続・2つの記憶〜演奏〜
最終話「聖約」
作・D・Sさま
ど〜もD・Sです
ついに最終話これで次は.....が書ける
では、がんばっていきます(’97,10,14 PM6:14)
舞台は整い、準備は完了、役者も観客もそろった
父さんはそこにいなかったが.....
どうせ来るわけはなかったから...それほどそれは表情にでていない...と思う
『シンジ!OK?』
『あっ、うん、いつでもいいよ』
まず、僕がきめた曲からだった....
『くるみ割人形』----初めに気分を盛り上げようと決めた曲だった
僕の決めた曲は両方ともアスカがリードをとる、逆は僕がとることになっていた
アスカはさすがにうまかった
なにをやらせても、そつなくこなす才能が彼女にはあった
そんな彼女を尊敬と畏怖の念で僕は見ていた
この演奏もアスカが発案者だった
その決定力、発言の強さ、社交性、どれも僕にはなく羨ましくもあり、妬んでいる僕がいる
『見事ですね、先輩』
『ええ...』
今回のことでクラシック好きが判明したマヤがリツコにいう
『シンちゃんの意外な才能を見たって感じだわ』
『なぜ今まで教えてくれなかったんですかね?』
『多分....シンちゃんらしいけど.....自信がないってことじゃない?』
『それをアスカが光の元に出した、ってことですね』
『そうね.....シンちゃんにアスカは不可欠なものになってるわね』
1曲目が終った
拍手を受ける僕とアスカ....
なんか...照れ臭くも、嬉しかった
つい最近の僕にはこんな感情はなかった
人に褒められるのは苦手だった
それは人に見放されたときの恐怖を増大させる....
人に好かれるのは苦手だった
それは人に嫌われた時の恐怖を増大させる.....
人に興味をもたれるのは苦手だった
それは人に無視されたときの恐怖を増大させる.....
褒められたかった
好かれたかった
興味を示してもらいたかった
でも....それは怖かった
だから...なにもない....なにもない.....なにもない.....僕にはなにもない......
それが安心を生むと信じていた.....
アスカ....
僕の目の前にいる人は僕の心のカンヌキを無理やりこじ開けようとした
だから...反発した
--------あんた、なに考えてんの?------
いいじゃないか、放っといてくれよ
--------あんたバカ〜?----------------
そーさ、僕は馬鹿だ、だから放っといて
--------それが内罰的だっていうのよ----
しってるよ、僕はそういう人間なんだ、だからほっといてよ
------シ〜ンジ?--------------------
. . . . . . . . . . .
------ねー、キスしようか?-----------
. . . . . . . . えっ?
------シンジ?--------------------
なに?アスカ?
僕は....心のカンヌキは....とうに...無かった....
アスカ...
僕は君を信じる
僕を....対等に扱ってくれた.....そんな.....君を
信じる
君を離したくはない
君が...もし...君が....いなくなったら......この頃そんな夢をよくみる
起きたときは悲鳴と共に起きるんだ....汗びっしょりで
君にいったら笑うよね....そしていうんだ
------バカシンジ....あたしはあなたのそばにいるよ.....ずっと...ずっと...ずっと----
4曲目に入った
アスカの決めた曲で『神楽』
とても荒々しい曲でアスカそっくりだった
この曲にすると聞いたとき僕はピッタリだな、と思い微笑をもらした
---どーせ笑うと思ってたわよ...でもいい曲なんだから、ちゃんとリードしなさいよ!--
ごめん、でも初めて聴いたらいい曲だって思ったんだよ
アスカの眼は軽く閉じられていた
時折、楽譜を見る程度で--全て覚えてはいたが--それ意外の時は眼を閉じていろいろ考
えていた
はじめ、シンジを初めて見たあの日
甲板であたしは冴えない男の子と出会った
ドイツ語はバームクーヘンしか知らない
着替えを覗き
いつもボーとしていて
トロトロしてて
家事洗濯を見事にこなし
お弁当が上手で
お風呂はいつも熱くて
すぐ謝る内罰的な男の子
それがシンジの印象だった
うぶな男の子
人の気持ちを察せず
父親を恐れ
チェロを弾け
あたしの愛した男の子
それがシンジだった
あたしはシンジが好き
それに間違いはない
だからこそ自分を....シンジが自分に自信をもってもらいたかった
そんな事で始めたこの計画....
シンジはどう感じたのだろう
自信を持てただろうか?
いえっ、持ってもらわないと....あたしが計画したのに...いみが無くなる
4曲目が終った
拍手は聞こえなかった....している姿が見えても....音は....聞こえなかった
僕は自分の世界に入っていた....
ラストは今はなき加持さんへ......
『鎮魂歌(レクイエム)』......
この曲は二人同時に始める曲だった
僕はアスカを見た
アスカも僕を見ていた
そして、最高の微笑み....僕もそれをアスカに返す
一瞬息をのむ、ふぅっと息をはいて......はじまった
僕はまた自分の....自分の世界に入っていった.....
僕は加持さんに約束した...
---この演奏会の成功----
---アスカを守ること----
---そして、アスカに少しでも近づき....そばに居続けること-----
加持さん...聴いていますか?
ふと、アスカの方を見る
アスカもこっちを見ていた....
アスカの表情は微笑みへと変わっていった....
僕も微笑む
僕はもう自分の世界へ入っていかなかった
僕の世界はもはや僕とアスカの世界へ変わっていた........
僕は加持さんがいるのがみえた....
こっちをみて笑っている
---シンジ君、君はやっと気付いたんだ----
---なにがですか?----
---君とおれは違うということだ----
---やっと...ですけどね...-----
---いやっ、それに気付くのは早い遅いの問題じゃないんだ----
---どういうことです?------
---君はもう恐れなくていいということさ----
---?----
---君にはアスカがいる----
---はいっ---
---男と女ってのはそんなもんだ...恐れから互いを必要とする----
---........----
---だからこそ強く轢かれあうんだな----
---......----
----シンジ君、君はおれじゃない....君は君の方法でアスカの事を考え、決めるんだ----
シンジが幻を感じているときアスカにも同じことが起こっていた....
---アスカ---
---加持さん?---
---君は自分をもっと大切にするべきだな---
---あたしが?---
---アスカに必要なのはおれじゃ無い---
---そんなっ----
---シンジ君は強い...おそらく君が思っている以上のことをしてのける男だ----
---わかってるの、そんなこと----
---なら、信じるんだ...君の愛した...愛してくれる男を----
---わかってるの、わかってるけど...だめなのっ...あたしには加持さんが必要なの----
---おれはいつもおまえのそばにいるよ....アスカ----
---ほんと?----
---おまえが悲しむとき、辛いとき、楽しむとき、嬉しいとき、おれはそばにいるよ---
---ほんとに?加持さんっ---
---ああ、今日だってここにいるじゃないか----
---なら、あたし、もう大丈夫...大丈夫、シンジと幸せになれるよ----
---おまえのウェディング....楽しみにしてるよ...アスカ----
終った...
全5曲、短いような1時間
急に現実へと戻され、僕は拍手で驚愕していた
みんなが拍手をしている
僕はアスカをみる
---胸を張りなさい、あなたは胸を張れることをしたのよ---
そういっているようなアスカの眼....
急に誇らしく思えた
少し、ほんの少し自信がついた、そんな気がした
『よかったわよ、シンちゃん、アスカ』ミサトさん
『いいものをありがとう、シンジ君、アスカ』リツコさん
『素晴しかったですよ、ふたりとも』マヤさん
『がんばったね』日向さん
『クラシックもいいもんだって思えたね』青葉さん
『よかったぞ、ふたりとも』冬月副指令
『いいもん見させてもらったで』トウジ
『強烈だったな』ケンスケ
『すごかったわ、あたし感動しちゃった!』ヒカリ委員長
『.......きれいだった.......』綾波
『シンジ!』
『えっ?』
僕がアスカに呼ばれて振り返ると.....手を上に伸ばしたアスカがいた...
『はいっ、タッチすんのよ!』
『うっうん』
僕とアスカは成功のハイタッチを交す
少し手が湿っていていい音が鳴り響いた
逆のときは僕は手を庇いたくなるぐらいの勢いでアスカの手と交差した
アスカの手も湿っていた
それが、同じ世界を共有したもの同士の証だった....
『はいっ、みんな聴衆料よっ!』
『『『『『『『『『『えっ?』』』』』』』』』』
『えっじゃないわよ?聴き代よ』
アスカはヴァイオリンケースを手に持って、みんなに強制した
『まっ、しゃ〜ないか』
『そうね、気持ちだけ悪いけど』
『まぁ、払っときますか』
『おまえ、ホンマにがめついの〜』
『おれ、無理やり誘われたのにな』
『アスカ、ごめんね、あんま今ないの』
『い〜の、い〜の気持ちだけってね』
僕とアスカは後片付けをしていた
アスカは少しの間抜けて--多分加持さんのお墓にいっていたんだろう--それから二人で
手早く片付けた
『シンジ、今日はパ〜とやろっ?』
『そうだね、この1ヵ月疲れたからね』
『そう、だからここに食べにいくのよ、もう予約とったし』
そういって僕の前に本を掲げる、高そうな、ムードあるレストラン
『でも、お金は?あんまもってないよ』
『あんたバカ?さっきのを使うに決まってんでしょ?』
アスカはそこまで考えて既に予約まで入れていたのか
『ここのコースすごくおいしいらしいわよ』
『でも、ミサトさんはなんていうかな?』
『あー、もう言ったし、行ってこいって言ってたわよ、今日も遅くなるらしいから』
『そぅ、それならいいか.....』
すごくおいしい食事だった
いつも自分で作っていたから他人の料理、という感動も手伝っていた
『ほんと、おいしいね、ここ』
『でしょ〜、やっぱ、あたしの勘に狂いはないわね』
僕らは満足感に浸っていた
この1ヵ月がとても短く感じられた
集中して日々の生活を送っていた気がする
この1ヵ月で僕は変わっただろうか
僕は自分に自信を持てただろうか
僕は僕の事がわからなかった
家に着くと急激に疲れを感じた
急に緊張が取れた.....糸がきれた....つかれた....
アスカも同様だった
僕らはすぐにおやすみ、といい部屋に入った....
僕は寝付けなかった
部屋の電燈をじっと見つめていた
この1ヵ月を振り返る
この1ヵ月本当にいろいろあった
--------突然のアスカの提案
--------特訓の日々
--------加持さんの墓
--------アスカとの些細な、しかし今までにない口喧嘩
--------そして、演奏
--------アスカとの共有の時間
今から思うとずっとあの時間が続くことを願う自分がいたのを感じる....
僕はまた考える
僕は変われたのか
アスカの傍にいられる男になれたのか
不安と恐怖がまた根付きそうだった
ふすまがすっと開いた
アスカが無表情に立っていた
僕をじっとみている
格好は出かけたときのまま.....緑のワンピース....よく似合っている....愛らしい
アスカの手はワンピースのボタンに手をかけ、ひとつひとつ外していく
するっと服が落ちる
アスカは下着と靴下だけの姿になっていた
音もなく僕に近づく
僕の顔とアスカの顔がくっつきそうになるくらい近づく
『シンジ、あたしのこと好き?』
『うっうん』
『シンジ、あたしとしたい?』
僕はなにも言えなかった
アスカとしたい.....それは本心だった....でも、言えなかった
『なにも言わないよ、アスカ』
シンジはそう言う、なんの意味かは分からなかった
『好きだよ...アスカ』
そう、シンジは口にした...始めてシンジの口からそれを聞いた
『愛してる』
そういって僕はアスカの下着をゆっくりと脱がせた....
アスカはベッドに横になり僕を待っていた....
部屋の電気は付いていた
でもアスカはなにも言わなかった
僕も消すつもりはなかった
それ行為は互いを認めていない、そんな感じがした....
思うとアスカと僕は初めての経験を共にし、今が2回目だった
僕はアスカだけでいい、アスカはどうなんだろう、と変な疑問が湧いてきた
でも、それは互いを求めるうちに答えが出た気がした....
僕はアスカの中で果てた...
それをアスカも望んだ
僕はそれが重要な気がした
互いのことを思うがこそ、と思えた
アスカは服を脱ぐとき思った、加持さんこっからは見ないでよ?、と
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『よかったのか?』
『あぁ、別に問題はなかった』
『会議の事じゃない』
『それも問題はない』
『そうか.....』
『冬月、今日はもう帰れ、ご苦労だった』
『あぁ.......ひとつ伝えておこう....君の息子はなかなかいい音を知っていたよ』
『そうか...』
『では、明日』
ここでの会話はもちろん碇ゲンドウと冬月である
ゲンドウは机の引き出しを開け、
机に常備の電話の奥に手を差し込む
出したその手には写真たてが握られていた
ゲンドウはサングラスをはずした....眼がほんの少し細くなる
『....ユイ、私たちの息子は元気だ....』
『.....いい音を知っているそうだ、私たちの子とは思えん』
『鳶から鷹は産まれないと思っていたがな』
その唇には普段見せない笑みがこぼれていた....
『誇りとは....子をもつと違うものに変化するらしい...』
『もはや、私は汚れている....誇りはシンジへと移っている、問題ない』
そういうと、また写真たてを机の奥へ入れた
『....S計画を実行に移すときが来たようだな....』
シンジとアスカは9時に眼を覚ました
飛び起きたのはアスカの方が先だった
シンジは隣で寝ていた
そう、昨日は二人はあのまま、寄り添いながら寝ていたのだった
『シンジ....起きなさいよ、もう学校よ』
そう優しく語りかけるアスカ....シンジも昨日アスカに優しく接してくれた
『うっうん、おはよ....アス..』
シンジの眼はアスカの胸の前で止まった....まだ二人とも服を着ていなかった
昨日は電燈で明るくても平気だったアスカも例外ではない
叫び声と共にシンジを引っぱたく!
『シンジ、今のは忘れなさい!』
そういうアスカはいそいそと服を着る
シンジはまだクラクラする頭を押さえつつ服を着る
『さ〜て、今日の1日の始まりよ!』
そういってアスカはシンジにキスをした
朝とは思えないくらいの濃厚な、長いキスだった
『アスカ、今日は学校を休もう?』
『えっ?』
『今日はアスカを知るのにいい日だと思うんだ』
『.....まっ、いっか、1日くらい』
その日僕らは学校を休み、家でお互いを求めあった
ゆっくりと....そして何度も....何度も
(FIN)
ど〜もD・Sです
ただいま’97,10,14 PM10:09です〜
飯を食ったりしてたらこんな時間、こんなはずじゃーなかったのに〜
で、どうでしたか?
まぁまぁきれいにまとまったと思っているのですが.....
最終話には次回のことを少し踏んでるんです
それは次作
『Auf Wiedersehen Rei.....und Guten Tag Yui !!〜ユイ、そして再生へ〜』
にかかってるんです
ゲンドウのS計画のことです
まぁ、期待しないでまっててね〜(馬鹿?)
みゃあ様!
この作品をなにとぞ40000HIT記念にしておいて下さい
それでは感想がありましたら、どうかお聞かせ願います
では
みゃあと
偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。
みゃあ「あうあうあうあうあうううう………」
アスカ様「…あんた、何泣いてんのよ。バッカじゃないの?」
みゃあ「何言ってるんですか、アスカ様だって……」
アスカ様「こっ、これはあくびよ!あんまりつまんなかったから……」
みゃあ「…それ、前回も使いましたよ」
アスカ様「う、うるっさいわね!別に感動的なんかじゃなかったわよっ!」
みゃあ「ほら。墓穴を掘ってる」
アスカ様「うっ……違うわよっ!あたしはねぇ……」
みゃあ「まぁ、いいですよ。D・Sさま、本当に素晴らしい!これは是非斎藤さまの『週刊LAS』に紹介してもらわなければ」
アスカ様「しなくていいわよ!」
みゃあ「アスカ様〜。自分から服を脱いでシンジくんに迫ったのが恥ずかしいんですか?(うぷぷっ)」
バキャッ!
アスカ様「ち、違うわよ!」
みゃあ「いちちち…とかなんとか言っちゃって、『ま、一日くらいいいか』とか言って一日中シンジくんとシちゃったくせに」
アスカ様「(真っ赤)あ、あれはあたしじゃないって言ってるでしょ!」
みゃあ「はいはい。そういうことにしておきましょうか。D・Sさま、次回作はいよいよアレですね。(笑)期待しております。それでは……完結ご苦労さまでした」