アダムの肋骨より生まれたもの

〜きもちのいいこと〜

作・ふみさま

 


 

 

<私も汗かいちゃったし 体洗いましょ 動作訓練も兼ねられるし>

 

リツコが表情を崩しながら、伝えてくる。

 

部屋の奥に手を引かれて行く、

 −まだ入った事の無いところ。−

 

 −少し小さな部屋。−

 

 −まだ見た事無い。−

 

 −体を洗う場所。−

          

 

 −なにしてるの?−

 

 

 

 −服をぬぐ‥−

 

 

徐に、レイは着ていた白いスリップとパンツを脱ぎ出す。

リツコも脱衣を終え、再びレイの手を引きバスタブの中に入る。

レイには、リツコの顔が今までとなんとなく違って見える、‥楽しげに笑っているのだ。

リツコの体のあちこちを眺め、自分の体と見比べるレイ。

 

 −‥違う。−

 

まあ、同性とはいえ5歳児とその4〜5倍の年齢の体つきなら違って当然だが、

それの知識の無かったレイは疑問に思う。

 「‥赤木博士‥」

 

「なに?レイ」

 

 「‥無い‥。」そう言うレイは、胸の前で手を膨らみに沿って撫で降ろす様な仕草をする。

 

「ぷっ、無くていいのよ。 まだ、ね。」

軽く吹き出しながら答えるリツコ。

 

 「‥これも無い‥。」目線の少し上にある茂りを指して言う。

 

「くくくっ、それもまだ無くていいの。まあ、10年も生きれば貴方にも‥、どうしたの?」

さも可笑しげにリツコが答えかけた時、再びレイの視線がリツコの顔に向けられ、じっと眺める。

 

 「‥色が違う…。」ポツリとレイが漏らし、目線を少し落としまた眺める。

 

 

 

                                       ぷちっ

 

 

 

 

 

こめかみ辺りからそんな音が聞こえてきそうな表情で、

怒りに引きつった笑いを称えたリツコの顔が上から降ってきたのは0.3秒後

 

しゃがみこんで目線を合せたリツコが両頬を"むにぃっ"、と引っ張る。

 

「そおいうこと言うのはこの口かしら?」

一見笑ってはいるが普通の子が見たら、きっと泣きそうな迫力でレイに迫る。

 

 

 

 

<そお言う事は、思っても口にださないの! わかった?>

 

 −‥?‥−

 「‥ふぁい。」

全く表情を変えぬまま、返事はする。

理由は解らなかったが、その方が良さそうだったからだ。

 

確かにリツコの頭髪は以前から変らず金色なのだ、もっともほかの部分は黒いが‥。

取り敢えず、学習が一つ進んだ‥のかも知れない。

 

 

   |

 

 

 キュキュッ  シャアアァァーーーーーッ

 

リツコが、シャワーのコックを捻る。 体温よりやや温めのお湯が降り注ぐ。

 

 

 −温かい、これがシャワー−

 

全身を流れ落ちる温水が冷えた身体を暖めてゆく、

知らなかった感覚。

初めての感覚。

 

 −‥なに?よくわからない−

 

 

 −‥身体から力がぬけていく−

 

 

 −‥温かい−

 

 

 −どうして‥?−

 

 

   |

 

 「‥赤木博士‥質問が。」

 

「なに? レイ。」

身体を流し始めたリツコが気付く

 「体調の変化が‥。」

 

「気分が悪いの。」 リツコの表情が堅くなる。

 

 「‥よくわからない。 力が抜ける‥。」

 

リツコが暫く観察してから質問する。

何となく、凍えた子猫を暖めている様な感覚を覚えさせる。

レイの小さな白い身体は今までになく血色が良い。

 

 

「それは、気持ちが良いってこと?」

 

 「きもち‥いい‥?」

「嫌ではないんでしょ。」

 コクン

「シャワー止めたい?」

 「いいえ。」

 

「そお言うのが、気持ちが良いって言うのよ。」

 

 

 「…これが‥気持ちが良い‥?」

レイは目を閉じゆっくりと自身の感覚を確かめていった。

 

            −これが、きもちがいいということ‥−

 

                                      ヌルッ!

                                           ビクッ

 

 

突然の肉体感覚にレイは拒絶反応を示した。

 

「あ、脅かしちゃったかしら? 気に入ったみたいね、シャワー。 身体洗うから我慢しなさい。」

 「 はい。」

 

乳児用の低刺激ボディシャンプーを使いリツコがレイの身体を洗い始める。

 

  シャカシャカシャカ

     シュルシュル ヌルヌルヌルヌルヌル

                 シュルシュルシュル

 

外気に触れて間も無いレイの肌を素手で撫でる様に洗ってゆく。 結構手際は良い。

リツコは幼児の世話など経験が無いはずだが。

 

レイは目を瞑ったままジッとしている。

 

 

 

 

 

 −ちからがぬけてく、からだがふわふわする。−

 

 −これもきもちがいいこと‥?−

 

 

全身をくまなく撫でられた後、温めのお湯がかけられる。

身体を覆っていたヌメリが解け落ちてゆくのが感じられる。

 

 −  ‥‥‥‥‥‥‥  − 

 

<さっ 終ったわ 次は私が身体を洗うのを手伝って>

 

 

 

 

 

 「はい。」

 

       キュキュッ

 

「じゃ、これと‥これね。」

リツコはシャワーを一端止めスポンジと小さな容器に入ったボディソープを渡す。

「やり方、解る?」

 「‥はい。」

返事をすると、レイは小さな手で器用に容器の蓋を開け、スポンジの上に中の液体を出そうとする。

                                            ゴポォッ

 

‥が、初めての為か出すというより、ぶち撒けたと表現したほうが良いくらい大量に流れ出してしまった。

 

呆気に取られるレイ。

 

「プッ、クックックッ 最初だし、しょうがないわよ。」

レイの反応がさぞ可笑しかったのだろう、リツコが笑いを押さえながら話す。

 

「良いわよそのままで、ほら蓋締めて‥。」

リツコはまだ笑いを押さえている様だ。

 

「じゃ、お願いね。」器用にバスタブの中にしゃがみ込み背中を向ける。

 

 ♪〜♪〜〜♪〜♪〜〜〜〜♪〜♪〜 

 

微かに聞こえる程度でリズムを取りながら、自分でも身体の前面や腕を洗い始める。

 

僅かな間、リツコの背中を眺めていたレイも行動を始める。

 

スポンジに染み込めないでいるソープを手に取って又リツコの背を見る。

自分程では無いが、充分白く滑らかな肌。 肉付きが程よく女性としてかなり理想的な身体。

 

        ペタ

 

「ヒッ!   ちょっとレイ、いきなり! 冷たいわ!」レイのソープ付きの手が腰の上辺りに触れている。

先程のシャワーで暖まっていた筈が、もうだいぶ冷えている。 ボディソープの温度の低さも有るだろうが。

 

        ベタン

 

「ヒアァ!」   「もう‥レイッ!‥」

再び背中に、今度は冷えたソープ付きのスポンジが当たる、二度にわたる背面からの刺激に、

すっかりプッツンしかかったリツコ。

 

しかし、首だけで後ろを振り返るとレイが黙々と背中をスポンジで擦り始めている、その姿は健気だ。

何となく怒りづらくなったリツコだった。

「フゥ」 気を取り直したのか一つため息を付くと、再び自分の身体を洗い始める。

 

 コシ コシ コシ コシ

   シュッ シュッ シュッ

     コシ コシ コシ コシ

                       ポト

                               ニュルンッ 「ふぁッ?!」

 

「ちょッ‥レイ?!」 ニュルンッ ヌルッヌルヌル 「ヒあっ! ちょっと何処に

                                    ニュルニュルッ

                                    「あふっ! ちょっと止めなさい!!」

 

腰の辺りに抱きついているレイを引き剥がすと、リツコは荒い息を付いている。

 

 「‥気持ちよく ない?」リツコが引きつった顔でレイを見返す。

レイの顔は真顔のまま。 いや、どちらかと言えば落胆した感じにも見える。

 

「そうじゃなくて、何処でそんな知識身に付けたの?!」呆れ顔でリツコが聞き返す、顔は真っ赤。

 

 「モニターでやっていました。」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥;」

 

目が点になるリツコ。 頭の上にトンボでも落っこちてきそうな表情をしている。

 

 

 

「‥‥‥‥‥何処の番組よ、もう。」             モニター学習プラン早くも挫折。

 

 

 

 

 

 

   |

 

<はあ 何だかかえってつかれたわ>

 

   キュルッ   シャアーーーーーーーーーーーーッ

 

温かいお湯が降り懸かる。

 

 −あたたかい−

 

シャワーが止められ、身体をタオルで拭き始める。

水滴を拭き取り終ると、まだ使っていない服を着た、リツコも服を着終えている。

 

<それじゃ トレーニング再会よ>

 

 

ここに入った時の様に手を引かれながら、部屋に戻る。

間も無くトレーニングが始まる。

 

後ろを振り返り、先程の事を思い返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 −あれは‥ きもちのいいこと‥−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 ‥悪くは無かったな‥‥

真っ暗な部屋で唯一の光源であるモニターを見ながら男が呟いた。

口だけを歪ませ笑いをうかべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜後書き〜

こんちは♪ ふみです(^^)  読んでいただいた方有り難う<(_ _)> 如何でしょう今回の。

少し笑える様に振ってみました(^^ゞ

最後のおまけは何ですが…^^;

 

ああ、時間が進んでない(;~_~)ストーリーも進んでない(;;~_~)…今回の実質30分程度しか経過してないね、

レイの世界がスタートしてまだ160時間足らず(笑)‥次回はもうちょい経った後の話し。

ちょっとだけレイ本人からも離れます。

 

であ♪また次の作品で(~o~)ノ~~

 


 

みゃあの感想らしきもの。

 

 

 

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