『夏祭の夜』

秋祭りの夜、第3話

作・めざしさま

 


 

ダチャオ像のふもとへ降りるとユフィが待っていた。

並んで賑わいを見せている町への道へと歩く

「そうだ!」

彼女は突然立ち止まった。何かを思い付いたように声をあげる

「・・・・どうした?」

なんでもいいから早くしてくれとでもいいたげに

面倒くさそうなクラウドの表情である。

 

「ね、ちょっとここで待ってて」そう言うとまたどこかへと走り去っていく

 

クラウドは仕方なく、そこで待つことにした。

どうせ、すぐに戻ってくるだろう

彼はこの後何十分もまたされるはめになるとは思いもしなかった。

 

ユフィは自分の部屋に居た

 

「えーとどこだっけ?・・・無いなぁ・・どこにしまったっけ?」

 

彼女は自分の部屋のタンスをごそごそとあさっている

 

ただでさえ整理や片づけをするのが苦手な彼女のことだから

部屋は散らかっている

 

中でもタンスと来たらもうめちゃくちゃである

ごったがえした衣服や忍の道具類が乱雑にひしめき軋みあっている

 

16歳の女の子の部屋とはとても思えない酷いありさまである

 

「あった・・・!!」

ユフィは乱雑に重ね合った衣服の合間に

目的のものを発見した、破けないように気を付けて引っ張りだす

 

「ふっふっふっ祭りと来たらやっぱりコレだよね!」

 

ユフィはにんまりと笑う

それは朝顔の模様がかわいらしい源氏染めの浴衣だった

 

「・・さっさと戻らないと

クラウド待ちくたびれて帰っちゃう」

 

・・・似合うって・・少しは誉めてくれるかな?・・・

 

好きな男に自分を少しでも綺麗に見てもらいたいと思う

 

自分にそういう女らしい気持ちが芽生えはじめた

戸惑いさえ感じた

 

別に・・さ、見てもらいたいとかじゃないんだけど・・

お祭りだし

たまには着物もいいかなって思っただけだしね

 

まだ己のそういう部分をはっきりと認めるのは照れくさい

自分自身にそう言い訳をする彼女だった。

 

今着ている服を脱ぐとそれに腕を通し

帯を結ぼうとする

 

「あれ?これどうやって結ぶんだっけ・・?

ずっと着てないから忘れちゃったよ」

 

「・・・・・・・・」

 

・・・・・・・どうしよう・・・・・

たら〜っとユフィの頬を冷汗が伝っていく

 

 

その頃、クラウドはぷっちん寸前状態だった

 

「なにやってんだアイツは!」

 

かれこれもう一時間近くもたつ

 

あと十分して来なかったら帰ろう

 

そう彼が思った時、背後から人が来る気配を感じた

「おい!何やってたんだよ!」

 

クラウドは怒った顔でユフィを見た・・がユフィが浴衣姿なのを見ると驚いて

思わず叱るの忘れてしまう。

 

紺の生地に赤い朝顔の浴衣は一見彼女には不釣り合いな女の子らしい格好である

だがそれは以外なくらいぴったり似合って見えた、

 

考えてみれば着物はユフィの故郷の服であるから似合っても可笑しくないのだが

 

普段のタートルネックに短パン姿しか見たことのないクラウドにとても新鮮に映った

 

走ったせいでそれは少しまくれあがって裾から白い足がはみ出ている

 

クラウドは赤くなって目を逸らす

 

「はぁ・・はぁ・・ごめん・・着方忘れて時間かかっちゃって・・」

 

 

ユフィは荒い息のために激しく上下する胸を押さえながら言う

 

クラウドははっと我に返る

 

ほんの一瞬見惚れてしまっていた自分に気がついたからだ

 

「着物を着るのめちゃくちゃ久しぶりだからね、どっか変じゃない?ちゃんと似合ってるか?」

 

変じゃない?と聞くのは口実であるそれはちゃんと鏡で確認したのできちんと着れてい

るのは分かってる本当はその後の似合ってる?が一番聞きたいユフィだ。

 

「一応女だということは分かる、それを着ていればな」

クラウドは冷静を装いそっけなくそう言う

 

クラウドの答えにガクッとするユフィだった

 

「なんだよ、その感想は!もっと他にあるだろ似合うとか似合わないとか・・」

 

「・・・・そんなことはもういい、それよりそんなもん着るためにどのくらい人をまたせたと思っているんだまったく」

 

そんなもん・・・・ピキッと彼女の顔に青筋が立つ

 

「おまえのことだからそんな格好したってどうせあちこち動き回ってめちゃくちゃになる着るだけ無駄だな」

 

トドメの一発だった

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えっとお久しぶりです♪めざしです。ずーーっと来なかったのに

突然来てまた書いてしまいました。

みんな相変わらずうまいのでかなり恥ずかしいです。でわ


 

みゃあの感想らしきもの。

 

 

夏祭の夜3