マヤの休日・偽典
〜ますらおぶりコウジ(オリジナルバージョン)〜
作 Koujiさま
「ちょっと、あんた!」
「へ!?俺?」
いきなり背後から肩をつかまれ、俺は驚き半分、ため息半分ながら振り向いた。
実はさっきからしきりに声が聞こえていたのだ。声質からして女であることは間違い無いのだが、その内容が内容なので、多分俺じゃないかなぁ〜と
思いながらも背後からかかってくる、
「おい!そこのでかいの!」
とか、
「無視すんじゃねぇよ!」
とか言う声を無視していたのだ。
はぁ〜・・・やっぱり俺か。
どうして俺の周りには、口の悪い女が集まるんだか・・・嫌いじゃないがね。
「はい、何でしょう?」
そういって振り返った俺は相手を・・・見下ろした。
自分の顔と同じぐらいの高さに相手の顔があるとおもって、
振り向いたのだが、
視界の下の部分に俺の肩に手をかけた相手がいた。
俺が振り向いたことでようやく手を放す。
そう、相手が低いんじゃなくて俺がでかいのだ。
「あんた・・・コウジってんだろ」
俺を見上げるのは、そう、年の頃なら14・5ぐらいの女だった。
黒いNIKEの帽子をかぶり、身長は160ぐらい、体重は・・・目算で50ジャスト。
Tシャツの上に同じく半袖のシャツをつけ、クォーターズボンにスニーカー。
やけにスポーティーな格好だ。女はちょっと俺から離れると、ようやく目が合った。
・・・ああ、こいつもあれか。
俺はこの女が俺に声を掛け続けていた理由が分かった。その目が雄弁に語っているのだ。
「俺と戦え!!」と。
ふぅ・・大した事はしてないのだ。マジで、
なのに俺の名前はいつのまにかこの界隈で最強の男の名称に変わり、
来るのは俺を倒して名を上げようとする奴ばかりだ。
たまには、
「コウジ先輩!」
とか言って、かわいい女の子が駆け寄ってきてくれないものかねぇ、
来るのはむさっくるしい男ばかりだ。そういえば鉄パイプ持っていきなり襲ってきた奴もいたが、そいつには鉄パイプで骨を支える羽目になってもらったよ。
・・・まったく、怪我しないようにわざわざ優しく撫でてやっているのに、俺が大した事はないと思い違いして、「この程度の怪我しかしなかったぞ」と言いふらし、名前を売るんだから・・・・やってらんないよ。
「あんたに勝負を申し込む!!あたしが勝ったら”闘鬼”の称号はあたしがもらうからな!」
「・・・・名乗りたきゃ、勝手に名乗ればいいじゃない」
この”闘鬼”の称号が曲者だった。
これは俺が通う道場の先生が名乗っていた、いわばリングネームみたいなもので相当有名なモノらしい。
いまじゃ腰痛を抱え、若い女マッサージ師をたぶらかすヒヒ爺いに過ぎないが、
昔は凄かったようで(俺はそんなこと知らずに入門した)その称号を受け継ぐことは強者の証だそうだ。
何故俺が受け継いだのかって?・・・それはあの血を吐くような厳しい鍛錬に唯一逃げ出さなかったのが俺だけで、しかも無理矢理受け継がされたのだった。
どんな鍛練かというと・・・いまでも泣き叫びたくなるような鍛練だった・・・・騙されたんだよ、山へのキャンプ合宿だっていうから行ったら、途中でわざと道を間違えて森の奥に入っていくし、食事のときにわざと食料を捨てるし・・・熊でたし・・なんかシダ科の植物や三葉虫や1mもするトンボがいるし・・・ほんとに日本かここは?
いや、現代か今は?ってな具合だった。(一部誇張)
・・・・俺が小便してる時にみんな(他の道場生)が逃げ帰っちゃって、
唯ひとり残された俺はやけににやつく先生にめちゃくちゃしごかれた。ああ!しごかれた!しごかれた!。(標語のようなリズムで読みましょう)
あの時の俺が今ほど強ければ、先生を殺して逃げてたさ!・・・畜生!JAPめ!・・・やな思い出だ・・・早く忘れよう。
「あんたを倒さなければ意味が無いんだよ!!」
そう言って女は帽子を脱いだ。帽子の中に収まっていた意外に長い。
束ねられた黒髪が現れる。素顔も見えた・・・・おお!かなりの物じゃないか!!
良く見れば胸も腰も、おお!かなりのもんだ!!こりゃいいわい(ニタリ)
俺は心の中で笑った。
実は女が挑戦してくるのはそんなに珍しい事ではないのだ、意外にも、もっとも、くるのはケバい特攻服着たレディースか、
体も顔もごつい女ぐらいで、まともな(笑)女が来るのは初めてだ。
う〜ん初体験(爆)
「・・・どこでやる?」
俺の言葉に女の目が鋭くなった。気配も変わる。
そう、全体的に緊張感と殺気(闘志よりは強いが本当の殺気と呼ぶにはお粗末なもの)を纏うのだ。
「・・・ここでもいいんだぜ」
これは焦った。
いくらなんでも道の真ん中で、しかも、すでにかなりの注目を浴びているのに、戦う気など全くなかった。
警察に捕まるのはごめんだからね。
女が相手じゃどんな言い訳しても悪いのは俺だし・・・・
「近くに市民体育館がある。そこで相手をしよう」
といって俺はさっさと歩き出した。
女も帽子をかぶって慌ててついてくる。
何とか早足で俺に追いつこうとするが、スタンスの差は埋めがたく、結局小走りで付いてくることになった。
「さてと・・・ルールは?」
体育館の広さは一般的なもの。
バスケットのコートが一つ丸まる入るくらいか・・・そこで俺と女は対峙した。もちろん靴は履いたままだ。
いちいち受け付けに使用許可を取る気はないからね。
俺と女の距離は3mは離れている踏み込んで攻撃しても届かない距離。
周囲にはピリピリとした空気が張り詰める。
まぁ背後から襲ってこない分根はいい奴なんだろうが、・・・甘いね。
俺だったら背中向けた時点で襲い掛かってめちゃくちゃに犯してるよ。(オイオイ)
「目潰しと噛み付きは無し、金的も・・・無しにしてもいいぜ」
女は余裕をかましていった。
女にとって金的はそれほど酷いダメージを負うことはないが、男は違う。
掠っただけで動けなくなるほどの激痛が襲うのだ。
そこを無しにしてもいいというのは女に相当の自信があるということだろう。
舐められたもんだ。
「もち、ありだよ、体格のハンデさ・・・だから負けた言い訳にはならないぜ」
女の顔が強張るのが見えた。すっと腰を落とし、構える。
・・・お!かなりのもんだ、構え一つで相手の実力が解る。女は構えは不自然さが全くない、似合っているのだ。
そして、俺を睨み付ける眼光、男でも気の弱いやつなら泣いて財布を差し出す事間違い無しだ。
「ところでさ・・・あんたは勝てば”闘鬼”の称号が手に入るが、俺が勝ったら何かくれないのかい?」
これは何も期待していない。間を作るための駆け引きなのだが、
「負けるのに?」
ムカっときたね。マジで。
俺は薄ら笑いを消して、少し斜めに体を向けた。特に構えないが、これこそ俺の構えなのだ。
「・・・そうだな、勝ったらあたしの体を好きにしな」
いきなり言った言葉に、思わず俺は目が点になった。
その隙を突いて女が襲い掛かってきた!!!
これはオイラが書いているマヤの休日の外伝に当たります。
滅茶苦茶格闘シーンが入りますが、総て実戦的なモノばかりなので
試してみて下さい。
では
みゃあの感想らしきもの。
あぁぁぁぁぁりがとうございます、Koujiさま!!
こちらの投稿が遅れまくっているのに、逆に投稿して頂けるなんて…(感涙)
いやあ……しかし主人公かっこいいですね。(笑)
いつも思いますが、Koujiさま描く主人公キャラは切れるほどに研ぎ澄まされている気がします。
Koujiさま自身も何か格闘系をやっていらっしゃるんですか?護身術とか凄くお詳しいですし。
……さてさて、この完成している話をどのようにアレンジしたらいいものやら、と頭を抱えております(笑)。他の方の作品に手を入れる、というのは今までやったことがないもので(^^ゞ。
セリフ回しとかを変えるだけじゃ芸がないような気もするしなぁ……どうしましょ(笑)
なんか完全な私信になっちゃってますね(笑)。
私信ついでに、リクエストの方ですが、みゃあは「無理矢理系」が書けないものですから、ご期待に添えるものができるかどうかは分かりませんが、ハードにしてみたいとは思います。
でも同級生は愛が深いからなぁ……。(笑)
こちらももうしばらくお待ちください。
それでは。
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