのない鋭い刺激に

叫んでいた。その弾みで谷の奥深くに見えている小さな泉から、とぷん、と愛液が噴

きあがった。どうやらこの幼い泉は間欠泉であったらしい。

 秘境の間欠泉は誰にも荒らされた形跡がなく、裂け目はどこにも見当たらなかっ

た。そのぶん怯えたようにヒクヒクと震えている。

 プロフェインは生唾を飲み込むと、舌を大きく拡げてセルファの裂け目をベロリと

舐め上げた。舌の腹を深奥に押しつけるように、割り拡げるようにゆっくりと反復す

る。

「ひゃあっ、やめておにいちゃんっ!き、気持ちいいっ!あん、あ、あああっ!」

 セルファは両手をバタバタして悶え、よがる声を大きくしていた。腰がガクガクし

てならない。このまま続けられると気が触れてしまいそうであった。

 プロフェインは舌を伸ばしながら口を開けると、あぐ…とセルファのヴァギナに食

らいついた。ほのかに甘酸っぱいラブジュースをすするようにしながら舌で執拗に舐

め、前歯でクリトリスを弾く。

「やめて…死んじゃう、死んじゃうよぉ…」

 セルファはあごをわななかせながら、見え隠れしてきた絶頂感に堪えていた。両手

はきつくシーツをつかんでいる。気が遠くなりかけていた。焦点が合わない。もう何

を見ているのかすら認識できなくなっていた。

 プロフェインはセルファのすぼまった肛門にキスしてから、つうーっ…と舌を滑ら

せ、舌先を膣内に差し込んだ。ちゅっちゅっと傷つけないように細心の注意を払いな

がら舌を素早く抜き差しする。膣がどんどん収縮していくのが舌先でわかった。

「…は…はぅ…はぁぁぁぁ…っ!」

 苦しそうな、窮屈そうな声を喉の奥から絞り出すと、セルファは張り詰めていた筋

肉から一息に力を抜き去り、くったりしてしまった。彼女は生まれて初めてエクスタ

シーを迎えてしまったのだ。強く縮こまった膣から、びゅっ、と一際高く愛液が噴き

上がり、プロフェインの顔を濡らした。

『気持ち…いい…っっ!!』

 ぽおっとした顔を隠そうともせず、セルファはいつまでも終わりそうにない気持ち

よさに包み込まれていた。ピリ、ピリ、と微かな痙攣を開始する。身体の奥で意識が

弾け飛び、『気持ちいい』だけが残ってしまったような感覚であった。

『きっとあたし…もうなおらない。だって、魂が弾けちゃったんだもん…。』

 M字開脚の姿勢のまま、わずかに蘇ってきた意識でセルファはそう考えていた。彼

女はなにもかもが真っ白になった絶頂の瞬間を『病気の発現』と自覚したのである。

「あたし、絶対病気になっちゃってる…やっぱりクリスくんが原因なのかなぁ…。も

う会っちゃいけないんだよね…。また友達がいなくなっちゃった…あたしも病気だか

ら、もう誰とも友達になれないっ!またひとりぼっちになっちゃったよぉ…!!」

 絶頂の余韻も醒めやらぬうち、セルファは寂しさに満ちた声でそうつぶやいた。泣

きベソの顔を両手で覆い、しくしくと泣きだす。

 せっかく親しくなれたのに…。たった一人の友人だったのに…。せっかく毎日が楽

しくなってきたときにこんなことになるなんて…。

 クリストファーも結局は近付いてはならない存在だったんだ。今まで年齢の近い友

達を持ったことがなかったために悲しさもひとしおであった。

 そして今度は自分が病気になってしまった。ともすれば城の者にも…父や兄にもう

つるかもしれない。深い孤独感、孤立感を感じ、セルファはせつなく痛む胸を押さ

え、あんあん声を出して泣いた。

 ふいに姿勢が楽になった。セルファは泣くのを止め、そっと指の隙間から覗くと…

プロフェインがゆっくりと仰向けの体勢に戻してくれていた。

「泣かないで、ボクのセルファ…」

 横に寄り添い、あの優しい笑顔で頬を撫でてくれる。兄の右手は暖かかった。この

手が、先程殴りかかってきた冷たい手と同じものだとは思えなかった。セルファは左

手でその手に触れると、プロフェインは指を組むようにして繋がってくれた。兄と手

を繋ぐのは…どれくらいぶりだろうか。

「セルファ…いいね、もうクリストファーとは会ってはいけない。その代わり…ボク

がいつでもそばにいてあげる。」

「おにいちゃん…」

「…お前の病気だってなおして見せる。」

「あたし…なおるの…?」

「ああ、絶対なおる。絶対なおす。ボクを信じてくれ。なおったらまた…昔のように

花を摘みに行こう。木の実を採りに行こう。川へ釣りに行こう。」

 怯えたセルファを真っ直ぐに見つめ…プロフェインは半ば強引にキスした。驚きに

目を見開いていたセルファであったが…歓喜の涙をたちまち溢れさせると繋いだ手に

力を込め、キスに応じた。閉じたまぶたの奥で過ぎ去った日の想い出が蘇る。

 一番初めに花の名前を教えてくれたのはプロフェインであった。城の外に出るのを

怖がっていたセルファを、プロフェインは強引に引っ張って野原まで連れていってく

れたのだ。そこでいくつもの花を見て、花の名前を知って、外で遊ぶ術を教わった。

 森まで木の実を拾いに行ったこともあった。以前は森林浴がてら、よく一緒に拾い

に行ったものだ。

 椎の実パンの作り方を習ったのもプロフェインからだった。上手に焼けなくて泣き

ベソをかいたときも、今度は絶対できる、と励ましてもくれた。

 川へもよく釣りに行った。日の光をあびてキラキラ泳ぐ魚を、次はあれ、今度はあ

れ、と注文して困らせたことがある。プロフェインと二人で裸になったのも川が初め

てだった。あの頃は裸を見せることがこんなに恥ずかしくはなかったのだが…それだ

け時間は過ぎていたのだろう。

 いつしか兄と遊ばなくなり…兄の優しさを忘れていた。そして、今夜思い出した。

唇を離し、しばし見つめ合う。二人の空白の時間を埋めようとしていた。

「お兄ちゃん…大好き…。あたし、お兄ちゃんが大好きっ!!」

「セルファ…ボクもセルファが大好きだよ…」

 プロフェインはセルファの心からの言葉に同じ言葉で返した。感極まった表情で目

をしばたかせるセルファ。

 プロフェインは妹の両脚にそっと手をかけ、開いた。その間に腰を割り込ませたと

きもセルファは拒まなかった。上体を伸ばしてキスしつつ、萎えることを知らず怒張

したままのペニスをセルファの膣口に押し当てる。セルファは不安そうなうわめづか

いでプロフェインを見つめた。

「お兄ちゃん…あたしとお兄ちゃん、どうなるの?」

「ひとつになるんだ。もっともっとセルファに近付きたい。少し痛いかも知れないけ

ど、それはボク達兄妹の絆が強くなる証だよ…。」

「あたし達…ひとつになっちゃうんだ…。」

「そうだよ…さ、少しの間だけ力を抜いて…。ボクを受け入れてくれ、セルファ…」

「うん…」

 セルファは兄の言うことを信じ、すべてを委ねた。何もかもを差し出す体勢で…ひ

とつになる瞬間に耐えるよう、そっとまぶたを閉じる。

 セルファの身体を労るように何度も撫で…緊張がほぐれたのを見計らってプロフェ

インは腰を前に移動させた。サイズの違いすぎる性器どうしが粘液の助けを借りて結

合を始める。先端が入り口の粘膜をほんの少し押し広げただけで、セルファはプロ

フェインにしがみつきながら痛がった。

「お、おにいちゃん…っ!!いたっ…いたい…!!や、やぁっ!!ダメ、もうこれ以

上入れないでぇっ!!さ、裂けちゃうっ!!」

「大丈夫、ボクを信じて、セルファ…もっと強く繋がろう…?」

 プロフェインは苦痛にかぶりを振るセルファを励ますようにそう言い、もう一度キ

スした。セルファは唇どうしが触れただけで落ち着きを取り戻してしまう。

 今度はキスしたまま腰を突き出す。セルファはその度に後ろにいざって結合から逃

れていくが、それにも限度がある。こつん、と頭がベッドラックにつかえると、セル

ファは覚悟を決めてきつく目をつむった。

「入るよ…セルファ…」

「うんっ…う、くぅ…っ!くふ、んっ…!」

 くびれを有したペニスの先端がセルファの中にヌルッ、と潜り込んだ。セルファは

プロフェインの背中に爪を立てて破瓜の痛みに耐える。

「…一緒になったよ、セルファ…ああ、セルファのなか、すっごい熱いよ…」

「入ってる…お兄ちゃんが…あたしに入ってきてるよぅ…っ!!」

 セルファの小さな膣口はプロフェインのサイズまで拡げられ、内側はなおも侵入を

許した。ズプ、ヌプ…と太い幹がどんどんセルファの体内に埋め込まれてゆく。

 やがてペニスの先端は、きゅうっとすぼまった侵入不可能の地点にまで到達した。

子宮口まではあと少しの距離があったのだが、ここまで来るだけでも相当押し広げて

きたのだ。これ以上は固くて進めないうえに、セルファの痛がりようといったらな

かった。

 セルファの身体に比べて異様に太々としたペニスがしっかりと食い込んでいるの

だ。それもかなりの深さまで挿入され、裂けた粘膜からは破瓜の血が微かに滲んでい

る。見ているだけでも痛そうなのに、当事者にしてみれば想像を絶する苦痛がもたら

されているのであろう。

「…き、きついというより…固いな…これ以上奥はムリ、かな…」

「お、おにいちゃん…痛い、痛いよぉ…お願い、今すぐ抜いてぇ…」

 セルファは声を出すことすらも苦しそうで、兄の背中に爪を立てたままやっとの思

いで哀願した。プロフェインは少しだけ火照った頬をセルファの頬にあてながら、

そっと耳元にささやいた。

「深いところでボク達、ひとつになってるんだ…感じるよ、セルファのこと…。セル

ファも頑張ってボクのこと、感じてくれ…」

「お兄ちゃん…」

 セルファは最愛の兄と繋がれた事に感謝し、こくん、とうなづいて見せた。もう文

句は言わない。兄は自分のためを思ってしてくれているんだ。それをわがままばかり

言っていられない。セルファは自分に強く言い聞かせると覚悟を決め、あぐらをかく

ようにして兄の腰に両脚を絡めた。立てていた爪も戻し、指でしっかり抱きつく。

「動いていいか…もっとセルファを感じたい…」

「いいよ、でもゆっくり、ね?」

「わかってるよ…かわいいセルファ…」

 妹の頬に軽くキスし、プロフェインは慎重に腰を動かし始めた。ゆっくり引き抜い

ては、またゆっくり押し込む。潮の満ち引きのように穏やかなピストン運動だ。狭く

強張ったままの膣が徐々にこなれていく。柔らかく、包み込むように動いて…ずる

る、ぬぷぷ、とぬかるみが増した。

 ペニスを来るべき物と認識したセルファの…妹の膣内は最高であった。熱く潤い、

ムリュムリュしたいくつもの襞がペニス全体に絡みつき、つやめく先端のくびれが襞

のひとつひとつを引っ掻いてゆく。それだけで小さな裂け目からは逸り水が噴き出

た。

「気持ちいい…セルファのここ、すごい気持ちいい…!」

「お兄ちゃん、気持ちいいの?あたし、まだすっごい痛いのよ…?」

「ごめんな…。今に、もっともっと気持ちよくさせてやるからな…もう少しガマンし

てくれ、セルファ…」

 セルファの気持ちに応えんと…プロフェインは腰の動きに変化を与えた。緩急整っ

た前後運動のみならず、前なら前だけを、奥なら奥だけを繰り返して突いたりした。

 そして膣口の径を拡げんと、ゆっくり腰で円を描いたり、抜けそうになるくらい引

いてから一息に根元まで突き入れたり。初めは苦痛に悲鳴を上げていたセルファで

あったが、そのうち声にも艶が混じってきた。

「あんっ…んふぅ…!んっ、やあ…んっ!ひあ、あ、ひいっ!!」

「少しずつ気持ちよくなってきてるね、セルファ…?」

「あ、う、うん…!ね、お兄ちゃんだいすき、おにいちゃんだいすきだよ…」

「ああ、ボクもセルファが、誰よりも好きだ…!」

 プロフェインがそう言うと…セルファはあらためて顔を真っ赤にし、モジモジと照

れたように微笑んだ。そっと目を閉じ、唇を突き出してくる。サマルトリアの王女様

はすっかりキスに夢中になられた様子だ。

 プロフェインは無論拒むはずもなく、キスに応じてやりながら幼い乳房を揉んだ。

乳房と言うよりも乳首を弄ぶことの方が大半だ。親指と人差し指でくりくりひねり、

きゅっきゅっと引っ張ったりする。

「あっ、ふぅん…!ひゃ、あ…ん、ちゅ…ぷ、あっ…んむ…っ!」

 唇の合わせ目からセルファのあえぎ声が漏れる。それでもプロフェインはキスを続

けた。舌が艶めかしく絡まる。下品に歯茎まで舐めあって、今度は唇を互いについば

みあった。下になっているセルファはもう口の周りがよだれでベトベトであった。

「もう少し、早くなるぞ…?」

「うん、いいよ…。あたし、だんだんいい気持ちになってきちゃった…。もっとズプ

ズプしてほしい、アソコのなか、ぐりぐり擦ってぇ…」

 破瓜の痛みもすっかり忘れ、セルファはさらなる刺激を淫らな声で求めた。空恐ろ

しい12歳である。

 プロフェインはセルファの細いウエストを両手でつかみ、自分は膝立ちになって持

ち上げた。そのまま腰を打ち付けるように、ぺた、ぺたっと妹の具合を確かめた。い

つの間にかペニスは根本まで埋まるようになっている。子宮口がごつごつとわかっ

た。

 妹の体は華奢で暖かで、そしてデリケートであった。持ち上げてもちっとも重くな

い引き締まった身体にはほどよく筋肉がつき、余分な部分がなかった。肌のきめ細か

さも類を見ないほどだ。年頃の女性になれば理想のプロポーションを帯び、モデルに

もなれるであろう。プロフェインも細身でありながら端正の取れた肉体を有している

から、兄妹そろってモデルになれるかもしれない。

「セルファ、セルファッ!すごい気持ちいい…こんなかわいい妹と、こうなれたなん

て…ああ、もうガマンできないっ!!」

「すごいの、すごいのぉっ!!こし、腰がちぎれちゃうっ、からだ、のけぞっちゃう

くらい、き、気持ちいいっ!!あ、アソコのなか、熱い、熱い!太いの、お兄ちゃん

の太いの感じちゃうよおっ!!」

 腰だけ持ち上げられた体勢のセルファは、両手で自らの乳首をいじりながら兄から

の寵愛によがり声をあげまくった。かき出されるラブジュースはおしりの穴を伝い、

シーツに落ちて染みを作っている。感じているのは事実のようで、セルファの若い膣

はぎゅーっ、ぎゅーっと一定の間隔で兄の性器を締め付けて絞り込もうとしていた。

 プロフェインもまた妹の具合にご満悦の様子で、しっかりウエストを抱えながら

ぢゅぷ、ぬぶっと猥褻な音を立ててペニスを往復させていた。腰を深く突き入れるた

びにペニスの根本がジクン、とうずいて終わりが近いことを知らせる。淫靡な男の子

のよがり声をあげつつ、快感に身震いして汗を散らした。ペニスが最後の大膨張をみ

せ、腰の動きはデタラメなスピードとなってセルファの子宮口を乱打する。

「うあ、ああっ!気持ちいい、出る、出るぅっ!!セルファ、出る、出るよぉっ!

!」

「おにいちゃん、おにいちゃんっ!あたし、気持ちいい、気持ちいいっ!!」

 兄妹がこれ以上にないほど緊迫した恍惚の叫びをあげた瞬間であった。

びゅうっ!!びゅるっ!どぷっ、どくん、どく…

「んくっ…!あ…せ、るふぁ…!!」

「あ、ああ、あああああ…!」

 ペニスの先端がセルファの子宮口を強打したとき、複雑なパイプを刹那で駆け抜け

た大量の精液が狭い膣いっぱいにぶちまけられた。繋がった体勢のまま、ピクン、ピ

クン、と痙攣しつつ絶頂に浸る二人。

 プロフェインのほうはいつまでも脈動が終わらなかった。深々とセルファに繋がっ

たまま、根本がびゅくん、びゅくん、と動いてありったけの精液を妹に流し込んだ。

 兄の精液に膣内を灼かれたセルファも、身体をぐったりさせて深呼吸を繰り返し

た。長太いペニスがずっぽり納まったまま、びくっびくっと脈打っていることだけが

わかる。あとはひたすら歓喜に満たされ、『気持ちいい』だけが限りなく続いてい

た。

 うなだれたプロフェインがセルファの小さな身体をシーツの上に戻すと、四肢を

突っぱねるようにして彼女から腰を浮かせた。強いしがみつきと密封状態から抜け出

るにはそれなりの力が要るものだ。萎えることを知らないペニスが、ぢゅぽん、と音

立てて抜け出ると、セルファの膣内からたちまち兄妹の愛でブレンドされた体液が溢

れ出てきた。

「気持ちよかったよ、セルファ…」

「あたしも…。すごかったよ、おにいちゃん…」

「セルファ、このこと、誰にも言っちゃダメだぞ…?」

「うん…あたしとお兄ちゃんの秘密だよね…。じゃあ約束のキス…あたし、絶対誰に

も言わないから…。」

「ボクも…誰にも言わない。」

 並んで寝そべり、簡潔な賛辞的感想を交わす二人。セルファの提案による固い約束

を二人がキスして結ぶと、二人は最高の笑顔を見せ合ったのであった。

 

 あれから三ヶ月が過ぎた頃。

 サマルトリア城内のとある地下室で、一人の老医師と看護婦が二人、それに幼い患

者が緊迫した空気に縛られていた。石造りの室内は冷え冷えとしてはいるが、皆が皆

気持ち悪いくらいにアブラ汗を流している。

「始めるぞ…」

「…はい。」

 白い髭をたくわえた医師は重苦しく、看護婦に『治療』と称される手術の開始を告

げた。看護婦も婦長クラスのベテランが二人である。一人はランプの光で飴色に光

る、スプーンの化け物のようなものを医師に手渡し…いま一人は大きなバケツを『患

者』と称される者の広げられた両脚の下に置く。

 『患者』と称される者は緑色のガウン姿で開脚台と呼ばれる特殊なベッドに仰向け

になっている。目隠しされ、舌を噛まぬようにと猿ぐつわをかまされている。両手に

は握りやすいタオルも持たされている。

 両脚は足下から飛び出ている台にそれぞれ乗せられ、大きく両脚を開かされてい

る。まだ12才の彼女は下半身裸の状態で、その刻限を不安とともに待っていた。

 医師は二、三度深呼吸し、『患者』に刻限の訪れを告げた。

「姫、それでは始めさせていただきます。すぐに終わります故、ほんのしばらくの間

だけご辛抱くだされ。」

 彼女が無言でうなづいたとき、恐怖が具現化したものか…目隠しの下から大粒の涙

がこぼれおちた。彼女はこれから何をどうされるのか、ほとんど知らされていない。

 眠り薬を嗅がせて『患者』の意識を深く沈める。そして…医師の右手に握られたス

プーンの化け物がランプの光を妖しく照り返した。

 

 サマルトリア王は玉座で苦悩していた。歯ぎしりしながら頭を抱えこみ、殺気だっ

た唸り声を漏らしている。傍らに佇むプロフェインは父の様子を見て、衛兵達に退室

しているよう合図した。

「誰がやったのだ…」

「…」

 王は誰とはなしに訊いた。とはいえ室内にはもはやプロフェイン以外にいない。王

は特別答えを期待していたわけでもないし、プロフェインも返答しなかった。

 窓の外は大雨。プロフェインは降り続く雨を見ていた。時折雷も聞こえているが、

これは父の激昂とは関係無いものであろう。

「誰がセルファビューズをみごもらせたのだぁっっ!?」

「…」

 王は玉座をひっくり返さんばかりに勢いよく立ち上がり、つかつかっとプロフェイ

ンに詰め寄った。それでもプロフェインはたじろぐでもなく、悠然とその場に佇んで

いた。ガーブの裾すらも揺らさない。

 王は息子のブラウンの瞳に自らの醜態を見たのか、深呼吸をして落ち着きを取り戻

そうとした。それでも苛立ちを消し去ることはできないようで、忙しく室内を歩きま

わり、大理石の壁を殴りつけてから身振りを交えてプロフェインに訴えかける。

「セルファビューズは…あの娘はまだ12なのだぞ!?あんな年端もいかない娘を手

込めにする変質者がこの城下にいるというのか!?」

「…残念ながら…」

 プロフェインはついに口を開いた。が、もったいぶるようにそこでしばし間を置

く。王の忙しなかった足がピタリと止まり、息子の次の言葉を待つ。

「そのような不逞の輩はいるのです。犯人は…」

ピシャーンッッドカカーッッ!!

 すぐ近くに雷が落ちたらしかった。光と影で構成されたプロフェインの口は確かに

何かを語ったが、王はその声を聞き取ることはできなかった。雨足は一層強くなって

きた。

「…プロフェイン、今、なんと言ったのだ…?」

 父は予想はついていた。ただ聡明な息子からはっきりとその名を聞いておきたかっ

たのだ。プロフェインは陰鬱な表情を崩そうとせず、反復した。

「犯人はクリストファーです。父さんもわかっていたでしょう?それに…これは事実

です。ボクが、現認しました…。」

 王の表情に魔性が宿ったそのときであった。力無く王の間のドアが開けられ、白髭

の医師が入室してきた。王も王子も、無言で報告を促す。

「堕胎の術、終了致しましてございます。姫の…その、命には、別状ありません…」

「命、には…?」

 王と王子が鋭く反応して同時に問い返す。医師は唾を飲み、覚悟を決めた。

 

 その日の夕刻過ぎ、どしゃ降りの街の広場で緊急の公開死刑が執り行われた。

 冤罪と泣き叫ぶアイショップ一家。野次馬達が我関せずの面持ちで見守る中、広場

にはただ好奇と憐憫だけが雰囲気として漂っていた。王家の一方的な現認、逮捕、審

議、判決、執行とあっては誰も口は出せないのである。

 さらにその夜。ひとりの老医師が殺された。警護兵達の調べによると、死因は背後

から剣で切り裂かれての失血性ショック死であった。

 ちなみに後日、その切り裂き方が王家独特の剣技によるものに酷似していたという

噂が流れたことを付け加えておく。

 

「セルファ…」

「…おにいちゃん…」

 セルファの部屋に訪れたプロフェインは、昨夜堕胎した妹の顔をみて落胆した。妹

の優しい、いたいけな顔からはみずみずしい光は失せていた。頬はこけ、目の下には

くっきりとくまができていた。きれいだったブラウンのウェイブヘアーもパサパサに

なり、見る影もなくなっていた。

「調子はいいか?」

「うん、痛みもだんだんなくなってきてるの…ね、お兄ちゃん。」

 ベッドの端に歩み寄ったプロフェインに、セルファは元気を装って明るい声を出し

た。そのまま問い返され、中腰になって耳を近づけるプロフェイン。

「あたしの病気、なおったんだよね?もう怖くて痛い手術、しなくていいんだよね

?」

「…ああ。病気を持ちこんでたアイショップ一家も城下から引っ越したし、もう二度

とセルファの大事なところから血は出たりしないよ。ボクが保証する。」

「よかった…!初めに血が出たときはビックリしたのよ!どうして大事なところから

血が出るんだろうって。血の付いた下着とタオルを焼いちゃおうと思ってこっそり焼

却炉に持っていったんだけど…あの時お兄ちゃんに見つかっててよかったよね。お兄

ちゃんがあの時見てなかったら、あたし病気に気付かないで死んでたかも…!ありが

とう、お兄ちゃん!!あたし、お兄ちゃんが大好きっ!!」

 セルファは身を起こし、ベッドの端に腰を降ろした兄に抱きついた。あの晩のよう

にキスしながら、プロフェインも愛する妹を抱きしめる。セルファの胸の膨らみは増

していた。兄の猟奇的な微笑は死角となってセルファには見えない。

 これでプロフェインは当初の計画通り、邪魔者たるクリストファーを排除し、二度

と妊娠できなくなった妹を手に入れることに成功したのであった。しかもセルファの

方からも慕ってくれているとあれば一石三鳥である。

 セルファの美貌が回復するにはしばらく時間がかかるであろう。しかしとりあえず

の達成感に満足できた。

 唇を離すと、セルファの瞳はすっかり潤んでいた。プロフェインはセルファの熱い

頬に右手をあて、優しく撫でてあげた。彼女も甘えるように頬摺りしてくる。

「早く元気になるんだぞ?元気になったらまた一緒に遊ぼう。とにかく今は身体を

しっかりなおすこと。ゆっくり休みな。」

「うん!あたし、すぐに元気になるね!そしたらお兄ちゃん、またあたしと遊んでよ

!花を摘んだり、木の実を採りに行ったり!あ、魚釣りも行きたい!!」

「ははは、元気になったらいくらでもつきあってやるよ。」

 プロフェインは快活に笑うセルファの頭をかいぐりしてやった。はにかみながらう

つむくセルファに見えないよう、偏愛に満ちた笑みを浮かべる。

「それから…えっちな…コト?も…してほしいな…。」

「はいはい。わかってますよ、王女様。」

 はにかみついでに、うつむいたまま照れくさそうにおねだりするセルファ。うわめ

づかいの彼女にプロフェインは恭しく頭を下げ、すっと手を伸ばして胸の膨らみに触

れた。

「あ…今はダメだよ、お兄ちゃん…」

「おっぱいだけ吸わせてくれよ…」

「もう、お兄ちゃんもえっちなんだから…」

 身体のことを思って拒んだセルファであったが、兄の求めに恥じらいながらもパ

ジャマの前を開けた。ぽよん、と大きく張りつめた乳房が現れる。

 プロフェインは乳首に舌をはわせてから、ちゅうっと吸い付いた。セルファの甘い

ミルクの味が口中に拡がる。ちゅっ、ちゅっと吸うたびに、セルファの最初で最後の

母乳は勢いよく吸い出されてきた。もうしばらくは出続けるだろうな、とプロフェイ

ンは兄妹で作り上げた貴重な甘味を舌に染み込ませるのであった。

「お兄ちゃん…約束だよ、また一緒に遊ぼうね。」

 子供のようにむしゃぶりつく兄の頭を優しく撫でながら…セルファは無邪気に言っ

た。プロフェインも胸から顔を上げ、

「ああ、もちろんさ。」

『いくらでも遊んでやるよ。お前はボクの完璧なオモチャなんだから…!』

と、爽やかな真夏の太陽のような笑顔を、セルファの大好きなあの笑顔を浮かべた。

 太陽に住まう悪魔の舌なめずりは…純真無垢なセルファには聞こえることはないの

であった…。

 

終わり。


(98/9/30update)