【唇で紡ぐ詩】

 

作・穂波さま


 えーと、ヴィンセントとユフィのお話のつもり・・・ですが、別に誰と思って下

さっても大丈夫です。(^^;)

 もしお暇でしたら、どうぞ。

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 唇で、紡ぐ詩。

 さらさらと、細い髪が指の間を滑る。

 白い額に口づけると、少女はちょっとくすぐったそうな表情で彼を見上げた。

 視線を絡ませると、満足したのかにっこり笑う。

 それから、静かに瞳を閉ざす。両手を後ろで組んで、つま先立ちをして。

 キャンディーを欲しがる子供みたいに、無邪気な仕草。

 それに微苦笑を浮かべて、彼は少女にキスをする。

 小鳥のように、軽く唇を触れさせる。

 ついばむようなそれを繰り返し、そっと少女の頬から手を離した。

 大きな瞳がぱちりと開かれ、少女の両手が彼の首に回される。

 耳元で紡がれた声音に、彼は少し驚いたように目を丸くして、それから少女の背

に手を回す。

 唇を重ねて、互いを求めあう。

 今までで、一番長い、接吻。

 名残惜しさと、快楽で痺れる意識の狭間で揺れながら、そっと唇を離す。

 少女の大きな瞳は、やわらかく潤んでいた。

 そこに映る彼の紅い双眸もまた、熱っぽい色をたたえている。

 

 指先が、揺れた。

 

 視線が、ゆっくりと溶け合う。

 

 あと少し。

 

 少し、でお互いに届く。

 

 少しだけのその距離は、でもまだ足りなくて。

 

 先に苦笑したのは、彼だった。

 硬直している少女の身体に、両手を伸ばす。

 腕の中で夢から覚めたようにビクッとする身体を安心させるように、そぉっと抱

きしめた。

「…………大丈夫だ」

 囁くと、少女はようやく表情を緩めた。

 彼にだけ見せる、ほんのりと色づいた……微妙な表情。

 それに、切なさを覚えながら、少しだけまわした腕に力を込める。

「……ヴィンセント、好きだよ」

 告げてくれた途端、耳まで赤くなった少女が、愛おしい。

 答える代わりに、頬に口づける。

 ますます紅くなった少女が、彼の腕をつねった。

 

 そばにいても、それだけではダメで。

 想いは、決して確かめられるものではないから。

 少しずつ、進んでいこう。

 今は、繋いだ手を離さないでいられるはずだから。

 少しずつ、詩を紡いでいこう。

 ふたりで、一緒に。

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 ・・・いや、なんかふたりのラブラブが書きたかっただけです。(笑)

 しかし少女漫画のよーに清潔なおつきあいですね、こりゃ。

 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。


みゃあの感想らしきもの

 

すまんです、明日まで待って(^-^;。