ああっ女神さまっ

■Welcome to my heart■

前編

作・大場愁一郎さま


 

 

 前書き

 本作品は既出作『For your love』の補完編です。ベルダンディーパートの一部で省略した描写があり、そこをあらためて書き下ろしたものです。

 従って未読の方が読まれた場合には事情の不明な点が多々見受けられるかと思います。あらかじめご了承下さい。

 

 

 

承前。

 

「ウルド…あふっ…」

「いや、いやぁ…スク…や、め…」

ちゅ、くぢゅ…ちゅぷ、ちゅっ、むちゅっ…

 未来を司りしうら若き女神、スクルドは…過去を司りし妖艶たる女神、ウルドの頭を小さな左手で押さえ込むようにしつつ、執拗に彼女の唇を奪った。ぷりんぷりんと弾力のあるふっくらとした唇は同性のものであっても心地よく、少しおとがいを震わせるだけで柔らかな感触が薄膜を刺激し、二人を強く高ぶらせる。

「んんっ!んんん…っ!!」

「くぢゅ…ふぅ、ふぅ…ちゅ、ちゅうっ…」

 のしかかられたままのウルドは両脚のかかとで畳を掻き、妹の愛撫から逃れようとするが…キスの心地は彼女の意識を発情へと狂おしく冒してゆく。きゅっと閉ざされたままの瞳からは感涙が止まらなかった。

 唇ごしにしびれるほど伝わってくるスクルドからの愛情は、ウルドの迫力ある胸いっぱいに満ちたせつなさを意地悪なほどに焦らしてくる。数ある愛撫の中でも特にキスがお気に入りであるウルドにとっては、それがたとえ妹からのものであってもたまらないのだ。

 ましてや二人は、今宵、失恋したものどうし…。

 どちらかといえば相哀れむような気持ち…それこそ自慰行為を互いに手伝ってあげたい気持ちが激しく行き交うのである。

ちゅうっ…ちゅ、ぢゅうっ…ちょむ、ちょむっ…

 スクルドは三分を超えてなお口づけをやめようとしなかった。うっすらとまぶたを開けて年長の姉の様子を確認しながら繰り返して吸い、唇をすぼめて擦り合い、角度を付けてついばみ…深く口づけている事実を認識させる。

 ウルドは求めてる…。

 唇はすっかり焦れきってる…。

 一端の女神であるスクルドにはウルドの心情が痛いほどに伝わっていた。それは唇の薄膜ごしのみならず、彼女の発汗、感涙、聖痕の色、身震いや身じろぎの具合、そして発散しきりのフェロモンからでも感じ取ることができるほどだ。

もみっ…もみゅっ、もみゅっ…

「んんんっ!!むぁむっ、ん、んんっ!!」

「ふぅ、ふぅ…ちゅ、ちょぴ、ちょぷ…」

 スクルドが右手をウルドのTシャツの中へ忍ばせ、張りのある美しいドーム型の乳房へ指を食い込ませるようゆっくり揉むと…ウルドは口づけされたまま妹の口腔内にせつない喘ぎ声を響かせた。焦れきり、普段に増して敏感になっている乳房は身体中の性感帯とリンクを巡らせているようで…繰り返して揉まれるたび、身体中をぴくんぴくん震わせてしまう。淫らに堕ちてしまいそうな快感に背筋がゾクゾクした。

 そんな姉の様子を逐一確かめながら、スクルドは戒めひとつなく解放されていた姉の乳房を右手いっぱいに堪能し、ぎゅっと搾るよう握り込んだままでさらに唇の角度を変えてゆく。鼻で息継ぎしながら、人工呼吸よろしく九十度の角度で吸い付いた。

ちゅちゅううっ…ちゅ、ぱっ…。

 スクルドは吸い付きながらに唇どうしを引き離してキスを終えた。密封状態を強引に解放されたため、ウルドの唇もスクルドの唇も、その弾力の素晴らしさを誇示するように音まで立てて悩ましく震える。

「ひぁ、ひぁ、ふぁあ…っ!!ちょ、だめ…ちくび…!!」

「…ウルドの唇、すごくおいしかったよ…?あは、おっぱいの先っちょだって…もうこんなにツンツン…。指の中で、むくっ、むくって大っきくなるね…。」

「う、ううっ…やぁ、やめっ…やめえっ…!!」

きゅっ、きゅっ、きゅっ…くにゅん、くにゅっ、きに、くにっ…

 唇を奪われただけでもウルドの意識はトロトロに熔けてしまいそうだというのに、スクルドはなおも愛撫を絶やそうとしない。今度はTシャツの中に忍ばせた右手、その親指と中指の先で乳首をねちっこく摘んできた。

 小指の先程しかなかったウルドのラムレーズンはスクルドの細い指先に繰り返して挟まれ、執拗にひねられ、上下にしごかれ、強く摘み上げられるうちにせつなさを募らせるように勃起していった。指の間で遠慮なく屹立させてしまったことを言葉にされ、ウルドは恥じ入って嫌悪の声をあげるのだが…それでも官能によがる身じろぎは止む気配がない。

「やめてってワリに…ウルドったらすっごいえっちな顔してるよ?もっともっと、いっぱいしてって…書いてあるみたい…。」

「うそ…うそよ、そんなの…っ。」

「今にもとろけそうで…すごいかわいいよ、ウルド…」

「いや、いやあっ…」

ちゅっ…。

 ぱっつんぱっつんに張りつめてしまった先端を指先で摘まれたままのウルドは、すっかりスクルドからのキスに酔いしれてしまったらしい。再び上から口づけられると、力無くヒュクヒュクしていたウルドの唇はたちまち活力を取り戻したようにスクルドからの抱擁を積極的に受け入れようとする。

ちょむっ、ちょむっ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…ちゅちゅうっ…

 唇にすがりつくよう…スクルドの口腔へ食いつくよう夢中であごをハクハクさせ、デリケートな唇を柔らかそうにたわませてキスにふけった。軽い発情で分泌を増している唾液が唇どうしの端から溢れ、唇も頬もたちまちべとべとになってしまう。

ちゅううっ…ちぱっ…。

「ふぁ…うんん…」

「あれ?もっとしてほしかった…?つまらなそうに唇とがらせたりしてぇ…。」

「ちっ…違うわよっ!そんなわけ…そんなわけないでしょうっ…!?」

 唾液を小さく飛沫かせながら唇を引き離されると…ウルドはもう完全に平静を奪われていた。ついさっきよりもなお表情は媚びたものとなっており、とろん…と愛くるしく目を細めてキスの余韻に浸っている。美しく日焼けしたような薄褐色の肌でありながら、それとわかるくらいに顔面を紅潮させているのがなんともかわいらしい。

 それでも、観察力鋭いスクルドに図星を突かれるとたちまち耳朶まで朱に染めて恥じらい、きゅっと唇を噛み締めて目をそらしたりする。常日頃ケンカばかりしている妹のキスに酔いしれてしまったことなど知られたくはないのだ。

 それを知ってか知らずか、スクルドはなおもウルドの上から下りようとせず、汗ばんで紅潮している姉の頬に小さく口づけてから愛おしむように頬摺りした。スクルドの黒髪とウルドの銀髪が耳元で微かにさざめき合い、どうしようもなくくすぐったいのだが…乳首を摘まれたままのウルドにとっては、そのくすぐったささえもが性感となって中枢を巡る。

「ス、クルドぉ…おねがい、そろそろ指、離してぇ…」

「ウルドはおっぱい…性感帯なんでしょ?だったらいいじゃない…。」

「ち、違うわよぉ…あんたなんかに、感じるわけ…」

「…おっぱい、見せて…。」

「いや、いやぁ…!」

 嘆息混じりにささやきかけてくるスクルドを押し退けようと身じろぎするも、ウルドは自分自身で思っているほどの力を込めることができない。もじもじと身体を揺すれば揺するだけ、スクルドに摘まれたままの乳首が乳房ごとくにょんくにょんと動くのみだ。

 スクルドは預けていた身体をゆっくり起こし、そのままウルドのへその辺りでまたがると…両手で彼女のTシャツの裾に手をかけた。衣擦れを立てながらめくり上げていくだけで、ウルドは照れくさくてならないようにかぶりを振る。

ぷ、るん…っ。

「わあ…ほんと、おっきい…。それにカタチもきれい…。」

「いや、見ちゃだめ…恥ずかしい…!!」

 Tシャツの裾が裸の乳房を下から押し、ゆっくり押し上げつつ乳首を弾くと…ウルドの二つの膨らみはいよいよその姿を蛍光灯の下で赤裸々さらした。仰向けになってなお型くずれしない迫力あるドーム型の乳房はスクルドの前で伸びやかに揺れ、彼女に感動の溜息を吐かせる。

 その張りも、きめ細かさも、つややかさも…

 大きさも、まろやかさも、ふくよかさも…

 威嚇するようすっかりしこった乳首の形も、濃い桃色をした乳輪の面積も…

 まさに女神の乳房であった。絶対美とはまさにこのことをいうのであろう。

 人間にあっては淫靡さを通り越し、ただただその美しさに惚れ惚れする意外にないのではないか。熱心な写真家や美術家などは出せるだけのギャラを提示してまで彼女にモデルを請うに違いない。

 実際、スクルドでも同感であった。常日頃姉妹ゲンカばかりしている相手とはいえ、その乳房の美しさは強い嫉妬心を抱いてしまうほどなのである。

 そんな妹からの掛け値ない褒め言葉にも、ウルドは恥じらいながら剥き出された自らの乳房を両手で覆い隠してしまった。他の女神にも引けを取らない自信を有している乳房であったが、妹の手で剥き出され、猥褻に乳首を勃起させている様子を確認されては…逃げ出したいほどの羞恥心で瞳が潤んでしまう。

「螢一も…いっぱい揉んでくれたんでしょ、ウルドのおっぱい…。」

「ひゃっ、だめ、だめえっ…!あっ!うううっ…!!」

ぽよん…もよん、もよんっ…

 スクルドは上体を支えるよう両手を伸ばし、ウルドの乳房をそれぞれの手で下から押し上げ、ゆっくりとこね回し始めた。片思いであった男性との一夜を思い出させられたウルドは慌ててスクルドの愛撫を止めようとしたが、もはや両手にはさほどの力も込めることができなくなっている。

 それはやけ酒や快感による脱力のみが原因ではなく、スクルドからの心のこもった愛撫に浸りたいという欲求も原因として作用していた。

 せめて螢一にされているように…ウルドに感じてもらいたい…。

 横恋慕でありこそしたが、失恋に傷心している姉を健気に想う気持ちがスクルドの小さな手の平から胸の奥にまで浸透してくる。そんな想いがウルドの意識から抵抗する努力を放棄させてしまうのだ。理性はなおも恥じらい、同性間での淫らな戯れを拒もうとするのだが、何度も何度も唇を塞がれ、丁寧に乳房を揉まれ、愛しい男の名前を口に出されては…失恋による寂しさが行き場を失った情熱をそそのかし、人恋しさとなってうずく身体を心ゆくまで慰めたくなってしまうのだ。

「いいなぁ…大っきくて、柔らかくって、すべすべで…。あたしも早くウルドみたいになりたい…。」

「あ、あんただって…そのうちベルダンディーや、あたいなんかよりずっと…」

「ふふっ、嬉しいよ、ウルド…。」

「や、指立てちゃ…ふぁうっ!!いっ、いいっ…!!」

もみゅっ、もみゅっ、もみゅっ…もにゅっ、もにゅっ、ぽにゅっ…

 ウルドの乳房は螢一の手の平でさえも持て余すくらいに余裕がある。ましてやスクルドの小さな手の平では両手で取りかかったとしても片方すべてを覆い尽くすことができないほどだ。

 そんな見事な乳房ではあったが、スクルドは懸命に手の平を広げ、薄褐色の柔肌に一本ずつ指を埋めるようにして強く揉んだ。パン生地を相手にするよう上から押さえつけつつ揉み、両側から寄せ上げて深い谷間を作る。

 そのまま搾るように揉み上げては谷間でこねこねと摺り合わせ、思わず手の平から逃したように予告無く手放すと、乳房はたぽんっと音がしそうなほど柔軟に弾み、左右互い違いに揺れてうっすらと赤らんだ。ウルドの火照りきった頬同様に、汗ばんだ乳房は今にもほかほかと湯気が昇りそうになってしまう。

「スクルドぉ…お願い、もうやめて…。あたい…あたい、おかしくなっちゃう…!」

「おっぱい、感じすぎるから…?」

「やっ、だめっ!もう揉まないで、お願いだから…!ひゃ、ひゃあっ…!!」

 またがってくるスクルドの背中で太ももを摺り合わせながら、ウルドは息も絶え絶えに懇願する。それでもスクルドは願いを聞き入れようとはせず、今度は勃起したままの乳首を中指と薬指の間に挟み込みながら揉みこねた。

 指がぴっとり吸い付いてしまいそうなほど肌触りの良いウルドの乳房に食い込めるだけ指を食い込ませ、あたかも粘土細工のように強く愛撫すると薄褐色の柔肌は細い指の間から溢れこぼれそうになる。

 また、勃起しきりの乳首を中指と薬指の間で責め苛んでやるとウルドはそれだけで感涙を流し、強くのけぞって悲鳴にも似た嬌声をあげた。

「いや、いやあっ…!ああんっ、うぁ、はぁあっ…!いい…いいのっ…!!」

「ウルドったら、すっごいえっちな声出してる…。おっぱい、それだけ感じちゃうってことだよね。大きければ大きいだけ、感じちゃうものなのかな…?」

「お願い、お願いだからスクルド…もうやめて、このままじゃあたい…あたいっ…!」

 それはまさに…実質一級である女神が感じるままにあげる恍惚の鳴き声であった。もし思春期の少年が耳にしてしまったとしたら、きっと夜毎思いだし、幾度となく淫魔の誘惑に屈するに違いない。しかも一晩で二度も、三度も…。

 それほどまでの淫靡を、この年長の姉は身体中から発散しているのだ。涙ながらにスクルドを見上げて哀願するウルドは、誰の目にも明らかに発情しきっている。あろうことか間もなく絶頂に達してしまいそうでもあった。

 前髪は興奮の汗で額に張り付き、頬から耳からは紅潮しきりであり…

 窮屈そうにのけぞり、突き出すようにされている乳房は熱く、濃桃色の乳首も痛ましいほどに張りつめており…

 レースがあしらわれた白のTバックショーツに包まれた腰は…スクルドの下で何度も何度も身じろぎし、卑猥な生理現象を堪えるよう膝頭から太ももを摺りっぱなしなのだ。

 事実…ウルドはもう、その豪奢なショーツを汚していた。

 ウルドの内側に隠れていた粘膜質の柔肉は情欲ですっかり腫れ上がり、ぷつぷつと性毛の生える外側の肉を割ってせり出しているのである。その様子が透けて見えるほどに…女神が漏出してしまった愛液はショーツのあて布を越え、じっとりと染み出ていた。透ける布地にぴっとりと張り付いた裂け目は萌えるような桜色をしており、薄褐色の肌、そして白いショーツとのコントラストで今や絶妙な淫靡さを漂わせている。

 せめて…そんな恥ずかしい状態を視認される前にスクルドを止めなければ…。

 理性を総動員させたウルドはどうにかこうにかスクルドの両手をつかみ、思い詰めたように唇を噛み締めてイヤイヤした。そんな何気ない身動きひとつでも腰の中の細い花筒はジクンジクンうずき、ウルドに過剰な吐息を漏らせてしまう。

「スクルド…ほっ、ホントにお願いだから、もうやめて…。あんた、酔っぱらってるんでしょう?今やめないと、あ、後で…ひどいんだからっ…。」

「ふふふっ、そんな潤んだ声で言われても、少しも迫力ないわよ…?」

「や…いやあっ!!やめてっ!!そこだめえっ!やだ、やだあっ!いっ、イクとこ…見せたくないっ…!!」

 欲情を隠しきれずに上擦った声で脅してもスクルドにはいささかも効果なく…それどころかスクルドはなおも愛しげに目を細めると右手でウルドの前髪を退け、彼女の額を…青い逆三角形の聖痕を剥き出しにした。スクルドの行動が何を意味するものかを刹那で悟ったウルドは声を震わせ、激しくかぶりを振って泣きじゃくる。

 それでもスクルドは容赦なく、自らも左手で前髪を退けて二重逆三角の聖痕を露わにすると、そのままウルドの聖痕とぴったり重ね合わせた。ちょうど発熱を確認するようなしぐさであるが、それだけで二人はぴくんと身体を震わせ、唇から小さな悲鳴を漏らしてしまう。

「いひいっ…!!あ、いや…い、イッ…!!」

「…イッちゃいそうなんだ、ウルド…。」

「ん、うんっ…!だからお願い…イキそうだから…見られたくないから…!!」

 触れ合っただけでスクルドも白い頬をほんのり赤く染め、吐息を熱くさせてしまう。ウルドなどはあからさまに狼狽えてしまい、スクルドの二の腕に爪を立てるよう強く握りしめたりする。

 女神の象徴である額と目元の聖痕は一種のセンサーとしての役目も担っている。

 自然の意志、精霊や妖精の声、あるいは人々の想いなどを敏感に感じ取ることができるため、ひとたびそこに強い想いを込められれば彼女達は喜びに胸を弾ませ、悲しみに涙腺を緩め、怒りに身を震わせるのである。なまじっか言葉を交わすよりも手っ取り早く意思の確認を行うことができるというわけだ。

 また、女神の聖痕は彼女達にとっては特に敏感な性感帯でもある。想いを込めて口づけられたり、愛情をもって抱擁されれば…たちまち狂おしいまでに発情をきたしてしまうことだろう。

 そんな触れられるだけでも身悶えしかねない聖痕どうしを重ね合わせてから…スクルドは快感に堪えるようきつく目を閉じているウルドにささやきかけた。

 それは、ずっと以前から年長の姉に対して抱いている純粋な気持ち。

 たとえ一時のケンカで嫌悪の言葉を吐いたとしても、それだけは偽りきることのできなかった穢れのない真心。

「ウルド…ベルダンディーお姉さまとは別に…あたしの憧れの、お姉さま…。」

「ちょ、急になにを…!?」

「ウルドお姉さま…好き、大好き…!いつもケンカばかりしてるけど、あたしわがままばかり言ってるけど、大好きだよっ…!!」

きゅんんっ…。

 呼吸を熱くしているスクルドの気持ちが聖痕から伝わってきて、ウルドは照れくささでひどく狼狽した。末妹のひたむきな想いに感動し、胸の奥が急激に締めつけられる。

 そしてスクルドは…感極まった声でウルドに告白しながら、姉の聖痕に強く口づけた。濡れた音を立てて唇を押し当て、望むままに吸い付く…。

ぴちゅ、ぷちゅっ…ちゅ、ちゅちゅうっ…。

「ひっ、ひいっ!!ひいいっ…!!あっ、すくる、スクルドっ…いっ、イクッ、イクッ!!イクうっ…!!」

 ウルドがかわいらしい鳴き声を室内いっぱいに響かせ、刹那で巡らせた身体中の緊張を解き放つには十分以上の愛撫であった。

ぢゅむっ…びぢゅ、ぶぢゅっ…

 か細い悲鳴をあげて意識を閃光のただ中に突入させてしまったウルドは…最後にうずききったヴァギナを強烈に狭まらせ、濡れたショーツの中へ立て続けてしおを噴いた。じっとり透けて見える女性の裂け目から、ぬみっ、ぬみっ、と愛液が素通ってきて…尻の谷間へとサラサラな水飴のように滴り落ちる。

「ひっ!ひぁ、あひっ…ひぁ、ふぁあ…はぁ、はぁ、はぁあ…う、うううっ…」

 幼い妹に愛撫しぬかれて…妖艶な年長の姉は軽いエクスタシーに達したのだ。上擦らせた悲鳴を荒い呼吸に混ぜて繰り返し、またがるスクルドを持ち上げるようにしてのけぞっていた身体を脱力させ、グッタリと伸びてしまう。

 心地よい温もりに包まれ、身体中の細胞が絶頂感で活性化したような感覚がいつまでたっても終わらない。意識はとてつもなく大きな法悦を少しでも多く受け入れることに専念しているのだ。恥ずかしい姿を隠すだけの余力もなく、ウルドはもはやTシャツから剥き出された豊かな乳房を呼吸にあわせてふよふよ揺らすだけとなる。

「あは…ウルド、イッちゃったんだ…。ウルドのイク時ってこんなになっちゃうんだね、なんかウルドの顔、いつもより素敵な感じ…。」

「いや…見ないで…恥ずかしい…っ!」

「恥ずかしがることないでしょう…?女の子だもん、一緒だよ。」

「そんな、同性だから大丈夫とかの問題じゃないわよ…!」

 スクルドの舞い上がったようなはしゃいだ口調の感想に、ウルドは恥じらって顔を背けるものの…両目はすっかり甘えたものになっており、エクスタシーの衝撃に酔いしれていることがすっかり潤みきった瞳から見て取れる。

 しかし、女性としての悦びを得た瞬間の表情というものが、かくも悩ましく、かくも満ち足りて見えるものだとは…。

 スクルドは想像もできなかったウルドの姿に一層の興奮で胸を高鳴らせた。目眩を覚えるほどの動悸はスクルドに息苦しさを、そして蒸し暑さを覚えさせる。

 スクルドは絶頂の余韻で恍惚としているウルドから下り、チェックパターンのパジャマのボタンを上からひとつひとつ外して…汗ばんだ白い肌を外気に馴染ませようと、さながら脱皮するようにパジャマの上着を脱いだ。手首を返して部屋の隅に放ると、スクルドの上半身はもはや飾り気の少ないTブラのみを身につけた姿となる。

 そのままズボンのウエストにも手をかけると、小さな女神は躊躇うことなくズボンを下げ、上着同様無造作に放った。片手で艶やかな黒髪を横に流したスクルドは、これで上下お揃いの下着だけといった格好だ。

 Tブラもショーツもライムグリーンと白のストライプであり、デザインも女性の色気とはほど遠いものではあるが…まだまだプロポーションが発展途上であるスクルドが身につけると実によく似合う。

 白くて小さな肩。力仕事が苦手そうな細い腕。

 なだらかな隆起を見せる乳房。比較的細身のウエスト。

 まろみを帯びつつあるヒップ。膝を合わせると股間に隙間のできる太もも。

 なんとも健康的で愛くるしいぶん、下手に豪華なブラジャーやTバックショーツなんかよりもスクルドには断然似合っているだろう。

「さ、ウルドも脱ぎ脱ぎしようねぇ…。」

「だめ…これ以上はもう…。ほら、あたい達…姉妹なのよ?おかしいじゃない…」

「そんな妹で気持ちよくなっちゃったのは誰かなぁ…?」

「そ、それは…」

 普段では決して人前にさらすことのない姿となったスクルドは再びウルドに顔を近づけ、甘い声で耳元にささやきかける。エクスタシーの余韻から少しずつ覚めてきて、それに応じて理性も回復してきたウルドは妹の瞳を真っ直ぐに見つめながら説得を試みた。

 脱がされようものなら…下着を濡らしていることまで判明してしまう…。

 いや、それはもうすでに気取られているかもしれないが…せめて発情して腫れ上がっている裂け目だけは見られたくない。

 ウルドは気力を振り絞り、どうにかこうにか上体を起こしていざるように逃れようとしたが…その前にスクルドに背後を取られ、為すがままにばんざいさせられてしまう。

 衝撃は軽かったとはいえ、エクスタシーに飲み込まれたことは事実なのだ。動きや反応が緩慢になってしまうことは避けて通れない現象である。行動のすべてが後手後手に回ってしまい、ウルドは悔しさで唇を噛んだ。

 そんなウルドにはお構いなしに、スクルドは美しい銀髪を引っ張らないよう注意しながら丁寧に彼女からTシャツを脱がせていった。ルーズネックであり、袖も緩やかであったためさほどの困難も要することなくウルドは上半身裸にされてしまう。

「ほぉら…裸になっちゃった。あたしも上、裸になろっかなぁ…?」

「このヘンタイ…!女どうしなんて…信じられない…!!」

「だ、か、らぁ!その女どうしでイッちゃったのは誰なのよ?」

「くっ…!もう、もうやだぁ…!」

 銀髪に鼻先を埋めながら皮肉を繰り返してくるスクルドに、ウルドは肩を震わせて嗚咽した。意識が理性を追い越してしまったことが恥ずかしくて、悔しくてならないのだ。

 泣きじゃくるウルドを後目に、スクルドは予告通り興奮の汗がしっとりと染み込んだTブラを脱ぎ捨てた。微妙なカーブを描いて隆起している真っ白な乳房が、サイズのわりにはさも柔らかそうにぷよん、と揺れる。これで二人の女神姉妹は美しい肢体をショーツだけで覆っている格好となる。

「ほら、頭上げて…ウルドの大好きなキス、いっぱいしてあげるよ…?」

「いや、いや、いやあっ…!もうやめて…あたい、こんなの…」

「素直じゃないんだから…ほぉら、こちょこちょこちょ…」

「いひっ!ひゃあっ…あ、はっ…!?」

 スクルドは膝立ちのままでウルドの前に回り込むと、両手でそっと頬を包み込んで顔を上げさせた。ウルドは泣き腫らした顔までは見せまいと頑なに力を込めてうなだれていたが、スクルドの指先で耳孔をくすぐられるとのけぞるような勢いで頭を上げてしまう。

 思わず声を漏らした無防備な唇をスクルドは逃すことなく、両手でしっかりウルドの顔を押さえてから自らの唇で塞いでしまう。二つの唇は濡れる音を立てて密着し、柔らかくたわんだ。

むちゅっ…くぢゅ…ちゅ、ちゅっ…

「んんっ!!んんーっ!!」

「ふふっ…ちゅ、ちゅ、ぢゅっ…」

 涙目をしきりにしばたかせ、ウルドは再び胸を占めてきた耐え難いせつなさに身悶えした。スクルドが角度を変え、吸い付き具合を確かめるたびにきゅんきゅん胸が痛む。

 復活してきた理性が…スクルドからの熱いキスでとろけてしまうまではさほどの時間も必要としなかった。スクルドの身体をつっぱねるようにしていた両手はやがて、ゆっくりと彼女の背中に回され…そっと抱き寄せるように力がこもる。そうなってしまうと、もうウルドの精神に美徳を叫ぶ余裕は無くなってしまった。心身の寂しさを積極的に癒さんとしてか、むしゃぶりつくようキスに応じてしまう。

ちゅっ、ちゅっ…ちょむ、ちょむ、ちゅむ…ちゅぢゅっ、ちゅぢゅっ…

「ちゅぱ…はぁ、はぁ、ウルド…キス、好きなんでしょ?」

「く、くうっ…!」

「嫌いなら、もうやめちゃおうかなぁ…?」

「だっ、誰も嫌いだなんて言ってないでしょうっ…?」

「じゃあやっぱり好きなんだ。ちゅうするの、大好きなんだよね…?」

…こく、こく…

 悔しそうに視線をそらしたウルドであったが、胸を苛む焦燥感には逆らえなくなったのだろう、きゅっと目を閉じてから何度も首を縦に振った。その一生懸命さはスクルドからの意地悪な問いかけに降伏し、キスをせがんでいるようにも見て取れる。

 そんな姉のしぐさにうっとりと頬を染めると、スクルドは再び唇を寄せて小さく問うた。

「へへへぇ…唇、焦れったい?」

「焦れったい…。ね…キスして…早くキスしてよぉ…!」

 ぎりぎりのところで密着してこないスクルドに、ウルドは口調まで変えてねだった。もちろん自分の方から伸び上がってもスクルドはバックスウェーよろしく頭を引き、容易く唇を触れさせてはくれない。そんな焦らされ方がよほど堪えるようで、ウルドは急かすようスクルドの背中に指を立ててくる。せめてスクルドの小さな身体を抱き締めて焦燥感を紛らわそうと思ったらしい。

 それでもふっくらとしている唇はすっかり貪欲になってしまったらしく…ウルドはしきりに舌を走らせて唇を舐め、口紅ののりを整えるよう上下の唇を何度も何度もモジモジ摺り合わせた。呼吸にはすすり泣くような儚げな声が混じり、恨みがましく潤んだ瞳は真っ直ぐにスクルドの瞳を睨み付けてくる。

 これだけいじましく媚びた表情をされておきながら焦らし続けることができるのは、スクルドが同性でかつ妹であるからこそだ。これがもし男性であったとしたら意地悪したことを即座に詫び、彼女の望むがままに唇を差し出すに違いない。それこそベルダンディーに愛情を貫き通すことを誓った螢一であったとしても理性の崩壊は免れないだろう。

 しかしさすがに涙目になって哀願されては、スクルドもそれ以上お預けをくわすのが忍びなくなってしまう。小さく舌なめずりして唇を湿らせてから、両手でウルドの耳を塞ぐように頭を固定して口づけた。深く、九十度の角度で重ね合うとウルドもスクルドも夢中になって互いをついばみ、吸い付き、唾液をすすりあう。

あむ、はむっ…ちゅ、ぢゅっ、ちゅぷっ…ぢゅぢゅうっ、ちゅちゅっ…

 いやらしく音まで立て、重なる角度を百八十度入れ替えては薄膜を擦りあった。息継ぎする鼻息すらも聞かれることに抵抗感がなくなっている。

 ウルドはもちろんのこと…スクルドもウルドとのキスに浮かされ始めたのだ。ウルドの幾分ぽってりとしている魅惑的な唇は形が良いだけでなく、唇どうしで感触を交わすとたちまち夢見心地を堪能することができる。螢一とも経験済みではあるが、キスには好物のアイスクリームでも楽しむことができない不思議な味があるらしい。

 そのうちスクルドの方から、性的興奮で分泌過剰となった唾液を唇の隙間からゆっくりと染み出させていった。温めたミルクを滴らせるように時間をかけて染み出すのだが、ウルドはそれすらも焦れったいらしく妹のすぼめた唇を頬張るほどの勢いでむしゃぶりつき、繰り返してちゅうちゅうとすすってくる。スクルドが意地悪く唇を引き離すたびにウルドも伸び上がって追随し、執拗に唾液を吸い出そうとするため頬はたちまち二人分の唾液でべとべとになってしまう。

 ひとしきり吸い出され、もう唾液が口腔内に残っていないことをスクルドが舌先で知らせると、ウルドは妹からの生暖かい唾液を自分の唾液と攪拌するようクチュクチュとゆすいだ。カップ酒の味が強く残りながらもスクルドの唾液はほのかに甘く、ウルドは舌の上で転がしてから舌を持ち上げて口蓋に擦り込み、舌の裏に流してから左右にくねらせてまんべんなく唾液の味を口腔内に染み込ませる。

「ん、んーっ…」

「ご返杯、してくれるの?」

「ん…」

「じゃ、ちょうだい…ウルドとあたしの…混ざったやつ…。」

ちゅぴ…ちゅちゅっ、ちゅぢゅっ…

 舌先を走らせて歯茎全体にまで唾液を浸透させてから、今度はウルドの方から混ざり合った唾液をスクルドに送り返した。おとがいをそらすように押さえつけられているため、少しずつ噴き上げるようにする。さながら温水が地面の裂け目から湧き出るようだ。

 もちろんスクルドも姉からの返杯を拒むことなく、唇をすぼめたまま音立ててすすり上げてくれる。空気とともに流れ込んでくる自分達の唾液は何とも言えず不思議な味で、スクルドはウルドに倣って舌をくねらせ、新たな唾液と攪拌させた。

 そしてまた送ったり、送り返されたり…。フェロモンが濃厚に含有し始めているため少々とろみを増してきた唾液は、そのやりとりの果てにかなりの量になっていた。正面を向いて平静を保てば、舌がすっかり唾液のプールに浸ってしまうほどである。

ご、くん…。

 二人の喉が鳴ったのはほぼ同時であった。唾液をちょうど半分ずつに分け合い、ぴっちりと唇を密着させたままで嚥下し…舌の根本にまで味を、フェロモンを染み込ませる。

 唾液を混ぜ合い、そしてそれを飲み干すことは強烈な興奮を誘発することとなり…しばし唇を離して見つめ合った二人はそのまま互いの表情に見惚れてしまう。あたかも強力な惚れ薬を飲んでしまったような心地であった。

「スクルドぉ、今度は舌…ディープキスして…」

「いいよ…。」

くちゅる…

 すっかり甘えんぼになってしまったウルドのおねだりにスクルドは即答し、両手での戒めをそっと解きつつ唇の隙間から濡れた舌を差し出した。唇にそってなぞられると、今度はウルドの方からスクルドの頭を押さえ込むようにしつつ、同様に舌を差し出して突っつきあう。

 固くした舌先で柔らかな感触を楽しみ、ザラザラした表側を擦り合わせながらゆっくり互いへと侵入させた。生暖かくのたうちながら歯茎をまさぐり、やがて交尾するようにくねる舌どうしを覆い隠すように再び唇が密着する。

ちょぷ…ぢゅ、ぢゅぢゅっ…ふぅ、ふぅ…ちょぐ…にょぐ、にょぐっ…

 荒ぶった鼻息をひそめようともせず、ウルドもスクルドも互いの舌へ直接唾液を擦り込んでゆく。右往左往する唾液を嚥下しながら夢中で唇を、舌を吸い…さかんに口中で絡ませあった。

 カップ酒の直接的な味が舌や唾液に混ざってはいるが…ウルドもスクルドも、それぞれディープキスの甘美さに胸をときめかせてしまう。もはや同性であるとか姉妹であるとかの倫理観はその甘美さの前で融解をはじめ、次第に本能が意識を支配し…求めたいがままに快感を望んでしまいたくなった。失恋の痛手を癒し合いたいというスクルドの気持ちも、すっかり愛撫の虜になってしまったウルドとのディープキスのためにすっかり別のものに変質を遂げている。

 ウルドの知らない姿を見たい…。

 ウルドの知らない声を聞きたい…。

 そのために、ウルドを気持ちよくさせたい…。

 性欲…?

 深く舌をもつれさせ、とろりとした唾液を行ったり来たりさせながら…スクルドは遠く追いやられた理性でそんな単語を思い浮かべていた。

 今、こうしてウルドに抱いている好意がベルダンディーに対して抱いているものとは質の異なるものであることには気付いている。

 肉体的、外見的憧憬とでもいうのであろうか。年長に恥じないだけの理想的なプロポーションを身につけているウルドに憧れを感じているのは、今や紛れもない事実だ。

 ただ、それがもう…その魅惑的な身体を思う様に撫で回したい…。

 恥じらいに付け込みながらも気持ちよくさせたい、また、気持ちよくしてもらいたい…。

 そんな衝動を、スクルドの理性は性欲と認識したのだ。もし自分が男性であったとすれば、きっとウルドを思い通りに犯して身ごもらせてしまいたいという気持ちになるのであろう。それは本能から訴えかけてくる生命の欲求でもあるのだ。

 しかし、スクルドの理性は暴走に至る寸前でその性欲を非難し続けている。

 もはや風前の灯火たる美徳が訴えかけるとおり、姉に対して抱いた性欲は忌避すべき衝動であったろう。今までのスクルドでは悪寒すら覚えるような不快な欲望だ。

 それでも、『今までは』と『今は』はまったく意味を異にしている。

 ウルドの汗。ウルドの匂い。

 ウルドの声。ウルドの息づかい。

 ウルドの体つき。ウルドの手触り。

 ウルドの熱。ウルドの唇。

 いわばウルドは生ける媚薬とも呼べるであろう。その強烈な効能は同性で、血の繋がった姉妹であるスクルドすらも狂わせてしまうのだ。

「くは、くぢゅ…ウルド、ちょっと横に…そ、いいよ…」

「かふ、こふ…ん、んんっ…ぢゅ…」

こ、ろん…。

 スクルドはウルドの肩をそっと押し、彼女を畳の上に横たわらせた。もちろんディープキスは文字通り深く深く維持したままであり、ウルドの方からもスクルドの頭をしっかと抱え込んでいるために突き倒されるような衝撃は背中に生じない。

 ゆっくり、ゆっくり…二人の唇に少しでも無粋な隙間が生じないよう丁寧に横たえ、スクルドはそのままウルドに添い寝するような体勢をとった。必然、ウルドの右側で腕枕されている状態になり、スクルドは右手で姉の美しい銀髪に触れる。そのままゆっくり指を埋め、引っ張らないよう慎重に梳いてやった。

 一見ガサツで無神経そうに思っていたのだが…この髪の指通りの良さといったらどうだろう。わずかにウェーブがかかっているとはいえ、真っ直ぐな黒髪である自分並に手触りが良い。

「ちゅぱ…ウルドの髪、きれいで…いい気持ち…。よく手入れされてるぅ…。」

「はぁ、はぁ…ありがと…。ん、そ…もう少し撫でて…。」

「あははっ、ウルドったら気持ちよさそうな顔してぇ…。いいよ、もうしばらくこうしててあげる。髪を触られるの、嫌じゃないの?」

「場合によるわよ…。スクルド、優しいから…すごくいい気持ち…。」

 素直な感想を口にして繰り返し繰り返し髪を撫でてくるスクルドに、ウルドはそっと目を伏せて嘆息した。楽しい夢でも見ているような、なんとも穏やかなウルドの微笑にスクルドは気をよくし、姉のうなじに指を差し入れて長く、時間をかけて髪を梳く。

 さらさらで、つやつやで、なんとも爽やかな香りのするウルドの銀髪。蛍光灯の下で緩やかに流れる様はまるで光の奔流であった。スクルドはウルドの髪が織りなす美しい幻想にすっかり見惚れてしまう。

 また、スクルドの細い指がウルドのうなじに滑り込むたび、ぴくん、と敏感に反応するところもかわいらしい。首筋まで赤らみ、そっと汗ばんでいるところからしてもすでに身体中が性感帯のようになってしまっているのではないだろうか。

「…髪、満足した?」

「ええ…とっても。スクルドにもさせて…。」

「え、あ、あたしはいいよぉ…ハンダとかオイルの匂い、染みついてるよ…?」

「そんなことないわ…。良い香りがするし、あんたの瞳と同じできれいな黒…。」

 ウルドは左手を伸ばすと、スクルドの小さな頭を優しくかいぐりしてからお返しとばかりに髪を撫でた。畳へと流れ落ちている長く伸ばした黒髪を集め、後頭部からすくうようにして何度も何度も撫でては流す。

 スクルドは照れも混じるのか、自慢の髪をそう卑下してみせたが…ウルドの言葉通りスクルドの髪からはシャンプーやトリートメントの甘い香りがたゆたっており、雰囲気に水を差すような鉱物系の匂いがすることはない。

 指に逆らうことなく柔らかく流れる手触りも最高であった。ウルドは同性の髪への愛撫は未経験であったが、そのあまりの撫で心地はくせになりそうなほどである。しかも抱き寄せられては撫でられるときのスクルドのくすぐったそうな表情といったら微笑ましくてならない。

 ただ髪を撫でるだけなのに…こんなにまで甘酸っぱい快感が胸中に満ちるなんて。

 今まで経験した男性がこぞって髪に触れたがった心情にもあらためて納得がいく。きっと自分の髪もそれなりに心地良いのだろう。そして男性を満足させるに足るだけのしぐさを知らずとっているに違いない。

 ウルドからの丁寧な愛撫を受けてすっかりご満悦のスクルドであったが、姉の官能的な身体を感じたい気持ちはいささかも衰えることはない。銀髪を梳いていた右手を戻すと、思い出したように大きく手の平を開いてウルドの乳房を包み込んだ。アンダーバストから撫でるようにして持ち上げると、それだけでウルドは小さく鳴き、髪を撫でていた左手の動きも止んでしまう。

「…まだなんにもしてないよ?」

「も、もうむね、やめて…あたい、弱いのわかってて…!」

「ふふっ…ベルダンディーお姉さまよりも大っきいのに…すごく敏感だから…!」

「ちょ、だ、だめっ!!だめえっ…!!」

ちゅうっ…。

 スクルドは小さく舌なめずりすると再びウルドを仰向けにし、彼女の横からのしかかるようにして左胸にくらいついた。右手で膨らみ全体を下から押し上げ、すぼめた唇でしこった乳首をついばみ…強く吸い付く。

ちゅっ、ちゅっ、ちゅうっ、ちゅちゅっ、ちゅうっ…

「あ…んっ!!はぁ、あっ…、や、やぁっ!やあっ!!」

 乳飲み子のように一生懸命乳首を吸ってくるスクルドの前でウルドは快感に顔をしかめ、激しくかぶりを振って汗の粒を散らした。のけぞるように身悶えすると、空いている右胸が円を描くようにたっぽんたっぽん揺れる。

 スクルドは畳に肘をついている左手で暴れるウルドの右胸を押さえつけ、両手に同じだけの力を込めた。白く細い指が薄褐色の乳房にむにゅっと食い込み、溢れそうになってようやく動きを納める。しかし一方でウルドの身悶えはより強くなっていた。

「お願い、お願いよスクルドッ…!!むね、むね揉まないでぇ…!!」

「ちゅちゅっ…ちゅぱっ…ふぅ、揉んでないよぉ…。暴れるから押さえつけてるだけ…。」

「そっ、それがだめなのっ…!!いや、やっ、あはぁっ…!!」

でろーっ、てろっ、てろっ…ぴちゃ、ぺちゃ…ちょぴ、ちょぷ、ちゅ、ちゅっ…

 嫌がるウルドの声を聞き流し、スクルドはなおも彼女の左胸を摘み上げて乳首への愛撫を重ねた。舌の腹全体で充血している乳輪と乳首を舐め上げ、舌先で乳首の幹をくすぐり、唇で乳首をしゃぶっては再び吸う。母乳など出るはずもないのだが、繰り返して吸われるごとにウルドはおとがいをきつくそらせ、一オクターブ以上も上擦らせたよがり声を遠慮なしにあげている。膝なんかは尿意を堪えるようにモジモジし通しだ。

 それもそのはずで…もはや白のTバックショーツは意味を為さないほどに濡れていた。透けて赤く見えている女神の入り口はジットリとあて布に張り付き、ショーツの布地が吸収しきれなくなった愛液はびちょびちょに尻を濡らしてしまっている。たっぷりと漏出された愛液は、もはや畳の上にいやらしい染みを作っているほどなのだ。

 ただでさえも敏感な胸を揉まれ、なおかつ性感が凝縮して勃起している乳首を間断なく愛撫されては…今度こそ本物のエクスタシーに到達してしまいそうであった。よがり、悶え抜いた果てに失神してしまう姿を妹の前にさらしてしまうに違いない。そんな姿を見せようものなら一生からかいのネタにされるだろう。

「スク…るどぉ…!!こら、ホントに…止め、ないとあっ、後で…」

「…後で、ごほうび?気にしないでよ、ウルドのおっぱい、こんなに美味しいんだもん…。これ以上高望みしないよ…。」

「こ、こらあっ!ね、ホントお願いだから…今度こそ、イッちゃう…あっ、あそこも…熔けちゃう…!!」

「ぜーんぶ熔けちゃって、気持ちいいだけになれたらいいじゃない…。」

「あっ!だめっ!!だめだめだめえっ…いや、いやあっ…!!」

ちゅううっ…ちゅぱっ、ちゅううっ…ちゅぱっ…んく、ちゅううっ…

 頑なに拒み続けるウルドを無視し、スクルドは彼女の乳首に強く吸い付いては引き離し、吸い付いては引き離しを繰り返してから豊満な乳房の狭間に顔を埋めた。胸の谷底にたまっている汗を一舐めしてから唇を押し当て、精一杯強く口づける。

 慌ててスクルドの頭を押し退けようとしたウルドであったが、谷間にキスされた瞬間…洗髪するように指を立てて妹の頭を押さえつけ、のけぞったままでぶるるるっ…と激震した。腰の中からくきゅっ…という微かな音が聞こえ、濡れそぼったショーツの中にさらなる愛液が搾り出される。

「あ…はか、はぁあ…ぅあっ、あっ…うううっ…」

「はぁ、はぁ、ウルド…まだイッてないよね?」

「ぜ、絶対後で…雷撃落としてやるから覚えてなさいよぉ…!?」

 ウルドはかろうじて絶頂感を回避することができたらしく、胸の谷間から顔を上げたスクルドを睨み付けながら息も絶え絶えに脅してきた。しかしその瞳は感涙で濡れきっており、押し殺したつもりの声は情けないほどに上擦っていて塵芥ほどの凄みもない。

「そんな事言ってても、どうだかね…?ほら、ウルド…」

「くっ…悔しい…っ!!」

ちゅっ…くちょ、ちょぶ、ひゅぢゅぢゅっ…

 ウルドの理性は首の皮一枚で生き残ってはいるものの…実質一級神の身体はすっかり興奮で活性化し、意識は性感で悦に入っているようだ。その証拠にスクルドが唇を寄せてくると、歯噛みしながらもキスを望まずにはいられなくなっている。積極的に頭を上げて唇に吸い付き、パン食い競争のように何度も何度もついばんでくる。

 そしてスクルドに頭を下ろしてもらい、舌を差し出してディープキス経由で唾液を吸われるとウルドはすっかりのぼせたようになってしまう。舌をくねらせてスクルドを突き上げつつ、吸い上げられるままに唾液を繰り出した。発情によって唾液は分泌を増しており、それを幼い妹に飲んでもらえることがたまらなく嬉しい。

 ちゅぱっ…と音立てて唇と舌が離れていくと、ウルドは先程までの恨み言はどこへやら、とろん…と瞳を細めて余韻に浸るよう、ふっくらしている唇をそっと開閉させた。

「…ホント、ウルドってキス魔だね。キスしてるときの顔、すごいかわいいよ…?」

「…知らないっ、そんなこと…!」

「ふふっ、さっきはキスしてぇ、なんておねだりしてきたくせにっ…!」

 すねてそっぽを向いたウルドの頬にもう一度キスしてから、スクルドは乳房を押し上げていた右手をゆっくりとずらしていった。適度な脂肪を蓄えつつ滑らかにくびれているウエストを撫で、じっとり汗ばんだ感触を確かめながら…畳から少しだけ浮き上がっている背中に指先を忍ばせる。

 きゅっと反らされた背筋を中指でなぞり、そのままショーツのウエストに触れた。尻の谷間に滑り込むよう中指をショーツの中に進めると、ウルドはスクルドの右腕をつかんで深刻な表情でかぶりを振る。両目にはありありと怯えの色が拡がっており…そのくせ頬は燃えるように真っ赤だ。目元や額の青い聖痕も、いまやすっかり黄昏色に変色している。

「スクルド…だめ、絶対だめっ…!」

「じゃあ…前からならいいの?」

 頑なに拒み続けるウルドをあしらうよう何気ない調子でそう言うと、スクルドはウルドのショーツに差し入れた中指をそのままへその下にまで移動させた。ショーツの跡をなぞるようにして指先が腰を半周してくると、ウルドは一際声を大きくして恥じらう。

「だっ、だめっ!!だめだめえっ!!下げないでえっ…!!」

「そろそろ…本気でいくね。」

「本気って…ひっ、痛っ…あっ、やああっ!くあっ、はあぅっ!!」

 スクルドは左手に力を込めてウルドの乳房をさらに強くつかみ、姉の意識が胸へとそれた隙を狙って右手を股間に進めた。手の甲でショーツの前を押し上げつつ、湿った性毛を包み込むよう人差し指、中指、薬指で恥丘を指圧する。

ぷにゅっ、ぷぢゅっ…むにゅっ、むにゅっ…

「いっ、ひいっ!!ひ、ひぐっ…ひゃ、ひゃあっ…!!」

「…あたしのよりずっとモリモリしてて柔らかいね…。でもウルドの毛って、濃くって固いな、手の平の中で…しゃりしゃりしてる…。」

 誇らしげに隆起している恥丘を人差し指と薬指で両側から挟み込み、裂け目へと繋がる筋に中指を添わせて優しく揉むと、ウルドは腰を引くようにしてさらにさらに背中を反らし、高い声でよがり鳴いた。痙攣するように身じろぎするたび、解放された左胸は波打つように大きく暴れる。

ちゅぷ…ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…

 スクルドは女神の丘の手触りに陶酔の声を漏らしながら、そっと目を伏せてウルドの右胸にむしゃぶりついた。スクルドも姉のよがり様に興奮を覚えてきたらしく、色白の頬をほんのりと染め、ほろ酔い加減のようになって乳首を立て続けに吸う。

 左胸に続いて右胸までも赤ん坊のように吸い付かれ…さらには焦れったさが頂点に達している女性の中心までもを愛撫されてはウルドの我慢にも限界が訪れるというものだ。瞬間、きゅっと目を閉じて恍惚の涙をこめかみに伝わせる。

「ひくっ…!!いっ、イクッ…!!イクぅっ…!!あっ!あはっ!!あああっ…!!」

ぶぢゅちゅっ…。

 縮こまるように足の指を曲げ、両手で畳に爪を立て…ウルドはショーツの中、スクルドの指先へ盛大にしおを噴かせた。恍惚の悲鳴とともに腰の中の細い筒は最強最後の収縮を示し、下肢全体に激震を走らせる。

「あはっ…あっ、うぁ…う、ふぅ…はぁ…ふぅ…」

「…はぁ、はぁ、ウルド…イッてる…。」

 乳首を吸い尽くしたスクルドが唖然としてつぶやいた通り、ウルドは達していた。本物のエクスタシーにまで登り詰めてしまったのだ。

 ぴくん、ぴくん、と痙攣し、不安定な深呼吸を繰り返すたびに迫力あるバストはふよんふよん揺れ、ウルドの全身からあらゆる緊張が解けてしまったことを物語っている。

 顔は紅潮しきっており、のぼせたような瞳は感涙で潤んだままあさっての方向を見つめていた。口許はだらしなく開き、何かを求めているように舌だけがてろん、てろんと無意味にうごめている。

 ウルドの意識は快感で圧壊し、爆発したような真っ白い閃光とともに失神に陥ってしまったのだ。過剰な性感で精神崩壊をきたさぬためのブレーカーが落ちたのである。

 全身くまなく…それこそ腰の中や裂け目、胸や聖痕などの性感帯はもちろんのこと、爪の先からまつ毛の先までなにもかもが気持ちいい。フワフワと実感のない高揚感で恍惚としながらグッタリと脱力して悦に入る。汗ばんだ身体からは濃厚なフェロモンが立ちこめ、同性であるスクルドすらも酔わせていた。

「ウルド…わかる…?」

こ、くん…。

 スクルドの問いかけにもウルドは返事を返すことができず、荒い呼吸を繰り返しながらゆっくりうなづくのみだ。スクルドはあらためて上体を起こし、姉の股間から戻した右腕で額に浮いた汗の粒を拭った。

 

 

 

(つづく)

 

 


(update 99/07/04)