ラブひな
■浦島、抜け!■
-Mouth with Mouth(11)-
作・大場愁一郎さま
「じゃあ…一緒にしようか?」
「あ、んっ…ぷぁ…い、一緒…?」
「うん、一緒。」
しおらしい様子で奉仕を申し出る素子に、景太郎はそう誘いかけながら唇を寄せ、小さくキスした。言葉の意味が解らず、予想外のキスで胸を高鳴らせるだけの素子に景太郎は変わらぬ口調で復唱すると、やおら仰向けに寝そべってしまう。四肢の緊張をほぐすようにゆったりと伸びをし、枕に頭を落ち着けてから素子に微笑みかけるが…その屈託のない無邪気な笑顔は、ますます素子の胸中にクエスチョンマークを増殖させる。
「う、うらしま?」
「だから一緒に…口でセックスしよう?」
「く、口で…せ、セックス…!?」
「そう。シックスナインっていうんだけど…これなら二人で気持ちよくなれるだろ?」
「しっくす…ないん…?」
「だから…その、数字の6と9の形って…ほら、こうして二人で互い違いになって…」
かああっ…
自分で誘いかけておきながら、景太郎は気恥ずかしそうに説明を濁してしまう。それでも素子には十分意味合いが伝わったらしい。素子は湯気が出そうなほどに顔面を紅潮させると、火照る頬を両手で押さえ、きゅっと目を閉じてイヤイヤした。まさか自分まで景太郎に口で愛してもらえるとは思ってもみなかったのだ。
「そんな、恥ずかしいっ…!そ、それじゃあ丸見えじゃないかっ!」
「そんなこと言ったら、俺なんかどうなるんだよ?」
「そ、それは…で、でもこんなところを舐めるなんてどうかしてるっ…汚いし…」
「だーかーらー、そんなこと言ったら俺なんかどうなるんだよっ?」
「うううっ…」
素子は反論に窮すると、照れくさそうに唇を噛み締めながら景太郎の顔、そして彼のペニスを交互に見つめた。仰向けの身体の上で、悠然とその全長を伸び上がらせているペニスは愛撫を待ち焦がれてかピクンピクンとうずきっぱなしだ。景太郎も口での睦み合いを前に興奮しきりのようで、その目は明らかに素子の承諾を切望している。
「ね、モトコちゃん…どうせ気持ちよくなるんなら一緒がいいから…お願い…」
「…わかった…」
景太郎に望まれては、素子も嫌とは言えない。両手で頬を包み込んだまま頼りなくうなづくと、膝立ちで景太郎の側に歩み寄り、ちょこんと正座した。先程の説明でどういった体勢を取るのかは理解できたのだが、それでも羞恥による躊躇いは大きく、不安そうな目でもう一度景太郎を見つめる。
「う、うらしま…あ、あんまりジロジロ見たら承知しないからなっ?」
「大丈夫だって。いっぱいキスするから、いくら俺が近眼でも何がなんだかわかんないよ。心配しないでっ。」
「そ、その説明、あんまりフォローになってないぞっ?それだけ顔を近づけると明言しているようなものじゃないか…」
なおも不満を並べ立てながらも、素子は景太郎の腰の横に両手を突き、おずおずとした足取りで彼の上体をまたいだ。ペニスを眼前にするよう少しだけ後ずされば、これで二人は頭を天地逆にし、折り重なる体勢である。
とはいえ陰部を丸見えにし、なおかつまたぐ格好のために大きく脚を開いている体勢はあまりに羞恥が過ぎるため、素子は太ももをゾクゾク震わせながらかぶりを振った。へその上で反り返っている景太郎のペニスに煩悶のうめきが降り注ぐ。
「いや、いやあ〜っ…!!うらしまっ、やっぱりこんな格好、耐えられないっ!!やめる、やっぱりやめるうっ!!」
「だめっ、ここまで見せつけられたら俺だって後戻りできないよっ…モトコちゃん…」
「あっ!やっ!あはぁんっ!!」
ぷちゅっ…ぢゅっ、ぢゅっ、ぢゅっ…
泣きじゃくる素子に容赦することなく、景太郎は両手で彼女の尻を押さえ込み…頭を浮かせて陰部に口づけた。熱いぬめりで口の周りがベトベトになるのも気にせず、唇で粘膜を掻き分けるように吸い付く。たちまち素子の中枢では羞恥と快感がない交ぜになり、押さえ込まれている真っ白な尻をビクビクさせてよがり鳴いた。
すっごい…ここまで刺激的な眺め、裏ビデオでも見たことない…
景太郎は息継ぎがてら頭を枕に戻し、あるがまま赤裸々となっている素子のまろやかな尻、そしてその谷間で形成されている豊潤な裂け目を眺めた。貞淑な美少女の陰部が醸し出す背徳的な猥褻に情欲も煽られ、今にも鼻血が出そうである。景太郎はその予感を深呼吸で必死に鎮めながら、初めて目の当たりにする女性器を子細に観察した。
すべらかな太ももの付け根には、恥丘から続くむっちりと肥えた柔肉が粘膜を包み込んでいる。根雪のように白い肌と違って柔肉はわずかに褐色がかっており、見た者に否応なく恥部を印象づけるだろう。それに素子は性毛が濃いめであり、菱形に生え揃っている恥丘から裂け目の周囲にまでぷつぷつと生えていたりする。固くちぢれた性毛は彼女の潔癖なイメージとの差異もあってたまらなく淫靡だ。
普段柔肉はその内側を覆い隠しているようではあるが、今はこうして景太郎に見せつけるかのようにくつろぎ、奥の奥まで丸見えにしている。それは内側の粘膜が発情して膨らんでいることのほかに、先程景太郎が深く口づけたためでもある。色鮮やかに充血した濃桃肉は左右対称均一に発育しており、不格好なところはひとつもない。もちろん外側にはみ出てきているということもない。
唇の薄膜以上に繊細な粘膜の奥には、新たな生命を育む子宮へと続いている洞穴が見えている。その入り口である膣口は透けるような処女膜でか細く縁取られており、人差し指を受け入れるのが精一杯といった様子だ。
そこからは素子の発情液が止めどなく湧き出ているのだが、初めは無色でサラサラしていた粘液も、今では発情しきって白っぽくなっている。独特の女臭さをぷんぷんさせながら下方に伝い落ち、ちょぴっと見えている尿道口を覆って濃桃肉の縁から溢れる様は、彼女の濡れやすい体質を如実に物語っているだろう。
ツンと屹立し、包皮の向こうから微かに突出しているクリトリスも甘やかな粘液にまみれてツヤツヤと輝いている。ここは男性器でいえば亀頭に当たる部分であるから、素子もまた勃起しきりの状態にあるといえよう。女芯と呼ぶに相応しい小さな触覚は、たとえ些細な愛撫であっても慎ましやかな素子をよがり鳴かせることのできる最高の性感帯だ。
「モトコちゃん…俺にも、お願い…待てないよ…」
「あ、ああ…わかった…」
景太郎は惚けた表情で頭を浮かせ、まるで恥部にささやきかけるようにして素子を急かす。それを聞いた素子はそそくさと右手でペニスを起こし、少し幹をしごいて先端を強く漲らせた。ツヤツヤに膨らんでくるのを見計らい、ぷちゅっ…と唇で鈴口を封じる。
むちゅっ、ちゅ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…
「くっ…んうっ…!あっ、んっ…はあっ!あっ、ああっ…!」
唇を押し当てたままモジモジ小首を傾げ、その柔らかみを先端に擦り込んでから…素子は緩やかに頭を上下させてキスを連発した。可憐な唇を少しだけ突き出し、密着する面積を大きくしてのキスに景太郎は狂おしくうめく。
そのうえで親指、人差し指、中指の三本で根本の辺りをしごかれては男心の恥じらいもどこへやら、景太郎はあごをわななかせてよがり鳴いた。逸り水がいやらしくぬめり、素子の唇との間でキラキラ糸を作るが、その音も猥褻そのものである、早くも射精欲を堪えるために腰が浮いてしまいそうだ。
気持ちよさそうな声をあげて…嬉しい…うらしま…
素子は胸が満たされる思いでキス攻めを続ける。頭の上下は一定のリズムを保ってはいるが、その往復が増すにつれてキスも少しずつ情熱的なものに変わっていった。突き出すようにしていた唇は、やがてじゃれつくようにして亀頭を甘噛みしてゆく。
ちゅうっ、ぱっ…ちゅうっ、ぱっ…ちゅちゅうっ…ちぱっ…
逸り水を滲ませる鈴口が前歯につかえそうなほど唇に含み、そのまま引き離して唇を弾ませると逸り水も小さく飛沫いた。指先でしごかれて発情の血行も促進されるのか、ペニスの根本で生い茂っている性毛からは汗っぽい男臭さがぷんぷんと漂ってくる。
そこで素子は一旦キスを止め、景太郎の高ぶりにさらなる拍車をかけることにした。掌を先端にあてがい、そこから逸り水のぬめりに任せ、ぬみぬみぬみっ…と撫で下ろすようにして何度も何度も右手の筒の中に滑り込ませる。
「あっ!あああっ…!くっ、ふぁ、あっ…あああっ…!く、ふぅ、ふぅ、ふぅ…」
抵抗感のあるゆっくりとしたペッティングは、まるで繰り返し膣内へ没入する瞬間を味わっているかのようだ。濃厚な快感に中枢を灼かれ、景太郎はせつなげに嘆息を重ねる。
とはいえ自分だけいつまでも浸っているわけにはいかない。シックスナインはあくまでオーラルセックスなのだ。景太郎も後れをとるまいと、両手で素子の尻を引き寄せ、くつろいだ恥部にぴったりと鼻面を埋める。
ぷちょ、ぴちゅ、ぴぢゅっ…ぢゅちゅうっ、ぢゅっ、みゅるるっ…
「あっ、やっ…あっ、あああっ…んっ!んんんっ…!!」
景太郎は素子の尿道口、そして処女膜に唇を押し当て、熟した果実を貪るように口づけた。圧倒的に迫る尻の谷間ですふすふ鼻息を漏らしつつ、愛液をすすっては飲み込む。
…なんか苦い…
素子の愛液はどことなく鉄っぽいような味がして、決して美味しいとはいえない。それでも今まで感じたことのない不思議な味であることに変わりはなく、景太郎はその味覚に魅惑されるよう積極的に膣口に吸い付いていった。
か細い華筒の中から熱いぬめりを吸い出すと、素子はしきりに鳴きじゃくり、気持ちよさそうに鼻の奥でよがる。愛撫に専念していられなくなり、右手はペニスの幹を強く握り締めたままその動きを止めてしまった。
「や、モトコちゃん、やめないで…続けて、続けてよぉ…」
「だ、だめ…身体の芯が、熔けるぅ…!」
両手につかんだ臀部を揉みこねて景太郎がねだると、素子は弱音を吐きながらも再び右手の筒の中で幹をしごき始めた。それを確認してから景太郎も素子の裂け目に鼻面を埋め直し、むちゅむちゅ唇をうごめかせる。
しこしこしこ、しゅく、にちゅ、ぬちゅっ…しこしこしこ…ちゅっ…
素子は当惑するような目でペニスを見つめながら、緩急をつけて幹をしごき立てた。手早くしごけばそれだけペニスは強張り、ゆっくりしごけば緊張を解きながらもピクンピクン震えて新鮮な逸り水を送り出してくる。素直な反応を示すペニスがかわいくて、素子は唇どうしでするときに負けないだけの愛情をこめてキスした。ちろっと舌なめずりして逸り水を舐め取り、すっかり馴染んできた淡いしょっぱさを楽しむ。
…尿道の中も、汗ばむものなのかのかな…
逸り水の味にたわいもない疑問を抱きながら、素子は幹の中央で隆起している太いパイプを指先で押した。それなりの弾力を感じながらぐいぐい亀頭の方へ押し上げてゆくと、鈴口からはトロッ…と大量に逸り水が湧き出てくる。ペニスはわずかにへその方に傾いていたので、逸り水は亀頭の表側、表面積の広い方に流れ落ちた。
うらしま…わたしだって、負けてはいられないっ…
ぺちょ…ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ…ちょぷ、ちょぷ…れろっ、れろっ…
しきりに膣口にキスしてくる景太郎に仕返しするよう、素子は大きく舌を広げて亀頭を舐め上げる。ペニスの裏筋を眺めるよう、上から覗き込んでいる姿はまるでミルク皿を舐める子犬のようだ。粘つく音を立てながら、それでいてざらつきで表側をくるむように舌をくねらせる。
ひとしきり表側を舐めたら、今度は舌先で鈴口をいじめにかかった。固くとがらせた舌先で金魚のようなおちょぼ口を塞ぎ、左右にひねっては逸り水の漏出を堰き止める。
それでも粘度の少ない逸り水は舌のくねりに合わせて少しずつ染み出てくるので、素子は仕方なく舌の裏側でペニスの裏筋を擦った。クッキリとした筋はヌメヌメとした舌の裏側ではっきりと感じ取ることができる。ここは男にとって過敏な部位であるから、景太郎はたまらず鼻声でうめいてきた。そのだらしないさえずりが裂け目と肛門の間、会陰に響いてくすぐったい。
くそぉ、そんなことしてくるんなら、こっちだって…
景太郎とて素子に負けてはいられない。裂け目の奥への長い長いキスを終えると、景太郎は愛液にまみれた口許を右手の甲で拭い、やおらその中指を口に含んでしゃぶった。素子の愛液がたっぷりと混じった唾液でびちょびちょに濡らしてから、その指先をそおっと会陰にあてがう。
すると素子は過敏に尻を震わせ、振り返って景太郎に厳しい睥睨の眼差しを突き立ててきた。汗ばんだ素顔は怒りと恥じらいで耳まで真っ赤である。
「きっ、貴様っ!何を考えているっ!?はっ、反則は許さんぞっ!!」
「反則って、何のこと…?ここをいじられることかなぁ…?」
「や、やあっ!いや、いやっ、やめてえっ!!そ、そこ、汚いっ…!!」
ぬりんっ…ぬり、ぬり、ぬり…ぐっ、ぐっ…
素子の怒声にも怯むことなく、景太郎は空とぼけるようにして指先を彼女の肛門に進ませた。軟膏を塗るようにして色素の濃いすぼまりをなぞり、あまつさえ挿入させるように外圧をかけると素子は途端に怒声を震わせ、泣きじゃくりながらイヤイヤする。肛門をきゅんきゅんすぼめての取り乱し様は景太郎の嗜虐心を燃えさせるに十分だ。
「汚いの?モトコちゃんって、いつもここ…汚いままにしてるんだ?」
「そっ、そうじゃなくてっ…!!い、いい加減にしないと怒るぞっ!?」
「泣きながら怒ってもかわいいだけだよ?ほら、続き続きっ…。してくんなきゃ、このまま中指入れちゃうぞぉ…?」
「だっ、だめえっ!入れないで、入れないでえっ…!!」
以前抱いたことのある邪な妄想そのままに揚げ足を取りつつ、景太郎は素子の儚げな肛門に真っ直ぐ中指をあてがう。ぐりぐりっ…と左右にねじりながら指先を埋めると、素子は憔悴しきってわめきながらペニスを握り締めてきた。景太郎の言いつけに屈服するよう、ぶっちゅりと先端に口づけて甘噛みし…手早く幹をしごき立てる。
「する、ちゃんとするぅ…ちゃんとするから指、抜いてえっ…!!」
「もっと、もっと強くしてっ…!」
「だめ、そんな、だめ、入れないで、お願い、入れないでっ…!!」
素子の哀願にも関わらず、景太郎はさらに大胆な愛撫を強いて中指に力を込めた。ぬめりの手助けもあり、ぐりぐりねじる中指は容易く第一関節を通過して埋没してゆく。それにあわせて素子の哀願もみるみるうちに切羽詰まったものになっていった。
ああっ…わたし、うらしまに…尻の中まで触られてるっ…恥ずかしいっ…!!
ちゅぷ、ちゅぶ、ちゅぷ…にっちゅにっちゅにっちゅにっちゅ…
死んでしまいたいくらいの羞恥の中で、素子は無我夢中でペニスにキスを撃ち、激しく幹をしごき立てた。もはや亀頭は素子の唾液と逸り水でびちょびちょであり、苛烈なまでに往復する右手の筒では、その粘液が白っぽいムース状に泡だっている。
一度射精しているからいいようなものの、これが最初の愛撫であったとしたら、景太郎も一分保つことなく果てているに違いない。実際今でももう限界が見えてきそうであった。不穏な射精欲は少しずつペニスの根本を打ち震えさせてくる。
「ああっ…あっ、あっ…も、モトコちゃん、いいよ、もういいっ…!」
「あんっ!!はあっ…はあ、はあ、はあ…」
尻を攻めていることもあり、思わぬたかぶりをきたした景太郎は慌てて素子の愛撫を制した。ぬるんっ…と一息に中指を引き抜くと、素子は虚脱感にも似た大きな安堵を得て荒ぶった呼吸を繰り返す。突然異物を失った肛門は狼狽えるようにヒクヒク収縮しているが、それを見て景太郎も悪のりが過ぎたことを素直に反省した。あまりに素子がかわいいから、ついつい調子に乗ってしまう。
「ごめんね…いっぱい意地悪して…いっぱい意地悪言って…」
「ふう、ふう、ふう…ぐすん、もうお主なんか知らんっ…」
景太郎は両手で艶やかな臀部を撫でながら詫びるが、素子はすっかりむずがっており、しゃくり上げながら冷たく吐き捨てるのみだ。それでも右手はしっかりとペニスを握ったままであり、手放す様子は微塵も感じられない。
「モトコちゃん…」
「お主はセックスすると言ったろう…?尻はセックスするところじゃないだろう…?」
ポツリと呼びかけると、素子は独語するような小さな声でそう諭してきた。さすがに景太郎もこの雰囲気でアナルセックスの存在を教えたりはしない。
「お願いだから、ちゃんと愛してくれ…。もう絶対尻はだめ…。今度触ったら、例え泣いて詫びようとも本当に斬るからなっ。」
「うん…ホントにごめん。」
「わかってくれればいい…。さ、今度こそ本当に…口で、セックス…」
すねたような脅し文句に景太郎は沈み口調で詫びるので、素子はすぐさま雰囲気を取り戻そうとペッティングを再開した。
どんな陵辱をしようとも、景太郎は必ず聞く耳を持ってくれる。最後まで陵辱を止めなかったことは無いのだ。
それが臆病と称されるものであったとしても、素子はそれを彼なりの優しさのひとつと解釈する。反省も上辺だけでないことは、彼と共同生活を営んできて既に承知済みであった。道徳観念の確かな景太郎は信頼に値する男だ。
絶対、は言い過ぎだったか…
そんな景太郎と日々を過ごしているうちに、彼の過剰なほどの優しさが伝染してきたようで、素子はペニスをしごきながら何となくそう感じたりする。たまにはいじらせてあげても…いや、いじってもらってもいいかな…とまで思いが巡ると、慌ててブルブルかぶりを振った。まったく予想外の期待感が募っていることに気付き、赤面の想いである。
そうして気の迷いを振り払ってから、素子はペニスに長めのキスをひとつ…胸の愛しさを暖めなおしてから、そのままゆっくりと頭を下ろしてゆく。
ぬろっ…もぐ、おぐっ…
勃起しきりの景太郎のペニスは、ツヤツヤに膨張している亀頭から素子の可憐な唇の奥に受け入れられていった。過敏な先端の表側が素子の生ぬるい舌にくるまれたところで、景太郎は生唾を飲み込みながら気持ちよさそうに嘆息する。それでも先程の意地悪を反省した後だけあり、彼女を労る気持ちは快感に勝って大きい。
「モトコちゃん…何度も言うけど、無理しちゃダメだからね?さっきの仕返ししようとか考えるのもナシだかんね?」
「ああっえぅ…おうひぉ…おうひぉ、はぁふ…」
「よぉし…じゃあ、いくよ…?」
「んぅ…」
素子がペニスを口いっぱいに頬張ったまま気丈にねだるので、景太郎もそれに応えようと彼女の陰部に唇を寄せた。左右の柔肉に挨拶するよう、ちゅっ、ちゅっ、と公平にキスしてから、そっと舌を伸ばして裂け目に埋める。
ぴちょ、ぴちょ、ぺちょ…ぬみっ、ちゅみ、ぷちゅっ…
「んむぅ〜っ…!!んっ、んぐぅ…んっ、んぅっ、んんぅっ…!!」
素子の甘ったるいよがり声をペニスに感じながら、景太郎は両手で彼女の尻にすがりつき、顔面を丸まる柔肌に埋めてクンニリングスを施してゆく。
会陰を鼻先でぐりぐり押圧しながら、裂け目にぶっちゅりと口づけて処女膜の周囲を舐め回すと…素子は巧みなフェラチオよろしく亀頭に舌を擦り付けながらイヤイヤした。景太郎がすふすふ鼻で息継ぎしたりすると、素子の羞恥は油を注がれたかのようにひどく燃え上がってくる。
だめ、そんな…におい、かがないでっ…あ、やっ…し、舌が入る、入るっ…!
素子の恥じらう乙女心にも、景太郎は少しも容赦する素振りを見せない。
景太郎はディープキスのように膣内へ舌先を差し込もうとするが、膣口は手招いてか拒んでか、きゅんきゅん小刻みに締め付けてくる。そのたびにまろやかな女の尻はゾクゾク震え、景太郎の手の中で緊張を示した。
愛液の漏出もすごい。びゅ…びゅ…とか細い処女膜の奥から際限なく溢れてきて、飲んでも飲んでもきりがなかった。そのうち景太郎は陶酔しそうなほどに心地の良い胸焼けを覚えてくる。発情のフェロモンにあてられたのだろう、口の中は鉄っぽい苦味でいっぱいであったが、ほろ酔い気分で吐息が熱い。
「ぷちゅ、ちゅっ…う、ぷぁ…モトコちゃん、一緒にしようよぉ…」
「ふんうっ!あ、ああっえぅかぁはぁうあっ!は、はっひかぁひぃあかぃ…!」
ペニスが舌の生ぬるさだけしか感じていないことに気付き、景太郎は素子のすべらかな尻を大きく撫で回して催促する。その手つきは彼女の美しいヒップラインを手の平で覚え込もうとしているかのようだ。素子も思わぬくすぐったさに身悶えし、かわいい悲鳴で彼を非難する。
でも、気持ちいい…気持ちよすぎる…浦島にしてあげられる自信がない…
きゅきゅっ…と華筒が快感を撒き散らしてのたうつのを感じながら、素子は唇の隙間から漏れ出そうになった唾液をすすった。心中で弱音を吐きながらも、景太郎の亀頭を唾液と逸り水にしっかりと漬け込み、くびれに舌を添わせてゆく。
舌の腹といわず、側面といわず、裏側といわず…くまなく駆使してくびれをグルリと舐め回すと、景太郎はペニスを反り返らせるほどに肛門を締め付けて射精欲を堪えた。くねる舌の裏側が熱いのは、また新鮮な逸り水が口内に送り込まれてきたためだろう。みゅるっ…みゅるっ…と舌下のプールに注ぎ込まれてきて、唾液は確実にぬめり気を増してゆく。
ぬ、もっ…もぐ、おぐ…のぷっ…ぬちょっぷ、ぬっぷ、ぷちゅぢゅっ、もぐぐっ…
「あっ!ん、んっ…!」
やがて素子は右手も下ろしてよつんばいの体勢になると、そのまま口でペニスをしごくように頭を上下させていった。歯先を覆うように広げた舌で亀頭の表側を包み込み、溜め込んだ唾液をできるだけ漏らさないように唇をすぼめてゆっくりと頭を振る。まさにオーラルセックスと呼ぶに足るフェラチオを施され、景太郎は言葉少なにうめいた。素直な感想すら口にする余裕がない。
モトコちゃん、こんないっぱい俺の…しゃぶって…あっ、あっ…すごい、いいっ…!
景太郎はペニスの根本を射精欲で震わせながら、素子の尻の谷間で快感に酔いしれていた。とりあえずフェラチオに慣れるまではなにもできそうにない。仕方なく太ももからアンダーヒップにかけて頬摺りしつつ、それにあわせて外側の柔肉に口づける。
それでも素子のフェラチオは少しずつ上下運動のテンポを速めてゆくものだから、景太郎がそれに慣れて落ち着きを得ることはなかった。おっかなびっくりの景太郎が愛撫を怠けている間に、すっかり焦れた素子は色情狂のように鼻息を荒くしてゆく。
マスターベーションの経験がない素子にとって、エクスタシーは夢中で追い求めるものであり、そこへ登り詰めるまでのピッチを考えたりするのは無意味だと考えていた。景太郎のように、もったいないからまだ達したくないというのはどうにも矛盾していると思うのである。絶頂感を望んでおきながらあえて焦れるような真似をするなど、被虐嗜好癖以外の何だというのだろう。
うらしまぁ…はやく、はやくっ…はやくイキたいっ…イかせてえっ…!!
んふっ、んふっ、んふっ…ちゅぽ、ぢゅっぽ、ぬっぼ…しこ、しこ、しこ…
「ちょ、モトコちゃんっ…!あっ、くっ、ううっ…は、激しすぎるってば…!」
「んうぅ、んうぅ、んうぅっ…んっ、んっ…んん〜っ…!!」
せつない焦燥に突き動かされ、素子は激しく口内でペニスをしごき立てる。口が塞がれていなかったら夢中で景太郎を呼びかけ、高ぶりのままに告白を重ねているところだ。貞淑を忘れ去ったはしたない切望すら聞けただろう。
髪を振り乱しての激しい上下運動はストロークも長く、今では喉の入り口付近まで亀頭を受け入れるようになっている。狭まりに押しつけては蒸せ込みそうになるが、素子はそのたびに精一杯堪え、何度も何度も喉を突かせた。
そのうえで右手は再びペニスの幹を摘み、頭の上下と逆らうようにして小刻みにしごいている。愛撫を急かす欲しがりな気持ちは、いつしか景太郎の絶頂を望むようにベクトル修正されてきたようだ。もはや景太郎の狂おしい悲鳴など聞こえてはいない。
とはいえ、景太郎も激しい愛撫が嫌いなわけではないのだ。景太郎も今の素子のような心境は、中学生の頃ですでに経験してきている。
内気ながらも早熟だった景太郎は、その頃にはもう悪友とともにセックスの存在に気付いていた。もちろん小学生の間に覚えたマスターベーションは妄想の過激さも増し、すでに日課となっていたくらいである。
しかも中学校に上がれば、余所の小学校から来た女子とも新しくクラスメイトとなるわけであり…いわゆるオカズが増えたため、景太郎はおのずと若い身体に自転車操業を強いることとなった。慰めても慰めてもせつない情欲は納まらず、一日に三回はしないと落ち着いて眠れないほどであった。週末などは一日に七回という記録がある。
…今だから笑えるけど、あの頃はホントにペニスがイニシアチブ握ってたもんな…
一瞬たりとも右手の動きを緩めず、初めから最後まで一気に駆け抜けていた頃を懐かしんで景太郎はそう苦笑する。
しかし、今は思い出などにに浸ってはいられないのだ。
微笑ましい思い出を胸に抱いたまま、こうして恋人の愛撫で果てることができたらそれはそれで感無量だとは思うが…やはり恋人にも気持ちよくなってもらいたい。遅咲きの素子に、ようやく覚えた性の悦びをもっともっと感じてもらいたい。
ぷちゅっ…れろ、れるっ…れるんっ…
その一心で景太郎は再び素子の裂け目に唇を押し当てた。力を込めず、柔らかいままの舌で粘膜を割り開き、処女膜から尿道口を舐め下ろしてゆく。もちろんクリトリスも包皮の上から弾くような力で突っついた。
「んんんっ…!!」
「モトコちゃん、お待たせ…ここ、好きなんだよね?」
「んんっ!!んっ、んぅ…んうっ!んっ!んんーっ!!」
くり、くり、くり…と舌先でクリトリスを押し転がすと、素子はペニスにしゃぶりついたまま鼻にかかった猫撫で声でよがった。さっそく景太郎の上唇にたっぷりと愛液が降りかかってくる。敏感な素子は本当に濡れやすい体質であり、まさにその愛液の量はラブジュースと呼んで差し支えがない。
搾りたてで混じりけのない、天然そのものの素子のジュースをじかに浴びて、景太郎はその艶めかしい匂いに軽い目眩を覚える。風呂で一生懸命顔を洗ったとしても、鼻孔はその淫靡な匂いを忘れることはできないだろう。しばらく眠れない夜が続くような気がして、景太郎は素子の口の中でますますペニスを固くしてゆく。
ぬり、ぬちゅ、ぷちゅ…ぬぶっちょ、ぶぷぢゅっ、むぶっ、のぶっ…
「モトコちゃん…モトコちゃんっ…んっ…も、モトコッ…モトコちゃんっ…!」
「んっ、んんぅ…!んっ、んっ、んんっ…!」
湿っぽい部屋の中に、二人の性器がぬめる音…それと恋しがるような呼び声、鼻にかかったさえずりが恋人どうしの猥褻なハーモニーを生み出す。部屋の外は寒さも厳しい平日の昼下がりで、誰もが仕事や授業に専念しているというのに…こうして景太郎と素子だけはひどく堕落したアダムとイブを決め込み、すえた匂いのリンゴを貪り合っていた。骨の髄まで淫蕩にとろけてしまいそうである。
ああっ…モトコちゃんっ…モトコちゃんっ…たまんない…たまんないよぉ…!
景太郎は積極的に頭を振る素子の口内でペニスを酔わせ、今にも殺到しそうな射精欲に怯えて背すじをゾクゾクさせている。動きこそ似たようなものではあるが、唇と舌でのしごき立てはやはり右手の筒とは比べものにならないくらいに気持ちいい。いつしか腰は無意識に跳ね上がって動き、本能で素子の口を陵辱してしまう。
抵抗感のある喉の奥を突き上げてしまうのはどうにもいたたまれないが、それ以上に快感は大きかった。興奮で景太郎の胸は熱く奮え、よがり声の代わりに恋人の名前だけが繰り返し口をついて出る。
「モトコちゃん…ちゅちゅっ、モトコちゃん…モトコちゃんっ…!!」
「んっ!んっ!んんっ…!すふ、すふ、すふ…んっ、んっ、んっ…」
うらしま、好き…うらしま、好き…い、いいっ…いいっ…!
一方で素子は勃起しきりである景太郎のペニスを慰めながら、心中で告白を繰り返していた。こうして愛しい男のペニスを口いっぱいに頬張っているだけでも、その体熱や強張りで愛おしさが募ってゆく。うめき声ではあるが、そのひたむきな想いは何度ペニスに聞かせてしまったことだろう。
なにより、景太郎が舌先でしきりに転がしてくるクリトリスからはむせび泣いてしまうほどの法悦が押し寄せてくる。過敏な唇と舌でペニスを感じていることもあり、もう実際に景太郎とセックスしているような気分だ。深く飲み込んで喉を突く苦悶も、いつの間にやら気にならなくなっている。
それほどまでにクリトリスやヴァギナは灼熱した快感に満ちていた。もう下肢だけに閉じこめておくことができず、身体全体がくまなく性感帯になったように気持ちいい。鼻息もここぞとばかりに荒ぶり、景太郎の陰嚢に吹き付けて性毛をそよがせている。
あっ…や、やばいっ…!!
その喜悦で火照った鼻息にあてられ、景太郎は勃起しきりのペニスに強烈な射精欲を満たした。絶頂を堪える身体は背中を浮かせて引け腰となり、ぐぐうっ…と肛門をすぼめて悪あがきしようとする。
「もっ、モトコちゃん!だめっ、口の中に出しちゃうっ!ちょ、ホントに出ちゃうってば!だめ、もうだめ…あ、ああっ!出ちゃうっ!出ちゃううっ…!!」
景太郎は素子のクリトリスに唇を寄せたまま、上擦りきった声で叫んだ。甘噛みとしてではなく、絶体絶命のせつない予感に唇が震える。もう今すぐにでも解放してもらわなければ口内射精は回避し得ない。否、解放された途端に我慢も限界に達し、勢い良く中空に精を放ってしまうだろう。
愛しい素子を陵辱してしまうことだけはなんとしてでも避けたくて、景太郎は悲痛なまでに声を震わせたのだが…それでもその思いは伝わらなかった。素子はその悲鳴をまるきり無視して、一層激しい愛撫をペニスに捧げてゆく。頭を思い切りよく上下させて髪を振り乱し、右手の指先と一緒にペニスの全長をしごき立てて…しゃぶりつくようにして亀頭に舌の腹を擦り付ける。
ああっ…出るっ…出るっ、出るうっ…!!
今まで感じたことのない苛烈な愛撫に、経験の乏しい景太郎が耐えきれるはずもなかった。きつく目を閉じ、ありったけの理性で射精欲を押さえ込むが…それでも訪れるべくして限界は見えてくる。もはや為す術はなかった。狂おしい悪寒に感涙が滲むと、ペニスは狭い素子の口内で最後の怒張を示す。
「あ、ああっ…モトコちゃんっ!モトコちゃんっ…!!もっ、モトコッ…!!」
クリトリスに響くような上擦り声で、景太郎が恋人の名を呼び捨てた瞬間…
びゅるるっ!!びゅうっ!びゅっ!
「うくっ!!うっ…くっ、くうぅっ…!!」
ドクンッ!ドクンッ、ドクン、ドク…
「んんっ…んっ…んっ…ん…」
ぴくん…ぴくん…ぴくん…
「はふ、はふ、はふ、はふぅ…んっ、んんぅっ…」
それは十数分に渡ってじっくり高めてきた愛欲の、わずか数秒での解放…。
圧倒的な法悦を前に鋼の理性も押し潰され、景太郎の身体は射精を強行した。勃起を極めたペニスは根本のパイプを力強く脈打たせ、心ゆくまで素子の口内に精を噴出してゆく。一回一回の脈動は女の子のような鼻声でよがってしまうくらいに気持ちいい。
数週間分溜まっていただけあってか、その量は目を見張るほどに多かったし、勢いもまた凄かった。ほとんど休憩を挟んでいないのが嘘のようである。二度目の絶頂ではあったが、それでも身体は悦びに打ち震え、ペニスはいつまでたっても脈動を終えてくれない。
後ろめたさも、いつしか充足感に取って代わっていた。景太郎はクリトリスに口づけたまま絶頂感に浸り、満ち足りた吐息を繰り返す。もうなにひとつ言葉が出てこない。心の中も意識の中も、ただ気持ちいいとしか感じられなくなっていた。
素子は素子で、景太郎が絶頂に達した瞬間を舌の上で感じて身震いしている。
うぶっ、うっ…うらしまの、精子…こんなにいっぱい…熱くて、ヌルヌルして…
一撃、二撃、三撃…と連発された濃厚な精液は逸り水と違って唾液に溶け込むこともなく、舌や歯茎、もちろん景太郎のペニスにもまとわりついてくる。愛撫の動きを止めた素子はおもむろに舌をくねらせ、その強いぬめりと独特の渋味にせつない胸騒ぎを覚えた。この熱い粘液に景太郎の命がたっぷり凝縮されているのかと思うと、それだけで胸を焦がす愛おしさは一際燃え上がってくる。
ご、くんっ…ごくんっ…ごくんっ…
恋い焦がれる思いでいっぱいになると、素子はペニスを喉の入り口付近まで頬張ったまま、溜まった唾液ごと景太郎の精液を飲んだ。喉の鳴る音がやけに大きく聞こえて、ぽおっ…と頬が熱くなる。
実際に試してみるとわかるが、口を大きく開けたままでの嚥下は舌が窮屈になるため大変困難なものだ。それでも素子は歯を立てたりしないよう細心の注意を払いつつ、数回に分けて精液を飲み込んでゆく。ペニスのくびれの辺りも丁寧に舐め回し、最後の一滴まで拭い取って飲み干すが…熟成した精液はよほど濃厚であったのだろう、舌の根本に粘りけが絡まり付いて妙に落ち着かない。もちろん妊娠するはずもないのだが、なぜだかそちらも気にかかってしまう。
そんな素子の身体に、予告もなく達する直前の反応が現れた。心地良い疲労に包まれた景太郎が、愛し合った余韻を楽しむようにいつまでもクリトリスにキスしていたものだから、にわかにヴァギナが悦びでのたうち始める。素子はペニスを口に含んだまま、衝撃に大きく見開いた目で困惑のまばたきを繰り返した。
あっ…と、熔けるっ…舐め尽くされるっ…!!だ、だめっ、うらしまっ…怖いっ…!!
愛することに夢中になるあまり、それに負けないだけ愛されていることを忘れていた。萎縮を示してきたクリトリスが身体中すみずみにまで法悦を発散させてくると、素子は狼狽を極めてそう錯覚する。二度目のエクスタシーが近いようだが、最初に達したものとは高ぶりも切迫感も段違いだ。
失禁しそうになるのを懸命に堪えるたび、ヴァギナはビクビク狂ったように縮み上がるが…それでもまだ景太郎は顔を離そうとせず、萎縮してゆくクリトリスを包皮の上から舐め回していた。絶頂の余韻で童顔を惚けさせたまま、粘膜の合わせ目を舌先でなぞり、唇でめくるように噛み噛みして異性への戯れに浸る。そのたびに汗ばんだ鼻先が裂け目の奥をえぐるので、とうとう素子は窮地にまで追い込まれてしまった。
あっ!やっ、いくっ…!いく、いくいくいくっ…いっ、イクッ…!!
女芯が包皮の中で小さく縮こまった瞬間、身体中がボッと燃えるように熱くなる。素子は胸の真ん中でせつなさが砕けるのを知覚し、痛ましいほどに顔をしかめた。教えてもらったばかりの感覚表現を心中で連呼し…登り詰める。
「んっ!!んんんっ…!!」
普段より一オクターブ以上も上擦った鼻声で、素子は狂おしく涕泣した。身体中を巡る血が愉悦に沸き立つと、意識は一瞬でホワイトアウトしてゆく。
びちゅっ!ぶっ、ぷっ…
「んふっ…!!」
きゅきゅきゅっ、きゅきゅきゅっ…とろ、とろ…
「んっ!んんっ!!んっ…ん、んんっ…ん…」
ゾクゾクゾクッ、ゾクゾクゾクッ…
「すふぅ…すふぅ…すふぅ…ん、んふ…んんぅ…」
思春期の男の子もたじろぐほどの激しいエクスタシーで、素子は引きつけでも起こしたかのようにその美しい肢体を打ち震えさせた。
たった二度目にして経験した純然たるエクスタシーは、まさに女性だけが垣間見ることのできる官能の境地である。男性なら精神に障害をきたしかねないほどの絶対的な快感の波濤だ。例えるなら、射精の瞬間が一秒を越えて維持し続けているような具合だ。
今日初めてエクスタシーを覚えた素子には酷なほどの法悦で、ヴァギナは急激に縮み上がり…膣口から水鉄砲のように潮を噴かせる。まさに射精するように景太郎の顔面へ愛液を飛沫かせて、素子は恍惚の奔流に飲み込まれながらポロポロ感涙をこぼした。
気持ちいい…気持ちいいっ…幸せすぎて、死んでしまいそう…
意識は不穏なほどに重苦しい木漏れ日のように失神と覚醒を繰り返し、アドレナリンやドーパミンがもたらす濃厚な快感を小分けして中枢に染み込ませる。よつんばいの身体は絶頂の余波で内側から燃え出すようだ。もう身体中すみずみにまで、くせになってしまいそうなほどの快感が染みついてしまう。
ぜは、ぜは、ぜは、ぜは、ぜは…ぽさっ…
素子はうっすらと涙目を開くと、ゆっくり頭を持ち上げて景太郎のペニスを吐き出した。びたん、と景太郎のへそが打ち据えられる重たげな音を聞きながら、力尽きるようにして彼の脚の間に突っ伏す。柔らかな布団にこめかみから倒れ込むと、それだけで火照る頬は余韻を和ませるように布団をすりすりしてしまう。
くぴっ…とろ、とろっ…
身体中をぐったり脱力させ、景太郎にまるまる体重を預けた途端…恍惚とした口許からはあえぎとともに白濁の混じった唾液が漏れ出てくる。だらしないとは思うのだが、もうすするほどの気力も残っていない。
「モトコちゃん…?」
「すぅ、すぅ、すぅ、すぅ…」
「…ま、いっか…」
愛しい柔らかみと重みを感じながら、景太郎は淡く霞のかかったまどろみのほとりから恋人を呼びかける。しかし素子はすでにまどろみの中へ身を投じてしまったようで、足元からは穏やかな寝息が聞こえてくるのみだ。
ふぅ…と苦笑混じりの溜息をひとつ、景太郎も布団の上でゆったりと身を横たえた。枕に乗せた頭をお気に入りのポジションに落ち着ける前に、お互い冷えないようにと右手を伸ばしてストーブの火勢を強めておく。石清水のように冷たい外の空気を思いきり吸い込みたいところであるが、今はこうして素子とくっついたまま、少しも離れたくない。
景太郎はあらためて枕に頭を落ち着けると、素子のスベスベしたふくらはぎを撫でながらうっとりと目を伏せた。おやすみ…と一言つぶやけば、もう数秒後には幸せなまどろみの中で彼女と会うことができる。
後にはただ取り残されたケトルがしゅんしゅん湯気を上げ、せめてもの子守歌を聴かせるのみであった。
春眠暁を覚えずという季節にはまだ早いというのに、景太郎は普段よりずっと優しくなれるような夢心地の中にいた。身体はヌクヌクと暖かく、頬にはスベスベとした肌触りの良さがあり、そして右の耳にはカリカリという音とともになんとも言えない心地よさが続いている。
「んん…ん…?モトコちゃん…?」
「あ、浦島…すまない、起こしてしまったな…」
寝ぼけ眼にかわいらしいへそが映ってきたので、景太郎は視線を上げながら名を呼んだ。素子はすぐさま返事を寄こし、慈しみに満ちた微笑で小さく詫びてくる。
見ると彼女は、裸の上から筒袖を羽織っているだけの姿であった。とはいえショーツだけは既に身に着けていて、あの扇情的な性毛は翳りすらも見えない。べちょべちょに濡れそぼった股間も自分で後始末を済ませたのだろう。
さらに近視の目を凝らして見ると、素子は右手に耳掻き棒を摘んでいた。どうやら眠りこけている間に耳掃除をしてくれていたらしい。いつの間にか寝返りを打ち、仰向けとなった身体にはすっぽりと布団がかけられてあるし…しかも夢うつつのまま彼女の膝枕で甘えている体たらくだ。景太郎はたちまち顔中を真っ赤にして狼狽える。
「も、モトコちゃんっ…膝枕なんていいよ、足が痺れちゃうだろ?」
「気にするな、そんなことより今はひどくつまったお主の耳垢を取ることが先決だ。」
「あ…そういえば、けっこう長い間耳掻きなんてしてないなぁ…」
「だろうな。不潔にしていてはいかんぞ?ほれ、もう少しじっとしていろ…」
景太郎の遠慮はしかし、素子の淡々とした口調で一蹴されてしまった。
確かに素子の言うとおりで、ここ最近は受験勉強を言い訳にして色んな事を怠っているような気がする。マスターベーションはともかくとして、例えば髪などはけっこう長くなってきているのではなかろうか。机に向かっているときはさほど気にならなかったのに、素子とキスするときにはひどく鬱陶しく感じたが…これは気のせいなどではないだろう。
「…ありがとう。ごめんね…。」
「礼など無用だ…。」
自責の念もあり、景太郎の謝辞にはおのずと重みがこもる。そんな景太郎を気遣わせまいと、素子は普段通りの素っ気なさで応じた。とはいえその声音はすこぶる暖かで柔らかく、冷淡とは遠くかけ離れたものだ。
かりかりかり、かりかりかり…ちょん、ちょん…
素子の耳掻きは精緻に徹している。恐らく他人の耳掃除をするのは初めてなのだろう。決して痛くしないようにと意識しているのがよくわかる。まるでくすぐっているかのような丁寧さで、じっくり時間をかけて耳垢を剥いでは頬の上に集めていった。太ももの柔らかさもあいまって、景太郎は眠気を催さずにいられない。
「よし、こっちは終わり。痛くなかったか…?」
「ううん、気持ちよかったよ…モトコちゃん、すっごい上手…。」
「そうか、よかった…。勝手に耳掃除など始めて、それで痛くしていたら馬鹿もいいところだからな。」
素子もやはり気になるのだろう、奥まったところをきれいにし終えてから自信なさげに問いかけてくる。景太郎が感じたままを口にすると、それで胸を撫で下ろし、尋ねていないことまで教えてくれた。歓喜の気持ちはその大小に関わらず素子を饒舌にするようだ。
「じゃあ浦島、次は左側…」
「待って…もう少しだけ、このまま…」
「ん…?ど、どこを見ているっ!」
「あ、わかった?」
「当たり前だっ、この不埒者っ…!」
素子はティッシュで掻き集めた耳垢を拭き取ると、ぽん、と掛け布団の上から背中を叩いて景太郎に寝返りを促した。それでも景太郎は物足りないといわんばかりに小さくイヤイヤして、素直に言うことを聞かない。
そのわがままな視線が、筒袖の襟の間から覗いている乳房に注がれていることに気付くと、素子はそそくさと襟を合わせて柔肌を覆い隠してしまう。ペロリと舌を出しておどける景太郎を軽く小突けば、自然と呼び慣れた単語が口をついて出てきた。思う様に揉まれ、回され、吸われた乳房ではあるが、やはり平静の状態にあっては見られることすら恥ずかしい。
それでも、この感じは悪い気がしなかった。以前であれば、女を好奇の対象とする男の視線は不快そのものであったのだが…愛される悦びに気付いた今、その視線からは女としての羞恥だけでなく、はにかみをも覚えることができるようになっている。照れくさくはあるが、それでも嫌悪感が湧くことはなくなっている。
つまり、素子はようやく女として生まれた自分に自信が持てるようになったのだ。だからこそこうして異性に思慕の情を寄せられるようになったのであり、両親がことあるごとに言い聞かせてきた言葉の意味もようやく理解できたのである。
「…夢じゃないよね?」
「え…?」
健やかに胸を満たしてくる乙女心を確かめている間に、景太郎は何かを問いかけていたようだ。素子は両手で襟を合わせたまま、景太郎を見下ろして問い返す。
「いっぱい告白して、いっぱい名前呼んで、いっぱいキスして、それから…ねえ、あれって夢なんかじゃないんだよね?」
「…ああ、夢じゃない。小一時間ほども前の話だ。」
「よかったぁ…夢じゃなくって…」
「ふふっ、何を言い出すのかと思ったら…」
悪い夢から覚めて安心するということはよくある話だが、景太郎は夢のような現実に安堵の溜息を吐いた。苦笑する素子の膝枕から頭を上げると、そのまま起き上がって彼女の横に並んで座る。下着を身に付けていないものだから、素子はそそくさと視線を泳がせて照れくさそうだ。
「モトコちゃん、そろそろ誰か帰ってくる頃だよね?」
「そ、そうだな…」
「だから…最後にもう一回だけ、キスしていい?」
「き、キス…?」
そんな照れくさそうな素子にとどめをさすつもりなのか、景太郎は背後から彼女の肩を抱き寄せると、真っ直ぐに見つめて問いかけた。素子は見つめ合っているだけで頬を染め、たまらずそっぽを向いてしまう。
「で、でも…お主も覚えてるだろう?わたしは、その…お主のものをしゃぶって、頬張って…せ、精子も飲んだんだぞ?気にならないのか?」
「一生懸命になってくれたモトコちゃんのお口に、せめてものお礼がしたいんだ…ね、いいでしょ?モトコちゃん…ねえ、ねえってばぁ…」
「うううっ…しょうがないヤツだな…」
素子は照れくささを弁解するように言葉を繕うが、それは結局墓穴を掘るだけであった。無我夢中で愛し合った光景を思い出してしまい、舞い上がってやるせなさそうにかぶりを振る。
結局押し切るようにねだってくる景太郎を前に、とうとう素子も観念して唇を差し出した。キスよりフェラチオの感触の方が強く残っているため、こうして静かに目を伏せると、今にもまた勃起したペニスが薄膜に触れてくるようだ。緊張で胸が苦しい。
ちゅっ…
「んっ、んんっ…!」
その予想とは裏腹に、はんなりと重なってきたのは唇の繊細な柔らかみであった。わずかに角度を付けた深い密着に、素子はまた鼻にかかった声でよがってしまう。景太郎もすっかりキスが上手になっていて、重なった瞬間からすぐに素子の好きな角度にたどり着くことができるくらいだ。
「…好きだよ。」
「うん…わたしも…お主のことが好きだ…。」
唇を離して告白する景太郎に、素子はうなづきながらしおらしく答え、同様に告白を返す。そのままはにかんでうなだれてしまうので、景太郎は裸の胸に素子を抱き寄せた。素子も嫌がることなく身を預けてくる。
こうして恋人どうしとしての抱擁に浸っていると、本当に時間を忘れることができそうだ。ぴっとりと寄り添い、ぬくもりを分かち合える幸福感が心から嬉しい。
「でもうらしま…こうしていると、本当にきりがないな…。」
「そうだね…そろそろ普段通りに戻ろっか?」
「…できれば、もう少しこのままでいたいけどな。」
「同じ屋根の下に住んでるんだから、会いたいときにはいつだって会えるだろ?大丈夫、俺…いつだって待ってる。」
「うんっ…!」
そこまで言葉を交わし、身を離した二人の顔は晴れ晴れとした笑顔であった。初春の曇り空から覗いた太陽のような清々しさは、昼下がりの情事の終幕を湿っぽくさせることなく華やかに彩ってくれる。
ふと愛し合った感動がぶり返してきて、素子は瞳をキラキラさせながらもう一度だけ景太郎にすがりつき、そっと唇を重ねた。恋愛の積極性をも身に着けた素子は、ますます魅力的な女の子へと成長を遂げてゆく。
「…じゃあ、また夕食の席にでも会おう。」
「そうだね。今日は色々と世話してくれて、本当にありがとう。」
「礼など無用だと言ったろう…?」
すっくと立ち上がり、そそくさと袴を穿いて襟を正した素子は普段通りの凛とした表情で景太郎に告げる。解いてもらったサラシもぐるぐる束ねて持ち帰ることを忘れない。
あらためて頭を下げる景太郎に、素子はやはり素っ気なく答えて部屋を後にしようとしたのだが…障子戸に手をかけたところでふと立ち止まり、きびすを返して舞い戻ってきた。景太郎もきょとんとして彼女を見つめる。
「どうしたの…?」
「…耳掃除…左側、まだやってなかったろう?せ、せっかくだから、最後まで世話を焼いてから戻るとしよう。」
「ぷっ…ぷぷっ、モトコちゃんったら…!」
「なっ、なにがおかしいっ!」
「いてっ!ちょ、痛いってば、モトコちゃんっ…!」
はにかみ紛れに強がる素子がかわいくて、景太郎は思わず吹き出してしまった。そんな態度がやはり素子は気に障るようで、真っ赤になると両手の拳を振り上げてポカポカ叩いてくる。
こんなたわいもないじゃれあいも、昨日までは想像すらできなかったというのに…お互い少し素直になるだけで、これほどまでに絆が深まるとは感慨も深い。痛がる景太郎も、やっきになる素子も、気取りのない自分自身が単純に心地良かった。
「はぁ、はぁ、はぁ…頼むから、耳掃除させてくれっ。」
「はははっ…じゃあ、お願いっ…。」
強がっていた素子から折れると、景太郎も遠慮することなく彼女の膝枕に甘える。
こうしてまたひとつ素直になれると、恋人としての居心地はますます良くなった。嬉しさもすぐに気取りのない笑顔となって現れるから、心も躍る。愛情は深まるばかりだ。
だから…あともう十分くらいは、このまま二人きりがいいな…
一足早い春の訪れを胸の奥に感じながら、景太郎も素子も以心伝心、ささやかなひとときを欲張るのであった。
つづく。
(update 00/12/28)