季節ネタシリ〜ズ(笑)−追難− うっ・・・オチばればれの様な気が・・・^^;
少し寂れた感じのあるマンションの1室、そのドアの前に一人の少年‥が立っている、高校生位なのだろうが、
青年‥と言うには幼いイメージが残る、年齢の判りづらい時期なのか。
左手には紙袋を持っており、呼び鈴に指を近づける。
ピンポーン!
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ピンポーン!
シューン
ドアの奥から少女‥が姿を見せる。 白い透き通る様な肌と紅い瞳、空色に光を反射する銀髪を肩の下辺りまでたらしている。
こちらもその容姿からは年齢を推し量りにくい。
「おはよう、綾波。」
「おはよう、碇クン・・・どうしたの‥」
「今日、2月3日だから、‥これ。」
ガサガサと手に持った紙袋から豆の入った袋を取り出す。
「まめ?」
何事、と行った感じの表情を返す。
「そ、節分。 カヲル君は?」
「今、いないわ。 用事で出かけてるから。」
「フーン、遅くなるのかな?」
「夕方になるっていってた。」
少年‥碇シンジは僅かな思考の後、
「じゃあ、ご飯作って待ってようかな。」
取り敢えずカヲルを待って豆まきをやる事にしたらしい。
「ゴハン、作ってくれるの‥?」
「うん、元々用意だけはしてきたから、二人とも偏食がちだから心配で。」
レイの顔が少し紅くなる、シンジの気遣いが嬉しいのだ。
「・・・ありがと」
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「・・・上がっていいかな?」
「?・・あっ、ゴメンナサイ、上がって。」
赤面したまま固まってしまった少女を見て、苦笑しながら玄関にあがる。
「じゃ、お邪魔しま〜す。」
リビングに入る、3LDKの部屋はきちんと整頓されており、やや殺風景ではあるものの人の生活を感じさせる空間があった。
テーブルに買ってきた材料を出し、冷蔵庫の中を見る。
「相変わらず、あんまり入ってないんだね。」
「あまり食べないし‥今、カヲルが買い出しにいってるから‥。」
「‥そうなんだ。」
「‥お腹、すいてる?」
「碇クンの料理なら一杯食べたい‥。」
「ありがと、綾波。 じゃ作るね。」
「私も手伝うわ。」
キッチンの端に掛けて在ったエプロンを着けて流しに近づいてゆく。
一時間程で料理は出来上がり、食事を始める。 二人は静かだが幸せな時間を共有していた。
シンジにとっては、此処に来るたびに繰り返される日常の一コマかも知れなかったが、綾波には至福の一時といえた。
この少年と居られる、貴重な、かけがえの無い時間。
人として存在していられる最も強い絆。
「‥美味しい。」
「綾波も料理の腕、だいぶ上達したよね。」
「先生が良いから・・・。」
何となく二人とも赤くなってしまう、端から見れば新婚か、いや初々しい恋人同士と言ったとこか。 (かゆくなってきた(^^ゞ)
食べおわった頃、唐突に現れる白い影。
「い〜い雰囲気だねえ、シンジ君。」
一抱えの荷物をもった男、この部屋のもう一人の住人。 銀髪に紅い瞳、綾波レイと共通した特徴を持つ少年。
容姿から考えれば、さぞや異性にモテモテ(古っる〜)だろう。 異性だけでは無いかもしれないが・・・・・。
「あっああ、おかえりっカヲル君。」
持っていた食器を落としそうになるシンジ、何時もながらカヲルは心臓に悪い現れ方をする。
「ただいま、シンジ君、レイ。」
定番のアルカイックスマイルのまま、挨拶をかわし荷物を置く。
「お腹も空いたし、僕の分もあるよね。」
「うん、少し冷めてるから暖め直すよ。」
そういって、キッチンに立つ。
笑顔のままテーブルに座っているカヲルをジッと見る眼、レイだ。
折角のラブラブ(笑)の時間に水を差されて、少なからず怒りの籠った視線をカヲルに向けている。
最近はレイにも表情が少しずつ豊かになってきている、それゆえ今の無表情の怒りの視線は堪えるものがある。
カヲル自身、何時もなら柳に風でどうという事も無いのだが、
ジ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ
シンジ絡みの時だけはレイの気迫が違う為、少したじろいでいる。
笑顔に変わりが無いが、額に一筋の冷や汗(タイミングが少し早かったかな・・;)
もう無いはずの、心の壁をレイから感じてしまうのは何故だろう(笑)
「出来たよ‥どうかしたの?二人とも‥。」気付かぬはシンジばかりなり。
カヲルの食事も終り、いよいよ節分の行事。
日は既にとっぷりと暮れている。 もう夜だ。
「鬼は〜外。」ぱらぱら
「福は〜家。」ぱらぱら
御定番の台詞を唱えながら、部屋の中に豆を撒いていく、後は玄関から外に撒いて終りとなる。
「節分と言えば。」
「昔々は逃げ惑う鬼の役の人間に、石をぶつけて厄を払っていたって言うねぇ。」
「え、そうなの?」
シンジが聞き返す。
「平安時代くらいにあった、追難と言う行いがこの行事の走りだと言うけど・・やれやれリリンの考えは恐いねぇ。」
「そうなんだ・・。」
「昔の話しだし、今の節分に罪は無いさ、豆を撒く位なんだし。」
ポリポリ ポリ
?
「あ綾波、あんまり豆食べちゃ・・・。」
「‥そう?美味しいけど。」
「はは、‥豆は自分の年の数だけ食べるんだよ。」
「そうなの?」 ポリポリ
「セットに、鬼のお面が付いてるけど、ここに鬼役はいないしねぇ。」
紙製の赤の鬼のお面を見ながらカヲルが呟く、何気なく。
「?・・・あれ、なんか忘れてるような・・・。」
『赤い鬼のお面』を見て、何かを思い出しかけた様なシンジ、
ドバァンッ!!
いきなり玄関の内ドアが開かれた。 そこに居るのは・・・・
「い〜た〜〜わ〜〜〜ね〜〜〜〜っ!! シンジッ!!!」
怒髪点を突いた惣流・アスカ・ラングレーその人(笑)
「あっアッ アスカッッ!!!」
「アカオニ‥‥。」
「なんか言ったっ?!レイ?!」
「何でもないわ‥。」
「シンジィ〜? ご飯の支度もしないでこんなとこで遊んでたのね。」
「‥あ〜〜っ! 忘れてたっ!」
顔面蒼白となったシンジ、どうやら自宅の食事を作る事をすっかり失念していた模様。
「忘れてたですってぇ〜〜っ?!!」
「アタシを餓死させる気?! ほら、とっとと帰ってご飯作ってっ!!」 (いいかげん自分で作りなさいよ、アスカ君・・)
「いたたたっ、アスカ痛いよ〜〜っ。」
シンジの耳をむぎゅっと掴むとアスカはズンズン歩いて一階下のフロアの自宅へと帰ってゆく。
「取り敢えず、豆でも撒いとこう・・・。」
たいした事でも無かったように笑顔のまま豆を撒くカヲル、しかし額の冷や汗は自身も気付いていない。
「碇クン、死なないで‥‥。」 (をいをい^_^;)
〜取り敢えずの、後書き〜
こんちは(^^)、久々?にエヴァ書いてるふみです。 何となく、レイの話しで始めたんですけど・・・・、
早々にギャグに転んでしまいまして、最近シリアスに書けない・・・^_^; ギャグよりになってばっかりで(^^ゞ
シンジとレイのラブラブ(笑)を期待して読み進めた人ゴメンナサイ_(;__)_半端すぎですねぇ。
気付く人は気付いてくれたと思いますが(お願い気付ひて(;_;))ふみ作、「夜明け」の後。 翌年位の話しです。
正月の話しは時期が飛んじゃったんで(笑)機会があれば・・。
あと、この直後のLAS話しも書いてますんで(笑)、BUNが(大笑)。