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あたしの中で、一番幸せなのは寝てる時。
食べてる時も幸せだけど、寝ている時は何も考えないですむから。哀しい事も、辛い
事も。何よりも、蒼紫様がいる…。あたしの大好きな蒼紫様…。
今日の夢の中にも蒼紫様がいた。珍しく、笑顔の蒼紫様が。
「……さお……操…」
現実世界から誰かがあたしの名前を呼んでる。
誰よ…せっかく蒼紫様が笑ってくれてるのに…
「…操……操……」
そんなあたしの気持ちを無視して、声はあたしを現実に引き戻す。
蒼紫様の笑顔もモヤが掛かったように薄れていく。「……ん…?」
まだ眠い目をうっすら開ける。
そこは真っ暗で、丑の刻あたりの不気味さがあった。眠りに落ちてから、あまり経っ
ていない様に感じる。「…操?」
あれ…?
ぼやけた視界の中に、見なれた顔がある。
夜の冷たい空気に、だんだんとあたしの意識もはっきりしてきた。
「……蒼紫…様?」
間違えるわけの無い、青紫様の顔。
その顔が今、あたしの顔を覗き込んでいる…?
「操」
「……は、はいっ!」
もう一度呼ばれて、やっとあたしは飛び起きた。
蒼紫様も、そんなあたしの反応を見てちょっと驚いたみたい。
「な、なんでしょう?」
あまりにもビックリして、あたしの声は裏返った。
「そんなに緊張しなくてもいい」
蒼紫様の静かな声が、飛び起きた頭には心地いい。
ふぅ…
大きな深呼吸をして、改めて蒼紫様の顔を見た。
わずかな月明かりが照らし出した蒼紫様の整った顔は、夢でも見ているかのように美
しい。蒼紫様が黙ったままだったから、あたしはついうっとりと見惚れてしまった…。
「操…」
呼ばれて我に返ったあたしの視界が、軽く目を瞑った蒼紫様でいっぱいになった。
「え……?」
次の瞬間に何が起こったのか、あたしには理解できなかった…。
‘どうしたのですか?’と聞くはずだった口は何かで塞がれて、肌寒さを感じていた
身体はふわりと温かいもので包まれて……「……ぅん…」
えっ!?ちょっと待って!もしかしてあたし、蒼紫様と……接吻してる!?
蒼紫様の唇の甘さを味わう間もなく、気が付いた時には、唇は離れてた。
唇が重なった時から今に至るまで、飛び出さんばかりに開けていたあたしの目と、唇
が離れてからゆっくりと開けられた蒼紫様の目が合った。「…唇を重ねる時は、目を瞑るものだ」
そう言って蒼紫様はあたしの両瞼に優しく唇をつけた。されるままにあたしは目を瞑
る。「もう一度…」
今度はちゃんと理解した。蒼紫様から、あたしに接吻しているという事…。
そして、今度はちゃんと感じた。蒼紫様の唇の甘さ、柔らかさ、気持ち良さ……
さっきよりの遥かに長い接吻。
あたしの鼓動はみるみる早くなっていく。
とくとくとくとく……
蒼紫様の腕に包まれて、蒼紫様の鼓動も聞えた。
とく…とく…とく…とく…
ゆっくりとしていて、あたしはその2倍くらい。
溶けてしまいそうな甘い接吻。それから優しい鼓動に包まれてると、そこはまるで夢
の中みたい。唇が離れ、蒼紫様と同時に目を開ける。
あたしを抱いていた蒼紫様の腕の力が強くなった。あたしは顎を蒼紫様の肩に乗せた
まま動けなくなる。「蒼紫…様?」
今まで幸せに流されて思いつかなかったけど、なんで蒼紫様がこんな夜更けにあたし
の部屋へ来て、接吻して、こうしてあたしを抱いているのだろう?あたしがするなら
わかるけど……あたしの呼び掛けでその疑問を感じたのか、蒼紫様は耳元でこう囁いた。
「操…おまえが欲しい……」
耳に息が掛かってくすぐったかったのと、驚いたので、あたしの身体がびくんと動い
た。それでも気にせずに蒼紫様は続ける。
「操、愛してる……愛しているよ…」
初めて…初めて蒼紫様があたしを一人の女として見てくれた。今までずっと、あたし
は蒼紫様の妹だった。それ以上に見られることは無いと思ってた…。「蒼紫様…」
あたしの腕が、やっと行き場を見つけた。迷うことなく蒼紫様の背中に手を回して、
負けないくらいに強く強く抱きしめる。「蒼紫様……蒼紫様!」
あたしの頬を、熱いものが流れていく。止めど無く、次から次ヘと。
「蒼紫様ぁ…」
ずっと耳元で「愛してる」と囁いていた蒼紫様が、やっとあたしがしゃくりあげ始めた
ことに気が付いた。身体を少し離して、まっすぐにあたしを見つめる。でも、あたしは涙が止まらなくて
うつむいたまま顔を上げることができなかった。心配そうに蒼紫様があたしの顔を覗き込んで来た。
嬉しくて嬉しくて嬉しくてたまらないのに、とびきりの笑顔を蒼紫様に見せたいの
に、あたしの涙は止まらない。「操…どうして泣く?」
蒼紫様は、その大きな掌であたしに上を向かせて、その優しい唇であたしの涙を拭い
始めた。顎、頬、まだ止まることなく涙が溢れくる瞳、そして最後に、なぜか唇…。
「…ん……?」
今度の接吻は少し違った。重なってる唇に何かが当たる。最初はそれが何だか変わら
なくて、口を開けることをしなかった。「…んっ!」
業を煮やした蒼紫様の舌が無理矢理あたしの口の中に入ってきた。あたしの口内を
弄っていた蒼紫様の舌は、あたしの舌を見つけると勢いよく絡め、自分の口内へと誘
(いざな)う。誘われるまま、あたしは蒼紫様の口内に舌を入れる。蒼紫様がしたのと同じように、
あたしも舌を這い回らせた。蒼紫様があたしの舌を吸う。
そしてまた二人の舌はあたしの口内に戻る。また同じように蒼紫様の舌に吸い付く。
お互いの口の中が、お互いの唾液で満たされた。
あたしは喉を鳴らして蒼紫様の唾液を飲み干す。
甘かった。人の唾液がこんな風に感じるなんて…蒼紫様だから?
何時の間にか、あたしの涙は止まっていた。胸の動悸もおとなしくなった。
「大丈夫か?」
「大丈夫。急に泣き出しっちゃってごめんなさい」
蒼紫様に向かって、あたしは特上の笑顔を見せる。
「嬉しかったの!そう言ってもらえたのも、今のも…」
「…そうか」
あたしにつられたのか、蒼紫様も笑顔になった。
そこで初めて蒼紫様の全身をゆっくり見まわす。
蒼紫様にしては珍しい薄手の着衣が胸元ではだけ、普段は見えない鎖骨と胸板が覗い
ている。蒼紫様のこの格好は……?
思い当たることは一つだけ。蒼紫様はあたしが欲しいと言った。つまり…あたしは蒼
紫様に抱かれて、処女を捧げる……いつかそうなりたいと心から願っていたことが、今起ころうとしている?
それなのに急に恐怖が膨れ上がってきた。あたしの胸の中に黒いうねうねしたものが
広がる。あたしは努めて表に出さない様にしながら、自分の格好も見てみる。
いつもと同じ、純白の衣。しかも、地肌の色が透けそうなくらいに薄い。
薄いことから連想されて、あたしはいつだったかお近さんに言われた言葉を思い出し
た。『操ちゃん、胸が透けてるわよ』
今あたしが身に纏ってるのも同じ…って事は胸が透けてる…?
あたしは慌てたけど、もう遅かった。蒼紫様の視線は真っ直ぐあたしの胸に向かって
いた。蒼紫様は胸元を隠そうとしたあたしの手を掴んで、後ろへと押し倒した。
ちょっと乱暴で、あたしは勢い良く倒れてしまった。
「操…」
あたしの名前を呼んでから、軽く唇を合わせる。
離れた蒼紫様の唇があたしの首筋に触れた。最初は優しく当てる程度だったのが、だ
んだん強く吸い付くようになった。「…ぁ…ん…」
背中を何かがなぞった様ににぞくぞくした。でも嫌じゃなかった。
唇が少しづつ下に向かい、鎖骨を捕らえる。さらに下へ進む。
「……蒼紫様……だめ…」
「何が?」
あたしの呟きに、蒼紫様の動きが止まった。
「…恥ずかしい…」
やっとの思いでそう答える。でも
「恥ずかしくない」
そうあたしの意見を一蹴すると、再び動き出した。
とは言っても、鎖骨を少し過ぎた辺りからは着物が邪魔で進めないらしくて、また動
きが止まった。蒼紫様は顔を上げて、あたしを真っ直ぐに見つめる。
「操…脱がしていいか?」
「えっ!?」
あたしは、脱がされるだろうとは思っていたけど、まさか許可を求めて来るとは思っ
てなかった。恥ずかしくて、何も答えられない。
蒼紫様はしばらくあたしの返事を待ってた。じっと、ちょっと切なげな瞳で。
何か答えなきゃ、とは思ったけど言葉が出てこなくて…。
「わかった…やめよう」
蒼紫様はあたしが何も答えないのを否定と思ったみたいで、ゆっくりと身体を起こし
て離れようとする。「ま、待って!!」
あわててあたしは蒼紫様の、背中辺りを引っ張った。
さら…
「あ……」
「……」
蒼紫様と離れたくなくて、つい強く引っ張ったせいで、蒼紫様の着衣が脱げた。
思いがけない蒼紫様の裸の上半身が目に飛び込んでくる。
「操……」
さすがの蒼紫様も驚いて、自分の露になった身体と、蒼紫様の着衣を握り締めたまま
固まってるあたしとを見比べている。「ご、ごめんなさい!」
あたしもあわてた。
「いや、気にするな……」
蒼紫様は本当に気にしてない様に見えて、あたしはホッと胸を撫で下ろした。
よしっ!
あたしは思い切って立ち上がった。
シュルッ…
覚悟を決めたら何も怖くなくなって、続けて帯を解く。
「お、おい…」
あたしには蒼紫様の声も聞えなかった。
ぱさ…
大好きな蒼紫様の前で、あたしは全裸になる。
はっきり言って身体に自信は無いけど、蒼紫様が望むのなら、全てを捧げたいと思っ
た。「操……綺麗だ」
全裸のあたしを見られてると思うと、やっぱり恥ずかしかったし、『綺麗』だなん
て…蒼紫様はあたしの手を取ってあたしを座らせた。
急にあたしの全身から力が抜ける。張り詰めてた緊張が一気に解かれてあたしは動け
なくなった。身体が燃える様に熱いのに始めて気が付いた。足の先から頭の天辺まで真っ赤だ。
「無理しなくて良かったのに」
動けなくなったあたしの身体を、蒼紫様が包む。ちょっと体温の低い蒼紫様の胸に顔
をくっ付けたまま、あたしはまた蒼紫様に押し倒された。今度は、優しく。大分顔の熱が下がったところで、蒼紫様はあたしに口付けした。
「止められなくなっても、いいか?」
唇が離れて、それだけなのにすごく切ない。今までは会えないことが切なかったの
に。もう、何もかもを蒼紫様に任せよう…
「蒼紫様…蒼紫様だから、なんだって平気…」
言って蒼紫様の唇を求める。
唇が重なってる間に、蒼紫様の手はあたしの胸に触れた。
びくんっ
首筋を吸われた時よりも大きな衝撃だった。
「っ……あん…ん」
唇が離れて声が出て、また重なる。
蒼紫様の手は、あたしの小ぶりな胸を優しく撫で回す。掌全体だったり、指先だけ
だったり。ついに蒼紫様の指が頂上ヘたどり着いた。
ぷっくりと突き立った乳首を蒼紫様の指が摘む。
「んんんっ!!」
唇を重ねたまま、蒼紫様の舌と絡まったまま、あたしは声にならない叫びを上げた。
いつまでも舌を絡めていたかったけど、声が出ないもどかしさから、あたしは蒼紫様
を見上げて助けを求める。目で必死に訴えてるあたしに気付いていながら、蒼紫様は決して唇を離してはくれな
い。それどころかさらに強くあたしの唇に吸い付いて来る。その間も蒼紫様は指先であたしの頂を転がしたり、つねったり、突ついたり……。
蒼紫様のいじわるっ!
頭の中で叫んだ時、やっと蒼紫様は唇を離した。あたしの口内は蒼紫様の唾液でね
ちょねちょ言ってる。「ハァ…ハァ…ハァ・…」
あまりにも激しい接吻と全身に走る刺激で、あたしの呼吸は乱れてた。
離して欲しかったはずなのに、いざ離れてみるとあたしは蒼紫様の唇が欲しくてたま
らなくなった。ここまで来ると恥ずかしいとかの感情なんて無くなってた。
「ハァ…あ、蒼紫様……もっと……」
あたしの素直な喘ぎ声に蒼紫様は珍しくくすっと笑った。
「ちょっと待ってなさい」
あたしの唇を離れた蒼紫様の唇は、迷いもせずに指先で遊んでいた胸に向かう。
指先と唇の位置が入れ代って、指があたしの口の中に入り込む。
本当は舌の方が良かったけど、指も気持ち良かった。舌よりも機敏な動きであたしの
口内を滑り回るから。胸の方もすごく気持ち良くて、意識が飛びそうになった。
あたしの二つの小山の麓を舌が舐めまわって、所々に真っ赤な印を刻み込んでいく。
麓が一通り終わると、少しずつ山を登り始めた。その途中にも印をつける。
あたしの頂まで後ほんの少し、もうすぐもっとすごい快感がくる。そう思うといても
たってもいられなくて、声が出ない変わりに蒼紫様の頭を自分の腕で包んだ。なのに、蒼紫様は頂の寸前で動きを止めて、あたしの顔を見た。
「舐めて欲しいか?」
本当にいじわるだと思った。舐めて欲しくないわけがないじゃない。
たぶん、蒼紫様はあたしが恥ずかしがるのを見たがってるんだと思う。
でも残念でした。あたしはさっきので迷いも恥ずかしさも消えていたから、迷うこと
なんて無かった。唾液でべたべたになった蒼紫様の指を引き出して、
「うん、舐めて……」
「え……」
あたしは正直に答えたけど、蒼紫様はちょっとつまらなさそうだ。小さな子供みたい
に、すねた目をしてる。「でも、優しくね……」
このあたしのお願いは、言わない方が良かったかもしれない。
聞いた瞬間に蒼紫様の目が輝いて、勢いよくあたしの頂を口に含んだ。
「はっ…ん…ああんっ!!」
その勢いのまま、蒼紫様は舌を小刻みに動かして頂を弄ぶ。舌で転がしたり、強く吸
い付いたり。それから
かりっ…
「やんっ!」
ビクッ!!
雷に打たれたと思った。あたしの身体が大きく跳ねて、何が何だかわからなくなる。
かりっ…
ビクッ!!!
痙攣したまま息がうまくできない。目眩もしてきた。
「…あ…あぁ…」
蒼紫様があたしの頂から唇を離すのを感じた。
「…操!?」
顔は涙でぼやけてほとんど見えなかったけど、蒼紫様の声はかなり焦ってる。
あたしはようやく自分の力で呼吸を始めたけど、何も答えられなかった。
蒼紫様があたしに口付けた。
「けほっ…けほっ…」
「操……大丈夫か!?」
蒼紫様は心配そうな顔を崩さない。
何か答えなきゃ…
あたしの胸が激しく上下してるのが、自分でもわかる。
「も、もう…大丈…夫……」
やっと蒼紫様の緊張がほぐれて、あたしをぎゅうっと、強く抱きしめた。やっぱり蒼
紫様の胸の中が一番落ち着く。「すまない。俺が大人気なかった。そんなに驚くとは…」
この時になってやっと蒼紫様があたしの頂に噛みついたってことを理解した。
「すまない、もうやめよう。本当に、これ以上やると自分が止められなくなる」
「やめないでっ!!」
「でも…」
「やめないで…さっきの、気持ち良かったよ。それに…あたし蒼紫様のものになりた
い!」あたしは必死で食い下がった。ここまで来たのに。
急に何かが太股辺りに当たった。生暖かくて、ちょっと堅い…
「操…本当にもう止まらない。わかるだろう?」
蒼紫様はあたしに自分のものを触らせた。生まれて初めて触った、愛する人の勃起し
たもの。じいやとオカマのは見たことあったけど、触ったことなんて……
蒼紫様はあたしの片手じゃおさまりきらないくらいにおっきくて、それがあたしの中
に入って来ると思うとゾクゾクする。でも、全然怖くない。「わかるよ。もう一人の蒼紫様がいる…」
見えなかったからうまくできてないと思うけど、あたしは一生懸命蒼紫様を愛撫す
る。優しく、丁寧に。すぐに蒼紫様が入って来ると思った。
けど蒼紫様はあたしの手を離して、股を優しく撫で出した。
ゆっくり上へ上がって…
「ひゃっ!」
ついに蒼紫様の指があたしにとって一番触って欲しかった場所に到達する。
一瞬触られただけであたしのあそこは熱を持つ。胸を触られたときよりも熱い。
あたしの反応に、蒼紫様はちょっと戸惑った様で、掌全体を使って優しく撫でるよう
になった。あたしのあそこ全体が蒼紫様の手に包まれて、全体が同じように熱くなる。
ぺチャ…
あたしのあそこからいやらしい音が響いてくる。
「あっ…」
あたしは思ってたよりも愛液を漏らしてた。自分がすごくいやらしく思えた。蒼紫様
の掌全体がすぐに濡れる。一度蒼紫様は手を離した。
「??」
なんで蒼紫様が動きを止めたのかわからなくて、あたしはちょっとつらかったけど上
体を起こしてみた。自分の足の間から蒼紫様が見える。
蒼紫様は自分の手に付いたあたしの愛液を舐めてた。
「えっ…!?」
思わずあたしは叫んだけど、蒼紫様は全く気にしてないように、
「おまえの愛液だ。おまえのものなら、どんなものであろうと俺は拒まない」
って答えた。
自分の手を舐め終わると、少し考えてからあたしを見た。
「今度はこっちを舐める。驚くなよ?」
こっち…って、直接って事!?
ぺチャ…クチュ…クチュ…
「はっ…あぁ…っん!」
指先よりもぬるっとした蒼紫様の舌が、あたしの二枚の花びらを開けて、中に入って
来る。自分でもあまり触らない、自分でも知らない部分が、今蒼紫様によって明かされて
く。「あ…はぁ…っ」
蒼紫様の舌が動くたびにあたしの気持ち良さは強く、確かになってくる。
つらい態勢なのも気にならない。あたしはがっしりと蒼紫様の頭を抑えつけて、いつ
までも舐めてもらった。蒼紫様が満足するまでなら、このまま永遠にでも良い。あたしの小さなあそこの突起にも、蒼紫様は目ざとく目をつけて乳首を吸った時と同
じように吸い付いた。表面だけじゃなくて、内側も舐めてもらう。あたしの内側に、蒼紫様の舌が少し侵入
してきて、狭い通路は掻き回される。ヌプッ…ヌプッ…
蒼紫様の唾液とあたしの愛液が混ざり合って、なんとも言えない音を奏でる。
舌がほんの少し入り込んだ時から、あたしの足の先が震え出していた。優しく舐めて
いた蒼紫様も、だんだん激しくなった。それに合わせてあたしの足の震えも強くなる。
意識してないのに太股が痙攣してびくびくと動き、愛液も溢れ出した。
またそれを蒼紫様は綺麗に舐めて、またあたしの足は痙攣して……
「蒼紫様…蒼紫様…」
終わりの無い繰り返しに、あたしは天にも昇る思いに浸っていた。
けど、やっぱり本命が欲しい。
「蒼紫様…」
恥ずかしさは無くなったと思ってたのに、なぜか『入れて』とは言えなかった。言わ
なきゃ、蒼紫様はずっと舐めてるだけかもしれない。「入れて欲しいか?」
あたしは感動すら覚えた。蒼紫様はあたしの考えてることまでわかるんだ!
やっと、あたしは蒼紫様と一つになれる。蒼紫様のものになれる。
嬉しさが奥から奥から溢れて来てあたしを満たす。温かい液が広がるようにゆっく
り、確実に。でも、一緒に出てこなくていいことまで出てきた。
『初めての時って、本当に痛いんだよ!全身を針で突き刺されたみたいに』
誰かが言っていたこと。性に対して興味を持ち出した時に聞いたから、随分昔のこと
だと思う。この言葉と、蒼紫様のあれの大きさを思い出すと、あたしを満たしていた幸福感が少
しずつ恐怖に占領されていく。どうしよう……今更怖いなんて言えないよね…?
「どうした?」
あたしは、無意識に暗い表情をしてしまってたらしい。
これから入れようとしていた蒼紫様の顔にも、かすかな不安が広がる。
「ううん、なんでもない…」
「…本当か?」
蒼紫様の目を、あたしは見ていられなくなった。
嘘をつくのは嫌い。でも、蒼紫様に嫌われるのはもっと嫌い。
そんなあたしに、蒼紫様は接吻する。
正直に言おう。
こんな不安を抱えたままのあたしを抱いたって、蒼紫様は嬉しくないと思う。
「怒らない?」
「怒らない。言ってごらん?」
蒼紫様の優しい真っ直ぐな瞳に吸い込まれそう。
「…やっぱり……怖い。すごく…痛いって聞いたから…」
「優しくする。俺を信じろ」
もう一度蒼紫様はあたしの口付ける。あたしの不安を吸い取る様な、深い口付け。
「……いいか?」
「…うん」
まだ不安はあった。でも、痛みに耐えなきゃ蒼紫様とは一つになれない。それに、い
つかは訪れるのだから…あたしのあそこに、蒼紫様が触れた。
びく……
あたしの身体が強張る。これじゃあ蒼紫様は入って来れない…力抜かなきゃ。
あたしは深い深呼吸をする。大きく息を吸って、ゆっくり時間をかけて吐く。
空気が吐かれるのと一緒に、力も抜けていく。
ズプッ……
力が抜けたの待っていたかのように、蒼紫様が少しあたしの中に入った。
「いっ……!!」
本当に痛かった。下腹部を突き刺すような痛み。まだ少し入っただけなのに。
ズズズッ……
また少し奥に入る。
さっきよりも激しい痛みが襲う。ビリビリとした痺れが下から上へと流れて来た。
あたしの顔が大きく歪んだ。歯を食いしばって、きつく目を綴じて。
「操…操…」
蒼紫様はずっとあたしの名前を呼び続けた。
「蒼…紫っ…つぁっ!」
答えようとした時、最後の、一番大きい一突きが来た。
「っあああぁぁぁぁぁ!!」
黒一色だった視界の中でばちっと真っ白な光が弾けた。
同時に下腹部の痛みも頂点に達した。あまりの痛さにのた打ち回りそうになる。
布団の上の腰が跳ねあがり、曲げていた足がつま先まで反り返り、握り締めていた手
の爪が掌に食い込み、蒼紫様の入り込んだあそこはびくびくと痙攣し、叫びを上げた
口からは喘ぎ声が漏れた。「あう…あうっ」
あたしの中で、自分のとは違う存在が動いているのを感じた。
あたしの最深部まで行き着いた蒼紫様。
「操…?」
何度目だろう、また蒼紫様が心配そうな顔をしてる。
でも、当のあたしは、すごく痛かったけどその中に快感を感じていた。まだ痛みが響
いているけど、あたしの中に蒼紫様がいると思うと、どうでもいい様に思えてくる。「…大丈夫」
あたしの瞳から涙が滲み出してきた。嬉しくて仕方がなかった。
動くとまた刺さる痛みも無視して、あたしは自分からちょっと腰を上下させてみた。
一番奥まで入り切った蒼紫様が少し戻って、また奥を突っつくのが、あたしには気持
ち良くて癖になった。何度も何度も動かしてるうちに、痛みにも慣れて、心地よい刺
激に変わる。次第にもう一つ、あたしは気持ち良いものを感じた。
あたしが腰を左右小刻みに動かすと、蒼紫様は大きく脈打ってあたしを締めつけるの
だ。「お、おい…」
そしてそうやって脈打つ度に蒼紫様が小さくうめき声を上げるのが、また嬉しい。あ
たしが蒼紫様を喜ばせてるんだ。「うっ……っつ…」
今まで聞いたことない蒼紫様のあえぎ声が心に響く。
「操…そ、そんなに繰り返すな…」
「…いや」
あたしは初めて蒼紫様の言う事を聞かなかった。と言うよりも、あたしの意思に関係
なく、身体が快感を求めて止まらない。「操っ!」
蒼紫様がひときはおっきな声を上げた時、
びゅっ…
って音が聞えたわけじゃないけど、あたしの中の蒼紫様から熱い焼けるような精が放
たれた。「んぁ?…くっぁんん!!」
落ち着いたと思ってた痺れが、熱でまた力を盛り返す。でも、今度は全体じゃなかっ
た。蒼紫様の先っぽのさらに先、体の中のことはよく分からないけど多分子宮の辺り
だと思う。そこだけがひりひりした。びゅっ…びゅうぅ…
「蒼紫さまぁぁぁ!!」
そんなあたしの身体の中のことが、蒼紫様はわかるはずがない。止まるどころか放た
れる量も、勢いも強くなった。あたしは息が上がって苦しかった。閉じたままの瞼の裏で、色とりどりの花火が弾け
る。綺麗なのかもしれないけど、花火が弾けるのは痛みの突き刺さる時だったから、
全然記憶には残ってない。焼けるような痛みを何とかして欲しくて、あたしは蒼紫様に抱きついた。蒼紫様も答
える様に抱きしめてくれた。抱き付いた時に、無意識にあそこに力が入ったみたい。ぎゅっと蒼紫様を締めつけ
た。ちょうど蒼紫様がおっきくなった時で、お互いの力がぶつかる。「うっ!」
蒼紫様の声が聞えた。
「ぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁ……!!」
あたしは何も見えなくなって、意識が飛んだ。
意識が飛んでたのはほんの一瞬の出来事だと思う。「はっ…ぁ!?」
意識が戻った時、あたしの全身は痙攣を起こしてて、息もできなかった。
肺の中の空気を全部出しきったあと、どんなに喘いでも空気がうまく吸えなくて、あ
たしの瞳は涙でいっぱいになる。あたしの中の蒼紫様はおとなしくなってた。
「操…大丈夫か!?」
蒼紫様も息が上がってた。全身で呼吸しながらだけど、あたしよりは落ち着いてる。
でもあたしは相変わらず呼吸機能がおかしくなってて、自力じゃどうしようもない。
蒼紫様はあたしの身体を起こして、背中を優しく叩いてくれた。まるで赤ちゃんをあ
やす様に。あたしの肺がやっと動き出した。吸っては吐いて、吸っては吐いての浅い呼吸を小刻
みに繰り返す。「……大丈夫じゃ…ない…」
何とか声が出るようになったけど、さすがに大丈夫とは言えない。
頂を噛み付かれた時よりも遥かにおっきな衝撃だったんだもん。下から日本刀で突き
刺されたみたいだった…痛くなかったけど「操、まさか……」
今まで感じたことのないあの衝撃は……?
これも誰かが言ってた。性行為の間に一番気持ちよくなることをイクって言うんだっ
て。「あれが…イッたってこと…?」
蒼紫様なら知ってる?
蒼紫様はあたしの問いに答えてくれなかったけど、とにかく気持ち良くて幸せだった
からそれで良いや。蒼紫様があたしを優しく抱きしめてくれた。
蒼紫様の身体もあたしの身体も火が出るくらいに熱い。身体が溶けてくっ付いちゃい
そう。いっそのことくっ付いてしまえばいいのに。蒼紫様は自分の分身を抜いた。ぬちゅ、って音がしたから、下はあたしから出た愛液
と蒼紫様が出した精でとんでもないことになってるかも…でもそのおかげで滑りやすくなってたのかな?抜く時は痛くなかった。ただ、蒼紫様
があたしの中から出て行っちゃって、あそこが寂しくなった。でも…あたし達、一つになれたんだよね?あたし、蒼紫様のものになれたよね?
あたし達の身体の力も抜けて、二人してゆっくり横に倒れる。
蒼紫様、気持ち良かった?あたしのこと、これからもずっと愛し続けてくれる?
蒼紫様なら、ちゃんとあたしの気持ちに答えてくれるよね?
「蒼紫様、今何考えてるの?」
「ん?」
蒼紫様があたしの顔を覗き込んでくる。
いまさら恥ずかしくなって、あたしは蒼紫様の胸に顔をうずめた。さっきまで、何が
あっても恥ずかしいなんて思わなかったのに。思い出してみると、あたしは相当乱れてたかもしれない。いっぱい喘いだし、愛液も
いっぱい流した。「きっと操と同じことだよ…操が抱けて、嬉しい」
恥ずかしさなんてあっさり消えた。過ぎちゃったんだから。それより今の方が大切。
「ほんと?」
思わずあたしが顔を上げたら、待ってたように蒼紫様が唇を重ねてきた。
「ん…」
もう接吻にも慣れた。ちゃんと目を瞑って、蒼紫様を味わう。下を絡めて、お互いの
唾液を飲み干す。「操…操はもう俺のものだ…。決して離しはしない!」
「あたし、ずっと蒼紫様に抱いて欲しかった…。だから、すっごく幸せ!」
物心ついた時から言われたかったこと、やっと聞けたんだね!!
『蒼紫様+あたし=幸せ無限大!!』
これからはこれがあたしの、幸せの定義!!
了
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(updete 2004/04/10)