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キエルは、まるで精液を最後の一滴まで搾り取ろうとするかのごとく、ロランのペニスをしごき続けた。
少年の肉棒は、彼女のその激しい手の動きの前にすっかり勢いを失った白濁を一雫先端の鈴割れから零すと、激烈な射精の名残のように、ひくんっ、ひくんっ・・・と痙攣した。
キエルはひくつきが収まった硬直をしごくスピードを徐々に落としてゆき、最後にぎゅっと根本の辺りを強く握り締めると、ようやく強ばりを握っていた手指の力を抜き、ロランの肉竿を解放した。
「「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」」
静まり返った室内に、共に絶頂を極めたばかりの二人の荒い吐息の音だけが響いていた。
二人の流した恍惚の汗の甘酸っぱい匂い。少年の大量に放出した樹液の猛烈に生臭い匂い。そして、美少女が垂れ流した蜜液の卑猥な牝臭。それらが混じり合い、この一見すると上等な趣味の良い空間の内部に充満して、この上なく淫靡なものに変えていた。
暫くの間、二人は最上の愉悦の余韻にどっぷりと浸っているのだった・・・。
「・・・はぁ、はぁ・・・。ん・・・ロラン、もう良いわ・・・。指を抜いて・・・」
キエルはそう言うと、悦楽の名残で気怠い上体をゆっくりと起こした。その声を聞くと、ロランはうっとりと閉じていた眼を開き、彼女の蜜肉とアナルの奥深くまで挿入していた人差し指と親指を引き抜いていった。
「・・・あっ、ふっ!・・・」
ぬちょっ、ず、ぽっ・・・。
湿った音を立てて指が引き抜かれると、キエルは微かに喘ぎ声を漏らした。彼女の二穴は、菊孔は捲り上がって内側の鮮紅色の直腸粘膜を覗かせていたし、秘孔は僅かに口を開いて濃いピンク色のひだ肉を垣間見せていた。その様子は、まるで彼の愛撫の激しさを物語るかのようだった。
キエルは、ロランの両手が乳房と股間から退けられると、完全に身体を起こした。そして、それまで少年の頭を跨いでいた両脚を膝立ちにすると、今度はロランの頭の直ぐ横まで移動して、彼の顔を座ったまま覗き込むような姿勢をとった。
その恰好だと、ロランの眼には自らが放った白濁液が、美少女の端整な顔中に飛び散っている様子がはっきりと映っていた。
「ごめんなさい!キエルお嬢様・・・。お嬢様のきれいなお顔を、僕の汚らしい精液で汚してしまって・・・」
それまでただカーペットの上に横たわっていた少年は、慌てて上体を起こすと、何かキエルの顔を拭うものが無いかとおろおろと探そうとしだした。
「んふ・・・。良いのよ、ロラン・・・。男の方のザーメンって、美容にも良いらしいから・・・。それよりも、黙って見ていて・・・」
彼女はそう言うと、口唇を大きく開いて、でろ〜んと舌を突き出した。そして、舌の上に溜まっていた生臭い牡汁を見せ付けるかのようにゆっくりと転がし始めた。
ロランの白濁は粘度が高く、ぷつぷつと泡だっていた。キエルはその樹液を、口腔の中の唾液と混ぜ合わせながら攪拌した後、口を閉じるとごくり、っと喉を鳴らして一息で飲み下した。
「・・・んくっ・・・。ロランたら、こんなにいっぱい出すんだもの・・・。わたし、びっくりしちゃった・・・」
彼女はそう言って妖艶な微笑みを浮かべた後、今度は顔中に飛び散ったザーメンを指先で拭い取り始めた。
この淫蕩な令嬢にとって、それは生まれて初めて味わう”牡”の味だった。
むせ返る程の生臭さとともに、確かに舌先に感じられる苦み。その美少年の生の味に、キエルは不快感など全く感じずに、むしろそれを味わえたことに悦びすら感じていた。
彼女の顔中に付着した快感汁はまるで固形物のようにどろどろで、キエルが座ってロランを見据えているにも関わらず、垂れ落ちはしなかった。
美少女は鼻先や瞳の周囲にまで付着した精液を、右手の人差し指と中指でこそげ取ると、その指を咥えてしゃぶった。
ちゅっ、ぽっ・・・。
彼の視線は、キエルのその下劣な行為に釘付けになっていた。
こそげ取ってはしゃぶり、またこそげ取ってはしゃぶる。彼女はわざと少年に見せ付けながら、その動作を繰り返した。
キエルのその猥褻な姿を眼にして、あれ程激烈な射精のすぐ後だというのに、ロランの肉棒はまた臍に付かんばかりにそそり立ってしまっていた。
「うふ・・・。ロランたら、またチンポをそんなにおっ立てて・・・。どう?まだエッチなことをしたい?」
彼女はそう言うと、顔にこびり付いていた最後の白濁をこそげ取り、口に含んだ。
「・・・は・・・はい・・・」
彼は僅かに躊躇いながらも、はっきりとそう答えた。
「うふふ・・・。ロランは本当に正直な良い子ね・・・。でも、ダメ。お楽しみはまた次の機会にね」
キエルはそう言った後、立ち上がって後ろ姿を見せると、むちむちと張り詰めた尻を揺らしながら、ロランの前からゆっくりと歩み去っていった。そして、ベッドの脇のサイドボードの横までゆくと、その上に置いて有った洒落たデザインの木箱を持って、また彼の前まで戻ってきた。
「この箱の中に桜紙が入っているから、それでオチンチンをお拭いなさい」
彼女にそう促され、ロランは木箱の蓋を開けて中から数枚桜紙を取り出すと、唾液と先走りの汁と樹液で濡れた淫茎を拭い始めた。
その様子を全裸のまま立って見守っていたキエルは、少年があらかたペニスを拭い終えた頃を見計らって言った。
「さあ、ロラン、今日の遊びはもうこれで終わり。服を着なさい」
令嬢にそう命じられて、ロランは立ち上がるといそいそとカーペットの上に散らばっていた衣服を拾い集めて、直ぐに身に付けていった。
彼が全て服を着終えると、キエルはロランの眼を真っ正面から真剣に見据えながら言った。
「良いこと、ロラン。今日ここでわたしたちがしたことは、二人だけの秘密。絶対に誰にも言わないって約束して」
彼女の台詞を聞いて、少年は答えた。
「は・・・はい。分かりました・・・。約束します」
ロランのその答えを聞くと、それで満足したのか、キエルは表情を穏やかに崩すと言った。
「ロランなら約束は守れるわね。そのうちに機会があったら、また今日みたいに二人で楽しみましょう」
彼女はそう言うと、扉の前まで歩いていって鍵を開けた。そして、扉を開け放つと彼に言った。
「さあ、ロラン。また今度、ね?」
キエルの言葉を聞いて、この密戯が完全に終わってしまったことにロランは幾分意気消沈しながら、開かれた扉から廊下へと送り出されてゆくのだった。
少年が廊下へ出て後ろを振り返ると、未だに全裸でガーターベルトだけを身に付けた美少女が扉を閉めながら言った。
「さようなら、ロラン。とっても素敵だったわ・・・」
微笑みながらそう言って扉を閉ざすキエルの姿を、ロランはただ惚けたように見つめていたのだった・・・。
ロランはまるで雲の上を歩いているかのように、ふわふわとした足取りで自分の部屋がある”はなれ”へと戻ってきた。そして、はなれのドアを開けると、そのまま自室に入っていった。
屋敷の階下へと階段を下りる途中、何度も足を踏み外しそうになった位、彼の足取りは危ういものだった。一階へ下りると執事と出会ったが、執事はロランと眼を合わせようとせずに、そのまま彼の存在を黙殺していた。
少年は部屋へ入って扉の鍵を掛けてからベッドの上に腰掛けると、ふうっ、と一息溜息をついた。つい先程まで、麗しい令嬢と密戯に興じていたことが、まるで夢の中の出来事のように感じられた。
ロランは左手をかざすと、何度か握り締めるような動作を繰り返した。
この手でキエルお嬢様の胸を揉んだんだ・・・。お嬢様の胸、すべすべしていて、すごく柔らかかったなぁ・・・。
キエルの胸乳の感触を思い出すと、少年の股間はまた熱くなってきた。
少年は今度は、右手を鼻先まで持ってくると、人差し指と親指の匂いを嗅いでみた。すると、ロランの指には美少女の匂いが染み付いてしまっていた。
うわ・・・。すごい厭らしい匂いがする・・・。でも、これがキエルお嬢様の匂いなんだ・・・。
美少女の残り香を嗅ぐと、たちまち少年のパンツの中では肉棒が隆々とそそり立ってしまった。
今日終えなければならない仕事は、もう全て済ましてしまっている。また欲情してきたロランは、ベッドの上に横たわると、ズボンのジッパーを下げてパンツの中からもどかしく淫茎を引っ張り出すと、肉柱を握り締めた。
15歳という若さ故か、あれ程の劇的な射精の後でも、彼はキエルとの情事を思い出しながら自慰に耽ろうと思い立っていた。
こんこん・・・。
ロランが肉茎をしごき出そうとした丁度その瞬間、彼の部屋の扉をノックする音が響いた。
情欲に身を任せようとしていたロランは、その音で一瞬のうちに現実に引き戻された。そして、急いでパンツの中に勃起したペニスを苦労して仕舞い込みながら飛び起きると、突然の訪問者に向かって答えた。
「は、は〜い!ちょっと待っていて下さい」
あたふたと慌てふためきながら彼は身支度を整えると、二度三度深呼吸して気持ちを落ち着かせてから扉の前に立った。そそり立っていた肉棒は、突然の訪問者に対する驚きから、もうすっかり萎えてしまっていた。
カチャッ・・・。
ロランが鍵を開けて扉を開くと、そこにはピンク色のドレスを身に纏ったソシエが立っていた。
「ソ、ソシエお嬢様・・・。何ですか?何か僕にご用事ですか?」
彼は内心の動揺を悟られまいとしながら、彼女にそう問い掛けた。すると、ソシエが言った。
「ロランにね、ちょっと大切なお話があるの。中に入っても良い?」
何かを思い詰めているような真剣な眼差しで見つめられながらそう言われて、ロランは断ることも出来ずに言った。
「い、良いですよ。ちょっと散らかってますけれど・・・」
「うん。気にしないで。じゃあ入るわね」
彼は一体どうゆうつもりでこの美少女が自分の部屋までやってきたのか困惑しながら、ソシエを部屋へと招き入れた。
「へえ〜。以外と片づいているじゃあない」
彼女は室内へと足を踏み入れると、興味津々といった様子で部屋の内部をきょろきょろと見回しながらそう言った。
「そ、そうですか?」
ロランは努めて冷静を装いながらそう答えた。
いずれにせよ、自分の部屋にソシエが来ている事が他の使用人たちや家人に知れては、少々面倒な事になる。ロランは用件を聞いたら、直ぐに彼女に出ていってもらえるように扉を開け放ったまま、ドアノブに手を掛けて立った姿勢でソシエに応対することにした。
「ロランって、本当に几帳面なのね。ホント、すごく綺麗に片づいてる」
「いえ・・・。ただ単に物がないだけです・・・」
彼ははにかみながらそう答えると、早速切りだした。
「あの・・・。ソシエお嬢様、ご用件て何ですか?」
「・・・うん。その前にロラン、女の子を部屋に招いておいて、立ち話っていうのも失礼じゃあないかしら?」
美少女にそうとがめられて、彼は慌てて自らの非礼を詫びた。
「ご、ごめんなさい!・・・。じゃあ、そこのテーブルの前の椅子にお座り下さい」
ロランの自室は六畳ほどの広さで、部屋の中央に食事を採る為だけが目的の小さなテーブルが置いてあった。そのテーブルの前には一脚だけ木製の何の飾り気も無い椅子が置いてあり、少年はそこに座るようにソシエに促した。そして、急いで歩み寄ると椅子の背もたれの部分を引いて、彼女が腰を掛け易いようにした。
ソシエはまるでそのように男性にエスコートされることが、さも当然だと言わんばかりの自然な物腰で椅子に座ると言った。
「ありがとう、ロラン。それじゃあ、お話を始める前に、ドアを閉めて鍵を掛けてくれないかしら?」
「は・・・はい・・・」
ロランは何故この美少女が扉を閉ざして鍵を掛けるように命じたのか分からなかったが、黙ってその命令に従った。
彼が扉を閉めて鍵を掛けて、部屋を完全な密室にすると、ソシエが言った。
「こっちへ来て、ロラン。大事なお話だから、ロランも座って聞いて」
そう言われても、ロランの部屋に椅子は今彼女が腰掛けている実用本位な物が一脚あるのみだ。彼は仕方無しに扉の前から移動して、
窓際に据えられているベッドの上に腰掛けた。
ロランがベッドに腰を据えると、ソシエは椅子の位置を座ったまま器用に動かして、少年を真っ正面から見据える体勢をとった。その体勢で、彼女はロランの眼を真っ正面から見据えながら、いきなりこう切りだした。
「・・・ロランは、キエルお姉様のことが好きなの?」
ソシエのその予想だにしていなかった問い掛けに、彼の頭の中は一瞬真っ白になった。
それだけ彼女の質問はあまりにも唐突過ぎたし、何よりもその内容はロランが即答出来る範疇のものでは無かった。
「・・・え?」
彼は何も言葉を発することが出来ずに、ただもう一度ソシエの問い掛けを確認するように惚けたような声を上げた。
「聞こえなかった?じゃあもう一度言うから良く聞いてね。『ロランは・お姉様のことが・好きなの?』」
この美少女は、自分が発揮出来る精一杯の勇気を振り絞って、一言一言区切りながらはっきりとそう言った。
今度は淀みなくソシエにそう言われて、ロランは適当な答えが見付からずに、頬を赤らめて俯いたまま黙り込んでしまった。
「さあ、早く答えて。ロラン」
彼女にそう促されて、少年は暫しの間黙り込んだ後、ようやく口を開くと答えた。
「・・・何て言ったら良いか・・・。もちろん・・・す・・・好き・・・です・・・」
ロランのその台詞を聞くと、ソシエの長い睫に縁取られた大きな褐色の瞳には、見る見るうちにじんわりと涙が浮かんできた。
「・・・やっぱり・・・。ロランもほかの男の人たちと一緒っ!!結局はお姉様を選ぶのねっ!!」
彼女は叫ぶようにそう言い放つと、椅子に座ったまま両手で顔を隠して、ぐしぐしと鼻を鳴らして啜り泣き始めた。彼はその姿を眼にすると、慌てて訂正した。
「ち、違いますっ!僕はキエルお嬢様のことも大好きだし、ソシエお嬢様のことも大好きなんですっ!さっき言った好きだっていう気持ちは、お嬢様たちお二人に対しての、僕の正直な気持ちなんですっ!」
啜り泣いていたソシエは、その言葉を聞くと俯いていた顔を上げて、泣き濡れた瞳でロランの眼を見つめながら言った。
「・・・ホントに?・・・」
「ええ。本当です」
それは、少年の本心だった。何の迷いも無く自らの本心を告白出来たことに、ロランは内心驚いていた。しかし、状況が状況だけに、奥手な彼にしては、これ程あっさりと心の内を吐露出来たのだとも言えた。
ロランの言葉を聞くと、悲しげにほの赤く充血していた彼女の瞳が、まるで普段の明るさを取り戻したかのように輝いて見えた。しかし、直ぐに疑り深そうに眉をしかめると、ソシエは驚くべき事実を告白した。
「嘘っ!!だって、ロランったら、ついさっきまでお姉様の部屋でお姉様と厭らしいことをしていたじゃあないのっ!!」
彼女の言葉を聞いて、ロランは目の前が真っ暗になる程の衝撃を受けた。
・・・な・・・何で・・・何でソシエお嬢様があのことを知っているんだ?!・・・。
少年は青ざめて僅かに唇を開いたまま、虚ろな眼でソシエの顔を見ていた。全身には一気に冷や汗が吹き出てきて、唇と手先は小刻みに震えていた。
「ロランが勃起したオチンチンをお姉様にしゃぶられて、ヒイヒイよがってところだって見ていたんだからっ!!」
美少女の端整な口唇から、そぐわない淫語が発せられる。その台詞を聞いて、最早ロランはソシエの顔を見つめていることが出来ずに視線を逸らすと、俯いてしまった。
胸の鼓動はばくばくと早鐘のように鳴り響き、身体中は冷たい汗にまみれていて、顔は耳まで紅潮していた。
「ロランはお姉様のことが好きだからあんなことをしていたんでしょうっ?!わたしのことが大好きだなんて、そんな言い逃れをしたって、わたしは騙されたりなんかしないんだからっ!!」
少年はその言葉を聞くと、彼女に向かって精一杯抗弁した。
「・・・ち、違いますっ!ソシエお嬢様のことが大好きだっていう気持ちに嘘はありませんっ!」
ロランがそう言い切ると、暫しの間、二人に沈黙が訪れた。
先に口を開いたのは、彼の方だった。ロランはつい先程キエルと交わした約束を破って、ソシエに対して彼女の実の姉と行った密戯を告白したともとれるような発言をした。
「・・・何で・・・何で僕とキエルお嬢様がエッチなことをしていたのを知っているんですか?・・・」
彼がそう問い掛けると、彼女が答えた。
「執事を問い詰めてね、お姉様の部屋の合い鍵を手に入れたの。でね、それを使ってお姉様の部屋の扉を開けて、その隙間からずっと中を覗いていたの。ロランが射精する瞬間までずっとね」
それで執事が彼と眼を合わそうとしなかったのか、納得がいった。
ここまで詳細に事実を並べられると、もうロランには言い逃れできる余地は残っていなかった。彼は本来嘘をつくことが出来ない性格である。ロランは覚悟を決めると、キエルにかたく口止めされていた猥褻行為を自ら暴露した。
「・・・確かに僕はキエルお嬢様とエッチなことをしていました・・・」
そして、それまで俯いていて全くソシエと視線を交わすことが出来なくなっていた顔を上げると、少年は精一杯の真心を込めて、もう一度彼女に対して自分の本心を伝えた。
「・・・でも、僕は本当にソシエお嬢様のことも大好きなんですっ!」
ロランの言葉には、猜疑心に満ち満ちていたソシエの胸にも響く程の力強さが込められていた。
美少年に真摯な眼で見据えられながらそう言われると、彼女の内で凝り固まっていた疑心暗鬼の心は、どんどんと融解してゆくような気がした。
ソシエはロランに間近で見つめられて、頬を赤らめると勇気を振り絞って言った。
「じゃあ、それを証明して見せて。わたしのことを好きだっていう気持ちを、行動で示して・・・」
彼女は椅子にちょこんと腰掛けたまま、彼の方を向いて瞳を瞑って唇を突き出した。その仕草は、明らかに口づけを求めるものだということが、この奥手な少年にも分かった。
突き出されたソシエの唇は、ルージュなど引いていないのに薔薇色に艶めいていた。上唇よりも下唇の方が僅かに肉厚で、全体としての印象は小ぶりであり、まだ大人の女というには幼すぎるが、それでも十二分に魅力的だった。
その魅惑的な唇を見ているだけで、ロランの男心はひどくそそられた。最早自制することが出来なくなった少年は、まるで蜜に吸い寄せられる蜜蜂のように立ち上がると、美少女の唇に向かって顔を近づけてゆくのだった。
お互いに唇を閉じている為に、鼻で呼吸しながら顔を近づけてゆくと・・・唇が触れ合うその寸前でソシエが瞳を開いてロランに言った。
「・・・ちょっと待って、ロラン・・・。ロランの顔から、何かすごく厭らしい匂いがする・・・」
彼女のその台詞を聞いて、彼はつい先程まで自分の鼻先から口の周囲、顎に至るまでキエルの垂らした蜜液にまみれていたことを思い出した。
年上の美少女の体液はもうすっかり渇ききっていたが、強烈な牝臭を漂わせていた。
何故ロランがソシエに指摘されるまでそれに気が付かなかったかというと、長時間その匂いを嗅ぎ続けた為に、匂いに慣れてしまっていたというのが主な理由だった。
「す、すみません!」
少年が慌てて謝ると、彼女は言った。
「ちょっと右手を出して、ロラン」
「は・・・はい・・・」
ロランが命じられるがままに右手を差し出すと、ソシエはその手を掴んで、自らの鼻先へと持っていった。
くんくん・・・。
彼女が鼻を鳴らしながら匂いを嗅ぐと・・・少年の人差し指と親指からも、卑猥な牝の匂いが漂ってくるのが分かった。
「やっぱり・・・。指にもお姉様の匂いが染み付いている・・・」
ソシエにそう指摘されることは、ロランにとってはキエルとの情事を暴きたてられることと同じだった。
「わたし、こんなに厭らしい匂いのするロランになんかファーストキスを捧げたくないっ!!直ぐに洗って綺麗にしてきてっ!!」
美少女のその台詞に、彼は素直に自分の非を認めると、項垂れたまま直ぐに部屋に備え付けてある洗面所の前まで歩いていった。そして、蛇口をひねり、勢い良く出てきた冷水で顔と手を入念に洗い始めるのだった。
ロランは一生懸命顔を洗ってから、今度は右手をごしごしとしごくように洗った。すると、ようやく彼の躯に染み付いてしまっていたソシエの実姉の牝臭は殆ど感じられなくなった。
少年が顔と手の水気をタオルで拭うと、その様子を見ていた彼女が言った。
「これでロランに染み付いていたお姉様の匂いもとれたわね・・・。さあロラン、続きをしましょう・・・」
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(updete 2001/10/30)