FF7

■ヴィンセントの戦い■

第5話

作・koujiさま

ジャンル:一般


ライフストリームの流れの中でクラウドがセフィロスを倒してから半年後。

 

アバランチのテロ活動による魔光炉爆破、プレジデント新羅によるプレート落下・・そしてダイヤウェポン襲来にメテオ大接近とホーリーの発動、そしてライフストリームによるメテオの大気圏外への発射。

そんな災難の全てを受けたミッドガルは完全なる崩壊こそ免れたものの、徐々に、そして確実に滅亡への階段を上っていた。

 

 

全プレートが落下したことでアバランチの本拠地であるスラム街は何万人もの命と家を押しつぶし、スラムの住人の人生を奪ったプレート上層の街も壊滅状態になっていた。

 

上層都市のわずかな生き残りが新羅カンパニーに助けを求め、 しかし新羅カンパニーの消滅を目の当たりをして途方に暮れていた。

 

誰がこの街を再建できるのか?

誰が我々を守ってくれるのか?

 

新羅カンパニーに生きる術を与えられていた人々が、復興の意欲を失っても仕方がないことだった。

 

もっとも、ミッドガルを崩壊の憂き目にあわせた遠因とも原因とも言うべきクラウド達は、 大空洞内での計り知れない戦闘で溜めた一人3000万ギルもの大金で豪遊していた。

ゴールドソーサーの買い占めこそできなかったが、貸し切りで遊びまくり(ヴィンセントは一人でモンスターバトルをしていた)、その後はそれぞれバラバラになって故郷へと戻っていった。

 

 

クラウドとティファはコスタ・デル・ソルで仲間内の結婚式をあげた後、別荘で初夜(大嘘)を迎え、 翌日早々に海チョコボ「ドラルノヴァ」に乗って新婚旅行に出発していった。

見送りの時にティファの全身に縄の跡があったのだが、あえて誰も触れようとはしなかったのが印象的だった。・・・まぁ、それはともかく、今は思い出の地を巡りながら各地のモンスターを惨殺して廻っていることだろう。

 

 

シドは大金を使ってハイウィンドの改造をすると、その甲板でシェラとささやかな結婚式をおこなった。 シェラのおっとりに文句を付けつつも仲睦まじく生活していることだろう。夜を除いて。

 

(シドはSだった。・・・この間も1時間で700ギルのプロM嬢にやりすぎて殺してしまい、慌ててレイズで復活・・・いや、思い出さない方が良い・・・)

とにかく、今度は時間も金も、そしてシェラの愛も手に入れているのだ、ジワジワと真綿で絞め殺すように自分の色に染めていることだろう。

 

 

次に今はミッドガルにいるユフィだが、この間まではその大金で世界中のマテリアを買いあさっていた。

勝ったその場でウータイの自分の家に送られているらしい。

 

(ちなみに使わなくなったものや新しく生まれたマテリアはそのほとんどがユフィのフトコロに消えていた)

 

今では市販されているようなマテリアでは納得できないのか、マテリアの成長がてら世界中の魔光炉を漁り歩いている。

一説によれば巨乳かつ美乳マニアのクラウドに振られたのが原因との噂もあったがヴィンセントは違うだろうな考えていた・・・まぁ、髪を伸ばし初めている辺りに答えがありそうだが、あえて聞くことはなかった。

とにかく、魔光炉の集中するミッドガルへとやってきていて、リーブに運良く発見されたらしい。

 

 

バレットはノースコレルに多額の資金援助(1000万ギル程)して、マリンを連れてミッドガルへ戻っていった。ここら辺はノーマルだ。

だが、彼が極度のロリコンであり、マリンを密かに自分好みのお人形さんに仕立てていることに誰もが気付いていた。だが、誰も何も言わなかった。良くあることだからだし、バレットの戦闘力は必要だったから。この辺はドライだ。

 

ケット・シーはギルのほとんどを田舎の年老いた両親に送り、同じくミッドガル復旧のために働いていた。ここら辺もノーマルだ。

ただしガハハとキャハハのストレス解消に辻斬りをしていたことを除けば。ケット・シーのもたらす情報に比べればそこらの人間の命など軽いものだ。

 

クラウドは、

 

「オレ達は正義の味方でも救世主でもない。お互いそれぞれの目的を果たすために集まっている。 そしてオレ達が成そうとする目的の先に世界の平和があるだけだ。

・・・・その為には多少の犠牲はやむを得ない。まさに世界平和という大事を成す前の小事だ。

第一オレ達以外には奴は倒せない。そう・・・オレ達は選ばれた人間なんだ。戦うことのできないウジ虫共は生き延びるために我々の踏み台になるべきなのだ!!!」

 

と熱っぽく語り、非難することなど無かった。ヴィンセントを含めて全員クラウドの演説を聞き流していたが、今に思えば情緒不安定なクラウドはそうすることで精神の安定を保っていたらしい。

ちなみに3歳児よりも脳味噌のない爆裂巨乳ティファはクラウドの演説したときの格好良さに惚れたらしい。脳味噌がないだけあって趣味も悪いな・・・とだけ心で呟いたヴィンセントだったが。

 

 

当のヴィンセントはオヤジ小屋のオヤジからミスリルを受け取り、以前に無言で迫って譲り受けたクラウドのアポカリプスを持って鍛冶職人とデスペナルティの改造をおこなっていた。

デスペナルティの破壊力はひとえに薬室にあるデスエネルギー注入装置にあった。

モンスターが殺される瞬間に放つ断末魔の恨みを吸収し、アンチ・エネルギー(命や不死ではなく、存在する全てに滅びへと導くエネルギー)として弾丸に付与する。 通常銃身部のマテリア穴に収まったマテリアはアンチエネルギーの余波で成長できなくなっていたが、この装置をそのままにマテリアを納める銃身部をアポカリプスとミスリルの合金で作り直し、 なおかつ今まで使っていた弾丸(鉛)をミスリルに変える事で破壊力を増した。

 

完成に三ヶ月、使用したミスリルは722KG、なおかつ製作費用は2500万ギル。

 

結果、マテリア成長(×1)と命中率の向上を果たした。

 

完成後はさすがにダメージが半分に落ちてしまったデスペナルティの破壊力回復のために一人でミスリルマインにテントを張っていた。

朝から晩まで・・・いや、洞窟の中だから昼夜を問わず殺しまくったヴィンセントはわずか一ヶ月でダメージを最高値に戻してしまった。モンスターにしてもいればいい迷惑なのだが、そんな事を気に懸けるほどヴィンセントはまともじゃなかった。

 

ようやくヴィンセントが出てきた時、ミスリルマインはモンスターを貫通した弾丸のせいで単なるトンネルになってしまったそうだ。

今でもその痕跡が残っている。積み重なった瓦礫とモンスターの血が染み込んで変色した地面のまま。

 

試し撃ちだけでミドガルズオルムを死滅させたヴィンセントはその破壊力に満足したのか、 休息をとるため一人で新羅屋敷に戻り、やはり屋敷内のモンスターを殺しまくって10日間もの眠りについた。

 

ある意味マニアである。

 

マスタートンベリの「みんなのうらみ」を喰らえば100パーセント死ぬ ヴィンセントがようやく起きたのは、新羅屋敷内に入ってきたバレットの銃声によってだ。

 

・・話を戻そう。

街を捨てる者、行き場のある者はまだましだった。

この街で生まれ、この街で育ち、この街しか知らない者達は混沌とかした世界で生きねばならなかったのだ。

 

スラム同然の都市でたくましく生き延びる者達、生きる意欲さえ失った者達、そしてそれらを狩る者達。

 

 

ダイヤウェポンの攻撃によって半壊した新羅ビル周辺住民が殺される事件が起き始めた。

だが、治安はおろか情報網さえ断絶されたミッドガルでは、その情報がバレット達の耳にはいるまで一月近くかかった。

 

人づてのうわさ話でようやく人間が「巨大な獣」に食われる噂を聞きつけたバレット達が現場に行ってみたが、すでに犠牲者は50人を越えていた。

 

行方不明者を入れれば実際にはもっと多かったのかも知れない。

もっとも今でも街の外れには今でもモンスターがいるし、最近では新羅兵の暴行も流行っていたので、人の死は日常だった。

だが、現場には無惨に食い散らかされた死体、というか破片が落ちているとあれば・・・・誰でも新種のモンスターの発生と見るだろう。

 

なぜなら新羅兵なら死体を破片にまで食い散らかす必要がないし、

既存のモンスター達であれば・・・危険性はあるにしろ、

モンスター出現地域は解っているため、近寄らなければそれほど脅威ではなかった。

 

なぜ二人かと言えば当時のミッドガルで盗賊になり果てた新羅兵達と対抗でき、さらに新羅ビルから逃げ出したモンスター達を倒せるのはこの二人ぐらいなものだったからだ。

もちろん二人ともLV99であり、まず間違いなくミッドガル最強の存在である。

 

なおかつバレットはスラムの秩序、ケット・シーはミッドガル全体の復興を目指していた。

 

 

 

当然と言えば当然の人選である。

 

そこでバレットが脅えまくった(原因がモンスターかバレットにかは不明)目撃者から聞き出したところ、 モンスターの特徴などからヘレティック宝条の部品が生き延びたのではないかという推測がもたれ、バレットとケット・シーが現場に赴いた。

 

この多忙な二人が動いたのは新羅崩壊後使用不能になったシスターレイ付近での出来事だったからでもある。

なにせ場所が場所である。すでにシスターレイは動作不能だが、

あの場所での戦いはバレットにとっても、ケット・シーにとっても思い出深いものだった。

 

とりあえず行ってみた二人はそこで遭遇したのだ。

ヘレティック宝条のような歪んだ生物が人を食っているのに。

 

ちがう・・・正確に言えば人を取り込んでいるのだ。その肉体から突き出た、そして力無く垂れ下がった人間の手や足があまりのも無惨に見えた。

だが、そこはLV99の二人である。みだれうち+MP吸収の八連打で速攻片を付けた。

全身蜂の巣になりぐしゃぐしゃに潰されたヘレティック宝条の部品をケット・シーが調べようとしたときである。

廃墟の影からいくつもの殺意を感じたのは。二人が幾度も死線を潜り抜けたから解ったほど僅かなものであったが、その数は軽く数十を越えていた。

 

恐らく今倒したばかりのヘレティック宝条が生んだ者達だ。

殺気の質から言って数は多くとも満足に成長していない存在だから二人にかかれば掃討するのは容易い。

が、大量破壊マテリアを使えば間違いなくここら一帯は焦土と化すだろう。シスターレイ付近でそんな事をすれば停止中の魔光炉に何が起こるか解らない。

 

とにかく二人の攻撃の流れ弾でさえちゃちな建物なら一撃で打ち砕く破壊力を秘めているし、なにより今持っているマテリアは広範囲破壊マテリアしかなかった。

 

成長しきっていない者達ならばまだ人の脅威にはならない。今はこのヘレティック宝条の死体を調べるのが先だ。

 

ケット・シーが後方の警戒をしながらバレットが死体を持って引き返したのだ。

 

 

その後調査の結果、間違いなくヘレティック宝条だった。

恐らくはあの戦いの後の破片が生き延び、成長・繁殖したのだろうと考えた。

 

 

・・・・となればもちろん宝条本体の生存の可能性も考えられる。

幼体達はモンスターとしての脅威ではないが、数が多すぎる。何より宝条が生きているとなれば二人で行動するのは浅はかに思えた。

 

そこで急遽バレットが仲間を収集しにでたのだ。

ちなみにケット・シーのボディの傷は新たな瓦礫の倒壊に巻き込まれただけである。

間抜けと言えば間抜けだが、何トンもある瓦礫の中から這い出てこれたのはマスターレベルだからに他ならない。

 

「はぁ〜さっさとでてこないかなぁ〜

 そうすればこのユフィ様がシュッシュッシュと・・・」

 

ユフィは一人でシスターレイの付近をうろついていた。

別に危険だからと言う理由で仲間と一緒に行動するわけではなかった。

なぜならユフィはセフィロス戦で最初のパーティーに組み込まれたメンバーであり、マテリアを豊富に持っているからだ。パーティー内最強の一人と言っても過言ではない。

なにせ「てきのわざ」や「ナイツ・オブ・ラウンド」を装備しているのだから、セフィロスとタイマンで戦っても負けやしない。

さらに言えばユフィの最強の武器「不倶戴天」、「ミネルバブレス」も装備済みである。

 

ガタ・・・・

 

物音にユフィの動きが止まる。

瓦礫のそこかしこから危険な視線を感じる・・・荒い息づかい・・・来たか!?

が、不幸なことに、彼女の目の前に現れたのは薄汚い男達であった。

 

ロスター。

かつて新羅の管理職にあった者達だ。今は家にも帰らない単なる浮浪者と化している。

世界規模の超巨大企業新羅には全世界に数え切れないほどの管理職がいる。

 

そして新羅崩壊と共にミッドガルに駆けつけた管理職達が見た者は自分の未来の崩壊でもあったのだ。

そう、新羅崩壊は街の機能の大半を奪い取り、そして新羅に勤めていた人間達の精神までも奪っていった。

その大半がその場にうずくまり何をするでもなく過去の栄光に浸っているだけだが、中にはさらに狂気に浸り狂暴化するものもいる。

そんな奴等の巣窟にユフィは来てしまったのだ。

 

「へっへっへ・・・こんなところに一人で来るなんて・・・

 よっぽど飢えてるのかい?お嬢ちゃん」

 

ロスター達は欲望にぎらついた目でユフィの健康そうな手足を舐め回すように見つめた。

ヒゲと髪の毛だらけの頭に垢まみれの不潔な肌。

衣服はボロボロに裂け、布としか呼べないものが多い。

それでも着ているだけましな方で、半分以上は裸だった(主に下半身)。

なかには下半身がすでにバーサク状態になっているのをユフィに見せつける者までいた。

 

「イ・・イ・・・」

 

「ひっひっひ、今入れてやるよ〜」

 

ユフィがひきつった顔で何か言葉にならない声を発していた。

こんな環境にいても性欲だけは旺盛なのか、浮浪者達がジワジワと取り囲んでいく。

 

ユフィ貞操の危機である。(今だ前後処女)

だが、ロスターと言ってもただの人間に過ぎない。HPなど100も無いだろうし、どんな攻撃でもユフィには傷一つつけられないだろうが。

 

「ハウ!ハウ!・・・ウ!!」

 

 

男達が奇声を発して一斉に飛びかかる。というか・・・飛ばしてくる。

周囲に異臭が・・・最悪だった。周囲から振ってくるこの状況は地獄としか言いようがない。

 

「イヤァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

まみれる瞬間に17才になったばかりの少女の精神はあっけなくぶっ飛び、今の自分にできる最大最強の攻撃を実行した。

そう、「ナイツ・オブ・ラウンド」を発動させた。しかもWしょうかん、まほうみだれうちのおまけ付きが。

 

ダメージ9999×13×4×2=189981の超超破壊攻撃がロスター達全員を異空間に吸い込む。

異空間に移動することで都市には被害こそないが、ロスター達は細切れというか、原子一粒さえ残さずに消滅していく。

 

 

ちょうどその頃、ヴィンセントは一人の男と出会っていた。

 

 

 

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いやぁ〜お待たせして申し訳ありません。

それではどうぞ!

 

(つづく)


(98/9/30update)