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「へ? え? ええええ?? でえええええええええええっ????!!!!!」
「なっ、なんだこりゃああああああっっ!!!!」
−て、なんでこんな声出してるかというとついさっき
何時ものごとく街道で出くわした、盗賊共を一瞬で壊滅させ、
息揚々とそのアジトの戦利品を物色し始めたその時、
目に付いた正体不明のマジックアイテム。
普通、天才美少女魔導士であるあたしは、そんな訳のわかんないアイテムに注意も払わず
べたべた触わったりはしないのだが‥‥‥こいつが‥‥
今、あたしの隣に居る、天才美少女魔導士の『あたしの姿』した、このクラゲ頭男。
ガウリィが‥こいつがあああぁぁぁぁっ!!
「ガーウーリィーッ。あんたあれほどへんなもンに触るなって言っといたでしょーっ!!!」
「リ、リナ?オレのカッコで女言葉喋るのは止めてくれないか・・な?」
「だあっ!今はそんな事言ってる場合じゃないでしょっ!!」
そーなのよっ、今そんな事言ってる場合じゃないのよおっっっ!!!
事もあろーにあたしとガウリィの体が入れ替わってしまっているらしい。
どうやら、さっきガウリィが注意のカケラも無しに触ったアイテムの効果、
近くに居る者の魂を入れ替えてしまうらしい。
−こんなことを瞬時に理解してしまうあたしってやっぱり天才だわ・・って、なーによその目付きわぁ
ガウリィの体も、見てくれだけは悪くないのでまだマシだが・・・早く元に戻る方法調べないと。
あたしは気を取り直して、アイテムを調べるために体の向きを変えた。
グニッ
ぞわわわっ
「うはへひゃははははっ・・・・」
「やだよう・・・これ。」
−これというのは、これって言ったらこれなのよこれっ、足の付け根に付いてる尻尾っ!!
−って、花も恥じらう乙女にそんな事言わせんじゃないわよ!!!
でも、この嫌な感触も初めてじゃないんだよねぇこれが、
以前にもどっかの誰かの陰謀で生えた事があったのよ、そんときは・・・その、
だから乙女にこんなこと言わせんじゃないってば!!
−まあ、その誰かってのには、とーぜんきっちりと後で竜破斬(ドラグ・スレイブ)ぶちかまして、
お返ししてあげたんだけど。−
−ってこんな事、悠長に説明してる場合じゃないのよおぉ。
早く元のあたしの体に戻る方法見つけないと・・・あ゛?!
ぼぐっ!!
「・・お゛っ・・・。」
「なっ、なにしてんのよっ!あんたわあぁぁっ!」
「−−−−っ!・・いま、本気で殴ったな。」
「あったりまえでしょ! あたしの体になにしよーとしてたぁっ?!」
「えーと・・やっぱり小さいなー、ってなんとなく・・。」
ぎゅむっ!
「く゛え゛っ」
「よけーなお世話だあぁぁぁぁっ!!」
「・・・・を゛・・・・・・。」
−あっ、いっけない、今ガウリィの体だった−
あああ、あたしの体が死んでしまう。
あっ、白目剥いてる?! 頑張れあたしの体!
「・・・ぷはあっ。」
おー、息吹き返した、よくやったわアタシの体。 ちなみに付け加えておくがガウリィはどーでもいい。
「無茶するなよ、リナ、死ぬかと思ったぞ。」
「アンタがいらんことしなけりゃそうはならないわよ。 それにあたしの身体よ、
死なせてたまるもんですか。」
「じゃ、オレはどうでもいいのか?」
「とーぜんでしょ。」
「・・・あのなぁ・・。」
って何時までもこんな事してる場合じゃない、はやく元に戻る手段探さないと。
あたしは辺りとアイテムの調査をはじめた。
・
・
・
・
・
うーーーーーーーーん、なんなのこのアイテムは・・・。
どうやら単体で使うシロモノみたいだけど、最初の一発だけで今は何の反応も示さないし。
特に魔力も感じないし・・
ガウリィの手で作動したってことは、魔力には関係ないは・・ず、
・・!!
あああああああっ!
まさか?! あたしはそれを確かめるために呪文を唱える、すなわち。
「明りよ(ライティング)!」
・・・・・。
「なんだ?今は明りなんていらないだろ。」
事態を把握していないガウリィが間の抜けた事をいってくる、あたしの声で。
あ
あ
あ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。
またしても、こんな事態に陥るとわ・・・
また、呪文使えなくなっちゃったよお、ガウリィの体だからか?
だとしたら、魔力は肉体に直結している‥という事になるわね、
じゃあガウリィってまったくこの手に見込みないってことに・・・・そりゃそーか。
しっかしこれほど見事に魔力感じないってのはこの男、
精神世界面(アストラルサイド)への壁でもあるんじゃないの?
・・・・これもちょっとは役に立つ体験・・じゃないわねー・・やっぱり。
元に戻れなきゃ、魔道の研究なんぞなんの役にも立ちそうもないから。
ああっ! とろとろこんな事考えてる場合じゃないのよおお。
あたしは頭を抱えてのたうつ・・・ガウリィの身体だからこそとれる行動よね。
「お? なんだこりゃ?」
ふと声のした方を見ると、あたしの姿したガウリィが(あーややこしぃ。)『また』なにか持っている。
・・・こひつは、懲りる事を知らないのか・・・
「ん?これは・・」
なにやら、持っている物をあれこれ方向を変えながら眺めている。
「こっ、こらあぁぁぁぁっ! やたらといぢくりまわすなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「へ?なんか言ったか?」
くるりと頭を巡らしこっちを向くガウリ・・ カチッ
・・・をい・・・なに?・・・今の音・・・
『かちっ』っていったぞ! 『かちっ』ってぇっ!!
慌ててガウリィが持ってたモノを引っ掴んで見てみる。
ドクン!!
うっ・・・・なに・・これ?・・・ ドクン ドクン
・・・かっ身体がっ・・・あつ・・い・・・
全身が熱を帯びる、喉が渇く、鼓動が早鐘を打つ、あたしの中で『なにか』が膨らんでゆく、急速に・・
ドクンドクンドクンドクン
「・・・あっ・・・あ・・・・ああ・・・・」
「おい! リナどーした?」
さすがにあたしの変化に気が付いたのかガウリィが問い掛けてくる。
いまや身体の熱は全身を焼けつかせるかの様に強くなり、それはある一点に集中しようとしていた。
「お、おい リナ。」
ガウリィがあたしを揺さぶっている・・・あたしの身体で・・・
・・・あたしの・・身体・・・・
ずくん
つづく・・・かな?