GUESS WHAT!?〜番外編〜

3「恐怖の徹雄さん」

作・三月さま

 


 1 やっぱり喋り倒し

 

ネコ『はいはぁい。今回のお題はなんと「恐怖の徹雄さん」でぇす(^^)』

祥子『・・・何よ、この題・・・』

ネコ『そのまんまですが?』

祥子『徹雄のどこが「恐怖」なのよ!!』

ネコ『え〜』

 

     まったく不満顔のネコ。

     祥子さんの方も怒っている。

 

ネコ『だって、ほらぁこれ見て下さいよぉ』

 

     ネコ、あらかじめ用意しておいたらしい品を祥子さんに渡す。

     どうやら、ビデオテープのようである。

 

     ガチャン

     ピ

     ・・・パッ

 

祥子『・・・(じーっとテレビを見ている)』

ネコ『・・・(じーっとテレビを見ている)』

 

     一時間後。

 

祥子『・・・はぁ。とうとうバレちゃうのね』

ネコ『バレちゃうって・・・確信犯だったのか、祥子さんも(^^;』

 

 2 恐怖の徹雄さん

 

 三浦徹雄。旧姓・高田。

 表面的には、人当たりの良いカッコイイお兄さん。(この人も祥子さんほどではな

いが、外見年齢超越しているので)

 頭もよければ、外見も良い。性格も二重丸。あの『超』の付くほど注文の多い祥子

さんを、射止めただけはある人である。

 しかし、その『本性』を知るものはあんまりいない・・・

 

「ふわぁ・・・」

 お暇な日曜日。

 三浦家の名ばかりの長男である慎太郎は、大欠伸をしながら一階に降りてきた。ち

なみに、現在の時刻は12時きっかり。寝起きだが、パジャマのままではない。この

時間にパジャマのままで下に降りると、祥子さんにバックドロップを食らうので、し

っかり着替えてきている。

 ・・・しかし、慎太郎、中味はともかく、外見だけならばカッコイイ。

「はよ・・・」

 半分寝ぼけまなこの慎太郎。

 彼を向かえたのは、三浦家に居候中の忍である。

 忍は、テーブルの前で新聞を広げて読んでいた。近ごろ、ちょっと親父が入ってき

た。

「お前なぁ、女子高校生が昼間に親父よろしく新聞読んでんじゃねぇよ」

「新聞も読まないせいで、世情に疎くなっているお前よりはマシだ」

「け!」

 相変わらずクールな忍。彼女に悪態を付いて、顔を洗いに洗面所に向かう慎太郎。

 彼が異変に気が付いたのは、台所を横切ろうとしたときである。

「・・・・?」

 台所の光景が纔におかしいことに首を傾げる慎太郎。

 次ぎの瞬間には、絶叫して逃げ出していた。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 ドタドタドタドタドタドタ!!!

 ばたん!

「・・・行ったか?」

 忍は、纔に新聞を下げて、乱暴に閉められたばかりの扉を見た。

 続いて、忍の耳にバイクの音。慎太郎がバイト(かなり怪しいものも含む)で買っ

たバイクだろう。つまり、慎太郎は家を出るに止まらず、バイクで逃走してしまった

のだ。

 忍は、慎太郎が完全に逃走したのを見届けてから、また新聞を見始めた。

 しかし、慎太郎を絶叫させ、なおかつ家から逃亡させるものは何だったのだろう

か?

 場所が台所だけに、『祥子さんが料理をしている』と上げたいところである。が、

それならば、忍がもっと以前に止めている。(たとえ、忍がこの世でたった二人の祥

子の料理を食べられる人間だとしてもである)

 では、台所で慎太郎が見たものは何だったのか。

 徹雄さんである。

 

 この日をさかのぼる三日前(その日も、次ぎの日も、そのまた次ぎの日も、慎太郎

は他の家に泊まっていたらしいが・・・)の電話である。

「もしもし、三浦ですが?」

『あ、徹雄?』

「祥子か、どうした?」

『あのねぇ、出張先でなんだけど、研究所ふっとばしちゃったのよぉ』

「・・・またか(__;」

『でねぇ、幸いにして第二研究所だから良かったもののぉ、そこの所長さんが怒っち

ゃって』

「・・・ほぅ」

『でね、研究所の復興費用がいるから、適当になんか開発してってくれだってぇ(^

^;』

「・・・お前もお手軽だな」

『ふっ、まぁね。私に不可能はない(^^)』

「・・・それで、いつ帰られる?」

『・・・多分ねぇ、一週間後』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・判った」

『じゃねー。愛してるわよ、徹雄』

「あぁ・・・」

 ガチャン。

 

 そういう理由で、祥子さんがいないせいで、不機嫌極まりない男がここにいた。

「・・・」

 息子であるトオルなどは、祥子さんの電話のあった日にすでに、表向きは絶縁して

いるはずの父方の祖父の家に非難してしまった。

 我らがレイカも、三日前から加奈子の家にお世話になっている。(危険を察知した

忍ぶが非難させた)

 平然と家にいるのは忍一人である。(完全に徹雄の存在を無視してるが・・・)

 で、当の徹雄は、台所でいじけていた。いや、唯いじけているだけならばいい。そ

れが、メチャクチャ恐いのである。

 ガンでもつけられれば、慎太郎でなくても泣いて逃げ出す。実際、今の雰囲気だけ

でも、慎太郎は怖がって逃げ出してしまった。

 祥子さんさえいれば、人当たりのよいお兄さんなのだが、一変、祥子さんが長期で

不在となると、この有様なのである。だいぶ問題があるようにも思えるが・・・

「・・・外に行ってくる」

 台所でいじけるのに飽きたのか、忍にそう言い捨てて、徹雄さん外に出る身支度を

始めた。

 が、忍がそれに否やを言い出す。

「駄目だ。お前は、外には出るな」

「勝手だろう」

「祥子さんに、壊れ状態のお前を外に出すなと言い渡されている」

 ・・・ようするに、祥子さんの命令があるからこそ、家に居続けた忍である。でも

なければ、祥子の出張(という名目の遊び)先の研究所に、『所長を抹殺』しにいっ

ているに決まっている。(余談だが、祥子さんにセクハラを働こうとした学長は、忍

に絞められ、徹雄さんの闇討ちにあい、さらに慎太郎にバイクで踏まれたらしい。さ

らには、トオル君の陰謀で学長の座から引きずり降ろされたとか、なんとか)

 が、徹雄さんも今日は不機嫌窮まりない状態である。聞く耳もたない。

「俺がどうしようが、俺の勝手だ」

「駄目だ」

 忍も、どっかのジジィ並に頑固なので譲らない。

「この、夕方の牛肉のセールスタイム近くに今の状態のお前を行かせれば、善良なオ

バサン達が、皆、なぎ倒されてしまう!」

「ふ・・・今日の夕食をすき焼きにするためには、オバサンの一人や二人、問題じゃ

ない」

 三浦家、大食らいばっかりいるので、肉が普通の10倍いるらしい。(ちなみに、

大食らいでないのは、レイカとトオルだけである)

「そう言っていられる内は、通すわけにはいかないな」

 忍そう言って、新聞を丸めている。

 それを見咎める徹雄さん。

「ちょっとまて、忍。今日の新聞は丸めるんじゃない!!」

 そう言って、一週間前の新聞を代わりに渡してやっている。

 いがみ合い、一時休戦。

 忍が新聞を丸め直すまで、徹雄さん今日の新聞を伸ばしながら待っていた。

 で、新聞丸め終了。いがみ合い、再開。

「何はともあれ、駄目なものは、駄目だ!」

「ふ・・・こうなれば、実力行使あるのみ!」

 そう言って、徹雄さん、昨日の夜、いじけながら焼いていたパイを投げつけた!

(注意:食べ物は大切にしましょう)

 それを、丸めたばかりの新聞で打ち返す忍!

『カキーン!!1』

 ありえるはずのない金属音を立てて、パイ一号は、空の星になってしまった。

 しかし、徹雄が一晩でパイを一つしか焼けないなど、ありえるはずもなかった。

 どこに保存してあったのか、彼の背後には、100個、200個のパイが控えてい

る。

「ふわはははははははははは、こんな事もあろうかと、パイはクリームを大量に乗せ

た、カスタード使用だ!」

「ち・・・こうなる事を見越していたか。だが、俺の方だとて!」

 そう言って、どこから取り出したのか判らないリモコンのスイッチを押す忍。

『ガチャン、ウィーン』

 そんな音を立てて、床を割って現われたのは、何故か大量の完熟トマト。

「ふふふ・・・俺も、こんな事はあろうかと、去年の夏にトマトを栽培しておいたん

だ!」

「ぐ・・・祥子が『手作りの無農薬野菜、食べたいわね〜』と言ったから、庭いじり

にいそしんでいたと思ってたんだが!!!」

「ふ・・・甘いな、徹雄」

 そう言って、睨みあう二人。

 そこに、謎の小人出現!

 例のごとく、踊ってまとわりつこうとするが、無視されてしまう。よよよと泣き出

す小人。それでも、構ってもらえない。ぶーたれても見るが、やっぱり無視される。

 二人がまったく、小人の存在を気にしないのを見て、最終的には、レフェリーをか

って出た。

「はい、見合って見合って!!」

 小人のかけ声と伴に、パイとトマトを構える二人。

「ゴー!!」

 ここに、熾烈なパイ&トマト合戦が始まったのであった。

 重ねて言うが、食べ物は大切にしましょう。

 

「まぁったく、何をやっていたのやら(^^;」

 その日の深夜、一週間と見立てていた実験を、バイクで乗り込んできた慎太郎に拝

み倒されて、3時間で終わらせてきた祥子が帰ってきた。(ちなみに、慎太郎である

が、祥子さんにバイクをぶん取られて、大量の実験結果・・・もとい、お土産共々、

電車でご帰宅である)

 彼女が見たのは、部屋を黙々と片付けている忍。

 あいかわらず、いじけまくっていた徹雄。

 二人ともベチャベチャのグチョグチョである。(部屋の中もパイだらけのトマトだ

らけと化していた)

「まぁたやったのねぇ。しょうがないったらありゃしない(−−;」

 二人の様にこめかみを押さえる祥子さん。

 ふと、今までいじけていた徹雄さんが、顔を上げて、祥子さんを見た。

 その表情と言ったら劇的である。今まで、これでもかと言うくらいに恐ろしかった

と言うのに、祥子さんの姿を見るなり、いつもの徹雄さんに戻ったからである。

 ・・・って、二重人格かい、アンタは(ーー;

「祥子!」

 慌てて立ち上がって、祥子さんに抱きつこうとする徹雄さん。

 が、蹴倒されている。

『ゲシィ!!!』

 祥子さんにまともに顔を蹴られ(すこしめり込んでいたと言う話もある)、吹っ飛

ぶ徹雄さん。

(ちなみに、徹雄さんは、中学の頃から今現在まで、巷と裏世界で恐れられている、

怪しい組織の親分で、一説によると、忍より強いらしい・・・)

「トマトだらけで抱きつかないで!!」

「しょ、祥子ぉ!?」

「何やってたのよ、アンタはまたぁ!?」

「えぇ!?(T-T)」

「あれほど、忍と乱闘しないでって言ってあったでしょう!?」

「あうあうあうあうあうあうあうあう(T-T)」

「忍は『女の子』なのよ!?いい年した大の男が乱闘していい相手じゃないでしょ

う!?」

「乱闘じゃないよぉ、祥子ぉ(T-T)」←以前乱闘で家を破壊した人。

「何を泣いてんのよ!!」←以前夫婦喧嘩で家を半壊させた人。

 祥子さんにめったくたに怒られている徹雄さん。

 その影では、『わざと』徹雄さんと乱闘した忍が( ̄ー ̄)ニヤリと笑っていたり

する・・・

 

 ちゃんちゃん

 

BACK←GUESS番外3→GO