|
|
絶え間なく照りつける太陽。
規則的に繰り返す波の音。
真夏の暑い空気の中、
たまに吹く潮の香りをのせた風が心地良い。
アスカは今海に来ている。
とは言っても観光客で溢れかえる様な場所にではない。
地元の人間、それもアスカしか知らない秘密の場所にだ。
ここは砂浜ではなく岩場だが、近くにある砂浜と違って人気がない。
アスカはここでよく、昔ここで見た少年の事を思い出す。
その時アスカはまだ小学5年生だった。
アスカが学校が終わっていつものように、
この自分だけの秘密の来たときのことだった。
いつもは自分しかいないその場所にその日は先客が居たのだ。
その先客は一人の少年だった。
アスカはその時何故か自分だけの場所を横取りされたような気がして、
その少年を怒鳴りつけようとした。
アスカはきっと自分だけの秘密を知られたのが悔しかったのだろう。
「ちょっと、アンタ・・・」
するとその少年はクルリとこっちを向きニッコリと笑った。
短い茶髪に繊細な顔立ち華奢な体つきで一つだけ特に特徴的なのは、
瞳の色が青色だったのだ。
アスカは思わず一瞬その少年に見とれたが次の瞬間息をのむことになった。
一瞬、その少年の姿が波で隠れたと思ったら、
波が去った後、その場所には少年は居なくなっていたのだ。
アスカは波に呑まれたのかと思ったが、ここは浅くたまに高い波が来るだけで、
波自体は緩いのでそれは無いだろうと思った。
溺れる程水深は深くないし、水が澄んでいて底が見えているので溺れてたら直ぐわかる。
その岩場の先は海だし少年が立っていたは先の方なのでアスカに見られずに逃げる事も不可能だ。
なんとも不思議な少年だった。
あれから何度も見間違いなのではないかと思ったが、
3年たった今でもあの少年の姿は鮮明に思い出せる。
なんせアスカの初恋の人・・・いや、今でも想い続けている人なのだから。
短い茶髪に繊細な顔立ち華奢な体つき、そして青色の瞳。
アスカは今日もまたあの少年の事を考えてため息を吐く。
「ハァッ・・・・もう一度あの人に逢いたい」
第二話へ続く
ご意見ご感想は下記まで
nasubi@purple.plala.or.jp
<後書き>
どーも、SHINです。
またやっちゃいました。新連載。
早く他の連載終わらせろよって感じですが、
暖かい目で見守ってやって下さい。
それでは、また。
SHIN