ラブひな

■浦島、抜け!■

-Mouth with Mouth(6)-

作・大場愁一郎さま


 

 そんな反応を前に景太郎は小さく舌なめずりすると、素子の腰を抱き寄せてへその穴に舌先を忍ばせた。素子は予想外の愛撫に目を見開き、慌てて両手で景太郎の頭を突っぱねて制しようとする。景太郎の身体がずれたため、右手もようやく自由の身になったから手加減もなにもない。

「こっ、こら!妙なことをするなと言ったろうっ!?やめろっ!やめないかっ!!」

「だめっ、やめないっ…!」

「あっ!いやっ、いやあっ…!くっ、くすぐったいっ…だめっ!だめえっ!!」

ちろっ、ちろっ、ちろっ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…

 素子の強い言いつけにも関わらず、景太郎は頑として頭を退けようとしなかった。そのまま舌先でへその穴をくすぐり、差し入れたままで細かくキスを撃つ。それだけで素子は抗う余力を失い、ぎゅっと景太郎の頭に指を立ててよがった。途方もないくすぐったさは乳房にも引けを取らない。

「モトコちゃんのへそ、ちっちゃくてかわいいっ…。でも、そんなにくすぐったいの?」

「やめっ、やめてえっ…!!あっ、あひっ!ひんっ…いや、こんなくすぐったいの、どうにかなるうっ…!うっ、うらしまっ!もうやめてえっ…!!」

「すごいな、聞こえてないみたい…」

「あっ、やっ、やめ、やめえっ…!あっ、はああっ…!!」

 景太郎はなんらの容赦もすることなく、素子のへその穴に忍ばせた舌先を左右にひねり、執拗にキスしては舐め回した。確かに素子は、言葉のうえではへそへの愛撫を拒んでいるが…それでもしぐさや声音は間違いなく舌で愛撫されて悦んでいるようだ。

 そう確信すると、景太郎は素子を徹底的にいじめ抜くことを心に決めた。どれだけ許しを乞われようとも、たとえ涙を流して懇願されようとも愛撫をやめないことを誓う。素子にはたどり着けるだけの高みにまで登り詰めてほしいのだ。

 もしこれで素子をエクスタシーに導いたとすれば、まさに男冥利に尽きることだろう。疲れ果てるまでよがり鳴いた果てに、法悦に飲み込まれてしまう素子の姿はきっと悩ましいに違いない。そんな野望にも似た熱い想いは舌先に活力を与え、素子のへそをさらに意地悪く責め立ててゆく。

ちろっ、ちろちろっ、ちゅ、ちゅうっ…ちゅぷちゅぷ…

「あっ、やっ、やっ、やああっ…!!」

 愛撫を一身に受ける素子は夢中で彼の髪をひっつかみ、激しく身悶えした。スラリと長い両脚をバタつかせると、伸ばした両腕の間で寄せ上げられた乳房が重たげに揺れる。

 ぷるぷるぷるんっ…と波打つように身震いする乳房からも焦れったい衝動は身体中に拡がってゆき、へそに生まれるくすぐったさに混ざると直接過敏な裂け目に分流していった。欲張りになってしまいそうな鋭い快感が真っ直ぐに体内を下降し、やがて素子の女性の部位に作用して…子宮へと続くか細い華筒を収縮させる。

じゅんっ…

「あっ…ふぁ、うぅっ…」

 その瞬間、外部に至るまでの華筒内が熱く満たされ、素子は今までのよがり鳴きとは打って変わった鼻声を漏らした。たちまちズキズキとした快感が素子の恥部全体に拡がってくると、その鼻声は戸惑いから狼狽に色を変えて彼女のあごをわななかせる。

…お、おもらし…?や、熱い、熱いっ…なにかっ…あ、ああっ…漏れるっ…!

じくんっ…じくん、じくん、じくん…

 景太郎のくすぐり攻撃を受けるたび、素子は膣口の奥からなにかが漏出してくるのを感じていた。かといって生理が始まわけではない。むしろ先程から続いている焦燥が実体化したかのような、まさに未経験の感触であった。そのせつないおもらしは太ももを摺り合わせれば摺り合わせるだけ、か細い華筒の奥からゆっくりと漏れ出てくる。堪えようにも堪えきれないものだから、次第に下着が濡れてゆくのを歯噛みしながら待つほか無い。自虐的な恥辱が素子の良心を容赦なく苛む。

…な、なんてはしたないっ…しっ、下着を濡らしてしまうなどっ…

 未通の膣を熱く潤した粘つくおもらしは、やがて素子の裂け目の中を満たしてしまい、じっとりとショーツの布地に浸透していった。発情の証である粘液は浸透率が高く、あて布すらも素通って素子の真央に一本の縦すじを描き出す。

 その縦すじはやがて横方向にも侵食してゆき、素子の恥部はショーツの向こう側に透けて見えるほどになってきた。決して丸見えというわけではないが、濡れた布地がぴったりと貼り付いているため、充血した粘膜などは遠巻きにでも確認できる。

 むしろ真っ白なショーツにあって、しとどに濡れて中身が透けて見える様子はこの上なく卑猥だ。素子も為す術なく下着を濡らしてしまう状況に耐えきれなくなってきた。

「うっ、うらしまっ!待って、ちょっと待って、わたし…わっ、わたしっ…」

「だめ、待ったはないよ…俺だって、もう待てないんだからっ…」

「お、お願いだからあっ…!これ以上されたらわたし…ひっ!ひいいっ…!!」

なでっ、なでっ、なでっ…さわさわ、さわさわ…

 平静を失った素子は涙声で哀願しつつ、景太郎の愛撫から逃れようと身じろぎする。しかし景太郎はそれを許さず、彼女の背中に左手を忍ばせてぴったりと肌を合わせてきた。そのまま左手で腰を抱きかかえ、へそに顔を埋めるよう押さえ込み…右手で女の尻を大きく撫で回す。

 そうされた素子は強くのけぞってよがり、両脚をバタつかせて抗った。それでも手の平いっぱいに撫で回してくる景太郎の右手は寝返ることすら許してくれない。一方的に愛撫を捧げられる格好にありながらも、身体はその愛撫に込められた想いを感じ取り、膣はさらにくねって精製したての愛液を搾り出す。

「うらしまっ、うっ、うらしまあっ…!だめ、しり…しりばかり触らないでっ…!」

「そんなエッチな声出してるのに、イヤじゃないんだろ?ホントは…?」

「いっ、イヤではないが…あっ、あああっ…!そんな、またっ…!」

ぴちゃ、ぺちょ、ぺちょっ…ちゅっ、ちゅっ…

 素子のむずがりを無視すると、景太郎は顔を埋めたままの彼女のへそに再び舌を踊らせた。へその穴の周囲を念入りに舐め回しては、吸い付くようにして口づける。

ぐいぐいっ、さわさわ、さわさわ…

 尻への愛撫も止まることがない。太ももから急激に張り出している辺りをすくい上げるように撫でていたのだが、今度は中指で尾てい骨を探ると、そこから真っ直ぐ尻の谷間へと割り進ませる。臀部どうしの隙間は相当汗ばんでいたらしく、少し進めただけでも指先はショーツの布地ごしに湿り気を覚えた。その上短い間隔で臀部が中指を挟み込んでくるものだから熱気もすごい。

 その中指はやがて、きゅんきゅん収縮を繰り返している素子のすぼまりに触れた。これは夢中で尻をなぞっていた結果であるのだが、当然素子は声を荒げて景太郎を睨み付ける。とはいえ景太郎は素子の腹部に顔を埋めたままであるから、その突き刺すような睥睨の眼差しに気付くことはない。

「ひっ!?こっ!こらあっ!!貴様っ、どこを触っているっ!!」

「あれ…?あ、ここ…もしかしてモトコちゃんのお尻の穴…?」

「わっ、わかっててやってるくせにっ!!お、覚えてろっ…後でひどいからなっ!!」

「…どうせひどい目見るんなら、やりたいこと全部やってやるっ!」

「なっ…!?ちょ、だめっ!そんなっ…破ける、破けるうっ…やっ!やああっ!!」

ぐいっ…ぐんっ、ぐんっ、ぐんっ、ぐんっ…

 素子の恨み言を聞いても、景太郎はもはや怯まなかった。男としての情欲にそそのかされるまま開き直ると、右手の中指と薬指をそれぞれショーツの裾に割り込ませ、そのまま強引に引っ張り始める。ヒップラインに沿ってすっぽり腰を覆う無難なデザインのショーツを、まるでTバックショーツのように尻の谷間に食い込ませるような具合だ。

 予想外の展開に、素子も慌てふためいて両目をパチクリさせる。しかしそれも束の間、手繰り寄せられたショーツの布地は尻のみならず、濡れそぼる裂け目をも押し割るように食い込んできたのだ。そのため、むっちりとした外側の柔肉はすっかり丸出しになってしまう。

ぐちぐちぐち、ぐちゅ、ぬちゅっ…ぐしっ、ぐしっ、ぐしっ…

「あんっ!はうっ!ううんっ…んっ!んんっ!だめ、だめえっ…!食い込むっ…!」

「すごいよ、モトコちゃん…。モトコちゃんがそんな声出してくれるんなら、俺…もっともっとしてあげたくなるっ…!」

「いやっ!しないでっ!うらしまぁ…もうだめ、お願い…もうだめえ…!!」

 普段の素子からは想像もできない上擦り声に、景太郎は激しく愛欲をかき立てられる。中指と薬指の間でつかんだ布地を強引に引っ張り上げ、ブンブン左右に振ると、ショーツのあて布は素子の裂け目を激しく擦ってうずきを倍加していった。素子が浸っている快感は今やピークに差し掛かろうとしているのだろう、よがり声はもはや痛ましいほどだ。

 それも状況からすれば無理はないことであった。景太郎がそうすることによってショーツの布地は裂け目だけでなく、小高く隆起している恥丘、そして粘膜質の桃肉の縁にぷっちりと突出しているクリトリスをも同時に刺激しているのである。

 普段ショーツや袴の奥に隠されている大切な性感帯すべてを一度に刺激されるわけであるから、素子としてはもう意識を保っていることすらやっとであった。本当に気持ちよくてならない。火照った吐息は無意識のうちに上擦り声を伴い、抗うはずの両手はさりげなく景太郎の頭を抱き寄せている。

気持ちいい…気持ちいいよぅ…気持ちよすぎて、怖いっ…

 素子は感涙でぼやける視線を虚ろに泳がせながら、随喜と恐怖の狭間で心を揺らめかせていた。愛しい景太郎は側にいるというのに、どうにも落ち着けない。軽い苛立ちに胸の内圧が高まってくると、次第に接吻欲まで唇に募ってくる。

「うらしまぁっ…うっ、うらしまっ…」

「どしたの、モトコちゃん…?」

「た、頼っ…むぁ、うっ、ふうんっ!!ふぁ、あっ、はああっ…!!」

 しかし、素子の望みはあと一歩のところで言葉にできなかった。呼びかけには景太郎もちらりと視線を向けてくれたのだが、彼は愛撫の手までは止めてくれなかったのである。

そっか…モトコちゃん、イキそうなんだ…

 そう予想した景太郎は素子のよがり声を堪能するために目を伏せ、温かな柔肌に頬摺りしながらとどめとばかりに強く布地を食い込ませていった。このまま尻を押し割りかねない力の前に、ショーツのどこかがプツッと悲鳴をあげる。

ぐしゅっ、ぐちゅっ、ぐしゅっ、ぐしゅっ…

 執拗に食い込んでは擦り立ててくるショーツでの責め苦に耐えかね、素子の意識は全感覚を法悦の享受に向けられてしまった。愛撫を求めて突出していたクリトリスも、強烈な快感を前に薄皮の奥へと萎縮してしまう。

 もはや素子の絶頂は回避できなかった。無我夢中でよがるあまり、言語中枢からでたらめに単語が飛び出てくる。

「だめっ!もうだめ、わたし、もうだめえっ…!なんか、なんかすごいのきそうっ!来るっ!く、来るのおっ…!怖いっ!だめ、来るっ…だめっ、だめっ、だめえっ…!!」

「いいよっ、イッていいよ、モトコちゃん…。モトコちゃんのイク時の声、聞かせて…」

「だめっ、もうだめ、だめえ…あっあっ…あっ…んっ、んんっ…んふうぅ…」

 あれだけしたたかだった嬌声が、まるで波が引いてゆくように薄れてゆく。そして、ガクガク身震いしながら肺腑いっぱいの呼気を吐き出した瞬間…

きゅきゅっ…ぶぢゅっ、ぷ、ぷちゅっ…とぷっ…

 素子は生まれて初めてのエクスタシーを迎えた。端正な長身はたちまち背伸びするように張りつめ、つま先と腰が一瞬ビクンと打ち震える。

 それに合わせて、急激に収縮した膣内からはたっぷりと詰まった愛液が吹き出てきた。食い込んだ布地の隙間から溢れると、まるで温めたハチミツをこぼしたかのような緩慢さで尻の谷間を流れ落ちてゆく。景太郎の布団の上には、すでに素子の愛液溜まりがねっとりと拡がっているのだが…シーツはこの愛液の洪水で壊滅的に濡れてしまった。

 もちろん、当の素子はそんなことに気付くはずもない。

 凄絶な快感が急激に全身を満たした瞬間、意識はまばゆいくらいに漂白されてしまい…気付けばぐったりとしたまま感涙の粒を溢れさせていた。達した瞬間ほどではないが、それでもまだとろけそうなほどの快感が身体中に満ち満ちている。快感に支配されたままの身体は虚脱感の呪縛にかかったようであり、身じろぎひとつもできない。

…すごい…人間は、こんなにまで気持ちよくなれるものなのか…

 ぽおっ…と表情を恍惚に火照らせながら、素子は絶頂の余韻に浸る。汗ばんだ身体も剣の稽古を終えた後の爽快感に似ていて心地良い。

 あれだけ破廉恥だ、ふしだらだ、はしたない、などと嫌悪していたのが嘘のようである。瞳を潤ませた安堵の表情は、女としての悦びに満足しきったなによりの証に他ならない。

 そして、素子が法悦の極みに達する瞬間を見届けた景太郎もまた、感動に胸を熱く奮わせていた。

イッた…モトコちゃん、俺にされて…イッちゃったんだ…!

 達成感にも似た高ぶりが沸々とこみ上げてきて、歓喜の微笑を押し殺せない。

 景太郎の予想では、素子はエクスタシーに登り詰める瞬間には盛大に悶えてよがり声をあげ、音立ててしおを噴いて果てるということになっていた。これは思春期の性的好奇心が現実の恋愛に向けられず、ビデオやグラビア雑誌、アダルトコミックにばかり向けられてきたことによる誤解だ。女性は男性よりも大きな快感を得ることができるともいうし、耳年増な景太郎としてはそれで納得以外になかったのである。

 確かに、女性は男性よりも大きな快感を得ることができる。否、正確には達した快感が刹那的なものではなく、ある程度持続するために快感が大きいと思ってしまうのだ。男性で言えば、あの射精した瞬間の心地よさが数秒間も続くと思えばそれに近いだろう。

 一見素晴らしい体験のように思えるが、現実は違う。実際にそれほどまでの快感を長時間に渡って味わおうものなら、大概の人間は即座に精神崩壊をきたすのだ。

 もちろん女性であっても、エクスタシーがもたらす快感は意識のすべてを使ったところで受け止めきることなどできない。ところが女性の身体は、その絶対的に持て余す快感から精神を保護するため、短い間隔で失神を繰り返すようになっているのだ。夢と現を往復する感覚はストロボの点滅なんかよりもずっと早い。

 こうして長い絶頂感を中枢へ浸透させることによって、女性は身体中隅々にまで性の悦びを満たすことができるのである。感覚のないはずの爪やまつげ、そして髪の先までもがフワフワとした浮揚感に包まれるのはこのためだ。とろけるような余韻に身体は身じろぎひとつできないくらい脱力し、意識を甘やかな快感漬けにしてしまう。

 だから素子もまた、エクスタシーに登り詰めても激しい反応を示すことなどできないのであった。ヴァギナの急激な収縮と、緊張を解放させた嘆息がせめてもの反応である。

やっぱり女の子って…モトコちゃんって、かわいいっ…

 初めて目の当たりにした女性のエクスタシーに景太郎は目を細め、素子の汗ばんだ腹部にゆったりと頬摺りした。くすぐったさが余韻をいや増してくれるのだろう、素子はピクンピクン腹筋に緊張を走らせる。

「モトコちゃん…素敵だったよ?声も…しぐさも…」

「あ、ふ…う、うん…こんなに気持ちいいの、初めてだ…」

「え?もしかして…エッチなことしたのも、初めてなの?」

「あっ、当たり前だっ!わたしは、その…マスターベーションもしたことがないんだぞ?あんな破廉恥なこと、できるわけがなかろうっ…」

「じゃあ…モトコちゃんを初めてイかせたのは俺ってことかぁ…うわぁ、メチャクチャ嬉しいっ!!」

 そっと両手で乳房を覆い隠すと、素子は羞恥に満ちた表情で早口にそう告げた。必要のないことまでわざわざ告白してしまうのは、絶頂に達する姿を見せてしまった事への照れ隠しのつもりらしい。しかし、その努力もまるきり逆効果になってしまっている辺り、初々しいことこの上ない。

 景太郎はつかみ上げていたショーツの布地をようやく解放すると、その裾を指先で太ももの付け根の線に沿わせて元通りにした。元通りとはいえ、身に着けて間もなかった下着はすっかりしわくちゃになっている。もちろんあて布はぬめりの少ない愛液が染み込み、履き替えねばならないくらいにべちょべちょだ。

むにゅっ…ぬちゅっ、ぬちゅっ、むちゅっ…

「でもモトコちゃん、気持ちよかったろ…?」

「あっ、う、うん…すごく…」

 景太郎の右手が再び素子の股間に滑り込んでゆき、あて布の上から丁寧に秘裂を撫でる。柔肉の中心に中指を押し当てながらも、あくまでゆっくりとした前後運動は先程までの厳しい責め苦を詫びるかのようだ。

 その穏やかな愛撫は、真っ白に燃え尽きたはずの素子の中枢に再び愛欲の炎を灯してゆく。本来ならゲンコツのひとつも食わせている恥ずかしい質問にも、心地良さのあまりについつい答えてしまうくらいだ。

 答えてしまってからすぐに後悔の念を抱くのだが、景太郎の愛撫はそんな雑念を忘れさせてくれるほどに優しい。今はもう、この暖かな部屋、柔らかな布団、夢心地そのものの余韻…そして、愛しい男にかわいがってもらっている事実が、素子にとって何よりの至福であった。

 だから、それ以上に…素子は勇気を振り絞ってでも礼がしたかった。今度は自分が景太郎を悦ばせたい。できることならこの歓喜の気持ちを共感したい。

「う、うらしま、わたしはもういいから…次は…次は、わたしが…」

「ううん、モトコちゃんはまだまだ気持ちよくならなきゃ…。」

「え…?あ、んんっ…」

 思いもしない返事を聞き、素子がまぶたをぱちくりさせると…景太郎はよつんばいになって這い寄り、そっと口づけてきた。達したばかりの身体にキスされて、素子は幸せそうな猫撫で声でよがる。

「俺はさ…モトコちゃんと違ってスケベだから、今までに数え切れないくらいオナニーしてきてる。毎日のようにしてた時期もあったくらいだよ?」

「なっ…!?きゅ、急に何を言いだすんだっ!いったい何を考えているっ!!」

 唇が離れた途端、景太郎はセクハラまがいの告白を素子に聞かせた。ぼっ…と火が着くような勢いで顔面を紅潮させた素子は悲鳴をあげて非難するが、景太郎は気にする様子もなく平然として続ける。

「でもモトコちゃんは…その、イッたの、今日が初めてなんだろ?だからもっともっとイクってこと、経験しといたほうがいいと思うんだ。イクことに慣れておくっていうか…そのほうがリラックスしてエッチを楽しめると思うんだよね。」

「そ、そうかもしれんが…でっ、でもそんな、少し休ませてっ…んっ、んんっ…!」

ちゅっ…。

 素子の哀願はしかし、先程とは打って変わった濃厚なキスによって塞がれてしまった。角度を付けてぴっちりと吸い付き、軽く噛みつかれると、キス好きな素子はそれだけで抗う気を失くしてしまう。愛しさに任せ、自ら積極的に吸い付いてゆくほどだ。

阿呆か、わたしは…先程からキスばかり…接吻ばかりしてる…

 そう自責するものの、一度やみつきになったキスの心地はそうそう忘れられるものではない。思春期であればなおのことだ。立て続けて迎えることになりそうなエクスタシーには少なからず不安があったが、景太郎とキスしてしまえばいっぺんに意識は欲張りになってしまう。

 素子は気持ちよさそうに喉を鳴らすと、たわんだ薄膜から拡がる心地よさを満喫するために景太郎の背中へと両手を伸ばしてゆく。しかし景太郎はそれを見計らっていたかのようにキスをやめ、両手からも逃れて彼女の腰の横で膝立ちとなった。欲張りになりかけたところでの中断に、素子は極めて不満そうに口許をとがらせる。

「ふふふっ、大丈夫だよ…。キスよりもっと気持ちいいこと、してあげるから…」

「あっ、こっ、こらっ!だめっ!!」

「おっと!わ…モトコちゃんって、意外とモジャモジャ…」

「もっ、モジャモジャなんかじゃないっ!!みっ、見るなっ!見るなあっ!!」

 景太郎の右手がショーツへと伸びてきたので、素子も慌てて制しようと右手を差し出す。それでも先に仕掛けた景太郎の方が一瞬早くショーツのウエストにたどり着くことができたので、素子のショーツは威勢良くズルリと下げられた。小高い恥丘の上で菱形に生え揃った性毛が剥き出しになると、目を丸くした景太郎は感嘆の声を漏らす。

 一方で素子は両手で顔面を覆い、怒鳴るようにしながら泣きわめいた。性毛からほわほわと汗蒸した湿気が発散し、下腹が冷えてくることだけでも心細くてならない。

「さ、モトコちゃん…ショーツ、脱いじゃおっか?」

「…お、お主も一緒に…一緒に、裸になってくれ…わたしだけ裸は嫌だ…」

「俺は後で必ず裸になるよ。約束だってするけど…今はモトコちゃんが先っ!」

「くっ…もっ、もう好きにしろっ…!」

 懇願をはぐらかされた素子は泣きベソでふてくされながらも、素直に腰を浮かせて景太郎が脱がしやすいようにした。丸見えの恥丘を誇らしげに突き出す小さなブリッジの体勢に、景太郎は予想外の興奮を覚えて生唾を飲み込む。やけっぱちになりながらも恥ずかしい要求に応えてくれる素子はあまりにかわいらしい。

するっ…さわっ、さわっ、さわっ…ずる、ずるっ…

 背中から右手をショーツの内側に潜り込ませると、景太郎は素子のまろみを撫で回しながらショーツをずり下げていった。左右の臀部を分け隔てなく、交互に愛撫しながら布地を押し下げていくうち…すべらかな尻はすっかり丸出しとなってしまう。その丸まるとした女性としての充実は、羞恥で脱力した素子が布団の上に腰を戻すと柔軟にたわみながら景太郎の右手を下敷きにした。

 次いで景太郎は左手もショーツのウエストに添わせ、破いたりしないよう慎重に腰から引き離していった。ウエストのゴムがあて布より先行すると、ちょうどショーツは裏返り、あて布だけが太ももの付け根で押し留められている格好となる。

う、浦島に見られてしまう…自分でも、よく見たことないのにっ…

 羞恥と肌寒さで、素子はゾクゾクと腰を震わせる。落ち着いた動悸もドキ、ドキ、ドキ、とぶり返してきて、本能を呼び覚ます命のビートを耳元で刻んできた。性に関しては極めて慎ましやかな素子であっても、沸き立つ興奮で呼吸を熱くせずにはいられない。余韻が完全に醒めやらぬまま、性感帯はまたしても鈍いうずきを示してくる。

みちゅっ…そわ、そわわっ…

「ひゃっ!さっ、触らないでっ!!」

「まだ触ってないよぅ…脱がすだけ…。」

「こ、この不埒者っ!なんてはしたない脱がし方っ…!!」

 その矢先、景太郎は何の断りもなく素子の股間に右手を進み入れてきた。じかに陰部に触れられるものと思い、素子は身を縮こまらせて悲鳴をあげる。それでも景太郎は悪びれる風もなく、太ももと陰部が為す逆三角形からの体熱を感じながら苦笑するのみだ。素子は悔しそうにそっぽを向き、吐き捨てるように彼を非難して唇を噛み締める。

するっ…する、するっ…

「やっ…あ、んっ…く、んふぅ…!」

 その厳しい口調とは対称的なしおらしさを確認してから、景太郎は素子の太ももに触れたまま真っ直ぐショーツをずり下げていった。過敏となった太ももに愛液のぬめりごと触れられて、素子は尿意を堪えるようにモジモジと両脚を摺り合わせる。

ぬる、ぬるるっ…なでなで、なでなでっ…

「しっかし、モトコちゃんってホントにきれいな肌してるね…。太ももだって、ほら、こんなにスベスベ…」

「はあっ、うんっ、は、ふぁあ…いや、くすぐったい…!」

 濡れそぼったショーツを膝の下まで脱がしてから、景太郎は手刀を返すようにして素子の内ももを撫で回した。鼻声であえぐ素子は太ももを擦り寄せて愛撫に抗おうとするのだが、その意図とは裏腹に景太郎の右手は柔肌に挟み込まれる格好となり、一層の心地よさを覚えさせることとなる。

ぬるっ、ぬるっ…なでなで、なでなでっ…さわっ、さわっ…

…ホント、モトコちゃんの脚っていいよなぁ…スラリと長くて、柔らかくって…

 目で見て、手で確かめて…景太郎は素子の脚線美に陶酔の溜息を漏らす。

 剣術での踏み込みを重ねているためか、素子の太ももからふくらはぎにかけては程良く筋肉質だ。それでも必要にして十分な脂肪をも内包しているため、ぽってりとした柔らかみは格別である。

 景太郎は愛液を塗り込むよう、素子の太ももを左右の別無く撫で回した。特に内ももは肌の手触りも感度も絶品であり、前後に摩擦するとくすぐったそうに両脚を震わせる。

「モトコちゃん、どうせ誰もいないんだから…大っきな声出していいんだよ…?」

「そ、そんな…そんな阿婆擦れな真似ができるかっ…!」

「声を出したら、もっともっと気持ちよくなれるっていうよ?」

「そ、それならもう、これ以上気持ちよくなれなくてかまわんっ…」

 頑なに強がるものの、素子の身体は景太郎の念入りな愛撫のために再び性的絶頂の準備を整え始める。ジクン、ジクン、と身体中がうずくため、荒ぶった吐息も堪えられない。

 サカリのついた野犬になったようでたまらなく恥ずかしいが、今となっては景太郎を突き放す気力すら湧かなかった。恐らくこのままでは朝令暮改そのままに喜悦の声をあげてしまうだろう。ともすれば意志が欲望に屈し、進んで愛撫をねだるかもしれない。

 景太郎に貞操を捧げる決心は着いているが、淫らに媚びるようなことだけは絶対に避けたかった。景太郎の望むことなら何だってする。しかし自分の望みをありのままに打ち明けることは素子の美徳が許さなかった。開き直るような強がりは、彼女の頑なな性格が如実に現れたものである。

 そんな素子を窮地に追い込もうと、景太郎は愛液にまみれた右手を内ももに触れたままで彼女の股間に運んだ。立てた親指と人差し指とで逆L字を作り、その直角を為すカーブで太ももの付け根を擦り立てる。女性だけの柔肉がむっちりと手の甲に寄りかかってくるが、そこにぷつぷつと生えている性毛がちくちく突っついてきてこそばゆい。

「あっ!さっ、触るなと言うにっ!ちょ、やめっ…やっ、はああっ!あんっ、ああんっ!」

 景太郎にそうされた素子はあっけなくよがり声を振り絞り、のけぞって布団の上から背中を浮かせた。裂け目にほど近い太ももの付け根は相当過敏になっており、夢中で括約筋が収縮する。肛門から膣からがきつく縮こまると、たちまち精製したての愛液がたっぷりと漏れ出てきた。

 柔肉の内側にある粘膜質の桃肉も興奮の血潮で腫れたように肥大し、外側に露出しようとしてくるが…それはまさに大和撫子の開花だ。淫靡の花は無限に注ぎ込まれる愛情を糧とし、しとどに淫蜜を漏らしながら異性の来訪を待つのである。

 もし今素子に大きな開脚を強いたとしたら、彼女の真央は指の一本も添えることなく、くんにゅりとくつろいでしまうだろう。恥じらいながらも目一杯脚を開いてくれる献身的な素子の姿など、景太郎にとっては想像するだけでも射精を迎えられそうだ。

み、ちゅっ…

「だっ、だめえっ!触らないで!頼むから触らないでえっ!は、恥ずかしいっ…!!」

 大胆な妄想を脳裏によぎらせた景太郎は強い情欲を覚え、太ももの隙間でクルリと手首を返した。儚げな柔肉で構成された淫裂をぴったりと包み込まれ、素子は羞恥しきりの悲鳴をあげる。

むちゅっ、むにゅっ、ぷにゅっ…ぬちゅ、ぬみゅっ…

「熱い…。それに、柔らかくって、こんなに濡れて…」

「だめっ!あっ!う、ううんっ…!いやっ、いやっ、いやあっ…!!いっ、いいっ!ひいっ、いっ、いいっ…!!」

 感動の丈を独語にしながら、景太郎は愛液のぬめりに任せて裂け目を押圧してゆく。人差し指と小指を左右の太ももの付け根に、中指と薬指を柔肉にそれぞれ添わせ、包み込むようにして揉みこむと素子は声を限りに泣きわめいた。上体の身悶えは激しく、両脚はつま先に至るまでピンピンに緊張させながらかぶりを振ってよがる。

 マスターベーションの経験すらなかったというのに、じっくりと時間をかけた愛撫のおかげで素子の性感帯は尽きることなく法悦を生み出してゆく。初めて他人に触れられた羞恥も心にわだかまることなく、狂ったような高揚感とともに燃え上がっていった。もう身体中が享楽でとろけてしまいそうだ。

「モトコちゃん、ねえ、気持ちいい…?教えてよ、ねえ、モトコちゃん…」

「き、気持ちいいって、さっきからっ…!あ、んぁ、んうっ…気持ち、いいっ…!気持ちいいようっ、うらしまぁ…!!」

「ああっ、いいよ、エッチな声…!モトコちゃん…モトコちゃんっ…!」

「う、んうっ…うらしまぁ…うらしまぁ…!あ、やだっ…また来そう…来そうっ…!!」

 素子は汗ばむ身体を身震いさせると、すぐそこに見えてきた二度目の絶頂感に声を震わせた。のけぞった身体は今や痛ましいほどであり、枕に置いた頭はすっかり喉元を露わにしている。その窮屈な体勢は、豊満な乳房を誇らしげに見せつけているかのようだ。

 景太郎も景太郎で性的興奮がすごく、女々しい声が止まらない。じかに触れた恥部の手触りの前では持ち前のフェミニズムもどこへやら、すっかり童貞故の欲望に駆られ、さらにいやらしく指を動かしてゆく。

むぢゅっ…くちゅ、ぶちゅ、ぶぢゅ…むにゅ、ぬにゅっ…

 先を争わせるよう、人差し指と中指を素子の裂け目に割り込ませて揉むと、内側からはぬっちょりとした愛液がとめどなく溢れてきた。火傷しそうなほどの体熱と淫靡な音、そして繊細な揉み心地は怖いくらいに情欲を煽り立ててくる。

ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…ぺろっ、ぺろっ…

「モトコちゃん、もうべちょべちょだよ…?いつも俺には厳しいこと言ってるけど、ホントはすごくエッチな娘だったんだねえ…。」

「あんっ!ふぁ、あううっ…そんな、そんなはず、ないっ…!!やだ、だめ、触るなあ…おっ、奥まで触るなあっ…!!」

「すごいな、声も上擦っちゃって…モトコちゃんじゃないみたいだ…。」

「やんやんっ!なっ、舐めてばっかりだめえっ!あ、んぁ、やだ…やだっ、またっ…また来るっ…来ちゃうっ…!!」

 景太郎は情欲に胸を焦がされるまま、素子のへそに唇を押し当てていった。焦燥をなだめるよう、薄膜をたわませながらくぼみの奥に舌を差し入れる。へその穴が素子の性感帯のひとつであることはすでに承知の上だ。穴の奥まで掃除するよう、舌先を左右にひねっては徹底的にディープキスで舐め尽くす。

 もちろんその間も右手は執拗に柔肉を揉みしだくものだから、素子はあごをわななかせて羞恥と快感に打ち震える。入浴時でも、その部位だけは手早く洗いを済ませるくらいなのに…こうして景太郎に奥まで触れられると、顔から火が出そうなほどに恥ずかしい。

 しかし、今ではもうその羞恥すら興奮の因子となって素子を高ぶらせてきた。外側の柔肉も、充血した粘膜も…景太郎の指がまさぐるたびに、じゅわーっ、じゅわーっ、と興奮の血潮を巡らせて中枢を刺激してくる。

 次第に呼吸が不規則となり、脳に十分な酸素が送られなくなると…またあの乳白色の霞がぼんやりと視界を包んできた。二度目のエクスタシーはもう近い。

気持ちいいっ…気持ちいいようっ…また…またわたし…どうにかなっちゃう…

「いいっ、いいよぉ…ああっ、ああっ、あ…い…うあ、あううっ…!」

 声にならない歓喜の叫びが、おとがいを反らせたままの素子の唇から甘ったるい吐息となって漏れる。困惑して怯えきった瞳は、まだエクスタシーの意味を完全に把握しきれていないことの現れだ。

 今日初めて性的絶頂感を経験した素子にしてみれば、まるで景太郎に催眠術でもかけられているかのような気分である。成熟しつつある自分自身の身体が、性感に味を占めてきていることにはまだ気付いていない。

くちゅっ…ぬちゅっ、ぬちゅっ…ぬみっ…

「あれ…?ここ、もしかして…モトコちゃんの…?」

「いっ、いや、だめ…そこだけは絶対だめ、お願い…」

 指先が粘膜の奥に潜り込み、小さなくぼみを探り当てたところで景太郎は視線を上向かせた。景太郎は素子の膣口…その周囲を薄く縁取っている処女膜を探り当てたのだ。

 視線の先では、素子が泣きベソの素顔を真っ赤にしてかぶりを振っている。彼女が不本意な破瓜を怖れていることは、童貞である景太郎の目にも明らかだ。

 この青山素子という女の子は、こと性に関してはひなた荘の誰よりも慎重派である。昨今の高校生にしては珍しく、破瓜を迎えるときは本当に愛しい男と結ばれるとき、と心に誓っていたりもする。生理用品もナプキン派だ。

 だからここでうかつに触れ、処女膜を傷つけてしまったら…きっと素子は悲嘆にくれることだろう。景太郎と添い遂げたとしても、一生心に悔いを残しかねない。

「…じゃあ、こうしてるんならいいよね?」

「あっ…そ、それならいい…。はぁ…お主の手、温かいな…。じわあ…って、ぬくもりが伝わってきて…いい気持ち…」

「モトコちゃんだって温かいよ…いや、もうすっごい熱い。奥の方なんか、もう熱々のグラタンみたいだ…ぐちょぐちょで、ぬちょぬちょで…」

「な、なんだそれは…変な例えをしおって…」

「だって、そんな感じなんだもん…」

 景太郎は右手の中にすっぽりと素子の恥丘を包み込み、中指だけをぷっちゅりとぬかるみのただ中に浸した。お互いの体熱が嬉しくて賛辞を交わすが、景太郎の妙な例えに素子は苦笑をひとつ、浮かせていた背中を元に戻す。景太郎は気恥ずかしそうに視線をそらしているが、それでも素子から幾分緊張を解きほぐせたのは怪我の功名だ。欲張り合って殺伐としかけた二人の間にも和やかな雰囲気が漂う。さりげなく交わし合う微笑がやけに新鮮で嬉しい。

「続き…するね?」

「ああ…」

 断定口調の景太郎に、素子ははにかみの残ったぶっきらぼうな返事を寄こす。景太郎は粘膜に浸した中指をそのままに、こんもりとしている素子の陰部をすくい上げるように揉みこね…

むにゅっ…く、りんっ…

「ひいいっ…!!」

 粘膜の縁で突出しているクリトリスに外圧が加えられ、素子は甲高い声でよがった。固くしこった女芯はうずききっているらしく、指の腹で押さえつけられただけでも素子はゾクゾクと身震いする。存在こそ知ってはいたが、戯れにもてあそんだことなど一度もなかったため、その快感に思わず涙ぐんでしまったほどだ。

 こうして触れられているだけでも華筒は随喜し、異性を求めてきゅんきゅん締まる。さらさらとしていた無色の愛液も、やがて粘りけを増して白っぽくなってきた。これは女性が男性に負けないだけ発情したときに漏出するとっておきの愛液だ。分泌過剰なフェロモンが濃縮されて、混濁してきたようにも見える。

ぬちゅっ…みちゅ、ぬちゅっ、ぬちゅっ…

「ひいっ!!あんっ、やっ、やあぁ…!!そんな、そこ、そこぉ…!!」

 やがて景太郎はむっちりと肉感のある恥丘を掌で押しこねながら、ノコギリを引くようにして裂け目の中の指を往復させていった。女性の恥部をまるごと刺激する愛撫に、素子は憑かれたように激しく身悶えしながら上擦りきった声で鳴き叫ぶ。

「クリトリス、どう?ツンツンになってきてるけど…気持ちいい?」

「ひっ!!ひんっ!ひっ…いっ、いいっ…いいっ!だ、だめ、こんなのだめ、すごいっ…すごすぎるぅ…!!」

「うわ、わわっ…!?わあ、やらしいな…指、ぱくぱくしてくる…」

「ああん、だめだめだめえっ…!!そ、そこ気持ちいいっ、気持ちいいのっ…!!」

 景太郎の問いかけにも応じられないほど高ぶっているらしく、素子は右手で布団のシーツを、左手で自らの乳房をわしづかんであえいだ。しこったままの乳首もきちんと中指と薬指の間に挟み込んでいる辺り、彼女はすっかり性の悦びに魅せられてしまったようだ。

 その証拠に、素子は火照った淫肉を繰り返し震わせ、裂け目を挽き割ってくる景太郎の中指を取り押さえるように挟んできた。これは無意識下での膣の収縮がもたらす粘膜での甘噛みだ。淫らそのものである恥部の甘噛みは、往復する指の腹が薄皮の上からクリトリスをねぶるごとに強くなってくる。

ぷっちゅ、ぷっちゅ、ぶっちゅ…

 白みがかった愛液も分泌の量を増し、中指の往復と裂け目の甘噛みの間で粘つく音を立ててきた。微細に泡だち、ムース状となった愛液はねっとりと中指に絡みついて愛撫の潤滑を手助けしてくれる。爪の中まで素子の匂いが染みついてしまうと、もはや中指までもが性感帯よろしく情欲に憑かれてくるようだ。

「モトコちゃん…そんなに気持ちいいんなら、クリトリスにだけ…してあげるっ。」

「そんな、そんなあっ…あっ!はああっ!!ううんっ、うっ、ふうぅ…!!」

ぬりゅっ、ぬりんっ、ぬりんっ…くりっ、くりゅ、くりゅっ…

 貞淑をかなぐり捨てたようなよがり様に応えようと、景太郎は中指で素子のクリトリスをいじった。突出の周囲をなぞるようにして押し転がすと、素子は切羽詰まった泣きベソになり、シーツをつかんでいたはずの右手でオタオタと景太郎の頭を突っぱねてくる。なけなしの精神力を駆使しての抵抗には微塵の力もこもることはなく、その抵抗はまるで景太郎の髪をかいぐりするかのようだ。

 素子のクリトリスは興奮でいきり立っているとはいえ、薄皮にくるまれたままの小さな粒でしかない。マッチ棒の先よりも少しだけ大きい感じだろうか。

 その儚さにも容赦することなく、景太郎は粘膜の縁をえぐるようにして性感帯を剥き出させ、徹底的にいじめ抜いた。付け根をほじくるようにくじっては、ぐりぐりぐり…と真上からひねり潰したりする。

「だめっ、だめっ…ああっもうだめっ、もっ、漏れる…漏れるぅ…!!」

「漏れるって…なにが?おしっこ…?」

「うんっ、うんっ…ほ、ほんと、本当に漏れそうなんだ、だから…あっ、あんまり、あんまりしないでえっ…!!」

 苛烈とも言える徹底した愛撫に蹂躙され、素子の意識はすっかり白旗を揚げてしまった。景太郎のわざとらしい問いかけにも素直にうなづき、尿意を堪えるように太ももを擦り寄せたりする。

 とはいえ、すでに素子の尻の下は失禁したかのように愛液溜まりが拡がっていた。ぴったり閉ざしてなお隙間のできる素子の股間からは、先程から催淫の匂いがぷんぷん拡がりっぱなしだ。

 その匂いに誘われるよう、景太郎は素子の性毛の生え際付近にまで顔を近づけ…広げた舌で彼女の下腹を舐め上げた。乙女の柔肌からほのかな甘味、そしてフェロモンをたっぷり含んだ汗の味を感じると、思春期を引きずったままの胸は狂おしく騒いでくる。

 それもあいまって、先程から厳しくお預けを食らったままのペニスは痛いほどに勃起してしまう。膨張しきった先端はもちろんのこと、鋼のように硬直した幹も体奥へと続く根本に至るまで情欲を募らせきっていた。これがセックスでなかったとしたら、即座にマスターベーションして思いを遂げているところである。本来なら二、三度は射精を欲張っていてもおかしくはない状況だ。

やばいっ…モトコちゃん、あんまりかわいいから…俺、我慢できないかも…

きゅっ、きゅっ、ぬちゅっ…くにっ、ねゅっ、にゅっ…

 素子の声、しぐさ、ぬくもり、ぬめり、匂い…。

 それらに言いようもないほどの女らしさを感じると、景太郎は為す術もなく情欲に急かされ、親指も加勢させてクリトリスに攻めかかった。内側の粘膜ごとあらゆる角度から摘み上げ、ひねっては体内に押し込もうと押圧する。

 その甲斐あって、愛液でぬめりながら逃げ回っていたクリトリスも次第に萎縮し、包皮の向こうに縮こまってしまった。凝縮しきった快感が体内に送り込まれてくるのを感じると、素子はよがり疲れた火照り顔をしかめてつらそうにうめく。素子の瑞々しい身体には、またしても怒濤のような快感が押し寄せてきたのだ。

「あひっ、あひっ、あひっ、あ、うっ、うらしまっ…!もうだめ、来る、来るうっ!!」

「二回目、イキそう?」

「う、うんっ!うんっ!!い…イク…イキそ、イクッ…!あっ!ああんっ!イクぅ!!」

「うわぁ、モトコちゃんが、イク!って言ってくれたぁ…!モトコちゃん、俺…俺、もう抑えらんないっ…!!」

 取り憑かれたようにのけぞった身体で身悶えしながら、素子は両手で力一杯シーツを握りしめた。クライマックスを迎えた素子に痛いほどの愛おしさがこみあげると、景太郎は浮き上がった彼女の背中を左手で抱き寄せ、子宮の真上当たりの柔肌に強く口づける。

モトコちゃん…好きだよ、モトコちゃんっ…!!

ちゅ、ちゅううっ…

 跡が残ることも一切気にかけず、想いを込めて強く強く吸い付いた途端…

「あっ、あふぅっ…!!あっ、あああっ…!!」

がくがくっ、がくがくっ…きゅ、きゅきゅっ、ぷぶっ、ぶっ、ぶぷっ…こぷんっ…

 素子は一瞬驚愕するように目を見開き、腰に激震を走らせ…滂沱たる感涙にむせびながら恍惚の表情となった。浮かせていた背中が布団の上に戻ると、身体はぐったりと脱力し、膣だけが元気良く収縮を繰り返す。その弾みで愛液がささやかに噴出し、次いでたっぷりと溢れ出て尻の谷間から滴り落ちていった。

…すごい…死ぬかと思った…死ぬかと思ったぁ…

 二度目のエクスタシーがもたらした途方もない法悦に打ち震えつつ、素子はいまだにぼやける意識の中でそう感じていた。まばゆい閃光の向こうから見慣れた室内の風景が見えてくると、素子は心底安堵して何度も何度も溜息をつく。嘆息ひとつも気持ちいいなど、本当に夢でも見ているようだ。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…あう、うっ…うううっ…ふう、ふう…」

 疲弊しきって横を向くと、緊張によるストレスが感涙に混じって排出されてゆく。景太郎の枕が冷たく濡れてゆくのも、まだどこか遠くの出来事のように感じられるのが不思議でならない。

 確かに、登り詰めた瞬間の快感は最初の時よりも強烈であった。中枢に直接、重く濃厚な快感を撃ち込まれたかような感じで、堪えようもなく泣き叫んでしまったほどだ。

 尋常ならざる快感の大津波に悲鳴をあげるいとまもなく失神をきたし、徐々に意識が回復してきたときには、身体中がまだフワフワと浮揚感に満ちていた。それに下腹の奥にある身体の芯が、今なお燃えているかのように熱い。景太郎がストーブの火勢を強めたのか、と勘繰ってしまうほど身体中が汗ばんでくる。エクスタシーは余韻を残すのみとなっても、身体は依然として高ぶりを示してしまうようだ。

気持ちいい…気持ちよすぎる…もう死んでしまいたい…

 休む間もなく立て続けて与えられた過負荷に怖じ気づき、意識は絶命すら望み始める。せつなく詰まる胸と、愛しさで焦れる唇にそれぞれ手を当て、素子は泣いた。景太郎に愛されたい想いと、愛される快感から逃れたい願いが激しくせめぎ合いを始めたのだ。素子は強い女だが、こればかりはもう耐えきれる自信がない。

「えぐっ、うぐっ…ぐすん、ぐすんっ…ひぐっ、うぐっ…」

 高まる胸の内圧を解放するつもりで、繰り返し繰り返し溜息を重ねていたのだが…それもすすり泣きに変わってゆく。余韻を感じていることすらつらかった。

「モトコちゃん…」

「うっ、うぐっ…う、うらしまぁ…」

 呼びかけに涙で潤んだ視線を向けると、そこには景太郎が心配そうな面持ちでこちらを見つめていた。彼はよつんばいで覗き込みながら、枕元に置いてあったティッシュペーパーを三、四枚手早く引き抜き、しとどに濡れそぼった裂け目を丁寧に拭ってくれる。

 後戯とも呼べるような事後処理ではあったが、疲弊しきった身体に景太郎の思いやりが伝わってきて嬉しい。素子は何度か鼻をすすると、懐かしそうに眼を細めて景太郎を見つめた。エクスタシーの衝撃はまだまだ不慣れではあるが、こうして景太郎に愛してもらった証だと実感すれば悦びもひとしおであった。

 

 

 

つづく。

 

 


(update 00/12/28)