悲しみ

 

絶望

 

そしてそこから生まれる復讐の憎悪

 


STRIKE BACK

(ストライク・バック)

〜逆襲〜

作・ALICEさま


目の前でぶちまけられる、ビール、そして豪華な夕食たち。

碇シンジ、その人は目の前の惨状に唖然とするだけであった。

そう彼が精魂込めて彼らに作った夕食達は、彼らの手によって闇に葬り去られた。

ちなみに彼らというのは言わずとしれた、アスカ、そして行かず後家であるミサトの二人のことである。

酒屋から買ってきた『エビチュ』の入った袋が彼の手から落ちる。

〜ここから先はシンジ君の3時間前の状況です〜

「今日は少し豪華にしようかな。」

彼はけなげにもミサトが疲れて帰ってくるのだからせめて美味しいものでも作ってあげようと思っていた。

「シンジ、今日はハンバーグが食べたいなぁ〜。」

彼はアスカがハンバーグが食べたいと言っていたから「国産松坂牛」と「生協の美味しい豚肉」の自分なりに見立てた特別製の挽肉で喜んでもらおうと思っていた。

そうだ、今日はミサトさんが喜びそうなちょっとしたツマミもつくるか。

〜シンジ君、現実に戻りました〜

彼はそんな3時間前にトリップしていた。

「くぅおら〜!」

「なによ!」

『はっ』として現実に戻ると、目を覆いたくなるような惨状。

そしてすぐ側では彼を現実へと呼び戻した聞き為れた二人の声。

「「ちょっと、シンジ(君)聞いてよ!」」

「ミサトの馬鹿がね・・・・・」

「アスカったら酷いのよ・・・・・・・・・・・・・」

二人の声は最早彼には届いていないようである。

「ちょっと、聞いてんの?この馬鹿シンジ。」

彼の目は虚ろである。

当たり前であろう、いつも奇麗に掃除ていた部屋が、自らが作った手料理でコーティングされているのだから。

アスカを無視してのそのそと歩き自分の部屋に向かう、そして誰も入ってこないように襖には縛り棒をする。

そして彼は心の中で誓った。

『明日からはもう家事なんかしない。』

そしてもう一つ。

『どこか別の部屋に移ろう、何処だっていい、父さんの所の方がまだ『ここ』よりはマシだ!』

と彼は思っていた。

ドンドンと襖をたたく音がするがそれすらも聞こえてはいないだろう。

そう彼はストライキの姿勢をとった。

碇シンジ、その人の逆襲、それはアスカとミサトの命に関わることでもあるのだ!

 


次の日の朝 部屋の惨状はそのまま、シンジは何もしないで自分の分だけの朝食を軽く作り、アスカを起こさずに一人で学校へと行く。

その後どうなったかと言うと、アスカは寝たままで十時に起床。ミサトの方はシンジにより目覚し時計が破壊されたため(シンジが朝ミサトの部屋に侵入し、それを実行)午前中は完全に遅刻となった。

 

学校に着くとアスカは怒涛の勢いでシンジに文句を言う。

「ちょっと、あんたなんで今朝起こさなかったのよ!」

シンジ、無視。

「あんた聞いてんの?」

またも無視。

「いい加減にしなさいよ、あんた。ふざけてると・・・・」

とここまでアスカが言うと。

「いい加減にしろだと、アスカ、何言ってんだよ。君の方がいい加減にしてくれよ。授業が聞けないじゃないか。」

とシンジが何時に無く強気になって言う。

『プッツン』

アスカ、切れモード発動。

「くぅおの、ぶぅわかシンジが!!」

アスカの拳がシンジの顔に近付いたときにシンジは、自分の顔を守るように一枚の写真で覆う。 その写真にはアスカが大口を開けよだれを垂らしている写真があった。

するとアスカは切れた顔から、恥ずかしさ一杯の顔でシンジの持っている自分の写真を持って教室を出ていった。

「どないしたんや、シンジ?」

「ホントにお前シンジか?」

と二人の友人に言われるくらい彼は別人だった。

ヒカリは顔を真っ赤にして怒っていたが・・・・・。

「碇君!何やってんのよ、アスカに誤りなさいよ。」

ヒカリがそう言ってもシンジは、

「いやだね、アスカが悪いんだからなんで僕が。」

とまでいって、ヒカリまで敵に回そうとするがシンジは昨日の出来事を事細かにヒカリに説明すると、

「・・・・碇君、ホントによく今まで我慢したわね。」

と同情されるぐらいだった。

その後、アスカは戻ってこなかった。

 

一方、ミサトの方はどうなったかと言うと、同僚からはボロクソに言われ、更には、副司令により減俸2ヶ月を言い渡され、絶望のうちに帰路へとついていた。

その途中に、公園内でパンダの置物に八つ当たりしているアスカを見つけ、二人で帰ったらシンジにどんな復讐をするか思案していた。

 

シンジはというと、手紙を書き終えてまとめ終えた荷物を持って玄関を出たところだった。

ちょうどその時、悪魔二人が載った青い霊柩車が到着したはずだった。

赤鬼二匹は、シンジを囲み今にも殺さんばかりの殺気でシンジを睨んでいるがシンジはそんなものに何の恐れも感じていないのか、さらっと別れの挨拶を言う。

「ミサトさん、今までお世話になりました。今度からマヤさんが僕の世話をしてくれるそうです。じゃ、マヤさんがそこの交差点で待ってますんで失礼します。」

そう、二人はシンジが出て行くと言う突然の事実に固まってしまったので、シンジに復讐する前に、固まっていて何も出来なかったのである。

そして、シンジの止めの一言。

「家事はこれからは自分たちでやって下さいね。」

呆然としている二人を待っていたのは、昨日自分たちが汚しに汚した部屋だった。

これからのことについて真剣に悩む二人の姿がそこにはあった。

 

その頃シンジは

 

「ハイ、シンジ君。ア〜ンして。」

「マヤさん、止めて下さいよ。自分で食べれますよ。」

「そんな、遠慮しないでいいのよ、私達はこれから家族になるんですからネ。」

『ウフフ〜。シンジ君は私のものよ〜。誰にも渡さないんだから!』

「でも・・・恥ずかしいですよ。」

「うっ、そんなシンジ君、私のこと嫌いなのね。グスッ。」

『かっ可愛い、マヤさん、可愛すぎる〜!』

とこんな感じでラブラブ全開の夕食だったそうだ。

 

そしてミサト陣営では『シンジ補完計画』の発動に向けて暗躍していた。

 

 

ps.シンジがミサトの家を出たいといった時、シンジの新しい保護者を巡る争いがあり、その中にゲンドウの名が在ったのは言うまでもない。

 

「碇よ、無理をするのは体に毒だぞ、素直にシンジ君と暮らしたいと言ったらどうなのだ?」

「ふっ、問題無い。全てシナリオ通りに進んでいる。」

『伊吹二尉にはシンジは渡さんよ』

〈ニヤリ〉と笑いその笑いが冬月を引かせたのは言うまでもないだろう。

 

続・・・・・・・・・きません

 


後書き

【なにも言うことはありません。さぁアスカ様、罪深い私に愛のマサカリを・・・・。】

ピィ―― コノ メッセージ ハ イチ マル ビョウゴ ニ ジドウ ショウメツシマス マワリ ニ イル ヒト ハ キンキュウ タイヒ ヲ シテクダサイ。

《ドカ〜ン》

11/2 ALICE


みゃあ偽・アスカ様(笑)他数名の感想らしきもの

 

みゃあ「ぶはははははっ!!なんて間抜けなんですか、アスカ様〜。シンちやんマヤさんに取られちゃって」

マヤ「いやだ、そんな(ぽっ)」

アスカ様「だ〜〜〜〜〜〜っっ!!どやかましいわねっ!だいたいそこの脇役女!でしゃばるんじゃないわよっ!」

みゃあ「…その脇役にシンジくんを奪われたアスカ様って…へっぽこ」

 

どばきゃっ!

 

アスカ様「…るっさいわねっ!!見てらっしゃい、次回は必ず取り戻すわよ。いいわね、ミサト」

ミサト「ええ」

アスカ様ミサト「ふぁいとー、おうっ!」

マヤ「……シンジ君は、渡しません」

ゲンドウ「……くっくっく……」

逆襲1