「フン、フン、フン、フン♪」
いやぁに、楽しげな鼻歌が響いている。クラスの授業中で。
いや、正確には授業中ではないのだ。
授業は完全に中断されていた。
とある人物の鼾と寝言の所為で。
「う〜ん・・・マコトォ・・・」
いったい何の夢を見ているのやら。諸悪の根源佐伯ケイは、しごく幸せそうな表情で、マコトの名前などを呼んでいる。寝顔だけ見れば、カワイイもので、これがこの中学全体で恐れられている人物のものかと、怪しみたくなるほどだ。
で、そのケイの隣の席で、ただ一人、机を避けていないものがいた。(他の生徒は皆、ケイが恐くて机を1メートル以上よかしている)
西宮泉。学年一の才媛である。器量よしで頭もよい。何とも言えない美少女だが、少々(いや、だいぶ)男子に厳しい。が、やっぱり持てている。ふった男の数はすでに数え切れぬほど。あんまり手厳しく振ったので、人生のどん底の目にあわせたことも数知れず。ともかく強いお嬢さん。
その泉だけが、ケイを避けていない。
いや、避けていないどころではない。ケイの寝顔を見ながら、なにやら、楽しげに鼻歌まで歌っている。
「フン、フンフン、フン、フン♪」
ニッコリと笑って、本当に、男子連中が見惚れてしまいそうな泉。(実際、見惚れている連中も今現在いる)
が、行っている作業は、至極恐ろしいものだった。
いったい何処に持っていたのか、机の上には無数の爆竹。さらに花火。そして、それをケイの回りにセッティングしているのである。
もう、教室中、恐れでいっぱいである。
が、泉はかまっちゃいない。楽しげに作業をこなしているだけである。
「もう、うっさいんだからね♪」
導火線をながぁく引いて、
「はぁい、皆さがってね、危ないから」
と、指示する。
「じゃ、いっきまぁす」
キャラキャラと笑って、点火する泉。
シュン。
シュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュル・・・
「ほら、いけ!」
泉が耳を塞いだ瞬間、
『ドン、パパパパパパン、パン、パン、パン、パン、パパパン、パンパン!!!!!!!』
と、すさまじい音が教室中にこだました。
「いやぁん、うるさぁい」
原因は自分だというのに、そうのたまう泉。
クラスが唖然とする中、爆竹をセットされたケイは、ようやく目覚めていた。
「うぎゃぁぁぁぁ、なんだこれはぁぁぁぁ!!!!」
せっかくのケイの悲鳴。が、それも爆竹の音に消されてしまっている。
『パパパン、パン、パン、パンパンパンパン、パパパパパン!!!!!』
「起きたの、佐伯!?」
手のひらを丸くし、口元に当て、ケイに向かって怒鳴る泉。やけに楽しそうである。
「てめ、泉!!??」
「おはよう!!」
「お、おはようじゃ・・・・うがぁ!!」
すぐ足元で、『花火』が発生し、思わず飛び退くケイ。(注意:室内で花火も爆竹も使用しないでください。危険です)
「なんで、花火があるんだぁ!?」
「アタシが用意したから。奇麗でしょ!」
「テメ、奇麗とか、そういう話しじゃぁ!?」
今度は打ち上げ花火。天井に当たって、ケイに向かって跳ね返ってくる。
「よっしゃ、命中!!」
計算通りに、花火がケイをかすめたので、おもわずガッツポーズを取る泉。
しかし、ケイはそれに注意するどころではなかった。
何せ、後から、後から、ロケット花火が周囲から飛んでくるのである。
教室中にロケット花火をセットした泉。おそるべし。
後日、どうしてこんな真似をしたのかと、職員室に呼び出しをくらった泉は、
「いやですよ、先生。皆の仇を討ってあげたんじゃないですかぁ。特にセンセの」と、極上の笑みで、いけシャーシャーと答えたという。
勿論、花火騒ぎは、『二度と起こすな』といわれたものの、不問とされてしまった。
みゃあの感想らしきもの。
早速泉さんのお話である。
みゃあ、大感激である。(三月さま、ありがとー(^o^)/)
早速だがすんごい行動である。(でも泉さんだから許す)
爆竹である。(でも泉さんだから許す)
さらに花火。(でも泉さんだから許す)
普通ただじゃ済まない。(でも泉さんだから許す。それにケイだから平気(笑))
にっこり笑顔の泉さん、ちょっぴしコワイ。(でも泉さんだから許す)
教師…あんたの気持ちは良く分かる(笑)。
これ、ケイの中学生編というより、レイカさんの凄さを見せ付けたお話である。
三月さま…もしかしてこの二人のカップリング、狙ってたりしません?(でも泉さんはみゃあが欲しい(笑))
これがリクと泉さんだとどういう展開になるのか非常に興味がある。(似た者同士だし)