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ひとすじの光。
まぶしい・・・・・・。
「んっ・・・・・・・・。」
薄明るく、ぼんやりしてくる視界。
だんだん明るさがましていく。
意識はまだ、はっきりとしない。
僕は寝ていたようだ。
もう少し寝ていたい・・・・。まどろんでいよう。
僕は寝起きは、いいほうなのに、今日に限って眠気がとれないでいる。
どれくらい寝ていたのかな。
僕は起きる気になれなくてベッドの上でごろごろとしていた。
体を反転させる。
「!?」
反転させたとき、僕は右手を誰かににっぱられたのに驚く。
ねっころがりながら、僕は何事かと思い右側にむいた。
「アスカ!」
僕は一瞬、息をのんだ。
僕のとなりでアスカがスヤスヤと寝ていたから・・・・。
一気に眠気がふっとんだ。
アスカの寝顔。
数センチとはなれていないところにアスカの顔がある。
僕は少しアスカからはなれようと体を動かそうとしたが、アスカが僕の右手をしっか
りとつかんで寝ているために、あまり動けなかった。
「どうしよう・・・・・。」
アスカの安らかな寝顔をみてしまっては、ふりほどくにふりほどけない。
「ま、いいっか。これで、アスカが安心してねられるのなら・・・。」
そう考えたら、僕は、また睡魔におそわれた。
ねむいな・・・・・・・。
僕も寝ようかな・・・。
僕はその時、1つ疑問に思った。
「どうして、僕とアスカがベッドで寝てるんだろう?」
たしか、車で移動中だったはず。
アスカは寝てたけど。
寝起きの頭で考えても、思考力はそこで止まってしまった。
ねむい・・・・・・・。
アスカの手にかるくキスをすると僕はまた、眠ろうと布団のなかにもぐりこむ。
「みーたーわーよーー。しんちゃん。♪」
ミサトさんの声?
じゃあ・・・、ここは・・。
「もしかして・・。僕の部屋?」
眠い・・・。
僕は眠かったが、気になって頭を少しあげた。そして、部屋の中を見渡す。
机、本棚、そして、いくつかのダンボールに、コントラバス、ピアノ、人形を作るた
めの材料に道具・・・・。
必要なもの以外なにも置いてない僕の部屋。
レイの部屋に比べたら、物はあるほうなんだけど。
ミサトさんにいわせると、年頃の男の子の部屋にしては殺風景らしい。
僕はぼく。
ほかの人はほかの人なのに・・・・。
ミサトさんの部屋は・・・、物があり過ぎるというよりも足の踏み場がないくらい散
らかっている。結局、いつも、掃除をするのはミサトさんじゃなくて僕。
もう少し、掃除する身にもなってほしい。
掃除した次の日には、いつもの散らかったミサトさんの部屋に戻ってしまう。
どれくらい散らかってるかというと・・・、ミサトさんの恋人の加持さんが以前、ミ
サトさんの部屋をみて、
「ブタ小屋のほうがきれいかも。」
と、僕に言った。
これは言い過ぎだと思うけど、とにかくすごい・・・・。
加持さんは、加持リョウジといって、ミサトさんの恋人。ミサトさんが僕を引き取っ
たころくらいから2人は付き合っている。
加持さんも人形師で、専門は陶器やガラスの人形。
その分野では、加持さんの右にでるものはいない。
今、加持さんはなにかをつかみたいといって、修行の旅に出ている。簡単にいってし
まうと、ここ2年近く、行方不明。
なにも連絡がない。そのせいなのか、ミサトさんが夜中に泣いていたことがあった。
ミサトさんの初めて見た女としての顔。
僕はその時、ミサトさんになにも言えなかった。ただ、黙っていただけ。
まだまだ、僕はただの子供なんだと、そう思い知らされた。
僕は部屋の中を見渡している途中で、ミサトさんと視線があった。
ミサトさんは片手を口にあてて、にやにやと笑っている。
「ミサトさん?」
ミサトさんはレモン色のタンクトップに白い短パンを着ている。
また、露出度が・・・・・。
目のやり場にこまってしまう。
肩、長い手、そして、すらりとした足をおしげもなく出している。
いくら、服を着ているといっても、タンクトップでは・・・・、胸の大きさがはっき
りとわかってしまう。ミサトさんの胸はアスカより大きい・・・・。
いつも、体のラインがはっきりとわかるような格好で家の中をミサトさんは歩きまわる。
僕やレイが何回注意してもやめない。
もう、あきらめているが・・・・。
「ミサトさん、なんですか?」
眠たい目をこすりながら僕は聞いた。
「シンちゃんたら、手がはやいんだからん。♪」
まさか・・・。
「ミサトさん、みてたんですか?」
僕は恐る恐るきいた。
「手にキスしたこと?見てないわよ。」
ミサトさんはわざととぼける。
やっぱり見てたんだ。もしかしたら、僕が起きたあたりから見ていたのかもしれねい。
「欲求不満だったなら、いろいろ教えてあげたのに〜。」
僕は冷や汗をかきながらミサトさんをみた。
ミサトさんがいうと、冗談に聞こえないから怖い・・・・・・。
「シ〜〜ンちゃん!」
ミサトさんは今度は大きな声で僕の名前を呼ぶ。
いつも僕のことをからかいはするが、今のミサトさんはどこかおかしい・・・。
ミサトさんは僕のほうにあるみより、ベッドに腰かけた。
と、その時。
「うん・・・・・・。」
アスカが寝返りをうった。
僕はアスカが起きたんじゃないかとアスカをみる。
「よかった。起きていない。」
今、アスカが起きたら、アスカはミサトさんになにをするかわからない。
ドールはマスターのために生きる。マスターへの独占欲とゆうか、嫉妬・・・、は強い。
ドールの生きる証はマスターの存在があるから・・・・。
家族よりも近い者。
ドールとマスター。
1つの魂を共有しているといってもおかしくない。それほどに必要な存在。
でも、どんなに近くにいても、僕たちは全然別の存在。
なにを考えているのか、感じているのか話してくれないとわからないのは、人間も同じ。
僕とアスカ。
たとえ、いっしょに、泣いたり笑ったり怒ったりしても、なにを考えているかなんて
わからない。
「ミサトさん。お酒飲んでますね?ばかなことを言ってないで、静かにしてくださいよ。
アスカが起きたら・・・・。」
ミサトさんの息は酒くさかった。
酔いは少し冷めているようだが、ミサトさんは酔うと手がつけられない。
「アスカってゆうんだ。そのドール・・・。ふ〜ん。」
ミサトさんがアスカの頬に触ろうとする。
「止めてくださいよ。」
僕は冷めた声でミサトさんに言い放つ。
「つれな〜い。シンちゃん・・。って、きゃあ・・・。」
ミサトさんが悲鳴をあげた。
僕はなにもしていない。と、すると・・・。
「前にいるから悪いのよ。」
周りの空気を凍らせるような話し方。
レイだ・・・・。
「レイ!いったいわね。いきなり殴ることはないでしょう。」
ミサトさんは殴られた後頭部を両手でかかえて床にしゃがみこんでいた。
そして、レイに文句をいってはいるが、無駄なことだった。
レイはミサトさんなんか目に入っていないかのように、無視して僕の前にやってくる。
僕は上半身だけ起こす。右手はアスカとつながったまま。
アスカのぬくもりを感じる。
僕の目の高さにあわせるためにレイは、先ほどミサトさんが座っていたベッドのすみ
に腰掛けた。
にっこりと笑うレイ。
レイの笑顔。
光にとけてしまいそうなほどに眩しい。
久しぶりに会った感じがした。
僕が家をあけていたのは、ほんの2,3日だったのに・・・。
18才のままのレイ。
幼いころは母さんみたいだった。今は僕にとってレイは姉さんみたいな存在だった。
僕以外には決してみせることない、笑顔。
レイの唇が言葉をつぐむ。
「おかえり、シンジ。」
レイはそういうと、僕の頬にキスをする。
「おかえり」のキス。
僕とレイの昔からの習慣。
おはようのキス、おやすみのキスはあたりまえだった。
家族としてのキス。
レイの僕にたいする愛情を感じる一瞬だ。
僕もレイの頬にキスをする。
「ただいま、レイ。」
「ただいま」のキスを・・・・・・。
第6話bパート書きました。
疲れたーーーーー。(T_T)
なんで、今回はこんなに苦労したのかな・・・・。
レイが話してュれない。シンジ以外に・・・。
レイちゃん・・・。私、大好きなのに・・・。なんでもいいから話しかけて。
アスカは眠ったままだし。
なんか、みんなシンジにばっかり優しくして、私にも優しくはなしかけてほしいよ。
悲しみながら書いたsetuでした。