浦島、抜け!

Sex by Sex(8)

作者/大場愁一郎さん

 

 

 ぽにゅ、ぽにゅ、ぽにゅ…なでなで、なでなで…
わ、すっごい柔らかい…それに、丸々としてて…スベスベで…
 みつねの胸元に唇を押し当てたまま、きれいさっぱり愛撫を忘れ…景太郎は夢中で裸の乳房の手触りに浸る。
 今さらではあるが、本当にみつねの乳房は大きい。景太郎は目一杯指を開いて包み込んでいるのだが、それでもまだまだ持て余すくらいにふくよかだ。砂の山をこさえるよう、両手で覆い隠そうとしても隠しきれないかもしれない。
 にもかかわらず、その柔らかさは見た目とはまるきり裏腹である。指先にわずかな力を込めるだけでも、柔肌は指の隙間からむんにゅり逃げ出してしまいそうなくらいだ。
 景太郎は人差し指と中指の間に乳首を挟み込み、そのスベスベとしたもち肌を手の平いっぱいに感じ取るよう、アンダーバストから、真正面から、腋の方から、谷間の方から…それこそあらゆる方向から撫で回した。ほんわりと温かい乳房は撫で心地も格別で、こうして触れているだけでも幸せな気分になってくる。手の平がニコニコ微笑んでくるような感じだ。
「キツネさんの胸、ホントに大きい…それにスベスベしてて、いい気持ちっ…」
「覚えてる?あんた、ここに来たとき痴漢と間違われたやんか。あのときもウチの胸、じかに触ったやろ?ウチは今でもあのときのこと、よう覚えとるで?」
「た、確かに触っちゃいましたけど、あのときは一瞬だったから感触までは…でも、なんかあのときよりも大きくなってるような気は…」
「ふん…大きなるにしても限度ってもんがあるわ。こないだ計ったら、とうとう九十の…九十のDになっとったんやで?胸なんぞしょせん脂肪のカタマリやんか、んなもん大きなればなるだけ鬱陶しいっちゅーもんや。ええことなんかひとつもあらへん」
「そ、そういうもんなんですか?」
「そーゆーもんなんや。男のあんたにはどれだけ頑張ってもわからんやろぉけどな」
 相好を緩めっぱなしの景太郎とは対照的に、みつねは不機嫌そうに鼻を鳴らす。見事過ぎる発育ぶりが気に入らないのか、無下に非難までするほどだ。
 みつねは自分のプロポーションにはそれなりに満足しているが、それでも胸のサイズだけはもう少し控えめでもよかったのに、と常々不満に思っているのである。その不満は、胸が大きい女性なりの様々な悩みから起因していた。
 たとえば、公共の場に出れば好奇の目でジロジロと眺められる。
 身体の一部でありながら、その重みで肩が凝る。
 スポーツなど身体を動かすには邪魔になる。
 洋服や下着は選べる範囲が限られてしまう。
 晴れ着などの和服は均整が取れずに不格好となる。
 冬場は冷えるし、夏場は谷間やブラジャーのレースに汗がたまる。
 などなど、悩みは枚挙にいとまがないほどだ。胸の小さい女性からは贅沢な悩みだといわれるかもしれないが、こればかりは当事者でないと到底理解はできない。もちろん、いかに思いやりのある景太郎でも異性である限りは同じだ。
「そんなわけで、脂肪のカタマリやからな…そんな優しい触り方やと、あんまり気持ちようなれへんねん」
「じゃあ…もうちょっと強くしたほうがいいですか?」
「けーたろの場合、ちょっと乱暴かなって思うくらい…ホンマ、ぐにょぐにょにするつもりで揉みこねなあかんのとちゃうかな」
「乱暴かなって、思うくらい…」
 みつねは左手で景太郎の頭を抱き寄せると、その横顔を自らの胸元に押し付けた。そのままで彼の髪を繰り返し撫でつつ、淫魔が誘惑するような口調でつぶやく。
 景太郎はみつねの乳房を右手にわしづかんだまま、彼女の言葉を鸚鵡返しにしていた。どす黒い情欲が胸の内圧を高めてきて、言葉に窮したのだ。
 乱暴という言葉は、景太郎にとって普段から備えのない言葉であった。
 誰と接するときも、常に優しく…。それを信条として今まで生きてきたし、そのスタイル以外は自分に似合わないと自覚もしていた。
 しかし今、愛しい女性に不埒とも呼べるほどの愛撫をせがまれ…手の平がジットリと汗ばんでくる。怖気すら覚えるほどの興奮に、どうしようもなく気が逸った。
もし麻薬を打ち込まれたなら、きっとこんな状態に陥るのだろう…。
 景太郎は自ずと覚醒してきた雄としての本能に対し、そんな失礼な実感を覚えた。
もみゅっ…もみゅっ、もみゅっ、もみゅっ…
「あんっ!ん、んんっ…んっ、んんっ…!」
 汗ばんだ掌の中から逃さぬよう、しっかりと指を立て…景太郎はゆっくりとみつねの乳房を揉み始めた。乳首は親指と人差し指の間に置き、アンダーバストから搾るよう何度も何度も揉み込む。
 その確かな握力に、唇を噛みしめたみつねは切羽詰まった鼻声でよがった。乳房が景太郎の手の中でたわめられるごとに、熱い愉悦がじんわりと広がって中枢を灼く。景太郎の頭を撫でていた左手は、思わずくしゃっ…と髪をつかんでしまった。
うわっ、すごい…すごい、すごいっ…!
 景太郎はみつねの胸元に頬を押し当てたまま、まるで暴走機関車のように興奮を募らせていった。
 みつねの乳房は、その豊満な膨らみの中にみっしりとした質量を内包していて…力を込めて揉むと、その絶妙な手応えだけで雄としての本能は奮い立ってくる。手の平いっぱいに感じられる揉み心地は直接性的な焦燥となり、すぐさまペニスに作用するのだ。みつねの乳房を堪能すればするほど、ペニスは興奮の血潮を巡らせて勃起を強める。
「ん、ふぅう…あっ、あんっ!あんっ!!け、けーたろ!けーたろっ…!!」
「わっ…き、キツネさん、ごめんなさい!痛くしちゃった?」
「はぁ、はぁ、はぁ…ううん、平気やけど…」
 そんな景太郎の高ぶりが伝播したのか、みつねは感極まってよがり鳴いた。その悲鳴にも似た嬌声に驚き、我に返った景太郎は慌てて乳房を解放して彼女を見つめる。
 みつねは紅潮しきった顔面をせつなそうにしかめ、忙しなく深呼吸していたのだが…やがて景太郎と視線を合わせてフルフルと首を振った。どこかすねたように口元をとがらせたのは、せっかく高ぶってきた矢先に愛撫を中断されてしまったからだ。不慣れな景太郎には、さすがにそんな女心の機微までは感じ取ることができない。
「…なんかあんたの顔、久しぶりって感じやな。けーたろ、真っ赤やで?」
「キツネさんだって…ほら、こんなにほっぺた熱いじゃん」
「んふっ!や、やめっ、もう…あんたかてほら、熱々やんかっ」
「ひゃ、く、くすぐったいっ…!」
 二人して眩しげに目を細めると、景太郎は右手で…みつねは左手で互いの頬を撫でた。手の甲と手の平の両方で頬の火照り具合を確かめながら、わざとらしく首筋や耳を撫でたりしてじゃれ合う。
 しばしささやかなくすぐったさを分かち合ってから、みつねの方から左手を差し出し、そっと景太郎の頭を引き寄せた。人なつっこく細まった瞳も、今はただ潤みきって景太郎だけを写している。
「キスして…」
「うん…」
ちゅむっ…
 静かに目を伏せて、二人は極めて自然な動きで唇を重ねる。
 たっぷりとキスを交わしてきた二人は、今朝のこのひとときだけで阿吽のタイミングというべきものを見出していた。好きこそ物の上手なりけれ、というやつであろう。
 お気に入りの角度で重なった瞬間に、一度だけふんわりとついばんで…二人は意外にあっさりとキスを終える。みつねが景太郎に求めたのはキスを楽しみたいからではなく、キスの心地が懐かしく感じられたからだ。今はキス以上に、身体中で景太郎とのイチャイチャを楽しみたいのである。それはもちろん景太郎だって同じだ。
 そんな欲張りな気持ちが少し照れくさく…だけど幸せでならず、二人はうっとりとなって見つめ合う。
「…胸にも、こんな優しいキスしてくれる?」
「胸にも…?」
「うん…ちゅっ、ちゅっ、て…赤ちゃんみたいに…」
 そう言うとみつねは心持ちあごを引き、期待に満ちた上目遣いで景太郎を見上げた。左手を再びシーツの上へと戻し、赤裸々な身体のままでじっと愛撫の続きを待つ。
 みつねの甘えんぼなリクエストを受けて、景太郎は一旦横臥の体勢を整えた。吐息がかかるほどの距離から顔を上げ、上体を支えながら腕枕している左の手でみつねの肩を抱き…ちらりと視線をみつねの胸へと向ける。
ごくんっ…
 そこには、今までどんな雑誌やビデオでも見たことの無いような美しい乳房があった。スケベだなんだとからかわれまいと、こっそり盗み見るつもりであったのだが…景太郎は一瞬で見惚れてしまい、真っ直ぐに顔を向けて生唾を飲み込む。
 みつねの乳房はむやみやたらに大きいだけではなく、奇跡とも思えるほどに形が良かった。乳房の造形美というものを具現化したような、ボリュームたっぷりのお椀型なのだ。
 しかもこうして仰向けになっていながら、だらしなくつぶれたりもしていない。双子の乳房は余裕たっぷりのふくよかさを以て、悠然とそのまろみを維持している。
 柔肌のスロープは鎖骨を過ぎた辺りから勾配を描いて頂へと続き、その向こうは突然急傾斜の崖となっていた。ちょうどみつねの肩の辺りからだと、崖の真下は乳房を押し上げなければ確かめることができないくらいである。それだけトップとアンダーの差も大きいのだ。
 それでいながら、双丘の頂にちょこんと乗っかっている乳首は実に慎ましやかでかわいらしい。大きさでいえば、たまごボーロを気持ち程度大きくしたような感じだ。高ぶって紅梅色に萌えている乳輪も過度に大きくなく、その組み合わせは丸々と実っている色白な乳房とあいまって、まさに絶妙であった。
すごい…ホントにすごいよ…なんていいおっぱいなんだよ…
 景太郎は口を真一文字に結んだまま、ひたすらみつねの乳房に視線を奪われていた。今までにもアクシデントでみつねの乳房を見てしまったことがあるが、こうしてじっくりと眺めるのは初めてであるから感動もひとしおだ。
 それに、先程手荒に揉み搾った手触りも忘れられない。生まれて初めて思うがままに揉みしだいた乳房がみつねの美乳であったことは、冗談ではなく一生の記念になりそうだ。今もまだ右手はワクワクとした高揚感に満ち、微かに震えていたいたりする。
 しかもみつねは、今度はその乳房にキスして…乳飲み子のようにじゃれついてほしいと言うのだ。不埒な期待感で、怖いくらいにペニスも漲る。逸り水もジクジク滲みどおしで、いつしかシーツに滴り落ち、ネットリといやらしい染みを作っていた。
も、みゅっ…
「あふっ…!」
 断りひとつなく、やおら景太郎が左の乳房をわしづかんだので…心の準備ができていなかったみつねは甘ったるい声で鳴いた。驚いた景太郎は弾かれるように振り返ったのだが、みつねははにかんだ笑みを浮かべるのみで、ふてくされるようなそぶりは見せない。
 気を取り直して、景太郎はほんの少しだけ身体をずらし、横からみつねに身を乗り出した。それに合わせて肩を抱いていた左手も、愛撫のひとつのように彼女の首筋へと移動する。寄り添うようにして抱え込んでいるみつねの身体がゾクゾクさざめくと、景太郎の胸の奥にはたちまち鮮烈な愛しさがこみ上げてきた。
もにゅっ…もにゅっ…もにゅっ…
「んっ…んっ…んふっ…」
 景太郎は心からの愛しさを右手にこめて、みつねの乳房をアンダーバストから鎖骨の方へと押し上げるように揉んだ。丸々とした乳房が柔軟にたわむたび、みつねは吐息の中で狂おしくよがる。景太郎自身、豊満な乳房の揉み応えにご満悦といった様子だ。
「えへへ…これだけ大きいと、すごくおっぱいって感じ…」
「な、なにあほなこと言うてんねん…」
「あほなことじゃないですよ、キツネさんもおっぱいって口に出して言ってみればわかりますって。ほら、よく見て…こんなに丸々としてて、こんなに柔らかくって…」
「お、おっぱい…な、何を言わせんねん、どあほっ!」
「あははっ!」
 蜂蜜のように甘やかな雰囲気の中、二人は仲睦まじく愛撫と戯言を楽しむ。裸の肌と肌を介して行き交うぬくもりもすこぶる心地良く、景太郎もみつねも少しずつ気取りやてらいを忘れていった。濃厚なセックスの真っ最中だというのに、何気なく浮かんでくる微笑がお互い嬉しくてならない。
「キツネさん…」
「うん…」
 景太郎の呼びかけに、みつねははにかみながら首肯する。
 それを確かめてから、景太郎は右手に一層の力を込めて乳房を押し上げ…唇を寄せた。
ちゅ、むっ…
「んっ…!?」
 予想していなかった地点にあたたかな刺激が生まれ、みつねは不意打ちをくらったようにさえずりながら両目をしばたかせる。
 景太郎は乳房の柔らかみを過敏な薄膜で堪能しようと、乳首の数センチ上辺りに口づけていた。鼻先が柔肌に触れるほど強く唇を押し当ててから、ぷはっ…と息継ぎして、また同様に口づける。
ちゅむっ…ちゅむっ…ちゅむっ…ぺろっ、ぺろっ…ちゅむっ…
「ぷはぁ、柔らかい…んっ、ふ…」
「け、けーたろ…んっ…く、くすぐったいやんか…」
 紅梅色に萌えている乳首をまるきり無視して、景太郎は真っ白な柔らかみに何度も何度もキスを撃つ。みつねの上擦った苦笑にも耳を貸さず、舌先まで差し出して乳房のすべらかさを楽しみ始める始末だ。
 みつねの乳房は、キスひとつでもむんにゅりたわむほどに柔らかい。唾液を擦り込むように舌を添わせても、決して逆らうことなくされるがままになってくれる。ぷよぷよ、ぽよぽよ、といった繊細な弾力があまりに気持ちよくて、キス好きな景太郎はついつい夢中になってしまう。
 なにより、景太郎は鼻孔に舞い込んでくるみつねの体臭で興奮を強めていた。ほんわりと甘ったるい匂いに胸はさざめき、吐息は火照る。
 めくるめくほどにイチャついて、いまやみつねの素肌は…特に腋や乳房の谷間はジットリと汗ばんできている。そこからは発情のフェロモンがたっぷりと分泌され、雄である景太郎を高ぶらせるのだ。
もみゅ、もみゅ、もみゅ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…
 景太郎はのぼせてしまいそうな意識の中、押し上げたままであった乳房を再びやんわりと揉み始めた。そして、そののんびりと揺れる乳房に小刻みなキスを連発する。とはいえ乳首や乳輪には触れようとしない。あくまでその周囲にだけ吸い付き、優しく愛情を注ぎ込んでゆく。
なんやねん…けーたろ、ウチを焦らしとんのか…?
 惜しみのない愛情を享受しながらも、みつねはもどかしそうに唇を噛みしめて景太郎を眺める。紛れもない性感帯である乳房を揉まれ、キスまでされて呼吸は荒ぶってきているというのに…それでも敏感な乳首に少しも触れてもらえなくて、どうにも物足りないのであった。
 個人差は当然あるが、一般的には乳房自体より乳首の方が敏感である。みつねにしてみても、乳房を少々手荒に揉みしだかれるより、乳首を舌や唇で愛撫してもらった方がより強い性感を覚えることができるのだ。だからこそ景太郎に愛撫をせがんだときも、赤ちゃんみたいに…とわざわざ付け加えたのである。
 だからこうして、乳首を無視して愛撫されると…まるで景太郎が意地悪く焦らしているかのような疑念を抱いてしまうのだ。
 欲しい物が手に入らないと、ますます手に入れたくなってしまうのが人間である。みつねも乳房にキスを連発されて、初めこそはくすぐったそうに目を細めていたのだが…今ではせつなげに表情を曇らせている。乳首や乳輪は焦れきってしまい、すっかりウズウズしてきた。
「け、けーたろぉ…そんな意地悪せんといて…」
「ん…?俺、なんか嫌なことしてます?」
「んぅ…先っちょも…先っちょにも、して…」
「うん…でも、楽しみは最後まで取っとこうと思ってたんですけど…」
「あ、あほう…あんたの最後は、いったいいつになんねん…」
 とうとうみつねは欲望に屈し、頼りない声で景太郎に求めてしまった。それでも二人のやりとりはどこかくだけていて、ドロドロとした情念というものには束縛されない。お互い発情しきってはいるものの、何気ない笑みだけは途切れることがないのだ。
 これは二人にとって、あくまでセックスがスキンシップの延長線上にあることの証であろう。いわゆるセックスフレンドという関係は、事実上存在し得るのである。
ぷ、ちゅっ…
「ひぅっ…!」
 みつねの望みどおり、景太郎は右手で乳房を搾り上げたまま…すぼめた唇の先で紅梅色の乳首にキスした。それでもそのまますぐにむしゃぶりつきはせず、ちょこんと突出している乳首を押し倒すよう、その付け根辺りに薄膜を押し当てる。待ち焦がれていた感触の到来に、みつねはびくんとおとがいを反らして鳴いた。
 一方で景太郎は、先程のみつねのおねだりで、焦らすことの楽しさに気付いていた。みつねのしどけなくも愛くるしい姿に、ついつい悪のりしたくなってしまう。
 今までに見たことのないようなキツネさんが見たい…もっと…もっと…
 そんな危険な思いに駆られるまま、
ちゅっ…ちゅっ…ちゅっ…ぷちゅっ、ぷちゅっ、ぷちゅっ…
 景太郎はみつねの乳首を前後左右に押し倒しながらキスを続けた。上唇の先で乳首を退けて、ぽつぽつとした感触の乳輪にだけ口づけて…一旦顔を上げて乳首を眺めては、また口づけるといった要領でみつねを苛む。
「はあっ、はあっ、はっ、あうううっ…!く、このっ…!」
 もどかしい愛撫でありながらも、みつねは枕の上でしきりにかぶりを振り、息も絶え絶えによがる。脂肪のカタマリだなんだと言いながらも、乳房が性感帯でない女性は稀だ。
 むしろみつねは経験豊富でもあるから、乳房の感度は抜群といえるほどに磨き上げられている。ましてや焦れている今では、ともすれば乳房への愛撫だけで軽いエクスタシーへと達しかねない。
 そんな淫猥そのもののさえずりに、景太郎の男心ははさかんに触発される。このまま乳首にむしゃぶりついてしまいたい衝動が何度も何度も殺到するが、若い好奇心がそれに勝り、たとえれば火遊びのようなスリルを景太郎に追求させた。微かに恨み言が聞こえたときにはさすがに背筋がゾクリとしたが、あえて景太郎はみつねに視線を向けず、勇気を振り絞って焦らしに徹する。
ちるっ…ちるっ…ちるっ…ぺろぺろ、ねりねり…れるん、れるん、れるんっ…
 ひとしきり乳輪へのキスを満喫したら、景太郎は上唇を乳首に触れさせたまま、舌先を忍ばせてその付け根を舐めた。そこから乳首の先にかけてをそっと舐め上げたり、舌の表と裏をまんべんなく使って乳輪をくすぐったり、あるいは乳輪にそってクルクルと舌先を回したり…少しでも乳首に刺激が伝わらないように工夫しつつ、景太郎は思いつく限りの念入りな愛撫を施す。
 甘ったるい体臭に相応しく、みつねの胸からはほのかな甘味が感じられた。
 いつしか愛撫のつもりが、その甘味を欲張っていて…気がつけば乳首の周りは唾液でべちょべちょになっていた。押し上げている右手にまで唾液が伝い落ちているほどであったが、今さら気にしてティッシュで拭いたりすればそれこそ無粋であろう。景太郎は懸命に気づかないふりをしてみつねの乳輪を舐め回していった。
「んうっ!ん、んんぅ…!!はあっ、はあっ、はあっ…あ、やっ…!」
 みつねは唇を噛み締め、左手でシーツをひっつかんで悶えていたのだが…そのうち、せつない疼きを募らせ切った乳首にささやかな異変が生じてきた。景太郎はそれを唇と舌の先で感じ取ってしまい、急激な興奮による動悸を覚えることになる。
むくっ…くっ、くくっ…
わ…キツネさん、乳首が…
 景太郎が乳輪にキスしているすぐ横で、みつねの乳首は固くしこり…ツン、と威嚇するように屹立した。それに合わせて乳輪もふんわりと隆起し、乳房全体がほんわりと熱を帯びて桜色に火照る。
 それはみつねの左の乳房が、景太郎の愛撫によって屈服した瞬間であった。
 景太郎は目の覚めるような感動と興奮に胸を躍らせ、右手の中で発情した乳房をぽにゅぽにゅと揉んだ。乳房の愉悦はそのままみつね自身の愉悦につながるため、彼女はのけぞるように背中を浮かせてその身をさざめかせる。
 その弾みで、景太郎が乳房から頭を上げると…二人は息がかかるほどの距離で見つめ合ってしまった。きらきらした景太郎の瞳と、とろん…となったみつねの瞳がそれぞれの複雑な表情を映し出す。
「キツネさん…乳首、立っちゃったね」
「んぅ…けーたろが、スケベやさかい…」
「…スケベな男は嫌い?」
「ううん…好き」
「よかった…」
ちゅっ…ちゅ、ちゅっ…ちゅむっ…
 興奮による動揺でぎこちなく微笑む景太郎と、彼のペースに呑まれて苦笑半分のみつね。
 鼓動を耳元で聞きながら、二人は何の臆面もない睦言を交わし…思い出したように唇を重ねた。鼻先どうしを触れさせながら、二、三度吸い付き合って接吻欲を満たす。
 熱い愛情が薄膜ごしに行き交うため、今ではもうキスを終えた後の余韻がやたらと長く持続するようになっている。惚けてしまうくらいに気持ちいい。
「じゃあ、今度こそ…おっぱい吸わせて…」
「ん…いっぱい、吸って…。あ、別に寒いシャレ言うたんとちゃうからな?」
「ははは、わかってますよっ」
 景太郎がゆっくりと乳房を揉みながらそうねだると、みつねは聖母もかくやとばかりの慈愛に満ちた微笑でうなづいた。しかしすぐまたいつもの人なつっこい笑顔になっておどけてくるので、景太郎も屈託無く笑って応じる。
 普段と変わらぬ気兼ねのいらない雰囲気のまま、こうしてじっくりと睦み合えることが景太郎もみつねも嬉しかった。肌を重ね、唇を重ね、戯言を交わし、睦言を交わし…そんな繰り返しの中、不思議な絆はどんどん固くなってゆく思いだ。
も、みゅっ…
「んっ…」
 景太郎は一旦みつねの乳房を自然なままに開放して、あらためてアンダーバストから搾り上げた。その様子を見守りながら、みつねは微かな鼻声で鳴く。
 右手の中で柔軟にたわんでいる乳房にあって、紅梅色の乳首は少しも興奮を冷ますことなく屹立していた。景太郎はそっと目を閉じると、舌先を少しだけ差し出したまま…みつねの乳首にむしゃぶりつく。
ぷ、ちゅぷっ…
「はぁんっ…!!」
 寝室いっぱいに、みつねの嬌声が響く。
 それを合図のように、景太郎は童心に帰って豊満な乳房に甘えかかった。景太郎もまた、こうして乳首にむしゃぶりつく瞬間を待ち焦がれていたのだ。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…
「あん!あんっ!ああんっ…!!ん、んぅ…や、やらしい吸い方っ…ふ、ううんっ…!!」
 夢中で唇をきゅんきゅんすぼめ、ちょうど細いストローの先端だけで濃厚なミックスジュースを飲むようにすると…みつねはすっかり背中を浮かせて鳴きじゃくった。普段より一オクターブ以上も声を上擦らせ、何か非難しようとしても言葉にできないくらい愉悦の虜になってしまう。
 小刻みに吸い付かれる乳首からは、快感が温かなシャワーのように生まれてきた。そして、その快感は強く搾り上げられている乳房で増幅され…みつねの中枢を狂おしく冒すのである。待ち侘びていた愉悦があまりに素晴らしく、みつねは今にも嬉し泣きの涙をこぼしてしまいそうだ。
 しかも、過敏となっている身体は性感帯どうしを密接にリンクさせている。乳房が気持ちよくなるぶん、耳から首筋、唇、裂け目といった他の性感帯はこちらも欲しいとばかりにウズウズと焦れてくるのだ。
 それこそ中途半端に刺激を受けた裂け目の焦れようといったら、もはや堪えようもないほどである。特に裂け目の縁にある女芯はズキズキ疼き、か細い華筒はきゅんきゅんくねって愛液の精製、漏出を繰り返している。まさに残酷といえるほどの焦燥に、みつねは両の膝を立ててしまい…もはや内ももを摺り合わせて疼きをなだめるのに必死だ。
 そんなみつねの狼狽に気付くことなく、景太郎は一心不乱となって乳首にむしゃぶりついていた。
 右手でしっかりと乳房を搾り上げたまま、勃起しきりの乳首を念入りに甘噛みして悦に入る。もちろん母乳が出るはずもないのだが、それでも景太郎は育ち盛りの乳飲み子よろしく元気いっぱいに吸い付き、その豊満な柔らかみに浸った。
照れくさいけど、なんだかいいなぁ…ずうっとこうやって甘えていたい…
 受験勉強も、管理人としての責務も、何もかも忘れて…景太郎はみつねの乳房にむしゃぶりつきながら、陶然とした意識の中でそう思う。
 母の乳房は、子どもにとって子宮の次ぎに辿り着く新たな楽園だ。母の腕に抱かれ、その乳房にじゃれついていると、他では得られない至高の安らぎを覚えることができる。これに関しては男女の別もない。すべての人間は等しく母が産み落としてくれるのだ。
 そんな幼い頃の記憶や感覚を意識の奥底にしまったまま、やがて思春期を迎え…男は再び乳房への憧れを強くする。そしてその憧れのまま、今度は愛しい女の乳房に甘えてしまうのである。
 とはいえ、幼い頃の安らぎを楽しんでいられる時間はそう長くない。思春期を迎えた意識は乳房に甘えれば甘えるぶん、若々しい肉体を活性化させてゆくのだ。
 景太郎もしばし乳房のゆりかごで、遠い昔を懐かしんでいたのだが…猛々しく勃起しているペニスがひどく疼いて、意識はたちまち現実へと呼び戻された。乳房から漂う甘ったるい体臭にも、今ではもう安息を覚えることはなく、むしろ強烈な興奮剤となって景太郎を奮い立たせる。
れるーっ…れるーっ…れるーっ…
 景太郎はやにわに大きく舌を伸ばすなり、そのざらざら感を乳首に擦り込むよう何度も何度も押し倒しては舐め上げた。ツンツンにしこった乳首は何度押し倒しても起きあがってくるのだが、その健気な弾力は舌にも心地良い。
べろっ、べろっ…ぶちゅぢゅっ、ちゅちゅうっ…ちゅっ、ちゅっ…
 舌がひとまず満足したら、今度はまた唇が乳首の感触を恋しがってくる。
 景太郎はたっぷりと唾液を塗り込むよう丹念に乳首を舐め回してから、わざとらしく音たてて吸い付いた。ぷっちゅりと唇に含んだまま、きゅっ、きゅっと甘噛みすることも忘れない。
「ああんっ!けーたろっ!けーたろぉっ…!!んぁ、あっ…んぅ、うううっ…!」
「んっ、んーっ!んんんーっ…!!」
 そんなねちっこい愛撫に浮かされ、みつねはすっかり背中を浮かせてのけぞった。媚びるような嬌声で景太郎を連呼し、無我夢中の力で彼の頭を抱き込む。
 その指先が髪に埋まるほど強く抱き寄せられて…景太郎は豊満な乳房に顔を突っ伏す格好となった。むしゃぶりついたままの口はもちろん鼻まで柔肌に塞がれてしまい、呼吸困難に陥ってオタオタとあがく。
「んんっ、んんんっ…ぷはっ!はあっ、はあっ、はあっ…」
「あんっ…はふ、はふ、はふ…」
 狼狽えた弾みで、グイグイ乳房を押し上げていた右手が離れたのが幸いした。
 ぽゆん…とばかりに乳房がたわむなり、景太郎は頬摺りするように顔を横向け、かろうじてみつねの拘束から逃れることができた。景太郎はみつねの乳房の谷間に横顔を預けた体勢で、思うさまに酸素を肺腑の奥へ送り込む。
 そのまま余録とばかり、べっちょりと汗ばんでいる乳房の谷底に頬摺りしてみた。右の耳にドキ、ドキ、ドキ…と早鐘のような鼓動を感じれば、そんな些細なことでも照れくさいような愛おしさがこみ上げてくる。
なでり、なでり、なでり…
 景太郎同様、みつねも荒ぶった呼吸で胸を上下させていたが…ある程度落ち着きを取り戻すと、おずおずと左手を伸ばして彼の頭に触れた。今度は遮二無二抱き寄せたりせず、慈しむような手つきで丁寧に丁寧に髪を撫でる。甘えてくる景太郎に対して母性が作用してしまうのだ。
 思わず笑みが浮かんでしまうほどの幸福感に浸りながら、みつねはついつい景太郎の左耳に指先を忍ばせて悪戯した。まだ性感帯としての素質が開花していないのか、景太郎はくすぐったそうにその身をさざめかせ、ちらりと困惑顔をみつねに向ける。
 その視線に詫びるよう小さく笑って、みつねはまたやんわりやんわりと景太郎の髪を撫で始めた。それでまた景太郎は居心地良さそうに目を細め、乳房の直中でのぬくもりに浸る。
「…ウチのおっぱい、そないに気に入ったん?」
「うん…ね、キツネさん…」
「ん?」
「…こっちにも…していい?」
「ふふっ…なんや、よっぽど気に入ったんやな。ええよ、もう片っぽも…」
 ヒソヒソ話のように睦言を交わしてから、みつねは景太郎の髪を撫でていた左手をシーツの上に下ろした。それに合わせて景太郎はみつねの胸から顔を上げ、ひそやかに愛撫を待ち焦がれていた手前側の乳房…彼女の右の乳房を見つめる。
 景太郎の愛撫にのぼせたような左の乳房に比べ、右の乳房は明らかに物欲しそうな佇まいだ。乳首はもちろん乳輪の上にちょこんと乗っているだけであり、下方にやや湾曲したお椀型の膨らみも幾分慎ましやかに見える。
 とはいえ、Dカップ以上の大きさであるのは間違いがない。言ってしまえば、左の乳房が興奮のあまりに若干大きくなっているだけのことだ。
もん、みゅっ…
「んふっ…」
 景太郎はやはりアンダーバストに右手を添えると、ぎゅうっと胸元へ押し上げるように搾り込んで初めての挨拶とした。シンプルながらも力強い愛撫に、みつねはピクンと肩を震わせて声を漏らす。
もみゅっ…もみゅっ…もみゅっ…もみゅっ…
「んぅ…んぅ…んっ…んん…」
 そのまま景太郎はゆったりと乳房を戻し、再び押し上げては揉んで、押し上げては揉んで…という風に愛撫を重ねた。その手つきは決して大胆なものではないが、それでも景太郎の手に余るほど豊満な乳房は十分にたわみ、右手の内でその形を柔軟に変える。
 これはみつねの乳房があばらと右手の間で押し潰される格好となっているためだ。ちょうど板の上でこねられるパン生地のような具合である。
 もちろん真正面からわしづかんで揉みのに比べれば手応えは劣るが、それでも少ない労力で十分に乳房を刺激することができる。それでいて乳首が指の間に埋もれてしまうこともないから、そのまま乳首にむしゃぶりつくことも可能だ。悪いことばかりでもない。
 実際にみつねも景太郎のたっぷりとした愛撫に、少しずつ官能のさえずりを大きくしてきた。物欲しげだった乳房も程良く揉みほぐされ、ほんのり桃色に火照ってくる。
もみゅっ…もみっ、もみっ…
「んっ…んっ…あ、ふ…うぅ…あん、あふ、あんっ…あんっ!ああんっ…!」
 やおらみつねはシーツに下ろしていた左手で、いまだに興奮状態にある左の乳房を包み込んだ。景太郎に愛撫し抜かれて、淫らに勃起した乳首を親指と人差し指で挟み込みながら…本能の求めるがままに揉みしだき、艶の乗った声を漏らして悦に入る。
 景太郎から惜しみ無く愛情を注いでもらい、その心地よさに魅せられた女心はすっかり欲しがりとなってしまったのだ。すっかり性感帯として機能している乳房は、もはやひとつずつ愛撫されていてはもどかしくてならないのである。
…ウチがスケベやったんとちゃう…けーたろが、ウチをスケベにしたんやっ…
 淫らな女に思われるという懸念も抱きはしたが、こうして乳房を慰めてしまえば責任転嫁そのものの言い訳しかできなくなってしまった。せつない焦燥と理不尽な苛立ちにまかせて、みつねの乳房を揉む手つきは景太郎以上に大胆なものになってゆく。
きゅっ、きゅっ、きゅっ…きゅに、きゅに…きゅん、きゅん…
 勃起しきりの乳首を忙しなく摘んだり、ひねったり、引っ張ったり…
もにゅっ、もにゅっ、もにゅっ…
 そのまま掌で押し転がすように乳房を揉みこねたり…
くにくに…くにくに…くるん、くるん、くるん…
 中指の先で乳首を前後左右に倒したり、乳輪に添って転げ回したり…
す、すっごいエッチくさい…でも、胸ってこんなふうにすれば気持ちいいんだぁ…
 それまで単調に乳房を押しこねていた景太郎は、すぐ目の前で繰り広げられるみつねの自慰行為に見とれて感嘆の吐息を漏らす。
 このときばかりは近眼であることが幸いして、乳房や乳首がいやらしく慰められる様はアダルトビデオ以上に生々しく観察することができた。さっそく自分も真似てみようと、右手の中の乳房を撫でるようにして持ち替える。
 ちょうどパソコンのマウスのようにアンダーバストからつかみ、中指が乳首に触れたところで…景太郎の若々しい好奇心に、ズキンとせつなくひらめくものがあった。ひどく魅惑的なひらめきに生唾を飲み込みながら、景太郎はどこか思い詰めた目でみつねの乳房を交互に見つめる。
 とはいえ、互いに求め合う愛欲の前では、躊躇うことには何の意味もない。景太郎は引っ込み思案な気持ちを毅然と振り払うなり、持ち替えたばかりの乳房を右手から解放した。柔らかな乳房は自由を謳歌するよう、ふよん…と舞うように揺れて自然な形に戻る。
 そのまばゆいほどに美しい乳房を存分に眺めてから、景太郎はそっと唇を寄せ…
ちゅ、ぷっ…
「はぅんっ…!」
 ちょこん、と慎ましやかな乳首を唇に含んだ途端、みつねは甘いさえずりを寝室いっぱいに響かせた。先程左の乳房にしたときもそうであったが、そのかわいい上擦り声は景太郎にとってなにより強烈な興奮剤となる。ゾクゾクと身震いしながら、景太郎はさらに雄としての衝動を露わにしてゆく。
そわわ…もみゅっ…
「あっ、はああんっ…!!」
 景太郎は自ら乳房を慰めていたみつねの左手を押し退け、果敢に彼女の左の乳房を揉み込んだ。その途端みつねは淫靡極まりない声でよがり鳴き、モジモジッ…と一層強く内ももを摺り合わせる。その内ももの隙間からは、すべすべと柔肌の擦れる音に混じり、ニチュヌチュとぬめる音まで聞こえてきた。
 実際、みつねは景太郎に負けないくらい欲しがりになっている。押し退けられた左手はすぐさま景太郎の右手に覆い重なり、なでなでと甲をさすりながら一緒に乳房を慰めようとあがき始めた。
 もちろん景太郎も鬱陶しがってみつねの左手を退けたわけではないから、そのまま彼女のしたいようにさせる。むしろみつねの方から右手を乳房に押しつけてくれているようで嬉しいくらいだ。手の平いっぱいに感じられる絶妙な弾力は、こうして触れているだけでも幸せな気分になれる。
もみっ、もみっ、もみっ、もみっ…
「あん…そ、それくらいがええよ、けーたろ…いっぱい…んっ、んんっ…」
 その幸せな気分を少しでも多く欲張りたくて、景太郎は真上からわしづかんだ指に力を込め、思う様にみつねの乳房を揉んだ。それに合わせてみつねも嬉しそうによがる。
 指が肌に沈み込んでしまいそうなほどの柔らかみと、その向こうからほんのり現れる弾力との調和は思春期の男心を酔わせるに十分だ。たちまち右手はたとえようもなく素晴らしい揉み心地の虜になってしまう。
もんみゅ、もんみゅ、もんみゅ、もんみゅっ…
 その感触のすべてを五本の指と手の平に擦り込むつもりで、景太郎は押しこねるようにしながら反時計方向に乳房を揉み回してゆく。これでもかと思うくらい徹底的に揉みしだけば、右手はワクワクと小躍りしそうなほどに逸ってきた。みつねの豊満な乳房は本当に揉み応え十分であり、はっきり言ってやみつきになりそうだ。
「んふっ、んふっ、んふっ…ん、んうっ!!そ、そう、そのままっ…」
 その荒々しい愛撫にみつねはすっかり息を弾ませ、辺りはばかることなくよがり鳴く。
 荒々しい愛撫とはいえ、それはあくまで景太郎の愛撫だ。その手つきには思いやりがこもっており、不快なところは微塵もない。文字通りの揉みくちゃにされても、乳房は間断無く愉悦を生み出してみつねを夢中にさせる。
 どこか哀願するようによがりながら、みつねは景太郎の右手に重ねた左手に力を込め、愛撫を急かすようにグイグイと乳房をたわませた。それにどこまでも応じるよう、景太郎もありったけの愛欲で乳房を揉み転がしてゆく。
ちゅむ…ちゅむ…ちゅむ…
 左の乳房を精一杯揉みこねながら、同時に景太郎はむしゃぶりついている右の乳房をも悦ばせようとしている。
 みつね自身無我夢中で慰めてしまったくらい、乳首は彼女にとって相当に敏感な性感帯なのだ。景太郎はそれを意識しながら、薄膜の狭間でやんわりと乳首の感触を味わう。
 左の乳房にはたっぷりと甘えさせてもらったから、右の乳房には愛撫と呼べるだけの抱擁を捧げたい…。
 そんなひたむきな思いに駆られて、景太郎の唇は授乳してもらう子どものそれから、心からの愛情を注ぎ込む大人のそれへと変貌していった。少しずつ唾液をこぼしながら、乳首の付け根辺りを何度も何度も甘噛みしては吸ってみる。
ちゅく、ちゅく、ちゅく…ちゅぢゅっ…ちゅく、ちゅく、ちゅく…ぷ、ちゅぢゅっ…
「ひゃんっ…!!ちょ、そんな吸い方っ…や、やぁんっ!ひっ、いいっ…!!」
 みつねは汗ばんだ背中をシーツから浮かせ、切羽詰まった声で悶えた。濃密な快感に中枢が冒されてきて、つらそうなしかめっ面のままかぶりを振る。身じろぎするたびにフワフワ揺れていた前髪も、いつしか汗ばんだ額に貼り付いていた。
ぴくっ…く、きゅ、きゅっ…
 みつねの激しい反応にあわせて…先程までぽろんとちぎれそうなほどに儚かった乳首も、景太郎の唇の中で少しずつしこりを示してきた。ぷっちゅりキスされている格好の乳輪もふんわりと膨らみ、乳房全体が温かく火照ってくる。
 これらは間違いなく、乳房が性的興奮に燃えてきた兆候であった。
ぺろっ、ぺろっ、ぺろっ…にりにり、にゅりにゅり…
「あん…あんっ、ふぁ…はあんっ!あふっ…ふぁ…はぁ、はぁっ…んぁ…」
 景太郎は追い打ちをかけるよう、しこってきた乳首を舌の腹でねちっこく舐め上げ、舌先でクルクル転がすように舐め回した。生ぬるい唾液にまみれて翻弄されるうちに、みつねの乳首は虚勢を張るかのような健気さで屹立してしまう。
 みつねはもう息も絶え絶えであった。脱力するようにシーツの上に背中を下ろしても、呼吸は微妙に不規則なままだ。
「ん…ぷぁ、こっちの乳首も、こんなツンツンに…」
「んう…な、なんか悔しい…けーたろに、こんなにされてもぉて…」
 とがらせた舌先で乳首を確かめながら景太郎がつぶやくと、みつねは気恥ずかしそうに顔を横向け、半ベソの声でうめく。
 それでもしおらしく愛撫に浸っているのは、紛れもなく景太郎との睦み合いに悦びを覚えているからだ。ちっぽけなプライドのために、幸せなひとときを捨て去ることのできる人間などそうはいない。
嬉しい…俺、キツネさんの胸…両方とも気持ちよくできたんだぁ…
 右手と唇、そして舌で存分に独占欲を満たし、景太郎はぼんやりとした意識の中で自己陶酔した。失笑を買われそうだが、童貞であるぶん達成感が大きいから仕方がない。
そわっ…なでり、なでり、なでり…
 少しだけ愛欲に余裕ができて、景太郎は右手での愛撫を中断した。高揚しきった乳房に一休みとばかり、今度は手の平全体で丸々とした膨らみをまんべんなく撫で回す。
 それでみつねも安堵の息を吐いた。左手で額にくっついた前髪を退け、鼻の頭に浮かんだ汗を指先で拭う。呼吸が穏やかになってくると、すっかり火照ったふたつの乳房はそれに合わせてふよふよと揺れた。
「んぅ…うん、もっと撫でて…」
「しばらくこうしてましょうか?いっぱい揉んだから、俺も手がクタクタで…」
「ふふふっ…うん、そうしてくれると嬉しいかも…」
「えへへ…キツネさんの胸、スベスベしてて手触りいいから大好き…!」
「そーゆーとこ、やっぱけーたろやな。安心するわ…」
 ぴったり寄り添ったまま、二人は愛しげに見つめ合って睦言を交わす。
 際限なくイチャイチャしながらも、やにわに漂う柔らかな雰囲気は砂漠の中で見つけたオアシスのようだ。お互い、なにより嬉しくて落ち着ける。
きゅっ…
「あっ…」
 ひとしきり乳房のふくよかさを満喫してから、景太郎は右手の親指と人差し指で屹立しきりの乳首を摘んだ。みつねの声が苦痛によるものではなく、ささやかな驚きによるものであることをせつなげな表情から確かめて…景太郎は彼女が見せた手つきを回想しつつ、慎重に乳首を左右へとひねる。
きゅに…きゅに…きゅに…
「んぅ、んぅ、んぅ…んっ、んんっ…!」
「…先っちょの方が気持ちいいんでしょ?」
「うん…」
 しこった乳首が指の間でよじれるにつれ、たちまちみつねは寝ぼけ眼の少女のようにかわいらしい鼻声を漏らしてきた。悪気のない景太郎の下卑た問いかけにも、みつねは強がるでもなくしおらしく首肯する。
ちゅっ…くに…くにゅん…くに…
 期待していた答えに胸を高鳴らしつつ、景太郎はみつねの右の乳首にキスし、再びみつねの両の乳房を独り占めにした。そのまま舌先や、その裏側を使って乳首を前後に押し倒す。その動きは右手の指先同様、もどかしいほどに時間をかけたものだ。
「あん…あん…あっ…はあっ、はあっ、はあっ…あっ!あうっ…!ううん…!!」
 みつねはすぐまた背中を浮かせ、徐々に恍惚のさえずりを大きくしていった。
 いまやみつねの身体は、景太郎との一糸まとわぬスキンシップのためにすっかり活性化していた。発汗の爽快感や、胸躍るような高揚感はスポーツを楽しんでいるときのそれにも似ている。心身ともにリフレッシュするようで、実に清々しい。
 それだけ身も心も活性化しているぶん、感度も相当鋭敏になっている。特に唇や耳、首筋や肩口、乳房やクリトリスといった性感帯は触れられるだけでもだらしない声が出てしまうくらいだ。何気ないおしゃべりひとつで嬉しくなるのも、性的興奮で心の窓が開け放たれているためである。
 そんなみつねを精一杯悦ばせようと、景太郎の愛撫はさらに白熱してゆく。
きゅううっ…きゅううっ…きゅううっ…
 乳首を左右にひねっていた指先は、その動きのままにゆっくりと引っ張ったり…
ぷに、ぷに、ぷに…ぽるぽるぽる…ぽるぽるぽる…
 乳輪ごと摘んでみては、中指を素早く往復させて乳首を小刻みに押し倒したり…
くっ…ちゅぷ、くっ…ちゅぷ、くっ…
 指先の動きを真似るよう、唇でも引っ張っては吸い付き、引っ張っては吸い付き…
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…ちゅむ、ちゅむ、ちゅむ…
 乳首を意地悪く押し倒しながら乳輪にキスして、それに飽きたら付け根を甘噛みして…
「ひんっ!ひんっ!!ひ、ひいいっ…!!あ、あかん、もうあかぁん…!!」
 左右ふたつの乳首をいっぺんに、それも微に入り細をうがつねちっこさで愛撫され…みつねはもはや我を忘れてよがりまくる。
 乳首が景太郎の指や唇の間で刺激されるごとに、その小さな突出の中で快感が濃縮され…乳房を介して中枢に降り注ぐのだ。その夢心地そのものの感覚は身体中すみずみにまで伝播して、さらに感度を高めてゆく。
 まさに身体中…それこそ髪や爪の先、睫毛までもが性感帯になったような気分であった。左手で触れられている首筋はもちろんのこと、寄り添って肌が触れ合っているだけでも、そのぬくもりがほんわりと気持ちいい。景太郎が勃起しきりのペニスを気にして身じろぎし、肌が擦れ合うただそれだけでも、まるで愛撫されているかのようだ。

つづく。


 

 


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(updete 2003/07/15)