はじまるシアワセ

05

作者/大場愁一郎さん

 

「んぅ、んぅ、んぅ…」
「んっ、んっ…んんっ…」
 そのキスはとびきり情熱的なキスとなった。
 ぴったりと吸い付いて薄膜をたわませてから、互いに何度もついばみ合って、存分に接吻欲を満たす。シンジもレイも汗ばんだ鼻先をツンツン触れ合わせながら、しきりに鼻声を漏らして悦に入った。
「ぷぁ…はぁ、はぁ、はぁ…綾波…」
「ん、んぅ…碇くん…」
 発情しきった二人のキスは、一分以上もかけてようやく終わった。離れた唇の間では、名残を惜しむように唾液が糸を引き、すぐにぷつんと切れる。
 陶酔の面持ちで見つめ合ってから、シンジは伸ばしていた両脚を曲げ、レイにのしかかっていた腰を浮かせた。それに合わせて、レイもゆったりとM字開脚状態に腰を浮かせる。
 先程腰の下に敷いてもらった掛け布団のために、さほど窮屈でもない。今さらながらシンジの心配りに気付いて、レイは嬉しさいっぱいに目を細めた。
「綾波、初めは痛いかもしれないけど、痛いときは痛いって言ってよ?」
「…本当に、そんな大きいのが入るの」
 シンジが真顔で言うと、レイは答える代わりに質問を寄こした。
 レイの赤い瞳は、長く、太く、固く勃起しているシンジのペニスを不安そうに眺めている。実際に試すまでもなく、これほどまでに大きく勃起しているペニスが膣内に入り込むなどとは、まったく想像がつかない。
「一応、入るには入るはずなんだけど…綾波ももうヌルヌルになってるから、入りやすいとは思うけどね」
 シンジは自らの経験からそう語り、せめてもの気休めを付け加えた。
 確かに同い年のアスカには入ったし、今ではもうすんなりと入ってしまうようになっているのだから、レイだけ特別ということはないとも思うのだ。
 それに自分だってレイと同い年であるのだから、性器のサイズが年齢に比べてやたらと大きいこともないと思う。実際クラスメイトの中には、下着や水着越しではあるが、自分より大きい者もいる。
 シンジの言葉を聞きながら、レイはなおも勃起しきりのペニスを眺めて逡巡していたが、やがて意を決するように小さくうなづいた。
 今までにも、死ぬかと思えるほどの命令をいくつもいくつもこなしてきた。それを考えれば、シンジとのセックスで死に至るようなことは絶対にありえないだろう。つまりは、それほどまでの痛みもないはずだ。
 なにより、優しいシンジと一緒なのだから、怖がることなど何もない。
 レイは心中で、そう自身を説得した。真っ直ぐにシンジを見つめて、気丈に微笑む。
「わたしは碇くんを信じる。碇くんになら、痛くされても平気」
「綾波…」
「碇くんはいつだって優しくしてくれるから…わたしも、少しは応えなきゃ」
「綾波っ…」
「碇くんっ…」
 そんな睦言を交わして、二人はそっと唇を重ねた。
 先程と違って本当に小さなキスではあったが、それでも好意を越えた愛情が二人の間で熱く行き交った。自ずと笑みが浮かんでしまう。
 シンジは左手だけで上体を支えると、右手でペニスをつかみ、慎重に腰を寄せた。逸り水に濡れた亀頭がレイの裂け目に埋まると、まずは尿道口どうしがぴっとりと触れ合う。
 そこから裂け目を割り開くよう、ゆっくりと亀頭を下降させてゆくと、やがて粘膜質の縁取りの下端に辿り着いた。ここに膣口があるはずなのだが、今はまだ固くてくぼんだ感じすらしない。
 今のアスカであれば、もうこれだけですんなりと亀頭が膣内に埋没してしまうところだ。
 しかしレイはそうはいかない。アスカもそうであったが、レイは処女なのだ。発情しきっているとはいえ、破瓜の瞬間に対して少なからず緊張しているし、膣自体もか細いままでこなれていないのである。
 それでも、ここを乗り越えなければセックスはできない。シンジは亀頭を裂け目の下端に押し当てたまま、少しずつ腰を寄せ、処女膜に外圧を加えていった。
「綾波、少しだけ我慢して…」
「あ、あの、碇くん…」
「痛い?」
「ううん、まだ平気だけど…その、仲良しになれるかしら」
「え?」
 シンジが乙女の強ばりを亀頭に感じていた矢先、レイは眉根にしわを寄せながら、ふとそんな問いかけをした。シンジはその意味を読みとれずに、思わずきょとんとなってまばたきする。
「手をつないだら、手は仲良しになれた。キスしたら、唇も仲良しになれた。だから…セックスしたら、碇くんのペニスと、わたしのヴァギナも…仲良しになれるかしら」
「ああ…」
 シンジがやんわりと外圧を解いたので、レイは少しだけ表情を和ませ、一生懸命な口調で問いかけ直した。そこでようやく、シンジはレイの質問の意味を思い出す。
 それは今日こうして睦み合う前に、シンジがレイにスキンシップの悦びを伝えるために使った喩えであった。手をつなぐ悦び、抱き合う悦び、キスする悦び、それらを手や素肌、唇が仲良しになれた証だと表現したのだ。
 実際、レイはシンジとすっかり仲良くなれたと思っている。シンジとのスキンシップは本当に気持ちいいし、安らぎを覚えることができる。
 だからきっと、セックスにしても同様だとは思う。ただやはり膣口に太々としたペニスが押し当てられてくると、その不安で乙女心がさざめいてきたのだ。シンジのことを信じてはいるものの、そう問いかけずにはいられなくなったのだ。
 そんなレイのひたむきな気持ちは、真っ直ぐな赤い瞳を見れば十分にわかる。
 シンジは真心のままに微笑みかけると、そっと唇を寄せてレイの頬にキスした。そのまま頬摺りすると、レイもくすぐったそうに相好を緩める。
「大丈夫…。僕も綾波と仲良くなりたいって思ってるし」
「うん…わたしだって、碇くんと…もっと、ずうっと仲良くなりたい」
「じゃあ、このまま…二人で仲良しになろうね」
「うん」
 甘やかに睦言をささやき合って、それで二人はもう一度だけキスした。
 ついばみ合ったままでゆっくりと離れれば、もうレイの心から不安は消失してしまう。もうこんなにまで仲良しになっているのだから、もうどこまでも仲良くなれると確信さえできる。
 シンジはあらためて体勢を整えると、再びレイの膣口に亀頭を押し付けていった。レイはそっとシンジの両肩につかまり、いつでも抱き寄せられるように備える。
 それでも、やはり外圧が加わると処女膜には無理がかかるため、ピリピリとした痛みが襲ってきた。レイはきつく唇を噛み締めて耐えるものの、やがて苦悶の声を押し殺せなくなる。
「くっ…んんっ…」
「大丈夫…最初が狭いだけだから…」
「ん、く、ううっ…だ、だめ、やっぱり無理…」
 とうとうレイは顔をしかめ、枕の上でイヤイヤしながら弱音を吐いた。
 裂けてしまいそうな痛みは膣口だけであるというのに、このまま身体が分断されてしまいそうな錯覚に陥ったのだ。痛みと悔しさのあまりに、じんわりと涙が滲んでくる。
 そんなレイの様子に痛ましさを覚えながらも、シンジは挿入の中止を選択するつもりはなかった。ここで止めていては、いつまで経っても先に進むことはできないのである。
「綾波、ごめん」
「え…あっ、く、んんうっ…!!」
 シンジは思い詰めたような声で詫びると、腰を突き出したままで身を乗り出すよう、ゆっくりと体重を前に移動させた。たちまち膣口には圧倒的な外圧が加わり、レイは鼻の奥から切羽詰まった悲鳴をあげる。
 ふと、シンジは亀頭に、ピツッと何かが弾けるような感触を覚えた。するとたちまち強ばりは消え失せ、ツヤツヤのパンパンに膨張していた亀頭は愛液のぬめりにまかせ、丸々膣内に潜り込んでしまう。
「ひううううっ…!!」
 その瞬間、レイは涙を一粒こぼし、いたたまれなくなるほどの声で啼いた。噛みきってしまいそうなくらいに唇を噛み締め、精一杯の力でシンジの肩をつかんで痛みに耐える。
 レイの処女は、ついにシンジによって散華させられた。
 人差し指ほどにしか開いていなかったレイの膣口は、今や大きく縦に裂け、ぬっぽりとシンジのペニスを受け入れている。破瓜の血もわずかに滲んで、ペニスの幹を赤く濡らしてきた。
「入ったよ、綾波…」
「あ、や、動かないでっ…!あ、あんまり動かないで、お願い…」
 亀頭が入ってしまえば、もう右手でつかんでいる必要はない。
 シンジは両手の肘をついて上体を支え直し、レイに寄り添ってささやきかけた。そんな些細な身じろぎひとつでも膣口はズキズキと痛み、レイはすっかり涙声になって哀願する。
 本当に性器がだめになってしまいそうなくらいに痛い。使徒との戦闘でも、ここまでの苦痛を覚えたことはなかった。
 なによりこれはエヴァンゲリオンの感覚ではないのだから、シンクロをカットしてもらうわけにもいかないのだ。裂けた痛みは和らぐことなく持続するため、あとからあとからぽろぽろと涙がこぼれてくる。
「痛いよね…ごめんね、綾波…でも、もうちょっとだけ…もっと奥まで…」
「んぅうう…!や、ゆっくり…い、痛い!痛いっ!!」
 シンジはレイに頬を寄せると、子どもをあやすように語りかけながら、少しずつ亀頭を子宮の近くへと送り込んでいった。レイは精一杯の力でシンジに抱きついたまま、彼の耳元で声を限りにむずがる。
 痛がるレイには悪いと思いながらも、シンジは猫撫で声が漏れそうなほどの快感を彼女の膣内に覚えていた。
 レイの膣内はとろけそうなほどに温かく、奥の方まですっかりヌルンヌルンになっている。しかも初めての上に緊張しているせいもあってか、すこぶる固くて狭くて窮屈だ。そのぶん受ける刺激も強いから、ペニスはどうしても猛々しく漲ってしまう。
 なにより、レイの初めての男になれた事実が嬉しい。単純なことではあるが、やはり男としての独占欲が満たされて胸が空く。
 決してできるはずもないが、クラスメイトの男子に自慢したいような気にさえなってきた。レイどころか、実はアスカも自分が初めての男なんだと得意満面で言いふらし、有頂天になってみたいような不遜な気持ちすら湧いてくる。
 思えば、アスカも初めての時はすっかり臆病になり、泣きベソをかいて痛がっていた。今では嬉々としてセックスできるくらい膣も馴染んでしまっているが、セックスを覚えた当初はぎこちなさでいっぱいで、少し動くたびにむずがっていた。
 だからこそ、優しくしたいとシンジは思う。女性は破瓜の時だけでなく、生理の時も、出産の時も痛みがつきまとうのだから、せめてセックスのときは気持ちよくなれるように努力したいのだ。
 そうこう想いを巡らせながら、シンジはゆっくりとしたペースでレイの膣内を進み入った。数センチ進んでは一休み、少し落ち着いたら、また数センチ進んで一休みと、慌てることなくレイの膣を自身のサイズに拡張してゆく。
 レイもシンジの労りのおかげで、破瓜の痛みにも少しずつ慣れ、やがて我慢できるほどにまで落ち着いてきた。
 それでもやはり、太々としたペニスに膣内を押し広げられる感触はたまらなく痛くて呼吸が詰まる。もしシンジが休み休みでなく一息に貫いていたとしたら、きっとその衝撃でどうしようもないくらいに泣きじゃくり、たちまちセックス嫌いになっていただろう。こうして一休みの間に頬摺りしては慰めてくれるから、レイも落ち着いて頬摺りに応じ、しおらしくシンジを受け入れていけるのだ。
 こうして時間をかけて挿入を続けるうちに、ふとシンジの亀頭は先へ進むことができなくなった。確かめるような慎重さで腰を押し付けても、それ以上ペニスが潜り込んでゆく様子はない。どうやら処女としての強ばりが行く手を阻んでいるわけではないようだ。
 そこは今までのようにすぼまってゆくような感触ではなく、コリコリとした弾力があるのみであった。しかもその辺りだけ特別に温かい。もちろん膣内自体温かいのだが、そこだけはまるで亀頭を歓迎してくれているかのようにほんわりと温かく感じるのだ。
 その居心地の良さは、シンジには馴染みのあるものであった。シンジは嬉しそうに相好を緩めると、ベソをかいているレイの横顔にそっとキスする。
「綾波、ありがとう…これで奥まで入っちゃったよ」
「うん…」
 シンジは頬に薄膜を触れさせたまま、緊張しきりとなっているレイを安心させようと吐息混じりにささやきかけた。レイはシンジをきつく抱き寄せたまま、緩慢にうなづいて生返事を寄こす。
 とうとうシンジは、レイの処女を最後まで散華させきったのだ。
 勃起しきりのペニスは、今や窮屈な膣内を奥の奥まで進み入り、その全長をシンジのサイズにまで拡張している。弾力のある行き止まりはレイの子宮口だ。新たな命を宿す雌性の一番大切な場所、その入り口にまで、レイはシンジを迎え入れたのである。
「少しだけ、動いてみていい…?」
「ん、うん…あ、だめっ!やっぱり動かないでっ!」
「まだ痛い?」
「うん…」
 シンジはレイに頬摺りしながら、膣にピストン運動の感触を馴染ませようとわずかに腰を引いた。しかしそれだけでもレイは激しくイヤイヤして、シンジを制してしまう。少しは慣れたように感じていた破瓜の痛みが、再び鋭く中枢を駆け抜けたのだ。
 レイにしてみれば、シンジのペニスはあまりに大きかった。否、大きく感じられた。先程見せてもらったり、触れてみたものよりも一回り以上大きくなっているような気がする。
 実際、シンジのペニスは十四歳の男子としては平均的な大きさであるし、膣内に入り込んだ途端に大きくなったこともない。
 それでも、処女であった膣は生まれて初めて異物を受け入れたわけであり、奥の奥まで強烈な圧迫感で満たしてしまう。膣は比較的鈍感な部位ではあるのだが、やはり破瓜の痛みは別物だ。シンジが少し身じろぎしただけでも、膣全体にはビリビリと引き裂かれるような痛みが駆け巡るのである。
 本当に性器どうしも仲良しになれるのだろうか。
 シンジのことを信じていたはずなのに、レイはついついそんな疑念を抱いてしまう。
 割り広げられた性器には仲良しになれるような気配は微塵も訪れず、いつまでもいつまでも痛みだけが続いている。膣口から喉元まで貫かれているようで、息をすることすらままならないのだ。
「これ以上は大きくならないし、これ以上は入らないから、安心して…ね、綾波…」
「ん、うん…」
「…もうしばらく、入ったままでいよっか」
「お願い…」
 優しく気遣うシンジに、レイは甘えんぼな涙声で答える。
 シンジは再び子宮口に亀頭を触れさせると、ひとまずはレイに頬摺りしたり、横顔にキスしたりしてじゃれつくことにした。初めてであるかどうかに関わらず、深い挿入感を楽しみながら睦み合うのも、セックスの楽しみのひとつであるのだ。
 それでレイも一安心して、くすんとすすり上げながらも頬摺りに応じ始める。
 キツキツに押し広げられている感触はまだまだ慣れそうにないが、こうしてシンジとじゃれ合っていれば、少しは痛みを忘れることができた。二人で分かち合っているぬくもりも、ほんのりと増幅されていることに気付いて緊張が和らぐ。性器どうしが深く交わったためだとレイは悟ったが、そちらを意識するとまた痛みがぶり返してきたので、今はシンジとのじゃれ合いに集中することにした。
 のんびりと頬摺りしたり。
 代わる代わるで横顔にキスしたり。
 あるいはそのまま戯れ半分で唇どうしを重ねたり。
 そうしてイチャイチャと時間を過ごしているうちに、レイの痛ましいしかめっ面は少しずつ笑顔に戻っていった。シンジはその照れくさそうな微笑を見て、少し長めにレイと唇を重ね合わせた。レイもその長いキスにじっと浸り、鼻から陶酔の溜息を吐く。
「…綾波の中、すっごいあったかくって、いい気持ち」
「…碇くんは痛くないの」
「窮屈な感じはするけど、痛くはないなぁ。むしろそれが気持ちいいかも」
「ずるい。碇くんだけずるい」
 キスを終えた二人は、内緒話のようなささやき声でおしゃべりを交わした。挿入を遂げてからも嬉々としているシンジに、レイは少しだけ口元をとがらせて不満を鳴らす。
 シンジが嬉々としてしまうのも無理はなく、レイの膣内はすこぶる快適であった。
 活気の乏しいレイの見た目とは裏腹に、膣内はとろけそうなほどのぬくもりに満ちている。奥に行けば行くほど温かく、膣の終点である子宮口付近は熱いと思えるほどだ。その熱はちょうど亀頭をくるむようになっているから、こうしてじっとしているだけでも気持ちがいい。
 それに、初々しい強ばりに満ちているレイの膣内はやたらと窮屈で、そのぶん押し広げているペニスは刺激を受けてしまう。なついてすがりついてくることはまだないが、群生している襞も背が高く、愛液にぬめりながら亀頭のくびれをくじってくる。
 その居心地の良さに浸りながらじゃれ合っているだけでも、男心はワクワクと逸った。ペニスはぴくんぴくん打ち震え、精製したてのカウパー線液をたっぷりと漏出する。亀頭は膣の深奥にまで到達しているから、レイの子宮口には直接シンジの逸り水が染み込んでいった。
 雄性の発情液を注ぎ込まれるために、レイはやがて結合の深奥部に淡いくすぐったさを覚えてきた。弾みで膣口がペニスを締め付けてしまい、レイは鋭い痛みを覚えて眉根にしわを寄せる。
「…早く射精してくれればいいのに」
「え?」
 やんわりと落ち着いてゆく痛みに表情を和らげながら、ふとレイは独り言のような口調でつぶやいた。シンジは膣内のぬくもりを堪能していた矢先であっただけに、思わずきょとんとなって聞き返す。
「子宮の近くまで入ってるんだから、今すぐにでも射精してくれればいいのに。そうすれば私も痛くなくてすむし」
「で、でも…射精しようと思って射精できるわけじゃないからさ。もっともっと興奮して、もっともっと気持ちよくならなきゃ射精できないんだよ」
「…欲張り。碇くんはいじわるで、ずるくて、そのうえ欲張り」
「そ、そりゃあないよ綾波…男ってそういうものなんだからさぁ…」
 レイはからかい半分で微笑みながら、男のしくみを無視して一方的にシンジをなじった。何ひとつ痛い目を見ない男がずるいと思ったから、ついつい困らせたくなったのだ。
 シンジもそう言われては苦笑するほかなく、気まずそうに視線をそらして弁解する。
 別に男という生き物に欠陥があるわけではないのだが、やはり破瓜の痛みで泣かせてしまった手前、引け目を感じずにはいられない。せめてもの慰めになればと、シンジはついついレイに頬摺りしてしまう。甘い性格だとはシンジ自身思うが、こればかりはどうしようもないことだ。
 そんな臆病なほどの優しさは、想いがこもっていれば無尽蔵の優しさと同義となる。
 レイはシンジの頬摺りから、彼のひたむきな気持ちを敏感に感じ取っていた。そのためにレイの表情はとろけそうなほどに和み、すっかり夢中になって頬摺りに応じてしまう。自ずと吐息には上擦った猫撫で声が混ざってきた。
「んぁ、ん、んぅう…碇くんとこうしていると、本当にあったかくて、いい気持ち…」
「んふふっ、綾波だって欲張りじゃないかぁ…甘えんぼで、そのうえ欲張り」
「んぅう…もう、甘えんぼでもかまわないもの…碇くんのいじわる…」
「じゃあ僕も、いじわるでかまわないや…」
「んっ…」
 頬摺りに耽りながらイチャイチャとおしゃべりして、やがて意地悪なシンジと甘えんぼなレイはぴったりと唇を重ねた。そのまましばしじゃれるようについばみ合ってから、今度はお気に入りの角度で深い密着を楽しむ。
 一分ほども薄膜どうしの密着を堪能したところで、シンジからそっとキスを終えた。
 深く繋がって交わすキスは、裸で抱き合いながら交わすキスよりもなお気持ちがいい。そのためにシンジもレイもすっかり陶酔の面持ちとなり、うっとりとした眼差しで互いに見つめ合ってしまう。
「…動いていい?」
「うん…」
 シンジのささやき声での問いかけに、レイは臆することなくキスで応える。身じろぎひとつなく甘え惚けていたために、意識は再び甘いイチゴミルクでいっぱいになり、破瓜の鋭い痛みすらも紛れていたのだ。
 そんなレイの承諾を得て、シンジはゆっくりとグラインドを開始した。無理な角度にならぬよう意識しつつ、丁寧に丁寧に膣の深奥部で揺れ動く。ストロークは一センチにも満たないから、まだまだピストン運動とは呼べない動きだ。
「んぅ、んぅ、んぅう…」
「…痛い?」
「ん、平気…我慢できる…」
 シンジののんびりとした動きに合わせて、レイは少しむずがるような声を彼に口移しした。唇を触れ合わせたままでシンジが問いかけると、レイは時折眉根にしわを寄せながらも健気に微笑む。あごを突き出すようにして、キスをせがむ余裕すらあった。
 もちろんシンジはレイの求めを拒んだりしない。レイの健気さに目を細めると、ついばみかかるようにして唇を重ねた。そのままお互いムニムニと甘噛みして、敏感な薄膜をたわませ合う。
 そうしてキスの心地良さを欲張りながらも、シンジはグラインドをなおざりにはしない。決して慌てることなく、それこそ身じろぎ程度の動きでレイの深奥部だけにグラインドを重ねてゆく。
 レイの深奥部は、恍惚の溜息が止まらなくなるほどに温かい。じっとしていても格別であったが、こうして動くと、その心地良さはまさに如実となる。
 しかも熱い愛液と逸り水でヌルンヌルンになっているから、今にも亀頭からとろけてしまいそうだ。擦れてヒリヒリとするようなこともなく、どこまでも優しくぬめる感触は、どんなスキンシップでも得ることのできない甘い快感をペニスにもたらしてくれる。
 膣口から子宮口に至るまで、か細い膣内に群生している襞も素晴らしいものだ。襞は十分に背が高いながらも、プリプリと弾力に富んでいて健康そのものである。普段は控えめとなっているレイの活気が、すべてここに集中しているのかと思えるほどに瑞々しい。
 その柔軟な膣壁は、初めて受け入れた異性をもてなすかのようにくねってくる。
 ペニスが戻ろうとすると、追いすがってしゃぶりつくようにすぼまり。
 押し込もうとすると、ささやかな抵抗感を示しながらも素直に押し広げられ。
 それはまさにパートナーの男心を満たし、存分に射精してもらうための本能の動きであった。おかげでシンジのペニスも、狂おしいほどの怒張を強いられることになる。
 避妊を意識しないセックスの経験は、ミサト、アスカに次いでレイが三人目だ。
 それでも、何度経験したとしても、食傷気味となることは決してない。毎回毎回、新鮮な快感を覚えて高ぶってしまう。そのために今も、強い発情と快感の証である逸り水はレイの膣内で漏出しきりであった。
「気持ちいい…気持ちいいよ、綾波ぃ…」
「うん…うん…」
 シンジはレイに頬摺りしながら、陶酔しきった猫撫で声でよがった。レイはシンジの頬摺りにゆったりと応じながら、やがてくすぐったそうにはにかむ。
 ぴったりと抱き合ってグラインドを感じているうちに、レイも少しずつセックスの感触に馴染んできた。時折膣口に走る痛みこそまだ慣れないが、膣自体はひとまずシンジのサイズで落ち着いているから、初めて受け入れたときの衝撃はだいぶ和らいできている。
 痛みが和らげば、当然気持ちも落ち着いてくる。穏やかな睦み合いに自然な笑みさえ浮かぶようになってくると、レイはキスにも、頬摺りにも嬉々として応じることができた。目を伏せてじっと抱擁に浸ると、たちまち甘い溜息が漏れ通しになってしまう。
「碇くん…碇くん…碇くぅん…」
「…なぁに?」
「んふふ、なんでもない」
 レイはその甘い溜息に乗せて、愛しい男の名前を連呼した。それに応じてシンジがもたげていた頭を上げると、レイは照れくさそうな笑みを浮かべて首を横に振る。
「なんでもないって言いながら、すっごい幸せそうな顔してるじゃない。さっきまで痛い痛いって泣いてたの、もしかして演技だったんだ」
「ち、違うわ…もう、碇くんのいじわる…碇くんは本当にいじわる」
「えへへ、さっきも言ったけど、もういじわるでも構わないもんね」
「あん…ん、んぅう…」
 愛しげに見つめ合っておしゃべりしてから、二人は今度は右の頬どうしをゆったりと擦り寄せた。今までは左の頬ばかりを擦り寄せていたために、同じ頬摺りでも心地良さが新鮮で、自ずと相好が緩む。
「まだ痛む?」
「今は平気…ううん、こうして奥の方で繋がっていたら、すごく素敵な感じ」
「素敵な感じって、気持ちよくなってきたってこと?」
「よくわからないけど…普通に抱き合ってるよりもあったかくて、頬摺りも、キスも、すごく素敵に思えるの。気持ちいいっていうよりも、いい気持ち…かしら」
 甘えんぼなしぐさで頬摺りを堪能しながら、レイは恍惚たる溜息の中でそうささやく。
 シンジを受け入れた瞬間は、堪えようもない苦痛だけが意識を占めていた。
 しかし、それも初めのうちだけであった。シンジが膣の深奥部で繰り返し揺れ動いているうちに、破瓜の痛みは少しずつぬくもりの中に溶け込んでいったのだ。シンジとの一体感も絶妙を極めており、身も心も甘く溶け合ってしまいそうなくらいである。
 裸での抱擁も。頬摺りも。キスも。穏やかなグラインドも。そのどれもが心地良い。
 シンジとのセックスは、まるで暖かなゆりかごのようであった。愛しいシンジにゼロよりも近い距離で抱き締められて、身体中の隅々で安らぎと幸福感を覚えてしまう。
 今やレイは、女としての悦びに目覚めていた。厳密にいえば、シンジとの睦み合いの悦びに目覚めていた。
 その気持ちは言葉に出さずとも、息遣いやしぐさだけで十分シンジに伝わる。シンジ自身も、敏感にそれを感じ取ることができる。
 シンジは照れくさそうに微笑むと、頬摺りしながらレイの耳たぶを甘噛みした。レイはゾクゾクと身震いして、なお強くシンジを抱き寄せる。
「…浅いところもしてみていい?」
「うん…ん…」
 シンジの耳元での問いかけに、レイは横を向きながらのキスで応じた。シンジは汗ばんだ鼻先どうしを触れ合わせながら、レイの柔らかな唇をついばんで謝辞の代わりとする。
 シンジはレイとキスしたまま、深い挿入でぴったりと押し付けていた腰を慎重に戻していった。根本付近まで埋没していたペニスがレイの膣内から抜け出てくると、その結合部からはもちろん、二人の汗蒸した性毛からもほんわりと湯気が上る。
「ん、んんっ…い、痛っ…」
「大丈夫?」
「う、うん…まだ我慢できる…」
 レイのうめきを口移しされるなり、シンジはキスを終えて真っ直ぐに彼女を見た。レイは枕に頭を預け直すと、苦笑半分といった面持ちでシンジを見つめ返す。
 愛液でぬめっているとはいえ、やはり大きく裂けた膣口が擦れるとまだまだ痛む。
 それもそのはずで、太々としたペニスが膣内から引き抜かれてゆくと、それに合わせて処女の名残である粘膜がわずかにめくり出されてしまうのだ。その光景は極めて淫靡であると同時に、どうにも痛ましい。
 ともかく、シンジはゆっくりと腰を戻してゆき、亀頭が膣口から露出するかしないかのところまでペニスを引き抜いた。レイは膣口に鋭い痛みを覚えながらも、本能のままにペニスを締め付けてシンジを逃すまいとする。
「ふふっ…綾波の入り口、きゅんきゅん締め付けてくるっ…」
「ご、ごめんなさい…意識してないのに、勝手に締め付けてしまうの…。ズキズキと痛いから、締め付けたくないのに…まるで、しゃっくりが止められないみたいに…」
「僕は綾波に締め付けてもらったら、すっごく気持ちいいんだけどなぁ」
「んぅ…碇くんばかり気持ちよくなって、ずるい」
「あ、綾波だって、いい気持ちになってきてるくせに…」
 二人は照れくさそうに見つめ合ったまま、ささやかなおしゃべりと微笑、そしてじゃれ合うようなキスを交わして愛欲を燃え盛らせてゆく。
 実際、男であるシンジにしてみれば、柔軟な膣の深奥部よりも、括約筋などで環状に構成されている膣口付近の方が受ける刺激は大きい。深奥部ならではのぬくもりも心地良いものではあるのだが、直接的な快感でいえば、少々窮屈なくらいに締め付けてくる膣口付近には敵わないのだ。
 快感だけを欲張りたいわけではないが、やはりシンジは浅い挿入でもグラインドを試してみたくなってしまう。処女であったレイの膣の全長に、自らのグラインドの感触を擦り込みたいという独占欲にも駆られていた。
「…動くね」
「うん」
 熱帯魚の喧嘩のようなキスをたっぷりと楽しんでから、シンジは真っ直ぐにレイを見つめてそう告げた。レイも真っ直ぐにシンジを見つめ返し、やがて首肯しながら静かに目を伏せる。キスの間中は息を止めていたために、興奮と相まって息継ぎが忙しない。
 そんなレイを愛しげに見つめたまま、シンジはゆっくりとグラインドを再開した。
 亀頭のくびれが露出するほどに腰を引いては、また押し込み、まるまる抜け出そうなくらいに引き抜いては、また押し込み。まさに挿入の瞬間だけを繰り返し欲張るように、シンジは腰を往復させる。
 ツヤツヤのパンパンに膨張している亀頭が、収縮する膣口のささやかな抵抗感を押し割り、ヌルンッと膣内に没入する心地良さは何度味わっても格別だ。まるで何度も何度もレイの処女を散らしているようで、男心は危険なほどに奮える。それに合わせて逸り水の漏出もしとどとなるため、レイの膣内では男女の発情液がじっくりと攪拌されていった。
「あっ、綾波…綾波っ、気持ちいい…!」
「い、ひ、んぅ…い、痛いっ…碇くん、痛いっ…!」
 吐息を弾ませ、だらしなく上擦った声でよがるシンジとは対照的に、レイは美少女の素顔をしきりにしかめてはか細い声でむずがる。シンジの動きが乱暴になってきたわけではないが、慣れたように思えた破瓜の痛みが再びぶり返してきたのだ。
 膣壁自体は柔軟で弾力にも富んでいるから、今では程良くシンジのサイズに馴染み、結合の違和感もぬくもりの中で和らぎつつある。
 しかしか細かった膣口は実際に大きく割り開かれ、血を滲ませる傷跡にさえなっているのだ。子宮口付近であればともかく、膣口部分だけで動かれると、やはり処女の名残には鋭い痛みが波状となって走る。結合部はお互いの体液で潤滑してはいるものの、亀頭と幹とでは直径が違うために、どうしても刺激は避けられない。
 受け入れた瞬間ほどの苦痛こそないが、それでも先程までの安堵感はたちまち霧散してしまった。レイはつらそうに唇を噛み締めながら、少しでもシンジのグラインドを抑えようと懸命な力で抱きついてしまう。
「…浅いところはまだ痛い?」
「う、うん…奥の方がいい…奥の方なら、平気…」
 レイの必死な様子に、シンジは亀頭だけを膣内に納めたところでグラインドを中断した。亀頭と幹との境目付近でレイの締め付けを感じつつ、気遣わしげな眼差しで彼女を見つめる。
 それでレイも安心して、まるで寝言をつぶやくような声音でシンジに答えた。身体中を緊張させていた余計な力がやんわりと抜けると、吐息も自ずと深く、ゆったりとしたものとなる。
「じゃあ慣れるまで、奥の方だけいっぱいしてあげる」
「ごめんなさい…お、奥の方なら、さっきより大きく動いても平気だと思うの」
「ふふっ、ありがとう」
 いたいけな睦言ながらも、一生懸命な気遣いがお互いに嬉しい。
 シンジはレイに謝辞を告げると、合図のように小さなキスをひとつだけ交わし、やがて愛おしむように左の頬どうしを擦り寄せた。レイもくすぐったそうに頬摺りに応じ、撫で回すような手つきでシンジの背中を抱き締め直す。
 そんなレイの横顔にキスしながら、シンジは再び深くペニスを没入させていった。熱くぬめる膣壁の心地良さをペニス全体に感じつつ、そのまま一息に子宮口を押圧する。
「ん、んんっ…んぅう…」
 再び膣内をキツキツに満たされて、レイは頬摺りに浸りながらささやかなむずがり声を漏らした。
 とはいえそれは破瓜の痛みによるものではなく、胸ときめくような一体感がもたらした居心地の良さのためだ。甘やかなくすぐったさが結合の深奥部から拡がり、待ち焦がれるせつなさが霧散して、たちまち何ともいえない夢心地になってしまう。
 シンジも深く挿入することで、レイに負けないだけの居心地良さを覚えていた。
 膣口付近から一息に深奥を目指すのは、大胆なストロークでのグラインドに等しい快感を得ることができるものだ。愛液でぬめる襞のただ中を突き進めば、ペニスにはマスターベーションでは得ることのできない濃密な快感と射精欲が満ちてくる。
 そのうえで膣内は勃起しきりのペニス以上に温かいから、こうして奥の奥まで挿入すると、思わず鼻から恍惚の溜息が漏れ出てしまう。汗ばんだ肌もそのままに、まるで恋人気分でぴったりと抱き合っていることもあって、今や胸の中もレイに対する愛おしさでいっぱいだ。
「綾波…綾波、綾波ぃ…」
「んぁ、ん、んぅ…碇くん…碇くぅん…」
 何度味わっても飽きのこない愉悦に浸り、シンジは吐息で呼びかけながらレイに頬摺りした。レイもくすぐったそうにしながら頬摺りに応じつつ、猫撫で声で名前を呼び返す。
 仲睦まじくスキンシップを楽しみながらも、シンジは少しずつ雄性としてのグラインドを再開していった。レイの横顔にキスしてじゃれついていた唇も、快感に勝って押し寄せてくる射精欲を堪えるよう、きつく噛み締められてゆく。
 深奥部でのグラインドは先程よりもストロークが長く、今度こそピストン運動と呼べる動きとなった。結合部からぬかるむような水音を立てながら、シンジは自らもセックスを楽しむよう、リズミカルに腰を前後させる。もうレイを一人の女として、純然たる雌性として相手することに決めたのだ。
 レイも深奥部から入り口付近からと、破瓜を迎えてから丁寧にペニスの感触を擦り込まれたために、その痛みはすっかり薄らいでいた。今ではシンジの動きにかわいらしく鼻息を弾ませ、夢中で彼を抱き寄せてしまうほどである。その手つきは先程のように動きを制しようとしてのものではなく、一途な愛欲に駆られてのものだ。
「あん、ん、んっ、んぁ、あんっ…い、碇くん…碇くん…い、碇くんっ…」
「綾波…綾波、気持ちいい…?」
「うん…ん、うんっ…気持ちいい…き、気持ち、いいのっ…!」
 セックスの律動に身を委ねながら、レイは鼻にかかった声で盛んに鳴き、愛おしさのままにシンジを連呼した。
 もう照れくささも、恥ずかしさも、嬉しさも、すべてセックスの心地良さと綯い交ぜになってきている。いや、セックスが心地良いから、照れくさくて、恥ずかしくて、嬉しいのであろうか。
 レイは陶然となりつつある意識の中で、そんな自己分析をとりとめもなく繰り返していた。もはや平静を保っていられず、シンジの問いかけにもぐずるような声音で答えてしまう。別にシンジの動きが不快なわけではないのだが、あまりの心地良さでついつい声を荒げてしまうのだ。
 そんなレイのよがり様を身体中で感じながら、シンジはやがてグラインドの動きにアクセントを付けていった。子宮口ばかりを押圧せず、思い出したかのように腰を引いて、膣口付近でも亀頭を往復させる。
 奥に、奥に、奥に、思い切り引き戻しては、中程に、そしてまた奥に。
 そのまま腰を密着させて、ぐいぐいと子宮口を押し上げたり。
 かと思うと、矢庭に腰を引き戻し、膣の浅めの部分だけで亀頭を往復させたり。
 そんなシンジの念入りなピストン運動によって、ほんの十分ほど前まで処女だったレイの膣からは、少しずつ過剰な強ばりがほぐれていった。固いほどに窮屈だった膣内は、今やすっかりシンジのペニスになつき、まるでしゃぶりつくように収縮を繰り返し始める。レイの甘えんぼな性格が如実に現れているようだった。
「ねえ綾波…この辺は、どう?気持ちよくない?」
「ん…と、特に、何も…あ、浅いところはまだ痛い…」
 シンジはミサトやアスカとの経験を元に、レイの膣口から数センチほど入った辺りで意識的に動いてみた。この辺りのへそ側の膣壁には、俗にGスポットと呼ばれる性感帯があるはずなのだ。
 ところが、どうもレイの膣にはGスポットが存在していないようだった。
 生まれつき持ち合わせていないのか、あるいは発育途上にあるのかはわからないが、確かにGスポット固有のささやかなしこりが亀頭の表側に感じられない。愛液と逸り水でぬめる膣壁は、どこまでも柔軟なままである。
 レイもシンジのまさぐるような動きにきょとんとなるだけで、問いかけられて答えられるほどの快感は覚えていなかった。快感どころか、膣口付近でしきりに往復されると、あの裂けるような痛みがすぐさまぶり返してきて、やはりつらい。
「い、碇くん…浅いところはいや、奥の方…奥の方、いっぱいしてほしい…」
「あとと、ゴメンゴメン…綾波は奥の方が合うみたいだね」
「うん…奥の方が好き…。浅いところほど痛くないし、それに…奥まで入ってきてもらったら、いっぱい碇くんを感じられるから…。碇くんと、セックスしてるって実感が強くなるから…」
「…僕も奥まで入れちゃうと、綾波とセックスしてるって感じが深まるなぁ」
「だったら、いっぱい…奥の方だけ、いっぱい…碇くぅん…」
「ん…ん、んんっ…ん…」
 レイはとびきりの猫撫で声でおねだりすると、頬摺りで甘えていた顔を横向け、キスを欲張った。シンジはすぐさまそれに応じて、ふんわりと唇を重ね合わせる。
 そのまま二人は、しばしバードキスの甘美さに耽りながら穏やかに揺れ動いた。
 キスしながらのピストン運動は、身も心も愛欲に染まってしまうものだ。シンジもレイも、思春期の胸が張り裂けんばかりの好意と快感、そして性的興奮に酔いしれてしまう。すっかり悦に入った鼻声混じりの溜息は、蒸し暑い室内に淫靡のハーモニーとなってたゆたい始めた。
「ん、んんっ…!ん、んむっ…ぷぁ、い、いい…碇くん、それ…それ、好きぃ…」
 ふとレイはキスを中断し、せつなげに顔をしかめながら嬌声をあげる。
 シンジのピストン運動は、レイの子宮口を突き上げるほど深いものになっていた。
 それだけでなく、シンジは深く挿入したときに腰を左右に振り、レイのクリトリスをも刺激し始めたのだ。ふっくらとしている恥丘を押し上げるような要領である。
「…奥の方、ぐいぐいされるのが好きなの?それとも、クリトリス?」
「どっちも…ど、どっちも好きぃ…好き、好きぃ…!」
「いいよ…だったら、こればっかりしてあげるっ…」
「あ、ん、んぅ…!んぁ、ふ、んぅうっ!い、いいっ!いいのっ!!」
 レイが半ベソのように危なっかしい声になってよがるので、シンジは彼女の期待に目一杯応えることにした。汗ばんだ身体を擦り付けるように突き上げ、性毛どうしをしゃりしゃりと鳴らすくらいに腰を押し付けると、レイは激しくかぶりを振って身悶えする。
 クリトリスと子宮口から同時に生まれてくる快感は、レイを性の魅惑の虜にするに十分なものであった。シンジに深奥まで突き込まれ、なおかつぐいぐいと恥丘を押し上げられると、声を出して泣きたくなるほどの快感が身体中に拡がるのだ。
 その弾みで、膣口は引きつるような勢いでペニスを締め付ける。破瓜の鋭い痛みはまだ払拭できずにいるものの、M字に開脚して恥部を上向かせている下肢は、なおも少しずつ浮いていった。シンジがその気になればすぐにでも正常位から屈曲位になれるほど、レイは自ら窮屈な体勢へと折れ曲がってゆく。
 窮屈な体勢になりながらも、狂おしいよがり声はぐずるような気勢をいや増してきた。シンジを迎え入れて開脚している両脚も、まるで駄々をこねるように虚空を掻いている。
 そのあられもないよがり様は、溢れんばかりの快感がレイの華奢な身体を暴走させているかのようであった。レイは性的絶頂を経験したことがほとんどないだけに、快感による反応も自ずと激しくなってしまうのである。
 シンジとしては、長くても土日の二日間という限られた時間の中で、できるだけ何度もレイを絶頂にまで導きたいと思う。セックスという行為を命令としてでなく、魅惑的なスキンシップとして認識してもらいたいし、なによりレイを絶頂に導くことで、男心を満たしたい。単純なことではあるが、男という生き物は、自らの力で女をよがらせることができれば、それだけでも胸が空くほどの満足感を得ることができるだ。
 とはいえ、レイの人が違えたようなよがり様は、すでにシンジの男心を高ぶらせきっている。身体の相性が良いこともあり、レイがよがるのに合わせてシンジ自身も吐息を荒くし、だらしなく上擦ったうめきを漏らしてきた。
 レイを抱く悦びは、想像以上に心地良いものであった。手をつなぐのも、抱き合うのも、キスを交わすのも、そして身ごもらせるためのセックスも、そのどれもがシンジの男心を奮い立たせ、雄性の本能を覚醒させてくる。童貞を終えた相手であるミサトとも、想いを通わせ合ったアスカとも違った発奮に、ペニスはやはり発情の証である逸り水を間断なく膣内に漏出してゆく。
 その不穏な脈動を重ねるにつれ、やがて抗しがたい射精欲がペニスの根本付近から幹へ、そして亀頭へと満ちてきた。良くいえば懇切丁寧、悪くいえばねちっこいほどのピストン運動のために、愛欲も胸焦がれるほどの情欲へと凝縮されてくる。ペニスからの要求にシンジ自身が逆らえなくなりそうで、胸の奥の良心がせつなく痛んできた。
「ご、ごめん、綾波…そろそろ…」
「え…な、なに…」
「…綾波の中に、出すよ…僕の、精子っ…」
「あっ…ん、んぅ…」
 シンジは震えるあごをそのままに、切羽詰まったような早口でレイにささやいた。レイは間もなく訪れるであろうその瞬間にはにかみ、同時に、この素敵な一時が終わってしまうことを儚んで小さく溜息を吐く。

つづく。


 


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(updete 2004/06/25)