ルリの航海日誌・途中の1ページ

YUASHI版 ルリルリサーガ・2




ツカツカツカ

クルッ、 パスッ



^なんだろう? 前が見えない^

「ルリちゃん、 どうしたの?」

^テンカワさんの声、 真上から ・・ ^



「すっすみません!」

「いや、 気を付けてなかった俺も悪いんだしさ。 そんな俯いてないで顔上げてよルリちゃん」

そうです。 皆さんお解りの通り、 テンカワさんのお腹に突っ込んでしまいました。 もちろんわざとじゃ有りません。 考え事してたんです。 テンカワさんの事。

顔を上げられないのも反省してる訳じゃ無く、 顔が見せられないほど真っ赤っ赤になっています。 慣れてませんから、 こういうの。 そんな事言われても困っちゃいます( ̄m ̄)。

・・・

・・・

・・・無言

^えーとえーと、 どうすればいいんだ? ・・・ ・・・ 謝らなくちゃいけないな、 でも顔を上げてくれないと、 とっても話づらいんだけど ・・ ^

^アキトさんて結構大きい、 まだまだ子供にみえるのに ・・・ ・・・ 顔を見られたくない! 早く行ってくれないかな ・・ ^

「じゃあ、 さよなら」で済まして欲しいんだけど、 それが出来ないのがテンカワさん。 俯いてるんなら自分から目を合わせればいいってもんで、 わざわざあたしの顔を覗き込む。

「あのっ、 ルリちゃん ・・ ! どうしたのっ! 顔が赤いよ。 熱でもあるの?」

「 ・・・ 」
無言

ピトッ
テンカワさんの頭があたしのオデコに付けられる。 目を開けるとテンカワさんのドアップ。 そう考えるだけであたしの思考はオーバーヒート、 思兼でも出来ない事なのに(恋のパワーは無限大?)。 ますます顔が赤くなっちゃう。

「大変だっ!! 凄い熱! すぐ医務室に行かないと」
いつのまにか足もガクガクしていて、 これじゃあ間違えられてもしょうがない。

ヒョイ
あたしがナニカ言う前に軽くテンカワさんにおんぶされてしまう。

^意外に力があるんだ、 やっぱり男の子 ・・・ ・・・ 大きくて暖かい背中、 今はあたしが一人占め。 艦長も小さい時はこんな事してもらってたのかな? あたしが初めて ・・・ ダッタラ嬉しいな ・・・ エヘヘ^





ハッ!

^ここは ・・・ 医務室? うんん違う、 あたしの部屋だ。 どうしてここに ・・ ^

「気が付いた? 良かった、 気を失ってたから ・・ 」
側にはテンカワさんが居た、 あたしを見てホッとしている。 訳が分からない。

「気を? ・・・ 」

「うん、 運ぶ途中にね。 イネスさんに診てもらったら「コイの病」なんだってさ、 よく解んないんだけど静かに寝さしておけば治るって言ってたから、 ここに連れてきたんだ。 ここが一番落ち着くだろうと思ってさ」
思い出しました、 テンカワさんの背中に ・・・ 面倒くさいから、 えーと ・・・ 幸せになって天国に行きました。 これで良いんです!

^「コイの病」? ・・・ 「恋の病」だよね。 どうやったら気が付かないんだろう? 原因はテンカワさんにあるのに、 一緒に居たら意味が無い^
そんな事考えながらも赤くなるあたし、 その気遣いが嬉しかった。 心の中まで正直じゃ有りません。 みんなそうなんです、 きっと(違うかったらごめんね)。

「ありがとうございます」
俯きながらもボソボソお礼を言う。 こんなにはっきりしないあたしは初めて。

「いいんだよ、 お礼なんてさ。 僕達仲間じゃないか、 仲間のピンチにはすぐ駆けつける! ・・・ ハハハッ、 自分で言っといてちょっと恥ずかしいけどね ・・・ ・・・ ガイならはっきし言うんだろうけど ・・・ 」
ズーンと暗くなるテンカワさん、 悲しい想い出を思いだしたよう。 ちょっぴり同情しちゃって、 一緒に暗くなる。 あたしも大人になりました。

ズーン
ズーン

「どころでさっ ・・・ ルリちゃん ・・ 」

「はい」

どんどん暗くなっていくのに終りを告げたのはテンカワさん、 昔だったら無理だろうな。 小さな子供もいつのまにか大きくなるもんです。 ホント。

「いやっ、 あのさ、 別に言いたくないんだったら良いんだけど ・・・ 「コイの病」ってナニ?」

「はい、 要するに ・・ 」

「えっ、 えっと。 イネスさんの話だと女の人に聞いちゃいけない病気なんだって、 そんなに知りたいんだったら直接聞いてみればって、 言われたから。 あのっ、 ホントによければで良いんだ ・・ 」
言い訳しながら赤くなっていくテンカワさん。 ナニ想像してるんだか。

「恋、 「コイの病」のコイは人を好きになる時の恋です。 「恋の病」とは好きな人と一緒に居たい! って気持ちが強くなり過ぎて、 精神面でも身体面でもおかしくなる事を差します。 女性特有の病気じゃ有りません。 変な想像は止めてください。 あたしも女性ですから失礼です!」
最後は強い口調、 あたしのコレって恐いそうです。 それもすっごく!

それを聞いたテンカワさん、 気が付いた時にはもう土下座。 プライドってもんが無いのでしょうか? さっきの言葉、 訂正します。 当たり前かな?

「ゴメンッ! ホントにゴメンっ!! ルリちゃんまだ子供だから傷ついたりしないだろうって、 軽い気持ちで聞いたんだ。 こんな失礼な考え、 年なんて関係ないっ! ・・・ えーとっ、 えーとっ ・・ 」
ここでネタ切れ? あっさりしてていいかもね。

「 ・・・ 」

「えっ? あのっ、 ルリちゃぁん?」
焦るテンカワさんの声、 あたしの名前を呼ぶ時には、 小犬の鳴き声。

「 ・・・ 」

無反応、 珍しく膨れてます。 たまには良いんじゃないでしょうか、 こういうのも(たまにはよ)。

「ゴメン」「 ・・・ 」

「ゴメンッ」「 ・・・ 」

「ゴメンッ!」「 ・・・ 」

「ゴメンッ!!」「 ・・・ 」

「ゴメンッ!!!」「ツーン」
やっと反応、 でもまだ怒ってます。 でも安心するのよね、 永遠の時間が過ぎると。

「ふぅー、 よかったぁー」
汗をフキフキ、 こっちに近づいてきます。 あたし、 許してません!

「このままずっとコンナダッカラ嫌だしね、 気まずいの嫌だから握手」

そう言って手を出してきます。 釣られて手を出すあたしの反応。 テンカワさんは笑顔で握手、 握手! 握手!! とっても嬉しそう。 あたしも一緒にニッコリ微笑んじゃいました。

まだまだ許した訳じゃないけれど、 笑顔を見るとそんな事は吹っ飛んじゃいました。 いつのまにかテンカワさんのペース、 乗せられ安いですか? あたし。


ゴホッ、ゴホゴホッ

ちょっぴり幸せな一時 ・・・ すぐに終りを告げる音がする。 もう! 神様って意地悪(ーnー)

「まだ寝てなくちゃ、 ナニカ食べる? りんごなら剥いてあるけど ・・ 」
咳したあたしを見て、 テンカワさんがまた勘違いしたようです。 でもナニカホントにしんどくなって来ました。 気のせい?

「いいです、 あまり気分が良くありませんから」
気を抜くと笑い出しそうだったから、 そう言って俯きます。 ホントは嬉しんですけど。

「はい、 口開けて」
テンカワさんが側に寄ってきて、 ウサギさんをあたしに食べさせようとします。 いいって言ってるのに。 聞いちゃいません。

ムッ
言っても効かないなら行動で示しちゃいます。 口を閉じればどんな生物でも食べる事が出来ません(ムフフ)。

ムニュッ
それでも押し付けてきます。 ナニカあるのでしょうか? このりんごには。

ムシャムシャ

「食べないの? こんなに美味しいのに」
テンカワさんがポカーンとしながら、 自分で食べはじめました。 りんごも剥いてから時間が経つと美味しくなくなるそうです。 後で聞きました。 人にも全盛期があるように、 植物にも全盛期がある。 当然といえば当然なんですけど、 この時は知りませんでした(反省(^^;)。

さてさて、 本編に戻りましょう。 ええと ・・・ この時はこれでお終いって思って安心したんだけど ・・

「ホイ」
そう言って、 容器ごと放り投げてきます。 慌ててキャッチするあたし。 前置きぐらい欲しかったな(=・=)。 注・ウサギさんだよ

「ルリちゃんももう子供じゃないもんな。 食べさしてもらうのが恥ずかしい年頃なんだ」
勝手な事を言うテンカワさん。 アニメの真似して大声で叫ぶのよりはマシだと思うけど ・・

「いいです。 お構いなく」
しつこいので今度は他人行儀にしてみました。 謹んでお返し申し上げます(笑)。

「そんな事言わないでさ、 ねっ! 一つだけでもいいからさ」
ナニカあるようです。 マジで、 今までは残すと寂しそうにするだけでした。 こんなリアクションは初めてです。 しつこい!(^^#


カシャンッ
何度か目の返しあいの時にその事件は起こりました。 落ちたんです、 ウサギさんが(ウサギさんゴメン!)。

「「あっ!」」

ボーゼンとするあたし達、 テンカワさんにはかなりショックだったようで、 この出来事の後当分機嫌が悪かったです。 取り合ってくれませんでした、 2日も ・・





記憶に残らない無意味な時間が過ぎ、 動き出したテンカワさん。 落ちたりんごを拾っています。 洗って食べるつもりでしょうか?

「ごめんなさい ・・ 」

「いいよ、 ルリちゃんのせいじゃない。 無理に進めた俺が悪いんだ。 俺が ・・ 」
そう言いながらもがっくしと肩を落として、 あたしに振り向いてくれないテンカワさん。 声はくぐもって遠くから聞こえる ・・・

結局一度も見ずに出て行きました。 ところで、 なぜあたしが謝らなければいけないのでしょうか? あたし、 何も悪い事してません! さっきの事もあります! ・・・ えっ? 大人になるとそういう事がたくさんある? ・・・ だそうです。 解答者はイネスさんでした。

^食べてあげればよかったな。 ホントに食べたくない訳じゃなかったし ・・・ ・・・ ナニガあったんだろう? あのりんご^
ちょっと落ち込もうかなと思ったりもしたけれど、 悪いのはあたしじゃないし、 そんな大人の事情なんて知らない。 気にせず明るく爽やかにぃー(^O^)。

ハックシュンッ!
えっえっえーと、 勝手に進めらちゃうと困るんだけど ・・

^う"ー、 ほんとに風邪引いちゃったみたい、 テンカワさんも気が利かない。 子供だと思ってるんなら服着替えさせてくれれば良かったのに ・・・ 無理かな? ・・・ ・・・ とにかく着替えヨウ^

シュー、 シュルシュル

カシャッ

^う"っ? な"ん"だ"ろ"う"? ま"あ"い"い"か"ら"、 早"く"寝"よ"^

ドスンッ

ゴソゴソ、 パサッ

「ハックションゥゥーー」
もう一度特大のクシャミをしてベッドに潜り込む(ホッ)。

スゥースゥー

気持ち良さそうな寝息を立てて寝はじめる。 一気に緊張が解けてしまったから ・・・ (ー_ー)


その後、 幾人もの来訪者があったのはあたしの記憶にない。





ガサゴソガソゴソ

「良いじゃないかこれぐらいぃー」

「ナニ言ってるんだっ! 今すぐ止めろって」

「付き合い悪いぞっ、 おまえ」

「それとこれとは別の話だろっ!」

「しぃーっ、 ルリちゃんが起きちまうだろうが、 静かにしろぃ」

「そうだ、 起こしてしまってはすべて無意味な事だ。 喧嘩などせずに静かに早くするべきだ」

「相変わらず、 固いわねぇー。 言うのだってストレートに「やめろ」って言えないの?」

「どうでもいいだろう。 そんな事」

「よくないっ! あんたは ・・ 」

ボカッ

「静かにするんだ」

「いったぁーい」

「俺はぁー ・・ 」

「どうせならパーティーにしませんか? 一先前のクリスマスぅ! ねえ、 いいでしょ?」

「ルリちゃん嫌がるかもしれませんよ。 ホラっ、 ルリちゃんて真面目だし」

「そうね、 ルリルリの性格を考えると逆効果ね。 また、 倒れるかも」

「そんなぁー」

「じゃぁー ・・・ 手紙だけ置いといたら?」

「それは良いかもしれないわね」

「じゃあ、 やりましょうよ」

「やるんならぁー、 すっごい事しましょう! 宇宙一大きい手紙とか」

「じゃあこういうのはどうだ?」

ゴニョゴニョ、 ウンウン





チッチッチ

ハッ!
時計の音で目が覚めたあたし、 もう夜中の3時過ぎ、 みんな海より深く眠ってる頃。 あれでも張り詰めてるから疲れてるのよね。 途中で起きる事はまずないでしょう。

ガサッ
動くと何かモノに当たった、 バラの花束。 メッセージも付いていたみたい。

「やあ、 ルリちゃん大丈夫かい? 君が風邪をひいたって聞いたもんだから、 エステバリスより早く戻ってきたよ。 ピンクのバラは気に入ってくれたかな? 食用だから食べてもいいし美容にもいい、 もちろん病気にもね。 ああ、 そんな事は別にどうでもいいんだ。 病気には気を付けて、 オヤスミ。 アカツキより」
暗闇でも読めるのは蛍光塗料で書かれた字のおかげ、 アカツキさんらしい。

「あっ! ルリルリが起きてるじゃなぁい、 みんなを呼んでこなくちゃ」

プシュッ

いつから居たのかテンカワさんの居た場所にミナトさんがいる ・・・ もう出てちゃったけど ・・・ おーい;^^)。

^起きてたんだ、 あたしの事心配して? ミナトさんだからかな? ううん関係ない、 誰が心配してくれてても ・・・ ^

そこまで考えて止める。 みんなの声が聞こえたから、 心配してもらってるのに笑顔をみんなに見て欲しい ・・


プシュッ

「わーい、 うさぎさんだよー。 ルリお姉さんも早く元気になって、 ナゼ?なにナデシコ! 一緒にやろうねっ、 視聴者のみんなも心配してお手紙がいっーぱい着たんだよ!! ホラッ!」

ドッサリ

あたしの決心がつく前に入って来ました。 艦長です。 うさぎのカッコまでして ・・・ 気が付いたら周りは手紙だらけ、 笑顔でいようなんて考えは何処へやら、 あまりの事にびっくりしちゃって声もでません。

手紙の束、 軽く500通はいきそう。 全部蛍光塗料で書いてあります。 まっ、 みんなが考えたんだからこんなもんかな? ・・・ ・・・ ところで、 そんなに居たのかなぁー? ナデシコのクルーって(気にしない方が良いかもね)。

「ホレッ! 熊のぬいぐるみだっ、 前欲しいって言ってたろ。 やるよ、 その代わりさっさと元気になってみんなに元気な顔見せるんだぞっ!! じゃあな」

^ ・・・ 覚えてくれてたんだ、 前に少しだけ欲しいって言ったの ・・・ ・・・ 今度あったらお礼言わなくちゃ^


「ルリちゃん、 元気そうじゃないか、 もう大丈夫なのかい? 食欲が出たら食堂においで、 うんとご馳走したげるからさっ」

^ホウメイさん ・・ ^


「びょーきなんてひきやがって、 運動しねぇからだ。 今度みっちり鍛えてやるから俺んトコに来いっ! ・・・ まあ、 今は静かに寝てな。 うんじゃあ、 そういう事で俺は帰るわ。 言いたい事も言ったしな」

「そんな事言ってぇー、 このこのぉー。 素直に心配したって言えば良いのにぃー」

「そのとぉうり、 うんうん」

「ナニ言ってやがるっ! 俺はただなぁー」「「ただナニィー?」」

「ぐっ、 このぉーー」「きゃぁーー、 暴力はんたぁーい」

「うっせー、 このやろ」
ドカッ、バキッ、ゴキッ


「えー、 うるさいのには途中退場してもらってと、 さて、 気分はどうですか? ナニカ欲しいモノとか有りませんか? あるんだったら遠慮無く言ってください。 買って来てさしあげますから ・・・ もちろん会社には迷惑を掛けません。 あたしの自腹でどうにかしますんで ・・ 」

「ナデシコ!」「はぁ? いくらなんでもそれは無理と言うモノです。 出来れば別の物をお願いし ・・ 」

「冗談です。 ナニもいりません。 ナデシコと今のみなさんが居てくれれば ・・・ 」

「そうですか、 それは残念です。 ルリさんにはもっと頑張ってもらわなくちゃいけません。 艦長があれなので ・・ 」

「あのぅー、 ナニカ言いませんでした?」

「いえいえ、 あなたが一番の美人だと話していたところです」

「そんな感じしなかったけど ・・ 」

ギクッ

「まあまあ、 そんな事気になさらずに」

「そうだよね。 今はうさぎさんだもの、 なに聞かれても「解んないや」でいっちゃいましょう!」

クスクスッ


「ルぅリルリ、 心配したのよ。 いきなり倒れたって聞いたもの。 アキト君の事で悩んでるんだったら、溜めておかずに私の所に来なさい。 いい物あげるから、 ウフフッ」

「惚れグスリみたいな物なら要りません」

「あら、 どうして解ったの?」

「自分の力で振り向かせて見せますから ・・ 」

「フッ、 自信満々ね。 でもアキト君の前に立つ度に倒れてたら勝負にならないわよ。 鈍感なんだから、 相談には乗ってあげるから来なさい。 言いたい事は吐き出して整理しないとね」

「はい、 そおいう事ならお願いします」

「じゃあねぇー」


「ちょっとーぉー、 一番マシだと思ってたあんたが倒れてどうすんの!っ。 あなたが居ないと副操舵士のあたしが地図引き出したりしなきゃいけないのよ!っ。 明日までに直しなさいよ病気、 直さなかったら無理矢理にでも仕事をさすわよ!っ。 じゃっ、 あたしはあんたみたいに暇じゃないからおさらばするわ」

^エリナさんまで ・・ ^

^ ・・・ みんなやり方は違うけど、 みんなあたしの事心配してくれている ・・・ ・・・ バカばっか、 素直になれない人達ばっかり。 まっ、 面白味があっていいけどね ・・・ ・・・ ・・・ そういえば、 テンカワさんは?^ キョロキョロ見渡すあたし、 でも目当ての人は見つからない(?)。

^何処にいるんだろう? もしかして怒ってるのかな? このままだととっても悲しいから ・・・ 今度ちゃんと謝ろう^
また一つ、 心の中の借金が増える。 借金ばかりの人間にはなりたくないから、 今度必ず ・・


「あっ、 ルリちゃん。 コレ、アキトさんから ・・ 」

今まで静かだったメグミさんがそう言って手紙とビンをあたしに渡す。 ナニカ寂しそぅ ・・・

ビッリビリビッ

パラパラ

 ̄ゴメン。 無理に食べさせようとしたりなんかして。

言い分けになるけど、 あのりんごは宇宙用に品種改良されたりんごなんかじゃなくて、 地球原産のりんごだったんだ。 前に地球に寄った時に買ってきて、 自分の部屋に植えたんだ。 やっと食べれるぐらいになったから誰かに食べて欲しかったんだ。

P.S、 りんごをジュースにして密封しといたから、 気分が良くなったら飲んでください。_

^そういう事は先に言って欲しかったな。 テンカワさんとの距離 ・・・ また開いちゃった^


「ルリちゃん、 なんて書いてあったの?」
メグミさんがあたしに聞いてくる。

「病気にはりんごが良いらしいってりんごジュースくれたようです」

「良かった、 てっきりラブレターかと思ちゃったのあたし。 そんな訳ないのに、 バカですよね? あたしって ・・・ ・・・ あたしが病気になったら、 アキトさんもきっと心配してくれる! ルリちゃんもそう思うでしょっ? 今日からウント薄着にしなくちゃ!」

タタタッ

思い立ったらすぐ行動、 あたしの答えも待たずに飛び出した。 あたしに無いって言えばあの行動力よね(欲しくないけど)。

「バカ」

『おおぉー』

「それが言えればもう大丈夫。 心配無いわ」

監視カメラから声が出るのは嫌な気分、 今度から止めてくださいイネスさん ・・・ ・・・ もう一つ、 「バカ」であたしの健康を決め付けないでください。 盲腸のガスじゃ無いんですから ・・





後で聞いた話。 艦長もあたしを運ぶの手伝ったんだって、 いつもなら近くに居るだけで妬いたりするのにね。 テンカワさんと2人きりにさせたのもそう、 意外といいとこあるんだ。 一応、 テンカワさん意外の事も頭にあるようです。 見直しました(あたしがテンカワさんを好きなのは解ったようですけど、 病気がそのせいだって事までは気付か無かったみたい)。


最後はみんながお見舞いに来てくれました。 顔の知らない人もたくさんいたけど、 みんな心配して、 お見舞いの品くれました。 お見舞い品の整理で今も大変ですが、 嬉しながら整理してます。

乗艦最年少、 11才。 子供の過重労働じゃない? まあ、 気にしてないからいいけど(あたしが動かしてるみたいだからこのナデシコって)。
ホント、 ナニからナニまでバカばっかでいろいろ苦労もあるんだけど、 心配してくれるのは嬉しいです。 感謝、感謝。



See You



The End
episode of ルリの航海日誌・途中の1ページ


writted by yuashi
yuashi@z2.zzz.or.jp



?+後書き

「ルリルリサーガは3部作
あーだ、こーだ書いてるうちに、何時の間にやら後一回!
書きたい事は、アレもコレもで、いっぱいπ(パイ)!

ところでみんな、どう思う?
テンカワさんにアキトさん、どっちの呼び方がぐっ!っと来る?
アキトも良いんだけど、艦長が使ってるからNo thank you!
いつか貴方(アナタ)と呼びたい人の、今の呼び方どっちだろ?」



一気に書いたYUASHI版ルリルリサーガの第2作。
元ネタは自分の風邪だったりもする(笑)。
今回、ナレーターのルリが凄い暴走(話は大丈夫 ・・・ たぶん(^^;)。
最後がちょっとしっくり来ないかもしれない、自分らしからぬ普通の終わり方。
まあ、考えてもしょうがない。批判でもいいから感想ちょーだい。