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アスカの手をひいてあるく。
そして、そとへ・・・・・・・・・。
部屋のなかと違い、外は陽射しをさえぎるものはなく、僕とアスカに光がふりそそぐ。
来たときとはちがって、僕は嘘のように気分がすっきりしていた。
アスカのほうにふりかえる。
ひざ上までの丈の白いジャケット。
アスカの長くてスラッとした足がジャケットからはみ出している。
ジャケットの白さよりも、さらに白いアスカの足。
アスカは素足のままだった。
「アスカ、足痛くない?」
「平気。」
いま、アスカは玄関から外へと続いている石だたみの小道を歩いていた。
アスカが突然、立ち止まる。
立ち止まったせいで、僕はアスカにひっぱられる形になった。なんとか転ばなくてすんだ。アスカが僕の手をはなす。
僕はアスカのほうに振り返った。
「わあ。冷たい。」
アスカは小道からはずれて、雑草がしげる地面の上に立っていた。
土の感触を確かめるように、アスカはそっと片足を土につけたりはなしたりを繰り返している。僕のことをすっかり忘れてるみたいだな。
「シンジ、シンジ・・・。」
アスカが僕を呼ぶ。
アスカが無邪気に土とたわむれているのをボーっと眺めていたせいで、アスカの呼び声に気づかない僕。
「シンジってば!」
少し怒った口調。
「なに?アスカ。」
僕はアスカにあるみよった。
「シンジもね。しっしょに・・。」
アスカのいいたいことがわかって、僕ははいている靴を脱いではだしになった。
ひんやりとした土の感触が肌をつうじて伝わってくる。
懐かしいかんじがした。
そういえが、よく、この庭で泥んこ遊びをしたな。楽しかった。
いつも、2人で遊んでた幸せな日々・・・。
2人?
僕はだれと遊んでたんだろうか・・・・・・。思い出せない。
「どう?気持ちいいでしょう。」
アスカが僕の顔をのぞきこんでいる。
「そうだね。なんだか、ほっとするね。どうしてだろう・・・。」
あたたかでやわらな陽射しが、地面にふりそそぐ。
アスカをつつんでいるよう・・・・・。
宝石のよな綺麗な瞳。
「どうしてかしらね・・・・。」
アスカは僕のまなざしからのがれるように、くすぐったそうににこにこしている。
僕は土のうえにねっころがった。土の、草のにおいえをすいこむ。
アスカはその場でピョンピョンととびはねている。
その振動がつたわってくる。
元気なアスカ。
僕はそんなアスカをみて、思わずクスっと笑みをもらした。
「あーー!笑ったな。シンジ。」
アスカがむくれる。
僕は、まだ、クスクスと笑いながらアスカに言った。
「ごめ・・ん。つい・・。クスクス・・。」
アスカのむくれた顔もかわいい。
「もう、シンジなんかしらない。」
ぷんぷんとむくれたアスカは、つんと顎をあげてそっぽをむいた。
さすがに、笑い過ぎたようだ。でも、くるくると変わるアスカの表情は愛くるしい。
「ごめんって。アスカがあんまり無邪気に喜んでるから。
なんだか、僕もうれしくなったんだ。」
アスカの耳がピクっとうごく。そして、チラっと僕をみるアスカ。
「ほんとにそれだけ?」
確かめるように聞いてくるアスカ。
アスカには、嘘はいえない。いってしまったら、アスカが傷ついてしまうから。
「ほんとだよ。」
アスカは嬉しそうに、僕の手をまた握ってくれた。
僕はかつての我が家を見上げた。、
欠けた記憶の手がかり。
ここにあるのかもしれない。
アスカのこともわかるかも・・・・・。
アスカ。
どうして、ここが気になったのか。わかったような気がする。
アスカとの突然の出会いは、しくまれていたのかもしれない。
ミサトさんがなにかをしっていることは明らか。
聞いてみよう。ミサトさんに・・・・・・。
夢の中の、写真にうつっていた女の子。
アスカとそっくり。
ドールは人間と同じで心をもっている。1つ違うことは、年をとらないこと。
ドールのアスカが成長するわけないし・・。
「きれいね。この家。」
僕が考えごとをしていると、アスカがそう言った。
どこが、きれいなんだろう。
「グリーンハウス。」
アスカがまた、つぶやく。
緑におおわれた家。
忘れられていた、家。でも、確かに僕は5才までここで育った。
いい思い出ばかりじゃないけれど、幸せだった日々もあったんだ。
そう思ったら、僕も、「きれい」だと感じた
いまの僕があるのも、ここがはじまりなのだから。
また、ここに来よう。
僕は、ゆっくりと起き上がる。
2人とも足が泥だらけだった。
アスカの背に右腕をまわし、アスカを抱き上げる。
僕はグリーンハウスをふりかえることなく、アスカを運んだ。
車にアスカを乗せる。
リツコさんは、いろんなものを作る。機械文明が消滅して、地面を掘り起こせばなんらかの廃材がでてくる。
この車というものも、リツコさんが廃材から作ったものの1つ。
みんな僕の帰りをまってるだろうな。帰ろう、アスカをつれて。
僕の帰る場所はここじゃないから・・・・・・。
「父さん、アスカはかえしてもらうよ。」
どうして、今はいない父さんにそういったのか、わからない僕だった。
第4話bパート書きました。
なんだか、今回は疲れました。
アスカがあっちにいったりこっちにいったりして。
お願だからもう少しじっとしてくれー!(^_^;)
次回からは、ミサトさんなど登場予定。やっとでてきてくれる。
予定よりもかなり遅い登場だな。