前回の引き  さてみなさん。  謎の美女八咫鴉 亜魅乎(やたがらす あみこ)の登場で、いきなりきな臭 くなったこのお話。  宿敵・平清盛が登場。そしてすぐそのあとで、なぞの言動をみせるドイツ語 使い。  はたして、運命の輪はどう転がるのでしょうか?    今回のお話は、そのんな激動の前の一時。これを嵐の前の静けさと見るか?  それとも一瞬の安らぎと取るか・・・。  それではぁぁぁぁ皆さんご一緒に!  原征ファイトォ!      レディーィィィィィィゴォォォォォォォォ!
          8  「お願い! 。捨てないで」  女が男にすがりつく。180cmはあろうかという長身の女。  「だめだ。もうだめなんだ。全てやり直そう」  その女を男は振りはらう。  「私がいけないの。私がヘタだったから。だから私、これからうまくやる わ。お願い、もう一度だけチャンスをちょうだい」  「もうだめだ。時間がないんだ」  「お願い、はやまらないで」  「こうすることが二人にとって、一番なんだ。もう一度やりなおす。君には すまないが」  「そう………………どうしても捨てると言うのね」  「そうさ。もうどうしょうもない。すべては手遅れなんだ」  「それなら、いっそのことあなたを殺して………私も」  どこからともなく包丁をとりだし、胸の前に構える。  「なにをばかなことを! 」  「あなたがどうしても捨てるというなら、私にも覚悟があるわ。さあ、一緒 に………」  「やめたまえ、そんなことしてなにになると言うんだ。お互いが………い や、彼も含めて不幸になるだけだ」  「彼のことは言わないで! 」  その言葉を言うとき、女はとてもつらそうだった。  「そうだろう。だから、終わりにしよう」  そういって、男は進もうとした。そのときだ  「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  女が包丁をふりかざし突進してきたのは。  「なっ「「「ぐはぁっ」  男の口からその言葉が漏れる。そして………………。    「はーーーい。それまで。そういうことして楽しい? 」  『とっても』  男と女「「「つまりは貴美と周であったが「「「が口をそろえて言う。  「ほーう」  原征がじと眼で答える。  「で、周。その後に隠したobjectはなにかな? 」  わざと芝居のかかったせりふをはく。  「いや、あのそのこれはその………」  とたんあわてふためく周。つくづく隠し事のできないやつ。  「そっ、それより原征こそいつ着いたの?  いつまでたっても帰ってこな いから心配したんだよ」  ナイスフォロー貴美。  「いまさっきじゃ(いま着いた)。で、その物体はなにかな周? 」  てごわいぞ原征! 。  「だからそのこれはつまりその………………」  「えーい! 。見せてみんかい! 」  そう言って周の後に隠されたモノ「「「即ち鍋「「「をのぞき見る。  鍋の中身は、赤みがかった茶色でどろどろの粘着性の液体で満たされてお り、蛍光燈に照らされて反射する光りは、なぜか緑色だった。  しかも、鍋全体から白煙か立ち上っており、これが台所でなかったら某宗教 結社の科学棟か、でなければ怪しげな化学教師のいる学校の理科室と信じて疑 わなかっただろう。  「ボルシチかな? 」  と、これは原征。どうやったらこれがボルシチに見える。  「カレーだと思う」  これは周。おいおい、これが食い物に見えるのか。  「ひっどーい。八宝菜よ! 」  最後に貴美。  『はっ、八宝菜! 』  八方菜………………。やられた。こいつは完全に一本とられた。  これが、二人の疑われざる本音だったろう。  だいたい、ボルシチやカレーにしてみたって彼らの想像力をフル活動した最 大譲歩であったのだ。  「し、周。それであないに(あんなに)騒いどったんか(騒いでいたのか)」  「まあ、それは一部真実で………」  大部分、本人達の趣味だろう。  「………………まあ、とにかく。『コレ』は産業廃棄物扱いの危険物にし て、Pb(鉛)のドラム缶につめて、日本海に海洋投棄しよう」  「周………それはグリーン◎ースが黙っちょらんようにあるが………」  「大丈夫。エ●チィンさんところの某国もやっていた」  こらこら。そのネタはやばいぞ。私の首が飛ぶ。  「それは置いといて。しょうがないけん、あとは儂がやるわ。貴美つれて茶 の間でまっちょれ(茶の間でまってろ)」  『はーい』  返事だけはいいようだ。  かくて、一人取り残された原征ぼやくのだった。  「これ、マジでゴミに捨てて大丈夫なんやろうか? 」  そして、あれから1時間後。原征特製の中華料理の数々か披露された。  実は彼、幼いころ(といっても外見上)から眞由香さんに家事一般を習って いた。従って、炊事洗濯は言うに及ばず、裁縫やパッチワークまでこなす家事 のプロフェッショナルなのだ。  というわけで、きょうのメインディッシュはこちら。  『鶏の姿揚、中華杏かけ』  その他にも、エビチリソースだのバンバンジー、いわくつきの八宝菜(作り 直した)、チンジャオロースー、etc………。  すでに原征の誕生日パーティーだと言うことを忘れ去っている。まあ、その ようなことは、原征自身あまり期待していないことだったが。  宴もたけなわとなったころ、周が台所から一本ビンを持ちだしてきた。  ラベルには《一級酒、美少年》と書かれていた。  「原ちゃん、呑まない? 」  「儂ぁ、酒は呑(や)らんぞ」  「まあ、そう言わずにどう? 」  「いや、遠慮しておく」  「じゃあ、貴美どう ?」  「酔わしたって、なにも出ないわよ」  「なにも期待はしてないよ」  「そう、じゃあ一杯」  こらこら、普通初めは、日本酒じゃなくてビールを持ってくるものだと思う のだが………………いや、そのまえに未成年の飲酒は法律で禁じられておりま す。(良いこはまねしちゃだめだよ)  「(ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ)ぷふぁーーーーーー。 きぃぃぃぃぃぃ。やっぱり人生この時のためにある! 」  「お、呑(い)けるね貴美! じゃあ、僕も一杯。おっとっとっとっとっ とーーー」  「周ちゃんの、ちょっといいとこ見てみたい。そーーれイッキ、イッキ、 イッキ、イッキ、イッキ」  これこれ、日本酒(アルコール度数14%)を一気呑みしてはいけません。 (そのまえに、未成年の「「「以下略「「「だし、一気そのものが体に良くない)  それからしばし。周と貴美の周囲には酒ビンが3ー4本。《一級酒、美少 年》にはじまり、焼酎《なんしか》(アルコール度数35%)や、はては貴美 の親父秘蔵の品の老酒《鎮元斎》(アルコール度数90%)まである。  「ねぇ原征。あなたは呑まないのぉ? 」  貴美が原征に迫った。正面から四這いで、である。タンクトップの胸元から は、アルコールでほんのり赤くなった肌がちらちらと見え隠れして、みょーに セクシーであった。  目もとは潤み、半開きになった唇からは白い歯がのぞいていた。触れれば落 ちん、てな風情であった。  「た、貴美ぃ………おまえ酔っちょるな」  「そうよ、悪い? 」  そう言って、意味もなくケタケタと笑う。  「悪くはないが………………」  「そう。じゃあ、原征が呑みなさいよ! 」  「なし(なぜ)、そこで儂が呑まにゃならん(呑まなければならない)」  「あら、私の酒がのめないってぇーの」  貴美の態度は豹変した。酔っ払いに理論はない。  「いや、儂は酒が呑めんで………」  「いいから呑みなさい! 」  じっと貴美の眼を覗き込む。  貴美の眼は「俺はトラだぁ。トラになるんだぁぁぁぁぁぁ! 」と叫んでい た。  (注:酔っ払いには理論は通用しません。そこでしばしば、酔っ払いは無敵 モードに突入します。これを通称、トラになると呼びます)  「はい」  教訓。出来上がった人物にはさからうな。  というわけで、原征の前にグラスが差し出された。ビールジョッキの中くら いはありそうな大きなやつだ。それになみなみと老酒《鎮元斎》2号がつがれ るのを、原征は絶望的な思いで眺めていた。  ふと、助けを求めるように周を見る。  「お゛お゛お゛お゛お゛お゛、るごごごごごごごごご」  シンクロ率400%を突破していて、覚醒していた。  「パターン、ブ○ー。AT・フィール◎を確認。間違いありません。使●です」  それは、なかばやけくそな呟きであった。  そして原征は老酒《鎮元斎》を一気呑みした。  むろん、火を吹いた。  「お、原征。さすが」  しかし、その賛美を聞く前に原征は潰れていた。    ・・・・・・・・・・・・宴はおわった。  現在時刻、午前2時。  原征は一人縁側で、老酒《鎮元斎》3号の残りを呑んでいた。  その顔は、ちっとも酔ってなどいなかったが。  「みんなは寝たかな」  部屋を振り返る。部屋の中は、先程の惨状を微塵も感じさせないほど片付い ていた。  先ほど原征が起きだして片付けたのだ。  周は酒ビンをだいて寝ていた。貴美は酒ビンを枕にすやすや寝息をたててい た。  原征は、実はまったく酔ってなどはいなかった。否。酔えないのだ。  それは、あのときなくしたもののなかの一つ。  そして命とかけがえのない人達とを引替にして手に入れたものは、重く苦し い運命。  しかし、彼はおとなしく潰されるつもりはない。また、運命だからと素直に 受け入れるつもりもない。  夜空には、三日月が浮かんでおり、ほのかに部屋のなかまで差し込んでいた。  原征は踵を返すと、貴美の寝顔をのぞきこんだ。そして、頬にかかった後れ 毛を直してやる。  「うんん………………原征………」  「………………………なんじゃ。寝言か………」  つむった瞼をみつめて、囁く。  「すまんな、貴美。お前の気持ちは………………」  しかし、そう言いかけてやめた。  もう一度縁側にでる。  月に向かい乾杯する。  「800と50年に、そしてかけがえのない人たちに」  そして杯を干す。  月は静かに原征を見守るだけでなにも答えなかった。  貴美は、ただそんな原征をみつめるだけだった「「「頬を赤らめただけで。なにも言うことなく。  時は確実に動きだしていた。  幸せな時間の残りの砂は、もう数えられるほどになっていた。  明日はもっと熱くなりそうだ………………………………………。
 後書・・・というよりは中書みたいなもの  とりあえず、このお話をもって第二章を終了。  いよいよ動きはじめた闘いの気配。  周は、貴美は、そして原征は。  いったいどうなるのでありましょうか?  次回、第三章に請うご期待!!              小話 その四  野郎オペレーター1「目標内部に高エネルギー反応有り! 。やばい! 、こ の反応は………………」  敵(関西弁のイタリア人) 『覇王○吼拳!』  野郎オペレーター2「被弾・・・直撃です! 初○機、完全に 沈黙………………」  女性オペレーター 「被害不明。生命維持に支障発生。これ以上の戦闘には 耐えられません! 」  女性指令官    「しかたがない………エントリー◎ラグ強制排出! 」  野郎オペレーター1「………信号拒絶! ………………●号機のエネルギー 係数が異常に増大中………………………だめです、コントロール不能! 完全 に暴走しています! 」  女性指令官    「なんですって! 」  野郎オペレーター1「初号◎のエネルギー依然増大。まもなく臨界点に到達 します」  野郎オペレーター2「目標、観黙を続けて………………あっ」  敵(一人だけ私服)『まぁ、ざっとこんなもんや………』  野郎オペレーター2「目標、もう勝ちデモを始めています! 」  女性×2 + 野郎1「えっ? 」  野郎オペレーター2「いえ、なんでもありません」  女性オペレーター 「あっ、初○機、活動を開始………………この動き は………」         ★号機(赤い髪) 「うおおおおおおおおおおおおおお」 (体力ゲージレッドゾーン&気力ゲージ満タン時に下・斜後・後・斜後・下・ 斜前・前・Cボタン押し)  女性指令官    「あの、イタリア人のくせして謎の関西弁喋る、金持ち のだから親友にいいようにパトロンあつかいされてる、モデルがスティーブ ン・セ◎☆ルを………………くっ、食ってる………………………」   初号▲(炎を操る)「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」 (SE ドカ、バキ、ゴボッ、ゾブゾブブ、グチャグチャ、 バリバリバリ………………………)  野郎オペレーター1「ロッ、ロバー………………いえ、目標、完全に沈 黙……………」  初▼機(赤いズボン)「くっくっくっく……………… ははははははははっ………あーーはは はは………………………」(ふんぞり返る)  野郎オペレーター2「△号機の勝ちデモです………………」 全員 『えっ? 』