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部屋の中は、さまざまな人形たちがあった。棚に並べられるてあるの、床に無造作に転がっているもの。持ち主に忘れられた哀れな人形たち。
僕は部屋の中を見渡した。窓から差し込んでくるかすかな光で、かろうじて中の様子を見ることができた。
目が暗がりに慣れてくる。
父さん達が作った人形だった。父さんやミサトさん、リツコさんの作った人形は、人気があって高く売れるらしい。でも、僕には興味のないことだった。
ころがっている人形を踏まないように足元を見ながら歩く。
「それにしても、人形以外なんにもないんだ。」
父さんが死んでミサトさんが僕を引き取ったのは、僕が5歳で、ミサトさんが20歳のときだった。
心をもった人形、ドールのレイもミサトさんがいっしょに引き取った。
レイは人間じゃないから戸籍がない。ドールは父さんが作った人形のなかで1番マニアがほしがる。レイもいつ狙われてもおかしくなかった。
ミサトさんはそれを心配して国にレイの戸籍を要請してくれた。
今、レイが平穏に暮らしてられるのは、ミサトさんの力と人形作りのさかんな国、ネルフの理解があってこそだった。
ネルフは人形作りの盛んな国。
いろんな人形があって、腕のよい人形師達がいる。
ミサトさんやリツコさんはネルフを代表する人形師だ。ミサトさんはドールハウス専門、リツコさんは人形病院の医者で、壊れた人形を直している。専門はからくり人形で、一番技術が必要とされる分野だ。
からくり、オートマタ、陶器、木彫、ガラス、紙、石、ビスクドール、操り人形・・・・。
種類は数えられないほどある。
レイのほかにも、心を持った人形、ドールは何人かいるが、所在がわかっているのが、NO.00(レイ)、05、07の3人のドールだけ。
何人ドールがいるのか、はっきりした人数は不明だった。
僕は人形をよけるのが面倒になって座り込んだ。
「はあ・・・。」
ため息をつく。
「ここをどうするかは、決めるのはシンジくん、あなたよ。」
と言った、ミサトさん。
ミサトさんが僕を「シンジくん」と呼ぶのは、ミサトさんが僕にまじめに話すときのクセだった。
ミサトさんは、「シンジくん」っと言った。
ここには、なにかあるのかな。
そういえば、ミサトさん、ここのことを話してたとき、なんか様子がへんだった。
どこか、悲しそうだったな。なんでだろう・・・・・・。
と、その時、脳裏にビジョンが浮かぶ。
茶色のロングの髪、青い宝石のような瞳をした女の子。
4・5歳くらいの。
女の子は泣きじゃくっている。
シンジを見つめて・・・・・・・・・。
「まただ・・・・・・・・。また、この女の子のか。」
このごろ、僕は泣きじゃくる女の子のことがの脳裏に浮かぶ。
最初は夢のなか。
見覚えのない女の子。
なんで、僕を見つめてないてるんだろう。
なにがそんなに悲しいの。
そういえば、このことをミサトさんに相談した直後に、父さんの遺産を渡すとミサトさんが言い出したんだ。
なにか関係あるのかもしれない。
「・・・。」
その時、シンジは誰かに呼ばれたような気がした。
「・・・。」
気のせいじゃない。確かに誰かが僕を呼んでる。
どこからだろう。
立ち上がって歩き出す。
その音なき声のしたほうへ駆け足になっていた。
行き着いたさきは・・・。
「父さんの仕事場・・・。」
ここは嫌いだった。
母さんが死んでから、父さんはなにかにとりつかれたみたいに仕事場にこもって人形を作った。
そして、レイが生まれた。
母さんのかわりなんて誰にもできないのに・・・。父さん・・。レイは見た目は18歳。
18歳。父さんが母さんと知り合ったとき、母さんは18歳。
レイをとおして母さんを見ていた父さん。
レイはいつも哀しそうに父さんを見つめていた。
でも、もうその父さんはいない。
逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ!
ここには、なにかがある。
だから、逃げちゃだめなんだ。
僕は父さんの仕事場に足を踏み入れた。
さっきの、部屋よりは明るかった。
天窓から部屋全体を照らすように光がさしこんできている。
ここにも、たくさんの人形があった。
作りかけのものや人形を作るためのさまざまな材料、道具。
ふと、作業台の上に目がいった。
そこには、
笑顔のゲンドウとユイ。そして、ゲンドウに抱き上げられている2人の子供が写っていた。
1人はシンジ。もう1人は・・・・・・・・・・。
茶色のロングの髪、青い宝石の瞳、シンジとは違う白い肌をした女の子。
「夢の中の子だ。」
いたんだ。実際に・・・・・・・・・・・。
でも、僕の記憶にはこの子はいない。どうして?
ボーッとしていたせいか、シンジはなにかにつまずいて前のめりにおもいっきり転倒した。
「うわ!」
「いてて・・・。いったいなんだよ。」
足元に視線をむけると、おおきなケースが一つ。なにかの金属でできているようだっ
た。装飾もなにもない。
大人の人間が1人はいれそうな大きさ。
「なんだろう、これ?」
僕は好奇心からそのケースに触れてみた。
すると、つまずいたときには開かなかったケースが突然開いた。
シンジは一瞬見とれた。
その中には、裸身の少女が横たわっていたから。
あまりにも、美しい少女。
可憐・・・・・。
長いまつげ。
その瞳はとじられていたが、茶色のロングの髪に白い肌・・・・・・。
「この子だ・・・。」
シンジは顔がほころび少女に笑顔をむけた。
そのまなざしに愛情がこもっていることにまだ、気づかないシンジだった。
第2話終わりました。
今回から、シンジを主体で書くことにしました。1話は主体をおいてなかったので、
わかりくかった点が多かったとおもいます。
今回はいかがでしたか?
新幹線の中で一気に書いちゃいました。
ノートパソコンとにらめっこしたせいか、新幹線でよってしまった。(T_T)
なにか、わからないところ、ここはおかしいのでは、などのアドバイス、
または、「ドール」の感想くれると嬉しいです。
2話でアスカ絶対だすぞー!っと、思ってたのに・・・・。
登場したけどねむってるし(ーー;)
次回こそは、元気なアスカを出したいです。