GUESS WHAT!?

2「突撃、お勉強会!!」

作・三月さま

 


 

 1

 

「えぇと、これで全部かな?」

 

黒の横下げ鞄の中味を見ながら、リクがそうつぶやく。

 

自室で、リクは、鞄の中に本やノートをテキパキと詰め込んで言った。その結果の台詞だ。

 

また、何かやったのか、下のほうから、マコトの泣き声が聞こえる。

 

「ケーキ、食ったな、ケイ・・・」

 

下の騒ぎを聞きつけて、リクが頭を抑える。

 

が、ケイがリクの姿を見たら、やはり、頭を抑えただろう。

 

例のごとく、やっぱり女装なのだ。

 

さすがに、学校に通うときには男子の学制服を着ているリクなのだが、それも、平日となると、しっかり、女装している。いや、完璧に女装している。

 

ブラウスにフリルつきのロングスカートと言う、お嬢様格好である。しかも、それが似合ってしまっているから、始末に置けない。

 

端から見れば、ショートカットの可愛らしいお嬢さんである。いや、端から見なくても、完璧にお嬢さんである。よっぽどの眼力の持ち主でもなければ、このリクが『男』であることなど、見分けられるはずがない。

 

リクもそれが判っていて楽しんでいる。

 

あぁ、まったくもう。

 

「さぁて・・・気が進まないけど、行くかな・・・」

 

そうつぶやくと、リクは鞄をつかんで自室を出る。

 

部屋の中は主を失って、なんとなく寂しくなってしまう。理由は簡単。『華』がなくなったからである。なんといっても、演劇部の花形『ヒロイン』である。華の雰囲気なら嫌と言うほど持っている。

 

非公式のファンクラブ(男子中心)があるのも、リクは知っているのだろうか。

 

ま、それは、置いておいて。

 

リクは確かに、『気が進まない』と言った。

 

『気が進まないけど、行く』と言った。

 

なぜに、最強無敵のリクが気が進まないのだろうか。気に入らなければ、ニッコリ笑って、ぶっとばせばいいのである。

 

が、世の中は奇妙なもので、ぶっとばしても、それでも『寄ってくる』奴が居るのである。

 

言っておくがストーカーではない。山南である。(一部、彼がストーカーじみていると言う、噂も、あることはある・・・)

 

もう、あれは、不死身かと思うほど、不死身である。(なんじゃそりゃ)

 

いくらリクがぶっとばそうが、殴ろうが、蹴ろうが、どつこうが、足蹴にしようが、階段から叩き落とそうが、二階のベランダから落とそうが、給食に薬を混入して見ようが、生きている。いや、生きているだけではない、根性でリクを追っかけてくる。

 

いくら、幼馴染みの柏木加奈子が、折檻しようが、イヂメようが、鞭で叩いて見ようが、石板乗せてみようが、ハイヒールでふんづけてみようが、やっぱり諦めない。

 

ようするに、山南はリクにベタ惚れなのである。もう、あれは、気違いの域だ。

 

で、問題を元に戻す。リクの『気が進まない』理由である。

 

なに、簡単だ。今日、これから勉強会があるのだが、場所が『山南の自宅』だからだ。

 

「あぁ、なんで、よりにもよって(;;)」

 

タン、タン、タンと、階段を重い足取りで降りながら、リクは頭を抱える。

 

こうなっては、もう、問答無用のレイカが恨めしい。

 

今回の勉強会を主催したのが三浦レイカなのだが、あの女、よりにもよって、場所を直前まで教えなかったのだ。

 

 

「おぉい、リク、電話!」

 

朝、調度着替えたばかりだったリクは、ケイの呼び声に慌てて部屋を出る。まだ、今日の勉強会の場所を聞いてなかったからだ。確か、クラスメートのレイカが電話してくれるはずであった。

 

「誰!?」

 

一応、用心して、名前を聞いておく。(以前、山南からラブコールが散々かかってきて、リクがノイローゼになったことがあるのである。その際、ケイが吊されたことも公然の秘密である。以来、リクもケイも、山南の電話は受けたとたんに切っている)

 

「三浦って、女ぁ!」

 

「ん、行く」

 

パタパタと、下に降りていく。

 

下の廊下でケイから受話器を受け取る。その際、ケイが冷やかしのような視線を向けてきたので、壁に叩き付けておく。

 

「ぐぅ・・・」

 

パラパラと、壁の一部が廊下に落ちる中、受話器に耳を傾ける。

 

「あ、レイカ?」

 

「はいよん。リクちゃん?」

 

「なに?」

 

「なにって、一つしかないでしょぅ」

 

受話器の向こうで、その少女はクスクス笑っている。

 

「今日の場所だけどね、リクちゃん」

 

「ん、どこ。加奈子のとこ、それとも、お前んち?」

 

「ううん。山南の家」

 

「ふぅん、山南の・・・」

 

沈黙。

 

静寂。

 

「んだとぉ!!!!!!」

 

んで、絶叫。

 

思わず怒鳴ってしまった、受話器の向こうから、『キャラキャラ』と楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

 

「だってぇ、山南が、『オレの家でいいよ』って、言ったんだもぉん」

 

「こら、レイカ!」

 

「加奈ちゃんも、いいって、言ったもぉん」

 

「おい!」

 

「じゃぁね、リクちゃん」

 

ガチャン。

 

電話は切れてしまった。

 

後に残るのは呆然とするリクだけ。

 

ここにもう一人、リクが苦手とはしないが、よく『負ける』相手がいた。

 

三浦レイカ。問答無用の女だ(^^;

 

 

 2

 

山南家。結構大きい。

 

その家の二階の一室、要するに山南の部屋で、二人の女の子がわきあいあいと、『怪しい』話しに花を咲かせていた。

 

「うわぁ、うわぁ!」

 

青のティーシャツにスカートと言う出で立ちの、やたら髪の長い少女が、もう一人の美少女が見せている薄っぺらい本を食い入るように見ている。

 

美少女のほうは、あの加奈子である。で、もう一人はレイカ。

 

レイカの方は加奈子のような美少女とはいかないが、なかなか可愛らしい。人によっては、レイカの方が好きだというものもいるだろう。

 

「うわぁ、加奈ちゃん、見てってばぁ!」

 

レイカは、何を興奮しているのか、本のあるページを指して、やたら喜んでいる。

 

加奈子も何が楽しいのか、そんなレイカをみて喜んでいる。

 

「うえぇん、ラブラブだよぅ」

 

ついに絶えられなくなったのか、本を加奈子に押し付けて突っ伏してしまうレイカ。

 

加奈子はケラケラと笑っている。

 

「駄目ね、レイカは。これくらいの『やおい』で喜ぶなんて!」

 

「だってぇ、ラブラブなんだもぉん。あぁん、恥ずかしいぃ」

 

こっちが恥ずかしいわ!

 

どうやら、二人の読んでいたものは『やおい』本であるらしい。勉強会の場所に間で、そんなものを持ち込んでくるな。

 

ともあれ、二人とも、山南の家で暴虐無人に振る舞っている。

 

肝心の山南と言えば、二人の向かいに座って、その様を『慣れた』ようすで眺めていた。

 

「なぁ、なにが、そんなに楽しいんだ?」

 

「かっちゃんには、判らないわよ」

 

加奈子は、そう言って同意を求めるようにレイカを見る。当然、レイカの方は、ブンブンと頭を立てに振る。

 

「山南には判らないよん。だって、読んでないもん」

 

「いや、読んでも、判らないと思うけどね、アンタの感想は・・・(^^;」

 

レイカの素朴な感想にさすがの加奈子もあきれている。あたりまえだ。加奈子は以前もっとドぎついやつを、無理やり山南に見せたのである。勿論、折檻の一種である。

 

「なんでぇ」

 

レイカは、少し頬を膨らませながら、むくれて見せる。

 

が、ふと視線を動かした表紙に目に入ったものに、すぐに関心を奪われていた。

 

「あ、封神だぁ、見せて、見せて!」

 

部屋の本棚にあったコミック類のなかから、目敏く好きなマンガを見つけて、とたんに山南にたかっている。

 

「お願い、お願い、お願い。見せてぇ」

 

山南の方も、レイカがちょっとやそっとではあきらめず、じゃれるように頼みこんで来るのを知っているので、さっさと許してやる。

 

「いいよ、勝手に見てろよ」

 

「あぁん、山南、大好き!」

 

言うが早いか、本棚に突進していくレイカ。

 

こいつのここに来た目的は何なんだろうか。勉強なのか、それとも遊びに来たのだろうか。

 

なんとなく、悩んでしまう山南だった。(加奈子は面白がっているだけ)

 

 

キンコーン。

 

突然に響いたドアベルの音。

 

それに、山南は異常に喜び、加奈子は『やっぱり来たか』と思い、レイカは酷く驚いていた。読んでいたマンガ本を放り投げている。

 

「うわぁ、ビックリした」

 

「アンタ、学校で誰かのカンペンが落ちても、机ひっくりかえすくらい、驚いてるからね」

 

それは、ちょっと異常である。

 

ともあれ、ベルの応答に、すでに山南は部屋を出ている。ほとんど、高速の早さである。

 

「おぉ、早い、早い」

 

山南の行動の早さに感心している加奈子。やっぱり、面白がっている。

 

「あ、レイカも行くぅ」

 

山南よりはるかに遅れてレイカも立ち上がった。

 

加奈子のほうは動く気配がない。おそらくベルはリクが鳴らしたであろうから、わざわざ全員で向かえてやる理由もないと行った具合である。面倒くさがっているだけと言う話しもあるが。

 

レイカが部屋から出て行ったのを見届けて、先ほど見せていたペラペラ本を持ってきていた鞄にしまう。さらに、そこから厚い本を出した。言っておくが、教科書や参考書の類ではない。さらなる同人誌である。

 

その取り出した同人誌を読み出す。が、すぐに、

 

『ドタタン、ゴロゴロゴロ!』

 

と、すさまじい音が、部屋の外の階段の方から聞こえてきた。

 

「あ、また落ちたか」

 

先ほど、レイカが下にジュースを貰いに行って、その時も落ちたのを思い出す。レイカ、学校でもよく階段で転んでいるため、今もそのときも、誰も驚いていない。

 

しかたなく、処理のために立ち上がる加奈子。今ごろ、レイカは下のほうで伸びているか、泣いているかしているはずである。

 

 

「おい・・・」

 

目の前にレイカが降ってきた。普通は驚くものである。

 

が、学校でそれが日常茶飯事となっているリクには、これもまた、予想内の出来事だったらしい。ただ、あきれているだけである。

 

「あ、いらっしゃい、リクちゃん」

 

『下』にいるリクに困ったように笑うレイカ。

 

そうである。レイカはリクの上に降ってきたのである。ついでに言うと、リクの下には山南がいる。(下敷きにされても、近くにリクがいるので喜んでいることも追記しておこう)

 

「なんだぁ、リクちゃんが下敷きになってあげたの」

 

階段の上から、キョトンとした様子で三人の惨状を眺めている加奈子。

 

「加奈ちゃん、パンツ見えてるよぅ」

 

無邪気に、そんな事を言っているレイカ。で、それを聞いて、思わず視線が動いてしまう馬鹿二人。

 

この後、レイカ以外に、加奈子の飛び蹴りが飛んでいたりする(^^;

 

 

 3

 

ガチャガチャガチャ。

 

必死にボタンを叩く音。

 

連中は何をしているのか。

 

簡単である。格ゲーをしているのである。

 

・・・って、お前ら勉強どうした!!

 

「もう、終わったもぉん」

 

これは、レイカ。

 

なるほどね。二時間でお開きですか。

 

加奈子とリクが対戦している間、すでに加奈子にボロクソやっつけられた山南と、対戦どころの話しでないレイカは喋ったり、マンガを読んだりしている。

 

が、午前中から勉強会が始まって、今はすっかりお昼である。自然、お腹も空いてこようものだ。

 

当然、誰かのお腹もなろうと言うものである。

 

このメンバーの場合、鳴るのは決まって、レイカのお腹だったりする。

 

『グー』

 

小さいが、はっきりと聞こえた音。

 

レイカは『おや』と言った感じで、お腹を抑えて、物欲しげに加奈子を見る。それを受けて、加奈子が握っていたコントローラーを投げ出した。

 

「お昼にしよ。リクちゃん、なんか作って」

 

「おいよ」

 

リクもコントローラーを手放して、立ち上がる。

 

それを見て、山南が、

 

「なんで、『いつも』リクが作るんだよ」

 

と、言う。

 

「だって、おばさんいないし、いたとしても、作ってもらうの悪いし、出前も嫌だし、リクちゃんのご飯おいしいし」

 

「加奈子、お前が作れよ」

 

山南は、自分も読んでいた本を片付けながら、文句を言ってくる。

 

「嫌よ」

 

「なんでだよ」

 

「だって、私がやると、当然レイカも作るって言うもの」

 

「う・・・それは・・・」

 

加奈子の言葉に思わず詰まってしまう山南。

 

先週、家庭科で調理実習があったのだが、そこでレイカは、どうやって作ったものか、材料からはかけはなれた物質を作り出したのである。他のクラスでは、それが生きたスライムだったとか、黒いコールタールの様なものだったとか、米軍の化学兵器だったとか言われている。が、実際に実習にたちあった者以外は、事実を知らない。レイカのクラスメートは全員、その話しを聞かれる度に、卒倒しているからである。リクや加奈子でも、聞いた相手を顔面蒼白になりつつぶん殴っているくらいである。

 

ましてや山南、レイカとは中学からのクラスメートである。レイカの料理の腕前は、加奈子並みによく知っているはずである。

 

だから、すぐに加奈子の意見を受け入れてしまった。

 

「いいよ。佐伯が作るんで、俺、いい!」

 

「でしょ?」

 

山南が青くなったのを見て喜んでいる加奈子。

 

当のレイカはキョトンとしている。

 

「なに、リクちゃんのご飯、食べられるの?」

 

「ああ」

 

「やた!」

 

山南と加奈子の話しが聞こえなかったのか、それとも理解できなかったのか、単純に喜んでいるレイカ。何なんだろうか、この子は(^^;

 

 

昼食。極めておいしかったらしい。

 

ちなみに、後片付けだが、なにもしなかった山南が加奈子の指名を受けてやらされていたりする。なんだか、加奈子には逆らえない山南。やっぱり、折檻は恐いらしい。

 

 

 

 4

 

「お邪魔しましたぁ!」

 

元気よく、山南宅を出るレイカと、『やっと出られる』と言った具合のリク。(やっぱり、山南に迫られたらしい)

 

もう夕方なのだが、加奈子はご近所なので、もう少し入り浸たるそうだ。と、言うより、帰ってきた山南の母親に止められて、夕食ご相伴になるそうだ。リクも誘われたのだが、家族の夕飯を作らなければならないので、こっちは断わっている。レイカも、ついでだから、帰るそうだ。(彼女なりに、加奈子に気を使っているらしい。そんなものが、この子にあるかどうかは不明だが)

 

「リクちゃん、大学、何処行くの?」

 

「ん?」

 

「皆、言ってるから。リクちゃん、何処に行くのかなぁって」

 

「ん・・・」

 

帰り道。大分暗くなっている。

 

家ではマコトが飢えているだろうなぁと思いつつ、レイカがとろいので、のんびり歩いていたリクである。そこに、レイカが普段言いそうもない台詞を言ってきたもので、少し面喰らっている。

 

「どうしたんだよ、急に」

 

端目には、女の子二人が歩いているようにしか見えないような風景である。お忘れかもしれないが、リクは女装なのである。しかも、完璧。

 

ちょぴっと背の低いレイカは、リクを見上げて、小首を傾げた。ちょっととろそうだが、可愛らしいことは、可愛らしい。

 

可愛いよな。

 

隣を歩いているレイカを見て、ふと、そう思ってしまうリク。

 

そうなのである。

 

リク、よりにもよって、レイカの事が好きなのである。

 

が、作者思うに、レイカの方はそんなこと、気が付いているのかどうか。いや、一年ほど前は、気が付いていないどころではなかったのである。

 

 

部室内で突然の加奈子の発言。

 

それに、リクは持っていた衣装をバサリと落とす。

 

「な、なんだよ、加奈子、突然に!」

 

演劇部の部室内。まだ、リク達以外はまだ来ていない。朝練なのだが、リク達が早すぎるのである。そこでの、加奈子の発言であった。幸いに、誰も他にはいないから、誰かに聞かれている心配はないだろうが。

 

「だから、『レイカの事、好きでしょう』って言ったのよぅ。おほほほほ」

 

劇で使う扇子で口元を覆いながら、笑っている加奈子。ちなみに、彼女はチョイ役だが、女王様役である。

 

「な、何を根拠に!」

 

「だって、レイカの事、構いまくってるじゃないの」

 

「あれは、レイカがとろいから!」

 

「シスコンの極みねぇ」

 

そう言って遠い目をする加奈子。彼女はリクの妹もレイカほどではないが、とろいのを知っている。

 

しかし、世の中には『噂をすれば影』と言う諺がある。

 

この時、グッドタイミングと言うか、バッドタイミングと言うか、レイカが現われたのである。ちなみに彼女は演劇部ではない。器楽部である。

 

バタバタバタと言う音がしたかと思う、『ゴチン!』と言う音。この時点で、リクも加奈子も、走って来たのがレイカだとわかってしまう。

 

ガラリと、突然あけられたドア。そこには、リク達の予想通り、レイカがいた。

 

「ねぇ、加奈ちゃん、加奈ちゃん!!」

 

レイカは、ドアを開けるなり、加奈子に突進して行った。加奈子はそれを受け止める。

 

「なに、レイカ?」

 

「知ってる、リクちゃんて、男の子だったんだって!!」

 

沈黙。

 

沈黙。

 

沈黙。

 

「え、えぇと・・・」

 

さすがの加奈子も青くなっている。

 

当然、リクは絶句。

 

「あれ、加奈ちゃん?」

 

せっかくのビッグニュースなのにと言う様子で、加奈子を見上げるレイカ。そこでやっと、リクの存在に気が付いたようである。今度はリクに突進していく。ただし、今度はリクの一メートル手前でストップしている。

 

「ねぇ、リクちゃん。リクちゃんて、男の子だったんだってね!」

 

「えぇと・・・」

 

「さっき、皆が言ったの。もう、ビックリしちゃったぁ!」

 

キャーキャーと、興奮し捲っているレイカ。

 

それを見て、加奈子が頭を抑えながらブツブツとつぶやいていた。

 

「おかしいと思ったのよね。男嫌いのレイカが、リクにあんなに懐いてたんだから。慣れてて、変態だと思われているかっちゃんでも、一歩離れてるのに、リクとは仲良かったし。私としたことが、考えが甘かったのかしら・・・」

 

なおもブツブツとつぶやいている加奈子。

 

なにも言えないリク。

 

まだ興奮し捲っているレイカ。

 

後日、レイカに嘘の情報を吹き込んだのが山南だと言う事が判り、彼はリクにどつかれ、加奈子に折檻されたらしい。(しかし、真実は山南が『佐伯って、カワイイよな』と言っただけである。どうやら、加奈子の単語帳では、『カワイイ』と言うのは女の子だけに対するものらしい)

 

しかし、どこをどうやったら、学ランを来た少年が女の子になるのだろうか。後に加奈子が聞き出したところによると、

 

『えぇ、レイカ、リクちゃんて、事情があって男の子のフリしてると思ってたんだもん』

 

だ、そうだ。なんなのだ、その事情とは(^^;

 

が、男だという事実が判った後でも、レイカはリクに懐いていた。どうやら、女装好きのおかげで、リクはレイカに『男の子』だと思われていないらしい。(オイオイオイ)もちろん、それだけで、懐いたりも、しないだろうが。

 

ちなみに、山南を平気な理由は、彼がリクを好きだからだそうだ。(彼女持ちやら、他の女の子が好きな相手は平気だそうだ。変な男嫌い)その前の理由は、加奈子が山南を好きだから。けっこう、メチャクチャな子である。

 

 

「あ、じゃ、レイカ、行くね。送ってくれて、ありがとう(^^)」

 

ニッコリ笑ってそう言うレイカ。やっぱり、可愛い。美人ではないが、可愛い。

 

が、家を目の前にして、やっぱり転んだ。しかも、鞄の中味も器用にぶちまけている。

 

「おい、おい、おい(^^;」

 

さすがに、ここまで来て転ばないだろうと思っていたリクだから、呆れてしまった。これでは、マコト以上である。マコトの場合はただ転ぶだけである。が、レイカの場合は、何かしら副産物があったりする。

 

「いたい・・・」

 

起き上がったはいいが、どこかボウッとしているレイカ。

 

しかたなく、リクは本を拾ってやっている。

 

「ん、起きれるか?」

 

手を貸して、レイカを起こしてやる。

 

レイカの方は、おとなしくリクの腕につかまる。

 

が、変化は突然やってくるものである。

 

起き上がる拍子に、レイカが唇を寄せてきたのである。

 

つまり、キスだ。

 

「な・・・」

 

レイカの男嫌いを心得ているリクである。当然驚く。いや、心得ていなくとも、この場合は驚くだろう。

 

「ばいばい」

 

レイカは、本をリクからひったくるようにして受け取ると、そのまま、家へと駆けこんで行った。

 

が、やっぱり、ドアの手前で転んでいた。

 

顔を真っ赤にして、起き上がり、家の中に逃げ込むレイカ。

 

リクは・・・心あらずだったりする。

 

さて、その夜の電話の内容である。

 

『ねぇ、加奈ちゃん、レイカやったよぅ!』

 

『ん?』

 

『キスぅ(〃^^〃)』

 

『おぉ!』

 

『偉い、偉い??』

 

『良くやったじゃなぁい。お姉さんはビックリしたぞ。ま、アンタがリクの事、好きだって聞いた時には、もっとビックリしたけどねぇ』

 

『えぇ〜。だって、リクちゃん、強いし、やさしいし、頭いいし、美人だし、カワイイし、お姉ちゃんみたいだし、お姫様役がバッチリだし・・・』

 

『アンタ、けなしてんの、褒めてんの?』

 

『ん?』

 

『あぁ、もう、いいわ(^^;』

 

 

 5 おまけ

 

リク達が帰った後。加奈子と山南の会話。

 

「ちょっとぉ、かっちゃんの方が、ご飯多いわよ!」

 

「だったら、自分で盛れ!」

 

「なによ、かっちゃんの癖に、私にそう言う事、言うわけね・・・フフフフフフ」

 

「(ギクゥ!)」

 

山南母の夕飯の手伝いをしていた加奈子だったが、突然高笑いをすると、鞄の中から、何やら怪しい物が色々入っていそうな布袋を取り出した。

 

「おばさぁん、ちょっと、かっちゃん借りますねぇ!」

 

そう言って、リビングの隣の部屋へと山南を引きずっていく加奈子。

 

「おふくろ、助けろ!!」

 

「あら、加奈子ちゃん、がんばってねぇ」

 

「お、おふくろぉ!!」

 

キャラキャラと笑って、二人を見送る山南母。

 

後には、加奈子の高笑いだけが響いていたりする。

 

「おーほほほほほほほほほほ!!!」

 

 

 6 座談会

 

ネコ『ふぅ、やっと終わった(^^;』

 

リク『お疲れさん』

 

ネコ『うぅ、リクちゃん、今回は機嫌いいのね』

 

リク『ま、な』(なんか赤くなっている)

 

ネコ『えぇ、では、今回のキャラの紹介いきまぁす(^^;』

 

ネコ『まず一番手は初登場の三浦レイカちゃんです。こんにちは、レイカちゃん』

 

レイ『こんにちわぁ』

 

ネコ『えぇと、この子はマコトと同じタイプなので、書いてて困る子でしたね。ま、学業   的にバカではないのですが・・・』

 

レイ『どう言う意味?』

 

ネコ『いや、マコトちゃんは、本物だから。貴方は天然ボケ』

 

レイ『酷い言い方・・・(;;)』

 

ネコ『あぅあぅあぅ(^^;』

 

 

ネコ『次は柏木加奈子様です。こんにちは、加奈子様』

 

加奈『こんにちわ。ここ、始めてねぇ、私は』

 

ネコ『そうですね。前回は、三兄弟妹が占めてましたから』

 

加奈『今回、私あんまり折檻できなかったわねぇ。つまらない』

 

ネコ『(ビクリ!)』

 

加奈『リクちゃんも、レイカも最後、おいしいのもらったのに・・・』

 

ネコ『だ、だから、最後に『おまけ』を入れたんじゃないですかぁ(;;)』

 

加奈『ま、そうだけどねぇ・・・』

 

ネコ『うぅ、恐いので次いきますぅ(;;)』

 

 

ネコ『三人目は山南一則君です。こんにちは、山南君』

 

山南『こんにちわ。でさ、俺、一つ疑問があるんだが』

 

ネコ『な、なんですか、突然???』

 

山南『どうして、俺だけ名字なの?』

 

ネコ『へ?』

 

山南『佐伯の所は、まぁ、三人いるから、名前で判るけど、加奈子もレイカも、名前で呼ば

   れてるんだよな、お前に。俺だけ名字で、作中に呼ばれてるんだよ』

 

ネコ『そ、それは・・・』

 

山南『それは?』

 

ネコ『実は、貴方の場合だけ、名字から決まったんですよ(^^;』

 

山南『じゃあ、他の連中は、名前から?』

 

ネコ『です』

 

 

レイ『あれ、加奈ちゃん、作者さんがいなくなったよ?』

 

加奈『あら、本当だわ?』

 

山南『別にいいよ。邪魔だし』(オイオイオイ)

 

リク『なんか、急用が出来たからって、帰ったぞ』

 

加奈『あら、あら。無責任な。で、どうする?』

 

山南『どうするって?』

 

加奈『うちらだけで、ここにいても、しょうがないでしょう。どっか、行こうか?』

 

リク『どこ行く?』

 

レイ『レイカ、どこでもいいよ?』

 

加奈『あ、うちら用事あるから、リクちゃんとレイカで、どこか行きなさいよ』

 

山南『は!?』

 

リク『あぁ、別にいいけど?』

 

山南『ちょ、ちょっと・・・フグフグフググ!!』(加奈子が口を塞いだらしい)

 

レイ『どこいく、リクちゃん?』

 

リク『とりあえず、外に出るか』

 

レイ『ほーい』

 

     リクとレイカ退場

 

山南『佐伯ぃ!!』

 

加奈『おーほほほほほ、往生際が悪いわよ、かっちゃん!』

 

山南『ひぃぃ!』

 

加奈『さぁて。人もいなくなったところで、『例』のごとく、始めましょうか。おーっほ

   っほっほっほっほ!!』

 

     部屋に加奈子の高笑いが響き渡る。

     影で見ていた猫は完全に怯えている。しかたがないので、猫も退場。

 

山南『誰か、助けろぉ!!』

 


 

みゃあの感想らしきもの。

 

ああ……いい……(ぼーーーーーー)

もう最高……。

こんなにも素晴らしい作品を書かれる三月さま……みゃあは尊敬いたします。

GUESS WHAT!?の大大大大大ファンになっちゃいました。

だって、出るキャラ出るキャラ、みんなすごくいいんです。

特に今回はリクとレイカ(!)のらぶらぶな展開にめろめろです(笑)。

それと、山南っていいヤツですね……前回は誤解してました(それとも今回が誤解?(笑))

 

三月さま。

みゃあ一生のお願いでございます。

どんなにゆっくりとでも構いません。この作品続けてください。

完全にはまっちゃってます。

今回はマコトちゃんが出てこないため、欲求不満です。さらにあぶないシスコンケイと彼女の関係はどうなるんでしょうか?

ああっ!!気になって、気になって……。

毎回、それぞれのキャラをクローズアップして頂けると嬉しいですぅ。

どのキャラも比べられないくらい好きです。

 

どうかどうか、今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m。

GUESS〜2