見合って、見合って!?

 (中編)

作・知久一幸さま

 


 

−前書きもどき−

 

知久:皆様こんにちは、知久一幸です。取り敢えず中編ができあがりました。

   PS版をプレイした方なら分かりきっている内容ではありますが、

   どうぞ最後までおつきあい下さい。

   MIYAさん、こんなんですみません(^^;

 

 

 

 

 

 

「私・・・おじいちゃんの命令で見合いさせられるんだ」

 

いずみは事実だけを伝えた。

 

「み、見合いだってぇ!?」

 

驚きの声が、部屋中に響いた。

 

「うん・・・」

 

「なんでまたそんなことに・・・?」

 

当然の疑問をりゅうのすけは口にした。

 

「内海エンタープライズって会社、知ってる?」

 

「ああ、いずみの所と同じくらいでっかい会社だな」

 

「相手の男がさ、そこの御曹司なんだ」

 

吐き捨てるような口調のいずみ。

 

「そ、それじゃ政略結婚じゃないか!」

 

りゅうのすけは思わず語気を荒げていた。

 

「そういうこと・・・おじいちゃん、言い出したら聞かない人でさ・・・

 

 一人で良縁だって盛り上がって・・・じいちゃんには誰も逆らえないんだ」

 

どこか、諦めを含んだ口調だった。

 

「いずみ・・・それでお前の気持ちはどうなんだよ!?」

 

「決まってるだろ、見合い何かしたいわけないじゃないか!」

 

心底嫌がっているいずみだった。

 

「第一、私が好きなのは・・・りゅうのすけだけなんだからな」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

お互いに照れたのか、しばらく沈黙が続いていた。

 

その沈黙を破ったのはりゅうのすけだった。

 

「・・・あー、それでいずみとしては、俺にどうして欲しいんだ?」

 

「りゅうのすけ・・・私を助けてくれる?」

 

きっと、電話越しのいずみはすがるような表情をしていると、りゅうのすけには察しが付いた。

 

「もちろんだとも。俺にできることなら何でもするよ。」

 

きっぱりと、りゅうのすけは言った。

 

「とにかく、見合いの会場まで来て欲しいんだ。細かいことはその時話すよ」

 

「分かった。で、場所と日時は?」

 

「4日の午後2時、如月町のステーションホテルだよ。相手の男との対面は3時からだから、

 

その時間までには絶対来てくれよ」

 

「了解。4日の午後2時、如月町のステーションホテルだな」

 

念を押して確認した。

 

「うん・・・あ、それから」

 

「なんだ?」

 

「ありがとう・・・りゅうのすけ」

 

がちゃっ

 

『ツー・・・ツー・・・ツー・・・』

 

電子音を奏でる受話口を見つめながら、りゅうのすけは考えていた。

 

(いずみが見合いだと?面白くない・・・絶対にぶち壊してやるぞ)

 

心に誓うりゅうのすけであった。

 

 

 

 

 

 

そして、1月4日・・・当日。

 

りゅうのすけは如月町駅からステーションホテルへの道を走っていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

どうやら、結構急いでいるようである。

 

(時間までにはまだ余裕があるっていうのに、何走ってんだ俺は?

 

焦っているのか・・・俺は・・・)

 

何か・・・自問自答しているようだ。まあ、自分の本心ほど得てして分からない物だって言うけどね。

 

(いずみから見合いの話を聞かされて、面白くないと俺は思った・・・

 

けど・・・けど、本当は・・・俺は・・・いずみを・・・

 

あー!ちくしょう!やめだやめ!んなのは後回しだ!今は取り敢えず

 

いずみの見合いをぶち壊すことだけを考えよう。

 

それにしても・・・いったいどうするつもりなんだいずみのやつ?)

 

しかし・・・考え事しながら走るなんて、結構器用なことをするりゅうのすけだった。

 

 

 

 

 

 

「さて、いずみたちは・・・」

 

ロビーに着いたりゅうのすけは辺りを見渡した。

 

「・・・いたいた」

 

視線の先には、いずみの他に両親とおぼしき人物がいた。

 

小さくて多少聞き取りにくいが、会話も聞こえてきた。

 

「それじゃあいずみ、後はしっかりやるんだよ」

 

「くれぐれも、相手方に失礼のないようにね」

 

「はい、お父様、お母様」

 

(あーいう言葉遣いを聞くと、篠原重工社長令嬢だって気がするなぁ・・・普段とは大違いだ)

 

・・・いずみが聞いていたらひっぱたかれるぞ、りゅうのすけ。

 

(あ、いずみが一人でこっちにやって来るぞ)

 

「来てくれたんだな・・・よかった」

 

いずみの格好は、元旦の時と同じ着物姿だった。

 

「何を言っているんだ。俺はいずみとの約束を破ったことはないぞ」

 

胸を張って言うりゅうのすけ。

 

「あぁ・・・そうだったよな」

 

「で、俺は何をすればいいわけ?」

 

「それなんだけど・・・」

 

「なんだ?もったいぶらずに早く言ってくれ」

 

口ごもるいずみに先を促そうとするりゅうのすけ。

 

「りゅうのすけ、私の身代わりをやってくれないか?」

 

「・・・はぁ?」

 

まじまじといずみを見てから、りゅうのすけは聞き返した。

 

「この後、私は相手の男と、上のレストランで会うことになっている。その席に、

 

私の代わりに出て欲しいんだ」

 

「ちょ、ちょっと待て!」

 

「何だよ?」

 

りゅうのすけは狼狽したが、いずみはさして気にもとめてないようだ。

 

「俺は男だぞ。いくら何でもいずみの身代わりなんて・・・」

 

「そんなことぐらい分かってるって・・・ちょって待って」

 

「・・・何だ、あいつフロントに何の用があるんだ?」

 

フロントと少し話をしたいずみが戻ってきた。

 

「この上の部屋を、ちょっとの間だけ借りたよ。行こう、りゅうのすけ」

 

「部屋って、何のために?」

 

思った疑問を口にするりゅうのすけ。

 

「ついてくれば分かるって、さあ早く」

 

そういって、いずみはりゅうのすけの手を取った。

 

「お、おいおい!」

 

いずみに引っ張られるようにして、りゅうのすけはその部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

「さて・・・と。急がなきゃ」

 

いずみは部屋に入るなり着ていた着物を脱ぎ始めた。

 

「お、おい、いきなり着物を脱ぎ始めて、何しようって・・・」

 

いずみのいきなりの行動にりゅうのすけは慌てた。

 

「変な勘違いするなよ、ほら」

 

「ほら・・・って、着物なんか俺に押しつけてどうするんだよ」

 

「りゅうのすけがこれを着て、私の代わりに相手の男と会うんだよ」

 

「な、なんだとぉ!?」

 

絶叫にも似た声が部屋に響いた。

 

「・・・いやなの?」

 

幾分睨むような目でりゅうのすけを見るいずみ。

 

「う・・・」

 

その視線に、りゅうのすけは文句を言うことができなかった。

 

「できることなら何でもするって、言ってくれたじゃない」

 

いずみはここぞとばかりに畳み掛けた。

 

「あうあう・・・」

 

「あれは、嘘なの?」

 

ダメ押しだった。

 

「だーっ!分かったよ、やるよ、やってやろうじゃんか!!」

 

遂にりゅうのすけは観念した。まあ、これに関しては、『できることなら何でもする』とか

 

『いずみとの約束を破ったことはない』などと言っていたので初めから逃げ場がなかったとも言える。

 

人、これを“自業自得”と言う。合掌・・・

 

「あは、それでこそりゅうのすけだよね」

 

満面の笑みを浮かべるいずみ。よっぽど嬉しかったらしい。

 

「まったく・・・でも俺、着物なんか着たことないぞ」

 

「あ、気付けは私がやって上げるよ。ほら、後ろ向いて」<作者:高校生で気付けができるなんてスゴい(かな?)>

 

「お、おい・・・いずみ」

 

「え、なぁに?」

 

「・・・・・・」

 

文句の一つでも言おうとしたりゅうのすけだったが、楽しそうに気付けをしている

 

いずみの表情を見て何も言えなくなってしまった。

 

「どうしたんだよ?」

 

「い、いや・・・なんでもない」

 

「変なりゅうのすけ。さ、できたよ。後はお化粧をして・・・」

 

「け、化粧もするのか!?」

 

これにはたまらずりゅうのすけが叫んだ。

 

「当たり前じゃない。いくら何でもそのまま相手に会ったら・・・すぐに男だって、ばれちゃうよ」

 

「う・・・」

 

「ほら、カツラもあるし、準備は万全だよ」

 

「あーもう分かったよ、ここまできたら化粧でも何でもやってくれ」

 

自棄になるりゅうのすけ。<作者:人間、諦めが肝心だよ(笑)>

 

様々な化粧品がりゅうのすけの目に映った。

 

(げっ、まさかあれを全部使うわけじゃないよな!?)

 

 

 

 

 

 

「よし、できた」

 

たっぷりと、時間ギリギリまでかけていずみは化粧を施した。

 

「・・・・・・」

 

「・・・ぷっ。くくく・・・あっはっはっは!」

 

堪らずいずみは吹き出した。

 

「いーずーみー!」

 

「あははは、ごめんごめん」

 

「まったく・・・これじゃ、お前の身代わりなんかつとまらねぇぞ」

 

「大丈夫。その顔を見れば、見合いなんて向こうからきっぱり断るよ」

 

どういう顔になったかは、推して知るべしと言ったところだろうか・・・

 

「おまえなぁ・・・」

 

「さあ、もう時間がないよ、早く行って。私はここで待ってるから」

 

呆れるりゅうのすけを、いずみは部屋から押し出した。

 

「えぇい、ここまできたら仕方ない。行ってくるか!」

 

一人、りゅうのすけは決心した。

 

 

 

 

 

 

と、いうのが今、りゅうのすけがエレベーターに乗るまでの経緯である。

 

(はぁ・・・とんでもないことを引き受けたような気がするなぁ・・・)

 

りゅうのすけは、内心溜息をついた。

 

「そういえば・・・」

 

ふと気が付いたように、

 

(見合いの相手って・・・どんな奴なんだろう?)

 

 

 

 

 

 

<つづく>

 

 

 

 

 

 

−後書き代わりの言い訳−

 

知久:やっぱり・・・中編もへぼかったな・・・

   ああっ、石は投げないでくださいっ!

   次こそは必ず!(だといいなぁ・・・(汗))

   たぶん次で完結すると思うんですが・・・(爆)

   下手をするととてつもなく短くなっていたりして・・・

   そんなことはないっ!と、断言できない自分が悲しい・・・(トホホ)

   では、続きはなるべく早く書きたいと思いますので

   できたら感想なんかを下さいm( )m

   コメントは、MIYAさんといずみちゃんにお願いします!


 

みゃあいずみの感想らしきもの。

 

 

 

見合って〜2