|
僕は5才以前の記憶が欠けている。
父さんのことは覚えているのに、母さんのことは覚えていない。
医者の診断結果は、原因不明。
心のなにかが原因だろうと僕を診た医者はいった。
幼いころのトラウマ。
なにがあったのか、考えようとすると頭が痛くなる。
「ムリしなくていいわ。シンジくん。」
ミサトさんはこういうけれど。
どうかな。
心の傷か・・・・・。
ミサトさんは幼いころの僕を知っている。記憶が欠けてしまった原因も知っているのかもしれない。でも、僕はそのことについて聞いたことがなかった。聞けば、ミサトさんは教えてくれるだろう。でも・・・・・・。
恐い・・・・、のかもしれない。
思い出すのが。
思い出したくないから思い出せないのかもしれない。
記憶とゆう、パズル。
僕はいつもなにかをさがしていた。
ミサトさんとレイの3人でくらすようになってからずっと。
日ましに焦燥感は強まって、僕の心は色あせていく。
なにかが足りない。
心の1部が欠けているような感覚。
僕の心をみたしてくれるもの・・・。どこかにあるはずだと思っていた。
そして、見つけた。
僕の心のイチブを。
「アスカ・・。」
「なーに? シンジ。」
よべばかえってくる声。
愛しいモノの音。
僕はアスカが裸だったことを思い出す。
自分がきている真っ白なジャケットをアスカの肩にかける。
なるべく、アスカのほうを見ないように。
14才だけど、まだまだ、大人とはいえないけど、僕だって男だ。
異性の裸は刺激が強すぎる。たとえ、相手がドールでも。
ドールといっても、アスカは女の子なんだと、あらためて思ってしまう。
アスカは、そんな僕の行為がうれしいのか「ありがとう。」と言った。
腰を抱いていた腕をはなす。
アスカの折れそうなほどの細い腰。
女の子ってふれたら壊れてしまいそうだな。
そんなことを考えていると・・・・。
「シンジは覚えてないのよね?」
突然、不思議なことをアスカは僕にきいてきた。
「え?」
僕はなんのことかわからなくて、アスカにききなおす。
ききなおした僕をみて、アスカはどこか淋しそうな顔をする。そして、すぐに微笑む
アスカ。
「なんでもない。ごめんなさい、気にしないで。」
そういわれても・・・・。気にならないといったら嘘になる。
でも、アスカがそういう以上、僕はたずねることができなかった。
いずれ、アスカから話してくれると信じた。
「ねえ、アスカ。僕はアスカの‘ミズ’になりたい。」
アスカの瞳をまっすぐにみて話す。
アスカは何事かと、目をぱちくりさせる。
「水?」
よく変わるアスカの表情は、みていてあきない。アスカは生きているのだと実感させ
てくれる。
「花のつぼみが水をあたえられるのをまっているように・・・・・・。」
僕が最後まで言い終わらないうちに、アスカがその続きを口ずさむ。
「僕にとってアスカは、‘ミズ’となる存在なんだ。」
「わたしにとってシンジは、‘ミズ’となる存在なの。」
ユニゾンする言葉。
僕はその場に立ち上がった。そしてアスカに右手をさしのべる。
アスカは躊躇することなく、僕の手に右手をかさねた。
「行こうか。」
「うん。」
アスカも立ち上がる。
どこへ行くか言ってもいないのに、アスカは僕の手をとってくれた。
それがなによりも、今の僕には嬉しかった。
アスカの手と1枚の写真を手にして、僕は父さんの仕事部屋をあとにした。
aパート、書きました。
今回は話が短くてすいませんです。
わけたほうが区切りがいいかと思って、わけてみました。
はやく、ほかのメンバーを登場させたいSETUです。
2人は勝手にいちゃついてるし・・・。(^_^;)
アスカがかわいくてしかたないこの頃です。