GUESS WHAT!?

6「ケダモノ参上!!(前編)」

作・三月さま

 


 

 

 1 しょっぱなから対談

 

ネコ『えぇ、GUESS WHAT!?の6である『ケダモノ参上!!』でございますぅ(^^;;』

 

     何か知らないが、ネコ、汗ダラダラである。

     しかも、何かに怯えている。

 

ネコ『うぅ、なんで今日に限ってケイ、いないんだよぅ(;;)』

 

     ビクビクと回りを見回しているネコ。

 

ネコ『は、早くこないかなぁ・・・って』

 

     後ろのほうから聞こえてくる足音。

     それに、ネコ、顔面蒼白になる。

 

ネコ『来たよ・・・(−−;;;;』

○○『ふ、ふふふふふふふふ』

ネコ『(−−;;;;;;;;』

○○『ふははははははははーっはっはっはっはっはぁ!!!』

ネコ『(・・・殺す)』

○○『いよいよ、この俺様の出番!!』

ネコ『そうだよ・・・(・・・殺してやる)』

○○『ま、真打は遅れて来るってのが、世間のお約束だかんなぁ。フッ』

 

     呆れ返っているネコ。

     謎のキャラ『○○(さて、何が入るでしょう)』。

     ふんぞり返ってエラソーにしている。

 

ネコ『もう、いいや。事故紹介・・・じゃぁ、なかった。自己紹介してもらいます(・・・あとで絶対に殺す)』

○○『よっしゃぁ。まかしておけって』

ネコ『(任せたくない、任せたくない、任せたくない・・・以下100万行くらい削除)』

○○『まず、俺様の名前からだよな、普通だと。よし、良く聞けよ、俺様こそはぁ・・・!!』

 

     ドバキィ!!!!

 

     突然響いた鈍い音!!

     自己紹介も満足に出来ずに倒れる新キャラ『○○』!!

 

ネコ『やった!!!(ネコ、ガッツポーズ)』

ケイ『・・・なんだこいつ』

 

     ネコではなく、新キャラを理由もなくブン殴ったケイ。

     なんか、やたらと目だっていたので頭に来たようである。

 

ケイ『これ、なに?』

ネコ『(これ呼ばわりかい)・・・えぇと、新キャラ』

ケイ『生意気』

ネコ『・・・うん。でも、一応年上だよ、こいつ』

ケイ『構わん。ブッ殺す!!』

ネコ『なんか、今日は怒ってない??』

ケイ『・・・今日、駅で泉と会った』

ネコ『西宮君の姉君と?』

ケイ『・・・』

 

     なんか無回答のケイ。

     ネコは、やたら恐いのでそのまま放って置くことにした。

 

ネコ『えぇ、では、いきましょう!!』

○○『ぐはぁぁぁぁ!!!』

 

     ケイの八つ当たりの材料にされている新キャラ。

     ネコはいつもの自分の役割が彼に回ったことに感謝していたりする。

 

ネコ『弱いわけではないんだけど、トップクラスじゃないんだよねぇ、彼。人並みには強いんだけど、ケイたちは化け物だしぃ(^^;;』

 

 

 2 慎太郎参上!

 

 我らがアイドル佐伯リク。

 彼の最愛の(って言うか、ラブラブ過ぎる)彼女のお家事情はものすご〜く複雑である。

 まずお母さんがいない。これは病死である。レイカがやけに小さい頃に亡くなられたそうだ。美人薄命と言うやつだったらしい。

 で、お父さん。これが、唯の変人である。本当に変人である。大学で教授かなんかをやっているらしい。(レイカの頭はパパ譲りのようである)が、変な研究に全てを捧げてしまっている。

 このお父さんの専門は生物学。しかも、遺伝子関係。なんか学会では有名人らしいので、大学のほうも、その怪しげな研究に、財政難なのにポンポン金を出してくれたりする。おかげで、他の教授は涙である。ちなみに、研究のほうは極秘とされているようである。

 ちなみに、彼が出した本の一つに『一発で判るクローン人間』なんと言うふざけた名前のものがある。

 ・・・なんの研究だよ、おい。

 お父さんがやたら有名人で、運もよく、金も稼いでくるので家も大きい。(山南の家ほどではないが)が、住んでいる人数が多いので、家族はそんなに広いとは感じていないらしい。贅沢である。

 さて、残る家族構成であるが、一番上に長女、その旦那、息子。長女がレイカ達下の弟妹にとってはお母さん代わりだったので、家に残ったようである。

 その長女の下にレイカとその兄。

 そして、何故かもう一人いる。

 

 ブロロロロォ・・・

 遠ざかっていくバスの音。

 それをボウッと見送っているのは、一人のやたら長い髪の少女。黙っていれば利発で可愛らしい少女になるのだろうが、いかせん、中味は死ぬほどトロイ。

 レイカである。

 すがすがしい朝に、廃ガスをまともに吸い込んで、咳こんで居たりする。

「シン君、こなかった・・・」

 レイカが意図的に乗らなかったバスは段々と遠くなっていく。

 そのバスの行く方向とは逆の方向をレイカはジィっと見つめている。

 と、その視線の先に、ぽつんと小さな点が現われる。それはすぐに二つになり、はっきりとした人型になった。別に化け物が現われた訳ではない。(今日の朝食をレイカが作ったとしてもだ)二人の男の子らしい人物がバタバタと走って来ているだけである。

 レイカの立っているバス停まで、全速力で走って来る二人。

 バタバタバタバタバタ!!(本当にバタバタしている)

「この馬鹿め、お前のせいで俺まで遅れただろうが!!」

「ふざけんな、人のせいにしてんじゃねぇ。行きたけりゃ、勝手に行けばよかっただろうがぁ!」

「貴様を放っておいたら、学校をサボりかねん。そうなったら、祥子さんに申し訳ない!!」

 なんか、罵りあってますが、この二人・・・

 そんな二人をジィっと見守るレイカ。

「シン君も忍(しのぶ)さんも遅〜い!!」

 鞄を両手で持ってレイカは、一人がその場でキュッと立ち止まるのを、もう一人が勢い余ってちょっと通りすぎてしまうのを目で追う。

 レイカの目の前で立ち止まったのは、もう、ものすごい美少年である。リクほどではないが、準じるほどではある。リクが美少女と見間違えられてしまうくらいの美人ならば、こっちは正真正銘の美少年である。かなりカッコイイ。さぞかし持てることだろう。中背だが、あくまでレイカよりは長身である。

 勢い余ってちょっと過ぎてしまったほうも、やっぱり美少年。ただし、こっちはちょっと不良っぽい。っていうか、品がない。

「ふざけんじゃねぇ、誰に品がないって!!」

 ・・・失礼しました。

 ちょっと、道徳的な所がかけているような気がする。なんか、すさんでいるような感じである。が、美少年には代わりない。ともすれば、こっちのほうが女好きするかもしれない。背も、もう一人の方より高く、体格もガッシリしている。

 ちなみに、二人ともレイカと同じ・・・だと、中学生になってしまうか。高校生らしい。が、制服は来ていない。鞄は持っていても完全な私服である。

「シン君、グレてるぅ」

 突然、なにもない空間に向かって吠えた無道徳な少年に、レイカがいつもの調子で言ってくる。

「いつも通りだろうが」

「グレてるよぉ!」

「レイカ・・・」

 突然、レイカをギロリと睨むシンこと慎太郎。鞄をその場に奥と、ゲンコでグリグリとレイカの頭を押さえ付けた。

「うえぇぇん、痛いよぅ!!」

 何とか逃れようとジタバタするレイカ。が、体格差か逃れられない。

 しかし、この状況、リクが見たら慎太郎、殺されてるな・・・

 ともあれ、レイカ、慎太郎にいいようにイヂメられている。しっかし、このレイカをまともにイヂメられる人間がいるとは思わなかった。人間じゃないな、こいつ。

「だまれ!!」

 ・・・はい。

 だが、しかぁし、こんな無謀を神様が許しても、許さない奴はいる。(リクが筆頭だろうな、多分)それは、この場に居たりした。

『スパコ〜ン!!!』

 辺りに響いたとっても良い音。

 驚いた雀がパタパタと飛んで行っている。

「がはぁ・・・」

 どうやら、レイカが忍と呼んでいた少年が、鞄で慎太郎の頭を引っぱたいたらしい。

 慎太郎は頭を押さえてその場にうずくまっている。

「て、てめぇ・・・和倉」

「馬鹿かお前は」

 うずくまった慎太郎を偉そうに見下ろしている忍。ちょっと長めの前髪を、煩わしそうにはらう。

「そうやってしか妹に触れんのか、お前は」

「うがぁ、だまれぇ。それじゃ、俺様がシスコンみたいに聞こえるだろうが!!!」

「・・・冗談に決まってるだろう。それとも、真実か?それならやっぱりお前は馬鹿だな」

 もう、容赦なしに慎太郎を罵り捲っている忍。

 レイカはそんな二人を微笑ましそうに見ている。

「よいねぇ、忍さんたち仲よくてぇ」

「おま・・・どこに目をつけてんだよ、これのどこが仲がいいってんだぁ!!」

 まだ頭を押さえて、恨みがましげにレイカと忍を見上げている慎太郎。

 が、朝でボケボケに磨きのかかっているレイカに、そんなもの気が付けるはずがない。

「シン君、よかったねぇ」

 のんびりと、そう言っていたりする。

「よくねぇ!!!!」

 抗議する慎太郎。

 が、それがレイカに理解されることはなかった。

 

 遅刻しないで学校につくにはこれが最後のバスである。

 普通ならこのバス、やたらと混みそうなものである。

 が、何故かこのバスは空いていた。

 さらに言うならば、女子高生の姿などレイカのみである。

「すいてるねぇ・・・」

 バスの中を、座席に座りながら眺めているレイカ。

 その横にいた慎太郎がフッと笑って見せる。

「そりゃ、ま、何時も俺様が乗る時間じゃねぇからなぁ」

「どういう意味???」

「つまり、俺様目的の女子がいない分、空いているってことだろ」

 そういってケタケタと笑う慎太郎。

 向こうのほうに座っていた男子生徒数人が、その発言にもろに殺気を抱いている。が、慎太郎はそんなこと、かまっちゃいない。

「ふぅん」

 レイカは単純なもので、慎太郎の発言にただ納得しているだけだる。

 が、忍が納得するはずがない。やっぱりイチャモンつけている。

「愚かもの」

 忍は、まだ席が空いているというのに、レイカの前に守るように立っている。その、立っている姿勢から、馬鹿にしたように慎太郎を見下ろしているのである。

 なんか、忍に見下ろされてばっかりいるなぁ、慎太郎。

「んだと?」

 もちろん、慎太郎も忍の言葉を見逃せるほど、出来た人間ではない。と、いうか、こいつは人間なんかできちゃいない。忍も、慎太郎に対しては、やたら冷たい。

「自身過剰だな、お前」

「はん、もてない奴のネタミだろぉ」

「馬鹿女に囲まれて、何が楽しい?」

「・・・お前の趣味よりマシだ」

「祥子さんのことか?」

 忍はそういって、レイカたちの姉である三浦祥子の名前を上げる。(ちなみに、彼女の旦那は婿養子である。この馬鹿長男に家を継がせるよりは、確かに、いいとは思う)

 慎太郎はそれに、白けた表情で、

「あんな、子持ちのクソバカ姉のどこがいいんだか」

 と、言う。

 その瞬間に、聞こえるものにだけは聞こえた、『プチ』と言う音。

 そんな、不気味な音の後に、忍はクスリと笑うと、不意に鞄を降り上げた。

『ガス!!』

 鞄が慎太郎の避けた椅子にめり込んでいるぅ!!(絶対、鞄の中に何か仕込んでいる。絶対!!)

 それを眺めるレイカはただ、『ホエ〜』っとしているが、当事者の慎太郎はそれどころではない。

「てめぇ、殺す気かぁ!!」

 慎太郎の悲痛な叫び声に、バス中が凍り付いている。

 だって、忍の目、座ってるんだもん。

「貴様、祥子さんのことを侮辱する気か?」

 めりこんだ鞄は放っておいて、忍、なんか、拳を握り締めている。

「わ、和倉?」

 さすがに、ここまできて慎太郎も自分の失言に気が付いたのか、冷や汗を流している。

「ちょ、ちょっと待て、今のは俺様が悪かったぁぁぁ!!!!!」

 問答無用で放たれた忍の上段蹴りを、しゃがんでかわして、そのままバスの前まで突っ走る慎太郎。

「おい、運転手、止めてくれぇ!!」

 もう、それ以外に助かる道はないとばかりに、運転手に掛け合っている。

「お客さん、困りますねぇ、わがままはぁ」

 あぁ、慎太郎不幸!!

 この時間のバスの運転手は、慎太郎がいつも帰宅時に、女子とイチャイチャして当てている、36歳独身のバスの運転手と同一人物だった。

 勿論、バスのおっちゃん、止めてやる気など、毛頭ない。ブチブチと訳の判らないグチを発しながら、逆に、バスのスピードを上げている。

「だぁ!!」

 バスの運転手に掛け合っても無駄だと悟った慎太郎。さっきまで殺気(シャレではなぁい)を放っていた男子生徒の一人をひっ掴むと、その少年を自分の前面に盾として差し出した。

『ドバキ!!』

 哀れな少年の顔面に、忍のパンチがまともに決まってしまった。

 ボロボロになった少年はその後、さらに続いた忍の突きのエジキにされている。

「おのれ、卑怯もの、人を盾にするとは!!」

 自分が殴っておきながら、平然とそう言い切る忍。

 慎太郎も対したもので、それにいけしゃぁしゃぁと、

「利用できるものは、利用する。それが人間様だぁ!!」

と、言い切っている。

 さて、少年が使い物にならなくなると、慎太郎は隅で怯えている少年の仲間をさらにひっぱって盾にした。それも尽きると、巧みに忍の攻撃を避けながら、今度はバスの後方へ走って逃げる。(しかし、避けられるくらいなら、始めから人を盾にするなよ)

「おのれ、逃げるか!!」

 忍、振り向き様に、回し蹴り。が、慎太郎がすばしっこすぎて、ギリギリで避けられている。これがさっき盾に使われたような少年だったら、まともに頭部に蹴りが入ったことだろう。

 頭のすぐ後ろを走っていった風にゾーッとなりながら、もとの席にかけもどる慎太郎。

 あぁ、そしてなんて言うことだろうか!!

 今度は、レイカとひっ掴むと、彼女を前面に出しやがった。

 悪魔め・・・

「ほへぇ?」

 しかもレイカ、状況が判って居ない。

 ポケーっと迫ってくる忍を見守っている。

 しかし、この忍、プッツリ切れている。もう、レイカなんて、目に入って居るのかどうか。

「死ねぇ!!」

 あぁぁぁ、もう、本当にレイカが目に入っていないぃぃぃ!!!

 もろに思いっきり、拳に力を入れているぅ。

 こんなので殴られたら、レイカ、絶対に死ぬぅ!!!

『グォス!!!』

 再びバス内に響く嫌な音。

 が、この時点でこのバス、すでに止まっていたりする。乗客の入れ替えも、2人(性格には+1人)だけ、速攻で乗って来たのがいる。

「ほへぇ・・・」

 目の前に差し出された見慣れた頭を、ポケーッと見つめているレイカ。

 その横では、乗らなくてもいいのに、直感で山南を抱えバスに乗り込んできたリクが立っていた。

「レイカ、大丈夫か?」

 忍の殺人パンチを食らって死にかけている山南をその場に捨てて、ボーッとしているレイカを心配そうに見つめるリク。

 その横では、リクより一歩遅れてバスに乗った加奈子が、白けた目で忍を見つめていた。

「まぁた、プッツリ切れたのねぇ、和倉ぁ(^^;」

「・・・柏木か?」

 今さら我に返ったのか、忍が意外そうに加奈子を見返す。

「どうしてお前がこのバスに?方向が違うだろう・・・」

「レイカをバス停で待ってるでしょ、いつも。学校まで、無事に連れてくために」

「それは判って居る。だが、どうして、バスに乗り込んだ?」

「この人が突然バスの中に駆けこんだからよ」

 加奈子はそう言って、まだレイカの心配をしているリクをビシィッと指差す。

 忍は加奈子の指差す先を手繰り、不快そうにリクを見据える。

「なんだ、これは。男か、女か?」

 気持ち悪そうにリクを見ている忍。珍しい反応である。(普通の人間なら、まずはリクが美しすぎて、見とれるものなのだ)

 加奈子など、この反応に『人のこと言えたギリじゃないでしょうに・・・』と、ブツブツ文句を言っている。

 そんな連中の足元では山南、忘れさられて、ピクピク痙攣している。リクのパンチでも平気な山南だから、よっぽど、打ちどころが悪かったのだろう。

 リクも、忍の激しい視線に気が付き、何時にない厳しい視線で見返してやる。腕の中には、しっかりレイカを抱えているが。

 バチバチと、なんか、レイカを挟んで激しい火花が散っている。

 それに、何故か頭を抱える加奈子。

「うぅ、やめてよぉ。こんな展開、ベタベタすぎるわぁ(;;)」

 もう、本当に泣き出したいような加奈子。

 が、そんな火花散る(?)雰囲気を、

「加奈子ぉ(はーと)」

と言う、やけに嬉しそうな声がぶち壊してくれた。

 慎太郎である。

 何を思ったのか、やつ、いきなり加奈子の腰に抱きついてきたのである。

「いやぁぁぁぁ!!!!み、み、み、み、三浦ぁ!!!!!!!!!!!」

 途端に上がる加奈子の絶叫。これもまた、酷く珍しい。

「会いたかったぞぉ、加奈子ぉ(はーと)!」

「いや、放しなさい!」

 思わず命令口調になっている加奈子。

 が、慎太郎は放そうとはしない。しっかり食らい付いている。

「放してよ!!」

 堪らず、慎太郎の頭部に加奈子の肘が何回も、『ゴス!ゴス!ゴス!』と嫌な音を立てて入るが、慎太郎、全然効いていない。

「えぇい、お放し!!」

 今度は、近ごろ鉄板を仕込み始めた鞄で殴り立てる加奈子。もう、容赦なく殴っている。

 が、慎太郎まだめげずに、ますます強く加奈子を抱きしめている。

「ふっ・・・加奈子らしい、愛情表現だよな」

「いや、放せ、ケダモノ!!!」

 忍と睨みあうことを止めたリクが、呆然と見守る中、血まみれになってしまった慎太郎が、加奈子の手を取る。

「なに、縛ってほしいのか?」

「ひぃ(^^;;」

 縛るのは好きだが、縛られるのは心底嫌な加奈子、おぞけだっている。

 ちょぴぃっとだけ、血まみれになった慎太郎にウットリしないこともないが、それ以上に、慎太郎に対する嫌悪の方が強い。無理やりに彼をひっ剥がしながら、今だリクに敵意を向け続けている忍に向かって怒鳴り付けた。

「こらぁ、和倉、睨んでないで、こいつを剥がすの手伝ってよ!!」

「・・・ん?」

 ・・・今までこの状況に気が付いていなかったのか、忍。

「何をやっているんだ、柏木?」

「見れば判るでしょう!!!」

「判らん」

 ボソッとそう言う忍。

 場が凍り付く。

「・・・ち、中学の時のように、迫られてんのよ!!」

「なるほど、中学の同級生でこの馬鹿(ヒドイ・・・)が落とせていないのは、お前くらいだからな」

「判ってるなら、こいつをどつけぇ!!」

 レイカは死ぬほど好きだが、その分、慎太郎が死ぬほど大嫌いな加奈子。

 もう、こう見ると普通の女の子(?)である。いつもの女王様も、慎太郎の前だと、発揮しきれないらしい。

「なんだこれ・・・」

 状況についていけないリク。

 そのリクに抱えられた、やっぱり状況について行けないレイカがコロコロと笑っている。

「あのねぇ、あれがシン君でぇ、レイカの双子のお兄ちゃんなのぉ。で、あっちが忍さん。レイカのイトコなのぉ。シン君も、忍さんも、レイカ達と同じ中学だったんだよぅ」

 真上にあるリクの顔を見上げて、キャラキャラと笑っている。どうやら、中学のときのお馴染みの光景が展開され、やたら嬉しいらしい。

「あれが、ねぇ・・・」

 以前、加奈子がレイカの兄を『ケダモノ』だと評したのを、しっかり覚えていたリク。

「な、今週末、ホテル行こう(はーと)」

などと、馬鹿なことを加奈子に言い募っている慎太郎を見ながら、なんとなく、納得してしまうのであった。

『加奈子に”縛ってやろうか?”などと言うのは、そうそう居ないだろう』

と思いながら。

 ちなみに、山南だが、動き出したバスの床に寝そべったまま、遅刻の言い訳をどうしようかと、色々と考えていたりした。

 

 

 3 対談2

 

ネコ『やっぱり、やったよ、このおバカ、慎太郎め(−−;;;』

 

     呆れ返っているネコ。

     その横では、今回の被害者(爆)加奈子様がいる。

 

加奈『やめてよ・・・』

ネコ『なんか、脱力してますね(^^;』

加奈『アイツの隣の高校に通うのがいやで、宇瀬学園に入ったのに・・・』

ネコ『またまたぁ。裏の情報では、レイカが三院女子を落ちたから(答案用紙に、名前を書き忘れたらしい)、あそこを止めたって聞いてますよぅ?』

加奈『何言ってるのよ、あたりまえでしょう。レイカ一人で共学になんて、行かせられますか!』

ネコ『(完璧に保護者だ(^^;;』

 

ネコ『お次は、見事にレイカの盾になってくれた山南君です。ご苦労様(^^)』

山南『俺って、結局こんな役どころなんだな(−−;;』

ネコ『まぁ、この役がある限りは、どっかの主人公のように、名目だけのようにはなりませんよ』

山南『・・・でも、やっぱり、もうちょっとおいしい役もやってみたい(;;)』

ネコ『ま、ね、どつかれるだけではねぇ。でも、君はそのために生まれてきたのだ。他に役はない!(キッパリ)』

山南『(静かに泣いて居る)』

ネコ『ま、泣くな。作者に嫌われている訳じゃないんだから』

山南『・・・でも、”あんな”のに好かれるよりは、佐伯に好かれたほうが・・・』

ネコ『・・・死刑決定(ボソリ)』

 

ネコ『お次は、さらにボケとなったレイカちゃんです(^^)』

レイ『ども、ども』

ネコ『なんか、三角関係になってますね、意図してはいなかったんだが(オイオイ)』

レイ『三角?』

 

     やおら三角巾を取り出すレイカ。

     ボケのつもりだったらしい。

     が、前回の事を思い出して、また泣きだす。

 

レイ『シクシクシクシク(;;)』

ネコ『あぁぁぁ、レイカちゃん!!!』

 

     リクが恐いので、当然焦るネコ!!

     なんか、控室のほうから、ものすごい殺気と、加奈子の止める声が聞こえてくる!

 

ネコ『レイカちゃん、泣かないでぇ(あぁ、これがマコトなら、料理で釣れるのにぃ)(^^;;』

レイ『だって、だってぇ』

ネコ『ほらほら、今回はお兄ちゃんに、忍さんまで出てきたじゃない??』

レイ『ん?』

ネコ『レイカちゃんに近い二人が出てきたんだから、喜ばなくっちゃぁ!』

レイ『・・・そうだねぇ(^^)』

ネコ『・・・・・・なんて単純な(ボーゼン)』

 

ネコ『お次はお待ちかねのリクちゃんでぇす!!』

リク『ふぅ』

ネコ『あり、どしたの??』

リク『いや、お約束のライバル(?)出現だから・・・』

ネコ『そうだねぇ。(事情を知っているから、ネコ、内心フクザツ)でも、結局ラブラブだったじゃないですか。どさくさに紛れて、しっかり抱えてたし。やりますねぇ(^^)』

リク『うん・・・』

 

     なんか考えているリク。

     恐いので、ネコはそれが何なのか聞けない。

     (作者が何も考えていない訳ではない。断じて)

 

ネコ『でも、ま、今回も嫉妬なところを披露しましたねぇ(^^;』

リク『そうかな?』

ネコ『うん、そう思う(^^;;』

リク『・・・あんまり、嬉しくない』

ネコ『う〜ん』 

 

GUESS〜6_1