「ベルダンディーッ…!!」
「けいいちさんっ…!!」
愛おしく互いの名を呼び、熱く熱く唇を重ねる。あらためて結ばれた感動に…二人とも身震いが、感涙が止まらない。
口づけしたまま螢一は右手を滑らせ、ベルダンディーの左胸を大きく包み込んだ。手の平にしこった乳首を感じながら、柔肌に指を沈めるようゆっくりと揉む。みっしり重みを感じながら押し上げるようにこねると、早鐘のような鼓動が伝わってきた。
「さっきよりおっきく、重くなってない…?」
「そ、そんなことない、と思いますけど…」
「いっぱい母乳、出そうだ…ベルダンディーのおっぱい…」
「あ、あひゃあっ!ん、あはぅっ!!」
恥じらうベルダンディーをそのままに、螢一は両手で乳房を揉んだ。寄せては上げ、その揉み心地を満喫するかのように力を込める。
ほんのり赤らんだ形の良い膨らみの真ん中で、乳首はより赤く、充血して突き出ていた。螢一は唇を寄せ、左胸の乳首にひゅぷ、と吸い付く。唇でこりこり挟みこんでは、ちゅっちゅっと小刻みに吸った。
舌先で弾いてもみる。ささやかな抵抗感を押しのけて横倒しにしても、はりつめて勃起した乳首はぽろん、ぽろん、とバネ仕掛けのように真っ直ぐ直立してきた。
螢一の口は右胸にも…。今度は大きく口を開け、はぷ、と食らいつくようにする。舌を拡げ、すべすべな表面と乳首とを一緒に舐め上げるとベルダンディーは膝立ちの姿勢を維持できなくなり、ぺたんとお姉さん座りに座り込んでしまった。
「あひっ…!ま、また出ちゃう…!汚しちゃうっ!」
羞恥と快感に困惑するベルダンディー。螢一の愛撫とリバティー・ベルの毒性で…布団に押しつけられた裂け目からは再び愛液が噴き出ていた。びちゅちゅ、と行き場を無くした愛液が裂け目にそうよう縦方向に流れ進む。
膣内は乱暴なほどにうずきを再開していた。堪えようとすればするだけ、色欲の虜になったヴァギナはジクジク痺れた。
「け、けいいちさんっ!お願いです、してください…!」
「きたんだね…いいよ、今度は後ろからさせて…。四つん這いになってくれ。」
「よ、よつんばい、ですか…?」
螢一の求めた体位…後背位という体勢は、いくら待てなくなったとしてもさすがに恥ずかしいらしい。ベルダンディーはモジモジとうなだれたが、しばしの躊躇の後にコクン、とうなづいた。
「わかりました…どうぞ、お願いします…。」
痺れた裂け目がどうにもくすぐったいのか、ベルダンディーはやっとの動きで姿勢を変え、美しくてつるつるなおしりを螢一に向けた。つい、と突き出すと、はみ出るように開いている裂け目から性毛へと愛液が流れ、シーツに滴る。
ちょうど自分サイズに拡がった膣口をまじまじ見つめると、螢一は唇を近づけて押し当てた。おしりに手をかけて動けなくし、ぢゅるる、と中から愛液を吸い出す。甘酸っぱい粘液が舌いっぱいにまみれるまで、何度も何度も繰り返し吸った。れるん、れるん、と裂け目の中いっぱいを舐め上げもしてみる。
「あああっ!は、はやくっ!はやくうっ!!」
焦れったくてならないベルダンディーはシーツを両手で握りしめ、歯を食いしばって快感に、焦心に、羞恥に耐えた。
なおも螢一は挿入を始めようとせず、愛液でヌルヌルの舌を…ベルダンディーのおしりの穴に触れさせた。舌先をとがらせ、か細いすぼまりに押し込もうと試み、ちろちろ舐める。途端にベルダンディーの右手が慌てたように伸びてきて、ぱたぱたと螢一の顔を押し退けようとした。
「だ、だめっ!そんなところ、いやですっ!!」
「はは、さずがに恥ずかしかったかな、ごめんね。」
それほど悪びれる風でもなく言うと、螢一は舌先で会陰を伝い、そのままヌルッと膣に押し込ませた。れるれるれる、と入り口付近の襞を掻き分ける。
「あああああっ!お願い、お願いですから…!!焦らさないで、今すぐ入れてください!もう待ってられない…!!」
ベルダンディーは息も絶え絶えに振り返り、上擦った泣き声で哀願した。耳まで真っ赤なその顔は、もう間もなく堕ちてしまいそうなほど艶めいていた。
「お待たせっ。じゃあいくよ…?入れたらもう、最後まで抜かないからね?」
「はい…一緒に、イッてくださいね…!」
彼女のおしりを手の平いっぱいに撫でると、螢一は慎重に腰の高さを合わせ、右手でペニスを膣口にあてがった。先端を軽く埋めると、あらためておしりに指を立てるようにしてつかまる。
「ゆっくりがいい?いっぺんに、がいい?」
「…ゆっくり…入れてみてください…。」
うなだれたまま返答するベルダンディー。結合の瞬間を待ちわびているらしいが、もう自分の方から腰を近づけてきている。
そんなベルダンディーに愛しく微笑み、螢一は体重を前に移動させながら、ゆっくり腰を突き出した。大きくツヤめいた先端がヌルン、と埋まる。
「どう?感じる?ベルダンディー…。少しずつ入ってってるよ…?」
「あ、はあっ…!きてる、きてるっ…!すごい太いのぉ…!!」
ぬる、ぬぶ、とぬかるみながら、螢一のペニスは徐々にベルダンディーの内側に潜り込んでゆく。今夜初めて交わったばかりだというのに、すっかり彼女の膣はこなれてしまっていた。やがて…
ぺと…。
おしりと腰が密着してしまう。とうとう螢一は全長をベルダンディーに挿入してしまった。これで今宵三度目の結合である。彼女の内側はもう全体が灼けるように熱く、絶頂の間隔が短いせいか、入れるたびに狭くなってきているような気がする。
背の高い襞の群がくびれにまとわりつき、ぐみゅぐみゅひっかくのがたまらない。
暖めたハチミツでドロドロした細かいグミキャンディーが、収縮するメスシリンダーの中にぎゅうぎゅうに詰め込まれているような感じだ。
螢一はベルダンディーのすがりつきに気を抜かれたようになり、陶酔した顔でよがりながらつぶやきかけた。
「入ったよ…ベルダンディー、熱いおまんこのなかに、オレの…入っちゃったよ…?」
「ふ、ふかぁい…!いっぱい、いっぱいになって…!う、動いて…早く動いて…!」
「動くよ…動くよっ、ベルダンディー…思いっきり動くから、ね…っ!!」
「は、はい…い、いいっ!いきぃ…っ!あ、あああっ!!」
螢一は言葉通り、思い切りよく腰を振った。びたん、びたん、と下腹とおしりがぶつかり合い、ペニスの先端は長いストロークを強いられて子宮口を乱打する。
「ああんっ、す、すごいのおっ!!大っきいのおっ!!だめ、死んじゃううっ!!」
うつむいたままベルダンディーはよがり狂った。普段の声よりも一オクターブ以上高い鳴き声から快感の大きさがわかるようで、螢一は遠慮無しに花筒を擦る。痺れている襞のひとつひとつに呼応するように、ペニスにも痺れが凝縮してゆく。
四つん這いの格好のベルダンディーは握りしめたシーツに爪を立て、突き動くペニスをトレースするかのように腰を振った。女神の嬌声とともに重たげな乳房もぷるんっぷるんっと互い違いで円を描くように揺れる。
「ああっ、すっごい気持ちいいっ!ヌメヌメのぐっちゅぐちゅで…オレの、痛いくらい勃起しちまうっ…!!すごいよ、ベルダンディーッ…!」
「ああっ、けいいちさんっ!もっと強くっ!もっと強く動いてくださいっ!」
「もっとかよっ、こうか、こうかっ!くぁ、ああ…ベル、ダンディー…!」
螢一は貪欲な女神を少しでも悦ばせようと、考えつく限りの動きを試してみた。
奥、奥、手前、手前、と動きに変化をつけてみたり。
ただひたすら子宮口だけを集中攻撃してみたり。
抜け出る寸前までゆっくり引き抜き、一息にどすん、と根本まで差し込んだり。
手を伸ばして乳房をつかみ、身体全体で気持ちよくさせようともした。
その度にベルダンディーは多彩なよがり声をあげ、敏感に反応を示した。きつきつにペニスを締めつけ、腰の奥をぎゅきゅきゅ、と鳴かせる。
そしてとうとう上体を支えていた両手から力が抜け、がくん、と顔を布団に埋めてしまった。下敷きになった乳房は柔らかそうに形を歪める。
「け、けいいちさんっ!わたし、わたしっ!わ、わたしぃっ!!イク、イク…あっ、あはああん!!も、もうだめですっ、だめですうっ!!イッちゃううっ…!!」
おしりを高く突き出した格好で、ベルダンディーはシーツの上によだれをこぼして鳴き叫んだ。快感と愛情をもっともっと受け止めていたかったが、意志に関わらず今にも達してしまいそうである。
「まだダメだよっ、ベルダンディー、まだイッたらダメだよ!」
螢一はベルダンディーを励ますように、彼女のおしりをぴしゃぴしゃ叩いた。
それが災いしてか…ベルダンディーはおしりをブルブルさせると、強烈な締め付けとともに膣内を燃えるように熱くさせた。特に子宮口付近が…ちょうどペニスの先端部分が火傷しそうなほどに熱くなる。
堪えきれず、ベルダンディーはまたしてもエクスタシーに身を任せてしまったのだ。
「イクッ!イクッ!!うぐっ…!!ん、く、ふぅっ…ふぁ、あああ…」
「うわあ…おまんこ、煮えてるみたいっ…!」
思わずピストン運動を中断させ、螢一はだらしのないよがり声を漏らしてのけぞった。彼女がどれだけ凄まじい快感に浸っているのか、熱く締め付けられているペニスからその片鱗が伺えるようだ。
ベルダンディーは挿入されたままのエクスタシーに失神し、口元から泡を吹いていた。虚ろな瞳で深い呼吸を繰り返し、ぴり、ぴり、と腰を痙攣させる。
どこか違う世界に飛び込んでしまったような心地であったが、そんな彼女を現実世界に呼び戻す力が働いた。ひとつは愛する螢一の声。
「…ディー!ベルダンディー、大丈夫か!?」
気遣う声…。労る想いが結合部を介して伝わってきて、たまらなく嬉しい。
と同時に申し訳がない。一緒に、と言っておきながら自分だけ先に達してしまって…おまけに心配までかけさせて。
意識が少しずつ回復してゆく…。夢の途中からの目覚めにも似た気だるさが感覚として拡がってくる。
ジクン…。
「ひっ…!!」
最後の収縮がやんわり解け始めた矢先に、ペニスが納まったままのヴァギナは強く身じろぐようにうずいた。ベルダンディーは思わず悲鳴を漏らし、たちまち意識を取り戻してしまう。
彼女を現実世界に呼び戻すもうひとつのエッセンス…それは身体のうずきであった。
これだけエクスタシーを迎えてきたというのに、リバティー・ベルの催淫効果は少しも薄らぐことなく、ベルダンディーを発情させてくる。
このままでは本当に気が触れてしまいそうであった。
「ベルダンディー、気が付いた?よかった…びっくりしたよ。」
安堵する螢一の声に、ベルダンディーは布団に突っ伏した顔を僅かに振り向かせる。身体はまだ鈍い快感に支配されていて、動きが自由にならない。
「けいいちさん…本当にごめんなさい、わたしだけ…先に達してしまって…」
「ううん、気にするなって。でも…もうしたくなってるんじゃないか?」
「そうなんです…もう、どうにもおさまらないみたいです…。」
螢一にうずきが悟られているのは、彼がまだ膣内に勃起したままのペニスを没入していたからであろう。ベルダンディーは恥じ入り、モジモジするつもりで指を動かしたのだが…ついつい乳房を包み込んでしまう。それに気付くとさらに強く恥じ入ってしまった。
「今の、気持ちよかった?イッたのわかったよ?」
「螢一さんが一生懸命愛してくれて…幸せでいっぱいになって…まだ夢みたいです…。」
陶酔の目を閉じ、回想して微笑むベルダンディー。ふいにその笑顔がきゅっと歪むと、和んできていた膣内も連動してペニスを締め付けた。意識はイッたままであったが、身体はもう次に備えてうずき始めている。
「ベルダンディーのココ…もういいみたいだね。やんわりしてきたよ。」
「節操ないですね。今度こそ…一緒に…。」
「うん。シンクロできるよう、頑張ってみるよ。」
ベルダンディーの甘えた声に螢一も笑顔を見せると、はにかむように頭をかいた。
結合状態を維持したまま…螢一はベルダンディーの身体を百八十度裏返してしまう。
いや、表に戻した、と言った方が正しいだろう。二人は繋がったままで、後背位から正常位へと体位を変えたのだ。
ベルダンディーに膝を曲げさせ、そっとその身体を折る。彼女の腰が真上を向くと、二人はもう屈曲位で交わっていた
螢一は右手で枕を引き寄せ、少しでも窮屈にさせないようベルダンディーの腰の下にあてがってから、彼女にそっと尋ねる。
「さっきもしてたけど…こんな体位、窮屈かい?」
「いえ、大丈夫です。」
健気に首を振るベルダンディー。もう彼女は螢一が求めるならばどんな体位であろうが拒まないだろう。それだけ螢一に尽くしたかったし…それに、身体はもう待ってはくれなくなっている。
四肢に力を込めて四つん這いになると、螢一はベルダンディーの脚の間からキスした。もうお互い、何回キスしたのかわからない。結合したままの体勢でも積極的に舌を絡め、心ゆくまで唇を重ね合う。
「ん、ちゅ…そろそろ…おねがい、します…」
「わかった…ん、はぁ…動くよ…」
ベルダンディーが両手両脚で螢一にすがりつくと、螢一はキスしたままで腰の動きを再開した。重ね合った唇の中、二人してくぐもったよがり声をあげる。
杭打ち機のように垂直にペニスを送り込み…とん、とん、と子宮口がノックされると、ベルダンディーはキスの最中でも甘えた鳴き声を螢一に聞かせた。彼女の興奮に濡れた声と表情が…螢一をどんどん高みに導いてくれる。
ずぷっ、ぢゅぷぷっとぬかるみながら、ペニスは相変わらずのロングストロークでベルダンディーを穿った。めくり出されては押し込まれしている入り口付近の襞に合わせ、膣内からラブジュースが温泉のように湧き出る。裂け目に沿って流れたラブジュースはクリトリスを越え、性毛の茂った陰阜を抜け…彼女のへそにまで流出した。
「あはあ…おまんこ、やわらかい…!ぐみっぐみってなって…搾るみたいにして…ああ、ベルダンディー…オレの、ベルダンディー…!」
「ああっ、け、けいいちさんっ…!わたしの、けいいちさんっ!!」
二人は荒い息もそのままに口づけした。最高の伴侶による、最高の肉体的、精神的フィット感に…二人は運命の星よりもまぶしく輝くなにかを見いだしていた。
それは運命すらも容易くねじ曲げることのできる強い力。二人だからこそ生み出すことのできる愛情の力であった。
「けいいちさん、ずっとずっと一緒に…!」
「もちろんだよ…オレ達、ずうっと一緒だ…!」
指を組むように手を繋ぎ、永遠を誓い合う。繋いだ手は二人の絆を表すかのように固く、強く繋がれていた。汗ばんだ手の平が熱い。
繋がる力が強いのは手ばかりでもなかった。一番濃厚に愛情を確かめ合える場所もまた、互いを求め合って深く繋がっている。
螢一はノンストップで駆け抜けるつもりらしく、びたん、べたん、と腰を打ち付けてピストン運動に狂った。射精したい衝動がペニス全体に満ち、自分でも怖いくらいに張りつめさせる。くびれなんかは普段以上に際立っていた。
それほどまでにたくましく勃起したペニスで、ベルダンディーの花筒もメチャクチャに掻き回されていた。襞はくびれでまんべんなくえぐられ、子宮口ははちきれそうなほどに膨張した先端で乱打される。ほんの十数センチの挿入であるにも関わらず、直接脳髄に刺激を送り込まれているかのように気持ちよかった。一直線に貫かれているような感触にゾクゾクしてならない。
「また…またイキそう…!けいいちさん、どうですか…?」
「オレも…もうそろそろイキそう…!」
ベルダンディーはまたしても絶頂が見えてきたらしく、膣の柔らかみは強張りに変わり、ぐい、ぐいっと奥の奥までペニスを引き込もうと動き始める。子宮の中にまで引き込みかねない力であった。
螢一も螢一で、デタラメなスピードとストロークを見せていたピストン運動をスローペースに落としていた。収縮してきたヴァギナで動きが阻害されていることもあるが、ゆっくりベルダンディーの感触を味わっていたいという気持ちも強かった。
奥の奥まで吸い込まれ、腰を引こうとすればベルダンディーのおしりも一瞬浮き上がるほどの吸い付きのよさに…もう手なんかでしたくない、と思えるほどの心地よさにいつまでも浸っていたかったのだ。
「けいいちさん、今度は、今度こそは、このままっ…」
「ああ、このまま最後まで…。最後まで一緒にっ…!」
ベルダンディーの望みに螢一も応える。上擦った声からも、二人の絶頂は近かった。根本まで挿入されたペニスは狭まる膣をくいとめんばかりに固く、大きく怒張する。
ズプッ、ヂュプ、ヂプッ、ヌブッ、ヂュプッ…。
螢一はここぞとばかりに腰を動かし、怒濤の勢いで快感を確かめ合った。立ち上がるよう下肢に力を込めながら腰を動かし、ベルダンディーもきゅっきゅっと括約筋を絞って螢一に尽くす。
「けいいちさんっ!けいいちさあんっ!!イク、イクッ…!ああ、奥に、奥に…!!おっきくなって、おく、いっぱいに…っ!!あ、イク、イキそ、イクッ!!」
「うあ、べ、ベルダンディーッ!!出る、出るよぉ!!このまま、このまま…!ああっ、ベルダンディーッ!!」
家じゅうに間違いなく響きわたるほどよがり叫び、二人は法悦の涙を流した。
最後の最後に唇を押し当て、交差するように吸い付き合うと…
「…っっ!!」
「出っ…!!」
びゅるっ!!びゅぷうっ!びゅびゅっ、どくんっ、どくん、どく…
一瞬の誤差もない、二人同時のエクスタシーであった。ぼっと熱くなったベルダンディーの子宮口付近に、こもった音とともに螢一の精液が大量に噴出される。
今宵三度目でありながら、予想以上の射精感が残った。根本から強く脈打ち、ありったけすべてを送り込むよう、ベルダンディーの一番奥で爆ぜまくる。
「うわ、すごい出てる…あつ、あぁっ、ああっ…」
ブラックアウトしそうな螢一の脳裏を快感だけが占めてゆく…。
今までのどんな射精よりも達成感が大きく、気持ちよくて…満たされた。
螢一は射精した瞬間、ベルダンディーからの愛情を…彼女のとびきり素敵な笑顔として脳裏に映しだし、安らいだままで失神に落ちていった。
満たされたのは螢一だけではない。ベルダンディーもまた…心から充足されていた。
今宵七度目のエクスタシーで、本当の気持ちよさを知ったような気がする。
螢一の熱い精液が背の高い襞の隙間ひとつひとつに染み込むと、その熱が自らの熱と混ざり合い、ベルダンディーはガクガク震えながら身体じゅうをいっぺんに火照らせた。子宮にゆっくり流れ込んでくると、その熱はいよいよ顔面まで紅潮させてしまう。
感覚が快感に飲み込まれてぼやけている。身体を構成するなにもかもが…触覚を有する肌はもちろん、それこそ髪の毛から爪の先に至るまで、くまなく『気持ちいい』一色に染まっているようだ。魂までもが恍惚の奔流となって弾け飛んでしまった心地であった。
ベルダンディーもまた、達した瞬間、螢一からの愛情を…彼のとびきり素敵な笑顔として脳裏に映しだし、安らいだままで失神に落ちていった。
「はあっ…はあっ…あふ…」
「んっ…んふっ…ん…」
緊張の解けた身体がずれ、二人は楽な姿勢に戻る。
うっすらと意識が回復してきた螢一は、のしかかって重くしないようベルダンディーからペニスを引き抜きにかかった。身体じゅうの感覚は気怠いままであったが、ペニスはいまだに勃起を維持し続けている。ペニス自身まで快感に酔いしれているようであった。
ぬる、るる…ぽふっ、ぷぶっ…。
くびれで襞をくじりながら抜け出ると、膣口から栓の抜けるような音とともに、微かな空気音が漏れる。性器どうし、ぴっちりと密封状態になっていたためだ。ベルダンディーのすがりつきがいかに素晴らしいかがわかるだろう。
太い栓が抜かれると、膣口からはたちまち混ざり合った二人の体液が、とろ…と溢れ出てきた。新しい生命を育む奇跡の雫…。人間と女神が心から愛し合った証…。
「ベルダンディー…」
まどろむような意識の中、螢一はベルダンディーの腰から枕を抜き取り、彼女を完全な仰向けにした。そのまま寄り添うようにして横になり、彼女の頬を撫でる。
「あ、けいいちさん…」
それでようやくベルダンディーも意識を取り戻した。色白の身体はまだ火照ったままであるが、側で寝そべっている螢一を確認すると、いつもの穏やかな微笑を浮かべて頬を撫で返してきた。
互いの手の平が熱い。汗ばんだ頬も同様であった。まぎれもない現実に満足の笑みを交わし、そっと目を閉じて唇を重ねる。
「けいいちさん…ありがとう…」
「オレこそ…ありがとうな…」
精も根も…なにもかも使い果たした二人は、そのまま寄り添ってまどろんだ。もはや障子戸を閉める気力も、タオルケット一枚すらその身にかける余力も無い。
精一杯愛し合い、歓喜とともに疲れ果てた二人は…温もりを分け合うようにして肌を重ね、幕が下りるようにするすると眠りに落ちていった。
そよ風が心地良い…。
先程から蒸し暑くてならないのだが、どこからだろう、なんともいえない涼風が汗ばんだ肌を愛撫してくる。その風は弱すぎず、強すぎず…螢一を優しく冷ましてくれる。
「んん…ふぁ、ベルダンディー…」
真夜中に螢一は目を覚ました。涼風の理由が気にかかり、たちまち眠りから覚めてしまったのだ。
閉められた障子戸の向こうではまだ月が出ているらしく、部屋は薄明るい。
それでそよ風の理由がわかった。風は傍らで端座したベルダンディーの手にする団扇からくるものであった。微笑ましく見つめながら、ゆっくりゆっくり扇いでくれている。
「あ、ごめんなさい…。起こしてしまいましたか…?」
浴衣を肩からはおっただけのベルダンディーはそう言うと、右手を伸ばして螢一の額から汗を拭った。螢一は伸びをしながら上体を起こす。言うまでもなく全裸だ。
さすがに全裸とはいえ、腰にタオルケットがかけられていたのはベルダンディーの気遣いと恥じらいによるものだろうか。もっともそのタオルケットも、今ではじっとり湿っぽくなっている。
「んあ〜あ…。え、なに、ずうっと起きて、扇いでくれてたの?」
「いえ…つい先程まで私も螢一さんと一緒に眠っていました。そのうち暑くて目が覚めて、螢一さんも暑そうに汗をかいていましたから、汗を拭きつつ扇いでたんです。」
嬉しそうに微笑むベルダンディー。螢一のために尽くせることがなにより満足のようだ。 まったく、ありがたいを通り越して申し訳がない。螢一は深々と頭を下げた。
「本っ当にごめん!なにからなにまで面倒かけて…!!
「そんな、好きでさせていただいてるんですから、お気になさらないでくださいっ!」
「本当に申し訳ないよ…。ね、ところで今何時?」
「えっと、三時半になるところです。」
螢一の問いかけにベルダンディーは目覚まし時計をちら、と眺めて答えた。二人して絶頂に登り詰めてから二時間ほども眠っていたらしい。
螢一は取りあえずトランクスだけはくと、彼女を自分の横に手招きした。すっと近づき、寄り添うベルダンディー。発情の色は失せていた。
「もう身体、大丈夫?その…したくなったりは、もうないの?」
「ええ…あれが最後だったみたいです。螢一さんの…その…あの、せ、精子が効いたのでは、と思うんですけど…。」
「そ、そうなのかなぁ…?」
「ど、どうなんでしょう…?」
今さらながらに真っ赤になって恥じらう二人。くたびれ果てて眠りに落ちる前の、狂ったような睦み合いをまざまざと思い出してしまう。
螢一なんかはあの心地よさをほんの少し回想しただけで、絶倫よろしくムクリと反応しかけるしまつだ。節操の無さに気まずくなり、螢一はベルダンディーの頭を右手で抱きかかえながら、思わずあさっての方向を向いてしまう。
螢一にそうされて一層照れたベルダンディーは、はにかんで涙ぐみながら団扇を扇ぐ右手に力を込めた。パタパタパタ…とかなりの風を作り出す。
リバティー・ベルの毒に浮かされていたとはいえ、交わった記憶はしっかり残っているのだ。何を叫んだか、何を求めたか…螢一の言葉も、体位も、キスのひとつひとつまで鮮明に覚えている。
今思い出しても、よくもまああれだけ淫らになれたものだと感心してしまうほどだ。知らぬ間に女神の資格を剥奪されているのでは、と心配になってしまう。
「暑いね…」
「あ、暑いですか…?」
「いや、扇いでてもいっしょだよ…。ベルダンディーも暑いだろ?」
「…はい…なんか、火照ったままで…。」
顔を合わせようとせず、モジモジしながらささやき合う二人。
団扇で風を送っているとはいえ、愛する人と寄り添っているシチュエーションではどうしても体温が上昇するものだ。恥ずかしがり屋の螢一とベルダンディーならなおのこと、である。
おまけに室内には再び熱気と湿気が満ち満ちていた。ベルダンディーが冷えることを気遣って閉めてくれたらしき障子戸も、今では仇となっているようだ。扇がれている螢一も、扇いでいるベルダンディーも身体じゅうびっしょり汗をかきなおしている。
「ね、ベルダンディー…庭に出てみない?」
「そうですね…」
我慢の限界に達した螢一の言葉にベルダンディーも同意し、二人は立ち上がって障子戸を開けた。ふわっ、と夜気が舞い込んできてたちまち室内を換気する。
「はあ…気持ちいい…。」
「ベルダンディー、ほら、足元気を付けて。」
「あ、はい、すみません…。」
二人は手を取り合い、裸足のままで枯山水の玉砂利に降りた。普段から整えているわけでもないので、気にすることなく、ざく、ざく、と音立てて中央まで進む。雨で湿った玉砂利は、踏みつける足の裏に心地よい感触を与えてくれた。
中央の庭石に寄りかかるように腰を下ろし、二人して夜の天空を見上げる。
夜空には紙色の満月。
雨雲が遠く過ぎ去った今でも、満月は彼方へ消えるでもなく街じゅうを照らしてくれていた。とはいえ、この中庭に限っては螢一とベルダンディーの二人占め状態であるが。
「…きれいですね。」
「うん…なんか…吸い込まれちゃいそうな感じがするな。」
「やだ…怖いこと言わないでください…。ただでさえも月は狂気の象徴なんですよ…?」
「ごめん、気のきかないこと言っちゃって…。」
ベルダンディーは怯えるようにして螢一にすがりついた。裸の上体をぎゅっと抱き締める。螢一もベルダンディーの肩に手をまわし、そっと引き寄せた。
ベルダンディーが怖いと言ったのは月の気味悪さに対してではない。
最愛の螢一が月に吸い込まれ、自分の前から消えてしまうことを怖れたのだ。
もう螢一無しでは生きてさえいられないと思う。それくらい螢一が愛しい…。
「螢一さん…約束してください。ずうっと側にいてくれるって…。」
「約束するよ。オレはどこにも行かない。ずうっと一緒だ…。」
螢一は姿勢を変え、真っ直ぐにベルダンディーを抱き締めながら宣言した。自分を愛してくれる女神に誓う。今さら言われずとも、それが自分の望み、自分の意志なのだ。
ベルダンディーも螢一の背中に両手をまわし、力を込めた。ほんの少しはだけた胸元が、螢一の胸板に密着する。
「これからも末永くお願いします、螢一さん…。」
「一生大事にするよ。オレのほうこそ…よろしくな、ベルダンディー…。」
引きつけ合うように滑らかに…二人の唇は重ねられた。睦み合っている最中となんら変わることのない…いや、それにも増した愛しさが唇ごしに熱く交錯する。
この幸せを…ずっと一緒に噛み締めていきたい。
月明かりの下、一人の人間と一人の女神は口づけして永遠を誓い合った。
二人の新たなる道のりへの…長い長い道のりへの号砲は、今まさに鳴らされたのであった。
(つづく)
(98/10/29update)