2つの記憶

第四話(最終回)

作・D・Sさま

 


 

『あたしのママは有名な科学者だった....』

 

それが切り出しだった....アスカの眼は遠い遠い過去を見つめていた.....

 

『でもそれが原因....まぁ他にもあるけど......』

 

『..............』

 

『パパの不倫、実験の失敗、責任は全てママに......』

 

アスカの眼はペンダントへ移っていた......

 

『それがショックでママは逃げたの....パパから...あたしから...この世界から、

  なによりも自分から.....』

 

アスカはくっ、と顎を上げ、上を見上げる...

 

『そして最後は自殺.....それがママの最後の自由意思....ううん、最初かもしれない...』

 

『えっ』

 

『ママの結婚は必ずしも幸せだったとは思えないの...しくまれた結婚だったかもって

  思えるの.....』

 

『...........』

 

『ママが自殺したとき、あたし誓ったの、あたしはママとは違う、あたしは自分の意思

  で動くし、逃げない、なにより自分から』

 

『でも、ママの子供で幸せな生活だったあたしは新しいママに馴染めなかったの.....』

 

『この前の電話の?』

 

『そう、こんなとき怖くなるの、これも逃げじゃないかって、現実を認めないあたしが

  いる、そうおもえてくるの...』

 

『..........』

 

『でも、そんなとき何より怖いと感じるのはあたしの中にママの血が流れていること.....

  これだけはだめっ、あたしもママと同じようになるんじゃないかって、自殺するん

  じゃないかって、そうおもえてくるのっ』

 

気付くとアスカは僕の胸の中で子供のように泣いていた...

 

闇の静寂が僕らを包みこむ.....

 

どちらからというのではなく僕らはまたキスをしていた.....

 

僕の手は自然に動いてアスカの顎を優しく包みこんでいた....

 

とても、とてもアスカがいとおしく感じている僕が心の中にいつの間にか巣くっていた..

 

アスカは自分のパジャマのボタンを一つ一つはずしていた...

 

僕は一瞬ドキッとし、動きが止まった

 

そんな僕をみてアスカはまた微笑む....

 

『シンジ....あたしをあげる.....あなたを一人にしたくないから.....』

 

僕は全ての感情がストップし、目の前にアスカという天使を見た.....

 

現実じゃ天使は姿形全然違うのに....

 

『アスカ.....』

 

それから僕らはゆっくりと、でもしっかりとお互いを愛しあった

 

アスカは男の僕にはわからない痛みに耐えながらも僕を受け入れ、そして.......

 

. . . .涙をながした. . . . . . .

 

 

 

 

それはアスカにとって忘れられない涙であった.....

 

 

女としての自分への涙、

 

 

そして、なにより

 

    それは、加持への、ママへの感謝と別れの涙であった....

 

後悔はなかった

 

自分は間違ってない、と確信があった、あたしはシンジを. . . . . .

 

 

 

 

あいしていると. . .

 

 

 

シンジが自分を必要としてくれれば、という願いもあった.....しかしそれは抱かれている

とき消えうせていた.....不安が全てなくなり、今、そしてこれからの自分を好きになれる確

信があった、これから何が起きようと....

 

 

 

そのあと、僕らはそのまま、裸で隣に互いを感じつつ天井を見ていた....

 

僕はアスカがとてもいとおしかった....でも....好きとは違う気がした......

 

それは嫌な言い方をすれば体が好きだという意味に似ていた........

 

 

 

 

先に口を開いたのはアスカだった.....

 

『シンジ、このピアス、あたしにくれる..?..思い出として....』

 

『えっ?』

 

アスカの身体に眼を奪われていた僕は一瞬わからなかった....

 

『シンジ、あたし考えてたの.....加持さんの話聞いてからずっと......』

 

僕はそのとき、加持さんの後釜として僕を、と思ってしまい、それがすこし表情に出てし

  まった

 

しかしアスカはそんな僕の心がわかっているかのように話を続けた......

 

『違うよ、シンジ......あなたに抱かれたのはそんなんじゃないよ....』

 

『...............』

 

『逆にね、シンジあたしのほうが怖いんだよ、捨てられたらって思って.....』

 

アスカの眼には薄い涙の層があった......

 

 

 

 

『あっ、えっとね、それで考えたの....ずっと....そしたらね...なにかわかってきたの...

  あのペンダントとピアスから....』

 

『えっ』

 

『人間はね、闇と光の硲(はざま)で生まれた孤独な魂なんだって.....だから一人じゃ生

  きられないの....寂しがり屋さんなのよね、みんな....』

 

『それでね、あたしも心に穴が開いているのがわかったの....ママのことでね....それで、

  誰かにやさしく、抱きしめてもらいたいって思い続けていたら.....もうシンジしか思

  いつかなかった.....シンジだけよ......』

 

『....アスカ....』

 

『シンジッ、あたしは言うこといったんだからね....あんたもいいなさいよ』

 

『......交換しよう.....』

 

『えっ』

 

『交換だよ、僕はアスカの苦しみを少しだけもらうよ....だから僕の苦しみをアスカにちょっとだけ受け取ってもらいたいんだ......』

 

『シンジ...』

 

 

僕らはペンダントとピアスを交換した....

 

僕はそのとき見たアスカの表情を決して忘れない.....

 

僕だけが知っているアスカ.......................

 

 

朝起きると隣にアスカはいなかった

 

ただ、テーブルにはピアスの代わりにペンダント、そして手紙があった.....

”いつまで寝てんのよ、バカシンジ!

 さっさとミサトの所に帰るわよ!!”

 

いつものアスカだった

 

僕は妙な確信があった

 

僕は死なない!アスカも死なない!

 

それが交換した苦しみなのだから.....

 

僕は急いでアスカのあとを追いかけた....


 

(エピローグ)

アスカはそのとき公園でシンジを待っていた

 

ばらばらに帰ると、ミサトが余計な心配をすると思ったからだ

 

しかし、そんなのは建て前、シンジに言ってもらいたいことがあった

 

それを家に着く前に聞きたくなったのだった....

 

シンジは思っていたより早く来た

 

はっと顔を上げると

 

シンジは息を切らし、はぁはぁいっている

 

シンジ:『◇◆□■〇★☆・・・・・』

 

アスカ:『.........!!』

 

 

 

 

そのあと、アスカは心のなかでママに言った.....

 

”もう大丈夫、もう一人にはならないよ、ママ.....”

 

 

 

シンジはアスカを見てそれに気付き、思ったまま素直に口にしていた.....

”そのピアス.....良く似合ってるよ......アスカ......その...君は....とてもきれいだ”

(FIN)


 

ど〜もD・Sです

 

やっと完結です、あ〜疲れた

 

お楽しみいただけたでしょうか?

 

そう....よかったわね......

 

はっ!

 

『あんたね〜、あたしがくんの知っててファーストの真似とはいい度胸じゃない!』

 

『げっはやい』

 

『なにそのいいかた?あんたが5時にここだっていったんでしょうが!』

 

『何かご機嫌がわるいですね?』

 

『あんたが中途半端な終り方をするからよ!』

 

『へっどこが?』

 

『まず1つミサトは?』

 

『いやなとこ突きますね〜』

 

『それが原因なのに結果があれじゃ納得しないわよ、読者は.....まぁ読んでんのはいないだろうけど』

 

『............』

 

『どうしたの?黙って?』

 

『.........気にしてるこというからですよ』

 

『あっ結構気にしてんの?』

 

『当り前ですよ、まだ感想が来ないんですから』

 

『つまんないからじゃない?』

 

『............』

 

『ま〜た黙る』

 

『.............』

 

『結構本気で気にしてるらしいわね』

 

『..........』

 

『代わりにいってあげる!

 

  これを読んだ人!まぁいない可能性も十二分にありえるけど

  読んだ数奇な人達!このばかに手紙を書いてやって

  不幸の手紙が一番いいわ、こいつはそれをエネルギーにするはずだから

  まぁ、とりあえずなんか書いてやってね』

 

『..........』

 

『あんたもなんかいいなさいよ』

 

『頼みます.....』

 

『後、次回のこととかは?』

 

『....つぎこそレイ4です.....』

 

『!...なんですって〜、ふざけてんの?』

 

『..............』

 

『あんた、絶対次もあたしが主人公のを書くのよ』

 

『前向きに善処します.....』

 

『ぜっっっったいよ』


 

みゃあと偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。

 

みゃあ「あ〜、ひどい目にあった。やっとロープが外れましたよ……アスカ様ったら、縛りも入れてくるなんて…SMものを書けってことかな?」

 

どばきぃっ!

 

アスカ様「何とんでもないこと口走ってるのよっっ!!」

みゃあ「あうう……アスカ様出かけたんじゃ?」

アスカ様「イヤな予感がして戻ってきてみて正解だったわ」

みゃあ「うう……野生の勘ですね。やっぱアスカ様ってケダモノ並み」

 

ばきっ!

 

みゃあ「はうっ!」

アスカ様「黙りなさい」

みゃあ「あう(T_T)。……しかし、それはそうとD・Sさま、完結おめでとうございます!素晴らしい作品に仕上がりましたね。感動的なラストでした。特に公園待ち合わせのとこ!もう抜群のセンスを感じます!」

アスカ様「ふ、ふん……まあ、ちょっとは良かったわね」

みゃあ「ぷぷっ。シンジくんともえっちできましたしね」

 

ずぎゃっ!

 

アスカ様「……違うわよ」

みゃあ「あうう…いちいち叩かないでくださいよ。身体がもちません(T_T)」

アスカ様「まあ…この話は続編ができてるから、そっちではいい加減妄想は止めることね、D・S」

みゃあ「いえいえ。これで結ばれちゃいましたから、後は何をやってもオッケーですよね、D・Sさま!」

 

どがーんっ!!

 

みゃあ「はっう〜〜〜〜〜〜〜〜」

アスカ様「ホンッとに懲りないわね……」

2つの記憶4(完結)