GUESS WHAT!?
3「とある(暴虐無人な)次男の話し」
作・三月さま
0 しょっぱなから対談でもうしわけないのですが、
ケイが『やれ!』と言って殴るので(;;)
ケイ『よーやくにして、俺の出番だな。主人公のはずなのに、出番が少なすぎだぞ』
ネコ『シクシクシク(;;)』
ケイ『なぁに、泣いてやがるんだ!』
ネコ『だって、ケイ、ぶつんだもん。エグエグ』
ケイ『ちょっと、どつかれたぐらいで、泣くなよなぁ』
ネコ『うえぇん、イヂメっ子ぉ(;;)』
猫、泣きながら、突然走って何処かに行ってしまう。
ケイ『アリャ、いっちまったぞ?』(←自覚なし)
と、思ったら、猫、ダッシュで帰ってきた。
ケイ『どした?』
ネコ『いやぁ(〃^^〃)』
ケイ『顔、赤いぞ?(不気味な)』
ネコ『いやぁ(〃^^〃)』
ケイ『(さすがに、気味が悪くなってきているらしい)』
ネコ『いやぁ、あてられちゃいまして、ダッシュで逃げてきましたよぅ(〃^^〃)』
ケイ『あてられた?』
ネコ『はい。前回、リクちゃんも、いいところまでいったんですけど、やっぱり・・・ウ
フフフフフフフフフフ』
ケイ『気色悪りぃ(ウゲー)』
ネコ『ふんだ、べつにいいでしょ!』
ケイ『けっ・・・で、俺は?』
ネコ『はい?』
ケイ『お、れ!』
ネコ『???』
ケイ『俺とマコトは?』
ネコ『え・・・えぇと、あんたとマコトちゃんですかぁ?』
ケイ『そうに決まってるだろ。どうなんだよ』
ネコ『ど、どうって言われても・・・』
ケイ『おい!』
猫、ケイにガン飛ばされてビビリまくっている。
ネコ『ど、どうって、なんの・・・』
ケイ『しらばっくれるな!!』
ネコ『ひぃぃ!(;;)』
ケイ『こら、猫、わかってんのか!?』
ネコ『(ビクビクビク)と、とりあえずは、話しを見てから・・・』
ケイ『気に入らなかったら、ミンチだからな』
ネコ『あうぅ(;;)』
密かに、月へ逃亡しようかと思っている猫であった。
1 朝(ケイの場合)
「おーい、ケイ、朝だぞぉ、起きろぉ!!」
相変わらず、滅茶苦茶汚いケイの部屋。そこら辺りに散乱している本などを、
容赦なく踏みにじりながら、リクがケイの耳元に向かって怒鳴っていた。
リクも演劇部の花形であるから、発声練習を山ほどこなしているのである。
よって、その声量は、かなりのもののはずだ。
が、ケイは起きない。いくらリクが怒鳴って見ても、唸り声一つ上げない。
ただ、以前の誕生日にマコトがくれたパンダの縫ぐるみを抱えて、グースカ眠っているだけだ。
これが、マコトの声なら、たぶん、一発で起きるのであろう。
例え、以前のように、寝ぼけてマコトとリクを間違えようがである。(あれから、ケイ、かなり用心深くなっているらしい)
が、リクの声では、いくら怒鳴っても起きない。起きる気配もない。
「まぁったく・・・」
リクは、学ランにエプロンと言う、たいへんおいしい格好をしてくれているのだが、そ
の格好で、腕組みをした。
「まぁた、いつものパターンか・・・」
大げさに、だが、わざとらしくない仕草で、リクはため息を付き、部屋を出て行く。出
て行く間際に、ためしにと、床にあった本を投げつけて見る。が、やっぱりケイは起きな
い。(一部、本を投げるのは、八つ当たりのストレス発散だという話しもある)
階段の所までテクテク歩いていき、そこで立ち止まり、息を整えた。
「おぉい、マコトちゃん、バスタオル今、持っていくからねぇ!」
ごくごく、普通の声量の、わざとらしくない台詞。
だが、その途端に、ケイの部屋の扉は開き、脱兎の如く、ケイが飛び出してきた。
「はっはっは、お約束ぅ!」
リクは、ケイが起きたのを見て、ヒョイッと、足を上げる。
お約束である。
見事リクの足に引っかかったケイは、階段をいつもの倍の速度で降りて行った。(いや、
転げ落ちて行った、か?)
階段を高速で降りて、ズタボロになったケイである。が、リクにまるで文句を言えない
でいた。
理由としては、文句を言えば吊される恐れがあるのと、あとは、自分も馬鹿をやったと
自覚しているからである。(バスタオル如きに反応するなど、ベタベタすぎる)
佐伯家はマコトを覗いて、朝食は自炊なので、ケイは炊けていたご飯をかっぱらい、パ
クついている。リクの炊いたご飯をいただいている時点で、自炊ではないと思うのだが、
父親がそうなので、皆無頓着になっている。(いたのか、父親・・・)
「あー眠い」
ブツブツいいながら、味噌汁をすすっている。が、これもリクが作ったものをいただい
ている。
どうやら、佐伯家では、『自炊』という言葉は、自分でよそうことを意味するらしい。
かなり、いい加減と言うか、物事の意味を曲解するというか、なんというか・・・
ともあれ、しっかり朝食を食べたケイは、ちゃんと食器を流しに出しに来た。出さねば、
リクに殺されるからである。
そこでは、リクがいそいそと、5つ、弁当を用意していた。その姿を見れば、学ランを
着ていても、女の子の様である。これなら、十分いいお嫁さんになれるぞ、リク。
『ガス!』
はう、異次元から菜箸が!?
「一言、多いんだよ、猫!」
弁当箱に集中していたはずのリクが、あらぬ方向を見て怒鳴っている。ケイの方は、突
然のリクの行動と、消えた菜箸に困惑している。
前回はケイが異次元を超越したと思ったら、今度はリクちゃんである。しかも、物まで
なげてきた。うぅ、おそるべし、佐伯兄弟(^^;
ともあれ、新しい菜箸をとって、弁当箱を詰めているリクの後ろから、ケイがそれを覗
き込んだ。はっきりいって、ケイの方が身長は高い。が、やっぱりリクの方が強い。
「なんで、5つもあるんだ?」
置かずを吟味しながら、ケイが不思議そうに聞いてきた。
リクは手早くおかずを詰めながら、
「レイカの分もあるから」
と、答えた。
「レイカ・・・って、お前の彼女の?」
「そ」
「・・・なんで、お前が彼女の弁当作るんだ?普通、逆じゃないか?」
ケイ、当然の質問である。男女差別だと、怒りたい奴は怒ればいい。だが、普通はそう
なのである。いや、そう言うお約束なのである。
が、リクにとっては、その当然の質問が、カチンと来たらしい。
おかずを詰め終わった菜箸を置くと、代わりに・・・・おい、おい、包丁掴んでるよぉ
(^^;
「あのな、ケイ?」
ピタピタと、包丁の刃を動けなくなっているケイの頬に当てながら、リクは明らかに作
ったものと見られる笑みを浮かべていた。
「常識にしたがって、彼女の料理食って殺されるのと、非常識でも平和にすごすの、どっ
ちがいい?」
「へ、平和でいいです・・・」
「わかってんなら、聞くな」
そう言って、包丁を置くリク。
確かに、レイカの料理は殺人ものである。なにしろ、先週の調理実習では、とうとう、
匂いだけでクラスメートの半数を卒倒させたのであるから。リクでなくても、多分、自分
で弁当を作りたがるだろう。
さて、現時刻であるが、実は6時だったりする。
何故に、こんなに時間が早いのか。別に、リクが意地悪で、時計をいじくったわけでは
ない。(これは、もう、以前にやって、使い古された手である)
ただ単に、二人とも部活の朝練があるだけの話しである。
ケイが部活の朝連に行くと聞いて、ギョットした人もいるだろう。が、事実である。そ
れに、だいたい、毎日のことである。
その証拠に、今の天気は快晴、地震も起こっていなければ、火山も噴火していない。突
然の津波も、鉄砲水もない。ごくごく、自然な事なのである。
「んじゃ、いってきまーす!」
7時まで寝ているマコトを、泣く泣くあきらめて、家を出るケイ。本当は一緒にいきた
いところなのだろうが、いかせん、練習はさぼれないのである。別に、部の顧問の体育教
師が恐い訳ではない。ケイにとっちゃぁ、教師なんぞはイヂメの対象である。
ケイが部活だけは真面目な理由は、まぁ、また語るとしよう。
2 ケイの授業態度・・・すこぶる悪いです。万民の予想通りに
ガー・・・・スピー・・・・グォー・・・・。
思わず耳を覆いたくなるような、騒音。
ケイの鼾である。
机に突っ伏し、気持ちよさそうに寝ている。
本人は至って気持ちよさそうだが、回りにして見れば、大迷惑である。特に、数学教師
の、若い女の先生。結構美人なのであるが、怒りでその美しい面が曇りに曇って、せっか
くの美貌が台無しである。そりゃもう、夜叉になってます。まるで嫉妬に狂った鬼婆です
な、こりゃ。
「えぇ、ここで、Xを二乗に・・・」
プチ。
あ、切れた。
女教師が途中で黙りこんだのを見て、前の方の席の数人が、机をずらした。おかげで、
ケイから女教師まで、一本通路ができ上がってしまう。さらに言えば、ケイの回りのクラ
スメートも、机ごと移動している。
「佐伯君?」
端から聞けば、いつも通りの女教師の声。が、注意深く聞けば、声のはしが振るえてい
るのがよく判るはずである。
「佐伯・・・君?」
今度は、『君』が、無理やりとって付けたかのような感じである。
「佐伯・・・」
女教師、大分切れているようである。背後に、何やら赤いオーラの様な物が、見え隠れ
している。いや、もう、ショートカットの髪の毛だって、逆立っている。こうなってしま
っては、角がないのが不思議なくらいである。
「佐伯ケイぃ!!!!!!!」
教師は、それでもわずかに理性があったのか、教壇に立ったまま、ケイのフルネームを
絶叫する。
彼女がそれでも教壇に残ったのは、以前、ケイの机近くで怒鳴って、危うく、寝ぼけたケ
イに窓から捨てられそうになったのである。マジです。
ケイは、教師の絶叫に、『フガ?』と、顔を上げた。
まず、女教師を見て、それから、回りを見回す。
「なぁんだ、マコトいないじゃん。グゥ」
で、また寝てしまった。
クラスメート全員、凍り付いてしまっている。今日はまだ、こんな軽いぼけをかまして
くれるていどだが、一昨日など、いきなり机をひっくりかえし、さらには、クラスメート
の男子をしばき倒したのである。その理由といえば、男子がケイを起こそうと鉛筆でつつ
いただけなのである。他にも、ケイを起こして生じた被害を上げれば、それこそ、五万を
下らないのである。おかげで、いまとなっては、一部の勇気ある教師ぐらいしか、ケイを
起こそうとはしない。
これで、よく高校に上がれたなぁと言った感じである。が、こいつもリク同様の、詐欺
まがい野郎である。勉強もせずに部活の大会での功績と、義理ちょんの成績で、一番家に
近い高校に入ってしまった。思えば、学校がケイの大会成績に目が眩んで入れてしまった
のが教師たちの運の付きなのかもしれない。
「もう、いやあぁ!!」
哀れ、美人教師は、とうとう泣き出し、クラスは表向き先生に同情的ながらも、授業が
中断されたことで、密かに喜んでいたりする。
「なんだよ・・・」
教師の泣き声と、回りのざわめきで目が冷めたのだろう、ケイはまるで『他人事さっ』
と言った様子で、その様を見ていた。
この、鬼!!
一時限目の数学の授業はほぼ寝て過ごし、二時限目の歴史では偉人の文句をウダウダと
30分もたれ(しかし、これが馬鹿にできないのである。やっぱり、どこかリクの弟)。
三時限目の体育では俄然はりきり、四時間目の英語ではメチャクチャな発音で教師をノイ
ローゼにし、やっと、昼である。
教師達に言わせれば、昼休みは、一時の心の安らぎだ。学校一の問題児も、昼だけは、
おとなしいのである。
しかし、弁当をリクに作ってもらっておきながら、ケイはさらに学食まで足を運んでい
る。
学食にすでにいた生徒達は、ケイの姿を認めると、慌てて残りをかきこむなり、名残惜
しんで残すなりして、食堂から消えていく。さらに、学食の列に並んでいた生徒のかなり
の割合が、かなり滅茶苦茶な理由を付けながら、列をいったん離れた。もちろん、この生
徒の中には、上級生も含まれている。列を離れないのは、よほどの根性があるか、ケイの
事を知らない潜り、または陸上部。そうでなければ、よほどの馬鹿である。
「ふん♪」
英語の時間で、教師がラリッてしまったのを見て満足したのか、ケイはやたら機嫌がい
い。
それを見て、陸上部の三年が、密かに、英語教師のために祈ってやっている。
「なにしてんの、先輩?」
目敏く、それを見つけているケイ。が、今だ機嫌がよいところを見ると、三年が何をし
たのか、判っていないらしい。
「いや、いい天気だなぁって!」
三年は、あらぬ壁のほうを見ながら、そう叫んでいる。よほど、動転している証拠だろ
う。
「ふーん」
ケイは、壁の方向を見ながら、これをネタに三年をいびってやろうと、心の中で画策し
ていた。頭がおかしいとでも言って、からかう程度なのだろうが。
さて、ここまでくれば、いいかげん、ケイの趣味も判るだろう。
そうである、彼の趣味は『イヂメ』である。しかも、その範疇は、『マコト以外の生き
物全部』という、とんでもない広さなのである。人間だけではない、犬猫も、鼠も、虫も、
鳥も、微生物も、はたまた、バクテリアさえも、対象になっている。老若男女、もう、関
係なしである。自分さえ楽しければ、それでよしなのである。ケイのイヂメの対象になっ
ていないのは、元から対象ではないマコトと、後はケイがどうやっても勝てないリクと父
親くらいなものである。
ここまでいうと、学食で昼飯代をたかるように思われそうだが、そんな事はしない。が、
学食のおばちゃんに、難癖は付ける。標準的な、量が少ないという文句から始まって、ど
うやって調べたのか、おばちゃんの家庭事情にまで、イチャモンつけている。お前はスト
ーカーか!?
まるで、学食に憂さ晴らしのために来たかのようである。
おかげで、ケイが入学してこの方、学食を利用する生徒の数は、減る一方である。
一部の悲壮的な噂では、学食イビリに飽きたケイが、次のターゲットに購買部を狙って
いるという、まことしやかな噂さえも流れている。
五時限目、生物では何処から持ち出したのか、ホルマリン漬けの蛇やら蛙やらを持ち出
してきて、女子とほんのの一部の男子生徒を絶叫させた。(ご丁寧にも、ホルマリンから
出して、机の上に並べやがったのである)六時限目の国語Iでは、何故か逃走。教師とク
ラスメートを安心させた。ところが、教師が使用しようとしたテープからケイのやたら低
くした声が流れ、気の弱い女姿勢と一命と国語教師を失神させてしまった。逃走はフェイ
ントであったらしい。
3 部活。やたら真面目である。何故かと言うと・・・
ケイの所属している部であるが、陸上部である。そのおかげでか、陸上部に所属してい
るものに対するケイの態度は、他の部にいるものよりは、ほんの纔ではあるが緩い。その
せいで、今年の途中入部の数が、かなり膨れ上ってしまった。
もちろん、陸上部のトップも馬鹿ではない。あまり人数が増えすぎれば、ケイの特別態
度も薄れてしまうかもしれない。そこで、選りすぐりのものを除いて、途中入部のもの達
の入部を拒否してしまった。その際に起こった暴動は、今でも、教師や生徒達の記憶に新
しい。
そんなこんなだが、ケイの部活に対する態度は、酷く真面目なのである。一生懸命やっ
ている。部活でだけは、文句は言わない。(ただし、以前調子に乗って過剰にケイをしご
いた上級生は、病院送りの目にあった)
『パァーン!』
合図の音で、地を蹴るケイ。
やたら奇麗なフォームで、しかも早い。部の短距離では並ぶものはないし、県でもトッ
プクラスである。
狂暴粗悪、最悪性格のケイだが、面だけはいいので、運動神経も手伝って、何も知らな
い下級生の女子や、他校の女子にはやたらもてている。(が、同級生の女子には、蛇蝎の
如く嫌われている)
一部の男子が、ケイの何も知らないファン連中を、物欲しげに、あるいは、哀れみを持
った目で見ている。あの女子のいったい何人が、ケイの性格を少しでも知っているという
のだろうか。多分、皆無だろう。
「なぁ、なんで佐伯って、部活だけは、あぁ熱心なんだ?」
幸いにも、ケイと同じクラスになることを免れた幸運な同級生の一人が、自分の友人に
何やら尋ねている。ちなみに、友人のほうは運悪くクラスメートである。
「あぁ、あれ・・・」
クラスメートはそう言って、遠い目になってしまう。ちなみに、彼、最悪なことに、中
学までケイと同じなのである。(面白いことに、この高校に入りたがる生徒が、ケイが受
験した年だけ、極端に少なかったのである。まぁ、理由の予想は付くだろうが、やっぱ
りケイである)
「あれねぇ、中学二年までは、不真面目だったんだよな、部活も・・・」
「でも、今は真面目だろ?」
「ああ、二年のとき、練習もしないのに早すぎて、大会出してもらえたんだよ、あいつ」
ちなみに、その皺寄せは、このクラスメートに来た。
「でさ、佐伯の奴、3位だったんだよ」
「ま、練習なしじゃ、いくら佐伯でもそんなところだろ」
「ところがさ、それを、佐伯の妹がやたら喜んじまって・・・それ以来だよ、佐伯が部活、
真面目になり出したのは」
「・・・シスコン?」
「そ。うちの中学ではやたら有名だったよ。・・・でも、俺が言ったって言うなよ!?」
クラスメートの少年は、突然ガバッと、友人の肩を掴んだ。
「お前だから、言ったんだぞ!?バレたら、殺されるんだぞ!!」
「わぁった、わぁった(^^;」
彼自身もケイの恐ろしさを判っている友人は、当然のように頷く。
が、人間、何が起こるか判らない。
何時の間にか、彼等の回りには人だかりが出来ていた。しかも、その一番前には、何時
の間にか上がってきたのか、ケイがいる。
「おまえら、ヤヲイか?」
「だぁぁぁぁぁ!!!!(;;)」(×2)
運命の転機に涙する二人。だが、ケイの方も、こんなおいしいネタを放っておくほど、
甘くはない。明日にはきっと、とっても楽しい、もとい、不幸な噂が学校中に広まってい
ることだろう。
しかし、ケイよ、やっぱりお前の行動目的の中心はマコトかいな(^^;
4 放免
放課後である。これは、教師達にとっては、至上の時間である。何故ならば、ケイが自
分達の視界の範囲から、完全に消えてくれるからだ。教師の中には、ヤケになって酒を飲
みに行ったり、やたら怪しい場所に行ってしまったりする。
ケイと言えば、真直ぐ中学に行ってしまう。当然、マコト目的である。今年のマコトの
部の顧問がやたら熱心で、ケイが帰るような時間まで、生徒を釘付けにしているからであ
る。
が、ここにもう一人、マコトを待っている人がいる。お忘れであろうから、改めて紹介
しておこう。マコトの『彼氏』である、西宮良である。この人も、マコトをしっかり待っ
てあげていたりする。
で、当然、会ってしまう二人である。
「げ、佐伯先輩・・・」
「爆竹野郎か」
ただ『爆竹野郎』と聞くと、ただの爆弾魔のような響きがある。が、事実は、過去、ま
だケイが部活に不真面目であった頃、西宮がケイのロッカーに怒りの爆竹を仕掛けたこと
である。もっとも、その後、二階からプールに叩き落とされてはいる。
二人の仲、はっきりいって、最悪である。
マコトが出て来るであろう昇降口の前で、バチバチと火花を散らす二人。
それを、下駄箱の前でマコトはキョトンとした様子で見ている。
「あれぇ、ケイちゃんと先輩だぁ」
「どしたの?」
同じ部の友人が、マコトの横から、ケイと西宮を見る。
「おや、お迎え?」
「そうなの?」
そう言って、友人を見るマコト。もう、お腹が空きすぎて、頭が働いていないらしい。
当然、頭を抱える友人。
「マ、マコちゃぁん(^^;」
「お腹空いたぁ(;;)」
マコトには、この時間までの部活は、かなり応えるようである。いくらリクが弁当の量
を増やして見ても、やはり、夕飯が遅れる苦しみを和らげることは出来ないようだ。
「うん。判った、早く帰ろうね」
自分は家に電話して親に来るまで車で向かえに来てもらっていることになっている友人
は、マコトも送っていってもらうつもりで、マコトを促した。
そこには二つの考えがある。一つ目は純粋な好意だ。可愛い友人を早く夕食にありつか
せてやろうという、優しい考えである。で、二つ目。復讐だ。昇降口にケイがいるのを、
彼女は見つけてしまったのである。
これも忘れられているようだから言っておこう。ケイは上下二学年プラス同級生、合計
5学年にイヤガラセをしたのである。つまりは、マコトの同級生の中にも、ケイに悪夢を
見せられたものがいる。
しかし、いくらケイが憎くても、可愛いマコトに、いくら彼女がケイの妹だといっても、
何が出来る訳もない。(中には、マコトがケイの妹だと、信じられなかったり、知らなか
ったりする者もいたりする)
そう言う訳で、堪りに堪った鬱憤が、こういう形になる。ケイも西宮も置き去りである
(^^;
お腹の空いているマコトと言えば、彼等を置き去りにするという認識もない。ただ、空
腹感だけである。
ケイと西宮の不毛な争いはかなりの間続き、気が付いて見れば、辺りは深夜になってい
たという。
ちなみに、マコトを送っていってしまった友人だが、後で自分の仕出かしたことの重
要さ及び恐ろしさに気が付き、一週間、登校拒否になってしまったという。幸い、ケイの
方は、彼女の行為に気が付くことなく、彼女は無事であった。(西宮と深夜まで争ってい
たために、と言うか、彼をいびっていたために、マコトが帰ってしまったと思っているよ
うである)
5 後書き
ネコ『ふぅ。とうとう、月の猫になってしまいましたぁ。酸素は少ないけど、化け猫だか
ら、多分、大丈夫でしょう!!』
なにやら、楽しげな様子で、背中に背負っていたリュックを下ろす猫。
バックは当然月画面。しかも、本物である。
ネコ『実はここに、受信装置があります。日本から電波(妄想電波)で、映像を送っても
らえるのでぇす!!』
まるでドラ○モンのようにして、画面やら、パラボラやらを取り出していく猫。
もう、ノリノリである。
ネコ『さて、見てみましょうかねぇ(^^)』
パチリ。
電源が入り、画面に少し雑だが映像が入る。
以下、映像である。
ケイ『くおらぁ、猫はどこに行ったぁ!!!』
ネコのコメント:おぉ、やっぱり怒ってるぅ(^^;;
ケイ『あんのやろぅ・・・見つけ次第、皮を剥いで三味線にして、肉をミンチにして犬に
食わせてやる!!!』
ネコのコメント:ひぃぃ(^^;
ケイ『絶対に許さん!!』
ここで、映像が切れてしまう。
恐ろしさの余り、小さくまるまって、怯えている猫。
ネコ『酷いよぅ、酷いよぅ、全部事実なのにぃ(;;)』
寒〜い、孤独な月面上。
何を思ったのか、猫は杵と臼を取り出し、餅を月だした。
ペッタン、ペッタン。
ペッタン、ペッタン。
ペッタン、ペッタン。
今や完全にケイを怒らせてしまった猫。
もはや、地球に帰るなど、出来ない相談であった。
みゃあの感想らしきもの。
とりあえず、沸き上がる衝動と、有り余る感動とお礼の言葉は置いといて……。
うえぇぇぇぇぇん!
ケイちゃん、ネコさんをいぢめないであげてぇ……。
月から帰ってこれないなんてかーいそう過ぎるよぉ(うるうる)。
ネコさん、こっちに非難してきて下さい。なでなでします(笑)(←猫好きなみゃあ(笑))
うぅぅぅ(T^T)……三月さまぁ、いつもいつもありがとうございますぅ。
お忙しいのにこんなに沢山書いて頂いて……。
もう大感激ですぅぅぅぅぅぅっっっ!!
お礼といっては何ですが、感想を5割増し(当社比)でお届けしますm(__)m。
う〜ん…ケイの極悪非道ぶり。そーか、こいつはこーいうヤツだったのか。
あまりの凄さに、マコトちゃんが出てきたらほっ、としてしまいました。
やはり、この暴走男をも包容できるのは彼女しかいませんね!
以下、箇条書きにて……。
しかし……パンダのぬいぐるみ……(うぷぷぷぷっ)。似合い過ぎてるかも…(こんなコト言ってるとケイにぶっ飛ばされそう(^^ゞ)
父親……父親……こっ、これはっ!(きらーん)
すっっっっごく興味がありますっ!
この兄弟たちの父というと……リクですら頭の上がらないツワモノか、それとも逆にとんでもなくなよなよ(違う意味で頭があがらない(^^ゞ)な人物なのかっ!?
うおおおぉぉぉぉっっ!知りたい、ぞぉぉぉぉっっ!!(さらに母親はどーなのかなぁ…もしかして、幼い頃に亡くなっているとか…)
「佐伯兄弟」……う〜ん、なんて違和感のある言葉だ(笑)。「佐伯姉弟」の方がしっくりくるなぁ…(爆笑)
数学教師…こういうちょっとした所が気になる(笑)
う〜ん……マコっちゃんの出番が少ない(るるる〜(T_T))。
次はもっと出してくださいね(催促かい(^^ゞ)。
もう、一体どうやってお礼したらいいものやらあ〜!
リクエスト、何でも言ってください。書きます書きますぅ〜。
それにしても「GUESS〜」は人気高いですよ!
これからもがむばってください!!
ページオーナーとしてではなく、一ファンとして、心よりお待ちしておりますm(_ _)m。
P.S.山南はもっとアニキな人かと思ってました(爆笑)。