☆
「お客さん方……それ以上はお止めになった方が………」
カウンターの奥から主人の声がする。
「お連れの方は嫌がってるみたいですし……ウチはこういう店じゃ……」
……ドサッ!
クラウドの手によって、カウンターの上に袋が投げられた。
袋の中身は、みんなでモンスターと戦いながら貯めたお金。
それをちらりと一瞥するおやぢ。
「…………私、医者に行って来ます。……それでは、ごゆっくり………」
「裏切り者ぉぉぉぉぉっ!!!!」
悲痛なイリーナの言葉を背に、店の主人はわざとらしい咳をしながら出て
いった。
もちろん、右手にはしっかりと袋を握りしめながら。
パタン、扉の閉まる音がする。
「……さてと……」
「これで邪魔者はいなくなったんだな」
押し殺した、喜びの声。
………サーッと、音すら立ててイリーナの血の気が引いた。
真っ先に獲物に躍りかかったのはクラウドだった。
「ん! んんーーーーーっ!!」
唯一動く首を振って拒絶するイリーナ。
その首の動きが止まった、いや、止められた。
クラウドがイリーナの頬に手を添え、首を自分の顔の前に持ってきたのだ。
魔晄を浴びた者の証しの瞳。
ドキッ……
その瞳に、ちょっとだけときめいてしまうイリーナ。
そして、クラウドはさるぐつわを引き離すと、強引にキスをした。
うっ…お酒…くさい………
元々酒がそれほど強くないイリーナにとって、それだけで酔いそうなアル
コールの香りが鼻腔を満たす。
キス自体も荒々しい、ロマンチックなどかけらもないキス。
無理矢理にイリーナの口を、舌をねぶっていく。
固く目を閉じ、歯を食いしばって恥辱に耐えようとするイリーナ。
歯列を舌がなぞり、舌をこじ入れようとする。しかし上手くいかない。
実のところ、クラウドもキスは不慣れだった。
クラウドの鈍感さもたたって、最愛の人とも、いまだそんな雰囲気になっ
たことはない。
女性との口付けなど、ジュノンで一人の女性に施した人工呼吸以来のごぶ
さただった。
や……やだよぅ………助けて先輩ぃ〜〜!
先ほど感じたときめきなど、数千里の彼方へと吹き飛んでいた。
体がふっ、と軽くなった。
不思議に思ってイリーナが目を開くと、自分の体の縄が自分の同僚二人に
よって解かれているのが分かった。
……先輩達……助けてくれるんだ!
しかし、そんなイリーナの思いとは裏腹に、レノはイリーナのスーツの胸
元をつかむ。
ルードはイリーナのズボンのベルトを探っている。
……え?
何の事はない、同僚は服を脱がせ易くするため、縄を解いたにすぎなかっ
た。
るーーーーーーー
妙な効果音を伴って、イリーナの両目から滝のような涙が流れた。
ビッ………ビリリリッッ……………
彼女のあこがれの象徴でもあった、タークスの黒のスーツは、そのターク
スの同僚達の手によって破り捨てられた。
その下には、きめ細かい白い肌。
水色の可愛らしいブラジャーに包まれた胸。そしてその胸元、ブラジャー
に隠れるか否か、という所に、肌の白と対照的な小さなほくろ。
ほぼ同時に、金属同士がぶつかる堅い音がする。
それが、自分のベルトのバックルの音だと分かる前に、ズボンははげ頭サ
ングラスの手によって強引に脱がされた。
アンダーもブラジャーに合わせた水色と、それより少し濃い青とのチェッ
ク。イリーナらしい、可愛いパンティだった。
何も言わず、しばし見とれる男たち。
クラウドも思わず唇を離し、白と水色のコントラストに心を奪われていた。
その沈黙は、イリーナ自身の悲鳴によって破られた。
「いっ! いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
キーーーーン…………
ジェット音のように耳に残る悲鳴。
その声は、レノが手でイリーナの口を塞ぎ、ようやく止まった。
そっと、イリーナの側に三人が腰を下ろす。
レノはイリーナの両足の間に。
クラウドは胸の横に。
ルードは顔の脇に。
三人の男が、そっと目線を交錯させた。
そして、イリーナのシリーズ最大の受難が始まったのである。
☆
「……………ふう……」
ケット・シーは、小さなため息をついた。
ここはダチャオ像と呼ばれるウータイ名物の悪趣味な石像群の頂上である。
ケット・シーは、イリーナに向かってダッシュしている途中で、あること
に気付いた。
……チ○チ○が………ない…………
ダッシュしていた足がゆっくりと止まる。
………………………………………………………………………………………
…………………ふう………。
ため息一つ。
そして、そっと店を後にするケット・シー。
その胸の中は、敗北感で一杯だった。
…………○ン○ン………造っとけば良かった……………
ゴールド・ソーサーの占いマシーンとして造られたケット・シーには肝心
のものがついていない。今までそれを気にしたことなどなかったが、今回だ
けは別問題だった。
先ほどからずっと、こうして黄昏ゆく空を眺めていた。
沈みゆく夕日が、彼の悲しみを代弁する。
このやり場のない悲しみと、情欲をどうしよう……。
ケット・シーの頭上を、鴉が一羽飛んでいった。
そんなケット・シーの悲しみを知ってか知らずか、鴉が鳴いた。
「キャハハハハ………」
んっ?…………
☆
「うっ……やです………ああっ!」
イリーナの唇から切ない吐息が漏れる。
それは、パンティーの上からイリーナのあそこを擦る、レノの指の動きと
合致していた。
クラウドもブラの上から胸を揉む。
ルードだけは何もせず、じっとサングラス越しにイリーナの悶える様を見
ていた。クールに決めているが、その鼻の下は延びきっていた。
「あっ、あああっ!」
レノの指がイリーナの突起に触れる。
薄い布地を通してそれははっきりと存在を主張していた。
「先輩ぃ……うわっ!」
その声が上擦る。
唯一動かせる腰が跳ねた。
レノの指がパンティの裾を通し、直接進入を試みたからだ。
乳首もすでに布越しにピン、と立っている。
ブラが、ずらされた。
ピンク色の小さな乳首。
大きくはないものの揉んでみると意外と弾力がある。所々に浮かぶ汗の玉
がいっそうにクラウドの情欲を駆り立てた。
乳首に口づける。
イリーナの体が、腰がさらに跳ねた。
そして、それがさらに彼女自身を刺激してしまう。
「や……だめだよぅ……」
腰をひねり、愛撫から逃れようとする。
イリーナに出来る精一杯の拒絶。
その動きさえ止めるかのように、ルードが上からキスをした。
有無を言わさず、舌を口腔へと進入させていく。
舌をねぶり、歯列を刺激し、唇を吸い、唾液を流し込んでいった。
コクッ、コクッとイリーナの喉が動き、二人の唾液の混ざったものがイリ
ーナの体内へと落ちていく。
「んん……んふっ……んっ!」
激しいキスに、苦しげに声を漏らすイリーナ。
そっとルードが唇を離した。
イリーナは虚ろな瞳でそれをただ見ているだけだった。
唇の端に一本ついた金のほつれ毛。それは窓から入る夕日の光に輝いてい
た。
それを指で拭うルード。
「ん……」
イリーナの口から、甘えたような声が漏れた。
自分であげた声に、イリーナの胸が大きく鼓動した。
やだ……私って………こんなにエッチだったの?
無理矢理されてるのに……気持ち……いい………
このまま……どうなってもいい……かな?
だめ!……そんなの………でも………………
「ふあぁっ!」
混乱し、錯綜した思考は快楽によって中断された。
レノの舌が直接にイリーナの花弁をなめたのだ。
いつの間にか、パンティは布切れとなって無造作に床に置かれていた。
すでにイリーナに抵抗の意志はない。
四股からは力が抜け、朦朧とした意識の中で自分が快感の声をあげている
のが分かる。
イリーナのそれは透明な蜜に濡れそぼっていた。
薄いピンクがかった花弁はうっすらと開き、男のものを迎えようとしてい
た。
ごくっ…。
多くの女と一夜を共にして来たレノでさえ、目の前にイリーナの桜色の花
弁を見て唾を飲み込んだ。
そして、むしゃぶりつき、吸った。
蜜はかすかに甘く、柔らかくまとわりつく。
イリーナの嬌声が耳を突く。
中に指を差し入れる。
一本……そして二本と。
中は暖かく、そして指を締め付けてきた。
強烈ではないが、十分にきつい締め付けに、ついつい邪推が膨らむ。
ついでに別の部分も。
ピンクの突起を舌でコロコロと転がしながら、レノは中で指を動かした。
「や……だめっ!……だめっ!うわっ!」
イリーナは首を振って、もたらされる快感に堪えようとする。
長い金髪が乱れ、ほつれ、キラキラと輝きながら揺れる。
レノはそんなイリーナをさらに高みに上げるため、突起を吸った。
「うわっ!せ、先輩ぃぃ…うぅっ!っ!!!」
イリーナの体が弓なりにしなる。
まるで苦痛に耐えるかのように歯を食いしばり、目は固く閉じられている。
その目の奥には、自分の髪の色と同じ、金色の光がはぜていた。
そして、思考の停止。
脱力。
その後の余韻にイリーナは浸っていた。
もう……なにもかんがえられない……よぉ…………
あどけなく全裸を晒し、荒い息をついているイリーナの側で、クラウドと
ルードは、いまやすっかり彼らの親分となったレノを見た。
その考えていることを読み、頷くレノ。
男三人は、おもむろにズボンのベルトを緩めはじめた。
☆
「キャハハハハッ……」
……特徴のある、耳障りな笑い声。
リーブは自分の頭全体をすっぽりと覆うように被せている、黒色のヘルメ
ットを外した。
ヘルメットはちょうど目の所に液晶プロジェクタがはめ込まれ、後ろから
はいくつものコードと、長い銀色のパルプが部屋の大きなコンピューターへ
と延びていた。
このヘルメットは、仮想空間の投影装置の役割をしていた。
本来、このVR投影装置はほぼ完全に現実世界の音を遮蔽し、仮想世界に
ダイブできるようになっている。
どうやら、そのキャハハハ、という笑い声は、その防音周波数を遥かに越
えているらしい。
ここは要塞都市ミッドガルの中枢、超多国籍企業「新羅」の本社ビル。
その都市開発責任者、リーブの私室だった。
「キャハハハッ………」
再びかん高い笑い声。
こんな特徴ある笑い声を持つ者は、この新羅ビルの中に一人しか居ない。
兵器開発部門担当、スカーレット。
妖艶な美貌と、冷酷な頭脳とを併せ持つ、新羅トップ3の一人だった。
彼女の豊満な胸と、真っ赤なルージュのひかれた唇が頭に浮かぶ。
………この際、女なら誰でもいい!
普段の彼なら考えもしないであろう。が、この時の彼の精神状態は特別だ
った。
リーブは、ゆっくりと投影装置の椅子から立ち上がる。
ズボンの「あの部分」が、一目で分かるほどに膨らんでいた。
フーッ……フーッ……、まるでス○ー・ウォーズの敵役のような呼吸をす
るリーブ。
部屋のオートロックを外し外に出ると、ちょうどスカーレットと鉢合わせ
る恰好になった。
ちらりと自分の前の人物を一瞥するスカーレット。
「……邪魔よ。退いてくれない? ……なっ!???」
どうやらリーブの下の部分を見たらしい。スカーレットの表情が、ボワッ、
と一瞬にして赤くなった。
フーッ……フーッ……フーッ…………
何も言わずスカーレットの細い手首を掴むと、リーズは開いている部屋に
引っ張り入れた。
「な…、なんなのよっ!」
普段とまったく違うリーブの態度に、スカーレットは動揺を隠せない。
バタン!おもむろに扉を閉めると、物も言わずリーブはスカーレットにの
しかかる。
「ちょっ…、ちょっと!なんのつもりよっ!」
バタバタと手足を動かして抗議するスカーレット。
リーブは、そんな口を塞ぐために無言でキスをした。
「んっ……んんっ!!」
必死で逃げようとするスカーレット。が、体重をかけられていてはそれも
叶わない。
リーブが片手で自分のズボンを下着ごと下ろした。
リーブのダイナマイトは、臨戦体勢だ!!
そのまま、無理矢理スカーレットの真紅のタイト・スカートに手を入れる
と、下着越しにスカーレットのその部分を触りだす。
「んっ! …放しなさい! ……んんっ!………」
リーブは大した愛撫も加えないまま、そのまま下着を降ろしにかかる。
下着は黒く、まるで彼女の性格を象徴しているかのようなデザインだった。
それを遠く、部屋の隅に投げ捨てた。
もう一方の手で片手に余る大きな胸を揉むと、スカーレットは体を固くし
た。
唇を放す。
甘い言葉も何もない、獣のような性行為。
「や……やめて………」
普段なら決してしないであろう、スカーレットの哀願。
心なし、瞳も涙で潤んでいる。
手は、リーブを押し返すように彼の肩に添えられていた。
「お願いよぉ…リーブ……もう…う、うわあああぁっ!」
叫び声は男が無理矢理に自分の物をこじいれた為。
濡れていない所に強引に押し込んでいく。
周辺の柔らかい肉を巻き込むようにして、一番太い部分が通過していった。
あとはズブブブ……と、「めり込んで」いく。
きつい締め付けに男は呻いた。
「いっ…痛っ!…!痛いっ!痛いよっ!」
激しく拒絶しようとするスカーレット。
だが、リーブはスカーレットの言葉に耳を貸さなかった。
ただ、強引に己が快楽を貪る為、それだけに腰を動かす。
やがて、「痛い」という声すらも、痛みのために上げることが出来なくな
る。
女性器はけなげに愛液を分泌するが、ほとんど焼け石に水だった。
「うっ…うっ…くっ……うう……」
女のうめき声は男の腰の動きと一致していた。
やがて、痛みとは別の声が混じり出す。
男、リーブは大きく呻き、スカーレットに放出の近いのを知らせた。
スカーレットの固く閉じられていた目が開かれる。
瞳に、男のたくましい顔が映った。
「だめ……だめっ……だめぇ……」
首をふるふると左右に振るスカーレット。
リーブの肩を掴んだ手に力が入る。
気持ちよさに。
リーブが右の乳房を掴んだ。
「痛っ……」
思わず体を固くする。
だが、それさえもやがて悦楽に変えられていく……
男が体を震わし、「ううっ…」と呻いた。
その瞬間、自分の中でリーブの分身が脈打ったのを感じた。
ドクン…ドクン……ドクン………
なにかが放出される感覚。
ゆっくりと、彼女の体から引き抜くと、少し血の混じった白濁した液体が
漏れ出てきた。
………………………………………………………………
二人とも、しばらく無言だった。
荒い息だけがこの部屋の全ての音だった。
無言の理由は二人とも違う。
この時になり、ようやく自我と呼ばれるものを取り戻したリーブは、
( ハウゥッ!! ……お、俺はなんてことを………やだぁぁ……人体実験
はやだぁぁ…………)
たまらない後悔の念に襲われていた。
一方無理矢理されたスカーレットは………
「リーブ……」
「は、はい…」
いつものリーブ。
蠅の鳴くようなリーブの声は、スカーレットには届かなかったらしい。
「リーブ!」
「は、はいっ!」
自然、勢いのある彼女の言葉に押されてしまう。
その頭は、まるで魔法のように
人体実験……人体実験……じんたいじっけん………
と繰り返していた。
「…リーブ…………………………」
いつもの彼女らしからない、沈黙。
「……はい………」
リーブには、それが逆に怖かった。
「……その………も、もう一回……しよ?……」
真っ赤な顔でそういうスカーレット。
頭の中が、「?」になるリーブ。
ようやくリーブが、何を「もう一回」なのか理解し始めた頃、スカーレッ
トは目を閉じ、じっと唇をねだっていた。
まるで少女のような仕草。
か、可愛い……
とても天才(マッド)科学者とは思えない、うぶな少女の顔。
さっきのキスで少し乱れたルージュが、少女に色気をもたらしている。
彼女のその表情は、本当の彼女、或いは甘く男を誘う食虫植物のいずれか
だった。
……案外、男性経験自体は少ないのかも知れない。
勝手な男の解釈。
リーブはしばらくその顔を見つめていたが、やがて自分から唇を重ねてい
った。
その唇は、ルージュの味がした。
〜続く〜
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
後書き(おわび兼用)
>一応、次回で終わる予定です(第2話後書きより)
・・・はうぅっ!
自分で自分の首を絞めてしまった。
すみません。色々あって、もう一回だけ(今度こそマジよ)続きますぅ。
イリーナの運命はいかに?
ユフィとエアリス、その禁断の愛の行方は?
果たして、次回で本当に終わるのか?
・・・なんか、どんどんマイナーキャラが出てくる。
やったことない人、本当にすまん!
やると、分かるから(爆)
それでは、また逢えることを楽しみにして
ひとりもの狼でした。
みゃあの感想らしきもの。