『タイトル未定〜リレー小説〜』

第6回

作・鰹節さま

 


 

「ATフィールド?」

 

「そう。あの子達は、アスカとレイのATフィールドで出来ているの。

 

 もっと正確に言うと、シンジ君、貴方のATフィールドでも出来ているけれどね」

 

 リツコの淡々とした言葉。

 

 それにシンジは愕然とするしかなかった。

 

 

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リレー小説第六回

 

 

リツコの答えはシンジの思考を止めるに十分だった

 

それはアスカやレイも同じ

 

衝撃的な事実の上に理解不可能な答え・・・

 

これで混乱するなというのが無理というものだ

 

理不尽とも言える宣告から

 

いち早く現実への帰還を果たしたのはアスカだった

 

「ちょっとリツコ!ちゃんと説明しなさいよ!」

 

またもやリツコに喰ってかかるアスカ

 

「分かったけどその前にすることがあるんじゃない?」

 

リツコはアスカを軽く受け流しながらその後ろを指さす

 

そこには顔を蒼くしているレイとさっきのまま固まっているシンジが居た

 

「私の部屋へ来なさい・・・・・」

 

リツコはそう言って六人の前からさっさっと立ち去った

 

 

 

立ちっぱなしの二人とじゃれつく3人の子供

 

見事に話を流されたアスカは罪のない壁に当たり散らすのだった

 

 

 

 

 

レイとアスカとシンジ、そして彼らを慕う子供達はリツコの私室に来ていた

 

私室は常駐している実験室程ではないにしろ

 

マギの端末を中心にちょっとした設備が整っている

 

仮眠を取るための寝室やキッチン設備はリツコの忙しさを象徴している

 

おそらく殆ど使われていないキッチンからリツコが出てくると

 

6人の前には豊かな香りを放つカップが置かれた

 

リツコが自ら入れたコーヒーだ

 

3人のちび共はあまりお気に召さないみたいだが

 

親?達はその芳醇な香りに心を捕らわれている

 

そして何よりリツコの意外な一面をかいま見たことの驚きもあるだろう

 

普段の実験室のリツコからは想像できない事だったのだ

 

ミサトほど家事能力の欠如した人物はなかなかいないものだが

 

そのミサトとのつき合いの長いリツコをミサトと同じように見ていた節がある

 

そしてリツコが入れたコーヒーを口にすると

 

その先入観が謝りであったことを知らされたのだった

 

 

 

 

シンジ達はひと心地付いたものの

 

未だコーヒーを楽しんでいるリツコに声を掛けられずにいる

 

美味しいコーヒーとそのゆっくりとした時間のおかげか

 

3人とも随分落ち着いたように見える

 

 

 

様子を伺っていたリツコが

 

3人が十分に落ち着いている所を確認すると

 

ゆっくりと話を切り出した

 

 

 

 

 

 

 

「ATフィールドは誰もが持っているモノなのよ・・・・・・」

 

 リツコの言葉はそこから始まった

 

「ATフィールドはあらゆる種・・・おおよそこの地上にするすべての生物

 

 が持っているもの・・・・

 

 その力の強さは様々で、持っていたとしても

 

 それを物理的な力として振るえる種はこの世に二つだけ・・・・」

 

 

 

リツコはカップをデスクに置くと重々しく言い放つ

 

 

 

「エヴァと使徒よ」

 

 

 

リツコの言葉は和やかに思われた辺りの空気を瞬時にこわばらせた

 

寄り添い座る六人・・・

 

親?たちはリツコの発言に少なからずショックを受けていた

 

ちび達はそんなことをお構いなしに親達にじゃれついている

 

アスカは大きく目を見開き、シンジはポカンとしている

 

ただ一人レイだけはいつもと同じ表情で子供達の相手をしている

 

「じゃ何で私たちのATフィールドがこの子達になったって言うのよ?」

 

重い場を壊すようにまたもアスカが質問、いや詰問する

 

「それは分からないわ・・・

 

 あなた達に渡した薬はシンクロ率と密接な関係を持つ

 

 脳内神経・・・通称A10神経系に働きかける作用を持っていただけ

 

 まさかこんな結果が出るとは私も思ってはいなかった

 

 シンクロ率とATフィールドの間にいったいどんな関係があるのか

 

 それはこれから調べなければならないことなの」

 

「さっき原因が分かったって言ったじゃない!」

 

「原因というのはあくまであの子達がどうやってここに存在しているか

 

 ということだけよ、なにもすべてが分かった訳じゃないわ」

 

「紛らわしいわね!それにしても訳の分からない薬を私たちに飲ませたのは?」

 

「動物実験でも生体実験(ヲイヲイ)でも問題は無かったわ

 

 これはあなた達適格者固有のものと考えられるの

 

 だから調査が終わるまでもうちょっと待ってくれるかしら」

 

「それにしても・・・

 

 

 

アスカとリツコの舌戦はいつまでも続きそうだった

 

”くいっくいっ”と、シンジは袖を引っ張っられている事に気付いた

 

アスカの話しをずっと聞いていたシンジは”はっ”として引っ張られた方を向くと

 

レイが青い髪の男の子を抱きながらシンジの方を見つめている

 

話の内容を思い出したようにシンジはリツコに聞いた

 

「その間この子達はどうなるんですか?」

 

ずっと黙っていたシンジが突然話し出したので

 

リツコもアスカも止まってしまう

 

「赤木博士・・どうなんですか・・・」

 

レイもシンジに続くように尋ねる

 

「・・・・・・・・・・・・調査に協力して貰うわ」

 

そう答えるリツコは不自然なくらいに平静だった

 

レイとアスカは何かを悟ったように”キッ”とリツコを睨む

 

リツコの言葉に隠された微妙なニュアンスを感じたのだ

 

アスカはそのサファイアの瞳で燃やすような怒りを

 

レイのルビーの瞳は相手を凍り付かせるような鋭い視線を

 

突き刺すように投げかける

 

それは常に冷静なリツコが怯むほどの圧力だった

 

彼女たちは当然子供を産んだ訳ではない

 

魂の訴えと言おうか・・本当に自分の子のように感じられたのだ

 

親が子供を守る思いに勝るものはこの世には無いだろう

 

たとえ二人の年齢が14歳であってもそう感じさせるだけのものがあった

 

そんな二人を驚きとともにシンジは見ていた

 

見ていることしかできなかった

 

彼女たちの振る舞いに彼は置いて行かれるような感覚さえ覚えるのだった

 

 

 

 

 

 

(第七回へ)

 

 

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作者の叫び(と言う名の言い訳)

 

うわぁぁぁぁぁぁ話が進んでないよー

キャラが変わってないよー

しかもここで引くか?おい

とか言っときながらアップする私は酷い男・・・・

関係者の皆さんには大変遅くなって申し訳ないです

言い訳言わして頂ければいつぞやに掲示板にあった事故が原因なんです

だとしても精神的に参ってるときには筆が進まないな

次に出番が来たらしっかりやらせていただきます

 

 

そんでもってお次ですが

「謎のアスカファン」さま!よろしいでしょうか?

リレー6