FF7〜THE ANOTHER STORIES
(1)
作・ひとりもの狼さま
18禁です。長いです。あしからず...
☆
「ユ…、ユフィっ!」
土煙を上げながら、脱兎のごとくに逃げていく女忍者。その手には白い袋が握ら
れていた。
「マテリア返せ〜〜〜っ!!!」
モコモコぬいぐるみ猫、ケット・シーがメガホンを使ってその後ろ姿に向かって
叫ぶ。
……もちろん返すくらいならはじめから盗んだりはしない。
「あ〜あ。マテリア、取られちゃったね」
どこか冒しがたい不思議な魅力を持つ美しい少女、エアリスが呟く。その声には
まるでこのハプニングを楽しんでいるかのような雰囲気があった。
クラウド・ケット・シー・そしてエアリスからなるパーティの持っていたマテリ
ア、星の生命力の結晶は全て、ユフィの手の中の白い袋の中に入っていた。
「へへ〜ん!マテリアいただき〜〜っ!やったぁぁぁっ!」
遠くから風に乗って微かに聞こえる威勢のいい声。
「なんか怪しいと思っとったけど、なんちゅう奴ちゃ……」
ケット・シーが呟いた。
「………しょうがない、追うぞ!」
つんつん金髪頭、一応このパーティのリーダーでもあるクラウドの声に、二人
(一人と一匹?)は頷いたのであった。
「でも……、何処へ?」
エアリスの言葉に、石化したかのようになるクラウド。
この先にあるのはウータイという観光地だけだが、はたしてそこに行ったのかと
なると見当がつかない。
「何や、ボクの出番ですね」
ケット・シーはそういうと、乗っていたぬいぐるみをガックンガックンと揺らし
出した。
「な…、なんだ?」
不思議そうに見つめる二人の前で、ぬいぐるみからチーン、という音がしたかと
思うと、巻物のように巻かれた一枚の紙が出てきた。
「なに?……これ?」
「ボクは占い用マシーンです。ユフィさんの行き先、ぴたり、当たってますよ。
ささ、クラウドはん」
半信半疑のままに勧められ紙を開くと、書かれていることを読むクラウド。
「大凶」
……ある意味、当たってるかも知れない。そう思う三人だった。
☆
「へへーん。アタシにかかればこんなのちょろいもんさ。」
ユフィは一人呟いた。
その声が反響し、不思議な響きを持って聞こえる。
周りはやたらに暗い。
ここはユフィの生まれ故郷ウータイ……にある居酒屋「亀道楽」……の店の前の
小さな壺の中だった。
そのつぶやきとは裏腹に、ユフィの体はかなりキツキツだった。いくら体が小さ
いとはいえ、この壺に入るのは無理があったかも知れない。
……その上、先ほどからトイレに行きたくてしょうがなかった。
元々クラウド達と一緒にいるときからおしっこがしたかったのだが、マテリアを
取った時の興奮で一時的に尿意を忘れていた。それが壺に入って落ち着いたとたん
にぶり返してきたのだ。
最初のうちは狭い壺の中でモジモジと両の太股をすり合わしたりして我慢してい
たものの、ここに来てそろそろ限界が来ていた。
絶え間なく波のように襲ってくる尿意を必死で腹筋に力を入れてこらえる。
別のことを考えて気分を紛らわせようとしてみても、とうてい無理なことだった。
下腹部がじんじんとする。
頭がクラクラした。
……早く出しちゃえよ……
頭の片隅で誰かがささやいた気がした。
……でも………
そんなこと、到底出来ることではない。
ホラ!気にすることなんか無いって!誰も見てないんだしさ!
「そ……そっか………おしっこ………」
気づかずユフィは声に出して呟いていた。
☆
「ん?………何や?」
「どうした?ケット・シー」
「いや、なんや今聞こえたような……、あっちの方ですわ」
三人の視線が、ちょうど人一人入る程の大きさの壺を捉えた。
そして三人のちょうど目の前で、壺がカタカタと震動しだしたのである。
☆
ユフィは限界に来ていた尿意を開放させるため、ショートパンツを下ろそうとし
た。
え゛っ?…そ……そんなぁ………
腕を曲げようとすると見事に壺に引っかり、パンツを下ろすことはおろか手を裾
にかけることすら出来ない。
…まずいよ……本気(マジ)で…さ……
一度気を許した分、ますます重く生理的欲求は押し寄せてくる。
すでに下腹部の痛みは火がついたようになっていたし、膀胱はいまにも溢れそう
な、そんな感じだった。
必死で腕を伸ばす。腕がすれ、壺がカタカタと震動をするがそんなことに構って
いる場合ではない。
今やユフィの頭の中にはクラウドやマテリアの事なんて無かった。あるのはいか
にしてこの危機的状況を脱するか、それだけだった。
なんとか手が……届いた。
ホッ、と安心した瞬間、
☆
ガアァァァンッッ!
クラウドは壺を思いっきり殴ってみた。
もう一発。そしてもう一発。
ガアァァン!ガアァン!
徐々に壺に亀裂が入っていく。
その時、ピコーンとどこかで音がすると、クラウドの怒ゲージ(違うって……)
はマックスに達した。
次の瞬間、クラウドは持っていたカラブの実を投げた。
「つばめ六連!!!(だから違うって……)」
ボワッボワッボワッボワッ、ジャキーーン!
…………そして壺は見事、真っ二つに割れたのだった。
☆
何とか、ユフィの手はショートパンツの裾に達した。
ホッ、と安心すると、手を裾にかけて下着ごとずらそうとした。
その瞬間、まるで頭が吹き飛ぶような音が木霊したのである。
そして震動。
そして、それが起爆剤となった。
意識が下腹部から逸れたのは、時間にしてみればほんの一瞬だっただろう。
が、その瞬間にちょうど呼応したかのように、今までに無いほどの強烈な尿意が
押し寄せてきたのだった。
「ヒッ……」
思わず息が詰まる。
もともと大きめの目がさらに見開かれる。
慌てて下腹部に力を入れたが、時すでに遅かった。
ショゥッ……
ユフィの太股の付け根から、くぐもった、しかし明らかに水音と分かる音が聞こ
えた。
水音は最初は控えめに、しかし徐々に勢いを増して聞こえてくる。
「あ……あ………」
下着が、いや、いまや履いているパンツ全体がなま暖かく、ズッシリと重くなっ
てくる。
ユフィは開放感と惨めさに震えていた。
が、普通なら嫌悪感しか感じないはずの「おもらし」という行為は、何とはなし
に心地よかった。
この閉鎖された空間のせいか、むしろ微かではあるがはっきりとユフィは快感を
感じていた。
その一連の中に、何度か先ほどと同じ様なけたたましい音が鳴り響いていたが、
それほどは気にならなかった。
いまや全神経は下半身、特に、自分の秘部だけに向けられていた。
水音が静かになっていく。
「はあぁっ……」
ユフィはため息を一つついた。
そしてその瞬間、目の前に亀裂が入ったかと思うと、爆発したかのように真っ白
になったのである。
☆
始め、ユフィには何が起こったのか分からなかった。
目の前で明らかに困惑の色を浮かべている男の顔……
………クラ…ウド?………
……何でクラウドがウータイにいるんだろう………
あれ?……エアリスに……ケット・シーまで………
そうか……マテリア……………
マテリア?
「ゲッ!!」
瞬間、閉鎖された空間と恥ずかしさの極みとも行っていい行為のためにくぐもっ
ていた意識がはっきりとした。
(一応)忍者としての本能か、とっさに逃げだそうとするユフィ。が、足を踏み
出した途端、スッ…、と一筋の雫がショートパンツから太股を伝って地面へとこぼ
れた。
ポタっ………
思わず踏み出した足が硬直する。
クラウドの視線が、いや、ユフィも含めその場にいた全員の視線が、そこへと注
がれていた。
ポタっ……ポタっ……
一定の間隔を置いて、規則正しく続く水音。
ユフィは、すでに逃げるどころではなくなっていた。
先ほどの恥ずかしい体験が頭の中でオーバーラップする。
頭に血が昇りすぎてクラクラした。
「ユフィ……お前……」
クラウドの言葉にユフィはペタン、とお尻から力無く崩れ落ちた。
濡れた下着がユフィのその部分にくっつき、冷たさと不快感にユフィは思わず
「ヒッ……」と声をあげた。
「ヒッ……ヒック……ヒック……うわわわわぁぁぁんん!!!!」
そしてそのまま、ヒステリックにユフィは泣き出したのである。
☆
時折しゃくりあげる他は何も言わず湯船に浸かっているユフィを、エアリスは一
生懸命に慰めようとしていた。
ここはウータイのユフィの家。人に場所を聞くとクラウド達はユフィをここまで
連れてきたのである。入るなりいきなり理由を聞こうとするデリカシー・ゼロのク
ラウドとケット・シーにエアリスは、「こういうことは同性の方がいいから……」
と言って家から追い出すと、まずはユフィと
一緒に風呂に入った。
体をきれいにすると一緒に浴槽に入り、さっきから何も言わないユフィを励ます
ために色々な話をした。
スラムで出会った面白い人たちの話……、花の話………、自分の初恋の人の話
「……あのさあ」
ユフィが子猫のように上目づかいにエアリスを見ると、恐る恐るといった感じで
口を開いた。ほんのりと湯気で上気する顔がますます可愛い。
「怒って……ない?」
エアリスはしばしの間、あごに手を当てて考えるふりをしていたが、
「スッゴク、怒ってる!………な〜んてね!冗談よ。全然怒ってなんかない。私
なんか結構楽しかったよ。……フェニックスの尾がいっぱい使えて」
おいおいエアリス、どこまでが冗談だ!?(謎)
「…………ごめん」
蚊の鳴くような小さな声で呟くユフィ。そのままうなだれたように上唇まで湯に
浸かってしまった。
「理由があったんでしょ?」
やさしく問いかけるエアリスに、ユフィはコクン…、と頷いた。
「だったら、別にいいよ。…きっとみんなだってそう思ってるって」
何事もなかったかのようにそう言うエアリス。その言葉には慈愛の響きと、まる
で母なる大地そのもののような優しさが含まれていた。
「……マジ?」
顔を輝かしてエアリスを見つめるユフィ。エアリスはうなずき返した。
ふと、二人の視線が交錯する。
…エアリスの瞳って……きれい……
エアリスの深い翠の瞳は何よりも先ほどの言葉に嘘がないことを物語っていた。 エアリスのやわらかい翠の瞳は、どこか懐かしい瞳だった。……懐かしく、そして初めてのような不思議な瞳。
……その瞳を見ているうち、ユフィは自分がまるで魅入られたようにその瞳から
視線をそらせなくなっているのが分かった。いや、出来ることならずっとこうして
いたい。……頭の中で16歳の少女のユフィが囁いた。
エアリスもそんなユフィの気持ちを知ってか知らずか、ユフィの黒の瞳を見つめ
返す。
トクン……
不意にユフィは、いつもよりも大きな自分の鼓動を意識した。一度意識したそれ
はまるで相乗効果のように高まり、ユフィのまだ成長途中のひかえめの胸は鼓動で
押しつぶされそうになっていった。
体が熱い。
息が苦しい。
のどはカラカラに乾いていた。
なに?……この…へんな感じ………
まだ、「恋」という感情を知らなかったユフィには、それはまったく未知の想い
だった。
「ユフィ?……顔、赤いよ?……そろそろ出よ?」
そんなユフィの想いなど露知らず、湯船で上せたのだろうと思うエアリス。
「う…うん」
ユフィはかすれた声でそう言うのがやっとだった。
もちろん、体は痺れたようになって動かすことなど出来ない。
………ユフィ、そんなにお風呂好きなのかしら?
実際、もう充分長湯すぎるほど入っている。エアリスの雪のように白い肌もすっ
かり紅潮していた。
「……先、上がるね」
エアリスはそう言うと檜の良い香りのする浴槽から上がった。
ユフィの目の前をユフィのものより一回り大きなエアリスの胸が通り過ぎていく。同じ仲間であるティファのものほどではないが、それでも充分にボリュームのある白桃色の胸の先端には、こじんまりと赤い突起が上を向いていた。
ユフィの鼓動はますます激しくなっていく。
このままでは自分は爆発しちゃうんじゃないか、そんな杞憂がユフィの脳裏に浮
かび、そして水面の泡のように消えていった。
自分が自分でコントロールできない。
自分の想いがその出口を求めて爆発しそうになっていた。
「ユフィ?……上せちゃうわよ?」
エアリスの声が、どこか遠くから聞こえる。
「う…、うん……」
ユフィはまるでその言葉に操られたかのようにふらふら立ち上がると、風呂から
出ようとした。
その足がもつれた。どうやら自分でも気付かないうちに完全に上せていたらしい。
えっ…、と思う間もなく、ユフィの体は前のめりに倒れていた。
☆
「クラウドさん、ホンマよく呑みますな……」
「…………ああ」
エアリスに体裁よく追い出されたクラウド達は、しかたなくここウータイの居酒
屋「かめ道楽」に来ていた。
色々な所でこの居酒屋の広告を見ていたクラウドは、このかめ道楽で飲むのが実
は密かな楽しみでもあった。
実際、コクがあってキレもあるこのウータイの酒はとても美味しい。
つまみの料理も申し分のないものだった。
おまけに異国情緒溢れる店内も何とも素晴らしい。
………が、全然楽しくない。
それは、
「先輩〜、本当にな〜んにもしないんですか!だって……」
「……いいから、黙ってろ、と」
「……………(ルード)」
……この連中と相席のせいだった。
彼らはタークス、新羅の一員である。仕事となれば誘拐も人殺しも平気でする、
そんなまるで機械のような連中だ。もっともそういう意味では真ん中の金髪の女性、
確かイリーナとかいう年の割には幼い感じのする女性はタークスらしくないともい
えなくなかったが。
「……まったく、ホンマあんたらと一緒とはついてないわ」
酒の勢いか(?)、ケット・シーがつい口を滑らした。
「何ですって!私達だってね!」
イリーナが立ち上がり、その拍子で椅子がガタンと倒れる。
「………ちょっとは静かに飲めないのか、と」
「でも…、でも先輩〜!」
一見不良めいた赤毛の青年、レノはやれやれ、といった感じでもう一人の男を見
る。
サングラスの男はレノの考えを見抜いたのか、静かに頷いた。
「……やるかな、と」
レノのその言葉に、クラウドは思わず立ち上がると背中の長剣の柄を掴む。
「おっと、勘違いするなよ、と。……戦いはしないぞ、と」
「……なんだと?」
クラウドの疑問にサングラスの男が一言で応じる。
「…………仕事じゃないからな」
「せ、先輩!?」
どうやら疑問を持ったのはクラウドだけではないようだ。イリーナも予想外、と
いった目で自分の二人の仲間を見つめた。
「……そうだな………と。……早呑みで勝負だぞ、と」
「……分かった」
重々しく頷くクラウド。
「え?」
まさかクラウド達が同意するとは思わなかったので、意外の声を挙げるイリーナ。
「勝った方は……と」
「せんぱ〜い……まじめにやりましょうよう」
「そうだ、と。イリーナとヤれるってのはどうかな?……と」
「え?え?」
「……分かった」
再び、重々しく頷くクラウド。
「な、なにみんなでふざけて………」
イリーナの声に反応して全員の視線がイリーナに集まる。
その瞬間、イリーナは全てを悟った。
……みんな……酔ってる…………
ウータイの酒はコクはあるのにキレもある。そして何より酔いの廻りが早いこと
で有名だった……。
☆
その屋敷の地下では一人の男が黙々と、本を読みあさっていた。
男の名はセフィロス。かって英雄だった男は新たなる神となるため、ここ新羅屋敷
の地下で古代種に関する知識を集めていた。
ふと、男の目が書物の一節に止まった。
「…なるほど……。古代種の瞳には見る者を魅了する力があるのか。なに?…異
性だけでなく、時として同性に対してもその力を発揮する。特にその力が強い場合、
催淫効果となって発動することもある。………同性に催淫効果?……迷惑な話だ」
しかしさすがにこの男すらも、遥か異国の地ウータイにおいて今、その力が発揮
されているとは夢にも思っていなかった。 〜続く〜
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後書き
初めて投稿します。ひとりもの狼です。
・・・それでいきなり18禁かいっ!(ひとりツッコミ)
ま、まあ、その辺はそれくらいキャラ達が好きって事で(汗_汗)
この小説、これだけでも長い上にまだ続きます。作者もプロットとか立てずに書
いてるので、最終的な長さは未定ですが、一応良識的な範囲内で(なんじゃ?そりゃ)
結構感想とか楽しみにしてるんで、良かったらメールでも掲示板にでも感想下さ
い。
それでは、(寝不足で事故に遭わない限りは(笑))また。
みゃあ様へ・・・うちの猫は みゃあ と鳴かない。……どーでもいいか。
みゃあ
の感想らしきもの。
ANOTHER1