マギーは、ここヨルカ村の村長、グレアムの末娘である。ゆえに、マギー家は結構な広さがあった。ウィルとバズは、まわりをキョロキョロしながらマギーの後をついていく。
「うぃるぅ、ばずぅ、何キョロキョロしてるのよ?」
不審に思ったマギーが二人にたずねる。バズは小さな声で
「だって、グレアムさんに見つかるのやだもん。怒られちゃうよぉ」
「バズはまだいいよ。なんかグレアムの奴、ゴーダ家代々に恨みがあるみたいなんだよなぁ。しょっちゅう文句言ってくるんだぜ」
「まぁ、お父さまは『働かざるもの食うべからず』的な人だから、しょうがないわよ」
慌ててフォローするマギーに対して、ウィルはジト目で
「それって、俺やうちのじーちゃんが、ぶらぶらしている遊び人だってこと?」
「そんなこと、言ってないわよぉ」
「今の言い方だと、そうとしか聞こえないんだよなぁ」
皮肉を言うウィル。マギーはそんなことを言われると思ってなかったようで、突然黙りこくってしまった。肩がぴくぴく震えている。
「あーっ! ウィル!! マギーを泣かしたなっ!!」
「うるさいなぁ……」
「何がうるさいんだよぉっ! 謝れよぉっ!!」
マギーのことになると、とたんに強気になるバズ。ウィルはその迫力にやや押されながらも、バズに「わかったよ」と言って、マギーのそばに近づいて
「マギー、ごめんね……。そんなつもりじゃなかったんだ……。ただ、ついかっとなっちゃって……」
「ううん。私のほうこそ、ごめんなさい……」
一旦、言葉を切る、上目遣いでウィルを見つめながら、
「許してくれる?」
そんなマギーに、ウィルはやさしく微笑みかえし、
「もちろん!」
とやさしく言う。とたんにマギーの顔にも笑顔がもどる。
一方、バズは、マギーが元気な姿に戻ってうれしいものの、なんかウィルとマギーの距離がまた一歩近づいた気がして、少し悲しかった。
「それでは、この『宝の地図(仮)』について考えてみようっ!」
「わーーーーーーーっ!! ぱちぱちぱちぱち」
盛り上がるマギー。覗き込むように地図を見るバズ。
「ところで、この地図どうしたの?」
「これ? 今朝うちの郵便受けに入ってたんだよ。あ、そうだ、バズ、字読めるよな」
バズは困惑したような表情(かお)で、ウィルの方を見る。が、納得したようにうなづいた。
「いいよ。なんか読むの?」
「この地図に、手紙がついてたんだよ。読んでくれない?」
手渡された手紙を眺めるバズ。マギーも覗き込むように見ている。
「汚い字ねー。読めないじゃない」
「マギー、これは字が汚いんじゃなくて、達筆なんだよ。えーと、なになに……
『ウィル=ゴーダへ。あなたをあの著名なトレジャーハンター・トリック=ゴーダの息子と見込んで依頼したい。知っての通り、現在貴族階級の生活は大変逼迫している。当家とて例外ではないのである。
そんな折、家の中を片づけていると、陶器で出来た小さな箱を見つけた。開けてみると、教会語で書かれたメッセージと、一枚の地図が入っていた。これは、我が家に代々伝わる秘宝の在処を伝える地図ではないかと考え、捜し屋であるあなたに依頼することになりました。とりあえず、地図を送ります。もし受ける気があるのなら当家に参上なさい。
尚、報酬は1日銀貨2枚・財宝発掘の暁には財宝の1割ということでいかがでしょう。
それでは、良い知らせをお待ちいたしております。 リュージュ家当主婦人』
……結構難しい字が多いけど、こんなところじゃないかな」
「なんか偉そう。貴族ってみんなそうよね。でも、なんで財政が苦しいのかしら? うぃるぅ、貴族ってみんなお金持ちなんじゃないの?」
田舎の子供にとっては、王様=偉い、貴族=お金持ちというイメージがあるのだろう。ウィルはそんなことを思いながら、
「昔は、そうだったんだけど、今の王様になってからは新しい税制が定められたんだ」
「知ってる、『相続税』とかっていうやつだろ?」
「そ。バズ正解。マギーはわかる?」
「わかんない。なぁに? そうぞくぜぇって」
「どこの家でもそうだけど、当主が死ぬと次の当主が財産を受け継ぐだろ?」
「そうよね」
「でも、その時に、貴族階級は財産の量によって、税を徴収されちゃうんだ」
「なんでぇ? 断っちゃえばいいじゃない」
いまいち釈然としないご様子。
「やっぱり、時代に合わせて、貴族だけを特別扱いにするのをやめたんじゃないのかな。僕はこう思うんだけど。どうかなぁ」
「ま、バズの言うような感じじゃないのぉ? ま、それは置いといて……要は、宝の地図かもしれない地図が出てきたから、もしあればラッキーっていうことだろ」
「なんか虫のいい話ねぇ。万が一ってことでしょ」
「それだけ苦しいのかな? リュージュ家は。まがりなりにも貴族なのに?」
まだ、貴族=特権階級&お金持ちというイメージが捨て切れないバズ。ウィルは苦笑しながら
「リュージュ家のお家状況は置いといて、俺は行ってみようかなって思ってるんだけど、マギーとバズはどうする? 一応それなりに手伝い料は払うけど」
「はいはいはいっ! わたしも行くぅ!! ウィルも助手必要でしょ? お手伝いしてあげるからぁ!!」
「もちろん行くさっ! 勝負だぞっ! 抜け駆けするなよぉ!」
(抜け駆けも何も、誰の仕事なんだか……)
意気込むふたりに、ウィルは最高の笑顔をむけた。
「よし、頑張るぞぉ!! ものども、行くぞぉっ!!!」
『おーっ!!!!』
(つづきます)
ぽんたのあとがき\(^▽^)/
話が進んでない……
いやぁ、書いてみると難しいものですねぇ。おはなしって。
なかなか思うように書けない書けない。頭の中ではなんとな〜くプロットがあるんだけど、形にならないならない。
ま、それは置いといて、今回は3人にスポットをあてて、雰囲気が出せればなぁと考えてたんですけど。伝わったかなぁ。不安。とりあえず、ここで補足を……
主人公のウィルは14歳。捜し屋3代目である。性格はお調子者的で、面倒見もいい。ただ、熱中するとまわりが見えなくなる。ちょっとした事情があって、現在は祖父にあたるエドウィン=ゴーダとの二人暮らし。
ヒロイン(笑)のマギーは13歳。3人が住むヨルカ村の村長グレアムの末娘である。元気で明るい、可愛い女の子☆ 性格は人一倍強きな反面、かなり脆い部分もある。ウィルが大好き☆
バズは14歳。設定としては、医者の息子。考えることは好きだが、人一倍人見知りする性格なので、いつもおどおどしている。が、マギーがからむと性格が変わる。マギーに報われない片思いを続けている。ウィルにライバル心あり。
書かなきゃ分からない? ひー、すいません(^^;
それでは、頑張って続きを書いていきますんで、これからもよろしくお願いします☆