THIS NIGHT

 

作・ヘポタイヤさま

 


THIS NIGHT

by へポタイヤ

道芸師が言う

「人生なんて一夏の恋だと。

砂嵐まうテントの中で泣き笑いのカーニバル

喝采浴びて燃えたやつの勝ちさ…」

 

 

 

 

 

 

「アスカ、ちょっと、いいかな…」

片付けが一段落しかけたときにシンジがアスカに声を掛けた。

「何よお…まったくう…」

アスカが不満気な声を上げる。

まだ怒ってんのかな?シンジは気づかない振りをして言葉を続ける。

「ちょっと下まできてくれる?」

これで許してくれる…か……な……

そう思いながら、シンジが家のドアを開けてアスカを促す。

アスカは、ちらっと横目にパーティーの人的惨状を見ながら、シンジについて行く。

シンジが、地下のガレージの一台の車の前で足をとめる。

アスカが、なんのこと?と言った顔でシンジを見る。

「これが…僕からの、プレゼントなんだけど…」

シンジが、そういって、一枚のカードと鍵を差し出す。

「なにこれ、車の鍵と…免許じゃない!」

アスカが驚いた顔でシンジを見つめる。

「うん、とったんだ。免許」

「いつ?」

「昨日、ようやく、三ヶ月もかかっちゃった。」

「なんで?アタシには何も言わなかったの?」

「…アスカのおどろく顔が見たくって、さ。」

「車は?アンタそんなにお金もってたの?」

「ネルフからの給料と、バイトのお金、かな。」

「そう…なんだ…、で、プレゼントってことは、この車は、運転手付きでアタシの物なのね?」

「うん」

「じゃ、今から、ドライブに行くわよ。」

「ええっ?今から?」

「そうよ、運転しなさい。アンタは運転手なんだから。」

「…わかったよ。で、どこいく?」

「そうねえ……シンジが好きなとこでいいわ。」

「……ぼくの好きなとこでいいって…」

「あたしが戻るまでに決めとくのよ」

そういってアスカはシンジに背を向け、歩いていってしまう。

「アスカ、どこ行くの?」

「アンタ、馬鹿ぁ。こんなかっこで外なんか行けないでしょーが!!

着替えてくんのよ!!」

 

 

カツ、カツ、カツ……ヒールの響く音に振り向きながらシンジが声をかける。

「あ、アスカ、遅かったじゃないか……って……」

シンジは見事にドレスアップしたアスカの姿を見て絶句した。

両肩にバラをあしらった真紅のドレス。

並みの女性なら完全に負けてしまうであろう見事なドレス。

だが、アスカは見事に着こなしている。

いつものタンクトップに短パンのラフな格好を見慣れたシンジは

その高貴な、といえる姿に完全に見とれていた。

「なによ!アタシの格好になんか文句あんの?

それとも見とれて言葉も出ないのかな?

まあしょうがないわね。このアタシのドレスアップ姿なんだから。

アンタなんかには勿体無いんだから、感謝しなさいよ!!

………って、なんか気の利いた言葉も掛けれないの??」

シンジがようやく、と言った感じで声を出す。

「あ……アスカ…あんまり奇麗なんで、びっくりした……」

シンジの言葉。真実だけを述べた本当に真っ直ぐな言葉

それを聞いたアスカは頬を染めてうつむいてしまう。

それを見たシンジは気の利いた言葉のいえない自分に腹を立てたのかと思い、

アスカの顔を覗き込むようにして言う。

「アスカ、ごめんね。気の利いたことが言えなくて、でも、アスカに言える言 葉が僕には見つけられないんだ。だから、もう一度言うね。きれいだよ、アスカ」

ますます真っ赤になってゆく顔。シンジに見られないようにしながらアスカはつぶやく。

「ば…バカ……」

「え、あの……ゴメン」

「謝るんじゃないの。シンジにそう言ってもらえて…嬉しいんだから…」

アスカはそう言って黙り込んだ。

優しい沈黙が二人を包む………

 

 

その沈黙を名残惜しそうにしながら、アスカがシンジに訊ねる。

「…で、きめた?」

「うん」

「じゃ、行くわよ」

そういってアスカは、助手席のドアの前で立ち止まる。

「どうしたの?鍵、開けたけど…」

「アンタ馬鹿ぁ?このアタシにじぶんでドア開けろっての?運転手が開けるのよ!」

すでにいつものアスカに戻っている。

「……はいはい……」

シンジがアスカのがわのドアを開ける。

「どうぞお乗りください。お嬢様。」

そういってかるく会釈をする。

「ありがとう」

優雅に会釈を返して乗り込むアスカ。

……本当にお嬢様…いや、お姫様みたいだ……

またもや思わず見とれていたシンジにアスカが声をかける。

「ほらぁ、さっさと運転しなさいよ!馬鹿シンジ!」

…この性格さえなければ……と、心の中で付け加える。

「準備はいい?」

シンジが聞くと、アスカは、すまし顔で聞こえない振りをする。

その顔を見たシンジは、心の中でため息をつきながら、ききなおす。

「準備はよろしいですか?お嬢様?」

「結構よ、出してちょうだいな。」

「かしこまりました。」

ちょっとしたお芝居の中のワンシーンみたいな会話を経て、車が動き出した。

シンジが好きな、アスカもきっと好きでいるはずの場所へと…。

 

 

車は、星の降る小高い丘にある公園の前で止まった。

「ついたよ、アスカ」

「ここ?って…ここかあ……懐かしいわね……」

そう言いながらアスカが車を降りる。

「どう、アスカ、気に入ってもらえた?」

「シンジにしちゃ、上出来ね。気に入ったわ。」

「光栄です。お嬢様。」

「……くくっ…もういいわよ、それ。シンジには似合わないから。」

「ちぇ…。アスカが言い出したのに…」

「それよりも……シンジ、これ…」

そういってアスカがそっと紙の包みを差し出す。

「アスカ、これって…僕に?」

「……きまってるじゃない。」

「ありがとう!開けてもいいかな……」

「………いいわよ…でも…笑うんじゃないわよ!」

シンジが紙袋を開けると、中からマフラー…らしきものがでてきた。

「アスカ…」

「何よシンジ!どうせ下手だからって笑うんでしょ!」

不安を怒りに置き換えたアスカの口調。

シンジは諭すようにアスカに微笑む。

「そんなわけないよ、アスカ…ありがとう、すごく嬉しいよ。」

そういってシンジはマフラーを首に巻く。

そのマフラーにはアスカの香りが残っていた。

「あったかいよ、アスカ…すごく。」

「ほんとに?ほんとに嬉しい?あったかい?」

「ほんとだってば…あれ、でも、このマフラーちょっと長いよ…ね」

シンジが長めのマフラーの端を持つと、アスカがそれを手にとって、自分の首に巻く。

「こうすれば、ちょうどいいでしょ。」

顔を真っ赤にしながらアスカがシンジの体に擦り寄り、そっと頭をシンジの肩に乗せる。

シンジはそんなアスカの肩に、そっと手をのばす……

「きれいね……シンジ。」

「そうだね。アスカ」

二人は第三新東京市の夜景と鮮やかな月と星たちに囲まれていた。、

「ねえ、シンジ、知ってた?十二月の星座が一番素敵なのよ。」

「へえ…そうなんだ…知らなかったな…夜空が、こんなに明るいなんて。…あ、流れ星だ!」

シンジのその言葉が合図であったかのように、ひと筋、ふた筋…と、

無数の流れ星が二人の目の前を飾って行く。

「ねえ、シンジ、何お願いした?」

「…多分、アスカと同じだと思うよ。」

 

 

静かにみつめあい、唇を重ねる二人。

静かな、静かな、暖かいときが流れて行く………………

 

 

唇を離し、アスカから少し離れて、シンジが胸に手を当てて会釈しながら

アスカに声を掛ける。

「踊って頂けますか?」

シンジの意外な演出に少し驚きながら、アスカが返す。

「ええ、よろこんで。」

そう言いながら、アスカは右手をシンジに差し出す。

シンジはひざまづき、その手のひらにそっとくちづけて、エスコートする。

ゆっくりと、あの時の曲で踊りだす。静かに、かみしめるように。

踊りながら、シンジがアスカに囁く。

「いつまでも…いつまでも君は僕の物だよ…………」

その言葉を聞いたアスカは、頬を少し紅く染めながら優しく頷いた。

お互いに待ち望み続けた言葉。その言葉を聞いた二人には、もう言葉はいらなかった。

 

ただ、静かに、

 

月明かりと、無数の流れ星につつまれて、一つの影のままに踊りつづけた。

 

この夜、

 

それは二人にとって、永遠に続く夜だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き、居直り、設定。

どうも。へポタイヤです。

一応、この作品の設定なんぞを説明おば…(あんのか?そんなん)

 

一応、二人は、高校生、なんです。

だからですね、このSSは、プロポーズ話っぽいですが、一応、違います。

(でも、その辺のことは、読んでくださったあなたさまが決めてください。)

だからこの後、二人のデート話なんかがあるかも……

一応、この時代、十年以上免許所持者の推薦があれば、十六歳でも免許が取れる…ことになってますです。

一応、NERVの人間は、みんな生きてます。なんってったって、映画版見てない人間なんで、誰が死んだかなんてわかりゃしねー!!

ちなみに僕は、現在カヲル君の声すら聞いたことが無い(爆)

なんせアスカ様の下僕ですから。

……そんだけなんですけどね。

あと、SSのなかに、またいろんなキーワード(?)が、あります。

結局、好きな曲の歌詞ねじまげてつなげてるだけなんすけど、

誰の、なんて曲でしょう?

わかった方、メールください。

豪華プレゼントが先着一名にある……かも。

 

最後に

このようなSSを掲載させてくださったみゃあ様と、

このようなSSに最後までお付き合いくださったあなたに、

 

MERRY X MAS!!!

AND

HAPPY NEW YEAR!!!

 

 

THANKS FOR YOUR LEADING!!

へポタイヤでした。

 


 

みゃあの感想らしきもの。

 

コメントはしばらくお待ちください(^^ゞ。