【狂恋慕】

 

作・テンプラさま


あなたは行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここにはもうあなたはいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

アナタハボクヲオイテイッテシマッタ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、あなたは行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

心に穴が空いてしまう、とよく言うけれど、本当にそんな感じがするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで自分の身体の一部を、失くしてしまったような気がするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

たしかに、あなたは僕のすべてだった、とは言えないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、あなたがいないと、何をやっても楽しくないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたがいないと、何も手につかないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたがいないと、考える力すら失せてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、ほら、今こうして浮かんでくるセリフも陳腐なものばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

B級映画か三流小説から引用したようなセリフばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなときに気の利いた文句ひとつ浮かびやしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、あなたがそばにいるだけでよかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

母親のような。

 

 

 

 

 

 

 

 

ときとして童女のような。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなあなたを見ているだけで、よかったのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたがこの世で唯一、僕に生命を吹き込んでくれるひとだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

デモ、アナタハモウイナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたに会いたいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたに会いたいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

いま僕は、人間達が建てた、罪の記念碑のひとつの上から、見下ろしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、この建築物の本当の意味を悟った今、これは罪の記念碑なんかじゃないって、わかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

これはね、僕みたいなひとのために建てられたんだよ、きっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

きっとね、あなたのことを、僕が追いかけられるようにって。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕のずっと下で、世界がうごめいている。

 

 

 

 

 

 

 

 

あと一歩。

 

 

 

 

 

 

 

 

あと一歩踏み出したら、あなたを追いかけていける。

 

 

 

 

 

 

 

 

でもね。

 

 

 

 

 

 

 

 

少し怖いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

何が怖いかって?

 

 

 

 

 

 

 

 

あと一歩踏み出すのが、怖いんじゃないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、このまま一歩踏み出して、あなたのそばに行けなかったらって思うと、怖いんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

地面にキスをして、痛いだけだったら、まるでバカみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、あなたが天国にいるのに、僕が地獄に堕ちてしまったり、

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたが地獄に堕ちているのに、僕が天国に行ってしまったら、あまりにも哀しいじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

おや。

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたら、いつのまにか、僕の後ろに、ひとがいっぱい集まってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

口々に何か言ってるみたいだけど、僕にはわからないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたがいた頃だったら、彼らが何を言っているのか、理解できたと思うけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

今この場に、あなたがいれば、よかったのにね。

 

 

 

 

 

 

 

 

でもね、なんとなくだけど、わかるような気がするんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

きっとね、彼らは、僕を祝福してくれているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

きっとあなたに会えるよって、僕を励ましてくれてるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

だってほら、みんな、あんなに必死な顔して、僕に声をかけてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

中には、拡声器を使ってるひともいるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか勇気がわいてきたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

どのみちここに留まっていても、あなたには会えないもんな。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ行こうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

願わくば、

 

 

 

 

 

 

 

 

この一歩の先に、

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたが待っていてくれますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[あとがき]

 

ども、ごぶさたしております(^o^)/

へっぽこパクリ投稿作家のテンプラです。

本当にひさしぶりに(3ヶ月ぶり!?)投稿をさせていただきます。

 

しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ひさしぶりに投稿したのがこんなんとは・・・・・・・・・(^_^;)

はじめは連載の続きを書くつもりだったのになぁ。

なんか急にこんなん浮かんできてしまって(^^ゞ

 

“みゃあのお家”には合わないかもしれませんが、

かなり歪んではいるものの、これもひとつの“愛の形”かな、と思って投稿しました。

もっとも、これを書いた本人も、こんな形の愛なんぞ経験したくないと思っとりますが(笑)

まだ人生にいっぱい未練があるしぃ(爆)

 

テンプラでした。