『愛は静けさの中に〜幸福〜』
第三話「あなたに降る夢」
作・D・Sさま
ど〜もD・Sです
この作品は砂漠の人様のリクエストに答えるべく作られています
しかし、第三話目にして未だ答えていません(笑)
まぁ、そのうち、そのうち(爆)
では御賞味あれ
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『愛は静けさの中に〜幸福〜』
〜第三話『あなたに降る夢』〜
僕は夢を見ていた
それは四年前から始まり、当時は悪夢だったが、それも今は克服していた
そう、全て夢の始まりは七年前から.....
『シンジ、シンジ、起きなさいよ!』
僕を誰かが呼んでいる......誰?
僕がゆっくりと眼を開けると.....そこには愛しき人が.....泣いてすがりついていた
見慣れた天井の景色が僕の記憶を呼び覚ましていた
『シンジ!?良かった、意識が戻ったのね?』
僕はゆっくりと身体を起こした
そこはミサトさんの、僕らの家で....僕はベッドに横になっていた
『アスカ....心配をかけたね、ごめん』
アスカはその可愛い顔をクシャクシャにして喜んだ
そして口からは怒った振りの言葉が出る
『バカ、何言ってんのよ』
僕はアスカをゆっくりと抱いた....体温が僕に伝わってきた...僕の体温もアスカに伝わっ
ていった
『ありがとう、アスカ』
アスカは僕の背中でコクン、咽びながらコクンと繰り返し頷いていた
僕はゆっくりと自分に何があったのか思い出していた.....
僕はそれを思い出し、瞳孔が急速に開くのを感じた
そしてアスカの顔を手早く見える位置まで戻した
アスカは僕のその行動に驚きを隠せずにいた
僕は喉がゴクリと鳴るのを聞いた....喉がカラカラだった...
ゆっくり、ゆっくり言葉が出る
『アスカ....あの後...どうなったの?』
アスカは眼を逸らそうとしたが、それは逃げにしかならないと思い答える
『みんな、みんな.....いなくなったわ』
ミサトが家に帰ってきたのは三日後だった....
『ただいま、アスカ』
『お帰り、シンジ....眼が覚めたわよ』とアスカは告げた
ミサトの表情が暗くなる
『そう、わかったわ』
アスカはシンジに全てを話した.....全てを
あの日...サード・インパクトを起こすべく全ての削除が始まった
人が人を殺す、そんな情景が一面に広がっていった
シンジとアスカは訳も分からず...ただその津波のような歴史という巨大なエネルギに身を
任せるしかなかった
シンジとアスカはエヴァに乗り、自分達と同じ人間を殺していった
そして遂に終幕の時が訪れた.....ゼーレがゲンドウがその闇の欲望を満たすべくその悲劇
の幕を上げようとした....が、
ミサトはこの日を察知し準備を整えていた....それは加持の残した資料によるものとミサ
ト自身が探った真実の結晶だった
そして.....サード・インパクトと呼ばれるそれは遂に起こらなかった....
シンジはその後に見たもの...それは夥しい血と死体だった
その中にはリツコも含まれていた....
傍にはマヤが、ただ泣いていた.....それ以外にその者の鎮魂が出来ないかのように
そしてシンジは意識が遠のくのが分かった
ミサトはシンジの部屋に静かに入った
『シンジ君?』
シンジは何も言わず暗い部屋の中で遠くを見ていた
『シンジ君、聞いただろうけど.....あなたの父親碇ゲンドウは死亡したわ』
シンジはその声の方向は見ず感情の無い声で尋ねる
『なんでですか....ミサトさん?』
『あの人は自分の世界に生きるべきだったのよ....その世界に他人を巻き込もうとした
の』
『そう.....ですか...』
『でもね、シンジ君...こんなことを言ってもしょうがないと思うけど....碇司令は生きて
いるかもしれないわ』
『なぜ....ですか』
『死体が確認されてないの...ただ、それだけだけど...』
『それは他の人も同じです....可能性は無いですよ』
そう言ってシンジは絶望の笑みを浮かべた
『でも、シンジ君....』
『ミサトさん....これ以上僕を追い詰めないでください....お願いですから』
『そう、そうね....ご免なさい....ただもう最後だから....』
シンジはその言葉に反応する
『最後?』
『そう、シンジ君....私のことも話しておくわ...』
ミサトもまたシンジに全てを語った...
最後の瞬間.....自分が撃たれ.....死んだと思ったこと
そして、病院で無く古い部屋で目覚めたこと.....誰が運んだかは分からないが
そして.....シンジに新聞を見せた
それはネルフ本部での事故のニュースを告げていた
『事実は相応にして隠蔽されたの』
そこには死亡者のリストが載っていた
ネルフ本部司令 碇ゲンドウ
同副司令 冬月コウゾウ
同技術部長 赤木リツコ
母さんの名前は無かった....それは死んだ人間として生きていたからだった....
そして....
同作戦部長 葛城ミサト
『ミサトさん、これは?』
『見たとおり、私は死んだことになっているのよ』
『でも、ミサトさんは....』
『そうね、でも今の私には丁度いいわ』
『え?』
『シンジ君、私はひっそりと暮らすつもり....この子と』
そういってミサトは自分のしまった下腹をさすった
『この子、ですか?』
ミサトはそういってクスリと笑った
『そう、私と加持の子供よ』
その頬はうっすらと色づいていた
『加持さんの子供』
『そう、私はこの子と暮らすわ』
『でも、僕らと一緒でも....』
『それは出来ないわ、暮らすことは出来ない』
ミサトの眼には決意が見え、それがシンジの意見を萎縮させた
『そう、ですか....』
『じゃぁ、シンジ君....ご免ね、何も出来なくて...』
『ミサトさん....いつ出ていくんですか?』
『一週間後....荷物を取りに来るわ....そして...どこかに消えるつもり...』
『そう、ですか』
ミサトはそれ以上は聞かれないように部屋を後にした
----父さん.....母さん.....どうすればいいの.....
----ミサトさん....僕はどうすればいいの......
----もう....何も.....何も....出来ない...
----僕の.....翼は.....無くなってしまったから....
----ミサトさんを止めることも.....何もかも....
----アスカ、どうすればいいの?教えて.....僕は、僕は.....
『うっ、うっ.........』
シンジはただ暗い部屋で一人泣く事でしかその想いを表わすことが出来なかった.....
次の日....シンジはいつも通りただ部屋で遠くを見つめていた
想いはただの空間であり...それは今のシンジの世界そのものだった
ただただ宙を見つめることでしか時間は浪費されず....
そう、いつも通り.....ただ宙を見つめる.....日々
『シンジ、開けるわよ』
すっとアスカがシンジの部屋に入ってきた
その表情にはいつもの同情は感じられず、力強い表情だった
『アスカ....』
『聞きなさい』
アスカはそれまで自分の背後に隠していたヴァイオリンを取り出す
『それは....んっ』
何かを言おうとしたシンジの唇をアスカの唇が塞いでいた
力強く...離れる事も叶わないような....吸い付くようなキス
すっとアスカからその呪縛を先に離れ、もう一度言う
『聞きなさい』
シンジは言葉が出なかった
それは美しくもはかない音色に感じられた
強さを感じさせながらもどこかに弱さを感じさせるような
冷めていながらどこか情熱的なような
虚勢を張っているような.....ガラスのような強さを持った曲
それを聞きながら.....僕はいつからということ無く涙を流していた
僕とアスカの思い出....それは今や幾つ在るかも分からないが....初めはあった
それがこのヴァイオリンをアスカが、チェロを僕が弾いた演奏会....
あのときは...僕とアスカは初めての夜を経験した後で.....
そして演奏会の後、僕らは二度目の夜を経験した....
その時から僕はアスカというこの少女を堪らなく愛するようになっていった
僕を愛し、僕を優しく包み込んでくれる....少女を
そう、いつも.....いつもそうだった
優しく....優しく包み込んでくれた
今も....そしてこれからも.....
僕はそれに答えなければいけない
曲が終った......
アスカもいつからか涙を流していた
アスカも僕も涙が溢れ.....お互いの顔を見合っていた
『ごめん....アスカ』
アスカはグイッと片手で涙を拭き取り....そして言う
『分かってくれればいいの、シンジ』
『ごめん.....アスカ』
『もう、もういいの、シンジ』
『ごめん、アスカ』
僕はベッドから降り、アスカに近寄った....ベッドから降りるのは数日ぶりだった
僕は泣いているアスカを強く抱きしめ.....言い続けた
『ごめん、ごめん、ごめん、アスカ』
僕らはただ抱きしめあい.....そしてお互いの熱を....愛情を感じ続けていた
僕らは久しぶりに夜を共にした
それは今まで以上に情熱的なもので
僕らはその快感の波に身体を預け.....ただ預けていた
僕はもはやアスカ無しでは生きていけない.....そう感じていた
『アスカ....愛してる』
『あたしもよ、シンジ』
夜は僕らに優しい光りを与えていた
『愛は静けさの中に〜幸福〜』
〜第三話『あなたに降る夢』〜完
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ど〜もD・Sです
はぁ、出来た.....でもまだ続きます(笑)
ただ今HP作りに熱中しているもんで....進みが遅いんです
次はシンちゃんの変貌ぶりが明らかに!なるかな?(笑)
まぁ、どうにかなるでしょ?(爆)
砂漠の人様.....納得頂けたでしょうか?
一応リクエストにはこの時点で答えたはずですが.....
まだ続くんで見守ってください
では次回(といっても上にあるかも(笑))
『愛は静けさの中に〜幸福〜』
〜第四話『ある日どこかで』〜
お楽しみに
では!『人間N2対空爆雷』アスカ様の御入場です(爆)
D・Sは早めに逃げさせて頂きます(外道)(笑)
D・Sでした
みゃあと
偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。
アスカ様「に、人間N2対空爆雷……(ひくひく)」
みゃあ「あ……(や、やばい)」
アスカ様「ふっ……D・S。なかなか面白いこと言うじゃない」
みゃあ「ありゃ……さすがはver3.0のアスカ様」
アスカ様「ふっ……このくらいはねぇ」
すみません。短いですが、このネタであと2回引っ張りたいのでこの辺で…(^^ゞ