ああっ女神さまっ

■For your love■

第二夜、スクルド〜Pure Affection〜(後編)

作・大場愁一郎さま

ジャンル:X指定


 

「螢一、あたしも同罪だよ…。だから、今夜は絶対最後までしてよね…」

「…まったく、スクルドもスケベなんだから…」

「あたしはウルドみたいじゃないもんっ!螢一とウルドがあんまり気持ちよさそうだったから、あたしもしてもらいたくって…それで…」

「それがスケベだって言ってるんだよ。」

「…せめてオトナになったな、くらいは言ってよね…」

「そんなのオトナって言えるかよ…」

 抱き合ったまま顔を見合わせ…再び口づけを交わす。ちゅ、ちゅっとついばむようにしながら飽きるでもなくキスを繰り返した。そっと目を伏せたスクルドはすっかりキスに馴染んでしまったらしく、螢一に負けないだけ率先して唇を重ねてくる。

 やがて唇が離れると…螢一は右手を伸ばし、愛おしむようにしてスクルドの火照った頬を撫でた。すべすべでニキビの一つもない、きめ細かな乙女の肌はいつまでもそうしていたいほどに手触りが良かった。くすぐったそうに目を細めるスクルドに、螢一も自然と微笑を浮かべてしまう。

 スクルドも右手を伸ばして螢一の頬を撫でた。柔らかな手の平でごしごし擦るように撫でてくる。少しチクチクするのはひげの剃り残しであろうか。

 男の肌、女の肌を確かめ合ってから、二人はくすっと笑った。

「…螢一、あたしもウルドみたいに扱ってくれるんだね…」

「いや、もうここまでにしよう…。やっぱりベルダンディーに悪いよ…」

「そんな…!ねえっ、螢一が本当に好きなのは…やっぱりお姉様なんでしょ!?」

「…やっぱりってのはなんだよ?」

 なんでもない螢一の揚げ足取りに、スクルドは顔を真っ赤にして首をブルブル振った。

「や、そ、それは…な、なんでもないよっ!とにかく今夜のは、あたしが螢一の部屋に遊びに来て、ただそれだけじゃない。未来を誓ったりするわけじゃないでしょ?気持ちいいことは誰だってしてるわ、ひとりでするかふたりでするかの違いだけ…」

「それがベルダンディーを傷つけることになると思うんだけど…うあ、ああっ!!」

 あくまでスクルドとのスキンシップを躊躇う螢一であったが、不満そうにぷう、と膨れて見せたスクルドがトランクスの隆起を右手でつかむと、思わず女の子のようなよがり声をあげてしまった。言葉とは裏腹に…螢一の下半身はスクルドを求めている。

「…説得力ないね。お姉様に見せて上げたいな、キレイゴト言ってても、あたしに…妹であるあたしに興奮してるんだって…」

 スクルドは意地悪くそうつぶやきながら、布地ごしの男性器をゆっくり上下に撫でさすった。不吉な形が手の平にわかる。熱く張りつめたそれは…スクルドの手の平に包まれてビクンビクン跳ねた。

「ああっ…す、スクル、ド…!やめろよっこのおっ!!」

「きゃっ!?」

 スクルドへの愛欲でいっぱいになった螢一はその言葉で理性を投げ捨てると、スクルドを抱き締めて布団に倒れこんだ。のしかかって唇を重ね、右手でスクルドのパジャマのボタンを外しにかかる。大きなボタンだから片手だけでも容易に外すことができた。

「けいいち、やだぁ…もっと優しくしてよぉ…!」

「…スクルド次第だね。意地悪言うから、こっちも意地悪くしてやる…!」

 容赦無しに前をはだけられたスクルドは羞恥で声を震わせて哀願した。

 そんな小さな女神に冷たい返事をよこすと、螢一は白と水色のストライプTブラの隙間に指を滑り込ませた。スポーツタイプのTブラは伸縮性がよく、ずるっ、と簡単にたくしあげられてしまう。それで真っ白な二つの膨らみは蛍光灯の下にさらけ出されてしまった。

「やだ、恥ずかしい…!」

 キスするのもやめて顔を背けるスクルド。異性に裸の胸を見せたのは今が初めてなのだ。

 ただでさえも発展途上だというのに、仰向けになると一層ぺったんこに見えてしまう。濃いピンク色の乳首と乳輪だけが、ここは乳房です、と訴えかけているようだ。

 螢一は右手でスクルドの腋から柔らかな肉を寄せ、それなりの膨らみを作ると指の腹でぷにゃぷにゃ揉んだ。爪を立てれば容易く破けてしまいそうなほど柔らかい。ウルドの胸も柔らかではあったが、中身がしっかり詰まっていないぶん、スクルドの胸の方が儚く、頼りなかった。

「スクルド、おっぱい大きくなるように一生懸命揉んであげる。」

「あんっ、くすぐったいよぉ…!うぅ、ゾクゾクするぅ…!」

 耳元でささやかれ、スクルドはモジモジ身をよじらせた。ぱくっと耳たぶをくわえられると、二の腕に薄く鳥肌を立ててしまう。

 螢一は寄せ上げた左胸の頂上にあるちっちゃな乳首にキスすると、唇で強く挟んだ。くい、くい、と痛くしない程度に引っ張る。

「ああっ、や、だ…め…ちぎれちゃう…!」

「あかちゃんできたらもっと乱暴に吸ってくるぞ?これくらいガマンしなきゃ…」

「あ、あかちゃん…うあ、や、ああ…っ!」

 螢一は乳首への愛撫を止めなかった。唇でひねっては、また引っ張る。ちっちゃかった乳首も休み無しに刺激されてはたまらなかった。ぷく、と動いたかと思うと螢一の唇の中で少しずつ大きく、固くなってくる。スクルドは乳首を勃起させてしまったのだ。

 螢一の言葉も少なからず影響していたのであろう。あかちゃん、という単語はスクルドにセックスという単語を…昼間見た光景を想起させ、パンティーの奥を一息に潤ませた。割れ目の奥からじわ、じわ、と愛液が滲み出て、内側の桃肉を火照らせる。マスターベーションの心地よさが戻ってきて、スクルドは艶めかしい鳴き声を…無意識下に迸るよがり声を漏らし始めていた。

「あぁ…はぁ、んっ…やだ、また…!けいいち、けいいちっ…んあ、はああ…っ!」

「気持ちよくなってきてるんだろ…?」

「…うん、気持ちいいの、けいいちぃ…もっとしてぇ…」

 螢一の言葉にスクルドは顔を背けたまま、何度もコクコクうなづいた。熱くなった呼吸が微かに開いた唇から聞こえてくる。幼い身体でありながらもスクルドは見事に発情をきたしていた。

 固くしこった乳首を吸う前に、螢一は舌を拡げて乳首の周りを舐めて慰めた。散々引っ張ったりしたお詫びではないが、そうされると乳首に凝縮された快感は心地よくほぐされ、柔らかな乳房いっぱいに暖かく拡がった。

「ああ、ホントに気持ちいいよぉ…。ひとりでするのと違う…」

 スクルドの喜悦の声は荒ぶった呼吸に混じり、それに合わせて小さな胸はふよふよ上下して揺れる。

 螢一はそんな乳房に乳輪ごとむしゃぶりつくと、ちゅう、ちゅうっと一定のペースで繰り返し吸った。白い柔肌の毛穴ひとつひとつからスクルドのフェロモンが醸し出され、螢一を愛欲の虜にさせる。きめ細かで滑らかな肌に舌を這わせながら、しつこいくらいに乳首を吸った。アイスクリームが大好物なスクルドだけに、バニラ味の母乳でも出てくるのではないかと螢一はくだらない妄想をしてしまう。

 重くさせないよう、スクルドの横で寄り添うようにうつぶせになった螢一は、彼女のズボンの中心に右手の中指と薬指をあてがった。ぷにぷにとした弾力を誇る恥丘、そしてその奥の隙間にはパジャマの上からでもわかるほどのすごい熱がこもっていた。

「ここもひとりで…したことあるのか…?」

「きょ、今日が…初めてだよ?今までしたことないんだよ、ホントだよ?」

 太ももの付け根に二本の指を進められると、スクルドは言い訳するようにそう言った。

 焦りの見え隠れする言い訳に人の悪い笑みを浮かべた螢一は、パジャマごしの割れ目に合わせてゆっくり指を前後させた。すりすりと女神の柔肉に刺激を与える。

「へえ、スクルドったら昼間っからオナニーしてたんだ?けっこうエッチだね。」

「お、オナ…って、え、エッチじゃないもんっ…あ、だめ…けいいち、あんまりしないで、ね、や、あっ…やあぁ…」

 螢一の淫らな決めつけにスクルドは強い口調で突っぱねてみせたが、指の動きがデリケートな突起にも刺激を与え始めたため、媚びた表情になって腰をくねらせた。薄いピンクのチェックパターンパンティーの内側で、じわっ、じわっと熱い湿り気が繰り返し拡がるのがわかる。

「エッチじゃないけど、キスは好きなんだよな。」

「ああん、うん…ちゅ、んむ…ちゅぷ、あ…もっとして…ちゅっ、ちゅう…」

 愛撫とキスを重ねてゆくうち、スクルドの熱いパジャマの股間は僅かながらにしっとりとしてきた。まろみを帯び始めている腰の奥で、びくん、と感じるたびにスクルドは膝を摺り合わせ、螢一の指をなんとか制止させようと試みる。

 しかしスクルドは膝を閉じても股間に隙間ができるほど細い脚線美を有していたため、モジモジするぶんいたずらにせつなくなるだけであった。パンティーはもうすっかりべちょべちょなのに、内側の濃桃肉はさらなる発情の雫を漏らそうとクニュクニュうごめいている。

「だめ、だめえっ…!か、感じるっ、感じるうっ!!」

「はは、かわいいよ…スクルド…!」

 スクルドの悶え方にすっかり気をよくした螢一は、右手を大きく拡げて彼女のおしりに当てた。さわさわ、とパジャマごしに撫でてから、親指をウエストにひっかける。親指はズボンのウエストを越え、内側のパンティーすらも引っかけていた。じり、じり、と右手が下げられてゆく。

「スクルド…おしり、出ちゃうよ…スクルドのおしり、出ちゃうよ…?」

「やだやだぁ…だめ、まだ脱がさないで…!」

「ほら、もう少し…真っ白なおしり、もう半分出ちゃってる…ほら、前だって裸になっちゃうよ…スクルドの割れ目、見えちゃうよ…」

「だめえ…!下げちゃだめえ…!」

 羞恥でいっぱいといった真っ赤な顔で、イヤイヤしながら拒むスクルド。慌てて螢一の右手をつかもうと左手を動かしたが、その動きは数瞬だけ遅かった。

 ズルッ、と衣擦れを残して下半身が剥き出しにされてしまう。遠く膝まで裸にされると、真っ白でつやつやのおしりは怯えるようにブルルッと震えた。

「どうせなら全部脱いじゃおう…」

「いや、恥ずかしい…恥ずかしいよぉ…!」

 真っ直ぐ見つめられながらそう言われたスクルドは、きゅっと目を閉じて横を向いた。そのワリにズボンを、濡れたパンティーを…そして上着とTブラを脱がす螢一の手を制止しなかったのは、意識が欲望に逆らえないところにまで達していたからだ。

 恥ずかしいという意識は確かにあるが、その一方で螢一に気持ちよくしてもらいたいという意識もある。生まれたままの姿をさらさないで気持ちよくしてもらえるのならその方がよかった。

 そしてスクルドは…とうとう産まれたままの姿にされてしまった。

「スクルド…キレイな身体してる…。」

「う、嬉しいケド…恥ずかしい…。あんまりジロジロ見ないで…。」

 右手で胸元を、左手で股間を隠しているが、一心に恥じらう姿がなんとも扇情的である。螢一は思ったままを口にしていた。スクルドはそう返答すると、無防備極まりない格好がどうにも落ち着かないらしく、唇を噛んでそっぽを向いた。

「…ぜんぶ見せて。」

 螢一の右手が内ももに触れると、スクルドはビクッと身体を強張らせる。

「ま、待って!あ、あたし…今度はあたしが、螢一を気持ちよくさせたい…。」

「え?」

 スクルドはそう言って起きあがり、螢一の顔を真っ直ぐに見つめた。そっと螢一のタンクトップに手をかけ、スルスルとめくる。

「螢一も裸になってよ、あたしだけ裸なの、フェアじゃない…」

「あ、ああ…」

 螢一もスクルドに倣って起きあがった。ばんざいしてタンクトップを脱がせてもらうと、スクルドはトランクスにも手をかけてきた。さすがに螢一にも先程のスクルドの気持ちがわかったようであり、そっと彼女の手を制する。

「ま、待って…自分で脱ぐよ…」

「ダメッ!そんなのズルイ!あたしが脱がせるのっ!!今度はあたしにさせてっ!!さ、螢一!スタンダップ!」

「た、立つの…?」

「そ!立って、あたし…してあげるから…」

 言われるままに立ち上がる螢一。トランクスの前を両手で包み隠すようにしているが、もうトランクスのゴムの辺りまでペニスはそそり立っている。ともすれば濡れ始めた先端が見えてしまうかも知れなかった。

 裸のスクルドは膝立ちになり、片手で髪を後ろに流してから螢一をムッと睨み付け、股間から彼の両手を退かせた。震える手でウエストに両手をかけ、一息に膝まで下げる。

「うわぁ…」

「は、恥ずかしいよ、スクルドッ!」

 艶めく先端がぬめり、無数に血管の走った醜怪な肉の棒…。スクルドは、これが本当に人間の身体の一部なのかと驚きで両目を真ん丸にし、感嘆の声を漏らした。

 螢一は螢一で、年端もいかない女の子に隆々と勃起したペニスをマジマジ見つめられている事実に今さらながら照れくさがる。

「これが…おちんちんなんだぁ…やだぁ、気持ち悪い!グロテスク…!」

「き、気持ち悪いはないだろぉ…?オレだって女の子の…その、ウルドの…初めて見たときはあんまりいい眺めだって思わなかったぞ?グロテスクは同じだよ…。」

「ウルドのはきっと汚いのよっ!あたしのやお姉様のは絶対にキレイよ!」

「う、あんまりベルダンディーのこと、言わないでくれ…。」

 いくつか性器にまつわる感想を交わしたあとで…スクルドは右手でペニスに触れ、螢一を見上げた。うなづくのを確認してからじかに握る…。

「かたぁい…。熱くって、血が巡ってるの、わかる…」

 トランクスごしよりもはるかにたくましさが…男らしさが感じられる。

 その固さは骨をつかんでいるのではなく、熱い血が駆けめぐることによる手応え。

 その熱さは作られたものではなく、まぎれもない自分に対しての愛欲の証。

 その愛欲は出任せなんかではなく、まさに今自分だけに降り注ぐ心地よい光。

かあっ…。

 スクルドは聖痕が黄昏色になるまで顔面を紅潮させた。のぼせてしまうような倦怠感の中、安らいだ微笑が浮かぶ。

 螢一の愛欲に応えたい…。スクルドはペニスの先端から滲んでいる愛液を指にまとわりつかせ、右手でかたどった筒で長太い幹をヌルヌルしごいた。くびれには指の一本一本をしっかりひっかけるようにし、ツヤツヤな先端を包み込むようにしてにゅぎゅっ、ぢゅっと揉んだ。螢一はたちまちだらしのない声をあげてしまう。

「うああ…す、スクルド…!スクルドの手、すっごい気持ちいい…!」

「わあ、ホントに気持ちいいんだ…。どんな感じなの?」

「ツヤツヤしてる先っぽ、あるだろ…?そこに気持ちいいのがジリジリ集中していくような…それで、根本から全体に…弾けそうなほど集まって…」

「…舐めて…頬張ってあげよっか?ウルドより気持ちよくしてあげるよ?」

 スクルドは愛撫の手をやめ、ちろ、と舌を出して上目遣いに螢一を見た。一見余裕ありげなスクルドだが、心臓は破裂しそうなほどのハイペースで高鳴っていた。耳鳴りまで感じるほどだ。

 本当にこんな大きなものをくわえることができるのだろうか。

 それにウルドより気持ちよくする、などと大見栄を切ってしまっていいのだろうか。

 螢一に飽きられはしないだろうか。

 息の詰まるような不安で、より一層胸が苦しくなる。

「…ムリしなくていいんだぞ?」

「あったりまえでしょ?じゃあ…するね?」

 螢一の気遣いに空元気で答え、勇気づけるように…決心するように強くうなづくと、スクルドは螢一のペニスを強く握って口元に寄せた。

ちゅぴ…。

 軽く口づけしてから目を閉じ、舌を伸ばして、ぺろっと先端を一舐めする。愛液の渋味がいささか不快ではあったが、昼間の記録映像での憧れが鮮明にフラッシュバックし、スクルドはウットリした目でペニスを見つめながら積極的に舌を動かした。

 先端を舌先で念入りに舐め上げ、滲む粘液を舌の腹に馴染ませ、くびれの裏側を大きく擦る。舌を拡げてグネグネ舐め、くびれにそって舌を絡めた。

 ペニスを上に向かせ、今度は幹全体を大きく舐めた。下から上、上から下への往復。恥ずかしさに満ちて呼吸を熱くしながらも、勇気を振り絞って袋をも頬張ってみた。袋の中にはころん、とした球が二つあり、一つは口中へ…もう一つは左手が弄んだ。右手は筒を作り、濡れたペニスをニチュニチュしごく。

「うわわぁ…!スクルド、そ、そこまでしてくれるなんて…っ!!」

 スクルドの髪を撫でていた螢一は思いもしない愛撫にあごをのけぞらせ、よがり声を響かせた。ペニスの根本がジクンジクンうずき始める。終わりは近そうであった。

 ぽあ、と袋を吐き出すと、スクルドは再びペニスを倒し、ツヤツヤな先端にキスした。水飲み鳥のようにちゅっちゅっと連発して唇の柔らかさを伝える。

 何度目かのキスで唇は密着を維持し、んく、と生唾を飲み込む音を小さく残して…スクルドは螢一のペニスを頬張りはじめた。

 食いしん坊で、おしゃべりで、だけど小さな口の中に…それに比べて巨大なペニスが徐々に飲み込まれてゆく。あこ、おこ…と苦しげな呼吸音とともに中程まで飲み込まれてしまうと、螢一はスクルドの頭を両手で押さえた。めくるめくほどの快楽を逃すまいとする、無意識下の非道であった。

「スクルド…オレの顔、見ながらしてくれ…」

「…ん…。」

 それは背徳ではなく、冒涜に値する行為であったろう。

 螢一の前でひざまづいた体勢のスクルドに性器をくわえさせ、そのうえ羞恥極まった彼女を上目遣いにして顔を見させるなど…。

 しかしその至上の冒涜行為は…幼い女神にペニスを頬張らせている行為は、裏を返せば至高の悦楽とも言えるだろう。螢一は感極まってつぶやいた。

「スクルド…かわいい、ホントにかわいいよ…!」

「ん…んっ…!」

 頬張ったままで感涙を浮かべるスクルド。単純な言葉であるぶん素直に嬉しいのか、螢一の腰を両手で押さえると、一生懸命に頭を動かし始めた。

 スクルドの狭い口中は加虐心も煽り立てられて最高の心地であった。きゅっとすぼまった唇にくびれがかかり、かと思うとざらつく舌の上を滑って狭い喉の奥につかえる。螢一はスクルドの頭を押さえて自らも腰を振っていた。

「きもち、いい…っ!!ウルドより入んないけど、すっごい狭い…きゅきゅって動いて…ああ、のど、にっ…入ってる…!」

「ん、んっ…!んかぁ、んぐ、んむ…っ!!」

 螢一が感じてくれている。見た目や声だけでなく、肌を通してそれは伝わってきた。

 口の中を占拠しているペニスが喉の奥を突くと、激しくむせこみたくなる。

 喉にまで入り込んでくると胃が痙攣し、嘔吐したくなる。

 しかし螢一が気持ちよくなってくれているのならそれでもよかった。我慢できた。

 その果てに…精液でべとべとに汚してほしかった。精液にまみれた自分の顔をイメージするだけでスクルドのヴァギナはきゅんきゅんうずき、膝まで愛液を滴らせるほど濡らてしまう。ウルドのように入れてほしい気持ちがふつふつと湧いてくる。

 淫らな欲望を押さえようもなく膨らませていると、腰を振っていた螢一のペニスが急激に膨張を始めた。ただでさえも窮屈だった口の中がきつきつの状態になり、舌が押しつぶされる。螢一はあごをガクガクさせ、よがりまくって鳴いた。

「スクルド、スクルドッ…!ごめん、出るっ、出ちまうっ!!」

「んんっ!!んーっ!!んんーっっ!!」

 このままだと螢一は口の中に射精してしまいそうだ。上目遣いにスクルドはイヤイヤと頭を振り、螢一の腰を引き離そうと両手をつっぱねた。しかし頭を押さえつける螢一の両手の方が力は強かった。

「ああっ!す、スクルド!スクルドッ!!」

ぶびゅるっ!どぷっ!びゅっ、びゅっ…

「…っ!!」

 喉の奥に粘つく熱いものが放たれ、たちまち口いっぱいに満ちてゆく。

 舌の裏から歯茎に至るまで、渋い精液はスクルドの口中すべてを浸した。目を見開き、嫌悪感に身震いするスクルド。汚らしい味が舌全体に染みついてしまう…。

 螢一の射精はいつ果てるともなく続いた。根本近くまでくわえこんでもらったところで射精したため、新鮮な精液が何度も何度も喉の入り口を灼く。螢一はスクルドの頭を強く押さえ、のけぞったまませつなく叫んだ。

「スクルド、お願い、飲んで…!オレのザーメン、ぜんぶ…飲んでくれ…!」

 非難されてしかるべき願いであった。性的虐待そのものであった。

 しかし…その許されざる哀願はスクルドの虐待嗜好癖、すなわちマゾッ気に強く作用していた。

 大量の精液をぜんぶ飲め、だなんて…。顔にかけられるよりも酷い仕打ち…。

ぞくぞくっ…。

 スクルドはヴァギナが激しくうずくのを身体全体で感じた。涙を一筋頬に滑らせつつ…

ご、くん…ごくん…ごくん…

 ペニスに歯を立てぬよう、くわえたままで粘つく精液を飲み込んでゆく。舌の根本にまで渋味が絡みついてきた。悪寒が酷いが、体内まで生臭く汚されているのかと思うとそれだけで恍惚に浸ることができた。惨めな自分の姿を想起して歓喜の涙を流す。

 射精した余韻から立ち直った螢一に、ちゅば…とペニスを引き抜いてもらうと、スクルドは脱力して布団に転がった。唇の端からなまっちろい雫がこぼれる。飲みきれなかったぶんが唾液とともに溢れたのだ。

 精神的ショックは大きかったが、満足感もまた大きかった。虐待されることがこんなに嬉しいことだったなんて…。

 信じられなかった。身体じゅうが興奮にざわついているような感じがする。

「ごめんっ!ごめんな、スクルドッ!とりあえずこれでも飲んで…!」

 螢一は枕元に置いてあった飲みかけのオープラスを手に取り、ペットボトルのキャップを開けてスクルドに差し出した。緩慢な動きでそれを受け取ると、スクルドは口中をゆすぎながらボトルの中身をきれいに飲み干した。

 それでようやく落ち着いたのか、ふう、と息を一つ吐く。落ち着いた風に見えるが、熱でも出しているかのような頬は真っ赤なままだ。

 なにしろ…精液を飲んでしまったのだから。しかも、普段から親しくしている螢一の精液を、それも大量に…。強い気付け薬でも飲まされたかのように胸が苦しい。

 おまけに、喉の奥に勢いよく射精された感触がいまだに残っている。たちまち口中いっぱいに満ちてゆく悪寒も…。この興奮はそう簡単には冷めそうにない。

 螢一はスクルドの口元をティッシュペーパーで拭うと、畳に額を擦り付けて非道を詫びた。狼狽えきり、すすり泣きまでしてしまう。

「本当にごめん!スクルドがあんまり気持ちよかったから、オレ、夢中になっちゃって…まずかったろ…本当にごめん!許してくれっ!」

「…もういいよ、気にしないで、けいいち…。そのかわり…お願い。」

 起きあがったスクルドの瞳の奥に、淫らな光が妖しく瞬く。

「な、なんだ?なんでもするぞ?」

 多少安請け合いの感もするが、螢一は泣きベソの顔を上げてスクルドの願いを聞いてやることにした。彼女が非道を咎めないのであれば、できうる限りの望みを叶えてやりたい心境であった。

 スクルドは放られたパジャマの上着を引き寄せ、左側のポケットから小さな小箱を取り出し、それを螢一に差し出した。

「これ、コンドーム…。ね、今すぐセックスして…。」

「な…す、スクルドお前、これ…!?」

 螢一は差し出された小箱をつまみ上げ、驚きの表情と声でスクルドに問いかけた。

 スクルドはころん、と仰向けに寝転がり、両手で胸元を覆ってつぶやく。

「やっぱり避妊はしてほしい…あたしだって、生理は来てるんだから…」

「そうじゃなくって!どうしてお前がこんなもの、持ってるんだよ!?」

 赤面しながら叫ぶ螢一の言葉に、スクルドは照れくさそうに…どこかすねたように横を向いて説明を続けた。

「…ばんぺいくんに頼んだの。自販機の場所をナビで探して…。ね、螢一…あたしもうこれっぽっちも待てないっ…。お願いだから今すぐセックスしてっ!」

「スクルドにこんなことできないよっ!こんなことはスクルドが本当に好きな人と…」

「なんでもするって言ったよっ!そんなキレイゴトなんていらない、あたし、螢一とセックスしたいの…!このままやめられたら…あたし、狂っちゃう…!!」

 スクルドの純潔を思って螢一は説得を試みたが、スクルドはもう後には引けない様子であった。膝をモジモジさせると、割れ目の奥からぴちゅ、ぷちゅ、と水っぽい音が聞こえてくる。受け入れ準備はとうにできているようであった。

 それでもなお戸惑い続ける螢一をキッと睨み付けると…スクルドの瞳の端から淫らな光の源がぽろろ、とこぼれ落ちた。

「してよぉ…。もうお子様なんかでいたくないっ…。ねえ、一生のお願いだから…ウルドみたいにして!あたしをウルドみたいに扱って!!」

「スクルド…わかってると思うけど、初めてはすごい痛いっていうぞ?それでもいいのか?覚悟、できてんのか?」

 螢一は心配そうな瞳で仰向けのスクルドを見たが、スクルドはそっと目を伏せ、大きくうなづいただけであった。もはや説得は不可能らしい。了承の言葉以外何を言おうが、今のスクルドは聞く耳を持たないだろう。

 覚悟を決めなければいけないのは螢一とて同じであった。

 夕べに続き、またしても最愛のベルダンディーを裏切ろうとしている。

 まして今夜はスクルドの初めてを遂げさせようとしているのだ…。

 姉と交わり、妹のヴァージンを終わらせてなおベルダンディーと親しくできる資格などあるのだろうか。

「自分の気持ちを信じてみて…。」

 思い惑っているうち、ふいにスクルドはそう言った。

「あたしのこと、嫌いじゃないからここまでしてくれたんでしょ…?だったらあともう少しだけ…あたしの気持ちに応えて。螢一は悪いことしてない。わかるよ。くれぐれも断っておくけど、あたしだって女神なんだからね?」

「スクルド…」

「螢一が邪な気持ちを持ってたとしたら…あたし、こんなこと絶対してない。」

 スクルドにそう言われ、螢一は自分自身に問いかけてみた。

 しかし答えはひとつと決まっていた。

 この胸を占拠しているスクルドへの愛しさはウソなんかではない。彼女と交わることに対する都合のいい口実なんかでは絶対にない。

 ウルドとの事にしても、間違っても性欲だけでそうしたのでは…彼女を劣情の処理道具として利用したのではなかった。三人の女神に誓ってもいい。

 彼女達に抱いた愛しさは間違いなく本物なのだ。

「じゃあ…本当にいいんだな、スクルド…?」

「うん…。」

 見つめ合ってうなづく。螢一もスクルドも、自分の気持ちを信じることにしたのだ。

 螢一は小箱から細長い袋をひとつ取り出し、ぴっと破いて中からピンク色の薄膜を取り出した。実際に装着するのは初めてだが、要領はわかっている。萎える様子を見せないペニスの先端に、できるだけ空気が入らないように気を付けながら当てがい、シュル、シュル…と引き下げてゆく。

「これでよし、と。ふぅ、なんか窮屈な感じ…。」

 キチンと根本まで押し下げると、ペニスは潤った淡いヴェールにしっかり包み込まれてしまった。思ったよりも簡単なものだが、圧迫感がどうにも落ち着かない。

 装着の一部始終を見つめていたスクルドは、そっと手を伸ばして指で具合を確かめてみた。先端の精液溜まりを指先で摘んでみたりする。

「なるほどね、これで精子の子宮への侵入を阻むわけだ。でもこれじゃあ直接擦れ合うわけじゃあないから、刺激による快感は少ないんじゃないのかな?」

「う〜ん、どうなんだろう?つけてしたことってないから…」

 螢一の言葉の中には、彼自身に対してあらぬ誤解を招くような部分があったが、まぎれもない事実である。とはいえ夕べの初体験が直接挿入した、というだけの話だ。

「じゃあ螢一、お願い…。」

「ああ…できるだけそおっとするからな?」

「当たり前でしょ、デリカシーがないんだから…」

「悪かったねぇ…」

 スクルドは螢一から顔を背けつつ、ゆっくりではあるが大きく脚を開き、腰を少しだけ浮かせた。螢一はスクルドの両脚に手を添えて完全なM字開脚にし、濡れそぼった女性の裂け目を丸見えにしてしまう。

「だ、ダメッ!!見ちゃダメッ!!」

「な、なんだよそれは…。」

「見なくてもわかるでしょ!?とにかく見ちゃダメ!!」

 照れくさくてならず、ぷい、とふくれっつらで横を向いてしまう。スクルドは両手で女の子の熱い割れ目を覆い隠してしまった。

 自分でもわかるのだが、割れ目どころか裂け目までぱっくり開いてしまっている。そっと覗かれただけで奥の奥まで見せてしまうことになるだろう。

 親しい螢一になにもかもを見られてしまうのかと思うと、自分で求めておきながらいてもたってもいられなくなったのだ。どれだけ身体がうずいても、恥ずかしいものはやはり恥ずかしい。

「…していいのかダメなのか、ハッキリしてくれよぉ…。」

「…だって恥ずかしいんだもん…。」

「さっき言ってたぜ?スクルドのおまんこ、ウルドよりもキレイなんだろ?だったらどこにも恥ずかしがる理由なんてないじゃないか。さ、自分で大きく開いて見せて…。スクルドのエッチなおまんこ、オレに見せてくれ…。」

「…け、けいいちのヘンタイッ!お、おまんこだなんてっ、う、ううっ…!」

 ウルド同様、淫らな言葉に恥じらうスクルド。螢一は彼女の両脚の間に進み、のしかかるようにしながら…再びスクルドの聖痕にキスした。

「そ、そこだめえ…っ!!いま、そこにキスされたら、あたしっ…!!」

「見せて、スクルドのおまんこ見せて…でないと…もっと強く…!」

ちゅうっ…。

「やっ!やあっ!あああああっっ!!」

 狂おしいまでに鳴き叫ぶと、スクルドは強く身震いしてのけぞり…覆い隠す両手の奥からびちゅっと愛液を噴出させた。ぼっ…と顔が真っ赤になる。スクルドは聖痕にキスされて達してしまったのだ。

 ぽた、ぽた、とスクルドの両手の指から放ったばかりの愛液が滴る。スクルドは荒い息を繰り返しながら、螢一の下でくったりと姿勢を元に戻してしまった。

 螢一はスクルドにのしかかったまま、彼女の燃えような体温を胸いっぱいに感じた。汗で湿った肌から湯気がのぼりそうなほどに火照っている。色白な身体は温泉上がりのように真っ赤であった。

「スクルド…ちゅ、ん…」

「ん、む…けいい、ち…」

 唇を塞いで正気を戻させる。絶頂は思ったより浅かったようで、スクルドの意識はハッキリとしていた。

「いま、イッたの?」

「うん…」

「すぐできる?」

「たぶん…」

 ねちっこく抱き締め合い、口づけを交わしながら短い会話を重ねる。ごろ、ごろ、と熱を伝え合うように転がり、もつれるようにキスを続ける。互いが愛しくてならなくなっていた。

「けいいち…好き、好きだよぉ…」

「スクルド、お前…」

 夢見るような表情でスクルドはそうつぶやいていた。螢一は四つん這いになって彼女から身体を離し、真上からスクルドの瞳を覗き込んで失語してしまう。

「好き…大好き…」

「仙太郎のことはどうすんだよ、それにお前、ベルダンディーのこと…」

「…きっとあたし、混乱してるんだと思う…。だからこれから言うのは予想外の言葉。」

 淡い恋心を抱いている少年の名を…敬愛する姉の名を出されてもスクルドはひるまない。すう、はああ…と深呼吸をひとつ、真っ直ぐに螢一を見た。

「あたし、螢一が好き。せめて今夜だけ…恋人になりたい。螢一だけの女神になりたい…。」

「スクルド…」

「こんな気持ち、自分でも信じられないよ…螢一なんて大嫌いだったのに…。でももう待てないの、本当の恋人が現れるまで待ってらんないのっ!優しいお兄ちゃん、じゃもう満足できない。お姉様には悪いと思うけど…螢一のその優しさ、今夜だけでも独り占めしたいのっ!」

 思い詰めた果てに生まれた気持ちを…スクルドは気取ることなく告白した。今なによりも螢一が欲しい。螢一の温もりに、無窮の優しさに触れていたい…。

 螢一はスクルドの頬をゆっくり撫でながら、小さくうなづいて微笑した。スクルドの募り募った切実なる想いが痛いほどに伝わってきたからだ。そこまで求められたのなら…応えられるだけ、応えてあげたい。

「そんなにまで…光栄の極みだよ、スクルド…」

「けいいち…」

ちゅっ…。

 唇が重なり合うと…スクルドは再び両脚をM字開脚に拡げた。今度はしおらしく両手の指を割れ目にくいこませ、むっちりした柔肉を健気にくつろがせる。恥ずかしさや照れくささは不思議なほどに感じなくなっていた。むしろ積極的に螢一に差し出したい気分であった。

 充血した粘膜状の濃桃肉が螢一の目の前で露わにされる。スクルドの指は深く、濡れた裂け目をもこじ開け…儚げな膣口を剥き出していた。

 怯えたクリトリスがひくっ、ひくっと震えるたびに処女膜の奥から愛液が滲み、うっすらとうぶ毛に覆われた恥丘へと流れてゆく。美少女のあられもない姿に螢一は生唾を飲んだ。コンドームに納まったペニスがはち切れんばかりに膨張を示す。

「じゃあ…するよ…?」

「…うん…!」

 スクルドの最終承認を受け、螢一はペニスの先端を、ぷちゅ…と膣口にあてがった。入り口はあまりに小さく、螢一自身も入るのかどうか不安に思ってしまうほどだ。

 それでもスクルドは覚悟ができているようで、螢一が両手をついて身体を支えると裂け目を割り開いたままの体勢できつく目を閉じ、破瓜の瞬間に備えた。

 螢一はいきなり腰を突き入れようとはせず、引力に任せて身体を寄せようと動いた。処女膜全体にじんわりと押し広げようとする外圧がかかる。

「いたっ!痛いっ!!」

「ほら、やっぱり痛いって…。スクルド、まだムリだよ…もうやめとこうよ。」

 半ば予想していた反応に、腰を引き戻した螢一はスクルドが思わずこぼした涙を親指で拭いながらささやきかけた。これ以上痛がる姿を見るのは忍びない。

 自分のサイズが特別大きいと自負しているわけでもないが、スクルドの性器とは歴然とした大人と子供の差があった。これだけサイズが違っているのを目の当たりにすると、スクルドの破瓜に伴う激痛がいかほどのものなのか想像に容易い。

「…大丈夫、大丈夫だから続けて!今のは、その…ビックリしただけよっ!」

 スクルドは気丈にもそう言った。そのわりに身体は性器どうしの密着を解き、十センチほども前方にいざっている。どう考えても強がりであった。

「ホントにホントかよ…?」

「ホントにホントなのっ!早くしてっ!!ゆっくりするからダメなのよ、もう一息に根本まで押し込んでっ!!」

 先程の意見を百八十度翻したスクルドであったが…螢一がそっと進み出、あらためて挿入を試みても結果は同じであった。身体が性欲よりも激痛による反応を選んでしまうのである。

 スクルドは螢一を受け入れようとしない自分自身に歯噛みして悔し涙を流した。

「…悔しいっ!なんでこんなに痛いの!?ウルドは痛くなかったの!?」

「ウルドは…前にしたことあるって言ってたから…。」

「…ウルドも初めはこんなに痛かったのかな…」

「たぶん…としか言えない。でも気にするなよ、スクルドだってそのうちできるようになるから…。こんなことは焦ってするものじゃないよ。」

 初めての結合を断念したスクルドは、ぺったりおしりをつけたお姉さん座りに起き上がってえぐえぐ泣きじゃくった。螢一も彼女に並んで座り、抱き寄せるようにしながら片手で頭を撫でてやる。

 大人の女性として見てもらいたいプライド。

 至高の快感を得たいという欲求。

 自分に対して向けられる、好意よりもはるかに暖かな愛情。

 そんなスクルドの気持ちは彼女の言動やしぐさはおろか、聖痕や唇を介してまで伝わってきている。それらは胸が痛むほど強く、螢一には感じ取ることができた。

 しかしスクルドにはまだまだ成長の余地があるのだ。様々な経験を踏む時間的余裕だってある。螢一の常識で考えれば、身体を求めるには彼女は若すぎた。

「早く大人になりたい。螢一を受け入れられる身体になりたい。」

 頭を撫でられているうち、高ぶった気持ちがおさまってきたのかスクルドは確かな口調でそう言った。螢一は笑いかけながら彼女の頭をくしゃくしゃ撫でる。

「心配いらないって!育ち盛りだからあっというまだよ。そのうちベルダンディーやウルドにだって負けないプロポーションが身に付くって。はは、まぁ…もっともその頃にはオレよりいい男が見つかってるだろうけどね。」

「…ありがとう。慰めでも嬉しい…」

 そう言ったスクルドは…ぱっと身を翻すなり、螢一に口づけた。頭を抱きかかえて深く密着し、積極的に舌を差し入れてくる。

「んっ、んんっ…!んっ!んむーっ!?」

 不意を突かれたキスに螢一の方が戸惑ってしまう。そしてその戸惑いは…すっかり萎えてコンドームも外したペニスを強く握られることで激しさを増した。

「…す、スクルド!?」

「…螢一の気持ち、嬉しいよ…あたしのこと真剣に考えてくれて…。でもオトナになるまで待てないよっ!螢一と一緒に気持ちよくなりたいっ!」

 甘えた美少女の顔と…乳搾りをするように握ってくる右手に螢一は反応せざるをえなかった。いかに貞操観念の高い男であろうが、これで興奮しなければ異常であろう。

むくっ、くっ、ぐっ…。

「す、スクルドッ…!」

 スクルドの右手の中で螢一のペニスは再び臨戦態勢を整えた。スクルドはガチガチになったペニスをゆっくり前後にしごきながら、螢一の唇に自らの唇を寄せる。発情しきって媚びた表情を見るまい、と螢一は理性を振り絞って目をきつく閉じた。

「けいいち…いいの…。無理矢理でもいいから…乱暴して…!」

ちゅっ…。

 その言葉はスクルドの本心であった。日頃押さえ込んでいた恋愛感情が暴走を始めている。それによる破滅願望の発現であった。

 次の瞬間、スクルドは暴力と呼べるほどの力で布団のうえに押し倒されていた。力任せにねじ伏せられ、パジャマのズボンできつく後ろ手に縛り上げられる。

「いやっ…!」

 そう叫びながらもスクルドの顔は拒んでなどいなかった。むしろ歓喜に満たされた表情である。スクルドの内に潜むマゾッ気は確実なものであった。

 螢一はさらにタンクトップを使ってスクルドに目隠しする。視界がブラックアウトし、得体も知れない不吉な予感にスクルドはうつぶせで打ち震えた。

「あ、はぁ…!けいいちに…けいいちに乱暴されるよぉ…!」

 異常なほど艶めいた声をあげるスクルド。どこから何をされるのかわからない不安で身体中に緊張を張り巡らせ、螢一の次のリアクションを待ちわびる。

ちゅっ。

「ひゃあっ!お、おしりっ!おしりぃっ!」

 螢一は一言も発せずスクルドの真っ白なヒップに口づけした。右手でそのまろやかさを確かめるよう、すべすべと撫でる。柔らかなおしりの手触りは胸に負けないほどよかった。

 そのまま撫で続ける右手を内ももに滑らせると、スクルドは両脚をバタバタさせてよがった。びゅ、と処女膜の奥から搾りたての愛液が噴き出る。

「だめだめえっ!くすぐったいよぉっ!!」

「…立てよ。」

「え、え…?」

 ふいに身体を離し、螢一は命令口調でそう告げた。乱暴される悦楽にぐったりしてしまったスクルドは、力無く声のした方に振り返る。

「立てって言ったんだ。そこの壁に頭をついて、こっちにしりを突き出せ。」

 きつい命令口調でそう指示され、スクルドは支配される快感に身悶えした。歪な笑顔を浮かべながらフラフラと起きあがり、やっとの思いで立ち上がる。

 が、後ろ手に縛り上げられているためにバランスが取れず、畳の上にドサリと転がってしまった。

「何をしてんだよ、さっさと立て!」

「ごめん…」

「ごめん、じゃねえっ!ごめんなさい、だろう!?敬語を使え!」

「ご、ごめんなさいっ!」

 見えない螢一からの怒声にゾクゾクしながらスクルドは慌てて立ち上がった。今度は上手くバランスを保つことができ、壁に頭をついておしりをくいっと突き出す。

「こ、こうですか…?」

 乱暴に挿入される予感に震えながら、スクルドは振り返って尋ねた。返事はなく、その代わりに長い黒髪を横に流され、汗ばんだ両手が強くおしりをつかんでくる。

「ひっ…!」

 そのままおしりの肉を割り開かれると、濡れた舌がスクルドの小さなすぼまりに触れてきた。ぴちゃ、ぴちゃ、と舐められ、舌をとがらせて侵入してこようとする。

「いやっ!だめだめえっ!!お、おしりの穴にそんなことしないでえっ!!」

 泣き叫ぶスクルドであったが、螢一は容赦しなかった。今度は中指をすぼまりに押し当て、ゆっくり緊張を解きほぐすようにぐりぐり圧力をかける。

 やんわりやんわり緊張が解けてゆくスクルドのおしりの穴は、やがて螢一の中指を第一関節まで受け入れてしまった。異物の侵入にスクルドは敏感な反応を示し、きゅきゅっとおしりの穴を強くすぼませる。

「すぼめてもダメだ。このまま入ってくぜ…?」

「だめだめえ…!抜いてぇ…!あふっ!!」

 スクルドの予想に反して中指はあっさり引き抜かれてしまった。すぽ、とおしりの穴を解放されたときも、スクルドはきゅんっとおしりの穴をすぼませてしまう。

「じゃあここならいいんだな…?」

「あ…」

 螢一が低い声でつぶやくと、今度は膣口に小指があてがわれた。返事も待たず、小指の先はチュヌ、と濡れた内側に潜り込んでしまう。温かくて、狭くて、襞が高い…。

「螢一、待って!ダメ!!指じゃイヤ!」

「なんならいいんだ?なにをどこに入れて欲しいんだよ?」

「そ、それは…」

「言えないのか?言えるまで小指は止めないぞ?」

 ずぷ、ずぶ、と小指がどんどん埋まってゆく。処女膜がピリピリ痛い。スクルドは激しくイヤイヤしながら謝った。

「ごめんなさい、言いますっ!言いますから指はやめてえっ!!」

「よぉし、言ってみな?」

 小指は第二関節まで埋まったところで侵入を中断した。膣口が小指をヒクヒクしながら締め付けるのがわかる。スクルドは焦燥と羞恥に掻き乱され、目隠しのタンクトップからぽろぽろ涙をこぼしつつ…

「あ、アソコに…け、けいいちのを…」

「アソコってなんだ?それに、オレのなんなんだよ?」

「あ、あああっ!!だめ、指曲げちゃだめえっ!!」

 意地悪く言いながら、螢一は埋め込んだ小指の先をくいっと曲げた。敏感に反応してよがるスクルド。

「お、おまんこに…」

…ぎゅっ。

「けいいちの…ぺ、ペニスを…」

…きゅきゅっ。

「入れてください…!」

…ぎゅうっ、ぷじゅ…。

 スクルドがはしたない単語を口にするたびにヴァギナも同調して恥じらい、螢一の小指は小気味よく締め付けた。雫が隙間から溢れると、内側の温もりは熱に変わってゆく。

「わかった。じゃあお望み通り、してやるよ!」

 にちゅ、と糸を引かせながら、螢一は小指をスクルドから引き抜いた。せつなさからの開放感にスクルドが一息つくいとまもなく、あらためてヒップが両手でわしづかまれる。

 とうとう奪われる。今度は否応なく…。

 スクルドは耐え難い痛みに備え、きゅっと身を強張らせた。目隠しをされているために一層恐怖と期待が膨れ上がる。

ぬ、ち…。

 ガチガチに張りつめたペニスが濃桃肉の裂け目に真っ直ぐ割り込んできた。先端は膣口を探り当て、処女膜に狙いが定められる。なにげなく腰を突き出すだけでスクルドの純潔は螢一のものになってしまうだろう。

 そこでスクルドはあることを思いだし、慌てて振り返って叫んだ。

「ま、待ってください!コンドームつけて…!ひ、避妊してくださいっ!!」

「関係ないね。」

 背後からよこされたのは永久凍土もかくやと思しき無情な返事であった。スクルドは絶望感に打ちひしがれながらも、精一杯の力でかぶりを振った。

「だめ、だめですぅ…!あかちゃんできちゃうからぁ…どうか、どうかお願いします!避妊してください…!」

「…ウソだよ、乱暴してごめんね、スクルド…。」

 そのとき耳元で聞こえた声は…普段の優しい螢一の声であった。拍子を抜かれた瞬間、股間でペニスがズルッ、と動く。

「ひっ…あれ…?」

「…擦れるだけでも気持ちいいハズだよ…?もう少しまっすぐ立って…。」

 螢一のペニスは処女膜を突き破ってはいなかった。狭い膣内に侵入してはいなかった。

 長太い全長は裂け目にそってぴったりあてがわれ、ヌル、ヌル、と柔肉を擦るだけである。螢一は挿入しなかったのだ。

「どうしてっ…」

「痛がるスクルドより…気持ちよくなってるスクルドが見たいからね。」

 反論しかけたスクルドであったが、背後で微笑んだ様子の螢一の言葉にチクン、と胸が痛み、言葉を続けることができなくなった。目隠しの奥から…今度は温かい嬉し涙がぽろぽろこぼれ落ちてくる。

「ごめんね、最後までごめんね、けいいちっ…!」

「いいんだよ、謝ることなんてないよ…。」

 泣きじゃくりながらスクルドは腰を戻し、直立の姿勢になって螢一のペニスを太ももの間に挟み込んだ。熱くて太い異物感が落ち着かず、膝をモジモジ擦り寄せてしまう。

「動くね…。」

「ん…。」

 螢一はスクルドから戒めと目隠しを解き、背後から乳房を両手にして静かにグラインドを開始した。

 太ももと裂け目に包まれたペニスが…ぬりゅ、ぬりゅ、とデリケートな濃桃肉を擦ってゆく。先端とくびれがスクルドのクリトリスを直接弾き、容赦もない快感を与えて彼女をよがらせた。スクルドは壁に両手をつき、くっと爪をくいこませる。

「あはぁっ!気持ちいい…気持ちいい…!」

「はあ…スクルド…身体、すっごい熱いよ、感じてるんだろ…?」

「うん…螢一の、擦れてるもん…身体じゅう、ピリピリしてくる…。あそこも、胸も、すっごい気持ちいいのっ!」

「オレも気持ちいいよ…どんどんヌルヌルになってく…!」

 ささやかな乳房を押しこねるようにされながら、スクルドはどんどん高ぶっていった。昨日一人で慰めた以上に急激な快感が、安らげる心地よさが…ペニスが一回往復するたびに身体全体に拡がってゆく。立っていられなくなりそうだった。

 螢一もスクルドの素股で擦られながら大きな快感を得ていた。ぺた、ぺた、とおしりとへそをぶつけながら夢中で美少女の内ももを確かめる。太ももも裂け目もせつなさが凝縮されているかのように熱い。

 ウルドの膣内ほどの快適さはないが、幼い女神と淫行にふけっている…スクルドと疑似性交を重ねているという犯罪的な興奮は違う意味で螢一を高ぶらせた。スクルドの小さな身体を持ち上げんばかりにペニスは猛々しくそそり立とうとする。

 スクルドの乳房もまた絶品であった。ぷにゃぷにゃと揉みしだく乳房は薄く、柔らかで…すぐ下に彼女の肋骨を確かめることができる。しっとりと汗ばんだ柔肌に手の平を当てると…ドキドキと激しくビートを刻む心音も感じられた。

「スクルド…かわいいだけじゃないね、素敵だよ…」

「あん、やだ…急に、何言って…」

「ホントだよ…ウソなんてついてない…」

「…螢一だって素敵だよ、かっこいいよ…!ね、キスして…」

「いいよ…ちょっと身体ひねって…お、そうそう…」

ちゅっ、ぷちゅ、ちゅうっ…むちゅ、ぷぁ、ちゅ…。

 スクルドは上体をひねるようにし、左腕を螢一の肩に掛けて狂おしくキスした。唇を押し当て、ついばみ、舌を絡めて…唾液を交わし合う。もう螢一が愛しくてならない。自らも螢一の動きに追随するよう、ゆっくり腰を振り始める。

 憑かれたようにキスしながら、螢一は左手でスクルドの身体を撫で回した。乳房から脇腹、へそ…。きめ細かな女神の肌を楽しむようにごしごし撫でる。

 撫で回してゆくほどに、いかにスクルドがちっちゃな身体をしているかがわかった。背後から抱き締めれば包み込まれて見えなくなってしまうかのように小さい。

 小さいのは紛れもない事実であり、螢一自身は心持ち中腰になるようにして動いているのだが…スクルドは健気にも精一杯つま先立ちして螢一に合わせてくれていたのだ。

「スクルド、立ったままで大丈夫か…?」

「だいじょうぶだよ、この方が…けいいち、強く感じるから…」

 今さらながらそのことに気付いた螢一に、スクルドは間近で強がる笑顔を見せた。天真爛漫そのものの笑顔…。今度は螢一がたまらなくなり、夢中で彼女の唇を塞ぐ。汗まみれの身体どうしを擦り合わせるように愛撫の手を一層強めた。

 右手で桜餅のように火照ったスクルドの乳房を揉みつつ、アクセントを添えるツンツンの乳首を指先で摘む。ころんころん弾くたびにスクルドの瞳は甘えんぼのそれに変わり、惚けたように愛撫に浸った。

 螢一は唇を離すとスクルドの腋の下に顔を埋め、汗ばんだ部分に舌を踊らせた。スクルドの汗を舐めとるたびに頬が熱くなってゆく。甘く香り立つようなスクルドのフェロモンはすでに大人の女性のそれであった。仙太郎が間近で嗅いだりしたら、翌日から真っ直ぐに顔を合わせられなくなるであろうことが容易く想像できる。

「わ、わきのしたなんてっ…!け、けいいちっ!や、あああ…っ!!」

 スクルドは思いも寄らなかった愛撫で二の腕にうっすらと鳥肌を立てた。口元からよだれをこぼし、普段よりも張りつめた高い声で鳴く。きゅっ、きゅっと腰の奥から振動を伝わらせ、擦れ合う性器の間にぴちゃぴちゃ愛液を漏らした。

「か、感じちゃうよぉ…!もっと、もっとしてっ!」

すり、すり…。

 姿勢を戻し、壁に両手をついてよがるスクルドは、螢一のグラインドをより強く感じようとみるみる膝を擦り寄せていった。スラリと細いスクルドの太ももであったが、さすがに隙間が狭くなる。そのぶんペニスが受ける刺激も増すこととなり、螢一はスクルドの腰に両手をかけ、あごをそらしてつらそうに目を閉じた。

 狭まってはいたものの、スクルドが漏らした愛情の潤滑油のおかげで太い先端部分はニチュ、ニヂュッと粘つく音を響かせながら、彼女の恥丘の下で出たり入ったりを繰り返している。擦れ合った愛液は細かな泡状になり、白っぽくなってスクルドの膝まで流れ落ちた。

「け、けいいちっ!もう立ってられないよぉっ!」

「もうちょっと頑張って!最後まで頑張らないと、もうやめちゃうぞ!?」

「だって、気持ちよすぎるんだもんっ!!昨日みたいになっちゃう、真っ白になっちゃうよおっ!あ、あ、あっ、け、けいいち、けえいちぃっ!!」

 スクルドは激しく身をよじり、膝をモジモジさせながら絶叫した。汗と涙を滴らせながら無意識に腰を突き出す。螢一はそんなスクルドの腰にしっかと指を食い込ませ、ベチッ、バチッ、ベチュッ、と怒濤の勢いで下腹を打ち付けた。ペニスがちぎれ落ちてしまうほどの快感が幹から先端にかけ、いっぱいに満ちてゆく…。

「ああ、ああっスクルドッ!出る、出るっ…!!」

「け、いいち…あ、ひ…ひぃっ…!!」

 スクルドの意識の中に真っ白な大津波が襲いかかり…一瞬で何もかもをさらい尽くしてしまう。次の瞬間、膣の奥の奥に火傷しそうなほどの熱が放り込まれたような気がした。

「あ、ついっっ…!!」

ボッ…。

 スクルドの小さな身体がビクンッと跳ねた瞬間、うなだれた泣きベソ顔は燃えるように真っ赤になり、随喜の涙をポタタッと落とした。引きつったように締まった膣内からビヂュッ、と音立てて最後の愛液が噴出される。幼い女神の射精であった。

「あ、ああっ、あああ…」

 わななくようにか細い声でうめくスクルド。カリ、カリ…と壁を引っ掻く。小さな身体は燃えるように熱い。つま先立ちの両脚はピインと張りつめ…彼女がイキまくっている最中であることを螢一に示していた。

 そして…スクルドは絶大な快感に溺れきってしまった。

ぴちゃ、ぴちゃぴちゃぴちゃ…。

「うわぁ…!」

 ペニスから両脚からが熱く濡れてくるのを感じ、螢一は何が起こっているのかを悟って驚きを声にしていた。

 スクルドは立ったまま失禁してしまったのだ。

 絶頂に飲み込まれたままのスクルドは堪えようとも恥じらおうともせず、それこそ思う様、漏らしたいだけ漏らし…すっかり二人の下半身をびちょびちょにしてしまった。ハーゲンダッツとオープラスによる熱い雫が畳の上で匂いを放つ染みになる。

「はわ、ああっ!スクルドッ!スクルド…ッ!!」

びゅうっ!!びゅびゅっ!どぷ、どぷ…

 女神の失禁に次いで螢一も達した。精製したての熱い白濁が力強く迸るたび、快感が体内で激しくスパークを起こす。どくん、どくん、と二度、三度…。

 今宵二度目の射精にもかかわらず、最初よりも量が多いような気がする。

 耐えに耐えた後に放たれた精液は放物線を描いて壁を何度も汚し、勢いを失った残りはポタポタ畳に落ちてスクルドの雫と混じった。脱力して壁に折り重なった二人を見ると、まるでペニスの生えたスクルドが射精したかのようにも見える。

「…イッた…スクルド、と…」

 螢一は背後からスクルドの身体を抱き締めながら感動に震えていた。

 口中で達した時よりも快感が強い。間違いなく二度目の方が感じ過ぎていた。

 身震いしながら射精の余韻に浸っていた螢一であったが、スクルドを抱き締めたままその身を引力に任せると…ドサッ、と背中から布団の上に倒れ込んだ。

はあっ、はあっ、はあっ…はあっ…。

 汗まみれのまま、二人して荒ぶった呼吸を繰り返す。

 熱い身体。熱い汗。熱い鼓動。熱い快感…。

 螢一は一身にスクルドを感じた。左手の下で心臓がバクバクしているのを…。右手を乗せた胸がふよふよ上下しているのをぼやけたような意識で確かめる。愛しさとともに嬉しさが胸の奥に湧いてきた。

 スクルドに乗っかられたままであったが、さして重くはなかった。なによりも気持ちよさだけがリアルに感じられ…そのためか、あれだけ盛大に放ったはずのペニスはスクルドの太ももの狭間でまだ勃起を維持したままであった。真上を向かされた先端から、なおも精液が滲み出てくる。

「…けいいち…」

 そのうち意識を取り戻したスクルドは、身体をよじって螢一の上から降りた。飛びつくように螢一に寄り添い、寝そべった肩に手をかけて唇を押し当ててくる。螢一は拒むはずもなく、労るように彼女の黒髪を、背中を撫でてあげた。

「螢一の部屋、汚しちゃった…。ごめんね。」

「いいよ、そんなの…。気持ちよかったかい?」

「ん、とっても…。ふふ、今もまだ気持ちいいんだよ?螢一にこうされて…ふしぎ…。」

「ふしぎ、かぁ…。」

「ね、もっとキスしたい…」

「はいはい…」

 いくつかのおしゃべりを交わし、笑顔を見せ合うとスクルドはしつこいほどにキスをせがんできた。苦笑混じりに応じる螢一。スクルドはすっかりキスに馴染んでしまったようだ。

「おいで…」

「ん…」

 キスしながら螢一はスクルドに右腕で腕枕し、そっと彼女の頭を包み込む。

 あの時手荒に振る舞ったのは、あくまで演技であったらしい。事が終わった後の螢一はいつもとかわらず、ひたむきに憧れていた優しさを以て自分を迎えてくれている…。

 スクルドはもっともっと螢一のことが好きになってしまいそうだった。ベルダンディーには悪いが、恋のライバルとして名乗り出たくなってしまう。

 そんな思いを抱くスクルドに気付く風もなく、螢一はスクルドの柔らかな前髪をいじってから、敏感な聖痕を指先でくすぐった。ご満悦の表情でイヤイヤするスクルド。

「螢一、今夜のこと、誰にも秘密だからね?」

「わかってる。スクルドこそ、ついうっかり、なんてダメだからな?」

「わかってるわよ、もう…!」

 そう言うとスクルドは、ぷう、と頬を膨らませてみせるのだが…すぐにまた甘えた顔に戻ってキスを求めてくる。いつになったら解放してくれるのかな、と困惑しながらも…螢一はついつい満更でもない顔をして応じてしまう。

 一瞬だけ薄目を開けて覗き見たのだが…スクルドはキスをしている間じゅう、本当に安らいだ顔をしているのだ。安心しきった、とびきりかわいらしい笑顔を…。

 螢一はスクルドがキスに夢中になる理由がなんとなくわかったような気がして、少々むずがゆくなるのであった。

 

 あれからスクルドが、いつ部屋に戻ったのか螢一は覚えていなかった。

 枕元の目覚まし時計が午前七時の訪れをベルの乱打で知らせたとき、スクルドの姿はすでになかった。

 寝ぼけ眼を擦りながら、障子ごしの朝の光で明るい室内を見回す。

 まだなんとなく湿っぽい室内には、夕べの光景が夢ではなかったことを諭すかのように女性の匂いが残っていた。相当長い黒髪も何本か布団の上で見つかる。

 そういえば、と室内の一点を見る。そこは二人が狂ったように身体を重ね、様々な雫を滴らせた場所であった。が、汚したはずの畳は美しく、代わりに見慣れぬ機械がひとつ置いてあった。

 それはいつぞやスクルドが発明した吸引マシン『キュポンバキュームZ』という液体回収機であった。畳の上の染みはすっかり失せていたが、鼻を近づけると淫らな匂いはそこかしこに残っていた。

 機械の下にはなにやら走り書きも一枚置いてあった。

『おはよ。できるだけキレイにしておいたから、後は4649!』

と記されていて、その裏には、

『P.S 夕べは39!K1、気持ちよかったよ!』

とまで書いてあった。夕べのスクルドの乱れ様、甘え様を思いだし、微笑してしまう。

 そんな時であった。トタトタトタ、と誰かが廊下を走ってきて、ノックもなしに部屋の障子戸を開いた。

 元気よく障子戸を開けたのはスクルドであった。逆光の中、満面の笑顔がたちまち照れ笑いに変わる。

「スクルド…」

「あ…お、おはよ…。あの…そこに書いてあるとおり…。」

 スクルドは少しうつむきながら螢一を見つめ、両手で指をモジモジさせながらポソリとつぶやいた。早起きしてベルダンディーと朝食の準備をしていたらしく、ピンクのセーラーシャツと白いスカートの上に、フリルがいくつもついたエプロンを身につけている。

 螢一もスクルド同様、真っ直ぐに相手を見ることができなかった。夕べの彼女との記憶は、ささやいた言葉の一語一句に至るまで確かなのである。

 あれだけ夢中に抱き合い、キスしあったのに…今朝はもう照れくさくてならない。全裸のままであることにもようやく気づき、慌ててタオルケットで前を隠す。

 黙り込む二人を笑うように…ふわぅ、とそよ風がよどんだ室内の空気を押し出した。

「あ、あのっ、朝ご飯できたからっ…早く着替えてきてよねっ!今日のおみおつけはあたしの手作りなんだからっ!」

 そよ風に促されたようにスクルドは早口にそれだけ言うと、真っ赤な顔を背けるようにして来た道を駆け戻っていった。

 スクルドはどうやら自分を起こしに来てくれたらしかったが…そうだとしたら悪いことをしたな、と螢一は思った。どうにもばつが悪く、頬を指でカリカリかく。

 どのみち、あまり遅れたらみんなに悪い。とりあえずタンクトップとトランクスを身につけると、螢一は立ち上がって部屋を出た。

「あれ…?」

 部屋を出てすぐの曲がり角で…スクルドは螢一が来るのを待っているかのように佇んでいた。角の柱に背中を預け、後ろ手に指を組んでうつむいている。足音を忍ばせた螢一は素早く左手を伸ばし、ぽん、と彼女の肩に手を置いた。

「スクルド、あらためておはよう。」

「あ、お、おはよ、螢一…!ゆうべは、あの…あ、ありがと…。それで、えっと…」

 クルリと振り返り、ぱっと笑顔を開かせるスクルドであったが…続けようとする言葉にはどうしてもはにかみがこもるらしく、照れ隠しに小さく舌を出してみたりする。

「書き置き残してたんだけど…やっぱりね、おはようのキスしてから、言葉で言いたかったし…それで、起こしにいったんだけど…」

 しどろもどろで真っ赤になりながらも、スクルドはそう言った。そしてそのまま目を閉じ…螢一に唇を差し出す。

「ね、今のうち、おはようのキスさせて…」

「…させてって…スクルドからせがんでるんじゃないか…。」

ちゅっ…。

 苦笑しながらも、小さな女神のおねだりに応じてあげる螢一であった…。

 

 

(つづく)

 


(98/10/22update)