1.飯島真理さん及びマクロス関係者の方々ゴメンナサイ。
2.ストーリーは「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の丸写しです。
3.みゃあ先生をバカにしているわけではありません。断じて。
4.死人が出ます。
5.【 】はゼントラーディー(巨人達)の言葉です。
空が激しい光に包まれる。
辺りに轟く雷のせいか?
いや、そうではない。
あの土星の所で起きた発光と同じ現象だ。
光量がピークを迎えると同時に、虚空から突然一機のヴァルキリーが現れた。
どうやら生き埋めにはならずに済んだようである。
シンジは突然現れた『重力』と言うベクトルを全身に感じながら、機体を安定させる。
眼下には一面に広がる荒野。
ペンペン草一本生えていない大地。
アスカ様が通った後でもここまで酷くはない。
徐々に高度を落とし、ガウォーク形態で着地。
周囲を見渡してみるが、やはり瓦礫と砂ばかり。 あちこちに小さなクレーターが無数に存在している。
空は真っ赤に染まり、不気味な形をした雲の中で、雷が縦横無尽に駆け回っている。
「ここ・・・何処だろう・・・・?」
当然とも言える疑問を呟く。
「知らないわ。操縦していたのはあなたよ」
やはり当然と言えば当然の答えが、後部座席にいるレイから帰ってくる。
「それはそうだけど・・・それにしても、気味の悪い星だね・・・」
レーダーを作動させるが、アスカ様の発信器は勿論のこと、敵艦の反応さえ見当たらない。
「アスカ・・・きっと、もう会えないんだろうな・・・」
「碇君・・・」
「アスカが土星に行きたいなんてワガママ言うからこんな事になったんだ!」
「・・・・・・」
「もう、文句を言うことすら出来ないなんて・・・・」
「そう、よかったわね」
最初は同情心から慰めようと声を掛けたレイだったが、他人のせいにするシンジの見苦しさに呆れ、あっさり見捨てた。
「ちっとも良くないよ!僕のせいじゃないよ!アスカのワガママが悪いんだ!」
「そのワガママを受け入れた碇君も悪いわ」
「・・・・・だって・・・・仕方なかったんだ!言うこと聞かなくちゃ殺されると思ったんだ!」
「・・・断ろうとしたの?」
「断ろうとした」
「・・・嘘ね」
「嘘じゃないよ!」
嘘だった。
背後から真紅の瞳の冷たい視線を浴び・・・・いや、心の中を見透かされているようで、怖かった。
逃げ出したかった。
逃げちゃダメだと分かっていても、逃げ出したかった。
・・・・・・・・そして、逃げた。
ニューロン細胞の約半数が壊滅状態になりかけ、シンジは壊れた。
「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
目をむき、叫び声をあげながらデタラメに操縦桿をこねくり回す。
当然、暴れるようにヴァルキリーが反応し、機首を上げるといきなり全開で上昇を始めた。
だが、やはりいい加減な操縦では飛行状態を維持できるはずもなく、下の砂地に左翼を激しく擦り付けること数秒。
強烈な振動がパイロットの意識を取り戻す。
咄嗟に水平飛行に持っていこうとするが、高度が上がらず、胴体着陸してしまった。
更に強い衝撃が二人を襲う。
「うわあああっ!!」
「馬鹿なことはやめて。意気地なし」
やはり悲鳴の一つも上げずに、冷たく追い打ちを言い放つレイ。
そこまで言われた意気地無しは暫く頭を垂れていたが、どこからか聞こえてくる規則正しく繰り返される音を聞き付け、視線を外へと移すと、そこにはオレンジに染まった海が遥か彼方まで続いていた。
押しては返すさざ波が心地よいリズムを刻んでいる。
「・・・・・海だ・・・・・」
「碇君・・・・・・あれ・・・・・・・」
レイが震える手で指し示した方向を見ると、静かに佇む何か巨大なものが波にさらされていた。
圧倒的な威圧感。だが、その外観は錆び付き、崩れ落ち、不気味でさえある。
「これは・・・・!?」
「・・・・国連海軍太平洋艦隊所属正規空母・・・・オーバー・ザ・レインボウよ・・・・・・」
「!! ・・・・まさかっ?」
「ここが、私達が目指していた地球らしいわね・・・・」
「そんなバカな!! 『猿の惑星』じゃあるまいし・・・」
「探せばきっと、自由の女神もある筈よ」
「・・・・・・・・・うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・」
シンジは再び壊れた。
ここにも巨大な建造物が存在する。
ただし、宇宙空間だが。
その大きさはシンジ達が見つけた空母など問題にならないほどである。
比で言うとミジンコとシロナガスクジラくらいはあるだろうか。
分かるとは思うが、こちらがミジンコではない事を明記しておく。
ゲート付近には、やはり光と共に現れた戦艦が一隻。
そこから小型船が発進し、巨大宇宙要塞の内部へゆっくり静かに入ってゆく。
だが、その小型船の内部は少々事情が違うようだ。
ゲードン達は、連れてきたサンプルのあまりの騒々しさにいささか疲れた表情を覗かせる。
サンプルとは勿論、アスカ様とみゃあである。
虫かごのような入れ物に入れられて、相変わらずドタバタやっていた。
「アスカ様、やっと二人きりになれましたね」
「・・・・・・・・・・・そうらしいわね」
「男と女が二人きりになったら、する事は一つですよね?」
「そんなことないわよ」
「え? ぢゃあ、いろんな事してくれるんですか?」
「何でそうなるのよっ?!」
「だって、みゃあはもう、体が疼いて仕方ないんですよ。 何とかして下さいよぉ」
「・・・・・自分ですればぁ?」
「それが駄目なんですよぉ。アスカ様のテクニックじゃないと・・・いつものようにその可愛らしいおクチで一発、お願いしますよぉ」
腰をくねらせるみゃあ。
「いつアタシがアンタにエッチなことしてやったのよっ!!」
「え? 歌を唄って聞かせて欲しいだけですよ? アスカ様の歌を聞きたくてウズウズしてるんです。自分で歌うにしてもアスカ様ほど上手じゃないですし・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「んっもう、アスカ様ってばナニをどうするつもりだったんですか? エッチなんだからぁ( ̄ー ̄)」
虫かごが血の海に沈んだのは言うまでもない。
【サンプル選びを間違ったようだな】
【ああ】
シンジ達はとりあえず、空母の中を探索してみることにした。
ひょっとしたら生存者が・・・・そんな期待をしていたのだが、見事に裏切られることになる。
全て白骨化し、食べるところなど無い。(をい)
ただ一つ、疑問点がある。
死体の数が少なすぎる。 これだけの大型空母。かなり大勢の乗組員がいてもいい筈である。
その代わり、衣服や装飾品が、場所を問わずに散乱している。
何ヶ月もの時を経てボロ雑巾のようにはなっているが、ボタンやジッパー、ブラのホックに至るまで、全て着ている状態になっているのだ。 まさに抜け殻と言った感じである。
「これ以上は・・・・綾波、外で休んで待っててよ」
「・・・そうさせてもらうわ」
やはり、女の子に死体の山を見せるのは辛い。
だが、その中にもしかしたら保存食などがあるかも知れない。
シンジはレイを外へ出し、食料を求めてさまよい歩いた。
そして、個人用の部屋らしき所にある冷蔵庫を物色する。
当然だが、電力が来ていないのでその役割は果たしていない。
その中に、一本の瓶詰めを発見した。
「・・・白い・・・・ジャム・・・?」
キィン キィン キィン キィン キィン
(な、何だ? 頭に直接・・・・入って・・・くる・・・・)
瓶を手に取った瞬間、いかにも受験ノイローゼのような男が『ジャムを作っている』画像が鮮明に網膜に映し出された。
呻き声に混じって「恵美ちゃん」と連呼し、追加生産の時は「志摩さん」と叫んでいる。
思わずその場に眉間を押さえてうずくまるシンジ。
まさに『目の前』で目撃したその工程。しかも突然である。
彼の精神的ショックは計り知れない。
真っ青な顔をしながら呼吸を整えようと努力する。
「前に・・・リツコさんに聞いたことがある・・・確か、サイコメトリーとか言う現象だっけ・・・・」
じゃあ、この瓶詰めは・・・・?
真っ青な顔がさらに青くなる。
ふっと気が遠くなるような感覚に襲われるが、ギリギリの所で持ち直した。
そこで、ふと、変な方向に頭が働いた。
「これって、ひょっとして・・・・・・・・・・何も食料がない今の状態では、貴重なタンパク質・・・?」
自分が食するのは御免被りたかったが。
(綾波は食べるかも・・・?)
食わねーよ
瓶を開けてみると、もわぁっと猛烈な異臭が部屋に充満した。 どことなく栗の花の香りに似ている。
思わず『恐怖の白ジャム』を投げ捨て、命からがら逃げ出すシンジ。
(綾波には、僕の新鮮な物を食べさせてあげよう)
・・・洗脳されかかっていた。
ゲードンが上官キールへの報告を終えようとしていた時だった。
【おお、これは・・・・!】
キールが驚愕の声を上げる。
スクリーンには、先ほど始末したみゃあを、更に鼻歌混じりに足蹴にしているアスカ様の姿があった。
【・・・彼がうらやましいのか?】
【貴様と一緒にするな、ゲードン。 それよりも、上官に対して口の聞き方も知らぬのか?】
【ふ・・・問題ない】
【ったく、貴様という奴は・・・・まあいい。それよりも、何処からこのプロトカルチャーを?】
【ひ・み・ちゅ(はぁと)】
つぶらな瞳をくりくりさせて、ちょっと可愛いポーズと共に答えるゲードン。
キールに対して実直な回答をするという行為は、彼の高いプライドが許してくれなかったらしい。
【もう貴様には聞かん!! いいか、フュッキー。プロトカルチャーとは、『文化』を持ったマイクローンのことを言うのだ】
【ふむ。なるほど】
【流石はフュッキー。 物分かりが良いな】
うむうむと頷くフュッキーをキールが褒める。
【で、立ち聞きしてしまってスマンが・・・キール。誰かに説明しているのかね?】
真顔でフュッキーが質問をする。
【貴様ら・・・・っ】
複数形になった。
委員長はひどくご立腹のご様子だ。
【おい、キール】
【今度は何だ、ゲードン!!】
【・・・・・大人げないぞ】
【貴様に言われたくないわ───────!!!】
シンジとレイは、生存者を捜して世界各地を飛び回っていた。
「結局、第三新東京市も全滅みたいだね・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「アラスカの本部も溶岩に埋まっていたし・・・・南極は地獄そのものだし・・・何処を探しても人なんかいなかったね」
ヴァルキリーの航続距離は都合に応じて変更可能らしい。
「S2機関が搭載されているのよ」とは某天災科学者のセリフである。
「さあ、綾波。次は何処へ行けばいい? パリ? ロンドン? それともニューヨークで自由の女神でも探すかい?」
「・・・・本当にどこでもいいのね?」
「いいよ。だから・・・だから早く僕に命令してよ!」
かなり投げやりに命令を求めるシンジ。半ば生存者のことは諦めているのだろう。
「じゃあ・・・・・セントラルドグマ・・・・・」
「どこだよ、それ・・・・」
【はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・・】
肩で息をしているキールが、ゲードン達を睨んでいる。
あれ以降延々と続くゲードンとフュッキーの連係攻撃に対するツッコミで、かなりの体力を消耗したらしい。
【器用だな。 呼吸とは、鼻や口を使ってするものだ。 ごく僅かだが皮膚呼吸と言うのもあるらしいが・・・】
ゲードンがキールの様子を見て、しきりに感心する。
【そう、あの金粉ショーは辛かった・・・・私にも肩で息をする能力があれば、あれほど苦しくなかった物を・・・】
【訳のわからん事を言ってないで、いい加減人の話を聞け───────っ!!】
【話すなら早くしろ。でなければ帰る!!】
早く帰って欲しかったキールは、そのまま黙っていることにした。
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰らないのか?】
【帰ってやるから早く話せ。話が進まなくて作者が困っているだろう】
【う、うむ。そう言うことなら仕方あるまい。 先ほどから足下に転がっている肉塊を蹴って遊んでいるあのサンプルだが。 蹴りながらミーゾーン(訳:歌)という物を使っているようだ】
【ミーゾーン?】
【そう。それを聞くと脱力感が襲って来るという、とんでもない代物だ】
【では、聞いてしまった我々は、なぜ立っていられるのだ?】
【簡単なことだ。 呻き声を上げながらのたうち回っているあの肉塊。 あれのお陰だ】
【・・・・・・? どういうことだ?】
【腹部に深々と爪先が突き刺さる音、肋骨が軋む音、そして幾度と無く聞こえる、あの断末魔に限りなく近い悲鳴・・・】
【呻き声に悲鳴だと? まさか、あの状態で生きているのか!?】
【そう。 生きているだけでも不思議だが、あの攻撃を喰らったときに生じる音。 それが戦闘民族である我々の戦意を燃やすのだ】
【歌と音でプラスマイナスゼロと言う訳か・・・】
【ま、そんなところだ。 そこで次の指令だが、この・・・】
【断る】
即答するゲードン。
こめかみに青筋を浮かべながら、一枚のプレートを部下の目の前に差し出す。 相当我慢しているようだ。
【ま・・・まぁ、聞くだけ聞け。これは昔、あるプロトカルチャーの群から入手した物だ。 『文化の遺産』と言うらしい。 ミーゾーンを使いこなす彼女ならこれが何か分かるかも知れん】
興味を持ったゲードンは指令を受けることにした。
雷が落ちる。
あちこちに無数に。
そして、叩き付けるような激しい雨。
恐らく酸性雨だろうか。
ヴァルキリーをガウォーク形態のまま立たせ、雨よけとしたその下に彼らはいた。
何処から出したのかテントを張っている。 別に変な意味はない。
中で火を起こし、グロテスクな魚を焼いている。
こういう状態の時、一緒に暖もとれる火のありがたさを身に染みて感じてしまう。
時折、換気のために少しだけ開けた出入り口から遠くに落ちた雷光が差し込み、テント内部を照らす。
「ほら、綾波。 魚、焼けたよ」
体調を崩し寝込んでいるレイに、シンジ特製 出目金の塩焼きを差し出す。(金魚ではないが)
「・・・・・・・いらない」
「駄目だよ。もう三日も食べてないんだ。少しくらい食べなきゃ」
「・・・・・・・肉、嫌いだもの」
「確かに魚の肉だけど・・・じゃあ、目玉食べる? 美味しいよ」
「絶対いらない」
「でも、何か食べて生き延びないと・・・・きっと、マクロスだって戻ってくるよ」
「そんなモノ食べるくらいなら、死んだ方がマシ・・・ごほっ、ごほっ」
「大丈夫?」
シンジは懐からハンカチを取り出し、水に濡らしてレイの額に優しく乗せた。
「ごほっ、ごほっ・・・・・ありがとう・・・・」
シンジからの返答はなく、彼は座り込んだまま、ゆらゆらと揺らめく炎を見ながら何か考え事をしているようである。
「碇・・・・くん・・・?」
シンジを見ようと頭を横に向けると、ハンカチが落ちてしまった。
妙に重く感じる手でそれを拾い上げ、額の上に持ってくるとき、アスカ様のサインが目に入った。
実はこれ、サインさせてくれないシンジのハンカチを盗んで、アスカ様が勝手に書いた物である。
こっそり戻されたそれに「惣流・アスカ・ラングレー命」と入っていることなど、持ち主は未だに知らなかったりする。
ところがこれを見たレイは、アスカ様もシンジの名前入りハンカチをお互いに持っているという激しく大きな勘違いをしてしまった。
(こんな大切な物を・・・)
980円(消費税込み)のハンカチ一枚に心を動かされたレイの口から出たのは、謝罪の言葉だった。
「ごめんなさい・・・・」
何かを決意したかのように、不意に立ち上がったシンジ。
ズボンを下ろそうとしている。
ゆっくりとレイの方に向き直ると、彼女はすでに魚を少しずつ口に運んでいた。
新鮮な白いジャムの出番は無いらしい。
というより、半ケツ状態のシンジの立場は?
立ち上がったシンジに気付いたレイは、雷光によって浮かび上がった彼の情けない格好のシルエットを目撃していた。
シンジは初めてレイの悲鳴を聞いた。
一夜明け、数時間前までの嵐が嘘のように過ぎ去った。
さわやかな青空と遥か彼方に見える白い雲の輝きが、気分を爽快にさせてくれる。
・・・・・と言いたいところだが、薄くオレンジがかった海が全てをぶち壊している。
そんなムカつく海の上を、ヴァルキリーが滑るように飛行していた。
「碇君、あれ、何かしら・・・?」
「え? 何だろう・・・・行ってみようか」
波間にちょこんと覗く一本の柱。 近付いてみると、かなり大きな塔であることが判明した。
上陸してみると、ノリやフジツボがかなり大昔からこの塔が海中にあったことを教えてくれる。
つい最近、海上に出てきたようだ。
今度は二人で中を探索してみる。
人が居たような気配は全く感じられない。
その中の一室に、コンピュータールームらしき物を発見した。
「あれ?この椅子のサイズ・・・・人間の・・・?」
「巨人達の物ではないようね・・・」
赤いランプが点灯しているスイッチを試しに押してみると、ディスプレイに反応があった。
「あ、動いた」
「これ・・・通信システムかしら? マクロスに連絡できるかも」
シンジを突き飛ばし、レイがキーボードに向かってなにやら入力し始めた。
「綾波・・・・・・分かるの?」
「少しだけ・・・」
「他の連中に傍受されたらまずいんじゃない?」
「分かってるわ。 黙ってて」
シンジがスネて足下にいるヒトデと戯れていると、キュウン、と言う音と共にレイの声が響いた。
「エネルギーが切れたみたいね」
「・・・マクロスからの応答は?」
無言の返答。
「他の機械も試して見ようよ」
前向きな提案と共にヒトデに見切りを付け、辺りを物色し出すと、少し大きめの機械の電源らしきスイッチを見つけ、押してみる。
押した瞬間、奥まったところにある台座から光が溢れ出し、急速に収束。
奇妙な形のホログラムが現れ、合成音声がどこからか聞こえる。
《isiuradisiumenisiannnakawekawetetiakisurawakukakiesahierisiarukahisanah・・・・》
「・・・待っていた・・・?」
「綾波? わかるの?」
「少しだけ・・・」
「で、なんて言ってるの?」
「今聞いてるわ。 黙ってて」
シンジは猛烈な疎外感を感じていた。
合成音声がしなくなると同時に、ホログラムがかき消すように消えた。
「・・・・・・どうしたの?」
「都市を浮上させると言ってたわ」
レイが言い終わるとほぼ同時だろうか。塔全体が激しく揺れ出すと、周りの海水を押しのける音を立てながら何かが浮上してきた。
ボロボロの廃墟。 どうやらこれが、ホログラムが、レイが言っていた『都市』らしい。
ホログラムが言うには・・・はるか昔、プロトカルチャーと呼ばれる遺伝子工学が発達した文明があった。
彼らの悲劇は、男だけ、女だけで子孫を増やせるようになったことから始まる。
彼らは男だけのゼントラーディーと、女だけのメルトランディーに分裂し、戦争を始めた。
遺伝子を自由に組み替えることが出来る彼らは、兵隊として戦いしか知らない巨人達を作り、お互いを攻撃していた。
しかし、次第に戦争が激化。 ようやく間違いに気付いた彼らは男女共に暮らせる安住の地を求めてこの地球に逃げ延びてきたらしい。
その時に地球にいた原住生物の遺伝子を操作してヒトの祖先を作った。
だが、2万年前、巨人達の戦争が太陽系まで及んだとき、彼らは都市を海へ隠して一度地球を離れた。
しかし、何らかの理由で帰ってこれなかった。
そして半年前、巨人達の攻撃(マクロスが宇宙へ飛び出すきっかけになった物)を彼らが帰ってきたと誤解した宇宙船が、塔を浮上させ、訪れる人達を待っていたという・・・・・
ちなみに、大陸の名はムーと言い、この土地はアトランティスと言う(大嘘)
かつての住人達はモアイにそっくりだったという(でまかせ)
「ねぇ、綾波? 一つ聞きたいことがあるんだけど」
「・・・なに?」
「少ししか分からない言葉をあんな短い時間しか聞いてないのに、良くそこまでのことが分かったね?」
「・・・ご都合主義だから」
「あ、なるほど」
「それにしても、2万年も待ち続けて、やってきたのが僕たちだけなんてね・・・」
「・・・一人当たり1万年ね」
「そうだね・・・」
その計算、根本的に何かが違う
海水が引いた都市を探索することにした二人は、まだあちこちに残っている水たまりも気にせずに道を歩いていた。
どちらからというわけでもなく、自然に足が向かったと言うのだろうか。
一軒の建物へと入っていった。
「かなり傷んでるね。 屋根にも穴が空いてるし」
「そうね・・・あら?」
「どうしたの?」
レイが瓦礫の中から手のひらパスポートサイズのプレートを拾い上げ、そこに書かれている文字を読みとろうとする。
「・・・お・・・・・おぼ・・・?」
「綾波、読めるの?」
「巨人達の文字よりも複雑で、よく分からないわ」
「そう・・・」
かつての住人達の言葉が記された貴重な品であると判断したレイは、そのままポケットにそれを忍ばせた。
「ただの家みたいだね。 他の所にも行って見ようよ」
声を掛けたが、レイからの返答がない。
見回すと、足下に広がる水たまりを目を見開いたままじっと見つめて、身動き一つしないレイが立っていた。、
「綾波!?」
「・・・・・あ、碇君・・・」
「他の所、見に行こうよ」
「・・・・あの、もう少し・・・もう少しだけここにいても良い?」
上目遣いでお願いするレイ。どことなくモジモジしているような印象も受ける。
その何気ない仕草がガッチリとツボにはまったシンジに、お願いを断れる訳がなかった。
「あ、うん・・・じゃあ僕、なにか使えそうな物がないか探してくるよ」
頬が赤くなっていくのを隠すように、逃げるように家を飛び出した。
その背中に向かってレイが微笑みながら手を振っていることなど知らずに・・・
小一時間ほど歩き回っただろうか。
手ぶらで帰ることに罪悪感を残しつつも、無い物はしょうがないという開き直った態度でレイの元へと戻るシンジ。
「おかえりなさい」
「たっ・・・・・ただいま・・・・」
不意に掛けられた言葉に戸惑いつつも答えたシンジ。
優しく微笑みながら発せられたその言葉には、相手を労おうとする気持ちが溢れていた。
「碇君。食事にする?お風呂に入る?それともア・タ・シ?」
あまりにもベタな質問が彼女の口から飛び出した。
(ついに・・・綾波も壊れたか・・・)
仕事モードを離れたレイがそのようなことを言う筈がない。とは思いつつも、言わずにはいられなかった。
「じゃ、じゃあ、綾波を・・・・」
「いいけど、その前にお風呂に入ってね(はぁと)」
(「いいけど」? OKが出た!!ヤれる!!)
思考の中心が下半身に回ったシンジは、一緒に入ってくれることを強く願いながら言った。
「じゃあっ、お風呂っっ!!!」
すでに目から理性の光は消えかけていた。
「お風呂は故障中なのぉ(^^)」
ほぉら、結局ダメじゃないか。 どうするんだよ、このリビドーは。
頭の中でひとしきり文句をたれたシンジは、大きく溜め息を吐きながら最後の選択肢を告げた。
「・・・・食事を・・・・」
「ふふっ、そう言うと思って用意は出来てるわ」
他に選択させてくれなかったんじゃないか・・・などとは口が裂けても言わないのが彼のいいところである。
用意が出来ていると言う食卓に二人仲良くついたものの、ナイフとフォーク、ワイングラスとドンブリが置いてあるだけで、中身は空っぽである。
(そっか・・・食料なんて無いんだから仕方ないよね)
一人で納得したシンジだったが、空想している食べ物が気になった。
グラスにはワインか水が入っている事になっているのだろう。
が、ナイフとフォークを使って食べる丼物がどうしても思いつかない。
暫く考えていると、レイが早く食べるように言ってきた。
「い・・・いただきます・・・」
とりあえずそれぞれ両手に持っては見たものの、どうやって使えば良いのか分からない。
「綾波、これ、なんて言う料理なの?」 恐る恐る聞いてみる。
「・・・鮭茶漬け」
「・・・・・・・・」
「私のは、ただの海苔巻き」
「・・・えっと、とりあえず食べる前に乾杯でも・・・・」
「それはそば湯」
「・・・・・・・・・・・・あ・綾波って、和食中心なんだ。しっ、知らなかったよ」
ヒクつく顔を無理矢理押さえ込んで話しかけるシンジだったが、口の端からこぼれ出す痙攣を止めることが出来なかった。
そばなんて無いじゃないか、などとは口が裂けても言わないのが彼のいいところだ。
「さ、早く食べて」
「・・・ごちそうさま」
「もう、いいの?」
「う、うん。なんか気持ちだけでお腹いっぱいになっちゃったよ」
「デザートにバーゲンダッシュのアイスクリーム・・・」
まだ続きがあるのかと思わずにはいられないシンジ。
「・・・・の、野菜炒めがあるんだけど、食べる?」
レイがキッチンに歩いていこうとした時だった。
グラスが足下一面に広がる水たまりの中に落ちる音がして、何事かと振り返ると、シンジがテーブルに突っ伏していた。
「・・・・碇・・・君・・・?」
「・・・・・・・たい・・・・」
「・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・ちゃんとした物が、食べたい・・・・」
泣いていた。
レイは、椅子に腰掛けているシンジの後ろからそっと寄り添い、軽く抱きしめて、言った。
「マクロスに戻るまで・・・・生きましょう・・・・二人で・・・・」
「綾波っ・・・・・」
アテのない救援を待つには、一人よりも二人の方が心強い。
彼らはお互いを自分のパートナーとした。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
月明かりの中、彼らの契りの儀式が終了しようとしていた。
お互いを認め合った時に交わした口付けから始まったこの儀式は、シンジの一方的な舌技により、なし崩し的に発展したものである。
そして、彼は最後に小さな呻き声と共にグッと腰を引き抜き、彼女への熱い思いを放出した。
荒れた呼吸を整えながら、そっと彼女の頬を撫でる。
しっとりと汗ばんだ肌が手に抵抗を感じさせる。
不意に彼女が微笑んだ。
「碇君って、やっぱり優しい・・・」
「・・・え? なんで?」
「だって・・・初めての私の為に、わざと小さめでしてくれたんでしょ?」
ぐさっ
「それに、中が傷つかないように、先端を皮でコーティングしてくれたし・・・」
ぐさぐさっ
「それでも痛がる私の為に、早めに終わった碇君の優しさ・・・凄く嬉しかった・・・」
どぐしゃぁっ!!
トリプル役満。 直撃。
シンジは完膚無きまでに叩きのめされた。
攻撃した方は褒めたつもりなので、叩き潰した自覚がないというのが最大の問題である。
「綾波・・・違うんだ!僕は・・・(T_T)」
「葛城さんから聞いたことがあるもの。男の人のって、大きさを自由に変えられるんでしょ?」
「・・・・・・・・・え?」
「葛城さんから聞いてた加持少佐のと、碇君のと。大きさが全然違うもの」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ショックで声が出ないシンジ。これでもはち切れそうなくらいに頑張っていたのだ。
「それに・・・色と形も、聞いていたのと違うし・・・・・・」
「いや・・・・・それは・・・・」
「抜かずに3回、朝までするものだ、って聞いたんだけど・・・」
(ミサトさん・・・普段どんな話をしてるんですかぁ?(T-T))
思わず震える声で呼びかける。
「あ、あの・・・綾波・・・」
「なに?」
「僕はっ・・・・ずるくて・・・卑怯で・・・臆病でっ・・・短小で・・・包茎で・・・早漏で・・・」
どうしても語尾が尻すぼみになる。
「・・・? よく分からないわ」
「その・・・つまり、僕は男として抱えちゃいけない三重苦を背負った・・・えっと、その・・・」
「やっぱり、よく分からないわ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ねぇ、碇君。今度はもう少し大きめでも大丈夫だと思うの」
「・・・・・」(これ以上大きくならないんだよ・・・(T-T))
「それに、私を傷つけて良いのは碇君だけ。 だからコーティングしてある皮も要らない」
「・・・・・」(僕だって要らないよ・・・(T-T))
「・・・疲れたから少し眠るわ。 明日は朝まで・・・ね(はぁと)」
「・・・・・おやすみ・・・・」
相当疲れていたのか、レイはすぐに夢の国へと旅立っていった。
一方、追い打ちをさらに三連発で喰らったシンジは、未だに地獄の苦しみを味わっていた。
彼の泣き声は、お月様だけが知っている。
余談だが、翌日、発見が早かったために未遂で終わった入水自殺事件が起きたらしい。
ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ・・・・
通信機が着信を告げる。
「葛城さん!! 地球から通信が!!」
「何ですって? 発信者は?」
「R.Ayanami・・・・と、なっていますが・・・」
「レイが? 地球にいるですって?」
「碇少尉も一緒のようです!!」
「加持クンは? 彼は居ないの?」
「応答は・・・・・駄目です! 通信を維持できません!!」
「すぐに原因を究明して!!」
「はい!!・・・・・判りました!サーバーエラーです!!」
確かに画面には「鯖鰓」と表示されている。
「ん〜なわけないでしょ! みゃあのお家のチャットルームじゃあるまいし」
「葛城さん、何のことだか分かりませんが・・・(^_^;」
「日向クンにはちょ〜っち難しかったかもね〜」
「はぁ・・・そうですか?」
「ま、世の中には知らなくていいこともあるから、気にすることないわよん♪」
「僕は、葛城さんがエビチュ缶を持ってこうやって話してることの方が気になりますが・・・(^_^;」
「一本くらい飲んだうちに入らないわよ!」
「・・・・足下の空き缶、何本あります?」
ちらりと下を見るミサトと、大人しく返答を待つマコト。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「日向クン! 地球のどの地点から発信されたかは調べたの!?」
「は、はい!(逃げたか・・・) どうやら海上のようです!」
「海上か・・・助けに行かなくちゃね・・・艦長、よろしいですね?」
無言で頷く名もない艦長。
これを見たミサトは、立てた親指で肩越しにクイッと背後を指さした。
「じゃ、地球よってく?」
「いいねぇ」
スタッフ全員による大合唱。
・・・お前達、目的地どこだ?
きちくん:ヤリヤリくりくりヤリくりくり〜〜♪
アスカ:おいしいヤリクリどこに………って、元ネタが違うわよっ!!
きちくん:気にしない、気にしない(笑)
アスカ:アンタねぇ………(ーーメ)
きちくん:だって、そんなの気にしてたらこんなの書けませんよ(^^; みゃあ様の言動、ちっとも似てないし(-_-;
アスカ:みゃあのゲンドウ………なんか、意味深ねぇ
きちくん:そんな、みゃあ様にはカヲル君がいるぢゃないですか(爆) そしてレイちゃんにはシンジ君が(^_^:
アスカ:イヤぁ〜!! そういえば、これってLASじゃなかったのぉ?(;_;)
きちくん:そんなこと一言も言った記憶は無いですねぇ(−−; もちろん、LRSとも言ってませんが
アスカ:むぅ…… (-"-;)
きちくん:いや〜、それにしても、三重苦を背負っていても愛さえあれば何とかなるんですね〜
アスカ:シンジはそんなモン背負ってないわよ! このアタシが言うんだから間違いないのよ!
きちくん:おおっ!凄く説得力がありますね…… ↑ここに『毎晩味わってる』と入れると、より真実に近……
アスカ:と、とりあえず……アンタの粗末なやつなんかと一緒にするんじゃないわよ!!
きちくん:ムッ。失礼な(←どっちが) 粗末かどうかは実際に………
アスカ:見せるなぁ〜〜〜〜!!!
きちくん:ぐはっ………手加減無しですか………
アスカ:殴り足りないくらいよっ! 凸(-,-メ)
きちくん:でっ・でも、『神の舌技』(命名ヒロポン様)はその通りでしょ?(笑)
アスカ:えっ?……あ………そっ、そんなの答えられるわけ無いじゃない!!
きちくん:ふ〜ん………否定しないんだぁ( ̄ー ̄)
アスカ:……大霊界よってく? γ(-_-#)
きちくん:……い、いいねぇ(-"-;)
アスカ:あら、返り血がこんなに……シンジにお洗濯してもらおっと(はぁと)
アスカが帰ると、そこは「無人」になった……らららら〜♪
と言うことで、めでたしめでたし (相変わらずオチなし)
みゃあと偽アスカ様(笑)の感想らしきもの<暫定版>
アスカ様「・・・・・・」
みゃあ「・・・っ、・・・っ(爆笑中)!!」
アスカ様「・・・しばらくこういう馬鹿がいなくなったと思ってたら、まだあたしをナメてるやつがいるわね(-.-")凸」
みゃあ「ぷっ・・・ぶはははははっ!!ギャグのセンスが100満点なデキでしたね!さすがはきちくんさまっ!!やっぱりアスカ様はへっぽこ・・・」
どかぐきばこっ!!
みゃあ「へぶしっ!」
アスカ様「やかましいっ!!大体あんた、作中でとんでもないこと口走ってるじゃないのっ!!」
みゃあ「はっはっは、アレは私であって私じゃないからいいんです(^-^)」
アスカ様「・・・開き直ったわね、この男(-_-;)。ちょっとファースト・・・アンタも何か言いなさいよ」
レイ「・・・いいの。私は碇くんとできたから」
みゃあ「あ・・・アスカ様、こめかみんトコぴくぴくしてますよ?」
アスカ様「ガッデーーーーームッッ!!」
みゃあ「あの・・・いつも思うんですが、アスカ様1/4ドイツ人なんだから英語じゃなくてドイツ語で・・・」
アスカ様「うるっさいわねっ!そんなこと独語2回も落としたアンタに言われたくないわよっ!」
みゃあ「うっうっう・・・『神の舌技』のアスカ様がいじめるよぅ(T-T)」
アスカ様「だっ、誰が『神の舌技』なのよっ!!」
みゃあ「ふ・・・(^ー^)。みゃあのお家近辺では誰もが・・・へごっ!」
どばきゃっ!
アスカ様「全部アンタのせいじゃないの・・・」
レイ「きちくんさん・・・碇くんのはコーティングなんてしてないわよ。・・・今は」
アスカ様「ちょっと、アンタ!なんでそんなこと知ってんのよ!こら、待ちなさ・・・・」
(以下、フェードアウトしながら幕。後にはみゃあの屍だけが・・・)