作・ALICEさま


 

その日の夜は何故か不思議と静かだった。

 

暗闇の中に浮かぶ青信号の群れはあまりに空虚な雰囲気だった。

 

まるで見えない何かに見つめられているような・・・そんな感じだった。

 

そんな夜中のビル街に、しかも降りしきる雨の中に一人の少年が佇んでいた。

 

少年は何処までも続く暗闇を扇ぎ、見つめていた。

 

少年は飢えていた。

 

少年は脅えていた。

 

そう生きる事に。

 

彼の求めているもの、それは愛でも無く、温もりでもない。

 

彼の求めているもの。

 

それは・・・・・水。

 

生きるための、そして自らを許し、そして心を潤すための水を彼は欲していた。

 

 

 

少年は自らを認めたいのだろう。

 

人として生きる事を。

 

少年は自らを許したいのだろう。

 

人として生きる事を。

 

少年は思った。

 

自由になりたいと。

 

もっと自由になりたいと。

 

誰よりも、誰よりも・・・・

 

片足の鳥の翼よりも・・・・

 

自由になりたいと。

 

 

そして少年は水を求める。

 

自由になるために。

 

自由になるために、少年は雨に打たれる。

 

 

後書き

これは夏の夜のダウンタウンに行った時に、片足の鳩を見て思い付いたモノです。後書きを書くほどのモンでもありませんが、とりあえず・・・・と言う事で。

ALICE 11/8 pm8:20


みゃあの感想らしきもの

 

う〜〜〜〜ん、渋い。

社会派なポエムですね〜。

「自由」と「水」。考えてみれば密接な関係をもったもの同士かもしれませんね。

いいです。みゃあはダウンタウンを訪れたことはないのですが、このポエムを通して

雰囲気が伝わってきたような気がします。

ありがとうございました。