【ひとりでできるもんっ】

パターン1鷲羽ちゃんの場合

作・儚さま


「子供、か・・・・」

赤い髪の女性、鷲羽が、自室兼研究室のメイン・コンソールの前で

溜め息交じりにそう呟いた。

 

天地家に居着いて、いくらかした頃。

突然の来客者、太郎は、鷲羽に過去の記憶を思い出させた。

 

太郎と言う赤ん坊のおしめを替え、ミルクをやり、優しく抱き抱え

て子守り歌を歌う。

 

遠い――そう、もう二万年も昔の記憶。

 

「・・・・・・やだな・・・・アタシらしくも無い」

 

鷲羽は苦笑して、コンソールに向き直った。

カタカタとキィボードを打つ音が、亜空間に閉ざされた部屋を支配

する。

だが、その音も、ものの数分もしない内に途絶えてしまった。

 

気が付けば、太郎――いや、遥か昔に置き去りにしてしまった我が

子の事に思考が向かってしまう。

 

こんな事は、今までで幾度もあった。

そんな時は研究に没頭して、無心にキィを叩いていればじきに頭か

らそんな事は去っていったものだったが。

 

 

理由は分かっている。

 

天地達に過去を吐露した事で、昔の事が強く表層意識に出てしまっ

ているのだろう。

例え自分の子ではないといえ、太郎が帰っていった事の喪失感と言

うのもあるかもしれない。

 

そこまで考えて、つくづく自分が科学者だという事を思い起こす鷲

羽だった。こんな時にも、自分を冷静に分析してしまう。

 

「はぁ・・・・・もう、今日はヤメにしとこ」

 

鷲羽は作業中のファイルを閉じ、椅子に横倒しに寝転んだ。

どうせ、このままやっても作業は全く進まないだろう。

 

別に、天地達に昔話をした事を悔いているわけじゃない。だが、話

したからと言って心に沈んでいるモノが消えてなくなるワケでもない。

 

「感傷なのかな・・・・・・やっぱ」

 

おおよそ、科学者らしくない事ではある。

昔の仲間が知ったら、さぞ驚き笑うことだろう。

 

でも――あの人が知ったら・・・・・どうだろう。

―――駄目だな。どうしても、思考が過去に向かってしまう。

 

鷲羽は無理矢理考えを止め、両手で顔を覆って深く息を吐いた。

それから両腕を胸に置き、ぼうっと天井を見つめた。

 

つ・・・と、手が胸に伸びた。

服の上からそのふくよかな胸を揉みしだいてみる。

 

懐かしい感覚が鷲羽の脳に伝わり、次いで自分がまだ「本来の姿」

である事を思い出した。

昔、確かに感じた事のある感触。

 

鷲羽は上着の裾から手を差し込み、直に乳房に触れてみる。

やわらかな胸が、まさぐる掌にシルクの様な手触りを返してくる。

空いた手でキュロット状のズボンのベルトを緩め、つい、っと内

側へと手を進入させた。

 

下着の上から、自分の大事な場所に指を這わせ、前後に動かす。

と、痺れるようなびりびりとしたものが背筋を疾る。

手の動き一つ一つが、遠い昔に忘れてしまった、愛しい人との睦み

事を思い起こさせる。

 

胸の先端が充血している。下着の奥から粘液質の液体が染み出る。

いつしか水音が部屋に響き、女の匂いが充満し出した。

 

なにを、してるんだろう・・・・

鷲羽の頭の中で、どこか覚めた部分が自分を見下ろしている。

しかし、熱くなった体を弄る我が手は止まらない。

確実に自分の中から情欲を引き出していく。

 

身体の内から、快楽が沸き起こされるほど、その頂点に近づくほど、

鷲羽の脳裏には一人の男の姿が浮かび上がる。

そして、その男の手も。

 

既に胸の手は充血した突起を弄び、もう片方の手は下着の内側へと

入り込んで、直に潤壷の中へ指を沈めている。

だが、それは鷲羽の手ではない。今も頭の片隅に住み続けている男

の手だ。

鷲羽の耳に、荒い吐息が吐き掛けられる。

幻聴だ。そう分かってはいても、やはり実際に声は聞こえてくる。

男の手が、鷲羽の「弱点」を巧みに突く。

そろそろ、限界点が近づいて来ていた。

 

「うっ・・・・・・くぅ、は・・・っぁあ・・・・!!」

『鷲羽・・・・愛しているよ』

 

絶頂にいたる直前、はっきりとした『幻聴』が聞こえ、瞬間、鷲羽

の胸を刺し貫くほどの痛みが駆けた。

 

「う・・・・・・・・・うっ・・・・・・・」

 

鷲羽は胸を掻き抱き、自分をめちゃくちゃにしてしまいたい衝動に

駆られるのに耐えた。

 

忘れる為に、していた筈だ。だがこれでは逆効果だ。

痛みが去るのをじっと待ち、鷲羽は姿を普段の子供の姿に戻した。

 

ふぅ、そ一息ついたが、先のは途中で止めてしまったからだろう、ま

だ身体の熱は冷めていはなかった。

鷲羽は再び、上下に自分の手を伸ばし、身体の奥から沸き上がる感情

に身を任す。

 

―――ホント、なにやってるんだろうね・・・アタシは。

そんな事を考えながらも、掌からは薄くかたい胸丘と、淡く薄い茂み

の感触を伝えてくる。

少々危ない感じがしないでもないが、今度は上手くいきそうだった。

 

限りなく平らに近い胸を、撫でるように掴み、掌の腹で可愛らしく突

き出たものをさする。

下は下で指一本すらきつく食い絞める秘裂に、軽い前後運動で刺激を

与える。

幼い身体では、それで十分な悦楽が得られた。

 

「んっ・・・・・・・・く・・・・・・」

 

鷲羽が、少女の声であえぐ。

 

暫く両手を蠢かせ、だんだんと動きは活発になっていく。

時折、鷲羽の身体がぴくりと痙攣するようになった時、ふと鷲羽は動か

す手を止めた。

 

鷲羽は目を閉じたままで、すぅ・・・・っと深い場所へ落ちていくよう

な動きを見せた。自分の表層意識下へと潜ったのである。

 

「ん・・・」

真っ暗な意識世界の中で鷲羽が少し何かを念じると、目の前に見慣れた

丸顔の少年の姿が浮かんだ。

 

「ごめんね、天地殿・・・」

 

この身体で上手く行っていたとはいえ、またさっきの様な痛みを受ける

のは出来うる限り避けたかった。

 

つまりは、天地自身を「借りた」のだった。

 

「天地・・・・殿・・・・」

 

鷲羽が天地の名を呼び、その呼びかけに天地が応える。

虚像とは言え、詳細なデータに基づく本物と寸分違わぬ『天地』が、鷲

羽の小さい身体を両手で抱きすくめ、鷲羽の首筋に口付けた。

 

――本物も、これぐらい積極的だったら、ねぇ・・・

つい、下らない考えが頭をかすめる。

 

そんな考えを知ってか知らずか、虚像の天地は鷲羽の身体を次々と攻め

て行く。

胸に舌をはわせ、秘芯を弾き、唇を吸った。

鷲羽も天地の頭を胸に抱き、唇を吸い返した。

 

やがて、鷲羽が耐え切れなくなった頃、震える声で鷲羽が天地を呼んだ。

 

「・・・天地殿」

「・・・鷲羽ちゃん・・・」

 

天地はそれに反応して鷲羽の両足を担ぎ上げると、鷲羽の内側にぐっ、と

分け入った。

 

「っぐぅ・・・・・」

 

少女のサイズに、天地は少しキツめであったらしかった。が、虚像の天地は

そういった事はあまり気にせず鷲羽の中に押し入り、やがてはぎちっと言う

音と共に、すべてが鷲羽に収まっていた。

 

「天地殿・・・・天地殿っ・・・!」

 

鷲羽が、頭の中に巣食う男の名を追い出すように、天地の名を叫ぶ。

 

「・・・・大丈夫、僕が居るから・・・・」

 

鷲羽に入り込んだ後、天地は動かずに鷲羽の頭をじっ、と抱いていた。

 

「うう・・・・天地・・・・殿・・・・」

 

我が身の中に打ち込まれている天地の感触のみで、鷲羽の身体に震えが走り、

じきにそれは大きな波になって鷲羽を押し流した。

 

「うっ・・・・・・・・ああ・・・・・・・・っ!」

 

 

 

 

「あのぉ〜、鷲羽さぁん?」

 

ビックゥ!!

 

瞬間、耳元から聞こえた間延びした声に、鷲羽の心臓が止まるかと思うほど

脈動した。

 

「み、み、み、美星殿ぉ!?」

「砂沙美ちゃんがそろそろ朝ご飯だってぇ・・・・・あのぉ、何してらっしゃ

るんですぅ?」

「えっと・・・・・その・・・・・・・ぷ、プロレスごっこ・・・」

 

内心、大汗をかきつつ答える鷲羽。いくら美星が一本どころか二〜三本抜けて

いるからと言って、この間の様な状況ならまだしも、ここまで決定的な場面を

誤魔化せるとは・・・・

 

「あらぁ、そうなんですかぁ。私も今度混ぜてくださいねぇ〜♪」

 

・・・・誤魔化せたようだ。

 

「じゃあ、私は先に行っておりますからぁ、お早めに来て下さいねぇ〜」

 

どこまでも間延びしきった声を残し、美星は去っていった。

ふぅ、と一息ついて、鷲羽はふと思い至った。

 

「ここ・・・・・・・・・・アタシの精神世界よね?」

 

裏双蛇や亜空間の部屋とは話しが違う。ちょっと迷いましたで来れる場所では、

完璧に、無い。

 

「あの子って・・・・・・・一体・・・・・・・」

 

虚像を消して、実世界に戻る。

まぁ、美星の事は後々考えるとして、今はやはり朝ご飯の方が重要である。

自室から外へ出て、居間へと向かうと、その向こうからいつもの喧燥が聞こえ

て来た。

 

「ま、この子達と一緒に居れば、当分は余計な事考えないで済むみたいね」

 

鷲羽は笑いながらそういって、食卓の自席へと歩いていった。

 

 

(と、ちと強引にシメて終わる。)


みゃあの感想らしきもの(暫定版)

 

阿重霞「わっわっわっわ、鷲羽さまぁっ!!」

魎呼「鷲羽、てんめぇ・・・・」

鷲羽「なによ・・・ただの疑似体験じゃないの。それっくらいのことでガタガタ騒ぐんじゃないよ」

美星「あらあらあらあらあら〜・・・(*^^*)」

阿重霞「ふっ、フケツですぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

魎呼「そうだぞ、鷲羽!・・・あたしにもやらせろっ!!」

阿重霞「違うでしょっ!!」

砂沙美「ねぇねぇ天地にーちゃん。鷲羽お姉ちゃんなにしてたの?」

天地「・・・砂沙美ちゃんは知らなくていいの」

魎皇鬼「みゃんみゃん♪」