見合って、見合って!?

 (後編)完結

作・知久一幸さま

 


 

−前書きもどき−

 

知久:『見合って、見合って!?』もこれにて完結です。

   中編での予想に反して結構長い物になってしまいました。(^^;

   この作品は、元々のイベントで私が不満に思ったことを

   「こうだったらいいなぁ・・・」という考えの元、手を加えた物でした。

   殆ど変更らしいものはしていませんので、実際にプレイした方なら先の読める

   つまらない作品かもしれませんが、その辺はどうかご容赦下さい。

   では、後編をどうぞ!

 

 

 

 

 

 

(見合いの相手って・・・どんな奴なんだろう?)

 

りゅうのすけは、これから会う相手に今更ながら興味が湧いてきた。

 

(内海エンタープライズの御曹司・・・金持ちの息子かぁ・・・やっぱり

 

西御寺みたいに、キザったらしい嫌味な奴なのかな・・・それだったら、

 

いずみの一番嫌いなタイプだな。映画を見に行った時に言ってたし・・・)

 

あれこれと想像するりゅうのすけだった。

 

 

 

 

 

 

(ん?ここは・・・)

 

いつの間にか、りゅうのすけはレストランに来ていた。

 

(気が付かなっかた・・・)

 

無意識の内に、エレベーターを降りてここまで足が進んでいたらしい。

 

「さて、いずみの見合い相手ってのはどいつだ?えーと、8番テーブルは・・・と。あ、あそこか」

 

さて、その目指すテーブルに鎮座していたのは・・・

 

「げげげっ!何じゃ、このうらなりびょーたんは!?」

 

思わず声を上げるりゅうのすけ。

 

「あ、あなたが篠原いずみさんですか?」

 

どうやらその“うらなりびょーたん”が見合いの相手らしい。

 

「え?え、ええ、そうですことよ」

 

慌てて声色を作って対応するりゅうのすけだったが・・・どうやら演技の才能には恵まれていなかったようだ。

 

「す、姿と同じくらい、美しいお声ですね」

 

(げげっ!こいつどーいう趣味してんだ、いったい)

 

りゅうのすけは仰け反った。

 

「も、申し遅れました。私、“内海正幸”と申します。は、初めまして」

 

「は、はじめまして。おほほほほ」<作者:もう少しマシな演技はできんのか・・・>

 

「それにしてもお美しい・・・」

 

(どんな美的感覚の持ち主なんだ、こいつは!)

 

内心、相手の言動に呆れながらも、目の前の男を観察するりゅうのすけ。

 

(予想以上・・・というか・・・予想外のさらに外だなこれは・・・)

 

髪は七三、ぐるぐる眼鏡、体は痩せていて顔色も良くなかった。スーツを着ているがそれが全然様になっておらず、

 

その手にはお約束のバラの花束を持っていた。

 

あまりといえばあまりな、見合い相手といえる。

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

黒服の男が声を掛けてきた。

 

「わっ!い・・・いきなり声を掛けるな・・・いで下さいなっ!」

 

「お客様」

 

「なんだよ」

 

・・・言葉遣いが違うぞ。

 

「ひっ」

 

ほら、びびってる。

 

「あ、違った・・・何よっ!?」

 

「ひっひっひっ」

 

(き、気味の悪い奴だな)<作者:同感だが・・・えーっと、話の途中ですが、ここで少し解説を入れさせて下さい。

                同級生2をプレイされた方なら、知っているとは思いますが・・・

                ここのレストラン、一言で言いますと“変な”レストランです。

                どこがどう変かと言いますと・・・飲み物の中に妙な薬が入っていたり、

                出された食べ物を食べると変な気分(ハッキリ言ってしまえば、Hな気分です)

                になったりと普通ではありません。その辺を理解した上で続きを読んで下さい。>

 

「お部屋のご予約は、いかが致しましょうか?」

 

「へ、部屋の予約!?」

 

「い、いりませんわ、部屋の予約なんて」

 

「・・・・・・」

 

不意に沈黙する男。

 

「ところで・・・お嬢様」

 

「何よ」

 

「ひっ」

 

(いいかげんにしろよ、こら)

 

驚いていたのではなく、からかっていたのかもしれない。

 

「ひっひっひっ」

 

「???」

 

「ご本やビデオはご所望でございますか?」

 

「ご本?」

 

どうも正幸は気が付いていないらしい。

 

(どんな本やビデオだか、言わなくても想像がつくぞ)<作者:私も(笑)>

 

流石にりゅうのすけは、どう意図で男が声を掛けてきたのか分かった。

 

「よろしければ、ご本のメニューをお持ちしますが」

 

「ど、どっちもいらないから、普通の飲み物のメニューを持ってきてよ!」

 

「・・・・・・」

 

不意に・・・以下略。

 

「ひっひっひっ、ご冗談を」

 

「本当だってば」

 

「・・・・・・」

 

言わずもがな・・・

 

「かしこまりました。メニューを持って参ります」

 

「な、なんだか変わった店だね」

 

(変わりすぎだよ、まったく)

 

りゅうのすけは内心毒づいた。

 

「と、ところでいずみさん」

 

「な、何かしら?」

 

「私達、今日はお見合いだって聞いていますか?」

 

「え、ええ、まあー一応・・・」

 

「それで・・・いずみさんは僕のこと、どう思いますか?」

 

(げげっ!?)

 

驚いたことに、正幸はこの見合いを進める気でいるらしい。

 

「ど、どう思うも何も、ついさっき初めて会ったばかりの・・・」

 

「愛に時間など関係ありませんっ!」

 

「はあ!?」

 

正幸の言い様に、思わず目を丸くするりゅうのすけ。

 

「僕は・・・あなたに一目惚れしてしまったんです!」

 

「ひょええええええ!?」

 

素っ頓狂な声がレストラン中に響いた。

 

「出会って間もないのにこんな事・・・はしたないとお思いになりますか!?」

 

「そ、そんなことはありませんけど・・・」

 

(愛に時間は関係ない・・・か)

 

正幸の考えには、多少同感できるものがあるりゅうのすけだった。・・・が、

 

「そ、それじゃあ、僕の愛を受けて入れて下さるんですか!?」

 

(な、なんでそうなるんだっ!)

 

正幸の極論はについていけないようだ。

 

「で、でも私はお料理もお裁縫もダメだし」

 

「僕は、家事全般何でも得意です。あなたに苦労はさせません!」

 

お約束の文句でかわそうとするが、相手は気にもとめていない。

 

「それにガサツで言葉遣いも悪いし」

 

(これは事実だよな・・・)

 

だから・・・そういう事を考えると、いずみに蹴られるってば。

 

「私が好きになったのはそういうあなたなんです。問題ありません!!」

 

(ええいっ!こうなったら・・・)

 

「じゃあ言うけど・・・私、本当は女じゃないの!」

 

遂に、最後の手段にでるりゅうのすけ。

 

「構いませんっ!」

 

「ぬ、ぬわにいぃぃっ!!」

 

しかし、正幸の返答は予想外のものだった。

 

「あなたのその美しさの前には、性別など些細な問題に過ぎません!」

 

どうやら、正幸の目には、りゅうのすけは理想の姿と映るらしい・・・

 

「それに・・・僕は男の方でも・・・」

 

りゅうのすけの考え以上に、正幸の趣味は“スゴい”ようだ。

 

「俺にそういう趣味はないっ!!」

 

これ以上関わりたくないと言わんばかりに、りゅうのすけは席を立った。

 

「い、いずみさんっ!」

 

がばあっ!

 

「うわわわわっ!!」

 

捕まりそうになるところを、間一髪で避けるりゅうのすけ。

 

「あ、待って、逃げないでえっ!」

 

「どやかましいいいぃぃっ!!」

 

ばきいぃ!

 

我慢の限界に達したのか、遂にりゅうのすけの手が(この場合足だが)出た。

 

「き、きゅう」

 

いい所に入ったらしい、正幸は吹っ飛んで気絶した。

 

「こ、こうなったら長居は無用だ。とっとと逃げちまおう」

 

「あ、お客様、飲み物のメニューを・・・」

 

「それはそこで寝ている男にやっといてくれっ!」

 

途中で擦れ違った黒服の男に、吐き捨てるようにりゅうのすけは言った。

 

 

 

 

 

 

夕方になってりゅうのすけは戻って来た。

 

「あ、どうだった?上手くいった?」

 

部屋に入ったりゅうのすけを、質問と共にいずみは迎えた。

 

「うるさいっ、さっさと着替えさせろ!」

 

りゅうのすけは体全体でイライラを表していた。

 

「どうしたんだよ・・・ほら、りゅうのすけの服」

 

りゅうのすけの態度に只ならぬものを感じながらも、いずみは素直に服を差し出した。

 

がさがさごそごそ・・・

 

「だあああああ、酷い目にあったぞ、俺は」

 

着替え終わったりゅうのすけは、開口一番そう言った。その口調は、うんざりそのものといった感じだった。

 

「??・・・なにがあったの?」

 

さっぱり分からないので、いずみはりゅうのすけに訊ねた。

 

「実は・・・(かくかくしかじか)」

 

「ぶっ!あっはっはっはっ!そりゃいいや!」

 

事情を聞くなりいずみは大声で笑った。

 

「わ、笑い事じゃないぞ、いずみ!」

 

「それもそうか。下手すりゃ私がそんなのとお見合いさせられてたんだもんね」

 

思い直したように言ういずみ。

 

「まあとにかく、俺はあの男を撒いて帰らなくちゃいけないから。今日は送っていけないけど」

 

やれやれと言った感じだが、あそこまですれば間違いなく、見合いは破談だろう。

 

「うん、わかった。じゃあここで」

 

いずみは、少し名残惜しそうだった。

 

「ああ。それじゃまたな」

 

「あ、今日はありがとう・・・りゅうのすけ」

 

部屋を出ようとしたりゅうのすけに、いずみはそう声を掛けた。

 

「そ、そんな、改まって礼を言われるほどのことじゃないさ」

 

「けど・・・」

 

いずみはまだ言い足りないようだ。

 

「・・・そうだ」

 

そんないずみを見ていたりゅうのすけは、そう呟いて“ニヤリ”と笑った。

 

「え゛・・・あ、あの、りゅうのすけ?」

 

その笑みに、思わずいずみは一歩後ずさった。

 

「じゃあ、“ご褒美”を貰おうかなー」

 

そんないずみの様子を見ながら、りゅうのすけは言った。

 

「へ?ご、ご褒美って・・・?」

 

一瞬、何を言われたか分からなかったいずみは、思わず聞き返した。

 

「そ、ご褒美。何かは・・・言わなくても分かるだろう?」

 

「え、そんなこと言われたって・・・」

 

口ごもるいずみだったが、りゅうのすけの視線を感じてご褒美が何か理解できた。

 

「もしかして、ご褒美って言うのは・・・」

 

「そ、当たり☆」

 

伺うような眼差しを向けるいずみに、りゅうのすけはニッコリと笑って頷いた。

 

「ええっ、けど・・・」

 

何かを言おうとしたが、りゅうのすけの目をみたとたん、何も言えなくなってしまういずみだった。

 

「分かったよ。けど・・・恥ずかしいから、りゅうのすけからして・・・」

 

そう言っていずみは目を閉じた。

 

「うん・・・」

 

頷いてりゅうのすけはいずみの肩に手を置いた。

 

茜色に染まる部屋の中、二人は二度目の口づけを交わした。

 

 

 

 

 

 

<おしまい>

 

 

 

 

 

−後書き代わりの言い訳−

 

知久:さ、最後の最後まで・・・(涙)

   皆さんの投石も覚悟します。

   こんな作品に最後までつき合って下さった方(いるんだろうか?)

   どうもありがとうございました。

   並びにMIYAさん、こんな拙い作品を載っけて下さってありがとうございます!

   また何か投稿することがあるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。

   それでは皆さんさようなら!!

   コメントは、いつものこのお二人です!


 

みゃあいずみの感想らしきもの。

 

 

 

見合って〜3(完結)