【ヴィンセントの戦い】

 第1話

作・Koujiさま


「宝条が生きている!?」

 

冷静沈着をモットーしている私は驚きのあまり叫んでしまった。

棺桶から立ちあがる際に蓋に頭をぶつけたが、そのまま飛んでバレットを見た。

 

「本当に宝条なのか?」

 

「詳しくは解んねぇ。

 ただ、宝条の部品がミッドガルで人を殺しているのは確かだ」

 

半年ぶりに会ったバレットが言った。無骨で日焼けした顔は憔悴が激しい。

 

ミッドガルは元々スラムと上部プレートの街で構成されていたが、

メテオの余波によりプレートの大部分が落下し、スラムは壊滅状態にあった。

犯罪・暴行・略奪は増加し、新羅の潰れた今ではその取り締まりさえ行えない。

いや、武装した元新羅兵の略奪の方が多かった。

 

バレットはセフィロスを倒した後にマリンを連れてミッドガルに戻ったのだ。

結果的に見ればアバランチが、バレットが遠因となってミッドガルの崩壊を招いたと言っても間違いではないのだ。

バレットは幼いマリンを育てるために、そして故郷を立ち直らせるために戻ってきたのだ。

 

「解った・・・他の仲間は?」

 

「・・・今回の事はみんなには知らせたくねぇんだ。

 クラウドとティファは新婚旅行で世界を廻ってるせいで行方がわからねぇ」

 

ヴィンセントは頷いた。

仲間達はセフィロスの戦いが終わり、それぞれが別の道を選び始めたのだ。

幸せな生活を築こうとしているのだ。それをいまさら・・・・

 

「シドは新婚だ。邪魔はしたくねぇしユフィもマテリア集めで世界を飛び回っていて連絡がつかねぇ」

 

「ナナキとケット・シーは?」

 

「ナナキにはこれから会いに行くつもりだ。

 ケット・シーは今オレの代わりに街を、マリンを守ってくれている」

 

二人は新羅屋敷の地下から移動しながら話し合っていた。

途中何度かモンスターに襲われたが、マスターレベルの二人には敵ではない。

 

「・・・解った。宝条が生きていたとあれば私も眠っては居られない

 ミッドガルで会おう」

 

「・・すまねぇ

 ミッドガル3番街に【アバランチ】って店がある。そこがオレ達の活動拠点だ」

 

宝条の部品が生きているという事は、本体が生きている可能性も高い。

・・・過去を清算するときが来たようだ。

 

「・・・一足先に行く」

 

「あ?どうや・・」

 

「・・・ウウウウゥゥゥゥゥゥオオオオオオオ!!!!!!」

 

ヴィンセントの肉体が変化していく。今まで着ていた服を越え、肉が、皮膚が盛り上がってくる。

黒い肉が服を内部に取り込み、さらに大きな人型へと変わっていく。

 

すぐに巨大な羽根の生えた悪魔へと変化する。

ヴィンセントの究極リミット技「カオス」だ。ヴィンセントはふわりと明らかに羽根以外の力で宙に浮かぶと、方向を変えミッドガルへとまっしぐらに飛んでいた

 

「・・・ちっ!どっちがモンスターだかわかりゃしねぇぜ」

 

と、苦笑いして呟いた。

新羅屋敷の表に止めて置いたブロラン号(バギー+タイニーブロンコ号合体の陸海両用−シドの発明による)のアクセルを踏み込んだ。

 

そのころカオスとなったヴィンセントは途中で変身がとけ、海に墜落していた。

 

「・・・泳がねばならんな

 ・・・・・・・・・・・・・一人で良かった・・・・・・・・・・」

 

と呟いたが彼の周りを周遊する大型肉食魚以外は聞く者はなかった。

 

 

 

 

海中でヴィンセントは肉食魚と戦っていた。もちろんマスターレベルのヴィンセントにかかれば肉食魚の群とて恐ろしくはないが、

それでも得意の武器《銃》が使えずに苦戦していた。

もちろん魚相手に泳いで逃げれるわけがない。

マスターマテリア装備なのだが自身が海中では使える物も限られていた。

 

ヴィンセントはブスブスと黒い煙と上げている。

海中の生物には《いかずち》が有効なのだが、

自身も海に使っている状態でサンダガを使えば、当然のごとく感電し自分にもダメージが来るのだ。

・・・その事を身をもって知ったらしい。

 

海中では《ほのお》も《れいき》も《だいち》も使えない。

しかし《いんせき》・《アルテマ》・《ふういん》等の強力なマテリアや召還マテリアを使えば、

その余波の津波で海底に沈んでしまうかも知れない。

なにより肉食魚を倒せばその血の匂いに惹かれてより巨大なモンスターが現れないとも限らない。

 

「・・・巨大なモンスターに飲み込まれて生還する生きた人形の話があったな

 試す気にはならんが」

 

ヴィンセントは悩んでいた。

とりあえず自分にドラゴンフォースとリジェネ、ヘイストをかけているのでダメージはない。

リジェネはともかくドラゴンフォースとヘイストの効果は戦闘中ずっと持続するので、このまま肉食魚を無視して泳ぎ続けるのも良いのだが、

水中に引きずり込まれそうになるのには参った。ダメージはなくてもその間息苦しくて困る。(インターナショナルではない)

 

「水中戦闘というのは今までほとんどなかったからな・・・そうか!」

 

ヴィンセントはその場で肉食魚に《ヘイスト》をかけ、その肉食魚を《あやつる》で支配した。

《ヘイスト》のかかった肉食魚を手元に呼び寄せ、背鰭に捕まりあっさりと逃げ出した。

 

「ザバザバザバザバザバ!!!!!!」

 

速い!!速い!!《ヘイスト》のかかった肉食魚は本来以上の速度でヴィンセントを運んでいく。

追いかけてくる肉食魚には《ミニマム》をかけたり《コンフェ》で同士討ちをさせる。

 

「我ながらナイスアイディアだ

 ・・・これも使うか」

 

ヴィンセントが荷物から興奮剤を出すと、肉食魚に与えた。さらに速く泳ぎ出す肉食魚。墜落してから一時間後にはミッドガルに到着したのだ。

もちろん肉食魚は疲労を極め到着と同時に死んでしまったが。

 

ちなみに魚に乗るヴィンセントを目撃した漁師が人魚説(女)を酒場で熱弁したが、

それがあっと言う間に一大ムーブメントとなって人魚狩りが行われたことをヴィンセントは知らない。

もちろん人魚は居なかったが。

 

そうこうするうちにヴィンセントの目の前にはミッドガルのゲートがそびえ立っていた。


みゃあの感想らしきもの(暫定版)

 

みゃあ「おおっ!FFだっ!な、なんとっ!久々だっ!」

ユフィ「・・・あんたがFFページの更新凍結させてるからじゃないの?」

みゃあ「・・・・・・」

エアリス「あのー・・・このお話はヴィンセントさんが主役なんだから、ヴィンセントさんにお越し戴いては?」

みゃあ「・・・ないの」

ユフィ「は?」

みゃあ「・・・まだヴィンセントと会うところまでやってないんだよぅ〜〜〜〜〜〜っ!!!」

ティファ「あらら・・・(^-^;」

クラウド「お前・・・まだそこまで行ってないのか」

みゃあ「す、すみません〜・・・(^-^;。でも『暗いおっさんだな』とは思ってました」

ヴィンセント「・・・俺はおっさんではない」

みゃあ「でも・・・確か死ねなくて、やたら長生きしてるとか・・・」

ヴィンセント「黙れ」

みゃあ「はい(^-^;」

 

 

 ヴィン〜1→GO