<CENTER>入れてね(はぁと)
受話器を片手に、アイツの電話番号を押していく。
繋がるまで後一つ、どうしてもそこで指が止まる。
「断られたらどうしよう・・・」
その一言に邪魔されて・・・
最後の一つで指が止まる。
そのまま暫く受話器を片手に考える。
「明日一緒にどっか行かない?」
その一言がなんでこんなに難しいの?
たった一言だけなのに・・・
いつもは普通に話せるのに・・・
最後の一つが何故押せないのよ?
それはたぶん言葉の重みが違うから。
込められた想いが違うから・・・
それだけアタシにとっては重要だから・・・
「明日一緒にどっか行かない?」
その一言がアタシにはとっても重要だから・・・
だから、最後の一つが難しいの、
心の中の不安な気持ちが邪魔するから・・・
プルル・・・プルル・・・
最後の一つを押しちゃった・・・
もう後戻りは出来ないわ、
大丈夫、普段どうりにやればいいのよ。
「はい、碇ですけど」
アスカは息を吸い込んで、
たった一言を吐き出した。
「バカシンジ?明日一緒にどっか行くわよ」
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