時代劇

その2

作・たくさま


二人はえらく長い時間かけて歩いているのに呉服屋に着いていない。

 

 

 

何故時間が掛かるのか・・・

 

@)シンジが違う駅で降りてしまった

 

A)神前の結婚式に見とれていた。

 

B)神社から、呉服屋までにあった他の洋服屋に入ったりしていた。

 

早い話が道草を食っていた。

 

 

 

 

 

「ふっふ〜ん♪」

 

鼻歌なんぞを歌いながらスキップしているアスカ。

 

「誰か助けて・・・」

 

呉服屋に着く前から既に両手に一杯の紙袋を下げているシンジ。

 

(女性と買い物なんて行くものじゃないよな・・・)

 

服の一着や二着ならまだ良い。今日だけでアスカは十着は買っている。勿論シンジのお金で。

 

アスカ自身シンジと同じ給料をもらっている筈なのに、何故か貧乏である。

 

彼女はEVAパイロットの給料の殆どを駄菓子の購入やコンシュマーゲームの購入に充てていた。

 

(よくあれだけ食べて太らないよ。)

 

アスカを髪の先から爪先まで見下ろす。(現在ではシンジの方が背が高いんです)

 

キューティクルのビッチリそろった金髪、

 

細面立ちと整った鼻梁。

 

白磁のように白い肌。必要最小限な部分にしか付いていない脂肪。

 

(ホント、あのお菓子は何処に行ってるんだろう・・・胸だけかな?)

 

最近つとに胸が大きくなってるような気がする。

 

「シンジぃ?何処見てるのかなぁ?」

 

 

 

アスカはシンジが自分をずっと眺めているのに大分前から気づいていた。

 

シンジが自分を見ていてくれる、自分に注目している事は嬉しいが、ちょっと恥ずかしい。

 

 

 

「あ、えっと・・・その・・・」

 

「ドコ、見てたのかなぁ?シンジ。」

 

耳まで赤く染め上げ、アスカと反対方向に首を逸らそうとするシンジ。だが。

 

「こっち見て言えないの?」

 

素早くアスカはシンジの顔を両手で挟み込み、自分の方に向かせる。

 

真っ赤な顔がさらに赤くなる。

 

(ここまで充血して、血管破裂しないのかしら?)

 

シンジの白い額の毛細血管がはっきり見てとれる。<そんなに近づいてるからシンジの顔が赤いのだが。

 

「あの・・・」

 

「はっきり言いなさい!」

 

「アスカの・・・胸、大きくなったような気がしてさ。」

 

「人の事牛みたいに・・・しっつれいね全く・・・」

 

「ご、御免・・・」

 

口調だけならアスカは怒っているようだが、全然そんな風には見えない。

 

ただ、頬が少しだけ、桃色に染まっている。

 

「だいたい誰の所為でこんなに大きくなったと思っているの?」

 

「え?」

 

(そんな事言われても・・・御飯作ってるのは僕だけど・・・)

 

アスカの冗談に真剣に悩むシンジ。

 

アスカにはその生真面目さがとてつもなく可愛らしく写る。また、意地悪したくなる。

 

シンジの耳元に自分の唇を近づけ、

 

「あんたが毎晩揉んでるからでしょ・・・」

 

 

 

ぼんっ!

 

 

 

シンジの髪の毛がちょっとだけ爆発し、目玉もちょっとだけ飛び出す。

 

くすくす笑うアスカ。

 

「ちょ、ちょっとアスカぁ・・・」

 

 

 

『うろたえる』という意味はこうだ、とビデオにとって電子辞書に載せたくなる。

 

 

 

「だってホントのことでしょ?」

 

「そ、そうだけど・・・」

 

「ふふ・・・さっさと行きましょ。お店閉まっちゃう。」

 

微笑みを残して走っていくアスカ。

 

シンジも必死に追いかけるが、買った服のはいった袋が邪魔で思うように走れない。

 

「なにやってるのよ〜っ!」

 

シンジから100mくらい先で立ち止まってアスカが大声でこっちに叫ぶ。

 

腰に手をあて、胸を張っているアスカの仕草はとても可愛い。

 

「待ってよ〜っ!」

 

シンジも頑張って走る。

 

「後に着いたほうが今日の夕食おごるのよ!」

 

「なんだよ、それ・・・」

 

(僕、アスカに振り回されているなぁ・・・まぁいいか。楽しいし)

 

結局二人が呉服屋に着いたのは閉店の一時間前だった。

 

 

 

 

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〜後書〜

 

またまたたくです(早口言葉みたい)。

 

時代劇 その2です(変なタイトル・・・)

 

すすんでません・・・その3でおわらせられるんでしょうか?

 

煙草が増える・・・

 

何か物壊したくなってきた・・・

 

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