宝物

其の六

作・ぽんたさま


 二日後の朝、ウィルは教会の時計の前に立っていた。

 現在時刻は8時。約束の時間より1時間ぐらい早い。

「あら、うぃるちゃん、おはよう。今日は早いのねぇ」

「あ、ジェームズんちのおばちゃん。おっはようございま〜す」

 礼拝にやってくる人たちと笑顔で挨拶を交わす。

「今日はおしごとかしら?」

「そう、さる貴族さまの御依頼で捜し物すんの」

「あら、そうなの。今度、なにか必要だったら、うちのジェームズも使ってやってね。じゃ、がんばってね」

 

「うぃるぅ、おはよ〜〜〜〜っ!!」

 遠くのほうから、マギーが手をぶんぶん振りながら走ってきた。腕にはバスケットがさげられている。ウィルはにっこり笑って手を振りかえした。

「はぁ、はぁ、まにあったぁ?」

 かなり遠くから走ってきたので、さすがに息を切らしている。

 ウィルは腕まくりをして、時刻を確認する。

「今、8時37分だから、全然平気だよ」

「あ、よかったぁ。それより、ウィルが腕にしてるの、何?」

「ん? これのこと?」

 腕に巻かれている、小さな機械をマギーに見せるようにする。それを見てマギーがうなずく。

「これは、腕時計って言って、時間を知らせる道具なんだ」

「時計って、教会にある、あの大きなやつ?」

「そう。あれと同じ仕組みなんだ。最近、王都で発明されたんだって。いつでも携帯できるから便利だからかな? この前エドのお客さんにもらったんだ」

「すごい小さいのね。でも、便利ねぇ。あ、ちゃんと秒針まであるんだぁ。いいなぁ、うぃるぅ、ちょうだい☆」

「これだけは、だめ。あげられないから、見るだけにしてお願い」

「えーーーー!?」

 不平そうな声を上げているわりに腕時計を楽しそうに見るマギー。いじりたそうに手を動かしている。

 

「おぉい、うぃるぅぅ、まぎいぃぃ……」

 遠くから声が聞こえてきた。見ると、バズが大きな荷物を背負ってやってくるのが見えた。

「バズ、おはよー」

「遅いわよぉ! バズ早くぅ!!」

 マギーに急かされ、走ってくるバズ。でも、とても走ってるようには見えない(^^;

「バズ、何そんなに持ってきたんだ?」

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

「ちょっと、バズ大丈夫?、とりあえず、水でも飲んだほうがいいわよ」

 そう言って、マギーは水筒から水を注いで、バズに手渡した。バズはカップを受け取ると、一息に飲み干した。少しむせる。

「ごふっ! はぁ、はぁ……マギー、ありがと……」

 ようやく落ち着いたバズは、背中から荷物を降ろした。

「これ? お父さんに言ったら、これだけは持っていった方がいいっていうから、もってきたんだけど……」

 ウィルは、人一倍優しく、心配症なフェナット医師の姿を思い出して含み笑いをもらした。バズは自分の荷物の量とふたりの荷物の量の差に驚いている。

「ま、いいや。それより、もうすぐ9時になるなぁ。そろそろ来ていい頃なんだけど」

 ウィルは街道のほうを見て呟く。

「え? なんか来るの?」

「いちおう、捜す日が決まったからってスレイ夫人に伝えたんだ。そうしたら、馬車を出してくれるって言うからお願いしたんだけどなぁ」

「まだ時間じゃないもの。もう少しまってみましょうよ」

 マギーはそう言うと腰を下ろした。ウィルとバズもそれにならった。

 

 やがて、街道の彼方から一台の馬車が姿をあらわした。ウィルたちを見つけると、御者のおじさんは手を振った。

「遅くなってすまないな。今日一日、よろしく頼むよ」

「こちらこそ、よろしく♪」

「よろしくね☆」

「よろしくおねがいしますぅ…」

 ウィルたちは、それぞれ荷物を持って馬車に乗った。(バズの荷物は、御者のおじさんに手伝ってもらった)

「それで、まずは何処へ行かれますか?」

 調子のいい御者のおじさんがうやうやしく尋ねる。

「んー。それじゃ、とりあえずエフェソスに行ってくれる?」

「港町エフェソスかい? わかった。じゃ、行きますよ?」

 御者が鞭をふるう。一声いななくと、馬車はゆっくり動き出した。

 

「なんで、すぐにシドンに行かないの?」

 馬車が動き出してからしばらくして、マギーがたずねた。

「ん? だってさ、いきなりシドンに行って何にもなかったら悲惨じゃん。とりあえず情報収集情報収集♪ ほら、バズの好きな情報収集だぞ」

「えーっ! 僕がやるのぉ?」

「そ。俺は捜し屋の星にしたがって行動するから」

 当然、といった面持ちでバズを見るウィル。となりでマギーがこくこく肯いている。

「捜し屋の星って……そんな非科学的な……」

「あら、バズは信じてないのぉ? あたしはウィルを信じてるわ」

「ほらほら、そういうと思った。なら、科学的で地道な捜査はバズに決定!」

 ぱちぱちぱち、とマギーが拍手する。なんか、うまく利用されてるような気がするバズだった。

 

「おーいっ! そろそろエフェンスにつくぞぉ!」

「はーいっ!!」

 そう言えば、何時の間にか磯の香が漂ってきている。ウィルは元気よく答えた。

「マギー、バズ、そろそろ着くって。ちゃんと降りる準備しろよぉ」

「はーいっ!!」

 元気よく答えるマギー、返事がないバズ。

 不思議に思ってバズのほうを見ると、バズは青い顔でうずくまっていた。

「バズ、また酔ったのぉ?」

「おーい、バズ、平気か? しっかりして、もう少しでつくからな」

「……うん……」

 力なく答えるバズ。

「ねぇねぇ、海が見えるよ。すご〜〜い!!」

 そんなことはお構いなしに、マギーは、窓の外を眺めていた。

 

(つづきます)

 

 

 

 ぽんたのあとがき\(^▽^)/

 

 あはははははは……進んでいない……

 とりあえず、この次からは宝捜しをはじめます!

 多分たいしたおはなしにはならないと思うけど……。

 まぁ、お楽しみにしていただけると嬉しいです☆

 

 ☆今年の顔! といえば米良。もののけ〜の米良です☆

 

 さて、いまだにメールの使い方がわからないぽんたなのですが、もし、読んでいただいて、何か感想でも残りましたら、掲示板の方に書いていただけると幸いでございます。

 

 

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