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アスカが僕らの家にきて、数日が過ぎた。
ここ数日で、アスカとレイは、すっかり仲良くなっていた。
レイは必要以上のことを言わない。
本当につらかったりしない限りは、僕やミサトさんに話してこない。
何でも、一人で抱え込んでしまうクセがある。
レイにとって僕はなんだろうか、と以前に聞いた。
その時、レイは・・・・・・・。
「シンジはあの人が残してくれた大切な・・・・・・。」
レイはそこで、言葉を1度きる。
僕はレイがつむいだ言葉がとても嬉しかった。今でも、はっきりと覚えている。
「大切な家族なの・・・・・・・。」
レイの言葉。
家族ってなんだろう。
僕にとっての家族・・・・・・。
父さんと母さん。
血のつながり。
2人とも僕の幼いころに死んでしまっている。親であることは事実。
でも、家族っていえるのかな。
なにかが違うと思う。
振り向いてくれなかった父さん。
記憶の欠片にも存在しない母さん。
でも、レイを見ていると、ふとした瞬間に脳裏に浮かぶビジョン。
僕に似た面影。
いや、僕が似ているのかな。
ショートの綺麗な女性の笑顔。
レイの笑顔ととても似ていた。
でも、どこかが違う。
この女性が母さんなんだろうか、そう思っていたときに見つけた1枚の写真。
グリーンハウス。
かつての我が家にあったもの。
父さんと母さん。そして、僕とアスカにそっくりな女の子。
おそらく、この女性が僕の母さんなのだろう。
とても、懐かしく感じている僕がいる。
父さんのことを思い出しているときに抱いたことのない気持ち。
幼子が迷子になって、やっと、親と会えたときのような感じ。
思い出したい。母さんのことを。
顔は忘れていたけれど、ミサトさん達から母さんのことはいろいろ聞いていた。
思ったとおりの人だった。
慈愛にみちた女性・・・・・。
僕は母さんとどんなことを話したんだろう。
母さんと過ごした数年間。失った僕の記憶と同じだけの時間。
物心がついたとき、すでに僕のそばにはレイがいた。
僕は他人と触れ合うのが苦手だ。
初めてレイに会ったとき、そういえば僕は・・・・・・。
プラチナの髪。
見慣れた後ろ姿だと思った。
僕は迷わずその女性にかけよって抱き着いた。
「母さん。」
そう、確かに僕は、レイに初めて会ったときこう言った。
思い出した・・・・・・・・。
いつのころだったんだろう。わからない。
「母さん。」と、言ったとき、レイはとても悲しそうな表情をした。
でも、レイは僕の頭をなでると、抱きしめかえしてくれた。
「シンジ。これはユイではない。生きた人形、ドールだ。」
父さんはレイを「これ」と言った。
一見、人間に見える精巧な人形、からくり人形のドール。
生きているのに、心をもっているのにモノ扱いした父さん。
僕は、この時初めて父さんを嫌った。憎んだかもしれない。
僕の記憶するぬくもりは、レイのぬくもり。
父さんと母さんのぬくもりは知らない。
父さんはレイに対して、優しく名前を呼んで仲むつまじくしているかと思えば、時々、まるで汚らわしいものであるかのように、レイを見ていた。
レイはだんだん、僕以外に心を開かなくなっていった。
僕はレイを一人占めできて嬉しかった。
そして、気がついたら僕とレイは、寄り添うように生きていた。
グリーンハウスで・・・・。
ミサトさんが僕とレイを迎えにくるまでは。
血のつながり。それはある意味では大切。
でも、性格や人柄。内面は血のつながりとはあまり関係ない。
心のつながり。
目にははっきりと見えない。
不思議と感じることできるもの。
ミサトさんとレイ。
もし、家族と呼ぶのなら、この2人だ。
僕の大切な家族。
守りたい。
ミサトさんは僕が生まれたころから僕のことを知っている。
僕が失った記憶の欠片。
ミサトさんが知っていることもあるらしい。
ミサトさんはよく僕のことをからかう。でも、それはお互いのスキンシップ。
気を許しあっているから・・・・・・。
長い時間を共有してきた家族だから。
からかわれて、困ることもある。戸惑うこともある。でも、僕は怒ったことはない。
つい、笑ってしまう。ミサトさんだから仕方ないなと思ってしまう。
ミサトさんも僕と同じように両親がいない。
ミサトさんが子供のころになにかの事故でなくなったそうだ。
恋人の加持さんと2人で僕を育ててくれたミサトさん。
加持さんは、僕にとってお兄さんみたいな存在。
ミサトさんやレイの次に大切な人だ。
今は放浪していて行方不明だけどね。
新しい家族、アスカ。
不思議な存在。
数日前に出会ったばかりなのに、僕らの中にもうすっかり溶け込んでいる。
氷のようなレイの心をもとかしたアスカ。
本当の姉妹のような2人。
同じ人形師に作られたのだから、本当の姉妹ということができる。
ミサトさんも変わりつつある。
加持さんと連絡がつかなくなって以来、久しぶりに楽しそうに笑うのをみたような気がする。
ミサトさんが僕のことをからかったりすると、アスカが怒ってミサトさんと衝突。
必ず口論になる。
時には、取っ組み合いの喧嘩にまで発展した。
2人の喧嘩は絶えないけれど、2人ともとても生き生きとしている。
ため息の多かったミサトさんが、ため息をつかなくなったとにレイが気づいた。
みんな何らかの影響をアスカから受けている。
僕とアスカ、レイ、ミサトさん・・・・・。
新しい家族、アスカ・・・・。
アスカにとっては、初めての家族・・・。
僕はまだまだ子供だけど、これから大人に近付いていく。
大切な人たち守りたい。
守りたい。
それが今の僕の願い・・・・・。
bパート書きました。
今回は書いていてなんだか疲れました。
家族について考えるのは難しいわ。(^_^;)
両親がいない子供の気持ちはわからなし。わたしは両親いて、仲がいいからなあ。
だから、考え方がかたよっているかもしれないんで、そこのところをご理解ください。
さて、アスカを家族として迎えた3人(シンジ、レイ、ミサト)。
これからどうなっていくのか・・・・。(^.^)
過去を振り返った話ばっかりだったから、次回はちゃんと続き書きますね。