浦島、抜け!

Sex by Sex(9)

作者/大場愁一郎さん

 

 

 ウチ…けーたろと、こんな…気持ちいい…気持ちいいっ…気持ちいいっ…
「気持ちいいっ…き、気持ちいいっ…」
 思春期を過ごし、女性としての発育にも拍車がかかっている美しい肢体は愉悦に満たされてしまい…みつねはうわごとのように想いを上擦り声にした。左手は無意識に景太郎の肩を抱き寄せ、愛おしむように撫で回す。女芯や華筒の疼きも今が盛りであり、みつねは腰をひねりながら焦れったそうに内ももを摺り合わせた。
 そんな折り、モジモジしどおしの両脚が勢い余ってしまい…みつねは思わず右足のつま先で景太郎の右足を蹴ってしまった。蹴ったとはいえ、意図的に蹴ったわけではないから景太郎も痛みというほどのものも感じない。
 ただ、そんな何気ない接触が右足どうしのスキンシップのきっかけとなる。
 二人はそれぞれ右足のつま先どうしで突っつき合い、親指と人差し指を駆使して取っ組み合い、足の裏をくすぐり合い…新しいおもちゃに心奪われる子犬のようにじゃれあった。みつねはもちろん景太郎もすねはつるつるであり、触れ合ってもチクチクとした不快感は微塵も生じない。
 そうこうイチャ付いているうち、やがてみつねの方からグイグイと膝頭を押し付けて合図を送ってきた。景太郎もすぐさまその意図に気付き、わずかに腰をひねってみつねの両脚の間に右脚を進める。
「あふ…ううんっ…」
 二人の内ももがすべらかに触れ合うと、みつねは悩ましい声でよがり…景太郎のふくらはぎからアキレス腱にかけてを踵で撫でるよう、淫らに右脚を絡めた。途端に密着の度合いが増し、景太郎は怒張しきりのセックスシンボルをみつねの下腹に押し付ける格好となってしまう。
あっ、また…
 パンパンに膨張した亀頭が柔肌の上をヌルヌルとぬめり、景太郎は気持ちいいやら恥ずかしいやらでゾクゾクと身震いをきたした。それに伴い、景太郎のペニスにも凝縮されたかのように濃密な射精欲が渦を巻いてくる。ペニスの求めるまま、再び淫らに腰を使ってしまいそうで…景太郎は戦々恐々たる思いで吐息を震わせた。
「キツネさんっ…」
「あんっ…」
なでりっ…
 景太郎は乳房に求愛するかのように呼びかけると、心ゆくまで揉みしだいていた左の乳房から右手を離し…今度は緩やかにくびれているウエストに触れた。ここでもまたみつねは敏感に身をさざめかせ、熱い吐息にさえずりを乗せる。
なで、なで、なで…こちょこちょっ…
「んっ、んっ、んぅ…や、やめっ!くすぐったい…!!」
 女体ならではの柔らかさを堪能するよう、景太郎はみつねのへそから脇腹にかけてを丁寧に撫でた。みつねの柔軟な腹筋がピクンピクン打ち震えるように緊張することからも、へその辺りは相当くすぐったいらしい。小指の先でへその穴に悪戯すると、理性がとろけそうなほどにだらしない声でむずがるほどだ。
女の人の身体って、ホントに柔らかいなあ…。もっと…もっといっぱい触りたいっ…
 景太郎の男心が逸るにつれ、右手は縁日ではしゃぐ子どものようにすっかり落ち着きを失ってしまう。異性を意識し始めた頃の接触欲がぶり返してきたかのようであった。
 ひとしきりウエストを撫で回すと、次いで右手はシーツへと滑り落ちるようにしてみつねのしりに触れてゆく。
 景太郎がしりとシーツの隙間に指先を忍ばせると、みつねは彼がしやすいように腰をひねった。これは別に気を使ったわけではなく、彼女の本能が景太郎の愛撫をねだってしまうためだ。ともかく互いの腰が向かい合う体勢となったおかげで、景太郎は思うがままにしりのまろみを味わうことができる。
なで…なで…なで…
「んっ、ふ…んぅ、んぅ、んぅ…あっ…く…!」
 背中からしりにかけてが性感帯である女性は多い。
 みつねもその一人であり、単調に撫でられるだけでもせつなげに吐息を詰まらせた。みつねのかわいらしい声音を興奮のただ中に聞きながら、景太郎はしりのまろみを右手の平いっぱいに馴染ませようと、ゆっくりと大きく撫で回してゆく。
 みつねのしりは、女性だけが帯びることを許される逆さハート型だ。ムチムチしすぎなほどに張り出しているわけでもなく、かといって貧弱であるということもない。丸々としたヒップラインだけでいえば、みつねのしりはひなた荘の住人の中でも一二を争うほどの色っぽさを秘めているのである。
 サイズで考えれば、豊満な乳房に比べてみつねのしりはいささか発育が劣っているようにも見える。しかし、これはおそらく逆であろう。申し分なく発育しているしり以上に、乳房は明らかに発育過多なのだ。それでいてプロポーションは端正であり、下品な印象がどこにも無いのは見事の一言に尽きる。
なでりっ…なでりっ…なでりっ…
ああっ…キツネさんのおしり、丸々してて柔らかい…いい気持ちっ…
 憧れていたみつねのしりに触れて、景太郎はすっかり感慨無量となった。大きく広げた手の平で、太ももの付け根辺りからすくい上げるよう繰り返し繰り返し撫でると…扇情的なまろみはほよんほよん揺れて、その柔らかみをアピールする。
 単に柔らかいだけでなく、みつねのしりは手触りも格別だ。肌はどこまでもきめ細かくスベスベとしていて、適度に帯びた脂肪のためか微妙にひんやりとしていて…乳房とはひと味違った感動を覚えることができる。
 ついついその手触りを欲張って、景太郎の指先は逆さハート型のくぼみ…ちょうどヒップの谷間へと伸びていった。途端にみつねはフルフルかぶりを振り、指の侵攻を阻もうとひねっていた腰を元に戻してしまう。むぎゅ、っと右手が柔肉の下敷きにされたところで我に返り、景太郎はばつが悪そうにしりへの愛撫を終える。
 気が付けば、乳首への愛撫もすっかりなおざりになっていた。
 唇に含んだまま、発情の吐息を浴びせていたためか乳首はツンとしこったままであったが…景太郎はなんとなくほぞを噛む思いである。お詫びのしるしにもう一度だけちゅぷっと吸い付くと、みつねは肩を震わせて小さな鼻声を漏らした。乳房から顔を上げた景太郎と見つめ合うなり、みつねははにかみながら口元をとがらせる。
 とはいえ、怒っとるんやで、という風な表情はあくまで装ったものだ。本当に嫌がったのなら、景太郎は平手打ちどころか横っ面をぶん殴られていることだろう。
「あほう…あんまり変なとこ触らんといてっ。そっちはあかん」
「ご、ごめんなさい…」
「…その代わりでもないねんけど…」
「え?」
 雲が晴れて日が射すように、みつねは景太郎を見つめたままにっこりと微笑んだ。さすがにそれだけでは、景太郎もみつねの態度の急変を理解できない。きょとんとまばたきひとつ、意識はみつねの意味深な笑顔に集中する。
 そんな矢先に…
ぎゅっ…
「んあっ…!!」
「ふふっ、けーたろと握手…なぁんてな?」
 まったくの不意打ちで怒張しきりの亀頭を握られ、景太郎はせつなげに顔をしかめてうめいた。一方でみつねは悪戯っぽく笑い、冗句を口にしながら右手に握ったペニスをフルフル振ったりする。
 もちろん景太郎のペニスは興奮の血潮を巡らせたまま、少しも萎縮していない。逸り水の漏出も小刻みに繰り返していたため、先端を包み込んだだけでもみつねの掌は無色の粘液にまみれた。握手とじゃれる手の中でも、もうヌチヌチュとぬめるほどだ。
「あ、あの、キツネさんっ…」
「うしろは触ったらあかんけど、前ならええよ…」
「前って…ま、前って、その…」
「んぅ、前は前やんか…女の口から全部言わせんといて」
 初々しく狼狽える景太郎に目を細めながら、みつねは淫靡なささやき声で彼を誘う。
 とはいえ絡めた合ったままの右脚ですりすりじゃれついてくるあたり、みつねの方がペッティングを切望しているのは傍目にも明らかだ。仰向けの体勢に戻したはずの腰も、いつの間にやら再び景太郎の方に向けられている。
 そんな期待に満ちた眼差しと声音としぐさで誘われて、勃起しきりのペニスに支配されている景太郎が拒めるはずもない。遠慮なく女性器に触れることができるという童貞ならではの期待が、たちまちみつねの抱くそれよりも大きく膨れ上がってしまう。
 景太郎は横からのしかかっていた身を起こして横臥の体勢に戻り、腕枕している左手で再びみつねの肩を抱いた。みつねは何度かうなづくようにして、枕に預けている頭の位置と腕枕の感触とを確かめてから、今度ははっきりと景太郎にうなづいてみせる。腕枕がお気に入りの位置に定まり、心の準備もできたのだ。
「じゃあ、キツネさん…」
「うん…」
 手短に言葉を交わしてから、みつねはしおらしく目を伏せた。
 景太郎は一旦右手を彼女の腰に置き…
ちゅっ…ちゅ、ちゅ、ちゅっ…ちゅむっ…
 わずかに小首を傾げながら、まどろむように目を閉じて口づける。
 キスの心地を懐かしむよう、しばしお互いついばみ合い…やがてぴったり吸い付き合ってから、景太郎はみつねの腰から右手を滑らせた。左脚の付け根の線に添って中指の先を先導させると、その指先はやがて、さわさわと性毛に覆われた恥丘に触れる。
 景太郎は人差し指と薬指を左右それぞれの太ももに添わせると、中指を恥丘の中心にあてがうよう優しく包み込んだ。
「んっ…」
「んふ…」
 キスしたまま、みつねは鼻にかかった声で鳴いた。恥丘に触れられたくすぐったさは直接敏感な裂け目周辺の快感に繋がるのだ。思わず右手の中のペニスを握りしめてしまうと、景太郎もそれにあわせてせつなげな鼻息を漏らす。
むにゅ、むにゅ、むにゅ…
 景太郎は三本の指全体で、こんもりと隆起している恥丘を押圧してみた。固い性毛ごとすくい上げるようにすると、三本の指にはむっちりとした独特の柔らかみが伝わってくる。
ほ、ホントに女の子なんだなあ…うわあ、どこもかしこも柔らかい…
 当然のことではあるが、そこにはペニスも陰嚢も無い。あるのは女性ならではの柔らかみと、発情による体熱と、汗蒸した性毛、その三つだけだ。
 逆に、そんな単純なことであるからこそ、景太郎の内では異性と戯れている実感がいよいよ強まってくる。景太郎はみつねの下腹に右手の平全体をあてがうと、ほんわりと湿った性毛をしゃりしゃり鳴らしながらゆっくり前後に撫でた。揃えた指先で恥丘を押しては、そっと集め上げるようにこね…体奥の子宮へと想いを届けるかのように、丁寧に丁寧に愛撫を重ねる。
「んぅ、んぅ、んぅ…んっ、んんぅ…」
 みつねは穏やかな鼻息にささやかな上擦り声を乗せ、景太郎からの愛撫に酔いしれる。恥丘が柔らかくたわむたびに生まれてくる暖かな快感と、景太郎の手の平から伝わってくるぬくもりとがあいまって、なんともいえず気持ちいいのだ。
 堪えきれずに声を漏らすたび、肛門から膣口からはきゅんきゅんとすぼまる。たっぷりと愛液を湛えた華筒は、とっくに来るべき瞬間への準備を整えていた。
今すぐにでも、いっぱいに満たして欲しい…。
 そんな逸る気持ちが、狭い華筒の内側全体…それこそ膣口から深奥の子宮口に至るまでいやらしく染みつき、鈍く疼いているのである。女の性欲は、いざ発露してしまえば男のそれよりもずっと強烈なのだ。
「ん、ちゅ、ぷぁ…けーたろ、触って…はよう…はようっ…!」
「あ、わ、わかったからキツネさんっ!ちょっと待って…!」
「んぅ…はよう、もっと奥ぅ…」
 みつねは顔を逸らすようにして強引にキスを終えると、淫らなむずがり声で景太郎に哀願した。しかも急かすように右手の中のペニスをしごきたててくるものだから、景太郎としてはたまったものではない。
 景太郎は慌てて取り繕い、愛撫の指先を彼女の太ももの付け根へと進めていった。みつねは腰を景太郎の方に向けていて、なおかつ絡め合っている右脚よりも左脚の方が後ろにある体勢であるから、角度によっては彼女の恥部は丸見えの状態にある。わざわざ大きく脚を開いてもらう必要はない。
 性毛に覆われた恥丘の中央から、まっすぐしりの方へたどってゆくと…中指の先はむっちりとした柔肉の真ん中で、耳たぶよりも柔らかい粘膜質の部分を探り当てる。
 中指で辺りをまさぐってみると、そのぴにゃぴにゃと柔らかい粘膜は、ぷつぷつと性毛が生えている柔肉の合わせ目からささやかにはみ出ているようだった。そのうえそこらじゅうが生ぬるい粘液でべちょべちょになっていて、中指はもちろん辺りをすっぽり包み込んだ四本の指の中はたちまちヌルンヌルンになってしまう。
ああっ…女の子のって、こんな感じになってるんだぁ…すごいエッチなかたち…
 景太郎は知識と感触で、恥丘から続いているむっちりとした柔肉が大陰唇であることを…その合わせ目から、発情による肥大のためにはみ出ている粘膜質の秘肉が小陰唇であることを認識した。女性器の佇まいに関しては、一般には流通できないようなビデオや写真集で見たことがあるし、家庭の医学なる参考書にも目を通したことがあるからおおよその状態はわかっている。旺盛な知的好奇心の…否、性的好奇心の賜であった。
ヌチュ、ヌチュ、ヌチュ…ヌニヌニ…ヌニヌニ…
 ここでも景太郎はすくい上げたり、押し戻したりするような手つきでみつねの陰部を撫でさすった。みつねの陰部はむっちりとしていながらもすこぶる柔らかく、手触りは恥丘と比べてなんら遜色無い。むしろ精製したての愛液でぬめるぶん、淫猥さはこちらの方がはるかに上だ。
 景太郎はひよこを愛でるような手つきで、優しく前後に揺り動かして愛撫を捧げる。時折親指と人差し指で愛液のぬめりを確かめては、ぷつぷつと生えている性毛を寄り集めて遊んだりもする。とはいえ、決してむしったりなどしない。ボデイーソープなんかよりもずっと滑らかな体液のぬめりが指に新鮮なだけである。
「あん、あん、あんっ…んぅ…ちょ、やぁめっ!もう、わかるんやからなっ…?」
 みつねはそのどれにも敏感に反応し、上擦り声を様々な感情で震わせた。柔肉を前後に撫でられている間はさも心地良さそうにさえずっているのだが、性毛をいじられるとすぐに恨めしそうな目になってむずがってくる。
 そんなおっかない睥睨の眼差しも、みつねに頬摺りしてしまえばそれまでだ。射竦められてしまうことはない。そのままみつねの頬にキスしつつ、悠々愛撫と悪戯を重ねてゆく。
ヌチュッ、ヌチュッ、ヌチュッ…ぬむ…ぬぷ、ぬぷ…
 陰部の形に添って愛撫の手を前後させていると、中指はくつろいだ秘裂を割り開くよう、その内側に沈み込んでいった。まっすぐ伸ばしたままの中指は粘膜質の秘肉にくるまれ、ヌルヌルの愛液にまみれ…やがて第一関節の辺りが膣前庭に触れる。
わ…わわわっ、こ、ここって…
 熱い秘裂の奥で指先を曲げると、そこにはきゅんきゅん小刻みにすぼまるくぼみがあった。そのくぼみがみつねへの入り口であることに気付き、景太郎は慌てて指先を戻す。断りもなくそこを確かめるのが、さすがに不埒であると思えたのだ。
 やむなく景太郎は中指の先で秘裂の底に触れたまま、再び陰部をすくい上げるように撫でてみた。すると今度は中指の先が、粘膜の縁取りの前端に小さな突出を見つけ出す。
 その小さな突出はツンとしこっており、秘肉の中からちょぴっ…と顔を覗かせるように屹立していた。
「キツネさん、これ…」
「うん…クリトリス…」
 中指の先で突出に触れたまま、景太郎が耳元でささやくと…みつねはしばし口ごもったものの、やがてしおらしくそう答えた。
 とはいえ、あまりにストレートな単語を口にして羞恥極まったのだろう、先程まで頬摺りで甘えかかっていたのに、みつねは枕の上でプイッとそっぽを向いてしまう。ちょうど景太郎の眼前に、ウイークポイントである左の耳を無防備に差し出す格好になったのだが…みつねはそのことにも気付いていないようだ。
 それも当然であろう。みつねはいま、女の芯と呼べるほど敏感な部位に触れられているのだ。しかもその女芯はキスと抱擁、愛撫に浮かされて健気なほどに屹立し、女としての悦びを際限なく享受しようと感度を高めているのである。そっと指先を添えられているだけでも、胸はまばゆい期待とせつない怖気にきゅんきゅん詰まってきた。
「触ってもいい…?」
「んぅ…もう触っとるやんか…」
「じゃあ…いじってもいい?」
「ふふっ…ええよ。でも、そおっとやで?乱暴にせんといてや?」
「わかってますよ、キツネさん…」
「あんっ…!」
 小声で言葉を交わしてから、景太郎はみつねの左耳に口づけながら優しく名前を呼んだ。それだけでもみつねはゾクゾク身体をさざめかせ、甲高い声で鳴く。
くりん…くりゅん、くりゅん、くりゅん…
 景太郎は中指の先で秘肉の縁をめくるようにしながら、ツンツンに屹立しているクリトリスを丁寧に押し転がした。しとどに漏出されている愛液でぬめるため、擦れるということはない。勃起しきりの女芯は、先程乳首にした以上に滑らかに転がってくれる。
「あんっ!あんっ!ああんっ…!!んぁ、んうっ…!ん、んんんっ…!!」
 そんなささやかな愛撫でも、みつねはあられもない声でよがりっぱなしだ。
 景太郎の愛撫で声を上げてしまうのがどうにも気恥ずかしく、みつねは唇を噛みしめて愉悦を堪えようとあがくのだが…その努力も虚しく、逆に鼻にかかったさえずり声を漏らしてしまうことになる。その苦悶の鼻声には切羽詰まった印象があるぶん、よけいにいやらしく景太郎の耳に響く。
 実際、みつねは切羽詰まった状況にある。興奮しきりのクリトリスは、みつね自身驚くほどに過敏となっていた。ピリピリと繰り返す鋭い快感は、まるで景太郎の指先から強烈な電流が断続的に流し込まれているかのようである。
 その快感に酔いしれて華筒がくねると、女性としてのまろみを帯びた腰にもピクンピクンと震えが来た。間断のない愛撫に中枢が冒され、もはや唇や乳房といった性感帯だけでなく、下肢全体でも愉悦を覚えるようになってきたのだ。絡め合わせた右脚どうしが擦れ合うだけでも、裂け目の奥の膣口から肛門までもがヒクンヒクン打ち震える。これでふくらはぎを撫でられたり、つまさきにキスされたりしようものなら…いったいどんな嬌態を晒してしまうか、みつね自身想像もできない。
「ん、んうっ…」
 責め苦のような愉悦に身も心も灼かれ、夢心地となったみつねは寝返りを打つように身をよじった。弾みで景太郎と裸身を向かい合わせるよう横臥の体勢となり…たぽん、と豊満な乳房が二人の間で弾む。
 それに合わせて景太郎も頭を上げ、ぽおっ…と頬を染めているみつねの横顔を見つめた。みつねはチラリと横目で景太郎を見上げると、微かなはにかみ笑顔で彼の眼差しに応える。
「キツネさん…俺、気持ちよくできてる?」
「うん…けーたろ、じょうずやから…ああん、こんなに燃えるの久しぶりや…」
「ありがと、お世辞でも嬉しいよ…」
「ちゃうってぇ…んふっ、や、やめっ…もう、お世辞とちゃう…」
ぬめり、ぬめり、ぬめり…
 幸せそうに睦言を交わしながら、景太郎は女芯への愛撫を一休み…愛液にぬめるままの右手でみつねの内ももを撫でた。絡めてじゃれている右脚の付け根、それこそ陰部との境目辺りに人差し指と親指から成るカーブをあてがって前後に撫でさする。ぽってりとしていて大人の色気たっぷりの太ももは、肌も絹のようにきめ細かだ。愛液のぬめりもあって、陶酔するほどにすべらかである。
 そんな景太郎からのスキンシップに、みつねはくすぐったそうに相好を緩めながらもイヤイヤとかぶりを振って悶えた。左の太ももで景太郎の愛撫を制しようとしたものの、右脚どうしを絡めているために思うようにできない。やむなく左手を伸ばして景太郎の二の腕に触れ、そっと動きを押さえる。
「…俺もそっち行っていい?」
「うん、来て…」
 みつねが伸ばしてきた左手に、どこか求められているような気がして…景太郎は彼女を見つめながら小声で尋ねた。みつねは意外そうな目できょとんしたものの、すぐに景太郎の思惑を悟って目を細める。
 景太郎はみつねの内ももから右手を離すと、その右手で上体を支えながらゆっくりと左の肩をシーツに下ろしていった。それに合わせて左手を伸ばし、向かい合うみつねの左肩を抱き込むようにすれば…自ずと二の腕が枕の下端に来て新たな腕枕となる。
 かつてはひ弱でぽにゃぽにゃだった景太郎の二の腕も、ひなた荘の管理人業務をこなすうちに今ではそれなりに筋肉質となっている。今も肘を曲げてみつねの肩を抱いているため、力こぶと呼んで差し支えのない隆起がみつねのあごの線に触れていた。
「ふふふっ、けーたろ…」
「キツネさん…」
 ひとつの枕を共にした二人は、うっとりと見つめ合って名を呼び合い…
ちゅっ…
「んふ…」
 どちらからともなく唇を重ねた。そのまま景太郎はみつねの肩を…みつねは景太郎の背中をそれぞれ抱き寄せ、男の裸身と女の裸身をぴったりと合わせる。暖めたミルクとチョコレートが溶け合うような、そんな自然な一体感に…景太郎もみつねもキスしたまま恍惚の鼻息を吐いた。
ひちょっ…ぬ、ぬっ…ぬりゅっ、ぬりゅっ、ぬりゅっ…
「んっ…ふ…んふっ、んっ、んっ、んっ…んっ!んんーっ!!」
 景太郎はあらためてみつねの股間に右手を滑り込ませ、中指でぬめる裂け目に触れた。そのまま指先を沈めながら恥丘の方へ撫でると、指先は再びクリトリスと逢瀬を遂げる。
 踵でボールを蹴るように、熱くしこっている女芯を指先で繰り返し弾くと…みつねはキスしたままたちまち鼻息を荒くしてきた。その鼻息に官能の上擦り声が混じってくると、もはやみつねは居ても立ってもいられず景太郎の背中を抱き寄せ、積極的に身を摺り寄せてゆく。裸の肌を重ねる心地良さは、性的興奮に伴って増幅するものなのだ。
「ぷぁ…ね、キツネさん…ここって、どんな感じなの?」
「んぅ…なんかな、ピリピリッ、ピリピリッてして…気持ちええねんけど、それと一緒に胸がきゅうってなるくらい…え、エッチしたい気持ちが…ん、んぅ、んぅうっ…!!」
 一旦キスの密着を解くと、景太郎はみつねの唇の先だけをついばむようにしてそう問いかけた。あたたかな抱擁とささやかな愛撫に浸るため、じっと瞳を閉ざしたままであるのだが…その姿はまるで寝言をつぶやいたかのようにおとなしいものだ。
 みつねも景太郎同様目を伏せたまま、唇の先どうしでじゃれるように答える。しかしそれもはじめのうちだけで、唇やクリトリスからの愉悦に意識が明滅してくるにつれ、言葉を紡ぐことすら困難になってきた。きゅっと目をつむって顔をしかめ、快感と情欲の波濤に耐える。
「すごいな…こんなちっちゃいのに、そんなに感じちゃうんだぁ…」
「んふふ…ちっちゃくても、ここと同じやからな…」
「え…あっ…!」
にちゅ…
 お互い遠慮もなしに湿っぽい吐息をかけ合っていたのだが…ふいにみつねが右手の指先でペニスを撫で上げてきたので、景太郎は思わず息を詰まらせた。勃起しきりのペニスは、みつねのほっそりとした右手の指に握られたままだったのだ。
 小指の先程もない小さなクリトリスへの愛撫でも、しどけないくらいに悶えるみつねの姿があまりに鮮烈で…景太郎はすっかり意識の外にしていた。逸る気持ちはもちろんあるが、それよりもみつねが随喜の感情を露わにしてくれるほうに夢中になっていたのである。
ぴとっ…ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ…
「ひっ!あ、やめっ…!!ん、くっ…うううっ…!!」
 みつねは親指と中指で膨張しきりの亀頭を摘むと、人差し指をくねらせて表面積の広い表側を撫でた。プニプニと弾力を秘めた赤紫色の亀頭は相変わらず敏感であり、指先で逸り水を塗り込むよう、反時計回りに円を描くたびにビクビク打ち震える。
 たちまち景太郎もクリトリスへの愛撫を続けていられなくなり、情けない声でうめいた。ヒリヒリとするような刺激の強すぎる快感に困惑し、つらそうなしかめっ面になってみつねの肩を抱き寄せる。
ぬりん…ぬりゅっ、ぬりゅっ、ぬりゅっ…
「あっ、そ、そこならっ…く、うっ…んっ、んうっ…」
 景太郎の過敏な反応に目を細めながら、次ぎにみつねは中指の腹にべっとりと逸り水を馴染ませ…ガチガチに強張っている幹の辺りから、ゆったりと亀頭の裏側を撫で上げた。
 特に亀頭の裏側にあるクッキリとした筋を重点的に撫でると、景太郎は穏やかな吐息とともにかわいくよがり始める。かわいくという表現は、先程のしかめっ面から緊張が解けた夢心地そのものの表情を見れば相応しいと納得できるだろう。景太郎は中性的な上に童顔であるから、心地よさそうな鼻声を漏らすと、まさにボーイッシュな女の子が性の悦びにその身を灼かれているかのように見えるのだ。
 そんな優しい面立ちや声音とは裏腹に、勃起しきりのペニスはみつねの愛撫で長く、太く、固く漲って一層男らしさを強めていた。若々しい身体も性の悦びに反応して、たっぷりと逸り水を精製、漏出させてくる。おかげでペニスを愛撫するみつねの右手は乾く暇がない。すっかり景太郎の匂いが染みついてしまう。
「けーたろは先っぽの表側と裏っ側…どっちが好きなん?」
「んぅ、う、裏っ側…。今してくれてるの、すごく感じちゃう…」
「ふふふっ…ほな多分、こんな感じとちゃうかな?ウチがけーたろにしてもろとるの…」
「そ、そうなんだ…じゃあ、すっごく気持ちいいんですね…」
「うん…めっちゃ気持ちええねん…」
ちゅむっ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…
 二人は甘やかな睦言を交わし、和やかな微笑を交わし…そして、もはやかけがえのないスキンシップであるキスを交わした。ふんわりと重ねただけの唇はやがて、どちらからともなく幸福感を欲張るようなバードキスへとエスカレートしてゆく。お互いすふすふと鼻息を漏らして、本能からの愛欲を抑えようともしない。
もみゅっ…もみっ、もみっ…
「んっ…ん、んうっ…!ん、んぅ…んぅ…」
 ねちっこいキスに酔いしれるまま、景太郎は愛液にまみれた右手でみつねの乳房をわしづかんだ。男としての本能がみつねの豊満な柔らかみを恋しがり、右手に作用したのだ。
 柔肌に愛液を塗り込むよう、アンダーバストからぐいぐい揉みこねると…みつねはキスに没頭したまま、女の鳴き声を景太郎に口移ししてしまう。思わぬ乳房への愛撫に身体中がゾクゾクさざめき、よがり声も艶やかに上擦る。
 ひとしきり乳房を揉んで異性の抱き心地を堪能してから、景太郎はあらためてみつねの股間に右手を忍ばせた。中指で熱い裂け目を割り開きながら、秘肉の端でツンツンに勃起しているクリトリスに触れる。
ぬに、ぬに…ぴとぴとぴとぴと…ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ…
「んっ!んっ、んんっ!んんんーっ!!」
 愛液を絡めるよう優しく押圧していたのも束の間、景太郎はゲーム機のボタンでも扱うかのように中指の先でクリトリスを連打し始めた。夢心地のような高揚感に浸っていたみつねもこれにはたまらず、キスしたまま何度も何度も鼻声でよがり鳴いてしまう。
 クリトリスをノックされる強烈な快感は中枢を刹那で駆け抜け、直接脳髄にまで響いてくるようだ。もうたとえようもないほどに気持ちよく、フワフワとした高揚感に意識が丸ごと持っていかれそうなくらいである。
 ペニスを恋しがるような膣の収縮も今が盛りであり、膣口からはほんのりと白濁して粘度の強い愛液が溢れてくるようになってきた。フェロモンを濃縮したようなみつねの愛液は景太郎の指先とクリトリスの間でねばっこく糸を引き、ますます白濁してムース状になってくる。その音も匂いも光景も、まさに淫猥という単語を具現化したかのようだ。
ぬちゅ…きゅっ、きゅっ…にっちゅ、にっちゅ、にっちゅ…
「んっ…ん、くっ…!んっ、んんっ!んんっ…!!」
 快感の大渦に翻弄されながら、みつねも景太郎への愛撫をおろそかにしない。
 みつねは勃起しきりのペニスを逆手に握ると、親指と人差し指でこさえた輪っかでくびれの辺りを締め上げながら、ゆっくりと亀頭をしごき立てた。ねっとりとした逸り水にまかせ、手の平と五本の指すべてで亀頭を愛撫すると…景太郎はビクビクと腰を震わせ、淫蕩で腑抜けになったようなだらしない鼻声でよがりまくる。
 仮性包茎とまではいかないが、景太郎のペニスは若干包皮が余り気味だ。本人も常々気にしており、ささやかな劣等感を抱いていたりもする。
 しかし、いまこうしてみつねに愛撫されているペニスは見事の一言に尽きた。熱くたぎる興奮の血潮のために、幹は過剰な包皮をフルに使って悠然と伸び上がっており、すっかり剥き出しになっている亀頭は膨張しきってツヤツヤのパンパンだ。小振りなクルミほどに肥大しているぶん、幹との境目をなすくびれの高さも凄い。
 そのくびれをくまなく愛撫しようと、みつねは丹念に五本の指をくねらせてゆく。親指は表面積の広い亀頭の表側を擦り、残り四本の指は小指から人差し指までを順番に絡み付かせて敏感な裏筋を攻める。その手つきはまさに乳搾りのそれであった。景太郎自身経験のない極上の手淫に、先端の鈴口からは尽きることなく逸り水が滲んでくる。
あっ、ああっ…イキそう…い、イキそうっ…!!
 キスしたままでの情熱的なペッティングに、二人は身も心も幸福感でとろけそうになり…心中で歓喜と焦燥をない交ぜにして悶える。特に男である景太郎の方が絶体絶命の窮地と呼ぶに相応しく、みつねの搾るがままにされて、もうあごにまで震えが来ていた。
 反り返るように勃起しているペニスには、もはや射精欲ではなく射精衝動が突沸現象のように押し寄せてきて…景太郎を女々しく狼狽させる。不本意極まりない暴発だけはどうしても避けたくて、景太郎はゆっくりと鼻で深呼吸した。クリトリスをいじめていた中指も降参したかのように脱力し、右手はやんわりと裂け目を包み込む。
「んっ、んぅんっ…ぷぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
「あっ…き、キツネさん…?」
 その途端、みつねは子犬がむずがるような声で小さくイヤイヤし…うつむくようにしてキスを終えた。無垢な少女を思わせるかわいらしい息遣いになると、淫魔もかくやとばかりのいやらしい指使いは嘘であったかのようにピタリと止む。
 景太郎は安堵の息を吐くより先に、みつねの様子の変化を気にしてそっと彼女を呼びかけた。こつんと頭をくっつけ、ぎゅっと肩を抱き寄せて…みつねを不安にさせないよう意識してしまうのは、何より彼女への愛しさ故だ。
「はよう…」
「え?なに…?」
「は、はようそのまま…指…」
「指って…あ…」
 うつむいたみつねのつぶやき声で、景太郎はようやく自分の中指が彼女の膣口に触れていることに気付いた。思わず指先に意識が集中し、きれいに切り揃えてある爪の先数ミリがくぼみに沈み込んでしまう。
きゅきゅきゅっ…きゅきゅっ…ぷ、ぷっ…
「ああんっ…!」
 それだけでもすっかり欲しがりになっている膣口は引きつるように収縮し、あてがわれた指の隙間から白濁した愛液を染み出させた。みつねは半ベソような声で鳴き、まるで怯えるかのようにゾクゾク震えながら景太郎にすがりつく。
ご、くんっ…
「じゃ、じゃあ…入れますよ…?」
「うん…」
 景太郎は生唾を飲み込み、中指から先に童貞を卒業させることに決めた。
 念のためにと確認したその声はみっともなく上擦ってはいたが、みつねは別にからかうでもなく、しおらしくコクンとうなづくのみである。
 もう胸中は欲しい気持ちでいっぱいなのだろう。勃起しきりのペニスにかかっている握力からも、彼女の焦燥がいかほどのものであるかは想像に容易い。
ぬ、るっ…ぬ、ぬぬぬっ…
「んっ、んんっ…!!んふっ…んぅう…んあっ!ああんっ…!!」
「うわっ…」
 爪の先から第一関節、第二関節へと…景太郎はささやかな抵抗感に包まれながら、ゆっくりと中指をみつねの膣内へと没入させていった。張りつめた空気の中、二人は計ったかのようなタイミングで呼吸を詰まらせて感動の声をあげる。
すごいっ…女の子の中って、こんなに熱くって、狭くって…それに、ヌルンヌルン…
 景太郎は生まれて初めて確かめた膣内の快適さに胸を熱くし、そのあどけない素顔をウットリとさせた。これでもう何度異性の身体に感動を覚えたことだろう。童貞であることを差し引いたとしても、実に感受性が豊かだといえそうだ。
 もっとも、みつねの身体は見た目も感触も、すべてが雄性としての欲望を悠々満たせるほどに発育良好なのだから無理はない。今までにみつねと付き合い、身体を重ねてきた男の数が何よりの証拠である。
 実際、みつねの膣は名器と呼ばれるに十分な環境を有している。
 交わるペニスを逃すまいと、きつく締め付けてくる膣口。
 驚くほどに熱く、それでいて窮屈な内壁。
 奥の奥までみっちゅりと群生している、プリュプリュと弾力に富んだ襞。
 そのうえで、ねっとりとした愛液が襞の隙間ひとつひとつを潤滑させるほどにたっぷりと分泌されているのだ。こうして中指を挿入しただけでも十分心地良いのに…実際に彼女と交わったとしたら、いったいどれほどまでの快感を得ることができるのだろう。その感覚は、まさに童貞である景太郎には想像を絶する世界のものだ。
こんな狭いところに、ホントに入るのかな…。でも、入ったとしたら…入れたとしたら…
 景太郎は奥深くまで挿入した指先で膣の内壁をちょんちょん突っつきながら、ぼんやりと妄想を膨らませてみた。いやらしく絡み付いてくるぬくもりを中指からペニスに置き換えてイメージしてみると…それだけでも鼻の頭に汗が浮き、野蛮なほどに射精衝動が突き上げてくる。
 景太郎はつらそうに嘆息して妄想を止め、ちらりとみつねを見た。同じひとつの枕に頭を預けながらも、みつねは今もうつむいたまま中指の挿入感に身震いしている。吐息が微妙に不規則になっていて、横向きにされた乳房もぷるぷる震えながら揺れていた。
「キツネさん、つらくしてる…?」
「ううん、平気…あ、気ぃ使わせてもぉたか?ごめんな…」
「そ、そんなことないですけど…」
 景太郎が小声で問いかけると、みつねは慌ててうつむかせていた顔を戻した。
 素直な声音で詫びながらも、みつねの方こそ気遣わしげな目になっているところがたまらなくいじらしい。ついつい景太郎は照れてしまい、視線を余所に泳がせる。
「ウチな…」
「ん?」
「クリトリスいじられたら、めっちゃ気持ちええねんけど…中の方いじられたら、めっちゃええ気持ちになれんねん…」
「え、えっと…なんだか難しい日本語ですね。気持ちいい、と…いい気持ち…?」
 ペッティングのさなかに生まれた平穏を楽しむよう、二人は汗ばんだ鼻先を触れ合わせておしゃべりを交わした。
 みつねは目を細めて愛撫の心地をそう語るのだが、景太郎にはどうもピンと来ない。言葉の意味合いは微妙に違うように思えるのだが、その差がいかほどのものなのか見当も付かず、軽い困惑に両目をぱちくりとまばたきさせる。
「気持ちようなれるってのと、ええ気持ちになれるってのと…微妙に違うと思わん?」
「気持ちよくなれる…いい気持ちになれる…な、なんか違うような気もするけど…」
「なんて言えばええんやろ…クリトリスは一気にイけんねんけど、中はじんわりイクってゆうか…同じイク言うても重みがちゃうってゆうか…」
「う〜ん…ごめんなさい、やっぱりよくわかんないなぁ…」
 みつねは苦心しながら女のエクスタシーの違いを説明しようとするが、やはり男である景太郎にはイメージが湧かない。同じペニスをしごくマスターベーションでも、日によって充実感が違うことは確かにあるが…みつねがいわんとしていることは、どうやらそれとも別のようである。
 実際、クリトリスへの刺激で迎える絶頂感と膣内への刺激で迎える絶頂感は別物だ。たいていの女性は敏感なクリトリスへの刺激が絶頂の引き金になるのだが、みつねのようにセックスの経験が豊富になると、比較的鈍感な膣内への刺激でも絶頂を迎えることができるようになるのである。
 俗にいう中イキという生理現象であるが、これは女性にとって理想的な絶頂だといわれている。クリトリスでのエクスタシーと違ってゆっくりと登り詰めるぶん、適度な快感をじっくりと味わっていられるし、愉悦による浮揚感も身体中すみずみにまで行き渡るからだ。それに子宮口が心持ち下降してきて、精子を受け入れやすくなるというメリットもある。子どもを作ろうとしている夫婦であれば、中イキを模索してなんら損はない。
 もちろん、みつねも中イキの方が好きなのだが…こればかりはどうしてもパートナーとの相性が重要だ。自己満足にならないような思いやりと、それとセックス慣れといえる程度のテクニックも必要不可欠である。
 一般に、時間をかけてイチャイチャと睦み合ってからだと中イキしやすくなるとは言われているが…今の二人は少なくともその条件は満たしているようであった。
「キツネさんがどんなふうに感じるのかはわかんないけど…でもね?」
「うん?」
「感じるところがいっぱいあるってのは羨ましいな。耳とか、首とか、胸とか…もちろんここだってそう。身体中どこだって気持ちよさそうにするんだもん…」
「ふふっ、何を言うてんねん。けーたろやって…ちゅっ…ん、唇は立派な性感帯やん?」
「えへへ…ちゅっ…ふふっ、確かにそうかも…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…ちゅむ、ちゅむっ…
 二人はおしゃべりしながら、キスしてじゃれ合っているうちに…やがて薄膜をついばみ合うバードキスだけに没頭していった。
 恋人や夫婦のそれにも負けないくらい仲睦まじいキスは、過敏となっている二人の薄膜に新鮮な快感と興奮をもたらしてくれる。胸苦しいほどに愛欲がこみ上げてきて、景太郎は肩を抱いている左手に…みつねは背中に伸ばしている右手にそれぞれ力を込め、互いを強く抱き寄せ合う。
ぬ、ぷっ…ぬちゅっぷ、ぬぷっ、ぬむっ…
 その愛欲をみつねの深奥にまで突き込もうと、景太郎は膣に挿入した中指をゆっくりと前後させた。とはいえ華筒の内側はどうすれば気持ちいいのかわからないので、単にピストン運動をイメージして前後に数センチほど動かしただけである。
「んっ…んぅ…もっと奥ぅ…」
「もっと奥…?この辺…?」
「うん…そ、そう、その辺…」
 勝手の分からない景太郎の指使いではあったが、それでもみつねは待ち焦がれていた異物の挿入感に酔っているぶん、すっかり声が上擦ってしまう。
 そんなだらしない猫撫で声にねだられるまま、景太郎はすくい上げるような手つきで膣の奥へと中指を押し込んでみた。それに合わせてみつねは縮こまるように腰を曲げ、景太郎の中指ができるだけ深く潜り込めるようにする。結局景太郎の中指は真っ直ぐにみつねの子宮を目指せる具合となり、根本まですっぽり没入してしまった。
ぐり、ぐり、ぐり…ぬり、ぬり、ぬり…
 景太郎はみつねが望む場所まで中指を侵入させると、その辺りの膣壁を確かめるよう左右にひねった。みつねの華筒は奥に行けば行くほど狭まっていて、異物が子宮へ到達するのを阻んでいるかのようである。
 そんないじましい華筒をなだめるよう、景太郎は手前側にわずかに指先を曲げ…ちょうど軟膏でも塗るように小さな円をクルクルと描いてみた。たちまちみつねの華筒はやんわりと中指にすがりついてくる。そのいやらしい動きは愛撫に悶えているようでもあり、くすぐったさにむずがってもいるようだ。
「あん…あ、ふぅ…んんっ…」
「キツネさん、気持ちいい…?」
「うん…けーたろ、上手…」
「キツネさんも…んっ…き、気持ちいいよ…油断したら、すぐにイッちゃいそう…」
「ふふっ、ガマンしぃや…ここで出したらもったいないで?」
 二人はバードキスに耽ったまま、陶酔の面持ちでペッティングの悦びを語り合った。細まった瞳が互いを映すと、先を争うようにあごを突き出してキスする。
 膣の深奥を愛撫されているみつねも、景太郎のペニスへの愛撫を忘れてはいない。
ぬっちゅ、ぬっちゅ、ぬっちゅ、ぬっちゅ…
 搾乳するように亀頭を搾り込んでいたみつねの右手は、今度はまったく逆の動きでペニスを奮い立たせている。ちょうど包皮を根本の方へ押しやるよう、逆手でこさえた筒で挿入の瞬間を疑似体験させる具合だ。興奮の証である逸り水の漏出もとどまることを知らないため、勃起しきりのペニスは実際に膣内に没入したかのような錯覚を繰り返し繰り返し味わうことになる。
き、気持ちいいっ…これ、もう少し早くされたらすぐに終わっちゃうよっ…
 まったく未体験の感触に、景太郎は感動と焦燥をない交ぜにして身悶えする。
 ペニスはジクジクと疼きながら悠然と伸び上がり、根本の方から確実に射精欲を募らせてきた。極度の性的緊張にあるため、尾てい骨の辺りもじっとりと汗ばんでいる。
 もしこれ以上なんらかの要因で男心が奮わされたとしたら、景太郎はたちまち雄としての生殖本能を全開にすることだろう。みつねの右手を膣と錯覚したまま盛大に射精し、彼女の肌やベッドを生臭く汚してしまうに違いない。
「すふ、すふ、すふ…ん…キツネさんっ…」
「んぅ…ん、んぅ…けーたろ、奥だけやのぅて、浅いとこもして…」
「浅いところも、感じちゃうんだ…?」
「うん…。でも、動きにアクセントをつけるのは大事なことやで?エッチの基本やから、しっかり覚えとき?」
「は、はい…」
 膣の奥ばかりを単調にいじっていた景太郎に、みつねはそうアドバイスして意味深に微笑んだ。景太郎は素直にうなづき、ゆっくりと中指を引き抜いてゆく。
ぬ、ぬぬっ…ぬちゅ、ぬちゅ、ぬちゅ…くにゅん、くにゅん、くにゅん…
 ぬかるむ音を立てながら、第一関節の辺りまで中指を引き抜き…景太郎は膣の入り口付近を丁寧にほじってみた。とはいえ爪を立てるようなまねはしない。あくまで指の腹で柔軟な膣壁を確かめるだけである。
 それでもみつねの膣口はきゅんきゅんと元気よくすぼまり、随喜の反応を示してくれた。それに気をよくして、景太郎は肛門と膣口を連動させている括約筋に逆らうよう中指で入り口付近を攪拌する。ちょうど膣口の径を大きくするように円を描く要領だ。
 柔軟な膣壁を撫でるのとは違って、括約筋の動きを阻むのはそれなりの力を要する。景太郎は中指の挿入角度を大きくして、ぐいぐいこじるように膣口を攻め立てた。
「あんっ!あ、あかんっ…そ、それ弱いっ…!」
 膣口付近は相当敏感であるらしく、みつねはさかんによがり鳴いてゾクゾクとその身を震わせる。景太郎への愛撫にも集中できなくなってきたのか、今ではもう勃起しきりのペニスを強く握りしめているだけだ。その様子はまるで、迷子になるのを恐れて母の手を離さない子どものようである。
「気持ちいいんでしょ…キツネさん、すっごく締め付けてくる…ここ、もうキツキツで…」
「あ、あかんっ!そないにあちこちっ…あんっ!や、やめ、あっ!あううんっ…!!」
 そんな切羽詰まったみつねがたまらなく愛おしくて、景太郎は中指を左右に大きくひねりながら、膣口をぐるりと囲んでいる括約筋をまんべんなくいじった。コリコリと強張って緊張している括約筋を指の腹で引っ掻き、あるいは第二関節を押し付けるようにしてねちっこく抜き差しすると…みつねは阿婆擦れそのものの上擦り声で鳴きじゃくる。

つづく。

 

 


 ご意見・ご感想はこちらまで

(updete 2003/07/15)