クラウドは一人外を眺めていた。
仲間の中ではリーダー的な役割の立場上、
どうしても弱気な所を見せることの出来ないクラウドも、
実は不安なのだ。
ピカッ!
さっきから窓の外が雷で何度も光る。
その光を気にも留めず、クラウドは外を見つめ続ける。
ドンドン・・・
その時クラウドの部屋が誰かにノックされる。
−−まったく・・誰だ?こんな夜中に
「クラウド・・起きてる?」
外からユフィの呼ぶ声聞こえる。
−−ユフィか・・・
振り向くとユフィはもうすでにドアを開け、こっちに向かっていた。
「どうしたんだ?」
さっきまでの事は少しも出さずに、ユフィに尋ねる。
「ちょっ、ちょっとアタシに付き合ってくれよ」
ユフィは後ろに手を組み、少し俯き加減でそう言った。
その言葉と態度のアンバランスさを少し不思議に想いながらも、
クラウドは聞き返した。
「付き合うって何処へ?」
するとユフィはクラウドの後ろに回り込み、
「いいからいいから」
クラウドを押したまま進んでいく、
ホールに出ると従業員らしい人間の言葉が耳に入った。
「さあ、今夜はマジカルナイト!全てのアトラクションは無料になってるよ!」
従業員はこっちに向かって話しかけてきた。
「あっ、どうです?そこのお客さん。
今から、こちらイベントスクェアで楽しいショーが始まりますよ?」
「クラウド、あそこに行こうぜ」
クラウドも仕方なく付いていく。
イベントスクェアに入るといきなり声が響いた。
「おめでとうございます!あなた方が本日100番目のカップルです!!」
「従ってあなた方はこれから始まるショーの主人公に選ばれました!!」
「・・・はぁ?」
クラウドはいったい何を言ってるんだ?と言う感じで声を出す。
「難しい事はありませんあなたは好きにしてくだされば、
後はショーのプロが話をまとめますので」
「ささ、こちらへ」
「お、おい・・・」
「なんだかわかんないけど、行こうよクラウド」
またもやクラウドはユフィに引っ張られていく。
そして劇は終わり、再びホール。
「なんだか、よくわかんなかったなぁ。クラウド、次はゴンドラに乗ろうよ」
ユフィはクラウドの手を引いてゴンドラ乗り場まで連れていく。
「二人で乗るよ」
ユフィは係員に話しかけた。
「はい、お二人様ですね」
「では、ゴールドソーサーの夜景をお楽しみ下さい」
ゴトン、ゴトン
「ああっ」
ユフィは外を眺めながら声を上げる。
「わあっ」
ゴンドラはゴールドソーサーの真上を通り、そこら中から花火が上がる。
ユフィは暫くその夜景に見とれながらクルリと回ってイスに座る。
「クラウド・・・」
ユフィはクラウドをの名前を呼び、二人の視線が暫く重なる。
「「・・・・・」」
そして、唇が一瞬重なった。
暫くの間、唇が重なりそして離れる。
「・・・そう言うフンイキかなって思ったワケよ」
ユフィは俯きながら小さくそう呟く。
「・・・・・」
クラウドは何も答えない。
「ん、そんだけ♪」
ユフィはそのまま首を何回か振り、横を向く。
「・・・・・」
クラウドは何も言わずにユフィの側まで行きユフィの名前を呼ぶ。
「・・ユフィ」
「ん、何?」
そしてユフィが振り向いた瞬間ユフィの唇に自分の唇を重ねる。
ユフィは一瞬驚くが、そのまま瞳を閉じる。
そのまま暫く時間が過ぎ、唇が離れクラウドは横を向きながら呟く。
「・・・そう言う雰囲気かなって思ったんだよ」
−−それから二人がゴンドラを降りるまでの間、ゴンドラの中は静寂は静寂に包まれ続けた。
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