『A.S.K.A』

(1)脱退

作・H&Rさま

 


 

熱気のこもった会場、今はやりのポップミュージックが流れる。

その中で彼等の登場を今か今かと待ちわびている観衆。

決して狭くはないこの会場でこれだけの熱気を感じることが出来ることで、

彼等がいかにファンに支持されているかがわかるだろう。

 

午後7時。BGMが消え、歓声があがった・・・さぁ、『A.S.K.A』の登場だ!!

 

 

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『A.S.K.A』

(1)脱退

written by H&R

 

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まず、ドラムの鈴原トウジがドラムセットに腰を下ろす。

片腕を上げて観衆に答えた後、バスドラムで一定のリズムを刻み始めると、

観衆もそれにあわせて「HEY!HEY!」の掛け声と手拍子を打ち始めた。

そこに、残るメンバーが駆け足で乗り込んできた。観衆のボルテージは最高潮に達する。

鈴原の力強いスネアロールが始まり、各メンバーが加わってバンドは一気に爆発した。

リードギターの綾波レイが剃刀のようなリフをかき鳴らす。

キーボードの洞木ヒカリが流れるようなメロディを作り出す。

このバンドのブレインでベースの相田ケンスケが地味ながら正確なリズムを刻み始める。

そして満を持してヴォーカル兼ギターの惣流アスカがリズムを刻みながら

その美しくも力強い声を吹き込む・・・

このすばらしい楽曲の整合感は何か神々しいほどに感じる。これ以上のバンドはもはや出現する

ことはないのではないだろうか?

 

(・・・中略)

 

アンコールの最後の曲を終え、彼等は観客に向かってお辞儀をした。未だ歓声が鳴り止む気配が

ない。それだけすばらしいライブであった。

だが、若干気になることがある。

彼等のライブを見るたびに思う事だが、演奏をしているあいだの惣流と綾波のコミュニケーション

が全くないのだ。こと綾波に関して言えば、自分の定位置からほとんど動くこともなくただ黙々と

すさまじいギターをプレイしている。「泣き」のギターを得意とする惣流とは相性がよくないので

あろうか?彼等ほどのバンドは現在貴重である、内部分裂という最悪なシナリオをとってもらいた

くはない。

それと、後半の相田のプレイが若干お粗末になってきたように思えた。テクニカルな曲が大半を

占める中で、土台をなすベースが正確なリズムを刻めなくなると全てがくるってきてしまう。

前半はとても正確なリズムを刻んでいたことを考えると、疲れによるものであろう。相田には

もうちょっとふんばってもらいたい。

 

まぁそれを差し引いてもすばらしいライブであったことには変わりはない。夢のような一時であった。

予定では彼等はこれから新作のレコーディングに入るらしいが、新作でもわたしたちに夢を見せて

くれることだろう。

 

reported by misato katsuragi

 

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「・・・ってね、こんな感じなのよ。」

 

アスカが手に持ったハードロック雑誌を指差して言った。

 

『A.S.K.A』のメンバーはミーティングのためアスカの家に集まっていた。そこには何故か

雑誌編集者のミサトの姿も見られる。

 

「こんなに誉めてもらえると、何だか恥ずかしいな・・・」

 

「何言ってるのよヒカリ、ミサトの評価通り、ヒカリはすんごく上手いのよ!! もっと自信を

もったほうがいいって。」

 

「せや、いいんちょのサポートがなかったらこんなにうまくはいかんかったろうからな。」

 

「そ、そうかな・・・?」

 

トウジの言葉にヒカリは頬をうっすらと染める。

 

「そうよん♪ 洞木さんはもっと度胸をもつことが課題かしらね。」

 

ミサトが外部の目からみた意見を言った。

 

「ねぇミサト、もっと直接的な表現であたし達を誉めてくれればよかったのに。これじゃ

じっくり読まなきゃわからないじゃないのよ!! 昔馴染みなんだから、もっとサービスしてよ。」

 

「あんたねぇ、一応公共に売られる雑誌に掲載される文なんだから私情を挟むわけにはいかない

でしょ?これでもライブリポートの文としては最高級の賛辞のつもりで書いたのよ。」

 

「せやけどミサトはん、後半の部分はわいもちと納得いきまへんわ。ケンスケはケンスケなりに

一生懸命やっとるんやし、それに惣流と綾波の不仲をにおわせるように書いてしまって、変な

噂がたってもうたら大変や。」

 

トウジが少し強い口調でミサトに言った。

 

「そう!! あたしもそれを言おうとしたのよ!! ミサト、あんたあたし達を蹴落とすつもり

なの!?」

 

「鈴原!! アスカ!!」

 

ヒカリがトウジとアスカをたしなめようとするが、ミサトがそれを制した。

 

「相田君には悪いと思ってるわ。でもね、あなた達の音楽を聴いている観客は何のためにライブに

来ていると思う? 生のあなた達の演奏を聞くために来るの。悪く言ってみれば、あなた達の実力を

判断する公開裁判みたいなもんなのよ。そこで相田君のプレイに粗が出てきた。裁判で不利になっ

てしまうの。観客を納得させるにはすばらしい演奏を見せることが大事でしょ? この記事を掲載

したのは反面教師の意図があったんだけど・・・ 相田君には辛かったかもしれないわね。ごめん

なさい。」

 

そう言ってミサトはケンスケに頭を下げる。黙って事を静観していたケンスケは何も言わず首を横

に振った。

 

「で、アスカとレイの事だけど・・・事実でしょ?」

 

ミサトは苦笑しながら言った。

 

「な!!・・・ミサト! 名誉毀損で訴えるわよ! ちょっとレイ、あんたも何か良いなさい!」

 

部屋の隅で静かに本を読んでいたレイは顔をちょっと上げてアスカのほうを見たが、またすぐに

目を本に向け直した。

 

「ムキーーーーーー!!」

 

レイに食って掛かるアスカをヒカリが一生懸命止めに入っている。

 

「・・・こりゃあかん。裁判しても負けるわ。」

 

「この記事を掲載することでアスカ達が仲良くなれば、と思ったんだけど・・・ 無理かしらねぇ。」

 

黙ってレイを睨み付けているアスカ。全く気にしていないレイ。アスカの爆発を必死に防止しよう

とするヒカリ。すでに諦めモードに入っているトウジ、ミサト。むなしい沈黙がしばらく流れたが、

その沈黙をケンスケが破った。

 

「・・・あのさ、みんな。ちょっと聞いてくれないか。」

 

皆いっせいにケンスケの方を見る。

 

「・・・俺、ベースを止めようと思うんだ。」

 

「「「「なっ!!」」」」「・・・・」

 

突然の爆弾発言にみんな目が点になった。

 

「なんやて、ケンスケ!! おまえ、本気かぁ!?」

 

トウジがケンスケの胸座につかみ掛かる。

 

「ちょっと鈴原!! やめなさいよ!!」

 

ヒカリに言われ、トウジはケンスケを開放する。が、目はケンスケをじっとにらんでいた。

 

「・・・相田、どういう事か教えてくれない?」

 

ヒカリがケンスケに聞く。

 

「ミサトさんの言うとおり、俺はもう限界なんだ。今までの曲は何とかこなすことが出来たけど、

新曲用に考えている楽曲できちんと正確なプレイが出来るかどうかは保証できない。おそらく無理

だと思う。だから俺はこの辺で身を引いてプロデュースに専念しようと思うんだ。」

 

「相田君、それって・・・あたしのせい?」

 

「いえ、ミサトさんのせいじゃないです。かなり前から感じていたことですから。俺の勝手な行動が

みんなに迷惑をかけることはわかってる。でもこれからさらに迷惑をかけることを考えれば、今身

を引いたほうがいいと思ったんだ。」

 

・・・・・・

 

再び沈黙が場を支配する。しばらくしてアスカが口を開いた。

 

「もう一度確認するわ。相田、あんたもうベースは引かないのね?」

 

こくり。

 

ケンスケはアスカの目をじっと見ながら静かにうなずいた。

 

「わかったわ。そういう事情なら仕方ないものね。みんな、これに関しては恨みっこ無しよ。

いいわね?」

 

皆うなずいた。

 

「・・・でもアスカ、後任はどうするの?」

 

「そうねぇ。ミサト、誰か心当たりはない? 相田以上のプレイが出きる人で。」

 

「うーん・・・ 難しいわねぇ。」

 

「せやろうなぁ。わい、ケンスケよりも上手いやつなんか見たことあらへんわ。」

 

なかなか結論が出ず辟易としていたとき、

 

「・・・わたし、心当たりがある。」

 

今まで本を読んでいて、会話に全く参加していなかったレイが言葉を発した。

 

「レイ、それ本当なの!?」

 

問い掛けるアスカを無視するレイ。

 

「ちょっと出かけてくるわ。」

 

そう言ってレイは部屋を出ていった。

 

「ち、ちょっと、待ちなさいよ!!」

 

アスカは急いでレイを追いかけていった。

 

 

・・・to be continued

 

 


 

(閑話休題)

 

さて、残ったメンバーは・・・

 

「わいらはどうする?」

 

「私たちもついていった方がいいかな?」

 

「いや、別にいいだろ。綾波の目は確かさ。それよりミサトさん、今後のプロデュース活動に

ついてちょっとお話があるんですけど、いいですか?」

 

そう言ってケンスケはミサトにニヤリと笑いかける。

 

ケンスケの意図がわかったのか、ミサトも意地悪なにやけ笑いを浮かべて、

 

「おっけー♪ それじゃ、ちょっと喫茶店にでもいきましょっか。それじゃ鈴原君に洞木さん、

留守番おねがいねー♪」

 

そう言って2人は出ていった。

 

「お、おいこら、んな話ならここでもできるやろ!! おい!! ・・・行ってしもた。」

 

「・・・・・・・・・・」

 

沈黙。

 

「・・・あ、あの鈴原?」

 

「ん? なんやいいんちょ?」

 

「お弁当、作ってきたんだけど・・・食べる?」

 

「おぉ!! ちょうど腹がへっとったんや!! ありがたくいただくで!!」

 

なんでヒカリはミーティングに弁当を持ってくる必要があったのか? そんなことは考えもせず

ただ無心にヒカリの弁当をむさぼる唐変木トウジ。そんな無神経なトウジと二人きりになれた

ヒカリはとても幸せそうに頬を染めたのだった。

 

(閑話休題:おしまひ)


 

どうもみなさま、はじめまして。H&Rというものです。

 

今回初めて投稿させていただきます。しかもへっぽこ(笑)!!

こんな訳のわかんない小説を投稿するのはわたしくらいなもんだろうなぁ(泣)

しかも専門用語ばりばり使ってるし(号泣)、えっちじゃないし(笑)ごめんなさいです!!

 

エヴァのメンバーがバンドをやっているお話です。TVとは全く関係ありません。

とりあえず3話くらいで完結してみたいと思っています(予定)

おもしろくねぇよ、やめてくれ、など、意見があればどしどしとメールください。

かみそり同封歓迎(爆笑)!!

 

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みゃあと偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。

 

みゃあ「だーーーーーーーーーー(涙が止まらない)」

アスカ様「き、気持ち悪いわね。泣きながらにやにや笑わないでよ!」

みゃあ「だってだって、もう嬉しくて嬉しくて……(ほろり)。なんと、H&Rさまが投稿して下さったんですよ!しかもみゃあのお家30000HIT記念に!」

アスカ様「ふーん……でもどうせまたアレな小説でしょ?」

みゃあ「ふふふふふ……そーいうセリフはこれを読んでからにしてもらいましょうか」

アスカ様「どれどれ………あら、なんだか健全ね」

みゃあ「でしょでしょ!もう心が洗われるようですよ!」

アスカ様「……このページにしては」

みゃあ「あう……(^^ゞ。ここが「汚れページ」だとおっしゃりたいのですか?」

アスカ様「それ以外に見えないけど?」

みゃあ「うううう……(T_T)このページは『愛』あるページを目指してるんですよぅ」

アスカ様「うそつけ」

みゃあ「嘘じゃないのに……(T_T)」

 

みゃあ「H&Rさまっ!みゃあをこんなにも喜ばせていただいて、本当にありがとうございますっ!もう嬉しくて嬉しくて……リクエスト、なんなりと言ってくださいね!続きを楽しみにしております!」

 

A.S.K.A1