「行ったのかい?」
「ええ。」
問い掛ける少年。
答える少女。
答えた少女―――綾波レイと、彼女によく似た雰囲気を持つ少年―――渚カヲル。
相違点と言えば、その銀髪と、その端正な顔に浮かぶ笑みだろうか。
しかし、その笑みが素顔を隠す仮面だとすれば、レイの無表情との違い、とは言え
ないのかもしれない。
「どうして今まで姿を消していたの?」
今度はレイが問い掛ける。
「シンジ君には僕を殺してしまったという、精神的引け目があるからね。
彼の真実の選択のための障害にならないように、と思ってね。
結果としてそのせいで君にはつらい想いをさせてしまったようだね。
謝るよ。
すまなかったね、レイ。」
少年の謝罪に、しかし彼女は、
「問題無いわ。」
と、素っ気無い一言を返したのみだった。
「彼と同じ台詞を言うんだね。」
苦笑するカヲル。
「やはり、長く側に居た影響かい?」
涼やかな笑みを絶やさぬまま問い掛けるカヲル。
レイは答えようとしない。
レイに答える気が無いと見て、話を変えるカヲル。
「ケド、シンジ君が真実の選択をしてくれて良かったよ。
これで彼も、彼の運命の人と共に幸せに生きてゆくことが出来るだろう。」
「…碇君にとってあの弐号機パイロットが運命の人だというの?」
初めてカヲルの言葉に感情の色らしきモノを示すレイ。
それは、不機嫌、と言い表すのが最も適当というものだろう。
「妬けるかい?
僕だってそうさ。
ケドね、僕たちじゃ駄目なんだよ。」
だがしかし、そう言った少年の笑顔は一点のかげりも無かった。
「自己愛の僕や、偽りの母性である君と結ばれてしまっては、シンジ君に残された
道は破滅しか無いんだよ。
それは閉塞するコトと同義だからね。
僕が初めて君に行った台詞を覚えているかい?」
あらためてレイに向き直るカヲル。
そして彼は言葉を紡ぎ出す。
あの時口にしたのと同じ言葉を。
まるでビデオテープにでも記録していたのではないかと思える程に、あの時と全く
同じ仕草で。
「綾波レイ…
君は僕と同じだね。」
―――既視感(デジャ・ヴュ)―――
「今なら判るだろう?この言葉の本当の意味が。
あの時君は何か思い違いをしていた様だケドね。
いくら想っていても、決してシンジ君と結ばれるコトは許されない…」
そして彼はもう1度その言葉を口にした。
「君は僕と同じだね。」
「…そう。」
黙ってカヲルの話を聞いていたレイが、顔を上げた。
その顔には意外にも、どこかふっきれた様な笑みが浮かんでいた。
彼女のその表情を見たカヲルもそれで全てを了解したのだろう。
彼も再び、満足げな笑みを浮かべた。
「ケド、ホモと一緒にされる覚えは無いんだけれど。」
レイが珍しく冗談めかして皮肉る。
だが、カヲルは全く動ぜずにきりかえす。
「僕はホモじゃないよ。
ただシンジ君が好きなだけさ。」
「それをホモと言うんじゃない?」
負けじとたたみかけるレイ。
「…なかなかツッコミが厳しいね。」
さすがのカヲルもこれには苦笑するしかない。
「よかった。
さあ、今度は君の番だよ、レイ。
君も幸せにならなければならない。
僕が君の幸せを守ってみせる。」
それまでとは一変し、真剣そのものなカヲル。
「…随分はっきり言うのね。」
その時彼女の顔に浮かんだ笑みは、決して苦笑ではなかった。
「性分でね。
それにシンジ君もそれを望むだろう。
結果的に彼は彼女を選んだケド、きっと君の幸せも願っているはずだから。
こうするコトが、彼の願いであり、そして僕自身の意志でもある。」
「そうね…
じゃあ、行きましょうか、カヲル…」
「…初めて名前で呼んでくれたね、レイ…」
「そうだったかしら?」
「そうだよ。
ふふっ…
じゃあ行こうか。」
「…ええ。」
Fin
どもっ、うーでごじゃりましゅるっ!
ちょーしコイて、投稿第2弾です。
動機はレイも補完せねばっ、と思ったのですが、その相手はシンジじゃないなァ、
と、思ったので、ここは一発カヲル君に一肌脱いでもらおうかというコトになりま
して…
―――ふふふ…シンジ君の為ならいくらでも脱ぐよ…ふふふ―――
なっ、なんじゃ?
いまのこえは?
心霊現象か?
と、ともかく…
ホントはひねくれシンジが書きたいのに…書けない(涙)
そろそろテストだし…
進級できるかなァ…(爆)
でわっ!