今日は何の日

 

作・ふみさま

 


 

ザッ ザッ ザッ  ザッ ザッ

 

朝靄の立ち込める広い神社の境内に、竹帚を掃く音だけが聞こえる。

ここは山岡のある場所、二月も中旬に差掛かる頃。

 

「ううっ、さっさむい。」ブルッ

先程までの背筋の伸びた凛々しい様子は何処へやら、男が朝の冷気に震える。

後ろ辺りだけ伸ばし尻尾状に束ねた短いボサボサ髪。 まだまだ幼さも残る顔立ち。

柾木天地(まさきてんち)、若いながらもこの柾木神社の次期神主‥になるのかな。

 

「こりゃ、天地! 足るんどるぞ!」カコンッ

「・・・・・いってーっ、じっちゃん木刀は洒落にならないよ。」

ズキズキと痛む頭を押さえ、涙目になりながら後ろを振り向く、先程まで気配も無かった筈の。

 

「あれ?じっちゃん?」振り向いたそこには、在る筈の姿が無い・・。

「ほれ、こっちじゃ。」ツン

何時の間にか更に廻り込んで木刀で天地をつつく。

「うひゃははっ」脇腹を木刀の先でつつかれ、身悶えする天地。

カコンッ

  「−−−−−!!」

「まだまだじゃな。 精進せい。」

頭を押さえてうずくまる天地の正面に現れたこのジーさま、

柾木勝仁(まさきかつひと)が柾木神社の現神主であり、天地の祖父でもある。

なかなかに元気者で、その外見と口調以外でジジイだとは思いにくい。

実際のところジジイなのかも怪しいもんなのだが、その理由は知ってる人は知っている(笑)

 

「‥さっさと掃除を済ませて、家に戻らんと朝食を食い損ねるぞ。」勝仁がボソリと言う。

 

「あああっ、そうだ急がないと! じゃ、じっちゃん後頼むよっ。」

竹帚をジーさまに放り投げ、境内を走りぬける。 脱兎の如き動きに勝仁も一瞬虚をつかれた。

 

「‥こりゃ!天地!サボりは許さんぞ〜っ!」

無駄とは判っていても、つい声に出してしまう。

「まったく、帰ったら見ておれ。 あああ、早くせんとワシの分が無くなる。」

ザッ ザッ ザザッ ザザッザッ

情けない表情で慌てて掃除を進める勝仁、彼が急ぐのにも訳があった。

現在の柾木家には居候がいっぱい居るのだ。 それも結構な大食らいが・・・。

 

一方天地は石段を駆け降りていた。 神社から自宅までは少々距離がある、

慣れている天地でも急げば息が切れる距離だ。

東の空に太陽が顔を見せ始める時、見慣れた光景でもこれはついつい足が止まる。

‥と、太陽のある辺りに変な影。 航空機ならばあんな飛び方しないだろうし、第一形がオカシイ。

「えーっと、あれは‥」

天地が僅かの間、思考を巡らせているうちに、その影はアッと言う間に接近して飛び去って

‥いや落下していく、柾木家辺りに‥このへん、お約束である(笑)

「ギャ、ギャラクシーポリスの船、美星さんか?」

 

影は航空機ではなく宇宙船!

しかも変な飛び方ときて墜落しそう‥とくればその名前が出てくるらしい。 つくづくお約束だ。

 

ドパーーーーーーーン!!!!

 

鈍い振動音を伴い、宇宙船が柾木家の横にある、湖に軟着陸‥いや墜落した。

「またか‥。」多分破損したであろう、自分の家をきずかってため息がでる。

美星とか、他の住人とか心配してんじゃないのかって?

そう! 心配するのを忘れるほど、この現象は日常化してしまっていた(笑)

「‥とりあえず、帰ろう。」

呆れながらも朝食を食べる為、再び走り出す。

 

家に着けばそこは嵐の後、湖に突刺さった宇宙船と余波で飛び散った湖水でびしょ濡れの家屋。

外見こそ破損箇所は無い様にみえるが、中は果たして。

「よっ、お帰り天地殿。」

「ただいま、おはようございます、鷲羽(わしゅう)ちゃん。」

「どうだい?天地殿、家具とか荒れてないだろー。」

「そ〜言えば‥。」

 

確かに家の中が平然としている。 とてもすぐ横に宇宙船が落下した(笑)

とは思えない何時も通りの状態。

「鷲羽ちゃんの発明品ですか?」

「そ〜っ、天地殿。よくぞ聞いてくれた。」「は、はぁ・・。」

長々と難しい説明を始めたらしい鷲羽に適当に相槌を打ちながら奥に進む。

自称宇宙一の天災科学者(字が違うじゃないか!!by鷲羽)であるこの女性(普段はちっこくて女の子にしか見えんが‥)

長〜〜い目で見ると、天地の周りで起きている騒動の根本的発生源ともいえるのだが‥。

当の天地はまったく気にした様子もない。

 

だいたい、宇宙船とか言っているが別に宇宙の異文明との接触が大々的にあった訳でもない。

地球人が外宇宙まで出ていってるとか、宇宙旅行が可能になっているとか、地球外文明を発見したとか、

宇宙人が実在しているだとか・・・・まったく世間は知らない(笑)

実際はかなり因縁深いらしいが、岡山にある柾木家、ここだけの話しなのだ。

 

未確認飛行物体(さっきのやつとかね)が度々飛来しようが、世間は気付いていないらしい、なぜか。

不思議だけども、これもお約束らしい(笑)

 

さて、家の奥からは朝食の良い匂いと、喧騒が聞こえてくる。

「美星ぃ〜! テメエ、いいかげんにしろよなぁ。」

「ふえ〜〜んごめんなさ〜いっ。 だってぇ、お茶を飲もうとしたらぁ、熱くって、コンソールにこぼしちゃってぇ、

 慌てて拭こうとしたら転んじゃって。 顔ぶつけて痛くて、気が付いたら航法プログラムがおかしくなっちゃって‥」

「だーっ! 相っ変わらずトロッくせえヤツだなぁ。」

「どうやったら毎回、毎回、ここに落ちてくるのか不思議ですわ。」

「びーーっ、ごめんなさぁーい。」

何時もなら、声の主たちはまだ寝ている時間だが、さっきの騒ぎで叩き起こされたらしい。

語調が今の心境を物騙っている。

 

 

「まあまあ、二人とも今回も皆無事だったんだから‥。」

喧騒の現場までやってきた天地がたしなめる。

「あん、天地がそお言うんならあたしゃいいんだぜ〜(はあと)。」

そう言いながら、銀髪跳ね髪の女が『飛んで』来て天地の右腕に抱きつく。(なんか尻尾も付いてるが‥)

 

「ちょっと、魎呼(りょうこ)さん!ズルイですわよ!!」

「わたくしだって天地様がそうおっしゃるのであれば‥(はあと)。」

出遅れたらしい、黒髪の女が駆け寄ってきて天地の左腕を引っ張る。

 

「あの‥魎呼も阿重霞(あえか)さんも‥穏やかにね。」

美女二人(笑)に挟まれ、両手に花状態の天地、ただ今一つ喜べない。

二人の間には一触即発のにらみ合いが続く。

「み、美星さんも泣きやんで、ね。 ほら。」         (なにがほらなんだか‥)

「ゆるしていただけるんですかぁ、グジッ」

「気にしてないからさ。 ね、二人とも。」

 

「あ〜ん、ありがとぉございますぅ、天地さん〜♪」

天地の正面から抱きつく、天然ソバージュのかかった金髪と褐色の肌をした美星。

「「あーっ!!」」

両側から固定されていた天地にこれを避ける術はなかった。

「こらぁ!離れろ美星。」「そーですわ、離れなさい!美星さん。」

「や〜ん、いたいです〜。」

 

「‥平〜和だねぇ♪」後ろで観戦していた鷲羽が呟く。  

        (余裕あるね〜、さすが人生2ま(ゴキッ!!)(気絶)「余計な事言わない」by鷲羽)

 

一方台所では。

「みんな楽しそう‥。」「ミャアウ♪」

十歳位に見える少女、砂沙美(ささみ)が一人で朝食を作っていた。

足元には何だか良く解らん動物、えーと‥

ウサギとフェネックを足して2で割ってディフォルメしたような(ますます判んねえよ(ーー;)。

「よーし、出来た♪ いこっリョーちゃん。」

「ミャア〜ウ」

味噌汁の入った鍋を持って居間の皆の所へ向かう。

 

「みんな〜っご飯出来た・・・よ。」

 

あ〜あ、ぐちゃぐちゃ‥居間の中はさながら竜巻でも通った後みたい、

卓袱台は残骸になってるし、壁には凹みが幾つも出来てる。

居間の壁に天地が張り付いてるし、反対側の床には美星が目を回して倒れている。

魎呼と阿重霞は部屋の中央で睨み合ってるが単に次の行動までの間隙だろうね。

 

「もーっ!阿重霞お姉ーさまも魎呼お姉ーちゃんも!」

「二人ともお片づけ終わるまで朝御飯お預け!」

おお‥珍しく砂沙美が怒ってる、まあしょうがないか。 この惨状じゃね・・・。

「「えーっ!!」」

「さっ砂沙美〜っかんべんしてくれ。」「砂沙美それはあんまりよ。」

 

「だーめっ! これじゃ御飯食べられないでしょ!」

「う゛‥」「あ‥あら」

辺りを見回して我に帰る二人、確かに食事出来る状態じゃない‥と思う。

結局みんなで片づけを始める、

「よいしょよいしょっ‥い゛っ」「きゃ〜〜〜っ」

ガラッガシャッ ドスンッ!!

「ふぃ〜っ いった〜い。」

一人だけ片づけてんだか散らかしてんだか解らないのが約1名;;

いつも思うがなんでここまで何にも無い所でコケられるかね‥この人わ。

「とりあえず、ご飯にしよう冷めないうちに。」

「そーだね、天地兄ちゃん。」

片づけを途中で諦め食事をはじめる一同。

 

食後に阿重霞&魎呼の二人は砂沙美から再度掃除を言い渡されていた。

「お二人ともぉ、がんばってくださいねぇ。」

「「おまえ[あなた]も一緒にやんだよ[やるのよ]!!!!」」

「ふえぇぇぇぇぇ???なぁんでですかあぁぁ????」

 

「「これ!!」」

「あ・・・はいぃぃ(涙)」

魎呼と阿重霞が差した先には、先ほど美星が片づけの最中に散らかした(笑)あれこれが積み重なっていた。

なんか片づけ前より分量増えてるような・・・さすが美星(笑)

「ううっ、一生懸命やってるのにぃ、なんでなのかしらぁ(涙)」

銀河警察(ギャラクシーポリス)一級刑事−九羅密美星(くらみつみほし)。

見た目はこんなだがいろいろとすごい! ・・・らしい。

 

「あらぁ。 お菓子屋さんのチラシ?なになに〜‥‥あらぁ、まぁ〜、ふぅ〜ん、そ〜なんですかぁ。」

「‥あ、いけない。 お片づけお片づけ。」

 

「あん? なんだぁ? ありゃ。」

「ん?‥こっ、これって!! なになにぃ‥ふんふん‥よ〜し!! これで天地と‥ふっ‥ふふふふっ」

「お、そだアイツに見つかんねぇうちにっ。」 クシャクシャッ

 

「‥なにか隠しましたわね、あの女。」

ゴソゴソ‥ガサガサ‥ガサッ

「‥これですわね‥あら? ま〜っ、こんなことを、‥‥ふっ甘いですわ魎呼さん。天地様はわたくしと‥」

 

 

階段下に作られた亜空間部屋では・・・。

「な〜るほどねぇ、3人とも頑張ってねぇ〜♪ んっふふふふふ〜」

三者三様の反応を見ながらほくそえむ一人。

 

んで、台所では・・・。

「フンフン♪フンフン♪ これ終わったら天地兄ちゃんに‥(はあと)」「ミャア〜ウ♪」

 

 

 

 

うんうん(~~;;何とかまともな物も有りそうだよ・・・よかったね天地(笑)

ここまで書いたらみんなが何を考えていたかはよーっく分かっているんだろうけど、

例のチラシの内容は‥なになに‥。

『手作りチョコに貴方の真心を込めて。 これで彼のハートは貴方のもの!!

材料の御購入は****製菓へ』

 

(ーー; ・・・・・だっせーっキャッチコピー(笑)

けど、ここの人たちには十分だったりする、何せ地球の習慣には疎い方たちゆえに。

‥そおいや純粋な地球人って一人もいないなぁ、ここ(^^;

 

かくして始まる、告白大作戦(笑)果たして天地のハートをゲットするのはだれだろう(爆笑)


「いってきまーす♪」「いってきまぁす♪」まずは砂沙美が美星と材料の買い出しに出かけたらしい。

10分後、

「いってまいりまーす♪」と、阿重霞。

さらに15分後、

「さあてっと‥んふふふふふっ♪」すでにその後を妄想しているらしい魎呼。

どうやら、それぞれが『手作りチョコ』を作るらしいが‥大丈夫なのか?食えるのか?・・・それ。

 

「あっ、これおいしそぅですぅ♪きゃん、これかぁわいぃ〜♪」

「美星お姉ーちゃん、早く買って帰ろーよ。」

「あっ、そ〜でしたぁ、えへっごめんなさぁい。」

んー、どっちが子供なんだかわかんない二人、店のおばちゃんも呆れている。

どうやら買い出しも終わったらしく、二人が帰途についたころ。

 

「これ‥かしら‥;;;;」

これこれ、こしアンの粉買ってどーするの、アンタ(^^;

「へっへーっこれこれ。」

それはココアパウダーでしょ。 あ〜あ〜、それだけじゃだめだって(‥;

 

あ、あらら二人とも買って帰っちゃったよ・・・。 どーすんのかねぇ(~~;;;

 

 

 

家に戻った砂沙美と美星は早速一緒にチョコ作りを始めていた。

手順も手際も文句無し、さすが柾木家の鉄人。

「えーと、細かく刻んだチョコを湯煎で溶かして‥少〜しブランデーを入れて‥あっ飲んじゃだめ〜ぇ。」

「ふえ?なぁんですかぁ、砂沙美ちゃん‥あはははははははっ、ひっくっ‥あらららら?」

「砂沙美ちゃんがふたぁりぃ〜? うふふふふ。」

一体何時の間に飲んだんだか、相当キテルみたいだけど。

 

「もう、しょ〜がないなぁ、‥美星お姉ちゃんの分も作らないと。」

取り敢えず美星の分も型を用意し出す、サイズがだいぶ小さいみたいだが(笑)

溶けたチョコをじっくりと練り直す、中に含ませる空気の量で硬さが変るし、甘さも変化する。

「んーと、味は苦めで甘さを押えて・・よーし、出来たァ!」

「後は型に流して、冷やして固めて、と。あれ?」

何時の間にかボールの中のチョコが、というよりボールごと無くなっている。

「あ〜っ! 駄目だよぅ美星お姉ちゃん、飾りの分無くなっちゃうよ〜。」

「あ〜ん、だってぇ、とってもおいしいんですものぉ♪」

美星がテーブルの下に潜り込んで、ボールを抱えている、口の周りにチョコいっぱい・・子供かキミわ(笑)

多めに作ってあったので全滅は免れたものの、だいぶ減っている。

「これじゃお姉様達の分足りなくなっちゃうよぉ。」

・・・てことは、どうやら砂沙美は人数分のチョコの材料を用意していたらしい。 んー姉思いだねぇ。

 

ところで後の二人はどーしたんだ?捜して見よう・・・ああいたいた、こしアン買ってた(笑)

砂沙美の姉、阿重霞は柾木神社の台所でアンコ練ってる・・・けどチョコじゃ無いんだっけ?まあ、和風・・

というのもありだとは思うけどね、アンコで和菓子か‥

送り手の雰囲気には合ってるかも(注:そーいうキャラなんっす)鍋でアンコ煮詰めて、砂糖入れて、

あ!

それ塩の容器・・あ!ああ!!  あらら、入れちゃった^^;;普通味見すれば気付くんだけど・・・

しないのね(-_-;)やっぱり、塩味アンコを練りながら型に詰め(とーぜんハート型)冷やし始める。

とーぜん、細工してないアンコは固くなんないし、固いアンコなんて美味しい筈が無い(笑)

「・・・おかしいですわね、固まりませんわ。」

あたりまえです(笑)、どうもチョコの作り方とかがごっちゃになっている様子。

けどその辺に気付けないほど料理音痴の阿重霞、樹雷皇家第一皇女なのでした。

 

あと一人は・・・はて?・・・いましたいました、砂沙美と美星が引き上げた後の柾木家の台所。

ココアの粉をボールに空けて?ジッと見てますね、ポン!と手を打って、あれ?水を少し入れてる、ふんふん

溶かしてかき混ぜてますね、うーむ(ーー;)・・ゲル状になったココアに、あー、砂糖入れてます。 

しかもザザーって随分多くないか?そりは。

更にこねて(笑)粘り気が出てますけど・・・なんなんだろーね、あれって^_^;ココアブロック?(笑)

見た目は、ミルクチョコ溶かしたみたいだけど・・匂いは間違いなくココアだぞ。

くえるんだろーか、あれ、取り敢え形にはなったみたいだけど・・・。

「よおっし、これで天地に・・・むふっむふふふふふふふふふふふっ。」

どうやら、再び妄想モード突入の魎呼。

 

その頃、当の天地は畑を耕していた、(はて?高校生じゃなかったっけ、ガッコどうなったの?キミ)

ブルッ 「うっ・・。」

「なんだぁ?冷えちゃったかな?」

2月とはいえ、今日は小春日和のいい天気、身に覚えのない寒気(笑)に襲われた天地。

主人公のはずなのに出番これだけ、かわいそーだけどやっぱりこれだけ(笑)

 

その日の夕食は、皆なんかそわそわしている。 砂沙美までもがぼーっとしていた。

「砂沙美ちゃんご飯おかわり。 ・・砂沙美ちゃん?」

「・・・ぇえっ?! あっおおかわりね、天地兄ちゃん。」

「どうしたの?・・気分でも悪いとか。」「ちっ違うよォ、砂沙美元気だよォ。 ねっほら。」

慌ててばたばた仕出す砂沙美、天地も多少疑問は持つが深く考えないことにした。

「(けど、・・・今日はなんか皆変なんだよなぁ。)」

 

食も進んでいないみたいだし、第一魎呼がご飯のおかわりをしないどころか、まだ一杯目を食べおわってもいない。

ぐるりと食卓を見廻す、皆天地と目線を合せたがらない、砂沙美はボーッとしてたりきょろきょろしてるし、

美星はそわそわ(これは何時もかも(笑))、阿重霞もぼんやりしたままだし、

魎呼はボーッとしているかと思えば時々含み笑いしている。(結構気味が悪い)

鷲羽が食事に出てきていないのも少し気になるが。

何やら仲間はずれにされているような気分になった天地。・・・気付かないかねぇ、しかし。

 

程なく夜もふけ床に就く時間、皆が寝静まった頃を見計らって起きる影アリ。

阿重霞が神社の方にそーっと出てゆき、魎呼は台所でゴソゴソやりはじめている。

鉢合わせにならないきわどいタイミングですれ違っているが自分の事に集中してしまっている為か、

他人の行動には気が付いていないらしい。

「んっふっふっふーっ、天地〜っこれをきっかけに、一気に・・・んふっんふふふふふふふふふっ♪」

一方、

「天地様・・明日はきっと・・・阿重霞、勇気を出すのよ、そして天地様と・・・ふふ、

おーほっほっほっほっ見てらっしゃい魎呼さん!決定的差をつけて差し上げますわ。」

 

 

その頃、天地の自室では

「‥ぐっ‥ううっ‥うーん‥」

その日の夜天地が人知れずうなされていた事は言うまでもない。

 

朝が来て起床の時間、何やら思いっきり体が重い天地。

「ふあ〜〜っ、なんだぁ?あんまり寝た気がしないなあ。」

そりゃそうだ結構うなされてたモンねぇ(^^;;

まあ、たいしたことも無いようなのでそのまま日課の境内の掃除に出る。

途中、台所によったときテーブルの上のゴミが目に入ったが寝ぼけた頭には大した事とはならなかった。

少々時間が早いのか砂沙美はまだ朝食の仕度には出てきていない。

 

「‥けど、よく知ってたよなぁ、やっぱ砂沙美ちゃんも女の子だもんな。」

なにが? ねー天地なにがどーしたのかなぁ?その発言は気になるんだけど(゚_゚;

「さってと掃除、掃除。 早くしないとじっちゃんに怒られちまう。」

あっこら、答えてけぇ。 ・・・なんなの・・さっきの台詞。

 

事もなく掃除が終わり、柾木家の朝食が始まる。

昨日の夕食と打って変わってニコニコ顔の砂沙美、なんか良い事あったらしい。

一方相変わらずの魎呼と阿重霞、食後に期待・・・かな。

美星は‥と、たいして変化ないなぁ。

 

ともあれ朝食が終わり、天地は何時もどおり畑に出かける(だから学校、どーなったのよ?)

すかさず追いかける二人、もちろん阿重霞と魎呼。

「天地様ーっ。」「て〜んちぃ〜っ。」

「えぇ?」「あぁ?」

睨み合って互いを牽制している二人、手にはそれぞれラッピング済みのプレゼント(笑)

「ど、どーしたのかな?二人とも。」

冷や汗を感じながら二人をいなす天地。 睨み合いからとけた両名、

互いに先を争って手に持ったものを渡そうと試みるが、

「天地様、こ」ズベシィッ!

「天地ぃ、あのさ、これ」ドゴッ! バシャアン!!

「なぁにしやがる、てめぇっ!!」「それはこちらの台詞ですっ!!」

「あのさ、なにかあるのかな?俺、畑に行かないと。」

キッ

「な、なんなの、かな。」

睨み合ってた二人に同時に向かれて怯む天地、二人とも目が据わっている。

「「天地(様)っ!!」」

「は、はい。」

「「これを。」」「え?」

「えっ、て受け取っていただけませんの?」「あたしのは受け取れないのかよ。」

「い、いえ、そういう事じゃなくて、どうしたんです?いきなり。」

「野暮な事いうなよぉ、天地ぃ。」

「天地さま、今日はそういう日なのでしょう。」

「え?それは、‥バレンタインデーの事‥かな。」

「「そーです(だ)!!」」

 

「・・・あの、今日は2月15日でバレンタインは昨日だったんだけど・・・。」

 

 

 

 

 

「「ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」

 

 

 

 

真っ白に燃え尽きた阿重霞と魎呼、昨日の苦労はどうなるのだろうか、ちなみに砂沙美と美星は

昨日の夕食後にしっかりとチョコを渡していたらしい。

今朝のご機嫌はそのためだったか・・。

 

 

 

 

いっぽう、遙彼方でその様子を見る人達がある。

「まあ、最近の地球にはそういう習慣が出来てましたか、・・・来年は私も行こうかしら。」

「あっらぁ〜、い〜い考えだわぁ、行きましょ行きましょお♪船穂お姉様♪」

あんた方、また覗いとんのかい(^^;

此処は樹雷星の皇室、超空間通信を使った監視映像が巨大スクリーンに映し出されている。

写っていたのは先ほどの柾木家の一部始終。

ここの二人、樹雷皇妃で阿重霞・砂沙美の母、美砂樹(みさき)と勝仁の母、船穂(ふなほ)。

どうやらバレンタインに託けて、また地球に顔を出す口実を作るらしい(笑)

 

 

 

「う゛、これは‥なんなんだろう;;;」

一応二人のプレゼントを受け取った天地は、中身を見たときこうもらしたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜後書き〜

うっぎゃーーーーーーっ。 遅れたぁ(TロT)、季節ネタなのに15日にUPじゃ意味ないやん。

しかもえらくハンパになったような・・・・うう、無理があったかなぁ天地無用は・・・。

6人以上キャラが暴れまわるから、書ききれてない。 なんとかオチはついたみたいだけど、

ヤマがない1週間以上かかってるのにこれでは・・・(T_T)

ふぃ、修行して出直してきましゅ。