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茶色のロングの髪に白い肌の少女・・・・・・・・・。
写真では、僕と似たような年頃にみえた。
目の前の少女も・・・。
「僕と同い年なのかな。」
それにしても、きれいだ。
なんだろう、この気持ちは・・・・・・・・。
それは、愛情。
少女をみているだけで泣きたいほど幸せ。
僕は自覚する。
「好きなんだ。この子のことが・・・。」
触りたい、とゆう衝動にかられそうになる。
愛しい心がやまない。体中の血が逆流しそうなほどに。
触れる。
髪に、そして、その顔に。
「え・・・!」
白い肌に触れ、僕は驚いて手を引っ込めてしまった。
「冷たい。」
少女の体は冷たかった。そして、息をしていなかった。
「どうして・・。まさか。」
(「ドールは人の想いで心が魂が宿る。ドールも人間と同じだ、シンジ。」)
レイを目覚めさせたとき、父さんが僕にそう言ったのを覚えている。
レイがいきているのは、父さんの想いの証。
少女に再び視線をむける。
裸身であったことに、今更ながら気づく。
慌てて、少女から視線をそらす。
人の想いで目覚める。
「僕の想いで起きてほしいな。」
青い瞳をみせてよ。
声をきかえてよ。
僕を見てよ。触れてよ。
名前を呼んでよ。
「アスカ・・・・。」
僕は無意識のうちに心に浮かんだ名前をつぶやいていた。
アスカと・・・。僕の知らない名前。
これが、少女の真名。
父さんがいっていた。ドールには名前はない。あるのは、真名。
マスターになる者にしかわからないという。
ドールがマスターを選択する。
「アスカ」とゆう呼びかけに反応するかのように、少女の長いまつげがふるえ、ゆっくりとその瞳がひらかれる。
2つの青い宝石。
青い瞳。
心の中にいた女の子が成長した姿で僕の前にいる。
存在するこの喜び。
アスカと呼んだ少女にまた見とれてしまっていた。
心がみたされていく。
アスカが僕を見つめかえす。
目覚めた少女は、視界に僕をとらえると突然、胸の中にとびこんできた。
僕にまぶしい笑顔をむけて・・・・・。
「うわ!」
僕は、抱き着かれた勢いで、今日、2度目の転倒。
今度はしりもちをつく形になってしまった。
いきなりのことに、呆然とする。
「マスター。」
嬉しいといわんばかりにアスカは僕に抱きつく。
「やっと、きてくれたのね。」
戸惑う僕に気づいてないのか、アスカの言葉はつづく。
「わたしを見て、マスター。今度は忘れないで。
もう、心を閉ざしたりしないから・・・・・。」
アスカは僕をマスターと呼んでいる。じゃあ、僕の想いで命が宿った?
先ほどまでの冷たいアスカの肌を思い出す。
確かめるかのように、僕はアスカの顔にふれる。おそるおそるアスカの頬に、首筋に。
「暖かい。」
安心したのか僕はアスカの細い腰に手をまわし、自分のほうへと引き寄せて強く抱き
しめた。暖かい肌、アスカの鼓動を感じる。
すべてが愛しくてたまらない。
僕の鼓動も感じる。
2人の鼓動が1つになって聞こえる。
「マスターと同じ鼓動だわ。」
アスカも同じことを思ったらしい。
アスカほどに愛しく想った人は今までいただろうか。
わからない。
僕は、レイは大切。でも、家族としての愛情。ミサトさんやリツコさんも。
愛情をそそいでくれなかった父さん。どんな人だったのか覚えていない僕の母さん。
優しい人たちにかこまれた幸せな日々。でも、なんにもなかった日々。
ただ、時間だけが過ぎって行ったこの9年間。自分からなにもしなかった、つまらない時間。幼いころの記憶がかけている僕。
もしかしたら、アスカはそんな僕の心のなにかを満たしてくれるのかもしれない。
青い瞳をキラキラさせてアスカは笑顔で僕を見つめている。
洋服をとおして、アスカのやわらかさを感じる。
どくん、僕の鼓動がはやくなる。
なんとか理性を保って、しどろもどろになってアスカに言う。
「君はなに?」
アスカの笑顔が凍り付いた。
僕にはわからなかった。アスカはなぜ、僕を待っていたのかが。
アスカはさっき、「今度は忘れないで」と言った。
それは、どうゆうことなんだろうか。
「マスター・・・。」
アスカの宝石のような瞳から涙があふれだす。
その涙さえ、けがれない美しいもののように感じる。
「なぜ、わたしを呼んだの?」
僕はアスカに自分がなにをいったのかやっと気づいた。
それは、アスカを否定する言葉。
ドールの生きる存在理由はマスターがドールを必要とするから、ドールがマスターを必要とするから・・・・・・。
お互いが求め合って初めてドールに命が宿る。
僕がアスカを必要としたからアスカは今ここにいるんだ。
「ごめん。アスカ。」
「僕がアスカを呼んだのに・・・・・・・。」
僕は泣きじゃくるアスカを安心させようと、また、抱いた。
「アスカ」 それか少女の目覚めの鍵。少女の名前となる言葉。
アスカは僕の胸に顔をうずめる。
「マスター。わたしにはマスターしかいないの。だから、わたしを見て!」
アスカはこの世に生をうけたばかりの赤子と同じといってもいい。
目覚めて最初に、親ともいえるマスターから「君は何?」といわれて、傷つかないわけがない。拒絶されたと同じ。
「アスカ。」
愛しいと想ったのは僕の真実。
家族の愛情とはまったく違うもの。
夢のなかの女の子が実在すると知った瞬間の嬉しさ、喜びに偽りはない。
アスカは僕が「アスカ」と言うのを聞いて、嬉しそうに笑ってくれた。
「もう1度、わたしのことを呼んで・・・・・。」
確認するかのように、僕にお願をするアスカ。
僕の表情が、ほころんでいくのがわかった。
やっぱり、かわいい。
「何度でも呼んであげるよ。アスカ。
それとね、アスカ。僕のことはシンジでいいよ。」
「シンジ?」
アスカが聞き返してくる。
「うん。シンジでいいよ。」
「シンジ・・・・・。マスターじゃなくて・・・・・・・。シンジ・・・。」
アスカは恥ずかしいのか頬をほんのり赤くして、はにかみながら僕の名前と呼んでくれた。
そして、あふれんばかり笑顔を僕にむけてくれた。
その、笑顔には僕に対する愛情であふれていると思った。
第3話終わり
第3話書きました。
ふう、なんだかスラスラと書けて。)^o^(
やっと、アスカがしゃべってくれて、わたしも嬉しいです。
でも、まだまだ、元気なアスカじゃない。(T_T)
勝手にシンジが動いて・・・・。
アスカも勝手にシンジに甘えてるし。
まあ、いいか。
幸せそうだし。
3話のここが気になる、おかしいのではなどの、アドバイス&感想くれると嬉しいで
す。5、6月はいろいろ忙しくなってくるので、書けるときにssを書こうと思って
います。
第4話をお楽しみに。