『タイトル未定〜リレー小説〜』

第11回

作・D・Sさま(2)

 


 

リレー第11回

 

ど〜もD・Sです
 
死にそうな状況にある中、止めを刺してくれた三月様に感謝します(笑)
 
では、さっそく参りましょう
 
私は進めないことを誓います(笑)。
 
その上、次の方には進めやすい終わりにします(爆)
 
リレー小説第11回(名前もそうだが、題名はどうするんだろう)
 
作D・S
 
---------------------------------------------------------------------------
碇シンジ、彼にとって生活はまだ、それほどの変化をしたとはいえない
 
いつも通りの朝を向かえ、いつも通りご飯を作る
 
ただ、寝る場所と作る朝ご飯の量が違うに過ぎない
 
しかし、それも昨日まで。変化が起きたのは今日の朝からだった
 
『おはよう・・・碇君』
 
部屋を出るとレイが台所の傍に立っていた
 
初めは現実かどうかも分からず、聞くことさえ出来ない
 
レイを見ていると自然と唇に指が動く。あれから数日が過ぎようかというものの未だに艶
かしい感触が残っているような気がしてならないし、あれからレイに理由を聞くことも出
来ない。かといって理由が本当に分からない程シンジは鈍感ではないのだが。何か理由を
聞きたかったのだ。
 
『パ〜パ、今日は寝てていいんだって。ママが作るから』
 
そういってシンジに抱きついて来たのはシンジそっくりの、違うのは髪の色くらいの小さ
な、小さな子供。
 
それをしっかりと受け止めるとシンジにもやっと現実が見えはじめた
 
『あ、綾波?』
 
『今日はいいの。ゆっくり寝てて』
 
シンジはそれ以上何も言わず大人しくそれに従おうと、した・・・
 
が、それは青髪の---自分と綾波レイと呼ばれる少女との間の仮想的な、本来の順序に
従って出来たわけではない---子供に邪魔された
 
『パ〜パ、じゃぁ僕と遊べるね』
 
シンジは自分の心の変化を感じるようになっていた
 
元々子供は好きではない、そうシンジは自分を判断していた。が、実際の所『自分の』と
いう語がつくと話は違った。
 
(かわいい。そして羨ましい)
 
そう、感じている自分がいる。だからこそ睡眠の妨げは気にもならなかった
 
『うん、そうしよう』
 
シンジは手に力を入れ、その両脇に抱えた子供を高々と持ち上げた
 
持ち上げられ本当に楽しそうな笑い声。本当に無邪気である
 
『あ、あたしもー』
 
シンジが横からのアタックを受け、元の部屋に戻っていったのはその直後であった
 
 
 
シンジの心の変化はもう一つあった
 
それは『僕も小さいときは父さんにこんな風にしてもらっていたのだろうか?』という疑
問を感じるようになったことである
 
 
 
 
ネルフ本部・・・その一室。リツコ博士の研究室
 
ここでは昼夜を問わず先の新薬の影響を調べ続け、そしてチルドレン達の現在置かれてい
る事態の打開を目指し研究が続いている
 
新薬の影響を調べるといっても、それはそのまま今の状況の打開に繋がるとは限らなかっ
たが今のネルフ研究員、特に責任者であるリツコにはそれ位しか考えることも出来ること
も出来ないのが実際だったのだ。
 
そして、それは解明が間近に迫っているように思われた
 
『ビンゴ!』
 
近ごろ保護者としての身分を保護する者達から剥奪され、結構ショックかと思いきやこれ
幸いとばかりに以前の生活、つまりお酒に溺れる生活をのんきに過ごしているミサトが言
う。
 
彼女の以前以上の酒に溺れる生活というのは素人に想像できるものではない
 
 
その彼女が手をかけている椅子に座る女性の表情にも安堵が浮かんでいた。赤木リツコそ
の人である。彼女は基本的に自分の責任を他人に転化するのを拒み、それどころか全員の
責任も自分一人で背負うタイプの人間なので今の状況が打開出来る方法が見つかったのは
本当に緊張が解けたといった所である
 
それは一回の、しかし長い長いため息に如実に現われている
 
『これでどうにかなるわね』
 
『お疲れ様』
 
これで今日何杯目であろうコーヒーを差し出すミサト。彼女は他人を敬う方法をこれしか
知らないのであろうか
 
それを素直に受け取るリツコ。彼女もミサトがこれぐらいしか知らないことを分かってい
るらしく、この好意に対し一言も言わない
 
『後はこの結果を元に薬を作れば、ね?』
 
『そうね。これであの子達にも顔を見せられるわ』
 
『『お疲れさま』』
 
 
 
 
今日の実験は終了し、リツコとミサトはネルフ特有の無駄に長いといえる廊下を並んで歩
いていた。実際は無駄に長い訳ではない。ネルフの防衛システムの一つであり、敵、と呼
ばれるそれが侵入をした時も対処が万端に出来るよう時間を稼げる構造にしてあるのだ。
 
しかし、その『敵』というそれが来ない限りは無用の長物以外の何者でもない、実際職員
の間では劣悪なものとしての扱いをこの廊下は受けている。そんな廊下を歩く二人、会話
がほとんどなく、二人を知らない者が一緒に歩いていたら息苦しさを覚えるであろう。
 
そんな中、リツコが先に口を開く
 
『あなた。やっと元の家に戻れるわね』
 
ミサトはその意見に思案顔で答える
 
『んっん〜。ちょっち迷ってんのよね、それ』
 
『どういうこと?』
 
『だって、あの子達は私がいなくてもやっていけるし。それにその方がいいんじゃって思
えたりするのよ』
 
『あの子達にはまだあなたが必要よ。そんな自分を軽く見ない方がいいわ』
 
ミサトはその意見には答えなかった。
 
『・・・んじゃ、お疲れ』
 
油圧の抜ける音と共にミサトは用意された自分の仮住居へと姿を消した
 
『大丈夫よ。彼等もあなたもお互いが必要だって分かっているのだから』
 
今日はやけに雄弁じゃない、とミサトが言いそうな位今日のリツコはお喋りになってい
る。それは実験の成功のためかも知れなかったし、友人との話す時間が増えたためかも知
れなかった。それはリツコにさえ分からなかったが
 
さっと、きびすを返し、ミサトの部屋の前を通り過ぎるリツコ。これからである、彼女の
本当の時間は。
 
 
 
『そうか。下がっていいぞ、赤木博士』
 
そう冷たく言い放つゲンドウ
 
『私としては・・・』
 
『別に聞く必要はない。下がっていいぞ』
 
『はい』
 
実験結果から分かった事・・・それは彼等チルドレンの心情の変化である。まぁ、突然自
分達にそっくりな子供が出現したら誰でも心が揺れ動き、当惑する。しかし、それを乗り
越えた彼等の心は間違いなく各々のトラウマを乗り越えつつあるのだ。そう、アスカは自
分の母親との、レイは自分の存在希薄との。ただ、シンジに至っては未だに揺れ動きが完
全に収まっていないのが気にはなる。しかし、別な女性に各々の子供がいる状況を考えれ
ばごく自然な反応ともいえるが。
 
しかし、もしこのトラウマを皆が乗り越えたとすれば・・・それは人間的には喜ばしく祝
福されて然るべきなのだろうが・・・彼等は特別である。そう、エヴァのパイロットなの
だ。人間的な成長は即ちパイロットとしてのシンクロが不可になる恐ろしい可能性を秘め
ている。いつ使徒が襲って来るか分からない今の状況ではそれは避けたい所でもあるの
だ。ただ、人間性を尊べばそんな事は出来ないのが現状なのである。
そんな事とは即ち、チルドレンの子供の破壊、若くはチルドレンとの強制的な融合を意味
する。
 
 
 
 
 
変化したのはレイだけではなかった。アスカもそうであった。
 
今まであれほど嫌がっていた子供を優しく扱うようになったのである。それはレイとシン
ジにとってとても意外な事であったが、この間のアスカの叫び声から何かが変化したのだ
ろうと推測をたてるのはそれほどの苦労はいらなかった。
何かがあれば何かを。それと言えばあれ。これと言えばそれ。アスカは実際は世話を焼く
のが嫌いではないのかも知れなかったが、これらの世話焼きは全て他の二人の目にかから
ないように注意している所がアスカの最後のトラウマであろうか?
 
レイも忙しく振る舞っていたが、それはアスカとは対照的であった。何かがあればシンジ
に聞き、それが、と言えばこれは、とシンジに問う。つまり、シンジに積極的に話しかけ
る様になっていったのである。彼女のトラウマは殆どなくなりつつあるように見える
 
問題はシンジである。二人の女性に囲まれ、二進も三進もいかない状態に追い込まれてい
る。まぁ、どちらかに傾くなど彼の思考回路では思いつきもしないのだから追い込まれて
も何が悪いのか、すら気付いていない。彼のトラウマはずばり父親である。だからこそ、
どちらかに絞り込むことさえ出来、その子供の父親としてしっかり出来ればそのトラウマ
も無散してしまいそうなのだが。
 
さて、今日は学校に行く日である。といっても終業式だけなのだが。アスカは行くとい
い、レイは何も言わない。シンジは、と言えばいつも通りの媚びを売る笑い。結局の所、
一番成長できていないのはシンジなのである。だからこそ、アスカの威圧的な態度に押さ
れ切ってしまったのである。
 
つまり、行く羽目になってしまった、ということである。
 
シンジが行くということはレイも行かなければならない。当然各々の子供もついて行く。
どう考えても皆に何か言われるのは分かり切っているはずなのだが・・・・アスカの考え
は全く読めない。斯くしてどういう事になるのやら。
 
第11回 完
 
---------------------------------------------------------------------------
 
はい、外道なD・Sです
 
思いっきり自分でブレーキを踏んで最後に外道な仕打ちを・・・
 
さ〜て、こんな無茶な展開を一新してくれる、ありがた〜いお方は(爆)
 
『謎のアスカファン』さま、あなたです!!
 
では、私に言える事は何もないので去らせて頂きます
 

では 

 

リレー11