『Auf Wiedersehen Rei.....und Guten Tag Yui !!〜ユイ、そして再生へ〜』

第二話「運命」(完結)

作・D・Sさま

 


 

ど〜もD・Sです

 

前回はちょっちレイちゃんの影が薄いようなので今回は....です!!

 

では....はじまりはじまり!!

 


 

僕とアスカは今...

 

自分の生死....いや、自分の存在自体が窮死にたたされている綾波の家の前にいる

 

そう、綾波は明日いなくなる

 

例え、その代わりに母さんがいても....

 

 

 

 

 

 

『私は....あなたたちの言うことが分からないわ.....』

 

綾波はそういってのけた

 

『あんたね〜、もう一度同じ台詞を言うわ!あなた司令が死ねといったら死ぬの?』

 

『えぇ...』

 

『あんた、あんたは人形じゃ無いのよ!人間!わかる?人間!!』

 

『えぇ....わかるわ』

 

アスカはこんな調子で喋り続け....最後は根負けした

 

 

 

『シンジ!交代!!』

 

アスカはそういって新鮮な空気を吸いに外へ出た

 

 

 

僕と綾波と二人っきり....

 

綾波は僕が居ないかのように部屋の掃除を始めた

 

なんか言わなきゃ.....綾波を止めなきゃ

 

『綾波...なぜ君はこんなことを承諾したの?』

 

『.......』

 

『父さんの命令だから?』

 

『...それもあるわ...』

 

『他には?』

 

 

『........』

 

 

 

 

 

 

 

昨日....私は司令と話しあった.....それは話しあいと言えるものではなかった

 

切り出しはあくまで強制だった....

 

『レイ、おまえはユイへと戻るのだ』

 

『........なぜ?』

 

『そうするのがお前のためになるからな』

 

『私は....エヴァンゲリオン零号機パイロット...綾波レイ....ユイではないわ...』

 

『レイ、おまえはユイのクローンだ....それは知ってるな?』

 

『...いえ...厳密には違います』

 

『そうだな....しかしお前とユイとは固有波形パターンは99.8%まで同じものだ....

 

 この数値は双子とて在りえない...つまり自然界が創り出すは無理なのだ』

 

『...はい...』

 

『私たちが創り出したユイ...それがレイ...お前だ』

 

『...はい...』

 

『今までお前は3回創られている』

 

『...はい...』

 

『1度目は2010年、お前は5才だった』

 

『...はい...』

 

『そのとき技術部最高責任者だった....赤木博士によって殺されている』

 

『...はい...』

 

『いまの赤木博士はその人の娘だ』

 

『...知っています...』

 

『その後、失敗を踏まえ私たちはお前を14才として創り出した』

 

『...はい...』

 

『2015年...今年だ』

 

『...はい...』

 

『私は失敗を踏まえ...お前を見守るようにした』

 

『...はい...』

 

『14才のお前はユイに似始め、面影が見え隠れしていた』

 

『...はい...』

 

『だからかもしれん....レイは....優しすぎた....シンジの代わりに犠牲を選んだ』

 

『...知っています...』

 

『そして...お前は3人目のレイだ』

 

『...分かっていたような気がします....』

 

『だからお前はユイに還らねばならん』

 

『わかりません.....私はユイさんという者では無いです....』

 

なかなか説得仕切れないレイに対しゲンドウは疲れを感じ始めていた

 

『お前はシンジをどう思っている?』

 

『........』

 

『好意を感じている...私はそう思っている』

 

『....質問の意図がわかりかねます...』

 

『お前はもともとの...2番目のレイを元にしている....レイはシンジに好意を持っていた』

 

『...はい...』

 

『しかし...シンジにはアスカがいる....お前に入り込める余地はない』

 

『.........』

 

『だが、ユイとしてなら話しは別だ』

 

『.........』

 

『お前がユイとして生きる道を選ぶなら.....母親としてシンジの傍にいることはできる』

 

『.........』

 

ゲンドウは焦らずレイの思考の結末を待ち...そして口を開いた

 

『納得はできたか?』

 

『...はい...』

 

『実験には?』

 

『....私は媒体となることに承諾します....』

 

 

 

 

 

 

 

碇君はそんなことは知らないだろう....いえ、知られることは許されない...

 

『綾波?』

 

『えっ?』

 

碇君は私の名前を呼んでいた....私は昨日に戻っていた...

 

『綾波...自分の人生なんだ...僕はもっと大事に...そう思うよ...』

 

私の望みは碇君と一つになること...それが無理な今、

 

私は違う意味でのその答えを持っていた...

 

『....私は...3人目だから...』

 

『そぅ..前も同じことをいっていたね....』

 

シンジはその意味が今となってはっきりと知った気がした

 

綾波は母さんのクローン....

 

『でも、綾波は綾波なんだ...母さんじゃ無いんだ』

 

僕は気付くとそうつぶやいていた...

 

『....碇君...』

 

『綾波...』

 

『....二号機パイロットを呼んで来て....』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とアスカはひどく疲れて家に帰った

 

今日はもう疲れた....

 

おやすみ、とお互い声をかけ各々の部屋にはいる...

 

今夜はアスカは僕の部屋にこないだろう

 

僕は自分のベッドの上に横倒しに倒れると深い眠りについた....

 

アスカのにおいがした....甘い....花のにおい

 

(こんなときでも僕を慰めてくれる....おや...す...み...)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はアスカが一緒に来てくれたのに感謝していた.....

 

『....私はもう決めているの...』

 

『......』

 

『私はユイ...碇君のお母さんの仮の姿...』

 

『だっ、だけ.....』

 

『....碇君...私は...元に戻ることを望んだ....そう...望んだの』

 

『........』

 

『私は...いなくなるけど....それも仮の姿....ユイさんが私になるの』

 

『...あんたは本当にそれでいいの?』

 

『...えぇ、それが私の唯一の...始めての望み...』

 

アスカが突然大きい声でいう...まるでそこに流れていた暗雲を消すように...

 

『じゃーしゃーないわね、ただし!、あたしはあんたを忘れないからね!』

 

『惣流さん...』

 

『アスカでいいわよ....レイ』

 

『アスカさん....あなたは碇君にふさわしいわ....

 

 碇君....離してはだめよ.....』

 

『なっ、何いいだすのよ!急に!あたしたちはあんたのためにここへ来てるのよ!

 

 ひやかされに来たんじゃないのよ!』

 

アスカは顔を紅潮させながら言う...僕はその綾波らしからぬ発言に答えが無い

 

そのとき...綾波は笑った....微かだけど....確かに笑った

 

『レイっ!あんた笑うといい顔ね!あたしには負けるけど....いい線いってるわよ!』

 

『そう...』

 

『まーた暗い顔になる、笑って...レイ』

 

『こう?』

 

綾波は笑おうとして少々歪んだ顔になる

 

『まっまぁ、そんなもんね...さっきのほうがいいけど....』

 

『だから、笑うのよっ!笑っていきなさい...』

 

『わかったわ.....アスカ』

 

『そうね、やっと人間付き合いが理解できたわね、ちょっと遅かったけど...十分よ』

 

僕はアスカが一緒に来てくれたのに感謝していた.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやく眼が覚めた....昨日は熟睡をしていたらしい

 

僕はベッドを降り、服を着替えた

 

昨日はそのまま寝てしまい、服には皺(しわ)がたくさんついていた....

 

(今日は運命の日....)

 

母さんが出てきて...綾波が去る日....

 

 

 

 

『シンジ...はやいわね?』

 

『あっ、おはようアスカ、昨日はあのまますぐ寝ちゃったからね』

 

僕は2人分の朝食を作っていた

 

僕とアスカのモーニング・キス....ミサトさんがいない日の朝はこれがお決まりだった

 

 

『....んっ...、今日が運命の日ね....』

 

アスカが僕がさっき思った通りの言葉を口にした

 

『そうだね....』

 

僕はつい暗い顔になってしまう...

 

『シ〜ンジ、あんたが暗くなっても始まらないでしょ!』

 

『ごめん....そうだね』

 

『そうよ、いいっ?あたしたちにできるのは見届けることよ....いい事であれ、悪い事で

 

あれ、全部ね』

 

『そうだね....さぁ、朝食ができたよ』

 

『うんっ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

計画は定時になに滞り無く始まった....

 

場所は完全無菌室と呼ばれる部屋だった

 

部屋は強化水槽以外に何もなく....

 

強化水槽には残りわずかなL.C.L.....母さんの命...

 

僕らはいつもプラグいっぱいのL.C.Lに満たされている....それがこんなにわずか...

 

それは、まさしく母さんの残りの命が少ないことを示していた

 

部屋に僕らは直接は入れず指令室...別室にて見守ることになった....

 

いるのは僕とアスカ、ミサトさん、父さん、冬月副司令

 

技術部からリツコさん、マヤさん、日向さん、青葉さん

 

父さんと冬月副司令はいつも通り上段にいた....

 

憎くて、

 

憎くて、

 

憎くて、

 

憎くて、

 

可愛そうな、

 

一人で罪人の十字架を背負う父さん

 

今は何を思うのか

 

 

 

そして室内には綾波...ただひとり

 

『いい?話した通り行うのよ...?』

 

『...はい...』

 

綾波はガウンを着ていた....そのガウンをゆっくりと脱ぐ....

 

『ミサトさん、何です、あれは?』

 

『あれが今回の計画を左右するものよ』

 

ガウンの下には機械があった...それを綾波は背負っていた

 

『シンジ君、あれはシンクロ率を飛躍的に上げるものなの....そう400%までね』

 

『えっ、じゃあ綾波は』

 

『そう....いまから分かるわ...司令、許可を』

 

『愚問だ...当然...許可する』

 

『はい、....レイ、計画始め!』

 

 

 

 

綾波レイはまず強化水槽の蓋を自力ではずず....

 

数回の休憩をはさみ、蓋が排除された

 

綾波レイはゆっくりとタラップを登り、L.C.Lの中に身を沈める

 

『これから...ですか』

 

『そう、全てはこれから、よ』

 

 

 

 

『レイ、いいわね?』

 

綾波はこちらの声は聞こえるがこちらには綾波の声は届かない

 

コクンと頷いた

 

『それでは始めます、レイ、スイッチをいれて』

 

ガコンと音がした...

 

綾波の身体がゆっくり、そして確実にL.C.Lに溶けていく...

 

そう、溶けていった....

 

 

 

 

 

 

 

そのとき、綾波が僕をみて微笑んだ...

 

昨日のそして...以前見た...あの満月の元で見た....あの微笑みを僕にくれた....

 

綾波は...お別れのつもりで.....僕に最高の微笑みをくれたのだ

 

そして、誰も、誰も....室内にはいなくなった

 

後には....L.C.Lの入った強化水槽.....

 

そしてさっきまで綾波が身に着けていたガウンとシンクロ率増幅機....

 

増幅機がゆっくりとL.C.Lの上で楽しむように揺れ、そして底へと沈んでいった....

 

まるで自分というものが無かった...人生が無かった綾波そのもののように.....

 

 

 

 

 

 

 

 

可愛そうな...綾波...レイ....自分が無く...他人にいいように使われ....そして結末...

 

あっけない....綾波の最後...

 

 

 

----私にはエヴァに乗るしかないの---

 

最後はエヴァにも乗らず

 

 

 

---あなたは司令を信じられないの?---

 

そして君は...父さんのいいなりだった

 

それがこの悲劇を生んだんだ

 

 

 

---さよなら----

 

綾波が戦う前にいった言葉----今日は言葉でなく....微笑みだった

 

 

 

 

---知らないの...たぶん私は3人目だから---

 

何人目でも綾波は綾波だよ

 

 

 

 

---あなたは死なないわ...わたしが守るもの---

 

僕は君を守れなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

『接触開始!』

 

リツコさんの何かを吹っ切るかのような命令が響く...

 

『第一接触問題無し』

 

『接触、第2次へそのまま移行します』

 

『L.C.L問題無し、理想誤差認められず』

 

『接触映像を画面にて合成します、映像を主モニターへ移行』

 

メインモニターに映像が出る、それは原子の集合体だった

 

『司令、このまま計画を続行いたしますか?』

 

『それも愚問だ...続行しろ』

 

『計画続行!』

 

『第2次接触問題無し』

 

『流動分子体を再構成させます』

 

『α磁界を展開します』

 

『流動体の中に合成物質を確認、現在0.05』

 

『合成物質いまだ増加、現在20.5まで増加』

 

『理想との誤差いまだ0.002、許容範囲内です』

 

『ここまではうまくいってる...ここままいけるかな?』

 

『別に問題は無い...』

 

しかし、突然問題はきた

 

この突然の来襲者に皆に緊張が走る

 

『合成物質、破壊が進んでいます、現在12まで減少』

 

『なぜ...ユイさんが合成を拒んでいるの....?』

 

『いえ、この固有パターンは碇ユイのものではありません....レイからです』

 

がたっとゲンドウが立ち上がる

 

『まさか、レイが君に刃向かうとはな』

 

ゲンドウは苦痛にそのポーカーフェイスを歪ませる....

 

『レイは以前とは違う....それがこの事態を生んでいる....』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は血のにおいと共にいた....

 

私は誰?

 

-----あなたはユイ....わたしよ....-----

 

私はユイ?

 

-----そう...あなたはユイ....私よ-----

 

そうね、私はあなた....

 

-----そうね....私はあなた-----------

 

私はあなた?

 

-----そう...よ...-------

 

いいえ....違うわ...

 

-----...えっ?..------

 

私は...私は.....私は.....私は.....

 

-----あなたは私....碇ユイよ...-----

 

いいえっ、わたしはあなたじゃない....

 

-----あなたは.....誰?-------

 

私は....私は....レ....イ.....

 

-----...レ...イ...?-----

 

そう、それは私の名前.....

 

-----あなたの名前?----

 

私は綾波...レイ.....

 

-----あなたは私じゃないのね?-----

 

 

 

 

 

 

緊急事態は今だ続いていた...

 

L.C.Lは激しく揺れ、今にも漏れそうだった

 

もはや猶予は残っていない....計画は失敗だった.....

 

母さんも綾波も....死....それは目前に迫った事実に他ならなかった

 

 

 

そう、でも....

 

----でも?----

 

あなたは私になる

 

----なぜ?----

 

それは...私の....望み...だから

 

----望み?----

 

そう、望み

 

----望みって?---

 

望みとは....自分の純粋なる希望...

 

----あなたの望みは?----

 

わたしの望みはあなたと共に生きること

 

----あなたは私じゃ無いのに?----

 

そう、私はあなたと....生きるの

 

----なぜ?-----

 

それが...私の望みだから....

 

----あなたの望みは?-----

 

碇君と....一つに....なること

 

----それが望み?-----

 

いいえ、それは希望....叶わぬ..希望...

 

----なら....それは望みではないのね?-----

 

いいえ、それは望みでもあるの...

 

----希望と望み?----

 

そう....私はその2つを叶えるの....

 

----どうやって?----

 

あなたと一つになって

 

----それが望みを...希望を叶える?----

 

ええ、それは碇君と生きることと同義....

 

----同義?----

 

そう、私は....母として....碇君の母として....あなたと共に生きる....

 

----私は....母?----

 

そう、あなたは碇ユイ....碇ゲンドウの妻....そして碇シンジの母....

 

----私の....シンジ?----

 

そう、そして、私の.....シンジ....

 

----私はどこにいるの?----

 

あなたはここ....L.C.Lの中.....

 

----シンジに....会いたい....----

 

えぇ、直ぐに会えるわ.....

 

----シンジに会える?----

 

えぇ、会えるわ

 

----シンジは許さない?----

 

なぜ?

 

----私はあなたの命を奪うから....----

 

私は奪われたりしない.....それは望み

 

----私は奪うことはできない----

 

----私は....できない...----

 

---私は....でき....ない...----

 

---わ...たしは....でき...---

 

---わ....た.....-----

 

---..........い.------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どう、マヤ!このまま保存は出来ないの?』

 

『だめです!信号は何の変化も起こしません』

 

『磁界をストップして!』

 

『もう既に停止しています!』

 

『MAGIの解答は?』

 

『成功率は0.00002%を割り込みました』

 

『なんということだ』

 

『L.C.L内の圧力が上がっています』

 

L.C.Lは今や天井に吹き上げるほどの勢いで沸騰していた....

 

僕はその飛沫(しぶき)が妙にきれいで....呆然と立ち尽くしていた....

 

.....あれは....母さん.....綾波の命.....その最後で華麗に咲かせる.....命の噴水.....

 

『L.C.L内に変化!』

 

マヤさんがそう叫んだ

 

『これは!?』

 

主モニターには急激に変化する合成物質が写し出されていた....

 

それは...一つの塊.....母さんだった

 

『波形パターン検査行います』

 

『検査スタート』

 

『これは.....2種類の....』

 

マヤさんがそういったとき、その塊はもはや一つでなく二つになっていた.....

 

『2種類の波形パターンが検出....、先輩?』

 

マヤさんはコンピュータ画面から眼を離し、振り返りつつリツコを見ると...

 

皆の眼は主モニターへ釘付けだった

 

『なんてこと....』

 

もはやそれは塊といえない.....人の象(かたち)になっていた....

 

『リツコさん?』

 

僕はたまらずリツコさんに詰め寄る

 

『......えっ?』

 

『あれは?あれは母さんと綾波ですか?』

 

『えっ、えぇ....いえ、まだ結論は早いわ....でも間違いないわね』

 

『物質AとBの検査結果出ました』

 

『一つはレイのものと合致...一つはユイさんと合致しました』

 

ゲンドウは疲れが突然きた.....

 

『冬月....後は頼む....なにかあったら起こしてくれ』

 

そういってゲンドウは指令室を後にした....

 

それを確認した後、冬月の口から微笑みが漏れる....

 

『”起こしてくれ”とは.....寝ることを知らなかった男がついに疲れを覚えたか』

 

 

『Auf Wiedersehen Rei.....und Guten Tag Yui !!〜ユイ、そして再生へ〜』

             〜第二話『運命』〜完

 

 


 

 

(エピローグ)

 

僕はベッドにいた......

 

隣ではいつも通りアスカが僕の胸に右手を置いてすーすーと寝息をたてていた....

 

くすっ、愛らしい寝顔....

 

『アスカ、起きてる?』

 

『うっう〜ん....うん...』

 

『ごめん....起こしちゃった?』

 

『ううん、ちょっと眠りそうだっただけ....』

 

『もう服を着よう?』

 

『...うん...』

 

僕らはベッドを降り、服を着始める....

 

僕はいつも通りにアスカを眺め...そして言う

 

『アスカ...』

 

『やんっ、もう、服を着たのに』

 

『脱がなくても...』

 

『.....んっ....んっ.....あん....やっ』

 

夜は....僕らの夜は...いつも通りに過ぎ..そして長い一時(ひととき)を僕らにくれる...

 

夜は僕らには長かった

 

 

 

 

 

 

カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、

 

看護婦はいつもの見回りに向かっていた....

 

一室、一室、見回り....そして...

 

『あらっ、お目覚めですね?』

 

『私は.....』

 

『まだ寝ていてください...今日は疲れますよ、意識が回復したとなると』

 

『ここは?』

 

『ここは病院です、碇様』

 

『そう...やっと分かったわ』

 

『では、私はこれで』

 

 

 

 

 

 

『母さん!』

 

『シンジ?シンジなの?』

 

『そう....そうだよ、母さん!』

 

『あなた...大きくなった....見違えるように』

 

『それは...それはそうだよ、11年会ってないんだから』

 

『そうね...お父さんに似てきているわ』

 

『僕が....父さんに?』

 

『えぇ、面影が出始めてるわ』

 

 

 

母さんと綾波は無事だった...

 

綾波の方が軽度の混乱が見られるだけで、2日で退院した

 

僕が綾波によかった、というと”ありがとう”と、はにかんだ笑顔で答えてくれた

 

重大なのは母さんだった...

 

峠という峠を乗り越えて今生きているのは奇跡に近いらしい

 

しかし、どんな奇跡もあの復活にはかなうまい、と思う

 

 

 

 

 

結局原因は分からず、結果よければ...状態になってしまった

 

僕もそれでいいと思う

 

綾波も母さんも今こうして生きている、それが事実であり、真実なのだ

 

過程は関係ない、事実が雄弁に物語ってくれる

 

 

 

 

『父さんはもう来たの?』

 

『えぇ、....いっちゃだめよ?』

 

『何が?』

 

『あの人、シンジが来たら急いで逃げていったわ...息子には強くいたいのよ』

 

『....父さんらしいね』

 

実際のところ僕にはそんな父さんが想像だに出来なかった

 

『じゃぁ、今日は帰るね...また来るから』

 

『えぇ、待ってるわ』

 

母さんはとてもきれいな人だった...父さんはどうやって母さんと結ばれたんだろう...

 

まさにセカンド・インパクト前の映画『美女と野獣』そのままだ....

 

僕はそんなことを考え微笑した

 

『シンジのお母様って奇麗よね〜、碇司令とは釣合がとれないわね』

 

アスカもそんなことをいっていた

 

 

 

僕がアスカを紹介したとき、母さんは嬉しそうにしつつも瞬間表情に影が走った....

 

あれは....なんだったんだろう?

 

 

 

『あなた....シンジは立派になったわね?』

 

『うむ、君の育て方がよかった証拠だ、私は何もしてやれなかった...』

 

『そんなこと....』

 

『私はこの11年過ちを正しく戻すため...過ちを犯し続けた...

 

 今は過ちは正しい位置に戻ったが...あまりに犯した過ちが多すぎる』

 

『それは今から償えばいいのよ』

 

『そうだな...ユイ』

 

 

 

僕らはお互いを必要としている

 

だからこその行為だった....

 

でも、今はその意味が変わりつつあるのを僕は感じている

 

『アスカ...』

 

『何?』

 

『僕は君を愛している....これからも....ずっと....僕がもし死んでも....ずっと...』

 

『あたしもよ...バカシンジ』

 

 

 

僕らは口づけを交した....

 

 

僕らは長い長い夜に感謝する....

 

 

(エピローグ完)

 


ど〜もD・Sです

 

レイちゃんあんまり活躍ないです〜!

 

なんか裏方になっちゃいましたね

 

でもこの話は満足してますんであまり気にしません(レイちゃんファンごめんなさい)

 

ここはちょっと裏話にさせていただきます

 

まず、この話はシンジ君が初号機に取り込まれた後くらいの話です

 

当然加持さんはいません(一応『2つの〜』関連ですので)

 

この頃そうですけど

 

書き方が変わってきました

 

突然の場面展開でその後場面展開前の事を書く、というようになりました

 

自分ではこの方が単調に続くより読み手に関心を抱かせ易いかな、と思うんですが....

 

どうでしょう?

 

『2つの〜』関連にしているのはアスカとシンジがだんだん変わっていく所を

 

もっと描きたいためです

 

『2つの〜』ではとりあえず互いを必要とするとこまで

 

『演奏』では2人の思いで作りからもっと密接関係まで

 

今作ではやりまくってますが、現段階においては、それが一番いい形だからです

 

だんだん違う方へ、かといって険悪になるわけではないんですが、変わっていく予定です

 

後は心理描写に挑戦しています

 

まだ難しくて難しくて(笑)

 

でもそのうちよくなります、多分(自爆)

 

後、心理描写では原作の会話を利用するようにしています

 

これはそのほうがキャラクターに入り込みやすいのと

 

やはり心理描写がしやすくなるためです

 

次回はまだ完全には決定していません(笑)

 

しかし!絶対明日一話を書いて投稿しちゃる(期待)

 

まぁ、2つあるんでどっちか、と考えてるんです

 

あと、感想があったら伝言板、またはメールにてお願いいたします

 

君の勇気の一通が作者を救う!!(馬鹿)

 

さぁ、電子メールで僕と握手!!(壊れかけ)

 

この次から最高のものが始まります↓

 

題『みゃあと偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。』

 

ではみなさん拍手!!

 

D・Sでした


 

みゃあと偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。

 

みゃあ「……けっ。いい御身分だよなぁ。ひっく。レイちゃんがいなくなるって日にモーニングキスってか!?けっ!…ひっく」

アスカ様「……みゃあ。あんた酔っ払ってるの?」

みゃあ「ああ?酔ってちゃいけないのかよ?……うっうっ、レイちゃんの切ない心も知らないで、おめーらはよぅ……ひっく」

 

どばしゃあっ!

 

みゃあ「ぶはっ!」

アスカ様「酔っ払いは鬱陶しい!だいたい、二人とも生きてたでしょっ!」

みゃあ「……はっ!あ、あれ?なんでこんな所にいるんですか、アスカ様?」

アスカ様「はぁ……。馬鹿と酔っ払いは手におえないわね」

みゃあ「は、はあ?」

アスカ様「ほらっ!さっさと解説やんなさいよ」

みゃあ「え、ええ、それじゃ。……今作はアスカ様とシンジくんヤりまくり…」

 

どげどげどげっ!

 

アスカ様「やっぱり止めっ!」

みゃあ「ぐぅ……」

ユイ、そして〜2(完結)