GUESS WHAT!?
番外編−謎のオヤジーズ−
1 佐伯家のオヤジ
佐伯カスギ。変な名前・・・じゃなかった。
あのリク、ケイ&マコトの父上である。
ケイをケチョンケチョンにのすことの出来るリクでさえ、一度も勝ったことのない
強さを誇る、この作品中、おそらく最強であろう人物である。
職業:闇の販売人。怪しい兵器からペロペロキャンディーまで、何でも扱う。つい
先日は、某ご近所のまわりを、配下を使って穴だらけにしたそうである。そこで発見
された3000年前の『宇宙人』の骨を使い、新種の風邪薬を作ったとか、作らない
とか。この風邪薬の制作に、某マッドサイエンティスト風味の楽しい生物学者(趣味
は人間のクローン化)が関わっているとかいないとかいう話しもあるが、詳しいこと
は不明である。
ちなみに、この人は、某三浦家の長女や旦那と同じ人種(?)らしく、外見年齢が
やたら若いそうである。
その理由であるが、とある筋の噂によると、こうである。
彼が高校三年生だったある日、カスギは闇鍋をやったそうである。
カスギには、高田と言う名前の従弟がいるそうであるが、こいつが、何を考えたの
か、突然『ちょっと』変わったパーディーをやろうと言い出した。(カスギに脅さ
れ、泣く泣く決行したと言う噂もある)で、この高田とそのガールフレンド、とある
大学の助手、及び高田の友人達を交えて『闇鍋』を決行したのである。会場は、高田
のガールフレンド宅。そこならば、少々問題が起こっても、『ま、いっかぁ』で済ま
せられてしまうので、その家が選ばれた。
で、そこでやっぱり問題が起こった。
その高田のガールフレンド・・・仮に名字を三浦としておこう。彼女がその闇鍋の
味付けをしたそうである。某三浦と言う当時中学生一年生の女子は、その『怪しい』
集まりの中では、たった三名の女子のうちの一人。その内のとある大学の助手(実は
しょ・・・ゴホン、ゴホン。三浦の父親のもとで研究に励んでいる怪しい研究者)
は、見るからに危ない、高田の持ち込んできた出どころの知れない肉を始末するのに
忙しく、さらに、もう一人の女子は小学生だったために、調理から外されていた。
で、その三浦と言う女子に、味付けのお鉢が回ってきたのだった。
それが全ての悲劇の始まりだったとか、何とか・・・。
ともあれ、ただ一人、怪しいけど美人な研究者だけを抜かした全員が、その闇鍋を
味付けしたのが三浦と知らないままに、『恐怖の闇鍋』を開始したのである。カスギ
も高田も、その他大勢も、まったくそのことを知らなかった。知っていたら、絶対に
闇鍋を食べようとはしなかっただろう。いや、それどころか、産業廃棄物として始末
したかもしれない。いや、バイオハザードかも・・・。
・・・ゴホン。
味は、まぁ、おいしかったそうである。祥子さん・・・じゃなかった、三浦という
女子が味付けした割りには。
が、異変は数日後に起こった。
まず、カスギの頭が真っ赤かになってしまった。リク達の祖父にあたるオヤジは、
それを見て『ただでさえ可笑しかった・・・じゃなかった、おかしかった息子が、と
うとうグレてしまったぁぁぁ』と血の涙を流したそうである。ちなみに、親父さんの
頭、その日で一変にハゲちゃったそうである。合唱。
リク達の祖母にあたる方は、『あらあら、バンドでも始めたの?』といたってのん
びりしていたそうであるが。(リクが女装を始めても、『がんばってね♪』と応援し
てくれた、イケイケ婆さんである)ま、頭が赤くなってしまっても、カスギにはけっ
こう似合っていたそうであるが。
ちなみに、カスギの従弟である徹雄さん・・・じゃなかった、高田は、一週間ほど
幼児化してしまったそうである。子供になってしまった当初、徹雄は『・・・祥子っ
て、けっこうショタだから、いいかも』などとほざいていたとか、いないとか。とも
あれ、祥子さん・・・じゃなくって、三浦・・・あぁ、もういいや。祥子さんは、幼
児化した徹雄さんで、思いっきり楽しんだそうである。(やっぱりショタだ)
ちなみに、徹雄・・・じゃない、高田・・・あぁ、もう、こっちもどうでもいい
や。ともかく、徹雄さんは、祥子さんのオヤジが後日作った怪しい薬を飲んで、元に
戻れたそうである。ちなみに、その後遺症で、二重人格になっちゃったそうである。
合唱。
他の参加者にも、それぞれ異変は起こった。徹雄の親友である当時中学三年生の男
子は、月を見ると『クマ』になっちゃうようになったとか。祥子の近所に住んでい
て、運悪くこの闇鍋に参加してしまった小学生男子と彼の幼馴染みである小学生女子
は、それぞれ、エスパーになっちゃったとか。ともあれ、『人間離れ』しちゃったそ
うである。
怪しい研究者兼、三浦博士の助手なんかは、宇宙人とのコンタクトが可能になった
とか、ならないとか。ともあれ、モンスターとの会話が可能になったそうである。
ちなみに、この時のメンバーが、後に徹雄さんをトップとする、怪しい組織の幹部
になったと言うのは、極秘情報である。(余談であるが、信太郎はこの十年後に、当
時の残り物を冷凍して保存しておいたものを、食べちゃったそうである。そのせいな
のか、信太郎は・・・いや、言うまい)
他にも後遺症はあった。
それが、この外見年齢メチャクチャである。祥子さんなんかは、現在32才である
が、外見年齢は24才かそれ以下である。徹雄さんも、けっこう怪しい。カスギも、
ものすごく怪しい。元から怪しい研究者なんかは、学会最大の謎として扱われてい
る。(もしかしたら、彼女の言動が一番怪しいのかもしれないが・・・)
ともあれ、そんな具合である。
・・・何を話していたんだっけ?
あぁ、そうそう、佐伯家のオヤジのことだった。
こいつの正体は前記した通り、徹雄さんの従兄である。ってことは、リク達は徹雄
さんの親戚になるわけで・・・あり?
・・・これ以上追及すると、異次元をつっきって、菜箸が飛んできそうなので止め
ておく。
(ここだけの話しだが、リクはオヤジさんが、超のつくほど苦手である。オヤジさん
と格闘するくらいなら、レイカの料理を食べた方がマシだと、言ったとか言わないと
か・・・)
ちなみに、このオヤジ様の年齢であるが、現在36才である。祥子さんより4つ
上、徹雄さんとは3つ違いである。
やたら若いとお思いだろう。別に彼は年齢をごまかしている訳ではない。たとえ、
外見年齢がおかしくて、実際の年齢とすぐわなくとも、彼は36才である。(103
6才ではないのかと言う話しもある。出どころはリク)
現在リクが18才であることを考えると、彼が子持ちになったのは18才の時・
・・今のリクの年齢である。
さて、一体何があったのか!?
それを語るためには、先に出てきた『怪しいけど結構美人な言動の危ない研究者』
の話しをしておかなければなるまい。
長い話しになるが、この女性が、リク達の母親である。つまり、カスギの奥さん。
以上。
・・・長くないな。長くしよう。
当時28才だったこの女性は、闇鍋を食べたショックだったのか、それとも、元か
ら年下好きのお姉さんだったのか、カスギに惚れたそうである。
だが、惚れる方も惚れる方ならば、そんな奴の速攻の求婚に乗る方も乗る方であ
る。
頭が赤くなってしまい、オヤジに見捨てられたカスギは、その一週間後に、チャリ
ンコで20キロ爆走し、汗まみれになり、さらには、化粧も落ちちゃったボケた女性
のプロポーズを、いともあっさりと受けてしまった。
チャリンコの爆走と言えば、その途中での彼女の信号無視は35回。バイクと間違
えられたあげく、白バイに追っかけ回され、それを捲いたと思ったら、今度は標本作
りにきていた宇宙船に追っかけられたと言う。たった3キロの道程が、そのせいで2
0キロになったそうであるが・・・あれ、200キロだったっけ?ま、いいや。
しかし、どうしてこの男は、こんなお姉さんのプロポーズを受けてしまったのだろ
うか?
後に、息子の前でノロけた妻が『どうしてぇ、プロポーズをぉ、受けてぇ、くれた
のぉ?』と聞いたところ、
『・・・裏庭に”いつまで”が飛んでいたのだ。ふふふ』
と答えたそうである。やっぱり、どこか頭がおかしい。(リクに言わせると、このオ
ヤジ様の脳味噌には緑色の粉が詰まっているそうである。以前、母親が父親の耳掃除
をしている所を目撃しての発言である)
話しを戻そう。怖くなってきた。
カスギが18才になると同時に、二人は結婚する。で、それからちょっとして、長
男が生まれたそうである。ちなみに、カスギはまだ高校生。18才になれば、親の同
意さえあれば、結婚できるんだが・・・。例え、カスギが背中に化け物をしょって、
親を脅したかどうかは、別としても・・・。(彼の背中にいたのは、リクではない
ぞ、断じて違うぞ。一応念のため)
ともあれ、二人は結婚した。リクちゃんも生まれた。(ち・な・み・に、リクちゃ
んは親父似である)
その二年後にはケイも生まれた。(リク談:ケイの性格って、親父似だけど、カル
ピスで割ったような感じ)
さらに、二年後にマコトも生まれた。(リク談:マコトの性格って、母親似だけ
ど、うちの母親はその性格をさらに、砂糖を入れて煮つめた感じ)
こんな感じ(どんな感じ?)で、夫婦仲はいたって良かったようである。
ちなみに、この六年間、カスギは徹雄さんのように主夫をやっていたそうである。
研究にいそしむ妻のため、内職という名前の化け物製造をやり、料理と言う名目で道
端で休んでいた犬をさばいちゃったとか・・・。後年、この化け物製造が当たり、彼
は怪しい密売組織の親玉になっちゃったりもしたが・・・・。さらに、とある怪しい
組織のスポンサーにもなっちゃっているが・・・。
うん、別の話しだな。
リクが現在ここまで最強なのも、遺伝もあるだろうが、幼児のころから、このよう
な親父が作り出した化け物を相手にしなければならなかったからだろう。さもなけれ
ば、どこの誰が、巨大化したゴキちゃんを相手に『きたない』だけで済むだろうか?
誰も、巨大ゴキを殴って済ませようなんて思わないぞ!?(『レイカのお料理教室』
参照)
現在、佐伯家のオヤジは、南アフリカに研究のため渡航している妻を思うあまり、
暴走しているそうである。触らぬ神にたたりなしというわけで、リク達を始め、佐伯
家の子供達はこのオヤジを無視している。(かまうと、余計に暴れ、家は壊れるは、
怪しい動物が徘徊し始めるは、はては、オヤジの投げた皿のせいで、宇宙船やらが墜
落するわで大変なのである)
しかし、リク達も知らないだろう。現在暴れている父親は、とある教授のクローニ
ングの結果だという事を。ダミーだ。
本物は現在、妻を追って南アメリカに行っているらしい。疑うのならば、出入国管
理局に行ってくるがいい。
・・・・訂正。行っても記録は残ってないだろう。奴は泳いで渡っていった。
そんなこんなで、佐伯家のオヤジのことをしめくくる。
2 三浦家のオヤジ
三浦祥佐衛門(『しょうざえもん』と読むらしい。長ったらしいので、ただの『三
浦家のオヤジ』と呼ぶことにする)
祥子さんの父上。信太郎とレイカの父上。トオル君のお祖父さん。(ちなみに、ト
オル君が生まれた時、このオヤジは『この子の名前は、三浦庄佐衛門Jr.だぁ!!
!』と叫んでいたそうである。祥子さんに軽く一蹴されたが)
職業はとある有名大学の生物学部の教授。その頭脳のひらめきはすさまじく、過去
いくつもの発明をし、さらには、難解不明な論文をいくつも書いている。(論理的に
はあっているのだが、どうもこうも、論文事態が難解なので、難解不明なのである。
決して、字がヘタ過ぎて読めないわけではない)そうやって、真面目な教授のフリを
しながら、影では大学側から大量に金を吸い取り、自分の趣味に生きている方であ
る。
ちなみに趣味は『人間のクローン化』である。(アメリカでも禁止されたっちゅー
のに)
大学の講義はいたって判りやすく、また、親切である。学生のウケもけっこうい
い。娘とは大違い・・・
『ゴガスゥ!!』
はうぅ、なななな、な、なに!?
突然異次元をつっって飛んできたこの『カスタードクリーム仕様のパイ』は!?
しかも、完熟トマトまで!?
・・・(猫、考えている)
すいませぇん、猫が悪ぅございましたぁ。
もう言いません(__)
とりあえず謝る猫。
どこかで、とある二人が薄笑いを浮かべているような気もするが、気のせいだろ
う。
・・・さて、
学生達にインタビューしたところ、『いい人なんですよ・・・あの趣味さえなけれ
ば』と、毎回同じ答えが返ってきた。
その趣味の弊害を少し上げてみよう。
とあるアニメに触発されたのか、ある日教授は、『妻に、ちょっと化け物を混ぜて
クローニングしてみよう!!』と思いついたらしい。で、早速とある知り合いに(仮
に佐伯としておこう)に電話、化け物を一匹購入する。で、培養してみた。
結果は・・・大学の地下500メートルにある、彼専用の研究室にあった巨大水槽
が、ウーパールーパーで埋ってしまったと言うものである。しかも、そのウーパール
ーパー、いずれも、人面ウーパールーパーだったそうである。しかもこのウーパール
ーパー、某野球アニメの名物オヤジそのもののお顔なのである。渋顔といい、眉毛と
いい・・・しかも、茶ぶ台を見つけるとひっくり返したくなる所といい・・・。
幸いなのは、その人面が、彼の妻に似ていなかったことだろう。(似ていたら怖い
ぞ)もしそうだったのならば、今ごろ、レイカや信太郎達はウーパールーパーのこと
を『お母さん』と呼ばなければならなかっただろうから・・・。いや、レイカなら喜
んだかもしれないけれど、信太郎や徹雄さんはノイローゼになったことだろう。(忍
ならば、まず、一発で潰しているだろうが)
え、祥子さん?
・・・たぶん、天ぷらにしてしまうだろう。その結果、原子の中にある電子やら陽
子やらの数が代わって、その結果、トリケラトプスくらいはでき上がるかもしれな
い。何せ、祥子さんだから。
ちなみに、この実験で生まれたウーパールーパーは、知り合いのSに売り戻された
そうである。このウーパールーパーが後にインスマスになったとか、ならないとか言
う話しもあるが・・・詳しいことは不明である。
で、趣味の弊害その二
前回の失敗で懲りたオヤジは、次ぎに、妻のロボット化に挑んでみた・・・ってお
い、それってクローニングでもなければ、生物学の範疇でもないぞ!?
「私さえよければ、それでいいのだ!」
地下の専用研究室に篭り、なにやら突然叫び出すオヤジ。彼の助手の一人である、
若い男子研究者が何やら怯えている。
で、その研究者に説教し始めるオヤジ。
「君、なっとらんぞ。一条君・・・いや、今は佐伯君だったか。彼女なら、『あら
ぁ、教授ったらぁ、またぁ、叫んでぇ、いらっしゃいますねぇ〜』と、ポヤ〜ンと答
えてくれるはずだ!!」
「は・・・はぁ」
南アメリカに、新種の生物を探しに行っている同僚のことを思いながら、頷く研究
者。油汗、ダラダラである。
彼の同僚である佐伯と言う名前の助手ほど、恐ろしいものもないだろう。先週、戸
棚の隅で以前培養していたウーパールーパーが涼んでいたのを発見し、何と、つまん
で食べちゃったのである。
彼女いわく、『踊り食い〜』
それを目撃した、この若い男子研究者によると、彼女はやたら楽しそうだったそう
である。(マコトがいつもの調子で、ウーパールーパーを食べた様を想像して頂けれ
ば幸いだ)
ま、余談だ。
ともあれ、オヤジ教授、助手の真っ青な顔もしらず、いそいそと妻を作っていた。
ほとばしる汗!
眼鏡に輝くきらめき!
これぞ、青春だ!
「そうだぁ〜!!!」
怪電波を受信し叫ぶ教授!
その右手には、妙にリアルな頭がある。
まるでマッドサイエンティストそのものな教授を見て、頭を抱える助手一号(若い
男子研究者なんて、いちいち書いていられるか!)そろそろ、辞職しようかなぁと考
えている。
そんな手下一号の考えもしらず、さらに吠えるオヤジ。
完全にいっちゃっている。
「ふわははははははは、いけ、瑠璃子!!」
首のない、試作品を前にして、熱血している。
「愚かな人類を、その手で滅ぼすのだ。そして、我らの帝国を築くのだぁ!!!!」
どこから持ち出してきたのか、黒いマントを羽織って、試作品に向かって唾を飛ば
す。
手下一号、これを見て、頭痛を覚える。
電源を入れっぱなしにしてあった試作品、何やら知らないが、オヤジの叫び声に反
応して動き始めた。
で、命令通り、『愚か』な人類をその手で滅ぼそうとする。
いわく、最初の攻撃対象、いかれオヤジ。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
首なしの最愛の妻をモデルにしたロボット(妻が首なしなのではない、ロボットが
首なしなのだ)にのしかかられ、思わず叫び出すオヤジ。
それを見た手下一号は『これはチャンスかも・・・』と、何となく見捨てることを
考えてしまう。が、その後が怖いので、一応助けることにする。(オヤジの娘の実験
台にされるとか、むこの組織に狙われるとか、バイクでひかれるとか、謎の格闘家に
狙われるとか、怖い小学生に陥れられるとか、きりがないらしい)
しかし、甘かった。
オヤジはこれくらいではめげない性格だったのである。
試作ロボットは、あくまで試作段階だったので、いまだスッポンポンである。(別
にオヤジの趣味と言うわけでは・・・あるらしい)頭はないが、体だけなら、妻のも
の。
のしかかられ、首をしめられているが、オヤジ、喜んでいる。
「あぁ、瑠璃子ぉ、愛しているぞぉぉ〜!」
眼鏡にひびも入り、さらに、顔もド紫になっていると言うのに、元気なオヤジであ
る。
手下一号も、もう、助ける気をなくしている。研究室に備え付けてあったテレビを
つけ、ビール片手に野球観戦を始めている。
「あぁ、これがお前の新しい愛情表現なんだね!」
壊れているオヤジ。
やっぱり、慎太郎のオヤジである。
いくら『抹殺』しようとしても、逆に喜ぶオヤジを見て(?)、さすがの試作品も
怖くなったらしい。
彼女の作られたばかりの思考回路は、混乱の極みに達した。そこで、彼女は一つの
決断を迫られる。
オヤジがいつの間にか、助手達にも知られぬままに取り付けた機能、『自爆』。
それを選択したのである。
その数分後。
三浦宅では、我らがレイカちゃんが兄である慎太郎と一緒にテレビを見ていた。
慎太郎は喉が乾いたのか、冷蔵こにビールを取りに立ち上がる。ここで、祥子さん
か徹雄さんが居れば、鉄拳ものであるが、今日は二人ともおでかけである。ちなみ
に、トオル君も一緒である。(祥子さんいわく『新婚旅行の続きよ!』だそうであ
る。毎年、この時期になると、祥子さんはそう吠えている。ちなみに、徹雄さんに反
論する権利はない。新婚当時に新婚旅行に連れていかなかった方が悪いのだ)
レイカは、相手がニュースだと言うのに、真剣そのものの表情で、画面を見つめて
いる。悲報を聞いては泣き、犬が転んだと聞いては泣いている。
で、そこで臨時ニュースが入った。
『ここで臨時ニュースをお伝えいたします。今日の午後7時ごろ、国立T大学にてテ
ロ事件が発生しました。被害の規模はいまだ不明です。現在までの行方不明者は・
・・』
ニュースを聞いて、レイカ、キョトンとしている。
「ねぇ、ねぇ、ねぇ、シン君?」
「んだよ」
つまみを探しながら、ぞんざいに答える慎太郎。
レイカは、兄の背中を見ながら、まだキョトキョトしている。
「T大学って、お父さんのいる所だよねぇ?」
「だろ?」
「『また』爆発したってぇ」
「ふぅん」
慎太郎、別段驚いた様子もなければ、感動した様子もない。
ただひたすらに、つまみを探している。
レイカにしてみても、父親の勤めている大学で爆発が起こったと言うのに、まぁる
で平気な顔である。
何にしても、慣れってのは恐ろしいなぁ。
窓に、重傷のオヤジがはっついていたりもするが・・・家にとりあえず帰ってきた
のか、オヤジ・・・。とりあえず、レイカだけが反応している。
「あややや、お父さんだぁ」
血まみれの父親を見て、ちょっとビックリしているレイカ。慌てて窓に走りよりな
がら、キョトキョトと父親の面を眺めている。
「どうしたのぉ、お父さん??」
あぁ、何と言う心優しい娘だろうか。これぞ、世の父親の夢だ!!
事実、このオヤジ、涙ダラダラで、レイカのちまっこく可愛い手をしっかりと掴ん
でいる。
「あぁ、レイカ、お前だけだよ、私のことを判ってくれるのは。さすがは、瑠璃子に
一番よく似ているね。そうだ、いっそのこと、お前が瑠璃子のかわり・・・」
メキ・・・。
慎太郎のどつきがオヤジの脳天に落ちた。
「なに言ってやがるんだ、このド変態オヤジ!」
「父親に向かって、何を言うかぁ!!」
オヤジ、早くも復活。父親の威厳のために、唾を飛ばして慎太郎に怒鳴っている。
が、こっちも不良息子である。怒鳴られたくらいでは、へとも感じていない。しっ
かり妹を父親の魔の手から引き離してもいる。
レイカ、観戦モード。
オヤジと慎太郎、臨戦モード。
先行は年齢をかんがみて、オヤジである。
「慎太郎、私にさからうと、小遣いがなくなるぞ!」
「俺が小遣い貰ってんのは、姉ちゃんからだよ。アンタからのは、5年前からカット
されとるわ!!」
「ぐ・・・」
言葉につまる父親。
知り合いのSから、ミッキーマ○ス柄の牛を買うために、息子の小遣いまで使い込
んだとは、とてもではないが言えなかった。
「だ・・・だったら、遺産をお前にはいかんようにするぞ!」
「その前に、アンタの財産は全部、姉ちゃん名義になってるってば」
つっこみを入れる慎太郎。
沈黙するオヤジ。
オヤジはしばらく、息子の言葉をはんすうしているようだった。そして、突然叫び
出す。
「祥子ぉぉぉぉ!!!!!」
祥子さんが『お父さん名義だと、全部研究に使い込まれちゃうから、名義変えちゃ
おうっと。慎太郎達の分は、積立とかにしておいて・・・』などと入って、名義を全
部変えてしまったのを知らなかったらしい。
が、すぐに立ち直っている。
「まぁ、いい。瑠璃子似の祥子のやることだ」
「馬鹿オヤジ」
あくまで妻中心な考えの父親に、疲れたつっこみを入れる慎太郎。
レイカはいまだに観戦モード。
で、オヤジ、第三の武器を出す。
「慎太郎、あんまり私に逆らうと、エロ本のありかをバラすぞ!」
「もう姉ちゃんにはバレてる」
「へそくりのありかを祥子に教えるぞ!」
「昨日みつかって、没収された」
「最後のおねしょの日をバラすぞ!」
「アンタは小学6年までだろうが」
「何故しっているぅぅぅぅ!!!!」
慎太郎、カマをかけただけなのに、父親、あっさりとひっかかっている。
「うぅぅぅぅぅ、瑠璃子が死んじゃってから、がんばって育てたのに、こんなにグレ
ちゃってぇ」
オヤジ、イヂケて、家の柱にすがっている。
が、それを見る慎太郎の目は冷たい。
「俺を育てたのは、姉ちゃんと兄ちゃん。アンタは『遺伝子研究の結果、人造マミー
だよぉ!』とか言って、だっこちゃん人形もってきただけだろうが」
「え、ダッチワ・・・」
ゴス!
またつっこみ。
ただし、今回は祥子さんである。
「お父さん、禁句ねぇ〜」
そう言って、立ち去っていく祥子さん。浴衣姿な所を見ると、旅行先の温泉宿から
飛んできたらしい。
・・・って、熱海に行っているはずなのだが?
いそいそと、玄関から出ていく祥子さん。それを、頭を抱えながら見送る慎太郎。
何故か拍手しているレイカ。
祥子さんに沈められた父親は、床にうもれながらも、何か嬉しそうだった。
「あぁ、祥子、我が娘ながら、瑠璃子によく似て、とっても浴衣が似合うんだね。字
余り」
そう言って、沈没。
字余りもクソもない。
ちゃんちゃん。
3 対談〜だよぉ
ネコ『いやぁ、何か久しぶりの気がしますねぇ』
ケイ『・・・出番がねぇ』
ネコ『しょうがないじゃないですかぁ、番外編なんだからぁ』
ケイ『・・・オヤジが特集されとる』
ネコ『・・・ケ、ケイ?(^^;』
ケイ『オヤジがぁぁぁぁ!!!』
突然叫び出すケイ。
走ってどっかにいってしまった!?
ネコ『・・・そこまで怖いかねぇ、スギちゃん』
実はカスギがお気に入りの猫、ケイの気持ちが理解できないらしい。
が、やっぱりこのままでは終わらない。
走っていってしまったと思ったケイ、また戻ってきた。
ネコ『ほへ?どうしたの??』
ケイ『忘れ物』
ネコ『ほへ??』
ケイ『お約束だ!』
そう言って冷たい笑みを浮かべるケイ。
その手には、特製ウーパールーパーの像(鉄製)が!?
ネコ『ちょ、ちょっと待って、そんなので殴られたら死ぬ・・・・!!』
ゴスゥ!!
ネコ『ひぎゃぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!』
ケイ『成仏しろよぉ〜』
そう言って、ウーパールーパーを投げ捨てるケイ。
その手には、一通の手紙があった。
『ケイへ
何が何でもネコを始末しろ。
これ以上書かせたら俺達の命がなくなる。
オヤジが出るのだけは、絶対に阻止しろ!!
ば〜いリク』
しかし、リク達も甘かった。
手紙の内容を怪電波で理解したネコ。
復讐を企んでいたりしていた。
ネコ『・・・(電話している・・・って、死んでなかったのか)・・・あ、もしも
し、T大ですかぁ、三浦教授お願いしまぁす』
教授『私だ』
ネコ『コードネーム666、発動です』
教授『了解した。報酬は・・・判っているな?』
ネコ『もちろんです。木村屋のアンパン(当日仕様)、かならず手に入れて見せま
す』
教授『ふっふっふ・・・』
ネコ『ふふふふふ・・・』
『あーははははははははははははははははははははは!!!』
鳴り響く馬鹿二人の声。
最強最悪のキャラの本編登場も間近い・・・のか?
以下、続かない。
(つづく)
(98/9/30update)