【Doll】

第4話Bパート

作・setuさま


 

 

アスカの手をひいてあるく。

 

そして、そとへ・・・・・・・・・。

 

部屋のなかと違い、外は陽射しをさえぎるものはなく、僕とアスカに光がふりそそぐ。

来たときとはちがって、僕は嘘のように気分がすっきりしていた。

アスカのほうにふりかえる。

 

ひざ上までの丈の白いジャケット。

アスカの長くてスラッとした足がジャケットからはみ出している。

ジャケットの白さよりも、さらに白いアスカの足。

アスカは素足のままだった。

 

「アスカ、足痛くない?」

 

「平気。」

 

いま、アスカは玄関から外へと続いている石だたみの小道を歩いていた。

アスカが突然、立ち止まる。

立ち止まったせいで、僕はアスカにひっぱられる形になった。なんとか転ばなくてすんだ。アスカが僕の手をはなす。

 

僕はアスカのほうに振り返った。

 

「わあ。冷たい。」

 

アスカは小道からはずれて、雑草がしげる地面の上に立っていた。

土の感触を確かめるように、アスカはそっと片足を土につけたりはなしたりを繰り返している。僕のことをすっかり忘れてるみたいだな。

 

「シンジ、シンジ・・・。」

 

アスカが僕を呼ぶ。

アスカが無邪気に土とたわむれているのをボーっと眺めていたせいで、アスカの呼び声に気づかない僕。

 

「シンジってば!」

 

少し怒った口調。

 

「なに?アスカ。」

 

僕はアスカにあるみよった。

 

「シンジもね。しっしょに・・。」

 

アスカのいいたいことがわかって、僕ははいている靴を脱いではだしになった。

ひんやりとした土の感触が肌をつうじて伝わってくる。

懐かしいかんじがした。

そういえが、よく、この庭で泥んこ遊びをしたな。楽しかった。

いつも、2人で遊んでた幸せな日々・・・。

2人?

僕はだれと遊んでたんだろうか・・・・・・。思い出せない。

 

「どう?気持ちいいでしょう。」

 

アスカが僕の顔をのぞきこんでいる。

 

「そうだね。なんだか、ほっとするね。どうしてだろう・・・。」

 

あたたかでやわらな陽射しが、地面にふりそそぐ。

アスカをつつんでいるよう・・・・・。

宝石のよな綺麗な瞳。

 

「どうしてかしらね・・・・。」

 

アスカは僕のまなざしからのがれるように、くすぐったそうににこにこしている。

僕は土のうえにねっころがった。土の、草のにおいえをすいこむ。

 

アスカはその場でピョンピョンととびはねている。

その振動がつたわってくる。

元気なアスカ。

僕はそんなアスカをみて、思わずクスっと笑みをもらした。

 

「あーー!笑ったな。シンジ。」

 

アスカがむくれる。

僕は、まだ、クスクスと笑いながらアスカに言った。

 

「ごめ・・ん。つい・・。クスクス・・。」

 

アスカのむくれた顔もかわいい。

 

「もう、シンジなんかしらない。」

 

ぷんぷんとむくれたアスカは、つんと顎をあげてそっぽをむいた。

さすがに、笑い過ぎたようだ。でも、くるくると変わるアスカの表情は愛くるしい。

 

「ごめんって。アスカがあんまり無邪気に喜んでるから。

なんだか、僕もうれしくなったんだ。」

 

 

アスカの耳がピクっとうごく。そして、チラっと僕をみるアスカ。

 

「ほんとにそれだけ?」

 

確かめるように聞いてくるアスカ。

アスカには、嘘はいえない。いってしまったら、アスカが傷ついてしまうから。

 

「ほんとだよ。」

 

アスカは嬉しそうに、僕の手をまた握ってくれた。

 

僕はかつての我が家を見上げた。、

 

欠けた記憶の手がかり。

ここにあるのかもしれない。

アスカのこともわかるかも・・・・・。

 

アスカ。

 

どうして、ここが気になったのか。わかったような気がする。

アスカとの突然の出会いは、しくまれていたのかもしれない。

ミサトさんがなにかをしっていることは明らか。

聞いてみよう。ミサトさんに・・・・・・。

 

夢の中の、写真にうつっていた女の子。

アスカとそっくり。

ドールは人間と同じで心をもっている。1つ違うことは、年をとらないこと。

ドールのアスカが成長するわけないし・・。

 

 

「きれいね。この家。」

 

 

 

僕が考えごとをしていると、アスカがそう言った。

どこが、きれいなんだろう。

 

「グリーンハウス。」

 

 

アスカがまた、つぶやく。

 

緑におおわれた家。

忘れられていた、家。でも、確かに僕は5才までここで育った。

いい思い出ばかりじゃないけれど、幸せだった日々もあったんだ。

そう思ったら、僕も、「きれい」だと感じた

 

いまの僕があるのも、ここがはじまりなのだから。

また、ここに来よう。

 

僕は、ゆっくりと起き上がる。

2人とも足が泥だらけだった。

アスカの背に右腕をまわし、アスカを抱き上げる。

 

 

僕はグリーンハウスをふりかえることなく、アスカを運んだ。

車にアスカを乗せる。

リツコさんは、いろんなものを作る。機械文明が消滅して、地面を掘り起こせばなんらかの廃材がでてくる。

この車というものも、リツコさんが廃材から作ったものの1つ。

 

 

みんな僕の帰りをまってるだろうな。帰ろう、アスカをつれて。

僕の帰る場所はここじゃないから・・・・・・。

 

 

「父さん、アスカはかえしてもらうよ。」

 

 

どうして、今はいない父さんにそういったのか、わからない僕だった。

 

 

 

 

第4話bパート終わり

 


 

第4話bパート書きました。

なんだか、今回は疲れました。

アスカがあっちにいったりこっちにいったりして。

お願だからもう少しじっとしてくれー!(^_^;)

次回からは、ミサトさんなど登場予定。やっとでてきてくれる。

予定よりもかなり遅い登場だな。

 

By setu

 

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