「すがるもの」


作・鰹節さま


第五話

 

 

 

意識が戻ったとき

 

そこはやっぱりあの天井だったんだ

 

起きたのと同時にミサトさんとアスカが入ってきた

 

僕はあんな事があったにもかかわらず

 

何故か落ち着いていた

 

いや、落ち着いてるように錯覚していたんだ

 

だから

 

僕の様子を見て二人は意外そうだった

 

僕もそう思う

 

犯された人間がこんなに落ち着いていたら

 

ハッキリ言って不気味だ

 

主治医らしい先生はこの違和感を気付いていたみたいだけど

 

ミサトさんやアスカと話しをさせてくれた

 

ミサトさんが努めて話そうとしているのとは対照的に

 

アスカは何も話さなかった

 

じっと僕を見ているだけ

 

なんか見透かされているようだったけど

 

僕の表情からは何も読みとれない

 

でもそれは仕方がない

 

僕は心を閉ざすことで自分を守ろうとしたから・・・・・・

 

 

 

 

*        *        *

 

 

 

 

ミサトさんと話している僕

 

 

それは偽りの僕

 

 

今までの生活の形態反射をしているだけ

 

 

適当な話題、適当な返事

 

 

それは昔の僕その物だったんだ

 

 

 

僕の知っている人は大抵来た

 

 

 

みんな女性だったけど

 

 

 

来て

 

 

 

喋って

 

 

 

帰る

 

 

 

ただそれだけ

 

 

 

僕の関心は働かない

 

 

 

でも・・・・・・・

 

 

 

 

心を閉ざさないと他人と接することも出来ないのに

 

 

 

一人になると怖いんだ

 

 

 

夜になると感情があふれ出す

 

 

 

一人は嫌だ

 

 

 

でも怖いんだ

 

 

 

他人じゃないか?

 

 

 

分かってくれるわけがない

 

 

 

そして優しく言うんだ

 

 

 

 

「しっかり」

 

 

 

とか

 

 

 

「頑張れ」

 

 

 

とか

 

 

 

でも犯されたのは僕

 

 

何も言わない人もいる

 

 

ただ哀れむような目をしているだけ

 

 

心を痛めていることだろう

 

 

今日一日が暗くなるだろう

 

 

もしかしたら夢見が悪いかもしれない

 

 

でも犯されたのは僕だ

 

 

 

この人達はなんで来るんだ?

 

 

 

一人で良いのに

 

 

 

声を掛けずにはいられないのは何故?

 

 

 

自分が苦しいから

 

 

 

見ていて辛いから

 

 

 

だから話し掛ける

 

 

 

だから優しい言葉を掛ける

 

 

 

それは結局は自分の為なんだ

 

 

 

声を掛けないといけなかったのは

 

 

 

自分が絶えられなかったからだ

 

 

 

なんでそんな無責任なことが出来るんだ

 

 

 

なんでそんないい加減な言葉を掛けられるんだ

 

 

 

ただ自分が辛いだけで・・

 

 

 

犯されたのは僕じゃないか!

 

 

 

 

お前じゃない!

 

 

 

お前じゃない!

 

 

 

お前じゃない!

 

 

 

知った口を利くな

 

 

 

絶対にお前なんかじゃない!

 

 

 

ほっといてよ

 

 

 

僕に関わらないでよ

 

 

 

みんな来なけりゃ良いのに

 

 

 

誰も分かっちゃいないんだ

 

 

 

 

 

 

ミサトさんも・・・

 

 

 

 

 

リツコさんも・・・

 

 

 

 

 

マヤさんも・・・

 

 

 

 

 

そして多分アスカも・・・

 

 

 

 

でも・・・・・

 

 

 

 

 

 

綾波は?

 

 

 

 

そうだ綾波はどうなんだ

 

 

 

 

綾波には会っていない

 

 

 

 

来てくれないんだ

 

 

 

 

会いにも来てくれないなら同じか・・・・

 

 

 

 

なんで綾波の事が気にかかるんだろう

 

 

 

 

綾波は他人じゃないのか?

 

 

 

 

他人のはずだ

 

 

 

 

でも綾波は来てくれない

 

 

 

 

 

来てくれないのかな?

 

 

 

 

 

あやなみ・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

第六話に続く


後書きみたいなもの

 

 前回からの予告と違うぞ!という指摘はしないで・・・・・・・・・・。結構私の書き方は電波的なのかも知れません。というわけで(どう言うわけだ?)次回予告!というほどでもないですが、次は普通のストーリーになると思います。やっと綾波を出せる・・・・・


katsuobushi@geocities.com


 

みゃあと偽・アスカ様(笑)の感想らしきもの。

 

みゃあ「いやあ……すごい。なんでこんなに精密な描写ができるのでしょう。…鰹節さま、もしかしてレ○プされたことがあるとか?(爆)」

アスカ様「シンジ……」

みゃあ「これは社会派小説ですよ。心の傷とその癒しへの光明……。限りなく難しいテーマを上手に書いていますよねぇ」

アスカ様「シンジぃ……」

みゃあ「シンジくんの内面描写が緻密で凄いなぁ……」

アスカ様「シンジぃ〜〜〜〜〜〜!!」

みゃあ「あ〜、うるさいっ!人が真面目な話してるのに……」

アスカ様「シンジぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!」

みゃあ「……今回出番がなかった上に、『アスカだって分かってない』とか言われて、錯乱してるようです(^_^;)。しかもシンジくんが一番頼りにしてるのがレイちゃんだと知って…」

アスカ様「シンジぃぃぃぃぃっっっっーーーーーー!!!」

みゃあ「はぁ……もう放ってほきましょう(笑)」

性の価値は5