サクラ大戦

■時には子猫のように■

 

作・大場愁一郎さま

ジャンル:X指定


 

 

「カンナくんじゃないか。」

「ん?ああ、隊長か…」

 大神がなにげなく中庭に出ると、澄み切った冬晴れの元、カンナがベンチに腰掛けてゆったりと背中をもたれさせていた。

 両手を頭の後ろにまわし、珍しく物憂げな表情をしていたのが気になり、大神は声をかけてみたのだが…振り返った微笑も返事も、どこか普段の彼女らしくなく、消沈したものであった。

 そんなカンナの隣に並んで座り、大神は同じように背中をもたれさせてゆるりと深呼吸した。冷涼な空気が美味い。冬らしく模様替えしたとはいえ、この中庭には美しい緑がそこかしこに見える。この空間だけは常に新鮮な酸素が満たされているといえるだろう。

 しかし、カンナはそんな心地などどうでもいいように、何度も何度も溜息をついたりしている。まるで大神に気付いて欲しいと言いたげなほどだ。

「どうしたんだい、元気なさそうだね。カンナが溜息吐くなんて、よっぽどなにかあったのかい?」

「オレが溜息吐いちゃ悪いってのかよっ!」

 大神の気遣う言葉にカンナはそう突っぱねるものの…どこか表情は嬉しげであった。横顔に、ほんのり朱がさすのもカンナは隠そうとしない。

「なあ、隊長…オレは…女だよな?」

「なっ?どういう意味だよそれは。」

 事情の飲み込みようのない質問に、大神は怪訝な顔でカンナの顔を見つめる。彼女は声を出して爽やかに笑うと、人なつっこい苦笑を浮かべて頭をガリガリかいた。

「ははは…いや、自分でも本当に女なのかな、なんて考えちまったんだよ。いつもいつもすみれにガサツだなんだと言われてるからな。」

「おいおい、カンナくんはどうみたって女性じゃないか。それに…なんだい、すみれくんの言うことをいちいち気にしてたのか?」

「…聞き流してはいるけど、ホントはけっこうキテんだよな…。あ、頭に来てるってわけじゃねえぞ?こう…オレなりに傷ついてんだ…。」

 そう言ってうつむいたカンナの横顔は…見たことの無いような寂寥を湛えていた。どこか人恋しそうな、捨てられた子犬のような表情…。

 戦闘時や、男形を演じる時に見せるあの勇猛果敢な雄々しい表情はなかった。

 精悍な瞳も、通った鼻筋も、形の良い唇も…憂いを漂わせることで、その美しさはより鮮やかに滲み出ているようであった。

「カンナくん…。すまない、オレはキミのことを剛胆な女性だとばかり思っていたよ…。他人の中傷などに耳を貸さない、強い女性だと信じていた。気付いてあげられなくて、隊長として情けないよ。」

「そんな、別に隊長を責めてるつもりなんてないんだ!」

 立ち上がり、平身低頭する大神を見てカンナも慌てて立ち上がると、彼の両肩をつかんで頭を起こさせた。その表情は困惑の色を浮かべ、笑いかけていいものか、真顔で説得すべきか戸惑っているようである。 海軍に入隊して以来、朴念仁ともいえるほどの真面目一本槍ですごしてきた大神であったが…両肩を起こされた目の前にあるカンナの素顔に、思わず思春期の興奮を呼び戻していた。公私の区別を一瞬忘れ、思わず見とれてしまう。

 自分よりわずかに上背があるため、心持ち見下ろしているような儚げな美貌…。瞳のきらめきは女性特有のものと思っているが…今の彼女のきらめきは過剰なくらいの潤みで、今にも泣き出しそうなくらいに揺らめいていた。

「…オレなんかに頭を下げないでくれよ、隊長…」

「…そうだな、男は女に頭をさげるべきではない、ともいうしな。慎ましくあるべき日本女性としての資質を、カンナくんはしっかり備えているじゃないか。」

「そ、い、今のはそんなつもりで言ったんじゃなくてだなぁ…!?」

 ボッと顔面を紅潮させ、カンナは身振り手振りも激しくしどろもどろに陥る。そんな舞い上がったカンナを、大神は不意撃つように抱いた。緩やかに腰へと両手を伸ばし、そっと引き寄せる。

「た、隊長っ!?」

「カンナくん…しばらく、こうしていてほしいっ…」

 あからさまに狼狽えるカンナを見つめながら、大神は自然な笑みを浮かべた。愛おしむような優しい微笑に、カンナも思わず大神の背中を抱いてしまう。

「お、オレ…オレ…いま、隊長とっ…」

「落ち着いて…とか言ってるけど、オレも…愛しいカンナくんを抱いて、すごい興奮してるんだ…。」

 上擦った声で感動を言葉にしようとするが、カンナの舌はどうにも落ち着かない。真っ赤な顔からはとうとう涙が伝い落ちてしまう。

 カンナと同じように頬を染めた大神は、その涙を確認して彼女の腰を抱く両手に力を込めた。決して細いとは言えないが、そのくびれ具合は女性として絶妙な肢体を形作っているだろう。柔軟に鍛え上げられた背筋は、脱力してしまうと何とも言えない弾力を示す。

「隊長、どうして…!?隊長は…さくらとかすみれとか、マリアなんかが好きだとばかり…!!」

「そんな風に見えたかい?これでも戦闘の時、真っ先かけて突進するキミの背中を援護していたつもりなのだが…まだまだ想いが足りなかったようだね…。」

「あっ…そんな…じゃあ、ホントに…隊長…!!」

 カンナは華撃団でも切り込み要員としてその役を買って出ていた。

 大挙して襲来する妖魔どもへ、カンナは日本男児の誇りを有するかのごとく鬼神の勢いで突進し、群を見事に分断する。

 そして…カンナは気付いていた。己の背後を狙う妖魔どもを素晴らしき太刀筋で薙払ってくれるのは隊長である大神だということを。

 実際大神は、カンナが特攻をかける時のみ戦闘指揮権をマリアに委ねているのだ。それほどまでに、カンナの役に立ちたいと願っていた。

 だからカンナは…大神の背中を精一杯の力で抱き締めた。嬉しさでいっぱいだった。ようやく訪れた春に飛び上がりたい気分であったが、こうして抱き合っていると、どうにも淑やかに振る舞いたくなってしまう。

「…嬉しい…本当に嬉しいよ、隊長…!ちゃんと…見ててくれたんじゃねえかよぉ… !!」

「…何事にも物怖じしない、カンナくんにオレは憧れてたんだ。その勇ましさの役に立ちたい、とオレなりに努力したつもりなんだが…」

「隊長…!!ああ、隊長、オレなんかがこんなコト言っていいのかわかんないけど… なぁ、言ってもいいか?オレ、今なら言えそうなんだよっ!」

「…言ってごらん。オレもきっと…同じ事を言おうとしてる…」

「一緒に言ってみようぜ…?」

 抱き締め合ったまま、興奮に濡れた瞳で互いを見つめ合う。

 照れくささはなかった。ただ愛しい相手に抱かれ、その温もりをかわしあっていることがひたすらに嬉しかった。

「好きだ…」

 二人の声が重なる。そして、引き寄せられるように顔を近づけ、そっと目を伏せてから… ちゅっ…。

 唇も同様に重なった。二人は求めあうよう角度をつけ、初めての接吻に深く浸ってゆく。湿った唇が摺り合わされると、その微かなくすぐったさは胸の奥をせつなく詰まらせてきた。愛しさで呼吸ができなくなる…。

 空気は冷たかったが、顔は熱くてならなかった。大神から狂おしく舌を差し入れると、その感触に一瞬ひるんだ様子のカンナであったが…たちまち順応して応戦してくる。

ちゅ、むちゅ…もぐ、もぐ…ぷぁ、ちゅっ…にゅぐ、みゅぐ…

 冬晴れの中庭に、淫らな水音は次から次へと繰り出されてゆく。

 湿った唇が擦れ、ついばみあい…

 唇を吸い合い、つっつきあい…

 唾液を混ぜ合うよう、唇ごしに往復させ、そして飲み干し…

 思う様接吻の恍惚を楽しんだ二人は、舌を差し入れたまま、ちゅぱ…と唇を離した。稽古着の襟元から剥き出されているカンナの胸元に、二人の混ざり合った唾液が滴る。

「隊長…オレ…」

 すっかりのぼせた甘え顔となったカンナは、惚けたような声で何事かつぶやく。大神はカンナのひきしまった尻に両手を滑らせ、抗わないことを確認してからささやきかけた。

「カンナくん…ここで…したい…。」

「そ、外で…?だ、誰かに見られたらどうするんだよっ!?」

「もう、待てない…カンナくんが欲しいんだっ!!」

「カンナくん、いいよね…?」

「な、なあ隊長…?どうせなら部屋に戻ろうぜ…?せめて、寝床の上で抱いてくれよぉ…」

「寝床どころか…夜までも待てないって言ったらどうする…?」

 大神はカンナからそっと身体を離すと、両手で肩から腕にかけてを撫でるようベンチに再び腰掛けさせた。はにかみつつ懇願していたカンナであったが、望まれるままに腰を下ろして愛しい男を見上げる。

 大神は穏やかな微笑を浮かべてひとつ微笑むと、カンナの額を覆っている鉢巻きを親指でたくし上げ…そる、と赤い髪を擦らせて取り去った。

 ジットリ湿った赤い鉢巻きでカンナの匂いを確かめると、大神は右手でカンナの前髪をかき上げて額に口づけた。

ちゅっ…。

「ひっ…!」

 短い悲鳴をあげるカンナを余所に、大神は最敬礼するような姿勢で口づけを続ける。ベンチの背もたれに左の肘をかけて上体を支え、前髪を退けた後の右手はつややかな頬を丁寧に撫でる。

 愛撫するよう、あるいは感触を確かめるよう。愛しい女性に触れていられることが…ましてや口づけていられることが、大神には何より嬉しかったのだ。

 仲間からの中傷で心がささくれ立っていたのなら、自分がそのささくれを癒してあげたかった。その労力は少しも惜しむつもりがなかった。

「ここでしよう…イヤかい、カンナくん…」

「い、イヤじゃ…ないけど…んっ、はあぁ…隊長、汗…」

「気にしないよ…」

 ちゅ、ちゅっ…ぴちゅ…

 目を伏せた大神は、くすぐったそうに身をよじるカンナの額にへと執拗に口づけた。

 唇の感触を擦り込むよう右へ左へ行ったり来たり…はぐはぐ、とついばむようにしたり…舌でまんべんなく汗を舐め取り、その濡れた箇所へ音立てて吸い付いたり…。

「ん、ふっ…!んんっ、あっ…は…や、たい、ち…うんっ…!」

 額に集中するせつなさに、カンナは身をよじって慎ましやかにあえいだ。勇猛果敢を文字通り振る舞う彼女でありながらも、男に身を任せてからのしぐさは大和撫子の鑑とも呼べるようなものであった。

 上擦った鳴き声は理性を総動員させ、たぎる情欲を抑えるため…。

 きっ、と歯をくいしばるのは、はしたなく求めるのを堪えるため…。

じゅん…。

「くうっ…!」

 大神の…頼もしき我らが隊長の前で、カンナは膝頭をつらそうに摺り合わせた。自然と腰がベンチの上を滑り、仰向けの姿勢へと近付いてゆく。

 我慢は出来たとしても…身体は意識の戒めから逃れ、本能にすがったのであった。

 カンナは…陰部の奥をわななかせ、愛欲のこもった汗を滲ませたのだ。ぬめる汗はジクン、ジクンと繰り返し湧き出てきて、清純なカンナの乙女心を苛んだ。

「たいちょう…!あたい、あたい…っ!」

「…」

「たいちょう…?」

 泣き出したいほどに焦がれたカンナが大神に救いを求め、上目遣いになってまで呼びかけたが…大神は応答を返さない。代わりに大神の右手示指が、柔らかなカンナの唇に触れてきた。

ちゅぷ、ちゅ…

 唇に至るまで焦れきっていたカンナは、一も二もなくそれを口に含んだ。唇で挟み込むように含み、音立てて吸う。焦れったさを伝えるよう、舌を伸ばして一生懸命に指先を舐めた。

 そのうち大神の示指はゆっくり口内へと挿入されてくる。カンナは唇を尖らせ、幾ばくかの安堵感に目を閉じながらチュヴチュヴむしゃぶりついた。きゅうっと頬をすぼめて深く吸い付き、舌を絡めて唾液にまみれさせ、指先を舌先でチロチロチロ、とくすぐった。

「カンナくん…カンナくんの舌、柔らかい…」

 大神も思わず声をあげてしまう。指先だけでも官能を得てしまうほど、カンナの口腔内は心地よかった。

びくん、びくん、びくん…

 大和神もだらしなさに憤慨せんばかりに、大神の男根は…下着の奥で恐ろしく怒張している。このまま欲望に身を任せてしまえば、無理矢理にでもカンナの口内に、ともすれば陰に押し込んでしまうであろう。

 それでも…金剛石のごとき愛情はそれをすることを望まなかった。潔しとしなかった。

 自分までカンナを傷つけてしまう存在となってはならない。持って生まれた大和魂に泥を塗るような真似はしたくない。

 自分は誇り高き帝国海軍少尉、大神一郎なのだ。帝国華撃団、隊長なのだ。そしてなにより…カンナを心から想い抜いている、ひとりの男なのだ。

「カンナくん…カンナくんっ…!」

「んむ、ちゅ、ちゅぷっ!?んっ!んんっ…!」

ぬぢゅ、ぬぢゅ、ぬぢゅ…

 大神は狂おしく額への口づけを重ねながら、カンナの口内へ差し込んだ示指をゆっくり、だけど深く抜き差しし始めた。目を見開き、予想外の愛撫にくぐもった悲鳴をあげるカンナ。

 入ったり、出たり…。指の腹が舌の上を優しく刺激してくる不思議な動きに意識が朦朧となり、カンナは視線を泳がせていたが…その視線は大神の膨らみに焦点を定め、釘付けになってしまった。

 隊長の…男根…。そんな、あたい、はしたない…っ。

 みるみる頬に熱が生じ、黎明時よろしく紅潮してしまう。意識とは裏腹に視線をそらすことができなくなってしまった。

 大神が抜き差しする指に…その膨らみの中にあるものをなぞらえてしまう。愛しい男の象徴を口に含み、積極的に味わってみたいと想像してみる。品の無さに身震いし、涙が頬を伝い落ちた。

 それでも…身体は完全に大神を求めていた。太ももの付け根がいやらしくぬめっている。陰部の痺れ方が尋常ではなかった。いまだ通じたことのない膣は、それでも勇敢に大神の男根を欲しがっている。

 カンナは耐えきれない葛藤に打ち震えると…想わず大神の指を噛み、その動きを止めさせた。

「カンナくん…?」

 すっかり真っ赤になった額から、ちゅぱ…と唇を引き剥がし、大神はカンナの顔を覗き込んだ。不安に揺らいだ瞳からは、涙のつぶがいくつもいくつもこぼれ落ちてくる。

 その瞳を覗き込まれた弾みで…カンナは大神の示指から前歯による束縛を解いた。ちゅ、ぷ…と糸を引き、示指が外気に触れる。

「たいちょう…あたい、あっ、あたい…」

「カンナくん…。」

「…抱いてくれ…いやっ、だ…抱いて、ください…っ!」

 慎ましやかを捨てた瞬間であった。

 淑やかさを手放した瞬間であった。

 女である自分からまぐわいを求めるなど、乙女にあるまじき淫らな行為であることはわかっている。

 それでも…もうこれ以上待つことなどできなかったのだ。額に心を込めて口づけられ、口の中を愛撫の指先で蹂躙され…もう引き返すことのできないところまで来てしまったのである。

 もうなにも考えたくない。ただ隊長を独り占めしたい。大神と結ばれたい。それだけを望んでいた。身も心も…ただひとつだけ、渇望していた。

「カンナくん、気持ちは嬉しいけど、口調まで無理しないで…。オレはそのままのカンナくんが好きなんだから…」

「は、はあっ…た、たいちょうっ…!!」

…ちゅうっ。

 大神の潤みかけた瞳が迫り、視界を埋め尽くすと同時にカンナは叫んでいた。その熱い悦びの声は…角度を付けてきた大神の唇に塞がれてしまう。深く密着し、大神の指先に促されておとがいをそらせて…真上から口づけられるようになる。

 大神の左手がカンナの稽古着の襟元に滑り込み…する、と右肩をはだけさせた。カンナもそれに応じ、袖から腕を抜く。美しく鍛え上げられ、見事に引き締まった肩から二の腕への筋肉は、まるで野生動物を想起させるほどに艶めかしい。

「ちゅ、ちゅっ…はぁ、カンナくん、さらしを…いいかい…?」

「ちゅ、ああ、背中から…あっ、待って…ああっ…ん、ちゅ、ぷ…!!」

 恥じらう悲鳴もかき消され、カンナの豊かな乳房を拘束する綿のさらしは大神の左手によって静かに解かれていった。はら、はらっ、と一巻きずつ緩められてゆくたび、張りのある乳房はたぽ、たぽっと揺さぶられて開放感に歓喜するようである。

くちゅ、ぷちゅ、ちゅ…かは、れる、れろれるっ…ぢゅる、ちゅ…

はら、はら…ぱ、さ…

 貪り合うように口づけあううち、カンナの乳房を押さえ込んでいた純白のさらしは緩みきり、絶妙にくびれた腰へと落ちた。形の良い乳房は他の隊員でもマリアくらいしか及ばないほどの迫力を誇っている。

「カンナくん、横になって…」

「はあ、はあ、たいちょう…」

 唇を離され、すっかり媚びた表情になったカンナは言われるままにベンチの上で仰向けに横たわる。剥き出しにされた乳房はそれでも柔軟にたわむだけで、無様に横に流れたりはしなかった。

 カンナ同様荒い息を繰り返しながら、大神はモギリの制服、ネクタイにワイシャツ、肌着と脱いで、足元に放ってゆく。見咎められることを怖れない、不遜でありながらも頼もしい素振りであった。

「カンナくん…」

「あ、たいちょう…くっ…はっ、恥ずかしい…!」

 大神は片膝をカンナの両膝の間に割り込ませ、そのまま稽古着から帯を解き、下着ごと下半身を裸にしてゆく。まっすぐに引き下げていくと、扇情的に生い茂った女の翳りから濃厚な汗蜜が糸を引き、ベンチの上を真っ直ぐに濡らした。これでカンナは腰に緩んださらしを巻き付け、稽古着の上を左腕にのみまつわりつかせただけの格好である。

 その瑞々しいまでの肢体は日焼けを残したかのように暖かみのある茶色であり、肌に浮いた汗の粒もあわせて彼女の郷里である沖縄を思わせる。

 その南国の果実とばかりに熟れた豊かな乳房。

 日頃の稽古の賜である美しい腹筋は女性としてのくびれも備え…

 その線は流れるように、丸い尻へと繋がってゆく。

 つややかな腕、そして脚…。

「カンナくん、素敵だよ…。」

 大神は褒めるつもりでもなく、ただただ感じたままを声にしていた。

 彼には詩人としての才能は持ち合わせがないが、心に響いた事実だけは素直に口に出すことができる。

 その飾らない言葉は…純粋なカンナの胸の奥に暖かな波紋を広げた。その波紋は火照る身体の隅々にまで拡がり、とびきりの笑顔をカンナに浮かべさせる。

「隊長、嬉しい…。いいよ、来て…。」

「カンナくん…。」

 両手を差し伸べたカンナにのしかかると、大神は汗と唾液で額に張り付いた彼女の前髪を再び退かせ…

ちゅっ…。

 求めあった唇は、そうなることが自然であるかのごとく濡れた音を立てて密着した。

チュンチュン…チュチュチュ…

ちゅ、ちゅっ…ちゅ…くちゅ…

 初春の柔らかな日差しの元、すずめが戯れるようにさえずりあい…

 そんなすずめがさえずる木の下のベンチで…大神とカンナは折り重なるようにして唇をついばみあう。

 互いが求め合うようにして始まった昼下がりの情事は…今まさに待ち焦がれた瞬間へと近付きつつあった。

「ちゅ、ぱ…はぁ、カンナくん…唇も、乳房も素敵だ…。柔らかくって…いつまでもこうしていたいっ…!」

「た、いちょお…焦れったいよぉ…な、休まないで…」

「ふふっ、カンナくん…食い意地が汚いぞ…?」

「ふ、ふんっ!いいじゃないかよ、減るモンじゃなし…!」

 右手に乳房を、唇に唇を…。大神は前をはだけたカンナにのしかかりつつ、彼女の女性としての柔らかみを独占していた。

 大きくて迫力のある乳房はまん丸く、そして柔らかで…大神の手の平でなお余るほどの余裕があった。

 おしこね、指の一本一本を食い込ませるように揉み…示指と中指で乳首を挟む。

ぎゅ、ぎゅむ、ぎゅむ…たぽたぽたぽっ、むにゅ、むにゅっ…

「んっ!ふぅ…うんっ!ううんっ!!た、た…たいちょ…うっ!!」

「カンナくん…乳房は、感じやすいところなのかい…?」

「あ、あ、あっ…た、たいちょうっ!オレ、オレぇ…!!」

 力を込めて握りしめるようにし、下からすくい上げるようにして細かく震わせ…柔肌を満喫するかのごとく滑らかに揉む。

 大神がしたいようにカンナの乳房は柔軟に形を変え…その度にカンナはせつなげに眉をしかめ、小さく声を漏らす。興奮しきりの大神に尋ねられると、カンナはだらしない泣きベソになって唇をせがんだ。口許をとがらせ、ヒュクヒュクして接吻をねだる。

 大神は己の前髪を退けつつ、再び唇を押し重ねた。ほぼ九十度の角度を付け、食らい付くようにして吸い付く。

 その唇の中では…唾液で潤った舌どうしが早くも交尾を開始した。ほとんど隙間がないように唇をすぼめつつ、ざらつく舌がくねり、からまり、もつれあう…。

ぷぢゅ…ぢゅっ…んく…ふー、ふー…むぐ、むぢゅ…かは、はぷ…

「カンナくん、飲んで…」

「いいぜ、たいちょう…」

ぬりゅ、れる、りゅ…むじゅ、むりゅ、れるるっ…んく、ん…

「隊長も、ほら、ごしょう、ばん…」

「いただくよ…もっと吸いついて…そ、そ…。」

じゅじゅっ…ちゅ、るっ…ふぅっ…ちゅ、ちゅっ…

 二人して攪拌した唾液を分かち合ってすすり、互いの味を確かめる。

 大神は左手でカンナの襟足を撫でつつ、後ろ髪を指で梳いてみた。その愛撫もカンナにはご満悦らしく、ゆったりと大神の背中に両手を回し、抱き寄せてきた。二人の胸の間で、大神の右手を挟み込むようにふたつの乳房が弾力よくたわむ。

 ちゅぱ、と唇を離しても…二人の舌は交尾を止めない。精一杯伸ばした舌どうしがヌラヌラと擦れ合い…舌先が微妙に突っつき合う。

 そのまま大神の舌先はカンナの上唇をめくり、歯茎へと潜り込んだ。カンナも負けじと、大神の下唇の中へ舌先を忍ばせる。

 くすぐったさで、小さな笑声が中庭の中にたゆたった。視線だけで見つめ合うと、それだけで二人は暗黙の了解とばかりに口づける。

「隊長…なぁ、そろそろ…」

 恥じらいを引きずりつつも、カンナは横を向きながら大神に誘いかけた。唇を、乳房を、髪を愛撫されているうちに…生命の通り道はその瞬間に備えるよう、潤いきってしまった。もうベンチの腰掛け部分が淫らに思えるほど溢れている。尻の隙間はおろか、太ももまで濡れそぼっていた。焦れったくて膝頭を摺り合わせるたび、太ももがいやらしくぬめる。

「待って、カンナくん…」

 大神はカンナの求めに待ったをかけ、腰掛けに片膝をつくように立ち上がった。ちょうどカンナの胸の上をまたぐようにし、そのままズボンのベルトを外し、ファスナーを下ろして前を開ける。

「隊長…?」

「…オレの、舐めてくれないか…?」

 ズボンを膝まで下げながら、大神は気恥ずかしそうにそう告げた。大神の男根は、その張りつめ具合を強調するかのように白い下着を形にそって押し上げている。くびれたあたりが濡れており、変色して赤黒く見えているのが彼の感じ具合を物語っているだろう。

 カンナは背後で両肘を付くように上体を起こし、その膨らみを凝視しながら訊いた。

「…それは…隊長としての命令か?」

「カンナくんだけに、大神一郎として命ずる…。自分の手で下着を下げて、触って確かめるんだ…。」

 大神の不遜な言葉であったが…その破廉恥極まりない言いつけはカンナの心に奇妙な形で波紋を広げていた。

 カンナは普段からの行動や態度、あるいは見た目のいかつさから敬遠される立場にあり、第三者から命令されることに慣れていないのである。

 故にその命令が彼女の気にくわない内容、間違った内容であれば何者のものであっても突き返してきたのだ。

 しかし、愛する者からの命令は…今のカンナにとって絶対であった。むしろ命令が欲しいくらいであった。

 征服してほしい…。

 そう願うカンナは大神の命令に逆らうはずもなかった。それどころか好奇心で輝きに満ちた瞳をして…両手を大神の下着にかける。

「オレが…下げていいの、か?」

「ああ、下げて…剥き出しにしてほしい。」

するっ…びくんっ、びくんっ…

「うわ…」

 露わになった巨大な男性器に、カンナは彼女らしくもなくたじろぎ、息を飲んでしまった。

 天を仰いで力強く脈打ち、奇怪な形をそのままに勃起して濡れている男根…。カンナは言われるまでもなくその手にしていた。

「固い…それに、なんて熱い…」

「…口づけるんだ、これも、命令…。」

「…了解、隊長…。」

 右手の指で包みこむように握り、きゅっと前を向かせる。

 愛しい男のシンボルを手にしていることでたまらなく高揚したカンナは…とろん、と両目を細めて口許を近づけていった。

ぷ、ちゅっ…。

 潤った小さな裂け目を、すぼめた唇が塞ぐ。一度口づけてしまえば後はもう気負いは霧散したらしく、つややかにはりつめている亀頭めがけて水飲み鳥のごとく…

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…ちゅうっ…むちゅ、ちゅ…

 何度も何度も繰り返して唇の柔らかさを押しつけた。唇が渋く濡れるのを舌先で拭うと、カンナは一層色に惑わされたようであった。

「気持ちいいよ、カンナくん…」

「そうか…?よかった…な、ちゃんと…してくれるんだろぉな?」

「約束するよ、カンナくん…。したいのは、オレも同じだ…。」

「オレ…オレ、ホントは待てないんだぞ…?」

「待機だ。これも命令だぞ?」

「う、うう…!」

 上から見下ろすように言いつけられ、カンナは悔しそうに目を伏せた。そのまま唇だけで貪るよう、男根の先端を柔らかくはむ。

はぷ、むちゅ、むちゅ、むちゅ…ちゅぶ、ちゅぷ…

しゅり、しゅり、にちゅ、にちゅ…

 先端だけでなく横から、下から…右手で幹をしごきたてながらカンナは亀頭に口づけた。

 一方で…カンナの左手は太ももの付け根に忍び込んでいた。待ちきれなくなった陰部を慰めようとしてのものである。

 男性のものを口にし、あろうことかその目の前で陰部をいじっているなんて…。亡くなった父が見たとしたらなんと言うだろう。叱りつけるのを通り越し、悲嘆にくれるかもしれない。

 そう思えば思うだけ…不謹慎にも気持ちは高ぶってしまった。頬が熱くなる。陰核を指先でつねりながら唇を大きく開け…

ふぁ、ぶ…かぶ、あぶ…もぐもぐ…

「カンナ、くん…」

 めくるめくような興奮で、大神は言葉が続かなかった。

 あの勇ましいカンナが…だらしない顔で男根を頬張っているなんて。

 溌剌な声でしゃべる口に…男顔負けの大食漢な口に、半分以上も飲み込まれているのだ。さも美味しそうに頬張り、味わうように舌をくねらせている。

 先程まで口づけられていた亀頭が舌の腹で柔らかく摩擦されると…それだけで男の逸り水が漏出してしまう。カンナに恍惚を覚えている確たる証であった。

 引き締まった腹筋で上体を起こしたままのカンナは…小鳥を包み込むほどの微かな力で大神のふぐりを揉み転がし、そして頭を振った。

シャブッ、チュヴッ…ヴチュ、チュ…

 ころん、とした亀頭を唇の中だけで含むようにしゃぶり…

ジョヴ、チョヴ…はぐはぐ…ヴチュ、ヴチュッ…

 歯を立てないように細心の注意を払いつつ、くびれの裏側から幹にかけてを舌の腹で滑らせ…

はぐ、ほぐ…んく、かぷ、おぐ…

 できるだけ深く飲み込み、溜まった逸り水と唾液を嚥下して、先端を慎ましやかに締める。

「か、カンナくん…!」

 舌での愛撫すべてが初々しく…されどひとつひとつが実に丁寧なため、大神はすこぶる悦楽で中枢を冒されていた。尻に力を込め、無様な姿を晒さぬよう堪える。

 軍隊生活、そして帝劇での一貫した禁欲生活を過ごしてきた大神にとっては刹那で果ててもおかしくないほどの快感ではあるのだが…日本男児として醜態をさらすわけにはいかない、女性の口中で情欲を吐き出すなど絶対に許されない、との一念で我慢を強いた。

「ぐ、ううっ…!!」

 歯を食いしばってしまう。それでも男根の根本は危なっかしく痙攣を繰り返す。気を緩めたり、悩ましげな姿を見せつけられたらたちどころに爆ぜてしまうだろう。

 大神はここで見切りをつけることにした。片手でカンナの頭を突き放すようにし、彼女の口中から男根を引き抜く。

「カンナくん、すまない…もういいよ、ありがとう…」

「たいちょ、う…。オレ、オレ…!な、頼むよ…今すぐ、ほら、ほら…!」

 解放されたため、危険な雰囲気は潮が引くように大神から去ってゆく。なおも安堵を求めて深呼吸するうち…カンナはみっともないほど媚びた声で身体をよじった。

 大きく脚を開き…小指を差し込んだ陰部を大神へと差し出す。両脚を抱え込むようにして上げ、ベンチに浅く腰掛けるよう腰を突き出す。小指を抜くと、浮かせた腰からは無色の愛液が陰阜へと溢れ、流れた。

「カンナくん…」

「はやくっ!はやくひとつになってくれえ…っ!隊長、お願いだから…オレ、ここまで大きく脚拡げてるんだぞ…はやく、はやくその太いので、突っ込んで、隠してくれえ…!」

 稽古後のように汗まみれのカンナは…両手の指で尻を割るようにし、女性の裂け目を大神へと見せつけた。真っ赤に充血した陰部は湯だったようにくったりと開き、大神を欲している。

ゴクン…。

 大神は意を決した。拡げられた陰部に男根の先端をあてがい…わずかに埋める。大神はまぐわいを経験したことがなかったが、ここまで赤裸々剥き出しにされては惑うこともない。

「カンナくん…じゃあ…カンナくんに、入るよ?」

「は、はやくっ!入ってきてくれぇ…奥の奥まで、じれったいんだっ!」

 カンナがそう泣いて求めるのを聞き、大神はほぼ真上から突き立てるようあてがった男根に…引力の助けも借りて力を込める。両手は美しい乳房を握りしめるようにつかんでいる。

ぬるっ…ぬる、るっ…

「はあ、入る…入るよっ、カンナくんの、なかにっ…!」

「うん、うんっ!きてる…入ってきてるっ!!」

づぷ…ぬぶっ…るる、るっ…

「熱い…うあぁ、気持ちいいっ!」

「そうか?気持ちいいか?よかった…く、くるっ…!!」

ぬぶ、ぶっ…ぺた…。

 大神の脱力したふぐりがカンナの濡れた尻に密着し…男根がほぼ根本付近まで真っ直ぐ挿入される。二人は完璧に結ばれたのだ。

「はあ…はあ…カンナくん…痛く、ないか?」

「し、信じてくれよ?オレ、初めてなんだけど…不思議だな、痛くない…。きっと蹴りの稽古してる間に拡がっちまったんだろうなぁ…。」

「拡がってなんかない、すごい狭いよ…。オレの、思い切りよくおしゃぶりされてる…。粘っこい…!!」

「隊長、したいようにしていいぜ…?オレはいいから、隊長の気持ちいいように動いてくれ…。」

「わかったよ、ありがとう…カンナ。」

 大神は頼もしき隊員を呼び捨てにすると、乳房を独占する両手に力を込め、腰を引いていった。

 背の高く、密生した襞がくびれをひとつひとつ愛撫し…射精欲を狂おしく喚起してくる。その誘惑に逆らって抜け出る手前まで引き抜くと…今度は押し込むように深く潜り込む。

ぬるる、る、るっ…ぢゅぷぶるぶぶっ…。

「ぐうっ…!!」

「はくっ!ひ、は…た、たいちょ、お…!いい、いいよぉ…!!」

 きつく目を閉じ、想像を絶した女性の感触にうめく大神。

 随喜の表情で目を細め、乳房から…膣からの悦楽にむせぶカンナ。

 性の悦びの受け止め方は互いで異なったが…結ばれたことによる幸福感は同じであった。つながりあった奥の奥で…瞬時で胸が満ちるほどの温もりを確かめ合う。

「か、カンナッ!カンナッ!!」

「隊長っ、隊長っ!もっと、もっとしてえっ!!」

ぐぬっ、ぶっ、ぐぬっ、ぶっ、ぶぢゅ、ぢゅ、ぢゅぷっ、ぬぶっ…

 大神は夢中で名前を呼びながら、カンナの深奥で襞を激しくえぐった。浅い動きであったが、その振動はカンナを確実に登り詰めさせてゆく。

 両手にした乳房への愛撫の忘れていない。手応えを楽しむよう押し出すようにしながら揉み、乳首を摘み上げる。柔らかな乳房は揉めば揉むほど手の平に馴染み、一方でカンナをかわいらしく鳴かせる。

 カンナは上げた両脚をバタバタさせながら、大神とのまぐわいに心から浸った。初めて受け入れた男根にもかかわらず、大きく拡げられた膣口を大神が出たり入ったりするたび、暖かな波紋が指先や髪の先にまで心地よさが伝わる。まさに夢見心地であった。

「カンナ…狭いよ…搾られる…っ!」

「隊長、隊長っ!!オレ、オレもう…待って、待って…く、くる…!!」

「カンナ…ちょっと、ごめん…!」

「え、あ、あっ…」

 引きつりかけた声でカンナがのけぞりはじめる。すっかり法悦に酔いしれているのか、両脚の指はキュッとかわいくにぎにぎされている。

 そんな快感に飲み込まれそうなカンナを前に、大神は動きをやめて腰を引ききってしまった。長々とした男根は粘っこくぬかるみつつ、カンナの内側から抜け出てしまう。ベタン、とへそを打つほどに怒張していた。

 物足りなそうに、上目遣いで見つめるカンナ。あきらかに不満そうで、再び初めのように両手で裂け目を開く。

「なんでやめるんだよぉ…最後までしてくれよぉ…。」

「するよ。だから、立ってカンナ…後ろからしたい…。」

「う、うしろから…?」

「そう。背もたれに手を突いて、オレに尻を突き出すんだ。命令だぞ?」

 命令だぞ、と言いつけて置いて…お願い、と優しく微笑まれたらカンナから拒否する意志は消失してしまう。

 もう立てなくなりそうなのか、頼りない足取りで立ち上がったカンナを抱き締めて、大神は懐かしむようにキスした。

ちゅ、ちゅっ…

 二人の唇から唾液が漏れ、重なり合った裸の胸に滴る。抱き締め合って身をよじるたび、豊かな乳房はたわみ…そしてカンナのへそで、ぬめる男根はぬりぬりと擦れた。

 その感触だけでもう待ちきれなくなったらしい。カンナはキスを拒むように身体を離し、背を向けて上体を倒す。

「隊長、ごめん…オレ、もう一秒でも待てないんだっ!早く突いてくれ、ま、まぐわってくれよおっ!!」

「カンナ、待たせたね…じゃあ、もう最後まで…」

「早くっ!早くうっ!!」

 ともすれば建物の中にまで聞こえてしまいそうなほど、カンナのせがむ嬌声は四方を囲まれた中庭に響いた。背もたれに両手をかけたカンナは、男がそうするように腰を動かして求める。

 大神はカンナが突き出した尻を撫で、男根の先端で裂け目を割りつつ再び膣口へと押し当てる。両手で尻をつかむと、何の前触れも無しに膣内へと押し込んだ。

「あふううっ!!」

「うっ…いいよ、カンナ…素敵だよ…。オレ達、犬みたいにさかってる!」

「う、動いて!早く動いてえっ!!してえっ!!」

「じゃあ続き、いくよ…それっ!」

ぺた、ぺた、ぺたっ…ちっ、ぶぢっ、ぶちゅっ…

 カンナのすべすべな尻をつかみつつ腰を振ると…男根が彼女の尻の谷間へ没入し、また抜け出るのが丸見えになった。

 太々とした男根が行ったり来たりするたび、カンナの膣口付近の襞が艶めかしくはみ出、また押し込まれる。

 まるでとんでもない背徳を犯しているようであった。汗ばんだ尻に食い込む指にも、さらにさらに力がこもってゆく。

 浅く浅く、深く深く…大神の動きはまさに感じたいがままであった。自分でも怖いくらいにはりつめた男根は、カンナの柔らかな膣壁で丁寧に愛撫され、確実に絶頂へと押しやられている。

「カンナッ、ああっ、カンナッ!!すごい、気持ちよくって…」

「隊長っ!!ああっ、あふんっ!!たい、隊長!!最高…!!」

ぬる、ちゅっ、ぬる、ちゅっ…ぬぶぶ、ぶぢゅっぢゅ…

「もう…今すぐにでも…果ててしまいそうだ…!」

「いいよ、隊長!隊長の、隊長のっ、なっ、中にっ…!!」

 突き込み、掻き出し、を繰り返すうち…大神もカンナも脳髄が快感で熔けてしまったようになった。無我夢中でまぐわいの快感を貪る。二人とも他人には見せられないほどにだらしない顔になっていた。カンナなど、ぬめりけを帯びた唾液が口許から溢れるままにしている。細められた目は、焦点などとうの昔に合っていない。

「大神隊長っ!!出してっ!濃ぃいヤツ、オレの奥に、いっぱいいっ!」

「よ、よぉし…じゃあ、もうこのまま…」

「お願いっ!お願いっ!絶対抜かないでっ!中に出してえっ!隊長、好きだからっ!大好きなんだからあっ!濃いの、濃いのおっ!!」

「ああ…カンナッ!出るよ、いいねっ、出るよっ…!!」

 あごを震わせつつ、大神は最後に男根を亀頭が抜け出る手前まで引き抜き、子宮口を強打せんばかり乱暴に突き込んだ。カンナの乳房が音立てて揺れ、それでカンナは…弾ける。膣に電流が走った。

きゅ、きゅきゅ…きゅううう…。

「ひいっ…!!」

「か、カンナのっ!な、なかぁ…っ!あ、あっ!ああっ!!」

びゅるるるっ!!びゅうっ!!びゅっ!びゅっ!

「熱っ、あつぅいっ!!」

「くっ…!!でる…出るぅ…!!」

ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ…

「あ、ひ、ひぁあ…あっ、いっぱ、いっぱい…たいちょう、の…っ…」

「カンナ…すごいよ、腰…ぬけ、ちゃいそう…!」

 カンナの奥の奥で、大神は男根をうち振るわせて心ゆくまで爆ぜた。いつ以来か覚えてもいないほどに溜まった精水が…カンナの子宮口に殺到し、襞の隙間に浸透して…膣口からわずか、滲み出る。それだけ大量の射精であった。

 余韻に浸っている間もなく、カンナの両脚から力が抜け、ベンチの腰掛けに顔を埋めるようしゃがみこんでしまう。勃起したままの男根が抜け出るでもなく、大神も彼女にあわせてしゃがみこむ。

はあ、はあ、はあ…

 折り重なったまま、荒い息がかぶさる。それが絶頂へと登り詰めたなによりの証拠だろう。二人は尻を丸出しのまま…心地よく痺れた性器どうしを結合させたまま、あらためて余韻に浸った。

「カンナ…気持ちよかったかい…?」

「ん…ん…。」

 大神の問いかけに、カンナは幸せそうな微笑を浮かべて小さくうなづいた。その微笑が持て余した快感で微かにしかめられると、ボッ…と頬が熱くなる。射精された熱が身体中に回ったらしい。まるで体奥に火がついたかのように熱い。

「隊長、あついよぉ…。まだ入ってるね…オレの、なかに…」

「うん、まだ…抜けてない。萎えもしないよ、カンナの中、気持ちいいし、かわいく鳴くから…。本当にかわいいよ、ふふっ、こんなにちっちゃくなってると、まるで子猫だね…オレの、カンナ…」

 そっと下腹を押さえて愛おしくつぶやくカンナに、大神は小さくささやいてから再び乳房を両手にした。迫力の乳房でありながら、今や物凄いほどの熱を内側から放っている。

「隊長…あの…もう一回っての…ダメか?」

「カンナ…」

 よほどまぐわいが気に入ったのか、カンナは火照りきった顔で振り返り、そうせがんできた。だらしなく甘えるような顔は、まだ雄々しい彼女に立ち直っていないことを示している。

 大神は乳房をゆっくり揉みながら、カンナのおねだりに目を丸くしてしまった。こんな場面でも人なつっこいことに気づき、愛しさが増す。

「い、イヤならいいんだけど?」

「…ううん、カンナの気が済むまで相手してあげるよ。部屋へ行こう?」

 大神はカンナの求めに快諾すると、名残惜しむよう時間をかけて彼女から抜け出た。づぽ、と栓の抜けるような音とともに、二人の睦み合った証がコプン…と溢れ出てくる。

「立てるかい?」

「…悪い、立たせてくれるか?」

 脱がされた稽古着や下着を片手に、肩を貸してもらって立ち上がるカンナ。そのまま見つめ合って微笑むと、思い出したように口づける…。

「隊長、子猫みたいにあまえるオレって…やっぱ気味悪いか?」

 よろ、よろ、と中庭を並んで歩きながら、カンナはおもむろに問いかけてきた。大神の方を見ようとせず、前を向きつつ鼻の頭の汗を拭ったりしている。

「…オレと二人きりの時は…子猫のように振る舞うことを許可しよう。」

「…それも命令ってか?」

「…命令だっ。」

 そう大神が言いつけ、カンナの頬を指先で突っつくと…カンナは真夏の太陽のように爽やかな笑顔で大神の額を指で弾いた。

 大神への愛情で潤んだ両目には…もう傷ついた心は見えなかった。

「へへっ、了解、隊長っ!!」

 

 

 

 おわり。

 

 

 

 

 


(99/02/11update)