夜の散歩

 

作・ALICEさま


 

『・・・暑い、眠れない・・・・・窓、開けよ。』

 

アスカがそう思い窓を開けようとカーテンに手をかけたとき、アスカは思わず見とれてしまった。

何人も寄せ着ける事のない月の優しさに。

見とれる事数分、アスカはこの月をシンジにも見せたいと思った。

 

即断即決、アスカはそう思いたつと寝ているシンジの事を叩き起こすためにシンジの部屋の扉を開けた。

 

深夜、しかもすでに2時は回っている。

シンジの部屋は真っ暗だった、アスカはシンジのベッドに蹴りを入れる、だがなにも反応は無かった。

シンジはベッドの中に居なかったのである。

アスカはシンジの事を探した、だがシンジは部屋には居なかった。

だが答えはすぐに見つかった。

 

ベランダである。

シンジは眠れなくなったり、落着かなくなったりすると必ずベランダに行くのである。

 

アスカはシンジに気付かれないようにそっとシンジに近づき脅かそうと思っていた。

アスカはシンジに後もう5メートルという所で止まってしまった。

 

月を見ているシンジに見惚れてしまったのである。

 

夜の風にさらされ揺れるカーテンに写るシンジの影はなんとも言えない表情で月の事を見つめていた。

月もまるでシンジだけを照らしているようにも見えた。

アスカはその時、思った。

 

『まるで女神様みたい。』

 

余りに神秘的な光景にアスカは嫉妬を感じたがそんなものを一瞬にして吹き飛ばしてしまうような、そんな雰囲気がアスカを包み込んだ。

 

「アスカ・・・アスカも月を見に来たの?」

 

アスカの瞳に映る先には月明かりに照らされた、微笑んでいるシンジが儚げに立っていた。

誰かが支えなければ今にも崩れてしまいそうな、そんな感じだった。

アスカは何と言ってよいか判らなかったが無理矢理に何時もの調子戻してシンジに言った。

 

「わたしは暑いから麦茶でも飲みに来たのよ。」

 

アスカはそう言うと、『何であんな事言っちゃうのよ〜。』と思っていたが、シンジはそんなアスカに優しく、

 

「アスカも一緒に月を見ようよ、今日の月は凄く奇麗だよ。」

 

といつものシンジには絶対言えないようなセリフを言う。

シンジはアスカにそう言うと、また月に視線を移した。

アスカはシンジに何も答えられなかった。

今のシンジに語り掛ける事が悪い事のように思えて仕方なかったからである。

だがアスカは何も言わない変わりにそっとシンジの側へと寄って行った。

シンジも何も言わなかったが、そっとアスカの居場所を作った。

 

二人が月を見つめ続けてから数十分経った時、不意にシンジがアスカに語り掛けた。

 

「アスカ、僕らは何処に行くんだろか。」

 

アスカはシンジに答えた。

 

「明日がある限り何処へだって行けるわ。」

 

「・・・・何処へでも行ける、か。」

 

シンジはそう呟くと、自然にアスカの肩に手を掛ける。

するとアスカもシンジに寄りかかる、全てを任せるように。

 

余りに自然に、優しく彼らを包み込んだ夜。

 

それは夜の中のオアシス。

 

月明かりの魔法。

 

そして・・・・・

 

 

 

ど〜もALICEです。

またまた短編ですが、どうでしょうか?

なんとなーく月が奇麗だったから思わず書いちゃいました。

僕の住んでいる所は緯度が日本と似ているせいもあってか、満月の時はウサギが居ます。

遠く離れた地でも同じが月が見れるって、良いですねぇ〜。

これについての感想なんかくれると、うれしいな・・・・・

ALICE 11/13 pm11:09


みゃあの感想らしきもの