【Doll】

第1話

作・setuさま


 

 

 

 

 

 

かつて、人々から天才人形師と称された男がいた。

 

碇ゲンドウ、である。

 

しかし、彼は幼い一人息子を残して病死してしまった。シンジは父の残したドール、レイとゲンドウの弟子の一人の葛城ミサトによって育てられた。

この物語は、シンジが14才をむかえた年から始まるのである。

 

 

 

 

 

まわりには人家が一つも見当たらない。見渡す限り、木々や草。森林と草原。

緑一色の景色であった。その緑一色の中に一本の道が続いており、そこを車に乗って移動する少年がいた。

黒い髪に瞳、まだ、あどけなさが残っている少年。

成長すれば、かっこよくなるだろう少年は、碇シンジだった。

 

なぜ、シンジが、こんな辺ぴな地を訪れたのか。

きっかけは、シンジが保護者のミサトから14才になった日に父ゲンドウの財産を継いだことだった。

天才といわれただけのことはあり、一生遊んで暮らせるほどの額であった。そのなかで、シンジには覚えのない住所があった。

シンジはそこが気になり、ミサトに聞いた。

 

「ここをどうするか、決めるのはシンジくん、あなたよ。」

 

ミサトはシンジにそれだけしか言わなかった。その時、ミサトの瞳に悲しみとも喜びともつかぬ影があったことを、シンジは気づかなかった。

 

レイもいっしょに来ようとしたが、シンジが一人で行きたいと思い、レイは連れてこなかった。一人で行きたい、と強く思ったのである。

レイは、No.0。

最初に魂がやどったドールであった。レイは、見た目は18才である。ドールは人形なので年をとらない。マスターを失ったドールは、マスター愛しさに、ただの人形にもどるか、狂い死にしてしまう。

しかし、レイはゲンドウがシンジを愛していたように、シンジを愛することで人形にも狂い死にもしなかったのである。

シンジとレイは、姉弟のように生きていた。ミサトとともに。

 

 

緑しかない視界の中に、古い建物がみえてきた。

機械文明がとうの昔に消滅し、この時代に車は貴重である。その車からシンジはおりた。

 

白い壁にツタがおいしげり、建物の形をわからなくしていた。シンジは建物の近くへ歩みより、上を見上げる。

教会のような輪郭をした建物。

どうみても人などが住んでいるようには見えない。

シンジは玄関であったと思われる扉に手をかけた。

 

ガッコン・・・・・・・。

 

扉の音が室内にひびきわたる。

 

中へと足を踏み入れてみる。

 

中はガランとしていた。

シンジはここを知っているような気がした。

 

そして・・、思い出した。

 

ここは、父の仕事場・父が死んだトコロ、レイが生まれたトコロ、シンジが育ったトコロ・・・。

懐かしさとも悲しみともいわれぬ思いがシンジのなかをかけめぐった。

 

「そして、母さんが死んだトコロ・・・。」

 

シンジはポツリと言葉をもらした。

 

(どうして、忘れてたんだろう。ここは・・・。)

 

「かつての・・・・僕の家。」

 

シンジは、一歩、また一歩と我が家であった建物の中を進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

第1話終

 


 

こんにちわ。はじめまして。

setuといいます。EVAのSS書いたのは初めてです。

パソコンをはじめて1月半がたとうとしてます。もともと、小説は趣味で書いてまし

たが、アニメのキャラをつかったものは初です。

よろしくお願いしますね。

 

第1話はいかがでしたか?

なんか、シリアスになったなと、自分で思ってます。

今のところアスカは登場してませんが、ヒロインはアスカです。

主人公はアスカの予定だったのですが、シンジになっちゃいました。

続きを書いていくので読んでくれると嬉しいです。

 

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