かわるシアワセ

07

作者/大場愁一郎さん

 

「…しよっか」
「うん…」
 濃密な愛欲に意識がぼやけてきたところで、シンジは唇どうしを触れ合わせたままアスカを誘った。アスカも素直に応じ、二人はもう一度だけしっかりとキスする。
 キスの余韻に小さく舌なめずりしながら、シンジはアスカの脚の間で一旦膝立ちとなり、背後からタオルケットを手繰り寄せた。それをてきぱきと何枚かに畳み、小さなクッションにしてアスカに手渡す。
 アスカはブリッジするように腰を浮かせると、タオルケットのクッションをその下に置いた。これで背中と腰には高低差が生じるから、M字開脚の窮屈さも和らぐのだ。シーツを壊滅的に汚すこともなくなるから一石二鳥でもある。
 アスカがあらためてM字開脚の体勢になったところで、シンジも膝立ちの脚を開いて高さを整えた。反り返ろうとするペニスを右手で水平にし、そっと腰を寄せてアスカの裂け目にあてがう。
 シンジはアスカの強い要望もあって、恥丘までしか見ないようにしているから、挿入までのプロセスはすべてペニスの感触が頼りだ。もっとも、普段通りに避妊の用意はしないから、感触だけでも十分ではある。
「ああん、く、くすぐったいっ…!」
「我慢してよ…」
 亀頭が触れたのはちょうどクリトリスの真下であったため、アスカは両手で乳房を隠しながらかわいくむずがる。シンジは苦笑しながら亀頭を裂け目に埋め、ゆっくりと割り開くように下降させていった。ちょうど温めたナイフで、バターに切れ目を入れるような感じだ。
 程なくして、熱いぬめりにまみれた亀頭は裂け目の下端に辿り着いた。その奥にささやかなくぼみを探り当て、シンジはワクワクとした期待に胸を逸らせる。
 そのくぼみこそがアスカの膣口であった。数ヶ月前に処女を散華させ、以来何度も何度も交わり合ってきているアスカの華筒への入り口である。
 アスカの膣口は不規則にすぼまりを繰り返し、来るべき瞬間を今か今かと待ち焦がれているようだ。今度はシンジがその感触にくすぐったさを覚えてしまう。
「入るね」
「うん…」
 シンジは一言確認して、そっとアスカの方へ身を乗り出すようにした。ツヤツヤのパンパンに膨張している亀頭は、それだけでヌルッとアスカの膣内に没入する。
「あああっ…!」
 シンジもアスカも異口同音、結合の悦びによがり声をあげた。
 とはいえ、ペニスはまだ数センチほどしか挿入を果たしていない。
 シンジはきつく目を閉じて膣内の快適さに浸りつつ、両手をアスカの横に突いてさらなる挿入を再開する。亀頭がまるまる没入したわけだから、添えていた右手を離したところで、ペニスは反り返って抜け出たりしない。
 亀頭が膣口をくぐってから、一センチ、二センチ、三センチ、と少しずつ。
 太々とたくましいペニスは、ぬかるむような水音を立てながらゆっくりとアスカの膣内に挿入されてゆく。
「あっ…あっあっ…や、太いっ…ん、んんっ…!」
「んっ…く、ふふっ…!ん、んんっ…」
 それに合わせて、顔をしかめたり、くすぐったそうに笑ったり。
 アスカもシンジも、挿入の感触に百面相しながらよがった。別に痛みを覚えているわけでもないのに、油断するとついつい呼吸を我慢してしまう。なんともいえない幸せな心地に胸が詰まるのだ。
 そして、シンジが両の肘を突いてアスカに寄り添ったところで、亀頭は膣の行き止まり付近に辿り着いた。行き止まりというには語弊があるが、太々としたペニスにしてみれば、子宮口は行き止まり以外のなにものでもない。
「はふぅ…ん、んっ…あったかくって、いい気持ち…」
「うん…ホント、あったかい…今日は特に、いっぱいになってるの、わかる…」
 シンジもアスカも、深く繋がり合った心地良さに感動しきりとなった。誰に聞かれたわけでもないのに、その悦びが口をついて出る。
 シンジはそのぬくもりと、ヌメヌメと絡まりついてくる襞の感触に陶酔した。童貞卒業の瞬間を迎えたわけでもないのに、どうしようもなく胸が逸る。うっとりと惚けた表情のまま、先程から恍惚の溜息が止まらない。
 アスカはそのたくましい存在感と、子宮口を圧迫されるくすぐったさに愛くるしく目を細めている。しゃっくりのように無意識に膣口を収縮させるたび、シンジの太々としたペニスが、ヴァギナ全体をキツキツに押し広げているのが生々しくわかった。シンジとセックスしている実感に、歓喜の溜息が止まらない。
「なんだよアスカ…溜息ばかりついて」
「だって、嬉しいんだもん…シンジだって、さっきから溜息ばっかり」
「え、そ、そうかな…あんまりあったかくって、気持ちいいから…」
「…一緒ね」
「…一緒だね」
 二人は照れくさそうに睦言を交わして見つめ合い、そっとキスした。その繋がったままで交わす幸せなキスひとつでも、アスカの膣口はきつく締まり、シンジのペニスは強く漲る。二人の若い身体は、どこまでも相性ぴったりであった。
 しばし薄膜をたわませてじゃれ合ってから、二人はわずかに唾液の糸を引かせてキスを終えた。その痺れるようなキスの余韻を味わいつつ、シンジはゆっくりとグラインドを開始する。
 膣の中程まで亀頭を戻してから、奥へ、奥へ、奥へ。
 浅いストロークと単調なグラインドで、ひとまずシンジはアスカの膣内の快適さを堪能した。
 シンジが奥の奥まで挿入を果たした途端、アスカの膣はそのサイズと逸り水に鋭く反応していた。初めての男であるシンジを歓迎するよう、しっとりと絡まり付いたのだ。
 女性器は、初めて没入し、初めて精を注ぎ込んだ男のことを永遠に記憶し続ける。その男がひとたび没入すれば、たとえ年数や経験を重ねていてもすぐにその記憶を呼び戻し、優しく馴染むのだ。
 アスカは処女を捧げたのも、精を受け入れたのもシンジであるから、その馴染み様は素晴らしかった。背の高い襞の群れはペニスの形に添ってすがりつき、シンジを精一杯悦ばせようする。しかも膣内は熱い愛液に満ちているから、挿入しただけでも夢心地を得ることができるのだ。
 これでなおかつピストン運動できるのだから、まさにシンジは絶世の果報者であった。
 マスターベーションでは絶対に得ることのできない快感に、シンジは唇を噛み締めて悦に入る。それでも持て余すほどの心地良さに、声はどうしても漏れ出てしまった。
「んっ、んっ、んっ…ん、んんぅっ…!ふぁ、気持ちいい…気持ちいいよぅ…」
「もう、シンジったら…だらしない声出しちゃって。そんなに気持ちいいのっ?」
「そりゃあもう…アスカの中、なんだかしゃぶりついてきてるみたいでっ…」
「や、やだっ、ヘンなこと言わないでよぅ…恥ずかしい…」
 ピストン運動を楽しみつつ、二人は左の頬どうしを擦り寄せて仲睦まじくおしゃべりする。アスカもシンジも、この幸せなひとときが大好きだ。
 アスカの場合は、セックスを覚えたばかりの頃は破瓜の痛みでそれどころではなかったが、今ではもうシンジのだらしない声に愛おしさを覚えるほど余裕ができている。
 とはいえ、さすがに膣内の感触を説明されては恥ずかしい。アスカは名器と褒め称えられながらも頬を染めて恥じらい、照れ隠しでシンジの頬にキスした。
 やがてシンジは肘を突いている両手で、アスカの肩をすくい上げるように抱いた。アスカもそれに応じて、シンジの背中を抱き寄せる。
 裸の胸がぴったり合わさったところで、シンジはアスカに身体を擦り付けるようにグラインドした。腰だけでなく身体全体で動き、膣の深部を強く突き込むようにする。
 こうすることによって、身体中でセックスの実感を覚えることができるのだ。動く側のシンジにしてみれば運動量は多いが、それに見合う以上の快感を得ることができるから気にはならない。アスカの乳房が胸板に密着したまま柔軟にたわむ感触も、男心までゾクゾクするほどにくすぐったい。
「アスカ、アスカッ…アスカッ…!」
「あんっ!んぁ、ああっ…んぅ、んんうっ…!し、シンジ、いい、いいっ…!」
 シンジは身体の前面すべてで女性の抱き心地を堪能しつつ、愛おしさにまかせて少女の名を連呼した。アスカはシンジの身体をしっかりと抱き寄せ、くすぐったそうに頬摺りに応じつつ盛んに嬌声をあげる。
 身体を擦り寄せ合う正常位は、アスカのお気に入りの体位であった。
 いつでも頬摺りできるし、キスしたくなったらすぐにキスできるし、甘えたいだけ甘えられるからすぐに好きになった。ペニスの突き込んでくる力が増すために、初めのうちは遠慮がちであったものの、今ではその力強いピストン運動も快感となるから大歓迎だ。
 なにより、裸の身体全体を使ってのスキンシップが、なんともいえない居心地の良さを生み出してくる。この大胆な触れ合いによって、愛撫で敏感となった肌はたちまち嬉しいくすぐったさで満たされてくるのだ。
 分かち合うぬくもりも心地良くて、実に落ち着くことができる。暑気のためにいつも汗びっしょりになってしまうが、それすらもアスカは厭わなかった。むしろシンジとの一体感が増すようで嬉しい。
 嬉しいから、気持ちよくなれる。
 まさにアスカは性の悦びの真髄に触れていた。感じるがまま、気取りもてらいもなくよがり鳴く。その快感に急かされるよう、膣口は無意識にシンジのペニスを締め付けた。
「シンジ…シンジ、シンジッ…んぁ、ふふっ…もうあたしたち、汗でびちょびちょ…」
「はふ、はふ、はふ…うん…」
 アスカが自分たちの汗ばみように微笑むと、シンジはグラインドを止め、忙しなく呼吸してうなづいた。アスカのかわいい連呼に高ぶり、ついつい夢中になったのだ。
 激しい運動を強いたために、腹筋や両脚が泣き言をあげてきている。そんな中ペニスだけは快感に酔いしれ、アスカの膣内にたっぷりと逸り水を漏出していた。
「疲れちゃった?」
「さすがにね…ちょっと、張り切り過ぎちゃったかな、だらしない…」
「ううん、そんなことないわよ。シンジにしては頑張ってる」
「えへへ、ありがと」
 二人は頬摺りしながら睦言を交わし、阿吽のタイミングでキスした。
 キスしたいときにすぐキスできるというのは、本当に幸せなことだ。
 アスカもシンジも、じゃれつくようにバードキスを交わしながらそう実感した。その幸福感ごとついばむよう、二人は欲張りな唇を何度も何度もたわませ合う。鼻からは恍惚の溜息が漏れ出て、互いに火照る頬をくすぐった。
 キスして一休みしているうちに、シンジの足腰の疲労感や、ペニスに募ってきた射精欲はわずかに落ち着きを取り戻してくる。
 シンジはアスカの唇を割り開くようについばんで、そっと頭を上げた。すっかりご満悦といった様子のアスカと笑みを交わし、もう一度頬摺りするようにうなだれる。
「…アスカ、今度は浅いところもしてあげる」
「うん、お願い…って、ああんだめだめ、抜けちゃう!いや、抜いちゃいやぁ…!」
 シンジはゆっくりと腰を引き、亀頭の一部が露出するくらいにまでペニスを引き抜いた。
 アスカの膣口は、処女膜の名残でもある粘膜質の柔肉をわずかにめくり出しつつ、白みがかった愛液を内側からたっぷりと滲み出させる。ほんわりと湯気までのぼるその光景は、二人の仲睦まじいやりとりに反して物凄く淫猥だ。
 ところで、女性の膣口は骨盤底筋と呼ばれる筋肉で環状に構成されており、括約筋と連動して、肛門とともに収縮するようになっている。
 そのコリコリとした弾力に亀頭のくびれを締め付けてもらうよう、シンジは極めて短いストロークでペニスを出し入れした。
 膣口を押し広げて亀頭の端を露出させては、引き込まれるような滑らかさで挿入し、また膣口を押し広げて露出させては、滑らかに挿入し。これで亀頭と幹との境界部分は、膣口によって徹底的にしごき立てられる格好となった。
 亀頭と幹の境目付近、特に裏側の筋の部分は、ペニスの中でも敏感な場所だ。こと性感に関しては、亀頭そのものよりも敏感であるかもしれない。
「…あははっ、あ、アスカの入り口、きゅんきゅん締め付けてくるっ」
「やん、く、くすぐったい…!ちょ、だめえっ!」
「あ、あっあっ…うわぁ…ヌルヌルしてるから、すっごい気持ちいい…!」
「もう、やめてってばぁ!くすぐったいわよぅ…!」
 膣口の辺りだけに亀頭を往復させて、シンジは幸せそうな顔で悶える。アスカはアスカでくすぐったくてならず、相好を緩めながらもイヤイヤとかぶりを振った。
 とはいえ、くすぐったくて身じろぎすればするほど、膣口はアスカの意志とは無関係にきゅんきゅんと収縮してしまう。そのためにシンジは調子づき、嬉々としてアスカの膣口付近でピストン運動を重ねた。何度も何度も挿入の瞬間を味わっているかのようで、もう身体の芯がとろけてきそうなくらいに気持ちいい。
「アスカもこの辺、好きじゃなかったっけ?」
「やん…もう、知ってるくせに…そこよりもう少し奥っ」
「えへへ…じゃあ、今度はちゃんとしてあげるね」
「意地悪っ…ん、んんんっ…!」
 お互いに横顔にキスしてから、シンジは一旦膣の奥深くまでペニスを押し込んだ。不意打ち同然の深い挿入に、アスカはきつくシンジを抱き締めて身震いする。
 しばし子宮口付近のぬくもりに浸ってから、シンジは再び腰を戻していった。ぴったりとした吸い付きに逆らいながら慎重にペニスを引き抜き、膣口まで残り数センチのところで、目指していた感触を探り当てる。
 シンジの亀頭は、アスカの膣のへそ側に微かなしこりを感じていた。
 そのしこりは、ちょうど亀頭の表側と同じくらいの面積であり、意識を集中させなければ感じ取れないほどささやかなものだ。普通にピストン運動していれば、襞の群生状況も他と変わらないから見落としてしまうことだろう。
 そんなささやかなしこりではあったが、アスカにとっては強烈な性感帯であった。
 そこはGスポットと呼ばれる部分であり、俗説では七割弱の女性のみしか有していないといわれる性感帯である。その感度はクリトリスよりは鈍いものの、生じる快感はあたたかくて優しい。
 実際、シンジが探り当てただけでも、アスカは鼻にかかった声でうめいたほどだ。
「…お待たせ、アスカッ」
「う、うん…いっぱい…いっぱい、して…」
「いいよ、いっぱいしてあげる」
 シンジは頬にキスしながらアスカのおねだりを承諾すると、そのしこりの前後だけに穏やかなピストン運動を繰り出した。
 穏やかとはいえ、ただ往復するだけではない。上下左右と微妙に腰の位置をずらし、亀頭が膣壁に擦れる部分をランダムにさせる。
「あんっ!あっ、ああっ…あああっ…!!い、いいっ、いいっ…!!」
「アスカ…僕も、気持ちいいよっ…アスカッ…」
「あんっ!ああんっ!!ひぅ、ひうんっ…!だ、だめ、だめえ…!!」
 アスカはシンジにしがみつき、きつく閉ざしたまぶたから随喜の涙を滲ませてよがり鳴いた。シンジもアスカに頬摺りしながら、熱い吐息を弾ませてせつなげによがる。
 貪欲な性行為に没頭していった二人からは、自然と笑みが失せていった。アスカもシンジもはつらそうに顔をしかめ、中枢に染み込んでくる濃密な性感に打ち震える。
 特にアスカのよがり様は普段以上であり、その嬌声は痛ましいほどであった。
 大きく膨張した亀頭がGスポットを擦るたびに、アスカはM字開脚の体勢のまま、どんどん縮こまってゆく。タオルケットで作ったクッションの傾斜もあり、今やアスカはシンジとの結合部をほとんど真上に向かせている。
 Gスポットを攻め立てられるピストン運動の心地良さに、膣口も元気いっぱいに収縮を繰り返した。それにあわせて膣もくねり、小刻みに往復するペニスに絡まり付いてゆく。
 そうなるごとに、Gスポットからの快感は強まっていった。ピストン運動が立てる淫らな水音すら遠く聞こえるようになるほど、意識は愉悦に飲み込まれてゆく。
 気持ちよかった。本当に気持ちよかった。
 まるで、身体中が性感帯になろうとしているかのように気持ちいい。
「ああっ!あうっ!ああんっ…!あ、いっ、いい…いいっ…い、イキそ…イキそうっ…」
 アスカは再び、シンジ以外の誰にも聞かせたくない弱音を口にし始めた。せつなげにしかめられていた顔も、今や迷子になって怯える子どものようになってきている。
 鼻の頭に汗を浮かべたシンジは、雄性としての動きを夢中で繰り返しながら、そのかわいい弱音になお強く愛欲を高ぶらせた。アスカの膣内に、精製したての逸り水を大量に漏出させてしまう。
 シンジも腰の動きにアクセントを付けたため、ピストン運動の心地良さがひどく増幅していた。亀頭のあらゆる部分が膣壁に擦れて刺激されるため、射精欲も小止みなくペニス全体に満ちてくる。
 それでいながら、アスカの膣は初めての男であるシンジにすっかりなついているのだ。群生している背の高い襞は、たっぷりと分泌した愛液にまみれてねっとりとペニスに絡み付き、しきりに射精を促してくる。
 その反応は、明らかに時間よりも回数を求めるものであった。まさに、新しい命を産み落とす女としての本能によるものなのである。
 アスカの女としての本能に、シンジの男としての本能も狂おしく触発される。
 アスカのGスポットと擦れ合ううちに、シンジのペニスはこれ以上ないほどにたくましく勃起をきたした。一週間ぶりの射精への期待を一杯に満たし、幹は長く、太く、固く漲る。亀頭もくるみ大ほどに膨張し、過敏を極めた。
 まだまだセックスを楽しんでいたいのに、もう数分も保ちそうにない。
「あ、アスカ…僕もイクよ…僕も…アスカの、中でっ…」
「うんっ…うんっ…!」
 シンジは押し寄せる射精欲にゾクゾクとした悪寒を覚えながら、頼りない声でアスカに宣告した。アスカはしきりにうなづき、膣内での射精を躊躇い無く承諾する。
 そのかわいい鼻声で、シンジの理性は射精欲に屈した。
 シンジは熱い吐息を震わせると、やおら引きつけを起こしたかのような動きでピストン運動を始めた。雄としての本能が全開となり、まさに交尾に耽る野犬のように吐息も荒ぶってくる。
 もう絶対に後戻りできないくらいに射精欲が募り、あごがわなないた。
「あ、アスカッ!アスカ、イクよっ!イクッ…イクッ…!!」
 シンジはきつくアスカを抱き締めながら、女の子のような声で叫んだ。とどめの一撃とばかり、極端な角度でペニスを突き込み、アスカのGスポットを強く擦り付ける。
 その瞬間、アスカはきつく目を閉じ、全身をゾクゾクと身震いさせた。
「い、イクッ!イクイクッ!!イクッ…んぁっ!!あああっ!!」
 アスカは女として生まれた悦びを心ゆくまでよがり鳴きにし、シンジの耳元に聞かせた。アスカは本日最初の絶頂に達したのだ。
 普段より一オクターブ以上も上擦った、淫らな鳴き声。
 急激な身体の火照り。膣内の灼熱。
 不安になるほどテンポの速い、膣口の締め付け。
 きつくしがみつく両腕。
 そんなアスカのしどけない反応を身体中で感じながら、シンジもまた限界を迎えた。
 力任せにアスカを抱き締めながら、彼女のGスポットに思い切りよく精液を噴出させる。
「んううっ…!!」
「あああっ!!」
「くっ!くううっ…!んっ…んんっ…ん…」
「あっ…!ああっ…!あっ…ああっ…あぅ…」
 シンジは驚くほど大量の一撃をアスカのGスポットに浴びせてから、夢中でペニスを深奥へと突き込む間に、二撃、三撃、四撃と盛大に射精した。シンジもアスカも、きつく抱き締め合った正常位での膣内射精に、すっかり夢心地となってよがり鳴く。
 そのまま二人で絶頂感を分かち合い、七秒、八秒、九秒、十秒と少々。
 それでようやく満足したのか、シンジの射精はゆっくりと終息を迎えた。シンジもアスカも陶然自失となり、ぐったりと抱き合ったままセックスの余韻に浸る。
 シンジは鼻声混じりの吐息を重ねながら、射精疲れで鈍く痺れるペニスをアスカの深奥にぐいぐいと押し付け、ひとり悦に入った。膣内で射精した後の、失禁にも似た独特のぬくもりがなんともいえず心地良くて、ついつい欲張りになってしまうのだ。
 気持ちよかった。本当に気持ちよかった。
 そのあまりの法悦に、シンジは射精の脈動一回一回すべてによがり鳴いてしまったくらいだ。しかもその絶頂感を伴う脈動は驚くほど力強く、かつ長時間に渡って続いたものだから、シンジの身体はすっかり虚脱感に包まれてしまう。
 そのぶん、事後の余韻は素晴らしかった。
 胸をいっぱいにしていた愛欲は絶頂感と共に解放され、今では爽やかな幸福感がその代わりとなって満ちてきている。シンジは繰り返し繰り返し安堵の溜息を吐いた。
 幸せだった。本当に幸せだった。
 射精を終えてなお、こうして繋がったまま抱き合っていられることが心から嬉しい。
「アスカ…」
 シンジは胸に満ちた幸福感に急かされるよう、甘えた声で呼びかけて彼女を抱き締め直した。セックスの余韻で幸せいっぱいになっている胸には、その名を口にするだけで照れくさいほどの愛おしさが湧いてくる。
 その愛おしさ余って、シンジはアスカにゆったりと頬摺りした。
 男として生まれて、本当によかった。
 アスカとセックスするたびに思うことだが、シンジは頬摺りのくすぐったさに酔いしれながら、あらためてそう実感した。
「ん、んぅう…くすぐったい…」
 ふとアスカは陶酔しきった猫撫で声でむずがった。シンジは慌てて頬摺りを止め、焦れったそうに息をつく。
「…頬摺り、今はダメ?」
「んぅ、そうじゃなくって…あんまり、奥の方ぐいぐいしちゃ…」
「え…あ、ご、ゴメン…」
 アスカの言葉の意味に、シンジはたちまち恥じ入ってわずかに腰を引く。
 すっかり夢中になっていて気付かなかったが、シンジは先程からずっと、とろけるほどに灼熱しているアスカの子宮口付近をペニスの先でくすぐっていたのだ。これはあくまで深い挿入感が心地良かったからであり、悪意があってのことではない。
「…気持ちよかったわよ、シンジ」
 アスカはそう言うと、すぐに気を遣ってくれたシンジの優しさに微笑み、ゆったりと頬摺りを返した。シンジも今度は安心して、あらためて頬摺りを楽しむ。
 アスカも絶頂に達しはしたが、それはまだ本当のエクスタシーではなかった。失神を伴わない、あくまで軽めの絶頂感を得ただけである。
 それでも、十分に気持ちよかった。否、今でもまだ気持ちいい。熱く火照った身体中は、まだ少しくすぐったいようにフワフワとしている。
 この何気ない頬摺りも、まだ身体中が性感帯のように敏感になっているアスカには立派な後戯であった。おかげで膣口は相変わらず元気に収縮し、シンジのペニスの根本付近をきゅんきゅんと締め付ける。太々とした感触を事後の膣でもいっぱいに感じて、アスカは再び照れくささをぶり返した。
 その照れくささも、セックスの余韻と混ざり合えばたまらない幸福感になる。終わってもなおこうして抱き合い、頬摺りして甘えていると、シンジのことが今まで以上に愛おしくなってきた。
 やはり、二人でいれば、ずっと幸せでいられるのだ。
 アスカはそう確信し、感涙に潤んだ瞳を閉じて溜息を吐いた。思わず涙腺が緩み、嬉し涙が一粒頬を伝い落ちる。
「シンジ…ねえシンジ、キスして…」
「うん…」
 アスカは頬摺りしながらもどかしそうに言うと、シンジはすぐに頭を上げ、吸い付くように唇を重ねた。そのままお互いにモグモグとついばみ合い、セックスの余韻を情熱的に楽しんでゆく。アスカもシンジも、それぞれ胸に募った愛おしさのままにキスしたため、そのひたむきな想いはいや増すばかりであった。
 やがて息が続かなくなって、二人は一分ほどの長いキスを終えた。セックスを終えた直後のキスはたまらなく胸が和むため、ついつい長引いてしまうのだ。
「えへへ…僕も、すっごい気持ちよかった…」
「でしょうねえ、びっくんびっくんしてたもん…いっぱい出したんでしょ?」
「うん…一週間以上しなかったこともあるのに、今日はなんでこんなに出たんだろ…」
「…やっぱりファーストに言っちゃおう。ファーストには命令無視して、あたしにはたっぷり出したって」
「だ、だから綾波は本気にしちゃうってば!!」
 キスを終えるなり、二人は仲睦まじくおしゃべりして笑みを交わした。セックスに没頭していたときの濃密な雰囲気は失せ、普段通りの清々しい雰囲気がにわかに戻ってくる。
 気持ちが冷静になれば、それまで感じなかったことにも気付くようになる。
 二人はふと汗ばんだ身体に肌寒さを覚え、揃ってベランダの方を見た。開け放たれたベランダの窓からは、相変わらず爽やかな風が吹き込んできている。
「…汗かいたら、ちょっと冷えるね。閉めよっか」
「…それよりも、第二ラウンドいかない?そうしたら、そんなの気にならないわよ?」
 シンジが両手を突いて上体を起こすと、アスカは不敵に微笑んでそう誘いかけた。少し気取ってウインクしながらも、照れくさそうに上気している頬を見れば、やはりアスカも十四歳の女の子だということがわかる。
 もちろんシンジも十四歳の男の子だから、そう言われて照れないはずがない。やはり頬を熱くしながらも、苦笑を浮かべてアスカを見つめる。
「…すぐに大丈夫?」
「ちょっと喉が渇いたけど」
「じゃあ、少しだけ一休みしようよ」
「あんたは拭いてなさい。あたしがなんか持ってくるわ」
「アスカもちゃんと拭いてからだよ」
 てきぱきと段取りをつけると、二人はひとまず結合を解くことにした。
 シンジは膝立ちに身を起こすと、右手でペニスの根本を摘んでゆっくりと腰を引いていった。ペニスはわずかに勃起を和らげつつあるが、アスカのヴァギナはぴったりと吸い付いてきているために、引き抜くにも相応の力がいる。
「うわぁ、きゅうきゅうに吸い付いてるから…んんっ…」
「あんっ…や、やだ、変な音っ…」
 精液と愛液にまみれたペニスがようやく膣内から抜け出ると、膣口からは少しくぐもった空気音が漏れた。ぴったりと密封状態になっていたためであるが、アスカはたちまち真っ赤になって恥じらう。二回目を誘いかけたときの不敵な笑顔はどこへやら、である。
 シンジがアスカのためにティッシュを引き出している間に、彼女は照れ隠しのつもりもあって、さっさと身を起こして冷蔵庫へ向かってしまった。仕方なくシンジは自らのペニスを丹念に拭い始める。
「ひゃ、ひゃ、こぼれるこぼれるっ…!!」
 ほどなくして、アスカは冷えた缶入りスポーツドリンクを両手に一本ずつ持ち、騒々しく駆け戻ってきて布団の上に正座した。その缶を無造作に放るところから、こぼれると騒いでいるのはスポーツドリンクではないことがわかる。
 その空いた手で、アスカは慌ててティッシュを引き出し、股間にあてがった。
「…ま、間に合ったわよね」
「だから、ちゃんと拭いてからって言ったのに。全然間に合ってないよ」
「え…う、うそ!あんなにこぼれてたの!?」
 シンジの溜息にアスカが振り返ると、リビングのフロアーには白濁した粘液がポタポタと落ちていた。もちろん、それはアスカの裂け目からフローバックによって溢れ落ちたシンジの精液だ。比較的浅いところで射精されたために、当然フローバックも早い。
「…後で拭いときなさいよね。あれ、あんたが出したものだし」
「な、なんで僕がやんなきゃいけないんだよっ!アスカがちゃんと拭いてかないからだろっ!!」
「もうちょっと我慢して、奥の方に出してれば問題なかったのよっ」
「アスカが、浅いところが好きだって言うからそこに集中したんじゃないかっ!」
 布団の上で正座した二人は、スポーツドリンクで喉を潤しながら、しばし痴話喧嘩に花を咲かせる。
 もちろん水拭きすればすぐに取れるものであるから、二人とも本気で憤慨しているわけではない。あくまでじゃれ合いの延長だ。そのうちどちらからともなく腕やら胸やら脇腹やらを突っつきだして、文字通りのじゃれ合いとなる。
「…あんたのことは、別に好きだとかは思ってないけど…」
 先にスポーツドリンクを飲み干したアスカは、やおらそう切り出して仰向けに寝そべった。枕に置いた頭の位置を整え、腰の下のタオルケットも退けて、大きく伸びをする。
「…こうして、一緒に過ごしてるのは好き。すごく好き。大好き」
「アスカ…」
 アスカは照れくさそうに目を細めながらも、はっきりとした口調でそう告げた。シンジは飲み終えた空き缶をアスカのそれと並べながら、茫然とした目で彼女を見つめる。
 それは、シンジも同じであった。ただ、その気持ちを今まで言葉にしたことはなかったぶん、こうしてアスカに言われると、まるで告白されたかのように胸が高鳴ってくる。先程まで快適だった胸も、たちまち内圧を高めてせつなく詰まってきた。
「僕も、好きだよ…」
 シンジはアスカの右側で肘を突いて横臥しながら、どこか思い詰めた声でそう言った。その途端アスカは顔を赤くして視線を逸らし、左手で胸の真ん中をそっと押さえる。
「…あんたの好きは、何が好きなのよっ…」
「えっ…え、えっと…」
「は、はっきりしなさいよっ…ホントに男らしくないんだからっ…」
 真っ赤になって言葉を詰まらせるシンジに、アスカは少しふてくされたような早口で吐き捨てる。
 アスカの吐息には、早くもせつなげな鼻声が混ざってきた。何気ない気持ちでつぶやいた言葉が、普段通りのやりとりの果てに、まさかこんな展開になるとはまったくの予想外であった。シンジから目を逸らしながらも、胸は張り裂けそうなくらいにせつない。
 いったい、シンジがどう言えば彼を罵らずに済むのだろう。
 心中にそう問いかけると、アスカはたまらなくなって目を伏せた。愛おしさ余って錯乱している自分が情けないが、もはや平静は取り戻せそうにない。
 そんなアスカを前に、シンジは覚悟を決めた。喉を鳴らして生唾をひとつ飲み、そっと右手でアスカのあごの線に触れる。
 アスカはぴくんと身を震わせ、青い瞳でまっすぐにシンジを見つめた。
「…僕は…アスカが好きっ…」
「んんっ…」
 シンジは無我夢中の告白をアスカに口移しした。ふんわりと唇どうしがたわみ合って、アスカはかわいい鼻声で鳴く。
 無我夢中とはいえ、出任せなどではない。
 人間としてのアスカも。
 アスカとのユニゾンも、おしゃべりも、喧嘩も、キスも、セックスも。
 そうやって過ごす、アスカとの時間も。
 何もかもが、今のシンジに必要不可欠なものだった。依存するわけではなく、ただ純粋に愛おしく、何をさしおいても守り抜きたいと思えるものなのだ。
 この気持ちが恋と呼べないのなら、なんと呼べばいいのだろう。
 シンジにはそれ以外の想いが浮かばなかった。だからこそ、無我夢中で告白したのだ。
「…すふ、すふ、すふ…」
「…はぁ、はぁ、はぁ…」
 ささやかなキスではあったものの、唇が離れた途端に、シンジもアスカも忙しなく呼吸を繰り返した。
 熱っぽい眼差しで見つめ合ってしまえば、そのまま言葉もなく時間だけが過ぎ去るのみとなる。お互いに想いは混迷を極めたために、ユニゾンによる以心伝心も作用しない。
「…ま、まあね」
 アスカはぎこちなく微笑みながら、ふとそうつぶやいて間をおいた。
「あんたの気持ちは嬉しいけど…嬉しいんだけど…あんた、片思いのままよ?あたしは…あんたのこと、嫌いじゃないってだけで…」
「わかってる。僕がアスカのこと好きだからって、それで何かしたいとか、何かしてほしいとかは思いつかないし。だから、ずっと今のままでもいいよ」
「シンジ…」
 アスカがしどろもどろで弁解すると、シンジは優しい口調で語り、はにかんで笑った。
 その笑顔は、二人きりのときにはいつでも見せてくれる、どこまでも自然な笑顔。
 その顔でそう言われて、それ以上何か言うのは野暮で無粋なだけである。アスカは大切なその名を愛おしむように呼び、そして小さく苦笑した。
 やっぱり、そんなシンジが羨ましい。こんな自分が悔しい。
「…負け惜しみ言っちゃって」
「負け惜しみじゃないよぅ…」
「じゃあ…その負け惜しみじゃない気持ち、一応受け入れてあげる」
「えへへ…嬉しいっ」
 そんないたいけなやりとりを交わして、二人はもう一度キスした。せつなく詰まった胸は、それでたちまち穏やかに和む。
「ん、んっ、んっ…んふ、んんぅ…」
「んぅ、んぅ、んぅ…すふ、すふ…んむっ…」
 二人は静かに目を伏せて、しばしバードキスに耽った。
 丁寧に唇をついばみながら、シンジは左手をアスカの首の下に忍ばせ、そっと肩を抱き込んだ。右手は火照った頬、首筋、二の腕と、いまだ絶頂の余韻の残る少女の柔肌を丹念に撫でさすってゆく。
「んんぅ…んぅ、んぅう…んふ…んぅ、んぅ…」
 アスカはくすぐったそうにむずがったりせず、甘えんぼなさえずりに鼻息を震わせた。平静を取り戻すより先に、少女の身体はセックスの期待感を呼び戻してしまい、たちまち焦れったい性感を生じさせてきたのだ。
 その愛撫による性感は、すぐさまクリトリスに募って凝縮する。先程絶頂に達したばかりだというのに、もうアスカの女芯は勃起をきたし、せつなく疼き始めた。アスカはモジモジと太ももを摺り合わせて、その疼きをなだめようとあがく。
 アスカのかわいい鼻声と身悶えに高ぶり、シンジの鼻の頭には再び汗の粒が浮かんできた。鼻からせつなげに溜息を吐くと、シンジは愛撫の手を彼女の乳房へと移す。
「んんっ!んっ、んんっ…!んっ、んっ、んっ…!」
 シンジは愛欲に駆られるまま、アスカの左の乳房を大きく包み込み、やがてゆったりと反時計回りに揉み転してゆく。バードキスもついばむだけでなく、大きく甘噛みするように繰り出すと、アスカは身じろぎしながら夢中でよがった。
 乳房の揉み心地。
 唇の柔らかみ。
 かわいいよがり声。
 汗の匂い。
 寄り添う肌と肌のぬくもり。
 そして、胸いっぱいの愛おしさ。
 シンジはそれらすべてに感動と興奮を覚え、再びペニスを隆々と勃起させる。射精疲れによる鈍い痺れもきれいに消え失せ、ペニスは若々しい愛欲で元気良く漲った。
「んっ…んぁ、んむ…んっ…んっ…んっ…」
「んぁ…ん、くっ…んふ、んふ、んふ…」
 アスカも、このままシンジに愛撫されてばかりいるつもりはなかった。
 アスカは大胆なバードキスにしっかり応じながら、右手で勃起しきりとなっているシンジのペニスに触れた。とはいえひとまず触れてみただけで、その手は向こうの陰嚢を掌に納める。盛大な射精で負荷がかかったために、二つの睾丸は先程より幾分大きくなっているように思えた。
 その緊張した様子を解きほぐすよう、アスカは掌の上で丁寧に丁寧に陰嚢を撫で転がした。捧げ持った手のひらを前後左右に傾げては、ころんころんと転がして二つの睾丸を弄ぶ。
 ひとしきり弄んでから、今度はその睾丸を片方ずつ指で摘み、そっと押さえて張りを確かめた。それに飽きたら二つ丸ごと掌に納め、揉み込んで摺り合わせたりもする。
「んんっ…んんぅ…」
 触れられるのはかまわないが、あまり刺激されると下腹部に鈍痛が拡がってくる。
 シンジはアスカの愛撫に吐息を震わせ、イヤイヤ小さくかぶりを振って拒んだ。それを唇に感じて、アスカはまた素直に掌の中で睾丸を撫で転がし始める。
「…ねえシンジ、次はどうしたい?もう一回、おねだり聞いてあげる」
「ど、どうしたの、アスカ…気を遣ってくれるのは嬉しいけど…」
「べ、別にいいじゃない…ねえ、おねだりはないのっ?」
 ふと唇をすぼめてキスを中断してもらうと、アスカは人なつっこい笑みを浮かべてシンジに尋ねた。戸惑い半分でシンジが言うと、アスカはやおらふてくされたようになり、早口で質問を重ねる。
 せっかくの申し出を無下に断るのももったいないと思い、シンジはなんとなく視線を天井に向けておねだりを考えた。アスカとの睦み合いはどれでも気持ちよくなれるから、あえてこれがしたい、とは思いつかない。
 しかしそのとき、愛欲に満ちた胸の中に、ふと大胆な想いが拡がった。シンジはささやかな良心の呵責を覚えながらも、慎重に言葉を選ぶ。
「え、えっと…じゃあ、もう一回エッチしたいんだけど…ダメかな」
「…あんたって欲がないのね。まあいいけど?セックスならあたしも好きだし」
「えへへ…まあ、夜もあるしね」
「前言撤回っ。あんたってやっぱり欲張りね」
「な、なんだよっ、アスカだってそのつもりだったんだろっ?」
 普段通りの何気ないやりとりを交わして、二人は再びキスした。
 セックスするのであれば、それに必要なだけ気分を高ぶらせたい。
 アスカもシンジも同じ思いを抱くと、じゃれ合うようなバードキスから、やがてセックスを期待させるディープキスに切り替えた。唾液に濡れた舌を丁寧に絡め合わせ、互いに愛欲を燃え盛らせてゆく。
「ん…シンジも、こっち…」
「うん…」
 舌先を触れ合わせたまま、アスカが甘えんぼな声でねだる。
 シンジは一旦ディープキスを中断すると、自らも枕に頭を預け、アスカと向かい合うように横臥した。左の二の腕は枕の下端に添えて腕枕にしながら、アスカの左の肩をぐっと抱き寄せる。
 それでアスカも嬉しそうに目を細め、あらためてディープキスを欲張っていった。積極的にあごを突き出してシンジと唇を塞ぎ合い、舌を絡める。
 ゆったりと寄り添ってディープキスを楽しみながら、シンジは右手の中からアスカの乳房を解放し、代わりに人差し指で乳首に触れた。アスカの乳首はすでに和らぎ、元の耳たぶほどの柔らかさに戻っている。
 その乳首をくすぐるような指使いで前後に弾いたり。
 指の腹でおしつぶしながらクルクルとこね回したり。
 親指と人差し指でつまみ、小刻みに引っ張ったり。
 あるいは乳輪を指先でなぞったり。
 アスカに気持ちよくなってもらいたい一心で、シンジは乳首をいじった。ディープキスの舌使いも、愛欲の燃焼に合わせてねちっこくなってゆく。
「んっ…んっ、んんんっ…!」
 和らいでいるとはいえ、乳首の感度は相変わらず普段以上のままだ。
 シンジの念入りな愛撫に、アスカは鼻にかかった声で甘ったるくうめいた。くすぐったさでは済まない明確な性感に、膣口がしゃっくりのように収縮を始める。
 新たな愛液も精製されてきたために、また精液がフローバックして溢れ出てきた。太ももの付け根に伝わってきた生ぬるい感触に、アスカは耳まで真っ赤にして恥じらう。
 それでも、シンジと気持ちよさを分かち合いたい。一緒に気持ちよくなりたい。
 そんな愛欲をディープキスの舌使いにこめながら、アスカはじゃれつくように弄んでいたシンジの陰嚢を左手に持ち替えた。右手はおずおずとペニスに触れる。親指以外の四本の指で、根本の辺りからゆっくりと幹を撫で上げてゆき、やがて腫れ上がったかのように膨張している亀頭をおもむろに握り込んだ。
 アスカはまず、そのぬくもりと、ツヤツヤとした手触りをしきりに撫で回して確かめた。これが自分の奥深くまで入り込んできているのかと思うだけで、膣口はペニスを恋しがってきゅんきゅんとすぼまる。
 それから、アスカは表面積の広い亀頭の表側から手の中に包み込んだ。
 そのまま親指と人差し指で輪っかを作り、亀頭部分だけをしごいたり。
 愛おしむように、確かな力で亀頭を揉み込んだり。
 中指の先で、小さな鈴口から裏側の筋にかけてを繰り返しなぞったり。
 やはり中指の先で、亀頭と幹の境界部分を何度も周回したり。
 アスカは経験に照らし合わせて、おおよそシンジがよがってくれそうな部分を執拗に愛撫した。募る愛欲で、鼻息は荒ぶるばかりである。
「んんっ!んっ、んんんっ…!すふ、すふ、すふ…んぅう…」
 アスカの愛欲は、情熱的なディープキスとペッティングで十分シンジに伝わった。シンジはアスカ以上に切羽詰まった声でよがり鳴き、ペニスを痛いくらいに漲らせる。
 悠然と伸び上がるように勃起しているペニスは愛撫に酔いしれ、その中央を貫いている太々としたパイプをぴくんぴくん脈打たせた。やがてそのパイプの中をせつない感触がせり上がってきて、シンジはディープキスしたまま恥ずかしげにうめく。
 そして、そのせつない感触が再びペニスの先で小さく弾けた。途端に、アスカの愛撫に粘つくような水音が混じってくる。
「ふふっ…シンジも、濡れてきちゃった…」
 アスカはディープキスを終えると、内緒話するような声で悪戯っぽく笑った。
 アスカ自身もシンジの愛撫で潤い、乳首もツンツンにしこらせているから、別に揶揄したりはしない。むしろ同じペースで高ぶっていることが嬉しくて、うっとりと陶酔の溜息を漏らしてしまう。
「シンジもって…アスカも?」
「確かめてもいいわよ?その代わり…優しくね…」
「…アスカも、あんまり激しくしないでよ?」
「うん…」
 二人は目と鼻の先で見つめ合い、声を潜めて打ち合わせてから小さくキスした。

つづく。

 


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(updete 2004/03/06)