【嘆くなり我が夜のファンタジー】

step3

作・大場愁一郎さま


 とりあえず続きです。オリジナルですので興味のある方はどうぞ。

…ただし18禁ですのでご注意を。あと投稿者と登場人物は無関係です。

諸般の事情で原本のまま、投稿しております。

 

「…はっ。」

 目が覚めると室内は真っ暗だった。オレはベッドの中でうつぶせになり、枕に唇を

寄せ、パジャマを寝汗でびっしょりにして…

(ま、まさか今のも夢…!?おいおい、いい加減にしろ。ちょっと待ってくれよ…)

 もう一度意識を確認する。オレの名前は大場愁一郎。これはもう間違いない。サッ

カー部でMFをやっていた。現在高校三年生で受験生だ。家族構成は両親と…そうだ

よ、オレはひとりっこだ。みつき姉ちゃんも、なつきなんていう妹もいない。

(ぬかよろこびさせやがって!結局童貞はそのままじゃんかよっ!)

 やり場の無い不満にオレは寝返りをうった。三重で淫らな夢をみるなんて本当にど

うかしてる。たまってるなんて笑い事じゃ済まされないのかもしれない。受験勉強ば

かりの毎日でノイローゼになっちまったのかもしれない。

「…う…やっぱり。いいよ、もうわかってたよっ!」

 オレは右手を伸ばし、ベッドサイドに転がっているティッシュを二、三枚引き抜い

た。どうしたのかって?これ以上恥をかかせるなよ、わかるだろ!?

…夢の中でイッちまったんだよ!こいつはもう間違いない。ぬるぬるじゃねーもん、

べっとべとなんだから。ヘソのあたりがぴちゃぴちゃと冷たい。

「最低だ、もう…」

 ベッドから下り、明かりをつけてからズボンとトランクスを下げる。うわっ

ちゃ〜、前ほとんど全滅状態…。拭いても拭いてもキリがない。えっと…一ヶ月ぶ

り、か。一ヶ月もしないと夢精なんか簡単なんだなぁ。

「…なんだ?」

 ふいに窓ガラスが音をたてた。空耳かと思って作業をやめ、耳をそばだてる。

コンコン。

 物音は繰り返した。誰かが窓を叩いているらしい。目覚ましを見ると午前零時を少

し過ぎたところだ。こんな夜中になんだろう。薄気味悪いことしきりだ。

 ズボンを上げてからそっと窓に近寄り、勢いよくカーテンを開ける。そこには月明

かりに照らされたひとりの女の子が寒そうに佇んで笑っていた。

「つ、辻ヶ谷!?」

 そこにいたのは誰あろう辻ヶ谷みさきであった。夢のいっちばん最初でオレと交

わってた体操部の女の子だ。照明をつけ、慌てて窓を開ける。

「こんばんは、大場くん!」

「辻ヶ谷、お前どうしたんだよ!?」

「突然ゴメン!ちょっとお邪魔していいかな?あ、玄関からはダメよ。ここから入れ

て!お、し、の、び!」

 暖かそうなブルゾンを羽織った辻ヶ谷は真っ白な息を吐きながら少しだけ照れたよ

うに笑った。窓枠に手をかけて上がり込もうとしている。なにやらワケありのような

のでそのまま引っ張りあげてやった。

「どうでもいいけど…こんな夜中にどうしたんだよ?」

「えへへ、夜ばいにきちゃった!」

「夜ばい!?夜ばいって…ど、どうして…」

「夜ばいに理由っていくつも必要?」

 オレの部屋に上がり込んだ辻ヶ谷、困惑するオレの目の前でブルゾンを脱ぎ捨てる

と、そっとオレに抱きついてきた。う、このまま抱きしめちゃっていいんだろうか?

両手は空しく中空をさまよったりしてるぞ!?しかも…あう〜、辻ヶ谷の匂いがたま

らんっ!みつき姉ちゃんやなつきみたいなあの女臭さがオレのスケベ心をくすぐる!

やばい、さっき夢精したばっかなのに、もう反応しかけてるっ!節操がないなぁ…頼

むからもう少しオトナになってくれよ…。

「り、り、り、理由って…?」

「エッチなコトしたいからに決まってるじゃん。大場くんだってエッチしたくなった

りするでしょ?」

「そ、そりゃあまあ…でも、だからなんで!?」

「あ、ひょっとして大場くん、女の子を神聖視してるな?」

「神聖視?」

「女の子だってリビドーは持つのよ?素敵な、カッコイイ男の子とセックスしたい

なぁ、なんて思ったりするの。ホントだよ?」

 う〜む、確かに辻ヶ谷のおっしゃるとおり、オレは女の子を神聖視しているかもし

れない。現実のかわいい女の子は間違ってもセックスしたい、なんて言うもんじゃな

いと思っている。そんな夢みたいな女の子はエロゲーかエロマンガか、陳腐なエロ小

説にしか出てこないものだと信じている。

 もっとも女の子だって性欲持ってて悪いワケないもんな。ただちょっと男の場合は

表し方がロコツなだけで…。でも辻ヶ谷の言い方聞いてると、まるでオレが素敵で、

カッコイイって聞こえるぞ?買い被りすぎかな?

「でも…なんか信じられないなぁ。」

「女性のレイプ犯だっているの、知ってる?判例もあるのよ?」

 おかしい。どうにも都合が良すぎるぞ。これも夢なんじゃないか?きっとまだ眠っ

たまんまで、最初の夢にループしてきただけなんだろう。きっとそうだ!だったら…

夢の中なんだからムチャクチャやっても大丈夫だよな…。

「じゃあ辻ヶ谷、単純にオレとセックスしにきたってわけ?」

「あは!やっとわかってくれた!迷惑かな?彼女に怒られちゃう?」

「め、迷惑なんかじゃないよ!それに彼女も…ま、今んトコいないし…」

 うう、恥ずかしくて彼女いない歴十八年なんて言えないっ!

「じゃあさ、辻ヶ谷?キスしたりしてもいいワケだ。」

「あら?ヘンなコト聞くね。大場くん、いくらなんでもキスぐらいしたことあるで

しょ?」

「う…」

 う、うるせえなぁ。そんなイヤミな断定はないだろぉ?夢のくせに辻ヶ谷って思っ

たよりイジワルだ。きっと深層心理の嫉妬が作用してんだろうな。もう騙されないぞ

「え、ウソ!大場くん、キスしたことないんだ!へえ〜、高校三年生でまだキスして

ない人がいるなんて!」

「ほ、ほっといてくれよ!オレはプラトニックを美徳としてんの!」

 辻ヶ谷、珍しいモノでも見るかのようにオレの顔をのぞき込んでくる。なんで辻ヶ

谷が夢の中に出てきてこんなイジワルするんだよぉ。普段の人なつっこい性格とい

い、体操部でのレオタード姿といい、よっぽど印象に残ってたんだな。

「いいよ、キスしよ!」

「…ほ、ホントだな?オレ、ホントにするぞっ!?」

「は、や、く!」

 そっと目を閉じ、嬉しそうに唇を差し出す辻ヶ谷。目を閉じてくれて助かった、オ

レ、きっと真っ赤な顔してるに違いない。夢の中ではとんでもなく淫らなコトできる

けど、いざとなるとなんにもできないもんだな。あれ、これも夢なんだろ!?う

わ〜、夢とは思えないくらいにリアルだっ!この艶めかしい匂いといい、柔っこそう

な唇といい、それになにより辻ヶ谷の体温は本物のようだ。あ、この…おっぱいの柔

らかさ、夢だなんて思えない…。辻ヶ谷の鼓動だって…ええい、する!キスするぞっ

!もうどうでもいいやっ!

ちゅっ。

 ファーストキス…。オレ、辻ヶ谷とキスしちまった。この柔らかさ、微かな鼻息、

互いの心音…。もう目眩がしそうだ。倒れてしまわないようにオレは…辻ヶ谷を強く

抱きしめた。辻ヶ谷のおっぱい、二人の間で柔らかく挟み込まれてる。

 ファーストキスは三十秒ほども持続しただろうか。照れくさくって…オレのほうか

ら唇を離してしまった。二人して背中を抱いたまま、見つめ合ってしまう。

 うう〜、こうして見ると辻ヶ谷って結構かわいい。ショートカットで天真爛漫で…

恋も知らずにはしゃぎ回る男の子みたいなイメージ持ってたんだけど、やっぱり女の

子なんだよなぁ。

「夢…なんだろ?辻ヶ谷と…辻ヶ谷がこんなことしてるなんてまだ信じられない。」

「夢じゃないってば!さてはまだ寝ぼけてるな?」

「そ、そうでもないケド…」

「ふふっ!ね、ファーストキス、どうだった?」

「…ドキドキしてる。もっとしたいっての…ダメかい?」

 あ〜あ、みっともねえ。現実だと納得した途端、欲望が素直に現れやがる。さっき

まで舞い上がってたの誰だよ?でもな、キスってマジで美味しいからどんどんおかわ

りがほしくなる。これはホントだ。たった今キスを経験したオレが保証する。

 無節操なアンコールだけど辻ヶ谷、オレのことヘンな目で見たりはしなかった。い

つもの明るい笑顔を見せると、いいよ、と再び目を閉じてくれた。

「もうわたし、リードしない。大場くんの好きなようにして…。」

「そんなこと言うと、本当になんでもするぞ?」

「もう、そのために来たって言ってるじゃん!そぉだ、いいこと教えてあげよっか

?」

 そう言うと辻ヶ谷、オレの耳元に吐息が聞こえるまで唇を寄せた。少しためらいが

あるのか、んく、と喉が鳴る。うわ、鳥肌たちそう!こんな至近距離で女の子の吐息

が聞こえるなんて、拷問に近いぞこれはっ!

「あたしね、家を出る前にね…その、大場くんのコト待ちきれなくって…オナニーし

てきたんだ。おフロ入ってるときに一回…着替えてから家を出る前にもう一回…!」

 そう言ってギュッと抱きつく…!ちょっと待ってくれよ!これって愛の告白以上に

強烈な告白だぞ!?それってつまり、オレをオナペットにしたってことだろ?し、

し、しかも二回もっ!?うわーっ、普通そんなことまで言うかぁ!?

「う、う、ウソだろ…?オナニーだなんて…」

「ホントだよ?これから会いに行くんだって思っただけで…ガマンできなくなって…

!」

 あの辻ヶ谷の口から、まさかそんな単語が出てくるなんて思ってもみなかったから

興奮が一挙に押し寄せる。さすがの辻ヶ谷も恥ずかしかったんだな、おっぱいごしに

鼓動がどんどん早まってくのがわかる。

「辻ヶ谷っ!お、オレ、もう知らないからな!」

「あんっ、大場くんっ!」

 オレは焦れたように辻ヶ谷をベッドの上に転がすと、乱暴に覆い被さってキスし

た。乱暴にされるのが嬉しいのか、辻ヶ谷のヤツ夢中でキスに応じてくる。

 辻ヶ谷はデニムのシャツにセーターを重ね着していた。オレはまずセーターをたく

し上げ、右手で思うさま辻ヶ谷のおっぱいをまさぐった。デニムの生地は厚く、ブラ

の感触だってあるんだけど…それにしても柔らかい。搾るように揉んでるんだけど、

最高の触り心地だから右手が止まんないっ!

「ちゅぱっ…辻ヶ谷の胸、すごくやわらかい…」

「あん、なんか大場くん、慣れてない?ね、もっとキスして…大場くんの唇、もっと

ほしい…ん、ちゅ…はあっ…あっ、む、んん…」

 そんなにおっぱい揉むの、うまいってこと?オレ、こんなことするの初めてなんだ

けどな…。なんか恐れ入ってしまう。

 照れ隠しも兼ねてキスしてあげると、辻ヶ谷、もうトロンとしちゃった。さっきの

告白ですっかり舞い上がっちまたのか、いつもの快活さは気味悪いくらいになりを潜

めている。辻ヶ谷もこんな状況になっちゃうと全然別人だな。それともこんな甘えん

ぼが本当の辻ヶ谷なのかも…。

 別人と言えば…辻ヶ谷のオナニーってどんなんだろう?全然イメージがわかないぶ

ん…もし目の当たりにできたらオレ、卒倒しちまうんじゃないか?

 オレは辻ヶ谷をばんざいさせてセーターを脱がせると、再び飢えた山犬よろしく唇

にむさぼりついた。角度を変えては吸い付き、唇をついばみあって…そして舌が絡ま

る。本物の舌ってのはやっぱり柔らかい。それにこのザラつき感が夢とは比べ物にな

らない。

「ん…ちゅ、おおば…く、ぁ…ぢゅ、ん…もっと…」

 もつれあう舌の隙間から辻ヶ谷の甘えた声が聞こえた。女の子ってその気になれば

誰でもこんなエッチな声、出せるものなのかなぁ。あんまりかわいい声なんで、つら

れてオレまでどんどんエッチになってゆく(根がそうなんだけどね)。あう〜、それ

にしても辻ヶ谷の唇も、舌も、よだれも…最高に美味しい!

 オレはすっかり調子乗り、デニムの裾から右手を忍ばせてブラごしに辻ヶ谷の胸を

揉んだ。レオタード姿の見た目通りでまことに結構な大きさだ。みつき姉ちゃんとな

つきの…ちょうど中間くらいかな?やっぱり大きい方だよなぁ。

「ね、辻ヶ谷がオナニーするときって、やっぱりおっぱいも慰めたりするの?」

「そりゃあ…ね?大場くんに触ってもらいたいから…。ね、じかに触って。カップの

真ん中…てゆうか胸の谷間にホックがあるから…あ、でも外せるかな?」

「む、なにがあっても外すよっ!」

 オレの意地悪な質問にも辻ヶ谷は素直に堪えてくれた。でも辻ヶ谷だってひとりの

女の子だね、不敵に微笑むんだけどほっぺはすっかり火照ってるし、目なんかもうウ

ルウルだ。辻ヶ谷ってホントかわいい!もっと早く気付いてれば、もっと早くこうな

れてたかも知れないなぁ。

 オレは手探りでブラのホックを探した。胸の谷間にってことはフロントホックタイ

プのやつだよな?アレって大きいカップのブラに多いって聞いたことあるけど…そう

考えるとやっぱり辻ヶ谷の胸って大きいんだね。

 これかな…?なんか小さな金具みたいのが指先に触れてんだけど…う、ちきしょう

上手く外せねぇ…。上下にひねるのか、それともスライドしてか…?あ〜、悔しい!

「開けられないんでしょ?」

「う、うるさいなぁ。」

 いたずらっぽく笑う辻ヶ谷。恥ずかしいから黙ってろってんだ。オレはキスで口を

塞ぐと、キスしたままでホックとの格闘を再開した。

 あ〜、外れねーよーっ!なんか顔ばっかり熱くなってく。このまま引きちぎってや

りたくもなるけど、そこまでしていいハズもないし…くそ、引っ張ったらだめか…

コツン。

 あれ、開いた?引っ張って開くものなの、これって?

「意外な顔してるね。引けば開くわけじゃないんだけど、ちょっとジョイントを曲げ

ればアッサリ取れるしくみになってるの。」

「…よくわかんないけど…」

「男で知ってるってのがおかしいのよ!」

 辻ヶ谷はホックのしくみをかいつまんで教えてくれたが、オレにはどうもピンとこ

ない。まぁ辻ヶ谷がそう言ってくれるのなら気にしないでおこう。さぁいよいよ辻ヶ

谷のおっぱい、じかに触れることができる!

 戒めを解いたカップの中へそっと指を滑り込ませる…。はう〜、柔らかい!指が

そっと沈んじゃうような感触!それでいて暖かくて、はぁ、この先っぽの感触がま

た…!

 辻ヶ谷、じかに揉まれた途端体をモジモジさせ始めた。敏感なんだなぁ。せつな

くってたまんないのか、ぎゅっと背中にしがみついてキスを繰り返してくる。そっと

頭を離してやると、自分も頭を上げてすがってくるじゃないか。う〜ん、かわいいっ

「辻ヶ谷ってやっぱりおっぱい大きいね。おっぱいにもキスしたいなぁ。」

「待って…もっとキスしたい…大場くんと、キスしたい…」

 辻ヶ谷は寂しそうな目でオレを見上げてきた。なつきみたいなキス魔だなぁ。

 オレはもうしばらく手探りで胸をかわいがることにし、唇を重ねて舌を潜らせた。

辻ヶ谷の口は間違ってもコンソメ味なんかではなかった。歯磨き粉の味…かな?もし

かしてキスに備えてちゃんと歯磨きしてきたのだろうか。う〜ん、寝起きのオレ、な

んとなく申し訳ない。

 辻ヶ谷には悪いけど、オレは唇を離してそっと頬ずりしてみた。辻ヶ谷のほっぺ、

もうすごく熱をもってる。でもすべすべで、いつもきれいにしてるのわかるなぁ。

 ショートカットの髪も洗ってきたのかシャンプーの匂いがする。少し汗ばんだ首筋

からは独特の女の子臭さが…。これってひとりひとり違った匂いなんだね。まさに

フェロモンってヤツなのかもしれない。この辺の匂いを確かめただけなのに夢精した

オレの、すっかりギンギンになっちゃう。絶大な効果があるもんだなぁ。オレが感じ

やすいだけか?

 息がかかるまで右耳に口を近づけ、そっと耳たぶをくわえる。真っ赤になった辻ヶ

谷の耳、まるで赤貝みたいだ。

「お、おば…くん…!」

 耳たぶをくわえられ、左のおっぱいをモミモミされて辻ヶ谷は苦しげにオレの名を

呼び、ぎゅっとのけぞった。おっぱいの先っぽ、すっかりしこって固くなってきて

る。

「辻ヶ谷…おっぱい見せて…」

「うん…でも見るだけだよ?」

「それでもいいよ、オレ朝までずうっとハダカの辻ヶ谷、見てるからね?」

「そ、それも恥ずかしいな…!」

 へへへ、やっと辻ヶ谷を恥ずかしがらせることができた。少し胸がすく。やっぱり

オレって女の子をイジメて喜ぶ変態だったんだなぁ(何をいまさらって?)…。

 デニムのシャツの前ボタンをひとつひとつ外してゆく。辻ヶ谷はその間、ずうっと

そっぽを向いたままだ。それまでは、度胸あるんだ、なんて思ってたけど、やっぱり

恥ずかしいときは恥ずかしいものらしい。それによく考えるとブラのホックは外して

あるんだから、シャツをはだけた途端にむき出しの胸が出てくるワケだろ?それも恥

ずかしい理由のひとつなのかな?ムフフ、楽しみ楽しみ!辻ヶ谷、どんな顔するんだ

ろう?

 下から外していった前ボタンの最後の一つを外すと、真ん中で切れたようなブラを

退けるようにして二つの大きな膨らみがぷるん、と現れた。

 これが辻ヶ谷の胸…レオタードの中で窮屈そうにされてたおっぱいなんだ…。神々

しいほどにきれいなカタチしてる。つるん、と真ん丸で色なんかは健康的な白。今は

興奮してるからか、ぽおっと赤くなってる。頂上付近には張りつめたようにしこって

いる先っぽがちょこんとくっついてる。

 いや、美しいのは胸だけじゃない。ジーンズに隠れてゆくウエストのラインなんか

も絶妙なくびれ具合だ。体操部やってるのはホント、ダテなんかじゃない。そうだ

よ、レオタード姿があそこまで映えるのはスリーサイズがいずれもベストサイズだか

らなんじゃないか!今さらながら…辻ヶ谷ってすごい。

「辻ヶ谷のカラダ、すっごく素敵だ…。おっぱいもおっきくて…いい匂い。」

「あは、嬉しい…!大場くんにそう言ってもらえて…あ、でもそんなに見ないで、こ

こまで開けっぴろげにしたの、更衣室だってないんだから…っ!」

 そうなのだ。いまの辻ヶ谷、そっと胸を反らせ気味にして…オレにありのままを差

し出してるのだ。そっぽを向いてきゅっと目を閉じ、頬を赤らめてるトコなんか見て

ると健気でたまんない。

「辻ヶ谷…白々しいかもしんないけど…かわいいよ。」

「大場くん…。」

 我ながらキザったらしいセリフ!でもかわいいのは本当だししょうがねえだろ!

あ、でも辻ヶ谷、そう言われてとっても嬉しそう…!嬉し泣き寸前なのか、まばたき

が増える。あぁっ!もうガマンできないっ!

 オレはすっかり揉みほぐされて赤くなってる辻ヶ谷の左側のおっぱいにぱくっと食

らいつき、唇をすぼめてちゅうちゅう音立てて吸った。不思議な安堵感がオレの胸

いっぱいに拡がり、そのまま体中の力を抜いて夢中で吸う。もちろんなにも出てこな

いんだけど、こうしてるだけでとっても安らぐ…。

「大場くん…っ、こっちも、こっちも吸ってみて…!」

 言われなくとも吸うってば!オレは辻ヶ谷の右胸をぎゅうっと持ち上げ、ちゅぱ

ちゅぱと、吸っては離し、吸っては離ししてみた。そうするとみっしり重い辻ヶ谷の

胸はぷよんぷよんと喜ぶように弾んだ。すぐに先っぽもつんつんになっちゃう。ホン

トに感じやすいんだなぁ、辻ヶ谷って!

 オレはぎゅっと辻ヶ谷の両腕をつかんで押さえつけると(二の腕も柔らか〜い!女

の子ってホント柔らかいトコばかり!)、胸の谷間の奥に唇をあて、強く吸った。唇

を離すと濃い桜色のキスマークが鮮やかにのこされる。そのまま夢の中のなつきにし

たみたいに、胸のふくらみに、鎖骨に、首筋に…いくつもキスを撃っては跡をのこし

てゆく。

「だめ、月曜日…部活出ようって思ってたのに…行けなくなっちゃう…!」

 体操部のOBとして顔を出そうとしていたらしいけど、そんなのかまっちゃいられ

ない。困ったような声を出せば出すほど…オレはイヤな男になってゆく。頬から肩か

ら、普通にしててもわかるような場所にまでキスマークをつけていった。

「ダメって言ってるのに…大場くんにだってつけちゃうから…!」

 辻ヶ谷は観念したようにそう言うと、オレのパジャマの裾をたくし上げて脱がせて

くれた。ヤケに照れる。男どうしなら上半身むき出しでも照れくさくないのに女の子

を前にするとどうしてダメなんだろう?こんな場面に陥っても恥ずかしくないように

と一生懸命鍛えた筋肉質なカラダ(オレの自慢だ!)なんだけど、どうにも気まず

い。

 オレも辻ヶ谷からシャツとブラを脱がしてしまう。これでオレ達は上半身ハダカ

だ。そっと覆い被さるとハダカの胸どうしが擦れあい、湿る程度の汗が混ざり合って

密着感が増した。しかし辻ヶ谷って…こうして抱き合うとすっごくちっちゃい。おま

けに体中どこもかもが柔らかいんだ。それに肌のきめこまさ…。ホント男の体とは全

然違うよなぁ。

 ああ、それにしても辻ヶ谷と…女の子とハダカで抱き合うことになるなんて…!そ

のままキスして抱きしめあうと、狭いベッドの上をゴロゴロと転げ回った。右へ左

へ、足まで絡め合って転がる。息がもたない。だってキスしたままワケのわからん運

動してんだもん…。おまけにブレスしようと唇を離すと、辻ヶ谷も逃すまいとすがっ

てくるし、オレだって辻ヶ谷に少しの息継ぎも許さない。こんなとびっきりのスキン

シップ、嬉しいんだけど逆にカラダとココロに悪いんじゃないか?

「はあっ…はあっ…大場くんだってイイ体してる…。素敵だよ。」

「あはは…はあっ、はあっ…もったいないお言葉で…いて、ちょ、辻ヶ谷!?」

「ふふっ!大場くんだってたくさんつけたじゃない!」

 何を始めたのかと思えば辻ヶ谷のヤツ、オレの首にキスマークつけてる。意外と痛

いんだな、これって。あた、だからそんなにたくさんつけたらオレだって学校行けな

く…いや、その前に親に見られたらなんて言えばいいんだよ!?

「ちょ、もうやめろよっ!」

「ああっ、大場くんずるい!わたしだって…あ、ダメッ!!そんなとこやだあっ!」

 無理に体を起こすと、辻ヶ谷の不平も聞かずにオレはあるところにキスした。辻ヶ

谷すごく嫌がってオレを引き離そうと腕をつっぱる。

 どこにキスしたと思う?へへ、辻ヶ谷の前髪をどけてオデコにキスしたんだ。こん

なところが赤くなってちゃ違う意味で恥ずかしいよな。でもわかってる。ちょっとイ

ジワルしてみただけで、吸ってなんかいない。

 そっと唇を離して辻ヶ谷の顔を見た。あ〜あ、困った顔で泣き出しそうになって

る。

「心配すんなよ、跡つけてないから…。」

「もう…!」

 真っ赤になって口元をとがらせる辻ヶ谷。でもそんな唇を塞いでやると、たちまち

もとの甘えた顔に戻っちゃって。かわいいったらない!もう口の周りがベトベトにな

るくらいねちっこくキスを続ける。

「大場くん…そろそろ…」

 むにゅっと挟まれたおっぱいの奥で心臓ドキドキさせてる辻ヶ谷、キスされてるあ

いだに待ちきれなくなったのか、右手をオレのパジャマのズボンに差し込んできた。

あろうことかトランクスの中にまで侵入し…待てよ、オレ、夢精したパンツそのまま

じゃんか!

「あ、ちょっと待って辻ヶ谷、自分でするから…っ!」

と制止したものの、もう遅かった。辻ヶ谷、ん?と眉根にちょっぴりシワを寄せ、右

手をパンツから戻す。顔の前まで持ってきた右手の指は…ねっとりと濡れていた。

「あ、あの…オレももう待ちきれなくって…」

 それだけじゃねえだろ、オレ。辻ヶ谷はワケ知りっぽい笑顔を浮かべてこっち見て

る。もしかしてバレてんのかな?どうも違うことを言いたげな様子だ。

「…すんすん…大場くん、まさか…もう出しちゃったの!?」

「ち、違うっ!!に、臭いなんて嗅ぐなよぉっ!」

「だってパンツの中、もうべっとりだったよ?それに…すんすん…この臭いって…ア

レの臭いだよね?違う?」

「わーっ!違う違う違うっ!!そ、そうなんだけどっ、違うんだよっ!」

 なにシリメツレツになってんだオレは?しかし辻ヶ谷、なんでアレの臭い知ってん

のかなぁ。それに何度もすんすん嗅がないでほしい。いまのオレってすっごい真っ赤

になってんだろうなぁ。うむむ、どう説明したらいいんだよぉ…。

「なにが違って、なにがそうなの?わかるように説明してよ!」

「違うってのは、その、もうイッちまったってコトじゃなくって…そうってのはその

臭いは辻ヶ谷の言うとおり、まさにソレの臭いだってことで…」

「え、いま出ちゃったんじゃないの?」

「つ…辻ヶ谷が来る前に夢精しちまったんだよっ!!」

 ハッキリ言っちまった…。うろたえるよりはキッパリ説明して一時の恥とした方が

潔いではないか。

…うう、でもメッチャかっこわる〜!今度はオレがそっぽを向く番だ。なにが悲しく

て夢精したことを教えなきゃならんのだ。これ以上スケベな印象与えてどーすんだ。

「夢精しちゃうなんて…!ほぉらやっぱり!大場くんだってホントはしたくてウズウ

ズしてたんじゃない!」

 嬉しそうに右手を突っ込んで…あ、つ、辻ヶ谷…っ!そんな突然握んないでくれ

よぉ…!オレにだって心の準備ってモンがあるんだから…。あ、すげぇ…。自分でし

ごくのと他人にしごかれるのって…全然感じ方が違う。辻ヶ谷の手、なんかぎこちな

くってそれがまた気持ちいい…!

「男子って、こうやってオナニーするんでしょ?」

「う、うん…」

「大場くんは…あたしたちのクラスでオナペットにしたことある人、いる?」

「な、なんだよそれぇ!?」

「例えばあたしとかぁ…あとは弓道部の雅美とか、陸上部の涼子とか。ちょっとロ

リーだけどユッカなんてどう?あ、大場くんの隣のチャキちゃんだってかわいいよね

?」

 辻ヶ谷は興味津々の瞳で、親しくしてる女子の名前を思いつくまま列挙した。

 辻ヶ谷自身を筆頭に、弓道部で段位まで持ってるナイスバディの里中雅美。走り高

跳びの名人でもあるちょっぴりソバカスの桐山涼子。幼児体型なんだけどすっごくオ

シトヤカな倉敷有香。オレの隣の席に座ってる、オデコの広いゲーマー駒沢智秋。あ

うう…心の中、見透かされてんじゃねぇだろぉな?今挙げられた娘、全員オナペット

にしたことある(しかも二回以上だ。最低だなぁ…)!!でもそんなこと素直に言え

るかっ!

「つ、辻ヶ谷お前、なに考えてんだよ!誰ともしてないよっ!」

 オレは答えをそらしつつ、辻ヶ谷の右手から逃れた。彼女たちの想像のヌードを思

いだし、辻ヶ谷の右手でイキそうな雰囲気になったからだ。

「えへへっ!変なコト聞いてゴメン!ね、大場くんもそろそろ限界なんでしょ?わた

しももう焦れったくてなんないんだ。ちょっとわたしのズボン、脱がしてみて?」

「オレが…?」

「そ。大場くんに脱がしてほしいの!」

 待てない…ってことは、まさか本番しようってこと…なのか?オレ、とうとう童貞

卒業できんのかな!?

 高まる期待に震えながらもオレは体を起こし、辻ヶ谷のジーパンのベルトとホック

を開け、ファスナーを下ろしてから…ゆっくりと引き下げていった。辻ヶ谷は親切に

も腰を浮かせて脱がせやすくしてくれる。

 そして辻ヶ谷は…ショーツとソックスだけの姿になっちまった。あおむけの体勢の

まま、腰を浮かせて両足を曲げる。M字開脚状態ってぇのかな?美しいフリルつきの

高そうなショーツ越しにアソコをさらすような体勢にな…

「な…っ!?」

 ちょっと待ってくれよ…辻ヶ谷のアソコ…すっかりベトベトで、白いショーツが

すっかり透けちまってる…っ!!ぷにゅっと割れた女の子の真ん中が、もうネットリ

と見えちまってるじゃないか!オレはもうそこに釘付けになり、言葉すら飲み込んで

しまった。

「せっかく選んできたパンティーなんだけど…もうびちょびちょになってて、透けて

見えてるでしょ…?家でオナニーしてきたから…すごく感じやすくなってるの…。大

場くんとキスしたり、抱き合ったりしてるあいだじゅうずうっと感じてた。あたしの

アソコ、ずうっとジクジクしてたんだよ?」

「辻ヶ谷…」

 声が出ない。感動が声に出せない。それくらいオレは辻ヶ谷のアソコに見入ってい

た。充血して赤く見える肉、すっかり濡れそぼって集まったヘアー。よっぽど感じて

しまったのか、ショーツの外にまでぬめり気があふれている。履き替えないといけな

いほどだ。

「こんなになってるの…オレのせいなんだね…」

「なかはもっとすごいはずよ…?ね、ショーツもソックスも、ぜんぶ脱がせて…」

 オレはもう意識を奪われてしまっていた。夢のなかの誰のものよりもリアルに…そ

れは存在してる。もうこれは絶対夢なんかじゃない。

 あせる手つきでソックスをはぎ取り、オレは辻ヶ谷のショーツに両手をかけた。あ

せってせっかくの薄物を破いたりしないよう、息を殺してずり下げる。

 中心からつうっと雫を滴らせながら脱がせたショーツは驚くほど小さくしぼんでし

まった。パンティーってこんなに小さくなるんだねぇ。どうでもいいけど…こんなに

食い込みそうな下着なのに、女の子って気になったりしないのだろうか?

 ショーツから視線を戻すと…辻ヶ谷はとうとう生まれたまんまの姿になっていた。

さすがに恥ずかしいのか、そっと膝を閉じて前を隠している。それでも微笑んでいら

れるのはホント、すごい根性してると思う。レオタードで慣れたりもしてるのかな?

「辻ヶ谷、見てもいいかい?」

「待って、大場くんも…ハダカになって。あたし、平気な顔してるように見えるで

しょ…?でもね、あたしホントはすごい恥ずかしい。声だって少しうわずって

る…。」

 閉ざされた膝に手をかけたとき、辻ヶ谷はそう言って首を横にふった。その言葉は

本当らしく、膝は微かに震えてる。

 オレはベッドから下り、辻ヶ谷に背中を向けてハダカになった。いきなりさらけ出

すのはどうにも照れくさい。やはり想像の世界と現実の世界は違う。本気で舞い上

がっちまうモンだ。夢の中じゃあとんでもない変態ぶりだったのに、今ではハダカを

見せることすら恥ずかしい。そっと躊躇うように向き直る…。

「こ、これでいいか?」

「うっわぁ…触ってたのよりおっきい感じ…!」

 なんか照れくさくって素直に喜べんなぁ…。はにかみ笑いを浮かべながらベッドに

戻り、あらためて辻ヶ谷の膝に触れる。辻ヶ谷は自分から両足を開いた。スラリと細

い両足は再びM字開脚に開かれ、辻ヶ谷、恥ずかしいのを精一杯堪えながら…両手で

アソコ、きゅっと開いて奥まで見せてくれた。

「うわぁ…」

「どう…?これがあたしの…よ?」

 オレに差し出された辻ヶ谷のアソコ…初めて目の当たりにする女の子のアソコは…

正直素敵なものではなかった。百年の恋もさめるようなって言うと失礼すぎるかもし

んないけど、なんか食欲なくしそう…。

 健気に開かれたアソコには…つん、と強張ってるクリが端っこにあり、ぬめる内側

には大小ふたつの穴が照明に照らされてテラテラしていた。はかなげなサーモンピン

クの肉に守られてるここ、オレをオナペットにしてオナニーしたところなんだよね。

「舐めさせて…」

「うん…っ!はあっ、ゴメン…恥ずかしくって見てられない…」

 辻ヶ谷、見られてるって意識してるからか声はとても頼りなくなってる。奥の奥ま

で開いて見せてるのって…死にたいくらい恥ずかしいんじゃないのか、ホントは?

 頭がクラクラして、ホントに鼻血でそう…。ぼうっとしたまま顔を近づけ、いやら

しい匂いがプンプンする辺りで目を閉じ…ちゅうっとクリを吸った。唇を噛み締めて

耐えてんのか、辻ヶ谷はンンッと短くうめく。

(もっと…もっと声を聞かせてよ、辻ヶ谷…)

 辻ヶ谷のエッチな鳴き声を聞いてみたい。オレは辻ヶ谷の前に腰を下ろし、夢の中

のみつき姉ちゃんにしたみたいに腰をぎゅっと引き上げた。足を投げ出して座ったオ

レの前で、辻ヶ谷は逆さまになって尻をさらしている格好になる。

「こ、こんな格好やだぁっ!大場くん、ちょっと、だめえっ!」

「辻ヶ谷は体が柔らかいから窮屈じゃないよね?」

「じゃないけど、こんな格好恥ずかしいっ!死んじゃう!」

 辻ヶ谷の恥ずかしがる声がオレを狂わせる。オレは両手で辻ヶ谷のアソコを開き直

すと、舌を目一杯のばして何度も何度も割れ目の奥を舐めあげた。

「ああっ!あああっっ!大場くん、おおばくんっ!!」

 辻ヶ谷すごい感じてるみたい。腕をバタバタさせて鳴いてる。夢中でオレは柔っこ

い肉をヘアーごと両側から強くつまみ、アソコの中にとがらせた舌を挿入した。

「あ、ああ、ひいいっっ!!」

びゅっ、ぷっ!

 鋭い悲鳴とともに腰をガクガクさせると、辻ヶ谷はオレの舌を押し出す勢いで…大

量にしおを噴いた。勢いよく飛び出たラブジュースはべと、ぺとっと辻ヶ谷自身の火

照った顔にかかる。軽くイッちまったのか、辻ヶ谷は口をパクパクさせてどっかを見

ていた。

 辻ヶ谷を楽な姿勢に戻してやると、体を重ねてそっとキスした。辻ヶ谷は意識を

失ってはいなかったようで、そっとオレに抱きついてキスに応じてくる。

「辻ヶ谷、いまイキそうだったろ?」

「うん…。ね、大場くん…そろそろしよ、ホントにイカせて…」

「ああ、約束するよ。」

 そう言ってもう一度唇を重ねる。約束するって言ったものの…なんせ初めてだし、

入れた途端にイッちまうかもしんない。なんか不安になってきた…。

 辻ヶ谷はまたM字開脚の体勢になり、アソコが真上を向くようにして両手で開い

た。こうしてもらえると、どこにアソコがあるのかわかるからありがたい。うう、親

切!

 さて…今度こそ間違いなく童貞卒業だ。まさか辻ヶ谷とこうなるとは…夢には思っ

たか、いやぁ、でも信じられない。お互い恋愛には縁がなさそうだっただけに、妙に

感慨深いものがあるなぁ…

って浸ってる場合じゃないよな。オレは膝立ちになり、今宵二度目の噴出を期待して

そそりたつモノを握りしめ、ぷちゅ…と入り口にあてがった。すごく熱くてそれだけ

で溶けちゃいそう!あとはもう腰を沈めるだけ…

「あ、待って大場くん…」

「え、あ、な、なに?」

 辻ヶ谷、なんだかすまなそうな顔でこっちを見てる。結合部だけを見つめていたオ

レに気を悪くしたのかな…あ、なんかイヤな予感…!

「あの、ね…?自分で誘っておいて悪いんだけど…コンドームって持ってる?」

「こ、コンドーム…かぁ。あ、そういえばあったなぁ。」

「わあ、よかった!ね、ホント悪いんだけど…使ってくんないかな?やっぱ怖い

し。」

「そ、そうだね!こっちこそごめん!夢中になってて!」

 そうだった。夢の中と違ってここは現実、ヘタをすればそれこそ妊娠だ。イク直前

に抜いて外出しするって方法もあるけどリスクが大きいし…それにこのヌルヌルとぬ

める『はやり水』でも妊娠することってあるらしい。

 辻ヶ谷の願いはもっともなものだ。オレは慌てて机の引き出しの奥にしまっておい

たコンドームのパッケージを取り出した。

 なんで彼女もいないのに持ってんだって?これには色々と理由があるんだ。

 今年の春頃なんだけど、友達とその手の話をしてて、いざというとき戸惑わないよ

うに付ける練習はしといた方がいいって言われて四枚入りをひとつ買ったんだ。それ

が第一の理由。もう一つの理由は…やっぱりこんな状況になったときのエチケットて

ヤツだ。易々と中出しが許されるのはエロマンガかエロ小説か、さもなくば嫁サンと

だけだ。

 実際練習に使ってみたので(あん時はアホらしかったなぁ…)一枚減っているが、

三枚も使うなんてことはないだろう。いや、あればそりゃあ嬉しいけど?

 ベッドに戻り、薄っぺらな袋を破ってベトベト濡れてるソレを取り出す。裏表を確

かめ、少しでも空気が入らないようにつまんでぴとっと先端にあてがい、シュルシュ

ルと引き下げて装着する。意外と簡単なモンだ。

「これで大丈夫だよね?」

「ありがとう!さ、はやくはやく!もう待ちきれないっ!」

 よかった、辻ヶ谷は冷めることなくオレを待っててくれた。ニッと微笑を交わす

と、あらためて先端をぷちゅ…と埋める。そこでオレ達の笑顔には緊張の色が混じっ

た。

(これで…本当に男になれるんだ…!)

ぬぶぷぷっ…。

 辻ヶ谷の顔を上から覗き込むような体勢で腰を沈めると、オレのモノは微かな抵抗

感を覚えながらも辻ヶ谷の奥に埋まってしまった。真上からまっすぐ突き下ろすよう

な具合でアソコに深く食い込んでる。

 やった…。とうとうセックスしちまったんだ…。ほんっとうに気持ちいいっ!辻ヶ

谷のアソコ、みっちりとオレを包み込んできて…しかもとても熱い。ジクジク痺れて

感じているのがオレにも伝わってくる。

「つ、辻ヶ谷…バカになりそうなくらい気持ちいい…っ!」

「お、おおげさだなぁ…じゃあ動いたりしたら死んじゃうよ?」

「辻ヶ谷とならこのまま死んでもいいかもね…?」

 引力のヘルプもあってか、そう言葉を交わしてるあいだにオレのは根本まで辻ヶ谷

に潜り込んでいた。奥の方はすごく狭い。きっとここで行き止まりなんだ。

 深々とつながったままでキスし、オレはゆっくりと腰を引き上げていった。辻ヶ谷

の内側がごつごつひっかかるぅ〜!あぁ、マジでノーミソ溶けそうっ!

「辻ヶ谷は…もうしたことあるんだ?」

「うん…ごめんね、あたし、初めてじゃなくって…。ほんとにごめんね、あたしの

ヴァージン、大場くんにあげられなくって…」

「そんなつもりで言ったんじゃないんだ、気にしないでよ…」

「うん…でもほんとにごめん…。」

 あまり痛がらない辻ヶ谷を責めたわけじゃないんだけど、辻ヶ谷はそう言って辛そ

うに横を向いた。オレはそっと辻ヶ谷のおっぱいを両手にし、ずぷっ、ちゅぷっと本

格的なピストン運動を始めた。往復するたびに辻ヶ谷の内側はビクンビクン動き、

ぎゅぎゅっと小刻みに締め付けてくる。貴重な精を逃すまいとする女性の本能だろ

う。

「気持ちいい…気持ちいいよ、辻ヶ谷…!」

「みさきって…みさきって呼んで…大場くん…!」

「だったら…辻ヶ谷も愁一郎って呼んでくれよ…」

「しゅういちろう、クン…!」

「みさき…みさきっ!」

 むっちゃかわいいっ!そんな鳴き声で名前を呼ばれると…オレ、もっともっと調子

に乗っちゃう!腰のグラインドはデタラメなストロークで…目一杯引き抜いてはどす

ん、と子宮の入り口にぶつけるほどに押し込む。コンドームが破けるんじゃないかと

心配なくらいだ。さっきからぺたん、ぺたんとなってるオレの袋もベトベトになるほ

ど辻ヶ谷の…みさきのここ、ラブジュースを噴出させてる。鳴き声はもう悲鳴に近

かった。

「しゅ、しゅういちろぉクンッ!ひき、ひきいいっ!あふ、あぁ、メチャクチャ…メ

チャクチャ…なって…!」

「みさき…みさきっ…くっ…みさきぃっ!」

 無我夢中のピストン運動はとうとう乱れをきたし、腰を思いきり引いた弾みで思わ

ずモノも抜け出てしまった。ずぽふっとか音を立てて抜け出た後、みさきは白っぽい

ラブシュースをくぴゅん、と五センチほど噴き上げた。

 挿入を中断されたみさきはくったりと体を自然な体勢に戻し、深呼吸を何度も繰り

返している。顔はもちろん真っ赤だが、体全体までほんのり桜色。温泉上がりみたい

だ。

「みさき、ごめん…ちょっと乱暴がすぎたね…」

「ううん、すごくよかったよ…」

 乱れた呼吸もお構いなしに唇を重ねる。ちょっと不安になってこっそり確かめたけ

ど、コンドームは破れてなんかいないようだ。こんなにパンパンになってるっての

に、裂け目ひとつできないなんてやっぱすごいね。

「ははは、コンドーム破れてるかと思ったくらい、我ながらエキサイトしちゃった

なぁ。」

「…しゅういちろうクン、せっかくのコンドームなんだけど…つけないでしてみない

?」

「え、ええっ!?な、何を言ってんだよ?」

「生はくらべものにならないっていうよ?」

 なま…。危険なくらいに魅力的な、誘惑的な言葉っ!でもやっぱり…ヘタをすると

一生ものの代償を背負わなきゃならんのだし…いや、まぁみさきとなら一緒になって

もいいかな…なんて、どこまで話が飛躍してんだよっ!

「た、確かにしてみたいけど…でも…」

「危ないなって思ったらすぐに抜いて、それで…あたしの胸でも顔でも好きなところ

にかけてくれればいいわ!あ、あの…口の中でもいいよ…飲んだことないんだケ

ド…」

 おいおい…さっきのでみさき、壊れちまったんじゃないのか?辻ヶ谷みさきって女

の子はここまで淫らじゃないハズだろぉっ!?オレがこんなにしちまったのか?

 でも…ここまで言われてやめたとしたら、オレ、後悔するような気がする。あまり

に不純とはいえ、これってまたとないチャンスだよな…?

 打算を繰り返し、オレはみさきの目をまっすぐみつめてもう一度だけ確認した。

「本当にいいんだね?オレ、コンドームはずすよ?」

「うん、直接感じてみて!ほら、ここからなら腰、動かしやすいでしょ?」

 みさきはそう言うと、あおむけのまま腰をベッドの端に向けた。オレが床で膝立ち

になると、腰の動きやすい正常位でつながることになるのだ。水平の挿入になるわけ

だからもちろん根本まで入ってしまう。

 オレは使いかけのコンドームをひきむしるようにしてはずすと、カーペットがしい

てある床の上で膝立ちになった。曲げられた膝のあいだからみさきの火照った顔が見

える。

「じゃあ入れるぞ…?」

「うん、くれぐれも気をつけてね。わがまま言うケド、中は絶対ダメだかんね?」

「わかってる…わがままなんかじゃないよ。」

 むき出しになったモノを握りしめて照準を合わす。くにゅ、と先っぽを入れただけ

でみさきのアソコは手招きするようにきゅっきゅっと反応した。みさきの両膝を抱え

るようにして、ぐっと腰を突き入れる。なまって…どこまですごいんだろう!?

ぬぷぷっ…

 うあ…!?さ、さっきとぜんぜん違うっ!あんな薄いゴムの膜一枚隔ててないだけ

なのに、ここまで違うものなのかよ!?内側のゴツゴツもジクジクも…まるでみさき

とシンクロしたみたいに伝わってくる!

「み、みさきっ!ホントだ、なまのほうがはるかに気持ちいいっ!」

「で、でしょ…?もっと、もっと好きなだけあたしを感じてみてっ…!」

 オレはもう何も考えられなかった。ただただ絶大な快感に浸っていた。腰の動きは

もう本能によるもので、意識なんてこれっぽっちもしてない。

 ずぷ、ずっぷとぬかるむ音を立てて前後する隙間から、みさきはなおもラブジュー

スを溢れさせていた。苦しそうな顔をして、可哀想なくらいの鳴き声をあげてる。

きっと他の部屋にも聞こえてるに違いない。

「あひいっ、あ、し、死んじゃう、死んじゃうぅっ!しゅういちろうクン、あた、あ

たしっ、い、いく…い、イキそ…っ、い、イクッ!」

「あぁ…みさきぃ…!すごい気持ちいい…あ、やば…きゅ、急に…っ!」

 みさきのごつごつした感触を直接味わっていられたのはほんの数分にすぎなかっ

た。コンドームをつけててもあれだけ気持ちよかったのに、生身ではもう一瞬でピー

クに達してしまう。生で女の子をイカせることができるヤツはよっぽどのテクニシャ

ンか不感症かのどっちかだろう。

 根本の方がジクンとうずき、気を緩めたら暴発しそうなくらいにまで急激にのぼり

つめたオレは、みさきとの約束通り途中で動きをやめ、根本を強く押さえて抜け出よ

うとした。うぅ、腰を引いてくだけでもヤバイ…!

「待って…」

「みさき?」

 ふいにみさきはオレを制した。おっぱいふよふよさせて、息があがってるのがわか

る。

「このまま続けて…」

「な、なに言ってんだよ、ダメだよ!妊娠しちゃったらどうするんだよ!?」

 みさきの制止の声にオレは口調を強めていた。みさきはきっと快感に飲み込まれて

しまい、意識が乱れるほどに混乱しているのだろう。オレだって言われるまましてし

まうほど悪人ではないつもりだ。

「気にしないで、ぜったい…絶対しゅういちろうクンには迷惑かけないからっ!だか

らお願い、最後までイカせて…あかちゃんできても責任とれなんて絶対言わないか

ら…!」

 みさきの両足がオレの腰をからめとる。せつなげな目でオレを見ると、みさきは

そっと両手を差し伸べてきた。その手をオレはエッチつなぎに(右手と左手で、指を

組んでつなぐつなぎかたのコトだ)つないで…オレは…オレ…

「迷惑だなんて…みさき、オレ…」

「このままやめないで…。約束する、あたし、絶対迷惑なんてかけないから…!ね、

最後までして、お願い!あたしで、イッてほしいの…」

「みさき…っ!わかったよ、任せて!なんかあっても、オレ、みさきのこと…絶対…

!!」

 ある一つの決心。そしてあるがままの衝動。何気ない友達だったみさきに…みさき

のなかにオレはなにかを見つけ出していた。だから続きを始めたんだ。

 最低だと思う。一方的な思い込みかも知れない。本当なら怒鳴ってでも中断すべき

なのかも知れない。

 でも…今の瞬間だけはみさきへの愛しさがすべての損得を凌駕したんだ。

『一生大事にしたい』

 恥ずかしくて言葉にできないような気持ちでいっぱいになったんだ。

 みさきの手をしっかり握り、打ち付けるように何度も何度も腰を突き出してみさき

の狭い内側をひっかきまわす。猛烈なピストン運動だ。ちゅぱっぺちっぷぱっと腰と

尻がぶつかる間抜けな音が部屋いっぱいに響いてる。

「あ、ああっ…くぅ、み、みさき…!最高…!!」

「しゅういちろぉクン…!つっかえ、つ、つっかえて…あ、ひっ、ああっ!!」

 みさきの鳴き声も頂点に達してる。オレだって…気を抜くとすぐにでも破裂しそう

なヤツを目一杯みさきに埋め込んだまま、小刻みに動くのが精一杯だ。執拗に奥の奥

だけを責め苛む。怖いくらいにパンパンになってる先端からは、もうどれだけ幸せの

逸り水が漏れ出たんだろう。みさきの体内で二人分のラブジュースが熱く攪拌されて

るのかと思うと、感動であごが震えちまうっ!

「みさきっ!!みさきっ!!あ、ああ…っ!」

「しゅ、しゅういちろうクンッ!あ、あたし、しあわせ…っ!このまま、このま

ま…っ!!い、イクッ…い、イッッ…」

 ふいに鳴き声はかき消え、みさきはオレと手をつないだままグッタリしてしまっ

た。怖いくらいに背中をそらせてゆくと、それに呼応してアソコは最強最後の締め付

けを開始した。みさきはつながったままイッたのだ。少しも引き抜けないほどに、奥

の奥までオレを吸い込んでゆく…!

「みさきっ…!!」

どぷっ!びびゅうっ!びゅくっ、びゅ、びゅ…

『おはよ、大場くん!』

『あー、大場くんドコ見てんのよぉっ!』

『わあ、ありがと!大場くんっ!』

 名を叫び、子宮の入り口付近で大量に白濁を噴出させる。ガマンにガマンを重ねた

だけあって、自分でも驚くほどの量がみさきに流れ込んでゆく。飛沫いた一瞬の間に

いくつものみさきの顔が、みさきとの光景が現れては過ぎていった。

 あの明るくって、ちょっぴり男の子みたいで、誰からも好かれてたあの辻ヶ谷とこ

うなってしまうなんて…。意識もしてなく、イイ感ジの娘だな、なんて思ってただけ

の辻ヶ谷に…辻ヶ谷みさきの中に情欲と好意の結晶をぶちまけたなんて…。

(イッた…みさきの中で…うわ、溶けてくみたい…)

 うなだれて余韻にひたる。まだ脈動が治まっていない。オレのはみさきの中がよほ

ど気に入ったのか、ぴったりフィットしてくる内側でいつまでも硬直を留めていた。

 しばらくそうやって納まったままのオレだったが、頭を振って意識を戻し、みさき

の腰を突き放すようにしてどうにかこうにか抜け出た。ぽぶっ…と密封状態が解かれ

た途端、みさきのアソコからはオレ達の混ざり合った体液がトロ、と漏れ出てきた。

 オレのはオレので…あれだけ激しく放ったハズなのにまだガッチガチで、びくん、

と跳ね上がると、先端からなおも白濁をにじませた。怖いくらいの高ぶりようだ。

「みさき…」

 オレは体を重ね、みさきにキスした。唇を離してもみさきはしばらく意識を戻さな

かったが、火照った顔を眺めているうち、オレに気付いて微笑を送ってくれた。イッ

た衝撃がまだ体じゅうに残っているのか瞳はウルウルしたままだ。

「しゅういちろ…くん…わたし、イッちゃった…。」

「オレもみさきの中でイッたよ。みさきの中…最高に気持ちよかった。イクときの声

と顔…最高にかわいかった。」

「嬉し…ちゅ…んん…しゅ、いちろ…くん…だい…き…」

 キスしながら賛辞を交わすオレ達。そのうちどちらからともなく脱力して…キスし

たまままどろみ始めた。心地よい疲労と、満たされた感動で…あっという間に意識が

薄らいでゆく…。

 

「…はっ…」

 なんか頬が冷たい…。なんかパンツの中も…え、えっ!?ま、まさかまさか!?

 カーペット敷きの床の上でうつぶせに眠り込んでいたオレは、焦り、苛立ち、困

惑…それらをないまぜにして飛び起きた。つけっぱなしの照明とテレビという現実を

認識し、ヘナヘナと座り込んでしまう。目覚ましを見ると時刻は午前三時すぎ。

 そうだ、オレは今日の分の勉強を終え、こっそり缶ビールを飲みながらくだらない

深夜番組をなんともなしに見てたんだった。それでそのまま眠っちまい…。

「夢オチ…どうなってんだよ…どれが夢で、どれが現実なんだよぉ…」

 はあ…。ワケがわからんうえに、悲しい。涙まで出てきた。なんで四回も重ねてス

ケベな夢を見なきゃならんのだ。しかもさっきの辻ヶ谷とのアレは、夢とは思えない

くらいにリアルだったぞ!?それなのに、それなのにっっ!!

 キスしてたつもりなのか、カーペットはよだれでびちょびちょだ。おまけになんだ

よ…何回夢精すればいいんだよっ!見ればパジャマのズボンまでじっとり変色して

る。よっぽど盛大に放ったらしい。夢の中でも数えてたけど、やっぱりオレ、一ヶ月

ほどオナニーしてない。はぅ…こんな夢見るくらいならこまめにしとくんだった…。

 そっとズボンとトランクスを脱ぐ。うわ…前は徹底的にベトベトだ。たっぷり二回

分は出てないか?まさか…二回立て続けに夢精してた?いきりたったままのモノはも

ちろん、ヘアーから下っ腹から…出して間もないのか、まだなまっちろくヌルヌルし

てる。

 オレは側に置いてあった飲みかけの缶ビールを一息にあおった。ぬるくなってるけ

どそんなの関係ないっ!そのまま缶を握りつぶし、闇雲に投げつける。

 ゴカン、と壁が不満の声をあげた。それでオレはようやく落ち着きを取り戻せた。

これもまた夢じゃないだろうな…夢ならもう醒めてほしい。

 オレは空しくティッシュを総動員して除去作業にかかった。起きあがった拍子に太

ももの辺りにまで伝いだす。よくこんなに出せるもんだ。感心しちまう。

 すっかり生臭くなったティッシュの山をゴミ箱に詰め込み、一息ついてからオレは

意識を確認してみた。今度こそ現実だと信じたい…。

 オレの名前…オレの名前は…大場、愁一郎。高校三年生で、今年受験。サッカー部

に所属しててMFをやってた。そうだよな、これはもう間違えようもない。

 で、家族構成なんだけど…オレ、親父、おふくろ、七つ上の姉ちゃん…そうだよ

な、やっぱりオレにはみつきって名前の姉ちゃんがいる。ノンビリ屋の姉ちゃんだけ

ど、来週には結婚を控えていたりする。

「待てよ…?」

 オレは頭に浮かんだ想像と期待で、ドアを見つめた。辻ヶ谷の夢を二回続けて見る

ことができたんだ、オレに姉ちゃんがいるって設定も、もしかしたらまた夢なのかも

知れない。今度こそ現実だと信じたかったけど、それ以上に危ない誘惑がオレに押し

寄せてきた。

(このままオレが照明をつけたまんまで、ドアをロックしないでオナニーを始めた

ら…注意しようとして姉ちゃんが現れるんじゃないか…?)

「…するだけしてみるか…」

 照明だけじゃなく、どうせなら音楽もならしてたほうがいいかも。オレはテレビを

消し、代わりにコンポのスイッチをONにした。適当にMDをスタートさせる。

 流れるように始まるギターのイントロを聞き流しながら下半身ハダカになると、オ

レはあらためてモノを握りしめた。そっと目を閉じ、夢に見た辻ヶ谷との一部始終を

回想する。

「はあっ、みさき…みさきっ…」

 柔らかな胸を…煮えてるように熱い辻ヶ谷の内側を思い出しただけで、モノはたち

まちぬめりを取り戻してしまう。正常位でつながっている辻ヶ谷をイメージし、夢中

で右手を動かした。もうオナニーしていれば姉ちゃんが現れるって信じ切ったんだ。

(ちょっと早いけど、そろそろ姉ちゃん来るかな…イキそう…あ、あっ、イクッ!)

びゅぷっ!びゅるるっ!びゅっ!びゅ…

 慌てて構えたティッシュの上に、オレは今宵何度目かの絶頂を果たした。しかし…

ロックしてないドアは最後まで開かなかった。

「…あれ…?」

 うわずった声で疑問を口にする。おかしいな、姉ちゃん、トイレに行こうとして寄

るハズじゃないのか?夢の通りならイク直前にドアを開けるはずなのに…。

「もう一回してみようか…。一ヶ月ぶりだし、大丈夫だよね…。」

 次こそはドアを開けてくれるはずだ。そう確信してオレは萎えようとしないモノを

再び握りなおした。今度は小ナマイキな妹のなつきを思い出す。締め付けではアソコ

に勝る尻の具合をイメージして…。

 

 それでも姉ちゃんは現れず、オレは最後まで駆け抜けてもう一枚ティッシュを消費

した。おかしい、こんなはずじゃないのにっ!もう一回だけ、もう一回だけしてみよ

う!次こそは姉ちゃんが現れるはずだ…!

 

 そのもう一回が何回になったんだろう。辻ヶ谷、なつき、姉ちゃんをローテーショ

ンでオナペットにしてたんだけど、もう何回オナニーしたのかぜんぜん覚えていな

い。

 カーテンの隙間から明かりが漏れ出す頃にはすでにMDも停止しており、オレは…

「なつ…きっ…!」

びくっ。

(イッた…けど…)

 そうなのだ。イクにはイクのだが快感は一瞬だけになってる。モノ全体が一瞬鈍く

痺れ、根本がズキンズキンと痛むように弱々しく脈打つだけだ。絶頂を迎えた後の快

感よりも、その後に訪れる頭痛がひどくてならない。

 それに脈打っても何も出てこない。ぎゅっぎゅっと根本から押し出すようにすると

どうにか薄ぅい液体が滲むのだが、勢いよく噴出するなんてことはもうなかった。

「姉ちゃん来ないじゃんか…なんでだよぅ…」

 無性に悔しい。下半身ハダカのまま、ガックリうずくまって泣き出す。オレは完全

におかしくなってた。姉ちゃんが現れないことが悔しくてならない。

「愁一郎?」

 ドアの向こうからオレを呼ぶ声が聞こえた。それは聞き間違えようもない姉ちゃん

の声だ。嬉々とした表情で顔を上げたけど、姉ちゃんは室内に入ってこようとせず、

廊下で立ってるだけだ。

「姉ちゃん!?」

「あ、起きてたのね。おはよう!早く準備しないと学校遅れるわよ?」

…それだけ?あ、行っちゃった…。でもなんだって、学校…?学校って姉ちゃん、な

に言ってんだ?今日は日曜日じゃなかったっけ?カレンダーは…月曜日っ!?

 うそ、本当に月曜日かよ!?慌ててテレビをつける。するといつのまにか放送は再

開されていて、ニュース番組のおっさんが、月曜日、朝のニュースです。なんて言っ

てる…!

「そ、そんな〜っ!?」

 これが現実!?とうとう目が覚めた!?待てよ、オレ、身も心もクタクタだぞ…!

(…どうしよう。)

 途方にくれた顔でベッドに転がる。睡眠時間は二時間もあったろうか。それよりも

オレ、何回オナニーしたんだよ…?もう起きるのもイヤだ。なにもする気がおきな

い。姉ちゃんと顔あわせるのもイヤだし、学校にいけば辻ヶ谷だっている。

(学校…!?)

 おいおい思い出したぞ!?なつき!なつきってのは…なつきってのは中三の妹なん

かじゃなくって…確かサッカー部の一年生マネージャーだ!小ナマイキだけど憎めな

い、妹みたいな女の子(そういえば部室で数学教えたコトあったっけ?)だよ…!

な、なんてこった…オレ、あいつにまでそんな気あったの!?

「勘弁してくれよぉ…」

 ごろん、と寝返ったとき、オレの左手がMDのリモコンにあたった。ちょうどボタ

ンにヒットしたらしく、MDは静かに演奏を始める。

 ギターのイントロ…。そういえば夜中にもこの歌鳴らしたっけ。たしか…『嘆くな

り我が夜のファンタジー』って歌だ。はぁ…なんか今のオレにふさわしいようなタイ

トル…。

「愁一郎!いいかげんに起きない…と…」

「姉ちゃん…っ!?」

 呆けていると予想もしないタイミングでドアが開き、通勤スタイルの姉ちゃんが顔

を見せてそのまま凍り付いた。その目はまっすぐにオレを…オレのモノを凝視してい

る。

 ヤバいっ!オレ、下半身むき出しのままウトウトしちゃってた!慌てて飛び起きた

ものの、姉ちゃんを取り押さえるにはもう遅すぎた。

「ひ、ひきい…!!」

 普段からおっとりしてる姉ちゃんだけど今度ばかりはロコツにうろたえ、ひきつっ

た悲鳴とともに部屋を飛び出ていった。リビングの方からすごい泣き声が聞こえてく

る。

「もお最低だっ…こんな現実ならいらないよっ…!」

 ベッドに寝転がり、枕に顔を埋めてオレも泣いた。そんなオレをよそにその歌

は…『嘆くなり我が夜のファンタジー』は、イントロ同様のギターリフであっけなく

終わった。

 オレが夕べ見たいくつかの夢のように、空しいほどあっけなく…。

 

おわり。

 


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