サクラ大戦

■日独伊・三国同盟■

-4-

作・大場愁一郎さま


 

 織姫は淡褐色の柔肌を濡らした精液の匂いに顔をしかめつつ、指先でひとすくいしてまじまじと観察した。これほどまでに生臭くて白濁としている雫から赤子が成長してゆくのかと思うと、不快な反面不思議でならない。

…膣内にこれを放たれると、自分も大神の子を身ごもってしまうのだろうか。

 そう考えただけで、織姫は思わず大神と結ばれ、家庭まで設けた情景を想起してしまった。ぼっ…と音まで立つような勢いで頬が熱くなってくる。

 レニはレニで、男の絶頂はもちろん精液の匂いや味にも慣れているらしく…絶頂まで誘った証を丹念に舐め取りながら、うっとりとして嚥下した。

 精液は本来飲むべきものではないのだが、母国で強制されていたこの屈辱的な奉仕も大神になら進んで施すことができる。前髪にへばりついていたぶんも指先で拭い取り、その色や匂いを子細に確かめながら指しゃぶりして味わった。

 愛しい大神が自分の愛撫で達してくれた…。そう思うと、精液の耐え難い渋味も甘露のごときまろやかさとなる。触れるだけでも抵抗感を覚えているような織姫を見て、レニは彼女を抱き寄せるようにしながら頬に口づけて精液を舐め取った。

「レニ…あなた、この匂いとか大丈夫なの…?」

「隊長のだもの…ボクの舌に、肌に染み込むと嬉しいから…。」

 怪訝半分戸惑い半分で織姫が問いかけるものの、レニは少しもたじろぐことなく大神の精液をきれいに舐め取ってゆく。織姫の頬から唇、鼻筋から額にかけて一生懸命小さな舌を駆使して舐め取り、そして飲み干した。そんなレニの揺るぎ無い自信に、織姫のプライドはどうしようもなく煽られる。

「わっ…わたしだって平気っ…少尉サンの命ですもの、無駄になんて…!」

「…おっ、織姫くん…!」

はぁぷっ…ちゅぢゅっ、ちゅぢゅうっ…ちゅぱ、ちゅぱっ…

 片手でレニを押し退けると、織姫は脱力しかけていた大神の男根を手に取り…きつく目を閉じながらむしゃぶりついた。口づけすることもなく、歯を立てんばかりに食らい付いて強く吸い付く。射精の余韻に包まれたままの大神は鈍く痺れるような心地に頭を上げ、軽い驚きの声をあげた。まだ幾分上擦り気味であることからも、彼がどれほど強烈な絶頂感に到達していたかが窺えるだろう。

ちゅぬりゅる…ごくんっ…ちゅうっ、ちゅっ、ぢゅっ…ごくんっ…

 織姫はレニに舐め取られたぶんも取り返そうと、やっきになって大神の男根を吸った。噴出しきれなかった精液が尿道の奥から吸い出されてくると、安堵して飲み干す。さらにさらに精液を吸い出さんと、織姫は右手で睾丸を揉み…心持ち頭を上下させながら男根をしゃぶった。唇をすぼめ、舌の腹で亀頭をしごきながら二度目の射精を期待する。

ぬっちょ、ぬっちょ、ぶっちょ…ちょぶ、ちゅぶっ、ちょぶっ…

 レニに抜け駆けて口内射精を望む密やかな感情は、自然織姫の動きを大きく、激しくしてゆき…その動きは次第に愛撫と呼ぶべきものへと昇華していった。長い髪を振り乱すくらい頭を振り、小首を傾げるように角度を付けては男根をしごき立てる。

 そうされながら反応を示すことができない男は強壮を意識した方が良いだろう。心身ともに健康そのものである大神は織姫にそうされ、再び発情の血潮を性器に集中させていた。織姫の情熱に満ちた濃厚な愛撫に、大神の身体は応えてしまったのだ。

むくっ…むくっ、むくっ、むくっっ…

「おっ、織姫、くんっ…!」

 あれだけ盛大に精を噴出させたにもかかわらず、大神は少女の口内で再び男根を勃起させてしまった。織姫の舌を圧迫し、喉を突き上げん勢いで情欲を漲らせる。さすがに後ろめたさを禁じ得ず、その呼びかける声もどこか控えめだ。

 控えめであるのは、もはや織姫の愛撫の前に言葉を失いつつあるためでもあったろう。射精の余韻が完全に過ぎ去ってしまうより早く、再び本能を遂げるための寵愛に包み込まれてしまっては誰しも声を詰まらせずにはいられない。この現象はまさに男が窮地に追いつめられている証であった。

チョブッ、チョヴッ…ブチュヂュ、ヌデュ…ごくんっ…ヂュッ、ヌヂュッ…

「んっ…んんっ…!ふ、ふぷ…んっ、んっ、んんっっ…!!」

「ああっ…待って、待って!織姫くんっ…!!くっ…すごいっ…!!」

 苦しげにうめきながらも、織姫は一心不乱に男根をしゃぶり上げて大神を絶体絶命の瀬戸際にまで追い立ててゆく。左手で睾丸を揉みつつ、積極的に頭を振って太い男根をしごき立てる動きは愛撫を通り越し、射精を急かすだけの責め苦とも呼べただろう。

 レニに後れをとってしまったぶん、自分も精を味わってみたい…。

 その思いは織姫を淫乱の雌犬へと変貌させていた。情けないくらいに発情し、異性器にむしゃぶりつく様は名家『赤い貴族』の血族とはとうてい思えない。薄汚い売女と称されても反論できないくらい、今の織姫は大神からの精を欲していた。目的と手段が綯い交ぜになり、愛撫はただの淫行に変質していた。

「ソレッタ!もうやめろっ!!ずるいぞっ!!」

「あんっ!やっ、やあっ…!!」

 少女の口と青年の性器が奏でる猥褻の和音に嫉妬の虫が騒ぎ、レニは織姫を突き飛ばすようにして大神の上から退かせた。その弾みで大神の男根は織姫の口から解放されてしまうが、よほど彼女の愛撫が刺激的なものであったのだろう、すっかり戦意を取り戻した男根は織姫の唇に未練を残すよう逸り水の糸を引かせたくらいだ。ともすればこのまま射精を迎えてしまいそうであったらしく、大神は思わず安堵の吐息を漏らしてしまう。

 そんな大神を余所に、レニはなおも嫉妬の虫が治まらないのか、仰向けに転がった織姫にのしかかると頭を抱え込みながら深く唇を重ねた。意外なまでの力で唇を奪われ、織姫は瞳を白黒させながら気を動転させてうめく。

「んーっ!!んんんーっ!!」

「ちゅぱっ…はあ、はあ…ずるいぞ、口の中、こんなヌルヌルになるまで隊長を独り占めしてたなんて…!どうせ隊長の精子、自分も味わってみたい、とか思ったんだろ!?」

「そっ、そんなことっ…!!」

「負けず嫌いの織姫のことだ、すぐにわかるよっ!!」

「んっ!んんーっ…!!」

ちゅうっ…

 冷静に分析して見せたレニに図星を突かれて織姫は声を震わせたが、その唇は言い逃れも許されることなくすぐさま塞がれてしまう。少女の瑞々しい唇をたわませながら、レニも織姫も深くて濃厚な口づけを堪能しあった。

かぷ、む、ちゅっ…はぐ、はぐ…ちゅぢゅ、ちゅちゅちゅっ…

 噛みつき合うような深さで唇を重ね、欲張るように吸い付き、すすり…

ちゅぱっ…はあ、はあっ…ちゅむっ、ちゅみ、ちゅみっ…ちゅっ…

 かと思うと唇の柔らかみをついばむようにしながらじゃれあい…

ぬみゅっ…ねゅっ、ねゅっ…ぐりゅ、ぬりゅっ…のぶっ、ぶちゅっ…

 大神の逸り水によるぬめりにまかせ、舌を絡ませて摺り合わせ、また吸い付き…

 やがて織姫もレニも、同性どうしの口づけでありながらも身体中に心地よく性欲を募らせていった。せつない焦燥感は口づけの激しさをいや増し、それに付随して情欲は性感帯を過敏にしてゆく。重なり合った裸の乳房が弾力良くたわみあうだけでも、その狂おしいまでの焦れったさは可愛らしい声となって唇の隙間から漏れ出てしまう。

「あ、んっ…レニぃ…!いいの、いいのおっ…!!」

「はあっ、はあっ…ん、ソレッタぁ…抜け駆けはいけない…一緒に…一緒、にぃ…!」

 潤んだ瞳で見つめ合ううち、織姫はそのスラリとした両脚の間へレニを招き入れていた。くいっ、と両脚ごと尻を浮かせて手つかずのままの性器を露わにすると、レニも中腰ぎみになってその上をまたぐようにする。

むりゅっ…ぬちっ、ぴちゅっ…

 これで二人の陰阜はむっちりと重なり合い、突出して艶めいている女芯も性毛を押し退けて触れ合ってしまった。俗に言う貝合わせの体勢である。しとどに漏出した淫蜜も陰唇の隙間でねっとりと混ざり合い、命の根元たる悩ましい音を立てる。

「隊長…ね、隊長…」

「えっ?あ、ど、どうしたレニ…?」

 少女二人があられもなく交わり合う姿に瞳を奪われていた大神は、ふいに振り返って呼びかけてきたレニに対しても間の抜けた返事を寄こしてしまう。たちまち照れくささがこみ上げてきて、勃起しきりの男根を両手で覆い隠したりした。

「ソレッタと一緒に…あっ、愛して…。三人で、ひとつになりたいっ…。」

「そんなっ…!まっ、待って少尉サン!ちょ、レニ!いっ、いまなにかされたら、わたしっ…わたしっ…!」

 レニはどうやら素股での…というよりも少女二人の淫裂の隙間に潜り込んで愛して欲しいらしい。

 よつんばいで振り返っているレニはまだ余裕ありげだが、その下で大股を開いている織姫は動揺を露わにして声を上擦らせている。レニとの抱擁でよほど高ぶってしまったらしく、すぐにでも達してしまいそうな気配があからさまだ。

 それでも大神は躊躇わなかった。三人の絆を確かなものにするためには、これより先へ進む必要があると感じたのである。三人一緒に愛を感じ抜くには避けて通れぬ道であることは、怯える織姫とてわかっているはずだ。

 大神は二人の前で膝立ちになり、レニの白い尻に片手を突きながら下肢を開いて高さを合わせ…先端を少女二人の隙間に忍ばせた。ぬちゅっ…と熱いぬめりに亀頭を包み込ませると、そのままレニが腰を前に突き出すようにし、二人の裂け目に添って太い幹を挟み込んでしまう。その体熱といったら、もうすでに膣内に没入しているのと大差ないほどであった。

「ああっ…!入ってる…入ってるよ、オレの…。レニと…織姫くんの、熱い隙間に…」

「うん、わかるよ…。じゃあ隊長、動いて…」

「しょ、少尉サン、ダメえっ!!いまされたらわたしっ、おかしくなっちゃう!!」

「…いくよ。」

ぬっ、にゅっ…

 大神は怯えて泣きじゃくる織姫に一切の容赦を与えず、レニに促されるままゆっくりと腰を押し出した。織姫のちくちくとした性毛の感触が妙にくすぐったいが、ぴっちりと合わさってきている二人の裂け目にしごかれると、たちまち男根は漲りを強くして次をねだりはじめる。粘膜質のただ中に真っ直ぐ突き込み、ぬかるみながら搾られる心地は想像以上に素晴らしかった。

にぬゅっ、ぷちゅっ、にぬゅっ…ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬりゅっ…

「わっ…こんな…いいよっ…気持ちいいよっ、レニ…織姫くん…!!」

「あっ、あっ…こっ、これいいっ!隊長っ…!こすれてっ…すり、へっちゃうっ…!!」

「ひっ!ひんっ!!ひいんっっ!!あ、やっ、だめえっ!だめえっ…!!あんっ、やっ、すごい、敏感だからっ…!!」

 レニは屹立した女芯が大神のくびれに弾かれることが…

 織姫は裂け目に鋸を入れられるごとく強張った幹で往復されることが…

 大神は二人のしこった陰核や柔らかな陰唇にしごかれることが、それぞれたまらなく気持ちよくて思い思いによがった。特に織姫のよがり様は半端ではなく、放り上げた両脚をワタワタさせながら甲高い声で悶えまくる始末だ。

 それもそのはずであり、大神がクッキリとした裏筋で感じる織姫の女芯は、いまやその勃起の頂点に達しているのである。

 往復するたびに亀頭の中心をなぞってゆく固い突起は、分かち合ってなお性の悦びを持て余しているようであり、膨れ上がった濃桜色の裂け目までクニュクニュと幹を摘むように打ち震えてくる。その奥からドロッ、ドロッ、と新鮮な愛液が湧き出てくるのも手に取るように感じられた。どうやら織姫の熱い間欠泉は、大神をこのまま茹で揚げてしまう腹づもりのようだ。

 一方、心理的に余裕があるとはいえ、もちろんレニもその小さな身体いっぱいに快感を享受している。

 丸い尻を真上から強くわしづかまれ、小気味よく男根で刺激されるとレニは儚げな背筋をゾクゾクさせつつ肛門をヒクヒクさせてしまうのだ。

 その様を見られている事に気付いているのだろう、時折真っ赤な顔で振り返ってくるのだが、やるせない表情をそのままに非難の声ひとつあげられなくなっている。もはや溢れ出す性感を片言の音声に変換することくらいしかできないらしい。

ぬぶちゅっ、ぬぢゅっ、ぬちゅっ…ぬりっ、ぬりゅっ、くりゅんっ…

「あっ、あっ、あっ…あんっ…や、いいよ、いいようっ…ふぁ、いっぱい濡れるよう…」

「ひっ!ひあっ!うっ、ふううっ…んっ!んああっ!いっ、いや…いやあっ!だめえ!」

「熱いよ…火傷しそうなくらい、熱くて…レニも…織姫くんも、ぬめるから…ああっ、もう熔けちまいそうだよっ…!」

 三人の粘つく音とよがり声はひとつの寝台の上で混ざり合い、淫らな匂いは絡み合った三人ぶんの体熱とストーブの熱に翻弄されて濃密に室内を満たしてゆく。

 真っ赤に充血し、すっかり過敏となった三人の粘膜ではそれぞれの愛欲の証がねちっこく攪拌され、きめ細かに泡立っていた。引力に従い、織姫の会陰や肛門を通ってゆっくり滴り落ちるそれは、まるで洋菓子の材料となるメレンゲそのものに見える。

 掻き混ぜれば掻き混ぜるだけきめ細かくなり、洋菓子の出来映えを良くするメレンゲと愛液は、実際同質のものであると言えよう。想いを込めて掻き混ぜ、掻き混ざってゆくだけ絶頂感、充足感も素晴らしいものになるだから…。

 その掻き混ぜ棒たる大神の男根は、彼のよがり様を如実に反映して伸びやかに勃起している。しかもその長さ、固さ、太さは限界を強いられたままだ。

 それも無理はないだろう。なにしろレニと織姫、帝劇でもトップクラスの美少女二人に発情した淫裂でぬっぽりと挟んでもらい、その絶妙な柔らかみを思う様…それこそあらゆる速度、あらゆる角度で確かめているのだ。とろけてしまいそうな男根全体に抗しがたい射精欲が喚起され、手に負えないほど怒張してしまうのは男子の性である。

 ほんの数分前に射精しているにもかかわらず、この体たらくだ。肉体は理性を介することなく性欲と直結し、大神の本能に男としての本懐を極めさせんと作用しているらしい。

 現にもう男根の根本では中央を貫く太い管が危なっかしく脈動し、レニと織姫の別なく女芯に逸り水を浴びせている。一瞬でも気を緩めようものなら、たちまちのうちに二度目の絶頂を迎えてしまうことだろう。

 だからそうなる前に…少しでも長く二人を愛したい…。

 大神はそう心に決め、必死に肛門をすぼめて射精を遅らせようと努力した。軽やかだった往復運動は、やがてゆっくりと、しかし力強い突貫へと変化してゆく。パンパンに漲った亀頭が二人の狭い間隙を勇ましく突き抜けるたび、大神の下腹はレニの尻を、陰嚢は織姫の会陰をそれぞれぺたんぺたんと叩いてゆく。

ぬるっ…!!ぬちゅ、ぬるる…ぬるっ…!!ぬみ、むるる…ぬぢゅっ…!!

「ううっ…!レニッ…織姫くんっ…!!ど、どうだい…!?」

「うあっ、あっ、感じるっ!すごい感じるっ!!あ、ぼっ、ボクもうダメッ…!」

「きゃっ!ああん、レニぃ…レニぃ…」

「はあっ、はあっ…ごめん、ソレッタ…重くしてるね…」

「ん、大丈夫よ…へいき…んんっ…」

 大神の不断の努力は実を結んだようで、今まで両手を突っ張って上体を支えていたレニは、せつなげな悲鳴をあげるとガクンと脱力し、織姫の上に突っ伏してしまった。萎縮を始めた陰核を中心として押し寄せてきた途方もない快感の前に、意識が朦朧としてきたのである。それでも大神を包み込もうとする努力は…ひいては密着を維持しようとする努力は絶やすまいと、両脚をブルブル震わせながらどうにかこうにか下肢の位置を維持し続ける。そのしぐさはまるで産まれたばかりの子馬のようだ。

 レニはのしかかってしまった織姫を見つめて小さく詫びたが、彼女は別段気を悪くするでもなく、むしろ微笑みかけながら両手でレニの乳房を包み込んでやった。ささやかな弾力を手の平で確かめながら甘えるように唇を寄せると、レニも喉の奥で愛くるしく鳴きながら求めに応じる。

ちゅっ、ちゅちゅっ…ちょぷ、ちょ、ちゅむっ…ぷぁ、ちゅ、ちゅっ…

 二人は愛しさに任せて何度も何度も唇を重ねた。もはや接吻は生理現象のごとく何気ないものに変わってしまっている。

 その甘酸っぱい感触に呼気を震わせながら、レニも織姫も互いの乳房に手を添え、ゆっくりと慈しんだ。

ふに、ふに、ふに…ぷにゅ、ぷにぷにゅっ…ほに、ほにっ…

 織姫はレニの実り始めた大切な隆起を傷つけてしまわないよう、それこそ熱い鼓動を確かめるよう丁寧に押しこね、指の腹だけで優しく摘み…

なでなで…なでなで…もみゅっ…もみゅっ、もみゅっ…むにゅっ、むにゅっ…

 レニは織姫の瑞々しさに満ちた膨らみを掌の中いっぱいに包み込み、そのまろみを満喫してから少年のように力強く、指を埋めるようにして揉む…。

きゅんっっ…

 刹那、甘く狂おしい痛みが体奥で炸裂し、レニも織姫も声にならない嬌声であごをわななかせ、びくんっ…とおとがいをそらせる。

 唇と胸、そして裂け目を同時に愛された少女二人が急激に高ぶってしまうのは必然というものであった。この世の終わりを感じさせるような、不安に酷似した性の衝撃に二人とも痛ましく涕泣する。愛くるしいよがり顔は感涙と汗、唾液でベトベトだ。

「あっ!!あああっ!!たっ、隊長っ…!!来るっ!来るよっ!!来るうっ!!」

「あんっ!あっ、イクッ!!少尉サンッ!やっ、イクッ!イッ、イクうっ!!」

「うっ、ううっ…!ダメだ、オレも…もうっ、もたないっ…!」

ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ…ぐみゅっ、ぐみゅっ、ぐりゅっっ…

 美少女二人の潤った上擦り声に、大神も限界を回避し得ないことに気付いた。つらそうに顔をしかめつつ、最後の最後まで彼女達を愛し抜こうと女性器の接吻に男根を割り込ませてゆく。気付けばレニも織姫も女芯を萎縮させきっており、桃源郷に片足を踏み入れてしまっているようだった。

 その女芯を先端で探り出さんと、大神がレニの腰を真上から押さえつけた瞬間…急激に狭まった二人の隙間で、萎縮しきったはずの陰核は怒張を極めた亀頭のくびれに暴き出されてしまう。

 体熱の奥底に隠れた小さなしこりをえぐられ、意識を散らせたのは二人同時であった。

「きっ、来ちゃうっ!!来ちゃううっ…!!うあっ!!あああああっっ…!!」

「イッ!イッちゃ、イッちゃうっ…!!あひっ!ひっ、ひいいいっっ…!!」

びちゅちゅぢゅっ…

 レニも織姫も、まるで計ったかのように絶頂を迎えた。骨まで熔けだしそうな悩ましさで声を限りによがり鳴くと、少女は華筒をキツキツに締め上げ、三人の零距離で愛液を飛沫かせる。

「あ…あ、ああっ…ふぁ、あうっ…う、んう…うっ…」

「ふぅ、ふ、ひうっ…は、ふぁ、ふぁあ…んんっ、ん…」

ぴちゃぢゃっ…ぴちゃぱちゃぱちゃ…

 そして、二人は呼吸を不規則にして身体中から緊張を解き放つと…躊躇いも何もなく、心ゆくまで粗相をしでかしてしまった。大神の下肢は、二人が漏らした恍惚の証にたちまち熱く濡れてゆく。リネンも布団もあっという間にびちょびちょだ。

「あっ、あああっ…出るっ!出っ、出るうっ…!!」

 次いで、大神も最後の瞬間を迎えた。我慢の限界を通過して刹那の安堵を受け入れた後、即座に意識は法悦のみで占められる。

びゅるっ!!びゅっ!!!びゅうっ!!

「うううっ!!うっ!くううっ!!」

びゅくっ!びゅくんっ!びくんっ!

「あっ、うあっ…こんなっ…こんなっ…!!」

ドクンッ、ドクン、ドクン…

「んっ…!んんっ…!んう…く、うっ…」

 はち切れんばかりに膨れ上がった亀頭が二人の陰阜を突き抜けた瞬間、大神は思い切りよく爆ぜた。音立てて噴き出た精は寄り添ったレニと織姫のあごの辺りまで飛び、仰向けとなっている織姫の胸からへそにかけて大量にぶちまけられる。淡褐色の柔肌において、そのなまっちろい精液は否応なしに猥褻さが際立ってしまう。

 今宵二度目の射精でありながら、その勢いと量は大神自身も驚くほどであり、一回一回の脈動、噴出による快感は剛胆の者である彼をも容易く失神させるほどであった。

 その失神は、さながら点滅を繰り返すストロボ照明のように彼を現実と空虚の狭間で激しく揺り動かす。その果てに大神は満ち足りた脱力感と余韻に包まれ、ぐったりとレニの上にもたれかかってしまった。それでも懸命に意志を尽くして両手を突っぱね、レニはもちろんさらにその下の織姫まで重くしてしまうことを回避する。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…んくっ…はあっ、は…ううっ…」

 荒い息を繰り返し、無様にうめくこと以外にできない。それほどまでによかった。ここまで射精の悦びを実感できたのは、初めて女性と交わった時以来ではなかろうか。

 それに、余韻がもたらす幸福感も圧倒的に素晴らしい。あらためてこみ上げてきた二人の少女への愛情はたちまち胸の奥を満たし、身体中を歓喜で震わせてくる。

 とめどなく精を放った男根はすでに二人の隙間から抜け出ているのだが、それでもなおたくましく勃起を維持して恍惚に浸っているようだ。腰骨自体がとろけだし、最後の一滴まで出し尽くしたような心地でありながらも、太い管の根本はいまだに力強い脈動を続けている。

 ともすれば余韻が冷めないのではなく、達したままなのではなかろうか…。

 大神は陶然としきった意識でそう考えた。

 そんな大神からの愛欲を身体中で受け止めた少女達も、彼と同様絶対とも呼べるような夢心地の中にいた。

 織姫は浮かせていた腰をすっかり下ろし、白一色で埋め尽くされた意識の中、もたれかかってきたレニの身体をそっと抱き寄せている。そのまばゆいほどの白い世界は不安も何もなく、ただただ笑みを浮かべたくなるような優しい快感のみで埋め尽くされていた。

 もう身体中くまなく性感帯になってしまったかのように心地よい。絶頂に酔った華筒はヒュクン…ヒュクン…と繰り返し収縮しているのだが、そこから発散される性の悦びは爪の先から睫毛に至るまで、そこかしこをくすぐったく痺れさせてくる。

 ありとあらゆる一切を解き放ち、失禁してまで受け入れたこの法悦は、自涜などでは決して得られないものであった。熱く火照ったレニの重みもたまらなく嬉しい。

ぎゅうっ…。

 織姫は叫びたいほどの愛しさに駆られ、夢中でレニを抱き締めた。降りかけられた精液が柔肌の間でネットリと拡がるが、その感触にも歓喜するよう膣は一瞬強く締まり、織姫に最後の鳴き声をあげさせる。

 レニも織姫にそうされてウットリ目を細めると、彼女の豊かな乳房に頬摺りするよう顔を埋めた。しっとり汗ばんだ胸の中に沈み込むと、鼓動や体温も相乗効果をもたらし…小さな身体いっぱいに充足感と安堵感が拡がってくる。

 よほど気持ちよかったのだろう、レニはすっかり悦に入ってだらしない表情をしているが、達した衝撃で呼吸困難に陥っているほどだ。ピクンピクンと背筋をさざめかせながら、んあっ…んあっ…とさえずっている様はいささか可哀想なくらいである。

 大神によって力強くつかまれていた丸い尻も、その大きな手の平の感触を残して絶頂感に浸っている。もはや腰全体に愉悦が染み込んでしまったかのようだ。もしこのまま尻の谷間を指先でなぞられたとしたら、レニはそれだけで二度目の絶頂を迎えてしまうだろう。

 現に汗ばんだ尻の谷間では、肛門も裂け目も次をねだるようにヒクンヒクン手招きしている。愛液と小水で濡れた秘肉はくんにゅりとくつろいでおり、レニへの入り口までもが丸見えだ。

「レニ…織姫くん…」

「あ…たい、ちょう…」

「しょうい…さん…」

 よつんばいの大神が心地よい疲労を伴った微笑で呼びかけると、レニも織姫も少しはにかむような瞳で見つめ返してきた。

 そこでようやく意識が回復してきたらしく、レニは口許から一筋溢れていた恍惚の唾液を片手で拭い、ゆっくり身じろぎして織姫の上から身を起こした。すっかり腰が抜けてしまったようで、レニは転がるようにして織姫の上から降りる。そのまま大神に目配せをひとつ、彼を二人が寝そべる間に迎え入れようとする。

 大神は小さくうなづくと、両手に花状態でゆったり仰向けに寝転がった。そのまま両腕を真横に伸ばすと、レニも織姫もすぐさま腕枕とばかりに寄り添って甘えかかってくる。鍛え上げられた上腕や厚い胸板に頬摺りし、先を争うようにして頬に口づけてくる様はたまらなく可愛らしい。

「ふふふっ、レニも織姫くんもくすぐったいよ…。」

「だって…隊長のこと、好きなんだもの…。いっぱい甘えたくなるんだ…。」

「少尉サン、よっぽど良かったんですネ…。ほら、わたしの身体いっぱいに…少尉サンのが…」

 大神が二人の頭を抱き込んでかいぐりすると、二人とも幸せそうに表情をほころばせる。

 レニは夢見るように目を伏せてモジモジはにかむものの、織姫は胸元からへそからに降りかかった大神の精を眺めてウットリと溜息を吐き、指先でヌリヌリと粘りけを確かめてから口に運んだ。

ちゅぴ、ちゅぱちゅぱ…ちゅぢゅっ…ごくんっ…

 そのまま舐め尽くすよう、唇の奥で音を立てられると今度は大神が狼狽えてしまう。無邪気な中での猥褻さに当てられ、ようやく萎え始めた逸物が再び反応しかけたのだ。

「おっ、織姫くんっ!そんな、舐めなくっても…」

「ふふっ!これが少尉サンの味なんですネ!もう忘れまセーン!わたしの舌に染み込ませちゃいましター!」

「…ソレッタってやっぱり情熱的だね。交わった経験もないのに、もうそんな淫らなことまでしちゃうんだから。」

「れっ、レニ!うるさいデース!!」

「お、おい、二人ともっ!!」

 目を伏せたままやり取りを聞いていたレニが皮肉たっぷりに感想を述べると、織姫は右手を振りかぶってまで怒りを露わにした。絶頂の余韻で火照った顔がさらにさらに真っ赤になっていることからも、どうやら照れ隠しの意味合いもあるらしい。

 それでも大神が二人の髪をクシャクシャして制すると、レニも織姫も我に返って恥じ入り、そっと彼の胸元に顔を埋めてしまった。それでもレニの方から片手を伸ばし、ゴメンとばかり織姫と指を絡めて手を繋ぐと、大神は満足そうに微笑んでうなづく。

「いいかい?オレは…一途でひたむきなレニも、情熱的で一生懸命な織姫くんも分け隔てなく大好きだよ。二人とも最高にかわいいし、最高に素敵だ。」

「隊長…。」

「少尉サン…。」

「…そんな二人に慕われて、オレは最高の幸せ者だよ。ありがとう。二人とも…。」

 大神は少し照れくさそうにそう言うと、二人を強く抱き寄せながら目を伏せた。

 裸のままではあるが、ストーブは点いているし、なにより二人に寄り添われていれば寒いことなどひとつもない。

 ひどく汗ばんではいるが、三人が心ゆくまで愛し合った証を洗い流してしまうのは少々もったいないような気がした。レニと織姫が濡らしたリネンすらも、即座に交換してしまうのは無粋なように感じる。

 レニも織姫も特に気にすることなく、大神に寄りかかりながらそっと目を閉じた。

 もう今夜は自室に戻りたくない。なによりシャワー室へ向かうことすらも億劫に思える。二人とも、一瞬でも長く大神とくっついていたい気持ちは同じだった。

 彼の温もりと愛情を感じながらであれば、絶対に良い夢が見られるに違いない。

 そう信じて二人は大神の腕枕の中、ゆっくりとまどろみに落ちていった。

「隊長…好きです…心から…」

「少尉サン…わたしの…大好きな殿方…」

 情欲に燃えた吐息が安らいだ寝息に変わり始めたとき、レニと織姫は夢うつつのまま小さくそうつぶやいたのであった。

 

 

 

「あ、大神はん、中庭におったんや!探しとったんやで…って、ありゃ?」

 パタパタと小走りに中庭に現れたのは李紅蘭であった。

 新しく開発した攻撃兵器の意見を聞こうと思い、大神の姿を帝劇じゅう走り回って探していたのだが…ようやくながらに見つけたと思ったら先客がいたらしい。しかも二人だ。

 モギリのベストにネクタイといった普段通りの大神は、レニと織姫、二人に寄りかかられる格好でベンチに腰掛けていた。しかも昼過ぎの暖かな日差しを浴びながら心地よさそうにうたたねしている。三人とも良い夢を見ているようで、安らいだ寝顔を初春の陽光に晒していた。足元を見ると子犬のフントまでクウクウ寝息を立てている。どうやらフントも交えて中庭で遊んでいたらしい。

「なんや、珍しい取り合わせやなあ…?でもま、こんなに仲良ぉ昼寝しとるっちゅうに、邪魔するんは野暮やわな…。」

 元星組出身の二人に抜け駆けされた気がして、紅蘭はチクンと胸を痛めたが…三人の寝顔を見ていると嫉妬の虫もその気を無くしてしまった。また、これだけ仲良くもたれかかっている三人に割って入ることが、どこか後ろめたいものに感じてしまったこともある。

「んん…隊長…ボクならまだ…」

「少尉、さん…ん…今夜…も…」

 ふいにレニと織姫が身じろぎしたため、思わず紅蘭はひょい、と一歩退いた。そのまま様子を見守っていると、レニは右手を大神の右手に重ね、織姫に至っては寄り添うように左手を彼の右肩にかけてしまったではないか。これにはさすがの紅蘭も胸中に邪な焦燥を抱かずにはいられなくなってしまう。

「…なんかサクラはんみたいやなぁ。うち、こんなにヤキモチ妬きやったんか?」

 大人げないとは知りつつも、二人の手をそれぞれ大神から引き離す紅蘭。これ以上見ていられないといった風にきびすを返すと、頬を染めながらそそくさと中庭を後にした。

 そうとも知らず、今度は大神が寝ぼけ眼であくびをひとつすると、右手にレニの、左手に織姫の手を取って再びウトウトとまどろみ始めた。それに応えるよう、レニも織姫もその手をきゅっと握り返す。

 三人だけの秘密の絆は、ちょっとやそっとの干渉程度では揺らぐことを知らないのであった。手を繋いだ後の穏やかな寝顔が、その事実を雄弁に物語っているだろう。

 

 時に太正十五年、初春。

 それぞれ国籍の違う三人は国境線を越えて深い愛情を確かめ合ったのである。

 

 

 

終わり。

 

 


(update 00/03/12)