5(真夜中じゃなくなってる・・・)
彼女がついたのは結局9:00だった。
当然先生にボコボコに怒られ、廊下に立たされた。
竹内大成もその1人だった。
ちなみに、竹内大成が学校に着いたのは亜紀より20分遅れの9:20であった。
理由は登校中に気絶していたからであった。
そう、亜紀に殴られたあと大成は15分くらい気を失っていたのだ。
しかし、彼らはどうやってこの学校に忍び寄ったのだろうか。
正門ではおやじが見張っているし。
かといって裏門はないし・・・。
まあいいや、無視(って良いのかそれで!?)
そしてあっという間に高校の授業が終わった。
このとき、午後3:50であった。
大成と亜紀は一緒に帰っていた。
「はぁ・・・やっぱり休日にすればよかった・・・」
亜紀が言う。
休日にすればというのは、大成とする日のことである。
休日にしておけば寝坊できたと言うことだ。
「・・・・・」
大成は無言だ。
すまないと言う反省の気持ちがこみ上げているかどうかは知らないが。
「・・・・・」
「・・・・・」
2人の間を沈黙が占拠する。
だいたい1分ぐらい黙っていたか・・・。
「じゃあ、私アルバイトがあるから先に帰るわ」
喋りだしたのは亜紀の方だ。
「えっ、今日も!?」
「そうよ、結構大変なのよ。あんたもやってみる?」
「いや、やめとくよ・・・」
何かもの寂しそうに大成は言った。
別れが辛いようだ。
「じゃあ」
「また明日」
そして2人は去っていった。
このとき、午後4:03であった。
その10分後、2人はそれぞれの家についた。
6(・・・・・(;;))
次の日、彼女は普通通りに登校した。
しかし、昨日とはクラスの雰囲気がまるで違うのだ。
何かとくらいムードになっているのだ。
何人かの人は涙を浮かべていた。
しかも、大成の姿が見あたらなかった。
普段ならついている時間のはずである。
「ねえねえ、大成君どうしたの? 今日珍しくまだ来てないけど・・・」
と彼女は友人に言った。
そして、友人はこう答えた。
「大成君が、大成君が、転校しちゃうんだって・・・あーーーーん!!」
次の瞬間、彼女の友人は泣き出した。
号泣である。
それにつられて、1人、また1人と泣いていった。
肝心の亜紀の方は、目の焦点があっていなかった。
そして彼女は腰の力が抜けたように、座り込んでしまった。
彼女の体の中に悲しみと怒りが占拠する。
(どうして、どうして昨日伝えてくれなかったの? 大成君の、バカ!!)
そして彼女の頬を1筋の涙が流れていった。
それは午前8:20の出来事だった・・・。
彼女は高校の授業が終わるまで、ずっとすすり泣いていた。
大成の転校の原因は父の緊急転勤であった。
そう、昨日帰ってきたときに大成はそのことを知った。
あまりにも緊急な転勤であった。
大成達の家族は明日の午前8:00に家を出発する予定だった。
そのために今日は、荷造りをしていたのだ。
転校・・・。
そのつらさは大成にもわかっていた。
大成も家ですすり泣いていた。
「亜紀、亜紀・・・うう・・・」
亜紀としてきた楽しい思い出。
それが彼の頭を走馬灯のように駆けめぐる。
もう午後の8:00だ。
あと12時間後には出発である。
大成は最後の荷物をトラックに入れた・・・。
7(最後の愛)
ホー、ホー・・・。
辺りは真っ暗闇。
そう、夜中が来たのだ。
今は11:30,あと30分すると真夜中の12:00である。
そしてここは坂杉神社。
しかし、こんな夜中だというのに境内の前には女の子が立っていた。
長い黒色の髪、丸形のメガネ、白衣に赤の袴・・・。
そう、坂杉亜紀だ。
彼女の目には涙が1杯浮かんでいた。
彼女はここであった出来事を思い出していた。
初めてので会い、告白、キス・・・。
しかし、もうすぐ大成は彼女の目の前からいなくなる。
「大成のバカヤロー!! バカヤロー!!」
いきなり彼女の口から神社に向かって罵声が飛ぶ。
そして彼女の頬を涙が流れる。
別れのつらさ、そして大成の態度・・・。
彼女はそのことに腹が立ったのだ。
「バカヤロー!! バカ、やろー・・・ううう・・・」
ようやく彼女の罵声がやんだ。
そして彼女は号泣を始めた。
「オレはそんなにバカじゃないと思うけどね」
「えっ!?」
彼女が振り返る。
そこにはあの竹内大成がいた。
竹内大成が亜紀に近づく。
そして、大成の顔が亜紀の顔に近づいたとき、大成は亜紀にはたかれていた。
パァン!!
「うっ」
一瞬、大成がのけぞる。
「バカ、何でもっと早く伝えてくれなかったの? あんたはそんなにあたしを悲し
ませたいの? あんたは、あんたはバカよ!! うう、ううう・・・」
彼女の瞳からまた涙がいっぱいこぼれ落ちる。
しかし次の瞬間、彼女は大成に抱かれていた。
「ちょ、ちょっとあんたなにを? うっ・・・」
次の瞬間、彼女の口は大成の口でふさがれていた。
「うっ、ううう、うむ・・・」
ちょっとずつ彼女の怒りが和らいでいく。
そして大成は彼女を抱き上げて境内に行った。
「ちょ、ちょっと、なにを・・・?」
「なにをって・・・」
大成は彼女をおろして境内の扉を閉めた。
そして座っていた彼女の前に座り、こういった。
「最後にしようよ、亜紀・・・」
「えっ!?」
次の瞬間、彼女の口はまた大成にふさがれていた。
このとき、11:45であった。
(update 99/10/24)