『誰が為に鐘は鳴る 〜祭日〜』
第一話「男女」
作・D・Sさま
ど〜もD・Sです
今回で『2つの記憶』も最終章です
今回はちょっと今までと趣向が違います
ただハッピーエンドもいいんですが....困難はないと、ということで
シンちゃん、アスカ様にも
そしてもちろんこれをお読みのあなたにも
おつきあいいただきます
いままでにないD・S作品をお楽しみください
ちょっとシリアスかな(笑)
今回はプロローグといたしまして
登場人物紹介
第一話『誰がために鐘は鳴る〜祭日〜』第一話『男女』
をお送りいたします
では御賞味あれ!!
登場人物紹介
碇シンジ[男] 現在小説家、翻訳家として活躍
慈善団体『Cleaner』会長
18歳の誕生日にアスカと結婚予定
惣流・アスカ・ラングレー[女] 現在ダンスインストラクター
シンジと同居中
葛城ミサト[女] サードインパクトを未然に防ぐ
現在加持リョウジとの一粒種『リョウジ』と共に生活
慈善団体『Cleaner』副会長
碇ゲンドウ[男] 死亡 死体確認されず
碇ユイ[女] 死亡 死体確認されず
綾波レイ[女] 現在住居不明
生存は確認済み
冬月コウゾウ[男] 死亡 死体確認されず
赤木リツコ[女] 死亡 死体確認済み
川中アツシ[男] 慈善団体『Cleaner』会長代理
マヤ・マコト・ノボル ネルフの後設立された組織『ネオス』幹部
自分の粗末な文章を支えてくれた皆様にこれを俸ぐ...
第一話『誰がために鐘は鳴る〜祭日〜』
〜第一話『男女』〜
碇シンジの誕生日は残すところ後3か月をきっていた....
『あっ.....んっ.....あっ....あっ...あん』
場所は第三新東京市....時刻は闇のはべる時....その要塞を思わせる街の一角....
マンションの中からその卑猥な声は聞こえていた....
『アスカ....とても奇麗だ....4年前...君を初めて抱いた...その日から....愛してる』
アスカというその女性はその言葉を発した男性を数奇な眼でみる
その眼にはまた、意外な....驚きを表わす色もみえる
『なにいいだすの、突然?』
そういった女性...アスカの顔がわずかに紅潮する
照れ隠しからか、声は少々の怒りが含まれる...顔は嬉しさのみを伝えていた
『いや、こういう事は言えるときに言うことだからね』
そういって男性...シンジはがばっとアスカの上に乗る
シンジの眼は真剣であったが、優しさと瞳に映る女性への愛に溢れていた
『もう、その言葉...3か月後にいってくれる?』
『あぁ、もちろん....』
シンジは言葉の尻を濁した...
それはアスカには分からなかったし、シンジ自身も気付かなかった
シンジの眼には深い悲しみの色が見え隠れしている、とアスカは考える
それはもちろん、あたしに対してでは無い、とも...
あの日は誰の心にも深い悲しみのみが残る...人類史上最低の日だった
あたしとシンジはなにも知らず、ただ歴史の波という津波に身体を預けた
流れは自然ではなく、その水は欲望と闇....そのものだった
そして....あたしたちは生き残った....津波はとうに去っていた
しかし、津波は人々の心に溝を....傷跡を残すには十分でだった....
それはもちろんあたしとシンジの心にも残された
シンジはあの日以前と変わらずあたしを愛してくれている...それは間違いない
そしてあたしもシンジをあの日から変わらず愛している
最初に愛を交したあの日から......ずっと
この頃嫌なことを聞く....シンジに関して
なにか....そう、危ない橋を一人で渡っているらしい
もちろん、それを問い詰めてはみたが....意味はなかった
なにかやろうとしているのなら言って貰いたかった
あたしにも出来ることはあるはずだ
それが例え祈ることだけだとしても...
シンジはアスカの敏感なところに舌を滑り込ませた...
アスカはそれ以上考えるのを止め....行為に没頭した
『じゃ、いってくるわね』
『うん、いってらっしゃい』
アスカはシンジとキスを交す
朝とは思えない程の長いキス
まるでそれが二人の最期のキスであるように....
実際二人はいつもこうだったがいつになってもその『最期』は来ない
来ることを考えたことすらなかったが....
アスカはダンスのインストラクターを職業にしている
実際ダンスはうまかったがそれ以外にも特技をもつ彼女にして見れば一番給料がいいのを
選んだに過ぎなかった....他にも道はあったとアスカはよく言っている
彼女は自分で自分を才色兼備と思っている...あながち自惚れとも言い難いが....
彼女は14にして大学卒業の資格を修得、日本の中学校にも2年近く通ったがそれ以上、
上は目指さなかった
ルックスも抜群にいい
モデルとしても十分に生活をしていけるであろうそのスタイルはプロポーションもさるこ
とながらそのチャーミングな顔で世の男性を魅了するであろう
そのアスカが顔が悪いとはいえないが良いともいえない碇シンジと結婚を考えているのは
世間の人間には理解し難い事であった
アスカに言わせると....そんなことを考えないのはシンジだけ...それが魅力ね、という
だから世間の人間は普通じゃない人は同じく普通じゃない人を選ぶんだ、と思っている
あたしはシンジを愛してる.....だから理由はあとからいらっしゃい
アスカはゆっくりとダンス教室『TAG』の扉をあける....
中には既に5、6人の生徒....全員二十は超えていない....が来ていて
アスカにおはようございます、と声をかけた
アスカはその声に愛想良く答えながらも思いは胸の中へ....
----シンジ.....あなたは何を考えているの?-----
碇シンジ....シンジは小説家という事になっていた
実際その真似事はしていたが....売れたという一報はシンジの所へはまだない
いや、恐らくこれからもないであろう
その本業...小説家でなく翻訳家としては売れ筋になっていた
その翻訳は相手を思いやりながら描かれている、というのが評論家筋の意見である
シンジにして見れば...毛頭そんな考えは無いのではあったが....
シンジ宅の電話が悲鳴のような助けを呼ぶ声で鳴り響く
『はい、もしも.....』
シンジはその電話の途中で急変する
いつものメゾソプラノの声は消え、アルトの重い声になる
シンジの表情は全て消え、まるで別の人間のように思える
『・・・・・・・?』
『あぁ....無論だ』
『・・・・』
『そうだ....君の手で』
『・・・・・・・』
『あぁ、分かっている.....また頼む』
受話器を置いたシンジは....やはりまだ表情はなかった
場所は移り....
地下鉄で下方へ滑り降りていく....
闇の中を....まるで産道のように....
その先に辛い現実という悪魔が待つのを知らない新生児のように真直ぐと
突然広がる地下の世界
どこから明りが入るのか....中はぼんやりと周囲をみせる
もったいないというように少しづつ..少しづつ...その姿をみせていく
そこは正しくネルフがあった....その場所である
地下鉄は目的の...最終到着場に着きその役目を終えた
地下鉄から降りる一人の男.....髪は長めでどこからみても優男そのものだった
日本は万年夏だというのに暑そうなスーツ....しかし男には汗は浮かんでいない....
男はそこが自分の庭であるようにツカツカと進んでいく
その背中は自信に溢れた男、そのものの持つ雰囲気を醸し出す
やがて一つの部屋にたどり着き自分のカード--IDカードをそのセキュリティーシステム
へと刺す....そのシステムには『NEOS』と書かれていた
『遅い...』
『........』
一人の男はまるで落ち着きというものの価値を知らないかのように振る舞う
その男を斜めの方に見る女....彼女はじっと何か思案しているような顔を保っていた
やがてそれまでの沈黙を女は破った
『来た....』
彼女がそういうと同時に先ほどのスーツの優男が入ってきた
『そろっているか?』
全部で3人、聞く必要もない言葉で男は他の2人を見る
『あぁ、お前の言った通り....ちゃんとな』
『そうか、では始めよう』
諜報機関NEOS.....元々はネルフと呼ばれていた組織のなれの果てである
ネルフは国連直下の組織として活動していたがある日を境に解散される
ネルフには作戦部と技術部があった
作戦部は解散の時に総員が戦略自衛隊と呼ばれる軍隊へ籍を移した
ただ一人....葛城ミサト作戦部長を除いて
技術部は総員このNEOSの下に籍を移す形で残った....
ただ一人....赤木リツコ技術部長を除いて
その部屋には一つのテーブル....そして三つの椅子があった
テーブルは正三角形でその面にはNEOSと、書かれていた
各々椅子に座る....
遅れた男が口を開く
『まず....我ら三人がまたこうして会えたことを感謝しよう』
男はそんなことを言うが、眼はそうは言っていなかった
『そんなことはどうでもいいこと....はやく始めよう』
『そうだな....まず研究結果からだ』
それから三時間....三人はまだ会議を続けていた
『....ということだ...質問は?』
女が挙手する
『なにかね、マヤ』
マヤ....そう呼ばれた女性は不快の表情を瞬間表にだし...そしてしまいこんだ
『問題は「Cleaner」にこそある』
『そうだな....それは君の担当だったな...青葉ノボル?』
青葉ノボル....それは遅れた男の名であった
『あぁ、それは承知だ....間もなく判明する』
『「表」の方ではないんだぞ?』
『それも承知の上だ』
『マコト....君の方...つまり「金の人類は」?』
マコト..日向マコト..それは先ほどの落ち着きのなかった男の名である
『それは目下進行中とだけ言っておこう』
『どの程度?』
『口では言えないが....第一次接触は可能だ』
『ほう...』
と遅れた男....青葉シゲルは感心の声をもらす
『この位か....質問は?』
『あぁ』『えぇ』
『では....』
三人は揃って席を立つ...そして手を挙げ、宣誓を交す
『我は神と成すもの』と日向マコト
『真の人類のために』と伊吹マヤ
『金(きん)の人類のために』と青葉シゲル
第一話『誰がために鐘は鳴る〜祭日〜』
〜第一話『男女』〜完
みゃあと
偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。
みゃあ「やぁ……とうとう『2つの記憶』の最終章が始まりましたね。雰囲気が今までと違うんで、びっくりしました」
アスカ様「……なんか、今日は随分とフツーっぽいじゃないの」
みゃあ「(^^ゞこれが本来のコメントですよ」
アスカ様「そうね…確かに」
みゃあ「すんごいシリアス路線ですよ。伏線も張りまくりで」
アスカ様「ふ〜ん……」
みゃあ「でも、いきなり色々な人が死亡したことになっているからびびりました」
アスカ様「ど〜せ生きてるんでしょ……」
みゃあ「(^^ゞそ、それを言っちゃあ……」
アスカ様「あたしの出番が少ないのよね」
みゃあ「またまたまた〜……最初でいきなりえっちしてたじゃないですか!」
ばきっ!
アスカ様「あんたは黙ってなさい。…D・S!最近あたしが出てくるといっつも…その…あれじゃないっ!なんとかしなさいよっ!」
みゃあ「やはりアスカ様にはえっちが似合う(にやり)」
すかーんっ!
アスカ様「空の果てまで飛んでいけ〜〜〜〜〜っ!!」
みゃあ「ひい〜〜〜〜〜〜〜っっ!」
みゃあ「D・Sさま、いつもありがとうございます。さすがは最終章、気合が入ってますねぇ。ただ…一つだけ気になったことが。…青葉さんの名前は「ノボル」ではなく「シゲル」だと思いますが…(爆)」
誰が為に〜1