つづくシアワセ

06

作者/大場愁一郎さん

 

「…そういえば、まだキスしてないところ…あったわよね」
「えっ…」
「おへそじゃないわよ…?」
 そう言うとアスカはシンジのへそにキスをひとつ残し、よいしょ、と上体を起こした。乳房の谷間からペニスが解放されると、その二点間で逸り水がねっとりと糸を引く。
 アスカはさらに後ずさり、そっとシンジに脚を開かせ、その間で腹這いとなった。眼前に勃起しきりのペニスを見て、そっと右手で包み込む。
 根本付近に性毛の生えているシンジのペニスは、汗ばんだ右手にも熱く、そして固い。
「…シンジのくせに、たくましいじゃない」
「う、うるさいなぁ。一言よけいだよっ」
「あははっ、冗談冗談。じゃあお詫びに…」
「あっ…!」
 ささやかな軽口を叩いて、アスカは亀頭の裏側、くっきりとした裏筋にキスした。唇の弾力を鋭く感じ取り、シンジはせつなげにあえぐ。
 同時に、ペニスもアスカの手の中で打ち震えた。しかしアスカはそり返ろうとするペニスに臆することなく、右手で押さえつけて切っ先と相対する。
 アスカはしばしペニスとにらめっこして、その不気味さと羞恥を克服しようと気持ちを整えた。いくらアスカでも、これだけ間近で男性器を直視しては気味悪いものは気味悪いし、恥ずかしいものは恥ずかしい。
 やがてアスカは逸り水の付いた唇に小さく舌なめずりすると、静かに目を閉じた。
「んっ…」
「くっ…!あっ、うあっ…!あ、アスカッ…!」
 アスカの唇は、ぷっちゅりとペニスの鈴口を塞いだ。そして、キツツキのように頭を振り、何度も何度もキスする。
 そのたびに唇とペニスの間では、カウパー線液が水音を立てて糸を引かせた。シンジは為す術もなく、両手でシーツをひっつかんで快感に耐える。
「キスしてるだけなのに、そんなに気持ちいいの?演技してない?」
「してないしてないっ!アスカだって、その…僕にあそこ、キスされたらどう思う?」
「…か、考えたくないっ」
 大袈裟なほどのよがりように、唇を逸り水でベトベトにしたアスカは怪訝な目でシンジを見た。シンジはブルブルかぶりを振って疑惑を否定し、逆に質問を投げかける。
 アスカは一瞬イメージしてみたものの、性器を丸々見せてしまうなど、その状況を思うだけでも気恥ずかしくなってくる。愛撫を再開しようと、慌てて火照り顔を伏せた。
 アスカは右手で幹を握り込み、包皮ごとゆっくりとしごきながら亀頭にキスを連発する。先端、面積の広い表側、筋のある裏側、そして亀頭と幹の境を成すくびれにも、くまなくランダムにキスしてシンジを悦ばせようと努めた。
 そうこうしているうちに恥ずかしさは薄まり、ペニスに愛着心のような感情が芽生えてくる。見た目は凶悪でありながらも、その実極めて繊細な男性器がかわいく思えてきたのだ。
 アスカは左手で、ふんにゃりと垂れ下がっているシンジの陰嚢にも触れてみた。ペニスのときと同様慎重な手つきで捧げ持ち、そっと掌にくるむ。
 ぷつぷつと性毛の生えている生暖かい薄肉の中には、思わぬ質量と手応えを秘めた睾丸が二つ納まっていた。
「あっ、アスカッ…そ、そこはそおっと…」
「わかってる、シンジの急所…ううん、大切なところだもんね」
 悪寒に打ち震えるシンジに言われるまでもなく、アスカは十分わきまえている。ペニスと違って強く握ったりはせず、ただ指の中でころんころんと左右に転がすだけにとどめておいた。
 戯れ半分で、それぞれの睾丸にもキスしてみたが、これくらいは大目に見てほしい。
 そのうちアスカはキスにとどまらず、亀頭や幹の区別無く甘噛みし始めた。すふすふと鼻息でシンジの性毛を揺らしつつ、ハーモニカを吹くように唇の感触を押し当ててゆく。根本の辺りまで来ると、汗っぽいような男臭さがぷんぷんしてくる。
「んっ!んんっ、んぅう…!くっ、くすぐったい…!」
 特にペニスの裏側へ甘噛みを施すと、シンジは鼻にかかった声であえいだ。
 断続的なペニスの漲りも強くなり、逸り水の漏出もその量を増してくる。幹に甘噛みしているうちに、亀頭から伝い落ちてきているくらいだ。
 それくらい、シンジのペニスは興奮に浮かされていた。キスや甘噛みのくすぐったさと、右手でしごかれる心地良さがない交ぜとなり、射精欲はもう勃起しきりのペニス全体に満ちてきている。
 今再びアスカの乳房で挟んでもらい、前後にしごいてもらったとしたら、きっと数秒と持たずに射精してしまうことだろう。
「ね、シンジ…男って、その…イクのと同時に射精するのよね?」
「う、うん…」
 やおらアスカは愛撫の手と唇を止め、確認するように尋ねた。
「知識としてはね、知ってるんだけど…射精ってどんな感じなの?」
「ええっ!?は、恥ずかしいなぁ…す、すごく気持ちよくなって、その…」
「…結局、ここから出てくるんでしょ?」
「うん…」
「だったら…口の中で、出させてあげよっか」
「くちの…って、えええっ!?」
 シンジはアスカの申し出の意味をすぐには把握できず、一瞬遅れて驚きの声をあげた。いつものことながら、アスカの大胆不敵さには相変わらず驚かされる。
 しかし、アスカは大胆不敵なだけの少女ではなかった。シンジが思考を詰まらせたわずかな時間だけで、羞恥心と好奇心を天秤に掛け、結果を出したのだ。
 アスカはペニスの先端にキスすると、舌で前下歯を柔らかく覆い、ゆっくりと口内に亀頭を納めた。歯を立てたりしないよう大きく口を開け、舌の位置を整えてから、なおも深くシンジを導き入れてゆく。亀頭が舌の上でぬめり、逸り水の味が口いっぱいに広がる。
「ふぁ、あ、はああっ…!く、んぅ…あ、あったかぁい…」
 ペニスの中程までをアスカに頬張られ、シンジはあごをゾクゾクと微震させてよがった。ペニスを包み込んだぬくもりに、吐息まで火照りそうなほど胸が躍る。
 直接的な刺激もすごい。敏感な裏側でくねる舌のざらつきからも、幹を小刻みに締め付ける唇からも、ペニスは快感を覚えて興奮に打ち震える。アスカに頬張られてなお、へそをめがけて反り返ろうと力強く漲るのが、シンジは我ながら気まずくていたたまれない。
「あ、アスカ…無理はしないで…」
「んぅ…?ん、んっ…すふ、すふ、すふ…」
 シンジが右手で頭を撫でながら気遣うと、アスカは上目遣いでシンジを見て、気丈に微笑んだ。両手でシンジの腰にすがりつき、しばし鼻で呼吸を整える。
 口がふさがって、呼吸が困難になったためだけではない。シンジのよがりように誘発されて、再び性的興奮が若い身体に満ちてきたからだ。シンジのペニスを頬張り、口内で射精を受けようとしているこの状況にも胸はさざめき立っている。
 アスカは夢見るように目を閉じると、ゆっくりゆっくり頭を振る始めた。同時に唇をきつくすぼめながら、勃起しきりのペニスを擦るように舌を固くする。しとどに漏出される逸り水のおかげで摩擦抵抗も減り、その動きはすこぶる滑らかだ。
「んっふ、んっふ、んっふ…ん、んんっ…」
「あっ、アスカッ!アスカッ…!く、だ、だめっ…出るよ、出るよぉっ…!」
 つらそうにフェラチオするアスカを見つめながら、シンジは半ベソのような声でそう告げた。とはいえ、その言葉はまだ予告ではなく警告だ。もう少しの間は懸命に肛門をすぼめ、射精を堪えていられる。
 なにより、少しでも長くアスカのフェラチオを堪能していたかった。アスカが一生懸命に尽くしてくれている姿を見ていたかった。
 そんな気持ちがわかるはずもないが、それでもシンジにとびきり気持ちよくなってもらいたい一心で、アスカはフェラチオに耽った。ミサトの匂いを消し去りたいという情念すら、今はきれいに忘れ去っていた。
 頭の振りは決して速くはないが、それでもアスカは大きくペニスを頬張り、あるいは亀頭だけをしゃぶってと、伸びやかなストロークでペニスを刺激する。幹を締め付ける唇の隙間からは、逸り水の溶け込んだ唾液が往復するたびにじわじわ染み出てくる。
 ヌルヌルの混濁液に任せて、アスカは懸命に舌をくねらせた。
 右に、左に、亀頭と幹の境を成すくびれた部分に。
 亀頭だけを頬張るほど引き抜き、鈴口だけ集中的に。
 喉の入り口付近にまで頬張り、過敏な裏側に。
 そして大きく頭を振り、口全体でペニスを愛撫した。強烈な羞恥のために意識はのぼせたようになり、胸の真ん中がせつなく焦れてくる。シンジの上擦ったうめきが耳に響くたび、その焦燥は狂おしく増幅された。
 その想いに突き動かされ、アスカは頭の振りを次第に速く、大きくしていった。両手もシンジの浮いた背中ごと抱きつくようになり、鼻息が荒くなってゆく。
「あっ、アスカッ、出るっ!もうだめっ、出るってば!出る、出るうっ…!!」
 シンジのだらしない声が悲鳴のようになり、その意味合いが警告から予告に変わる。
 しかしその声にも、アスカはフェラチオを中断することはなかった。
「あっ、あああっ…!!」
 シンジが女の子のような声で鳴いた、そのとき。
 フェラチオの刺激に酔いしれたペニスはアスカの口内で漲りを極め、盛大に射精を遂げた。アスカの舌の上から喉の入り口にかけて、大量の精液が怒濤のごとく噴出される。
「んんっ!!んっ、んんぅ…!」
 一撃、二撃、三撃、四撃。
 口内に力強い射精を受けて、アスカはその衝撃にきつく目を閉じて耐えた。熱くてドロドロとした精液で口内が満たされると、泣き出したくなるほどの不快感が湧いてくる。実際、きつく閉ざしたまぶたからは涙が滲んできた。嘔吐感すら催してきそうなほどだ。
 アスカは鷹をくくっていた。射精と文字では書くものの、カウパー線液同様じわりと漏出するものだとばかり思っていた。
 それが、この勢いと量である。暴力のような四連射を含み、都合七秒近くもかけてたっぷりと噴出したシンジの精液で口の中はいっぱいだ。いまや舌の上のみならず、舌下に溢れかえって奥歯までをも浸している。
 自分から望んだこととはいえ、口中がシンジに犯されたような心地であった。早くペニスを解放して、吐き出したい。飲んであげる、などとは冗談でも言えそうになかった。
 アスカとは裏腹に、シンジは恍惚とした表情で射精の余韻に浸っていた。
 シンジ自身感動するくらい、盛大な射精であった。久しぶりであるうえに、心ゆくまでアスカと睦み合い、我慢に我慢を強いた果ての射精であったから当然である。
 気持ちよかった。本当に気持ちよかった。余韻も素晴らしく、嘆息が止まらない。
 射精を終えてなお、アスカがペニスを頬張ったままでいてくれることにも男心は満たされる。ペニスは絶頂による過負荷のために鈍く痺れているが、アスカの温かくて柔らかい舌は変わることなく快適だ。
 とはいえ、こうして自分だけ余韻に浸ってばかりもいられない。
「アスカ、もういいよっ…。ほら、早く吐き出しちゃえ」
 シンジは身を起こすと、悪寒に身震いしているアスカの肩を揺すった。
 アスカはシンジの下腹にぽとりと一粒涙をこぼし、ゆっくりと頭を上げた。右手でペニスの根本を支えてから、唇をすぼめつつゆっくりと解放する。三種類の体液にまみれたペニスがアスカの口内から抜け出ると、そこから湯気がほこほこと舞った。
「うぷっ…う…はあっ、はあっ、はあっ…」
 すっかり半ベソのアスカは正座崩れのあひる座りとなり、うつむいて左手に精液を吐き出した。小さな唇から大量の白濁した粘液がこぼれ落ち、しつこく糸を引く。
「ほらアスカ、ティッシュ。いまなんかゆすぐもの持ってくるよ」
「ううん、平気…ありがと」
 テレビの上からティッシュペーパーの箱を取り、シンジは裸のままで冷蔵庫へ向かおうとした。アスカは首を振ってシンジの厚意を辞退し、そっと謝辞を述べる。
 アスカはまず、左手にドロリと溜まっている精液をティッシュで拭き取った。そして、口内に残っている粘り気を唾液とともに何度も吐き出す。
 口中には、にわかに苦味が広がってきていた。後味の悪さで眉根にしわが寄り、その美少女ぶりが台無しになっている。
 ひとしきり粘り気を吐き出してから、アスカは最後にもう一枚だけティッシュを引き出し、口元を拭って嘆息した。それでようやく平静を取り戻し、シンジを見て苦笑を浮かべる。
「ふぅ…す、すごい量だったわね」
「ま、まあね…久しぶりだったし」
 シンジは照れくさそうに答えながら、アスカの前であぐらをかいた。両脚の間に手を突き、できるだけペニスがアスカに見えないようにしながら、自らもティッシュで拭う。
「でも、すごかったなぁ…。びゅうっ、びゅううって、いつまで続くのか不安だったんだから。あっという間に口の中がいっぱいになって、すっごい熱くて、ドロドロしてて」
「ご、ごめん…」
 アスカは射精の瞬間を興奮とともに振り返り、熱く語って聞かせる。シンジは照れくさくてアスカの顔を見ていられなくなり、うつむいて詫びた。
 アスカの人なつっこい微笑を見ているだけで、口内射精の瞬間がぶり返してくるのだ。ペニスはまだ気怠い痺れに包まれているが、そのために萎縮する気配は少しも訪れない。シンジ自身の方が気恥ずかしさで萎縮しそうだった。
「…もし、セックスしてたら…絶対、妊娠してたよね」
「えっ!?」
「当然でしょ?あんなにたくさん注ぎ込まれたら、百発百中!絶対あんたの赤ちゃんできてたわっ!」
 シンジをからかうように、アスカは自らの下腹を撫でながらそう訴えた。
 目が怒っていないから、アスカが冗談で言っていることくらいはわかる。それでもシンジは恐縮しきりとなり、うつむいている顔を紅潮させた。耳まで茹だったように赤くなってくる。
 そんなシンジの横に体育座りで座り直し、アスカは親しげに彼の肩を抱いて寄り添った。幸せそうなアスカの眼差しと、躊躇いがちなシンジの横目が交錯する。
「なにを恥ずかしがってんのよ。言ったでしょ?あんたとの子どもなら産みたいって。逆に言えば、あんた以外の男の子どもなんて産みたくないのっ」
「アスカ…」
「だから…ねえ」
 アスカは普段通りの彼女らしく、気取りもてらいもなく、凛々しいほどの口調で断言した。次いで、シンジの火照った耳元に唇を寄せる。
「…抜け駆け、しよう?」
「えっ…」
「計画なんて、知ったことじゃないわ。とにかくあんた以外の男となんて絶対にしたくないの。それにあんたもチルドレンでしょ?まあバカシンジの遺伝子じゃ少々頼りないけど、そのぶんあたしの遺伝子で補うから、絶対にいい子が生まれる。ううん、絶対いい子を生んでみせる。碇指令を黙らせちゃうほどの、ね。だから…」
 ずいぶんな物言いを一息にまくしたて、アスカは言葉を区切った。物欲しげな目となってシンジを見つめ、焦れた唇をうっすらと開く。
「シンジと、セックスしたい…」
「アスカ…」
「お願い…」
 頬を染めながら、アスカはシンジに求愛した。シンジが見惚れたように名を呼ぶと、瞳を潤ませて懇願までする。
 お互い、もうそれ以上の言葉はいらなかった。
 シンジもアスカも、ささやかな緊張感を持ち寄って唇を重ねる。キスの心地良さが、胸の真ん中の本能を激しく揺り動かした。
「アスカ、今度は後ろから…いい?」
「う、うん…あ、でも、変なことしたら怒るわよっ?」
「わかってるって」
 セックスしたいとは思っても、ある程度の雰囲気作りは必要だ。
 シンジはアスカの背後に回り、バイクの二人掛けよろしく体育座りになると、そっと肩を揉みながら小声で問いかけた。アスカは肩を揉まれて心地良さそうに嘆息したが、すぐに表情をあらためて振り返り、シンジにくぎを差した。もちろん、シンジにそんなつもりはない。
 シンジはアスカの肩から二の腕にかけてを優しく撫でながら、ハニーブラウンの髪に鼻先を埋めた。わずかに息を吸えば、シャンプーの爽やかな髪が鼻孔に舞い込む。
「ちょ、やだ…なにしてんのよっ」
「僕、アスカの髪って好きだな」
「えっ…?」
 シンジの戯れに気付いて赤くなり、アスカは慌てて振り返って彼を咎めた。しかしシンジの何気ない一言で、それ以上文句が言えなくなってしまう。
「ツヤツヤしてて手触りが良いし、こんなにサラサラ…」
「あん…んぅ…」
 シンジは右手でアスカの髪に触れ、そっと持ち上げてはこぼし、持ち上げてはこぼして手触りを楽しんだ。愛撫するように手ぐしを入れると、アスカは安堵の息を吐いて相好を緩める。
 髪には神経が通っていないというのに、こうしてシンジに触れられて心地良いのが不思議であった。
 好きだと言ってもらえたことが素直に嬉しいから、きっとそれによる相乗効果なのだろう。アスカはうっとりと目を細めながらそう分析する。
 その髪を集めて左の肩ごしに胸元へと流し、シンジはアスカの細い首筋から小さな肩、背筋がまっすぐ通った背中を露わにした。その向こうはまろみを帯びたしりへとつながってゆくが、前後に並んで体育座りしているために、今は残念ながら眺めることはできない。
 シンジはアスカの脇腹から手を伸ばし、両の乳房を下から包み込んだ。そのまま首筋に唇を寄せ、襟足に口づける。
「あんっ…し、シンジ、くすぐったい…あ、んぅ、んっ…」
 アスカは敏感に吐息を震わせ、せつなげにむずがった。寄せ上げるように乳房を揉み込まれると、すぐに鼻にかかった猫撫で声になってよがる。
 フェラチオしていたときの性的興奮は、間をおいて鎮火したわけではないのだ。シンジのキスと愛撫は、その残り火を再び激しく燃え上がらせてゆく。
 シンジはアスカの襟足から首筋、肩にかけていくつもキスを撃ち、舌先で円を描くように舐めあげた。もちろん乳房への愛撫もおざなりにはせず、みっしりとした質量ときめ細かな手触りを楽しみながら、優しく揉みくちゃにする。
 背中を丸めた体育座りのために、アスカの乳房は仰向けの時よりも大きく感じられた。きれいなお椀型の乳房はなおも丸々と実り、シンジの手に重みを伝えている。ぽよぽよとした柔らかみは手の平に優しく、いつまでもこうして触れていたいくらいだ。
 ふとシンジは中指を曲げ、指先で乳首に触れてみた。発情による緊張はやんわりと解けており、今は元通りのかわいい乳首に戻っている。
「だ、だめぇ…シンジ、そんな、胸ばっかり…あ、やだっ…あ、んふっ…ん…!」
 すっかり性感帯として機能し始めた乳房から、とめどなく快感が生み出されてくる。
 アスカはシンジの愛撫に浮かされ、縮こまるように背中を丸めていった。くすぐったいような感覚が胸の真ん中に凝縮し、溜息がどんどんせつなくなる。
「アスカ、気持ちいい…?」
「ん、うん…気持ちいい…気持ちいいよぉ…」
「ね、ちょっと背中伸ばして…キスしよう?」
「うん…あたしも、キスしたい…」
 シンジの求めに応じて、アスカは丸めていた背中を伸ばし、右肩ごしに振り返った。シンジは乳房への愛撫を止めることなく、焦れた唇に急かされてアスカとキスする。アスカも同様に焦れていたから、その甘味は格別なものとなった。
「んっ、んっ、んっ…んんっ…」
「んぅ、ん、んぅ…んっ…」
 二人はねちっこいほどにバードキスを交わし、しきりに鼻声でよがって悦にいる。敏感な薄膜をたわませて興奮を分かち合うと、シンジもアスカもそれぞれで発情をの兆しをみせてきた。
 シンジは勃起しきりのペニスから、再び逸り水を滲ませてくる。
 アスカはやんわりとくつろいだ女性の裂け目、その奥の膣口から愛液を漏出させてくる。
 そのうえアスカは乳房を愛撫されているため、乳首もツンとしこってきた。シンジはそれを見逃すことなく、中指の先で押し転がしてアスカを悦ばせようとする。
「あんっ!や、そんな…だ、だめ、だめだめ…だめ、シンジ、だめえ…!」
 せっかくのキスを中断して、アスカは半ベソの顔と声でイヤイヤした。先程も聞いたようなよがり声にシンジはあえて聞く耳を持たず、意地悪くアスカの耳朶を甘噛みする。アスカは悔しそうに唇を噛み、ゾクゾクとその身をさざめかせた。
 シンジは乳房への愛撫を左手だけに任せると、右手をアスカの股間へと移した。目を閉じて耳朶への甘噛みを繰り返しながら、手探りで性毛を分け、中指を裂け目の奥に沈める。
 ねとつく愛液にまみれながら、指先は充血による熱を孕んだ底部へ辿り着いた。きゅんきゅんと収縮する小さなくぼみを探し当てると、しばしそこに指先をあてがい、その怯えるような動きをつぶさに感じ取る。
「アスカ…ここ、だよね」
「だ、だめっ、入れないで…指は入れないでっ…お願いっ…!」
「わかったよ…じゃあ、またあとでだね」
 アスカがふるふるとかぶりを振って哀願するので、ここはシンジも素直に引き下がることにした。指先で膣前庭をなぞり、発情して肥大している粘膜質の裂け目をゆっくりと割り開いて、突出しているアスカの女芯に触れる。
 とはいえ、直接愛撫はしない。シンジは先程のおねだりに従い、粘膜の上から丁寧に丁寧に押圧した。
「ああっ…!や、だめ、だめえっ…!ま、また…また、だめになっちゃうっ…!!」
 耳朶を噛み、左の乳房を揉みながらの三点同時攻撃に、アスカはなす術もなく嬌声をあげた。再び縮こまるように背中を丸め、汗ばむ身体をぴくんぴくん打ち震えさせる。もはや呼吸することすらもつらかった。
 シンジはすべての愛撫を止め、右手の中指をもう一度アスカの裂け目に埋めた。アスカの膣口付近はぴちゃぷちゃ水音を立てるくらいに潤い、熱々のトロトロになっている。
 アスカの恥部は、まさに淫裂と呼ぶに相応しい様相を呈していた。
「アスカ…」
「あっ…ん、んぅ…」
 シンジはわずかに後ずさって膝立ちになると、アスカを促して仰向けに寝かせた。きたるべき時を前に、アスカも診療台に横たわるごとく緊張をきたす。
 シンジはタオルケットを手早く四つ折りにすると、アスカに腰を浮かせてもらい、その下へ丁寧に敷いた。背中より腰の方が高いと、女性は幾分楽だからだ。もちろんこの気遣いはシンジが見出したわけではなく、ミサトからのアドバイスである。
「アスカ…少し腰を浮かせた方がいいよ」
「こ、こんな格好で…?あっ、あんまり見ないでっ!」
「み、見てないし、見えなくなるよっ」
 膝立ちのままでアスカの脚の間に進み入り、シンジは彼女の膝を持ち上げてアドバイスした。神妙な面持ちのアスカは言われるがまま腰を浮かし、恥じらいながら浅いM字開脚状態となる。
 慌てて両手で股間を覆い隠すが、正常位で交われば、シンジの言うとおり彼の視界には入らなくなる。それほど意味の無い行為ではあるが、恥じらう女心によるものかと思えばそれだけでも愛おしさは募る。
 シンジはアスカの上で四つん這いとなり、のしかかるように身を落とした。
 避妊の用意はしない。今夜のアスカは、いかに説得しようともそれを承諾しないだろう。
 スキンを被せないそのままのペニスを右手でつまみ、シンジは勘を頼りにアスカとのランデブーを計った。ある程度の経験を重ねてきたおかげで、ペニスの先はさほどもたつくこともなく、アスカのクリトリスと触れ合う。
「…ほ、ホントに入るの?シンジの、すごく大きいし…」
「同じ十四歳だから…多分入ると思うけど…」
「たっ、多分なんて言わないでっ!ちゃんと保証しなさいよっ!男でしょっ!?」
「わ、わかったよ…」
 自分の膣口の小ささも、シンジのペニスの大きさも、アスカは身を以て知っている。
 そのぶん、アスカはわずかに怖じ気づいてしまったのだ。シンジに頼もしい返事を期待したのだが、それはやはり愚かな行為だった。不安を紛らわそうと、声を大きくしてシンジに言いつける。
「えっと…き、きっと、相性ぴったりだと思う…ううん、アスカッ」
「え?」
 シンジは気の利いた言葉を考え抜いて、どうにか選び出してささやきかけた。
 しかしすぐさまその言葉を取り消し、確かな声で少女の名を呼ぶ。呼ばれたアスカはきょとんとして、シンジの目を真っ直ぐに見つめた。
「…二人で、もっともっと相性ぴったりになろう」
「あ…うん…」
 照れくさそうにシンジが誘いかけた言葉は、紛れもない彼の本心。
 そのぶん強く言霊がこもり、アスカの心に響きわたった。アスカは見る間に嬉し泣きの気配を漂わせ、しっかと首肯する。もちろん望むところであった。

 つづく。

 


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(updete 2004/02/03)