Internet Alert "Frozen Drive"

Epispde5

作・Yuskeさま

 


Internet Alert "Frozen Drive"

.....Initiated

....security all clear..

...Proceed

 

 

ジリリリリリリリリリリ!!!!

目覚し時計の音が部屋の中に鳴り響く..

ベッドの中でシーツにくるまっている少女は目をこすり、その彼女の顔のすぐ横に寝ているリスを突っつく。

リスはシッポで目をこすり小さくあくびをするとシッポで身体を持ち上げゆっくりと目覚しに向ってよろよろ

歩く。 それを見た緑髪の少女はいたすらげな微笑みを浮かべる..とことことリスのリーリは目覚しに向かって

行く。そしてリーリが茶色のシッポで目覚しのボタンを押そうとしたとき、 エミリーの手がボタンを押す。

「残念でっしゅる。 時間切れっしゅるよぉリーリ! ちゃーんと起きてボタンをおっしゅる!」

リーリは口に木の実を含ませたようにぷぅっと頬を膨らませる。 そして可愛い声で『りぃ!! りりぃ!!』っと

泣き始める。 それを見たエミリーはお腹を抱えて笑い出す。

「ごめんっしゅる。 今度はちゃんとりーりにおさっしゅる!」

エミリーはリーリの頭を撫で、 手を出す。リーリはそれに飛び乗るとエミリーの腕を駆け上がり肩に到着すると座り込む。

リーリが肩に座ったのを確認するとエミリーはバスルームへと向った..

 

15 minutes Later....

 

ガチャ..

ドアを開け自分の部屋に帰ってきたエミリーはタオルで髪を拭きクローゼットを開ける。 クローゼットの中で一番お気に入りの

ブラウスとスカートを取り出し着替え始める。 もちろんその間、 リーリは後ろを向き目をシッポで隠す。

ポチッ..ポチッ..ポチッ

ブラウスのボタンを止め追えるとエミリーは髪に串を通す。 そして鏡の前で三つ網をセットをし彼女の学校のしたくは終わった。

「出来っしゅる!! さーリーリィ、 今日も一日がんばっしゅる! えいえいしゅるる!!」

リーリはそれに応答し、 尻尾を振りまわし最後に宙にかざす。 そしてエミリーは自分の部屋を後にした。

 

リビングルームに降りるとエミリーは当りを見回す。 いつもならエミリーが朝食を作っているのだが今日はマリーの番であった。

ダイニングルームに入るとパンの焼けた匂いがし、 ジューっと何かを焼いている音がキッチンから聞こえる。

「あっ、 エミリー? Good morning!」

「Good morning、 Marie」

エミリーは自分の席に座り、 マリーがキッチンから出てくるのを待つ。 エミリーは軽くあくびをするとマリーの声が聞こえる。

「エミリー、 先に食べてて良いわよ。 学校後れちゃったら元も子も無いでしょ。 そこにクロワッサンとかマッフィンとかあるから。

あっ! コーヒ作り忘れた。 ゴメンね変りに冷蔵庫からジュースでも出して飲んで。」

エミリーはボケーっとしながら答える。

「だいじょっしゅる..単車で飛ばせば..ふぁぁぁ..なんとか間に合っしゅる..だから一緒に食べっしゅる..」

「駄目よエミリー、 バイクで飛ばして何かにぶつかったら即死確定よ。 もうちょっと安全運転しなさいよぉ、 貴方の保護者は私なんですからね。

上司の命令..じゃ無かった..保護者としての助言よ。 ちゃんとゆっくりいきなさいよ。」

「わかっしゅる..でもぉ運転してるときはぁ記憶無いっしゅる..だから行っても無駄っしゅる。」

エミリーは冷蔵庫から取り出したオレンジジュースをコップにつぎ、 オレンジジュースを口にする。 ジューっと朝食を焼く音が止み、 エプロン姿

で茶髪の女性がベーコンを持って出てくる。エミリーはグラスを置くとマリーの持ってきたベーコンをフォークでとる。

「マリーの作る朝食はティピカルアメリカンっしゅる..もっとぉ面白い物ぉ作れなっしゅるかぁ?」

エミリーはナイフでベーコンを切ると一口分のベーコンを食べる。 マリーはクロワッサンをちぎりながらエミリーの愚痴に答える。

「そんな事言ってもねぇ。 エミリーみたいにイタリアンやらチャイニーズやら作れる方が凄いのよ。 私は普通のアメリカンガールですからね。 確かに

エミリーみたいにバラエティーは無いけど私の料理も捨てたもんじゃないわよ。」

エミリーはマッフィンをかじる。

「これ..ダンキン・ドーナッツのマッフィンでしゅる..」

マリーは食べていたクロワッサンをゴクリと飲み込み答える。

「あ....バレちゃったかな? でもエミリーみたいに地から作る暇なんて無いでしょ..だから許して。 ベーコンは美味しいでしょ? ねっ?」

エミリーは料理を食べ終え、 昨日の間に整えて置いたバッグを肩に掛ける。 コンバースのスターシリーズの靴を履き、 履紐を結ぶとピョンっと立ち上がり

マリーに挨拶する。

「それじゃ、 いってきまーっしゅる!!」

未だにエプロンをつけ、 新聞を読んでいたマリーが眼鏡を取る。

「気をつけて言ってきなさいよ!」

マリーが答えた時、 エミリーは既に愛車のバイクのスロットルを回し..道路へと向っていた。

 

ブロロロロローーーー グロロロロロローーーーーー..グルン..グルン.ガチッ

「ふぅ..今日もまたあのコップがしつこく追ってきやがったねぇ..しつこい男は嫌いなんだけどねぇ。 でも可愛いから焼き入れるのは辞めとこうね、 リーリ。」

エミリーはヘルメットを取ると黒髪を靡かせ、胸の間に挟まっていたリーリを取り出し肩に置く。 そしてヘルメットをバイクのシートの下にロックすると、登校し始める。

歩いていくうちに彼女の髪は漆黒から緑に変り目つきもきつい目つきからとろんとした可愛い眼に変る。

「エミリー、 グッドモーニング! 今日も元気?」

エミリーが振り向くと、 そこには黒髪のショートカットの女の子が立っていた。背はエミリーよりも小さいが彼女のスタイルはエミリーに引けをとらない程であった。

「ジェンちゃん、おはよっしゅる。 今日もげっしゅるおげんきょっしゅるっしゅる!」

ジェニファーはエミリーが何を言おうとしているのか分かっているらしく、 ニコニコとエミリーと話す。

「エミリーは国語(合衆国の場合英語)が弱いんだから。 もっとボキャブラリー勉強しなくちゃね。」

「わかっしゅる..でも見っしゅることも無い言葉、 わからなっしゅるよ。」

エミリーは少しすねたのか、 足蹴している。 そのまま二人のお喋りは学校の廊下まで続いた。

「エミリー、 おはよう!」

「Wassup! Emily」

「今日も可愛いねぇ。」

エミリーに向って廊下のほとんどの生徒達が挨拶する。 エミリーも挨拶を返すのが精一杯でジェニファーとのお喋りが出来なくなったほどだ。 もちろんジェニファーも挨拶を

しているので彼女は気にしていなかった。

ドンッ....

背丈が6フィート5ある男がエミリーにぶつかる。

「痛っしゅる..もー! 気を付けっしゅるよ!」

エミリーは注意するようなそぶりで左手を腰に置き、 右手で指差す。

「What the F....(放送禁使用語)。 俺にぶつかって来たのは貴様だろ! おっ、 お前がエミリーか? 馬鹿そうだが可愛いな。」

男は頬を擦る。

「それはどうもありがっしゅる。」

「そうだな..普段だったら今、 この場で叩き殺している所だが..殺さないでやるよ。 その変り、 お前は今日から俺の女だ! 良いな。」

「やっしゅる。」

エミリーの一瞬のリプライに周りは驚き、 エミリー以外の生徒達は全員一歩下がった。 男の額には血管が浮かび上がり、 拳を鳴らしながらエミリーに顔を寄せる。

「何だとぉ! 貴様ぁ、 死にてーのかぁ? あぁ? You Have no Choice!(選択の余地はねーんだよ!)」

「Of Course I do! I don’t like you okay! Leave me Alone.」

エミリーはそのまま真っ直ぐ男を避け歩き始める。しかし、 リスの泣き声がエミリーの耳に響く。

「馬鹿女! 貴様のペットを握り殺して欲しいか? そうだよなぁ..もちろん殺して欲しくないよなぁ..フッフッフッフ..ハハハハハハ!」

男の腕に血管が浮き上がり、 リーリの泣き声が一層強くなる。

..........

エミリーは歩みを止め、 振り向く。しかし、 エミリーが声を上げる前に高い女の声が廊下を木霊した。

「カイル..や、 止めなさいよ! リーリは関係ないでしょ! なんでここまで人を苛めるのよ!」

ジェニファーが周りに集まった野次馬達の中から飛び出す。 そして勇気を出し、 声を上げた。 しかし、 カイルはそれを無視し、 リーリを締め付ける。

「文句ある奴は、 俺からこのリスを奪ってみろや! お前等二人のひ弱な女共には無理だろうがな。」

ジェニファーは一歩先へ進む。 しかし、身体が震え動かなくなる。 頭を左右に振り、 迷いを振り払うとカイルの目の前まで脚を運ぶ。

「リーリを返してあげて。 お願いだから..」

ジェニファーは今でも泣きそうな声でカイルに話し掛ける。 カイルは汚らしい笑みを浮かべ、 左手を振り上げる。 ジェニファーは悲鳴を上げず、 目を閉じて

叩かれるのを待つ、 しかし何時まで待っても叩かれる感触がしなかった。

バシッ....ドカッ....

「あ、あれ..痛くない?」

彼女はそう思いながら目を開けた。 彼女の前に立っていたのはカイルでは無く、 エミリーであった。 ジェニファーはエミリーを見回すが、 彼女は普段のエミリーとは

まるで別人の様だった。 髪の色は軽い緑色から漆黒に変り、 彼女の印象もやさしく、 天真爛漫なエミリーとは別人であった。彼女の拳はカイルの顎を突いていた。 エミリーは

伸ばした腕を引くとカイルは一歩後ずさり、 白目をむきながらドサッと床に倒れた。 ジェニファーはリーリも一緒に倒れてしまったのかとカイルの手を見るが、 彼の手にはリーリが握られて

居なかった。

「あ、 あれ? リーリは?」

「リー!!」

リーリの元気強い声がエミリーの方から聞こえる。 はっとエミリーの肩を見るとそこにはリーリがシッポを振りながら口を膨らませていた。

「リーリ、 何時の間に?」

「アタイが殴る前に返してもらったんだよ。」

エミリーはいつもよりも低く落ち着いた声でジェニファーの質問に答えた。

「え? あれ?....今、 『しゅる』って..言わなかったよね..それにアタイって??」

状況を把握出来ない周りの野次馬達は驚きのあまり静まり返って、 廊下には一時の静寂が逢った。

エミリーもリーリを撫で、 なにも話そうとしない。それもそうだ、 自分でもよく理解出来な事なのだ。静寂を壊すかの様にジェニファーがエミリーに優しく話し掛ける。

「エミリー、 凄いね。 そんなに強かったなんて知らなかったよ。今のエミリーすごーくかっこいいよ!」

ジェニファーはエミリーの漆黒の目に写る自分の姿を見つめる。しかし、 すぐさまエミリーはジェニファーに背を向ける

「ジェン......ジェニファー、余計な事しやがって..こんな野郎、アタイ一人で解決したのに..もう..アタイの眼の前に現れるな....さもないと..

アンタも..そこの男のみたいになっちまうよ..」

「エ、 エミリー....ウ..ソ..エミリー。」

エミリーは拳を強く握り、 声が震えないように強く叫ぶ。

「あーあ、 つまんないね! アタイはもう行くよ..こんなつまんない場所、 いても意味無いよ。」

「エミリー、 待って! だめ、 行かせない。 貴方がいつものエミリーじゃ無かったとしても貴方は私の友達。」

「ジェ、 ジェンちゃん..ア、アタイはアンタみたいなお嬢様とは違うんだ..両親も居ない、 友達も皆死んじまったんだ。 アタイは疫病神なんだよ..だから、 アタイという

人間は存在しちゃいけないんだ..ごめん..」

エミリーが走りだそうとした瞬間、 「あっ」っと言う叫びと共に床へと倒れてしまった。 ジェニファーはそれを見て彼女の横へと駆け寄る。

「エミリー!! エミリー!! 誰か!! 911をお願い..」

周りの野次馬に叫びかけるジェニファー。 その中、 何人かのジェニファーの友達が、 医者を呼びに行った。

 

ファン..ファン..ファン..ファン

 

「やっと着いた..エミリー、 大丈夫だからね..心配しないで。」

 

 

Frozen Drive

 

「The Dual Nature of Mankind」

 

 

白く染められた壁..その空間の中にあるのはベッド、椅子と治療用に使われているセルバイオライザー。

ベッドの横にある小さなテーブルの横に置かれているラジオが2020年代のポップ曲を流す..

「This weeks Top Ten list! Number one! From The Movie,

Two−thousand Five, 「The Cyber Hearts」 by Marianne..」

カチッ

細く、 白い手がラジオのスイッチを切る。

「こんな曲、 目覚しにもならないわ。 兄さんが好きな曲と大分違うもの。早く起きてよ..寝坊するのはお兄ちゃんらしくないよ..」

 

Far And Near There is Love♪

the World is not a big place to live♪

yet it is difficult to Find someone♪

Who will love you if you were the only one♪

 

ガチャ....コツン..コツン..コツン..

 

「全く..シンイチはComaから起きていない仮死状態だし。 今度はエミリーが病院送りになっちゃうし..こんな時にバイラスに襲われたら

もうお終いね。 はぁ....」

マリーはANTIのドライブCPUダイアグノスティックを読みながら、 独り言を言った。 ANTIのメインコラドアに居るメンバー達のほとんどは

黙々とドライブのダイアグとセッティング、 テストをインターネット上でチェックしていた。

「ドライブも乗り手が居ないとただのデータとサイバネティックスですからね、 ドクター。」

サンドラがチャンに話し掛ける。

「そうだな。ドライブは自分の乗る人物を選ぶからな。 その上、 ドライバーは格闘技に長けていなければ瞬時にしてバイラスに殺されてしまう。

二十世紀後半の兵器が通用した時代とは大違いだ..ドライブはある意味野蛮だ。 昔みたいに自分の手を汚さず相手を倒す事が最高の勝ち方だ。

早く作って貰いたいものだよ、 対バイラス用パトリオットミサイルを..」

「そうですね、 そうすればドライバーオペレーターの為にあの子達を傷つける事も無いだろうし。」

サンドラの手さばきは話している間も止らず、 彼女は既にアサインされた仕事を終わらし、 バイラスの解析データに眼を通していた。 マリーはサンドラの言葉を

聞くと、 手を休め考え込む。

「シルバーストーン隊長、 どうかしましたか?」

サンドラの言葉を聞くと、 ハっと我を取り戻し、 バイラスの戦闘パターン及び、 エミリーのクンフーを分析し始める。

『確かにバイラスのコアと再生能力機を一瞬にして貫ければ..彼らの必要は無いわ..でも..このデータを見た所、 バイラスは進化している..いえ、

プログラマーがバイラスを強くしていると言った方が正しいわ..バイラスは自己再生能力を持っていても、 自己進化までは出来ない。それはバイラスがサイバネティックスで

作られた、 生物だから。 バイラスを生物と呼ぶ事事体が、 間違っているのかもね..実際に人を犯すウィルスは半死半生の物、 バイラスも人類を滅ぼすと言うコード(使命)

を与えられた生物に過ぎない。でも..バイラスは確実に人口の高い街を狙っている。 そして、 全ての物質を取り込んでゆく..今分かっている事はその取り込んだ物質を使い

再生するという事。 でも、 本当にそれだけなの。 何故バイラスは生き物まで取り込もうとするの?』

PCにデータを少し打ち込むと、 PCの隣にあるマグカップを手に取り、 コーヒを一口飲んだ。

 

「リアベ、 彼の具合はどうなんだ? お前もさぞや心配だろ。」

巨大な大理石の机の前に座る、 赤髪の女性に男は質問する。

「Mr.Snipes, he is still in a coma. The Doctor said they can not predict the outcome. He might

live as he always did, or he might die.」

「俺は彼のメディカルアナラシスを聞いているんじゃない。 お前はどう思っているんだと聞いている。 大丈夫だ俺は真実を知っている、 さぁ話してくれ。」

落ち着いた独特のブルックリンアクセントでヨークの事情を聞こうとする。

「私の気持ちですか? 彼は犯罪者であり、 この世でただ一人、 ドライブシステムβを操れるドライバーオペレーターです。 彼はアメリカ合衆国政府によって派遣された少年。 そして、 初陣に

勝利した代償に再起不能に陥ってしまった少年です。 しかし、 ANTIはレッドクロスではありません..マイケル、 貴方は使い物にならない銃を携帯しますか? 同じ事です。 もし、 彼の再起不能

状態がこれ以上長く続いた場合、 彼のセルバイオライザーを切らなければなりません。」

凍った様な冷たい表情でマイケル、 を見るヨーク。 マイケルは彼女の深緑眼に直視された瞬間寒気を感じ、 眼を逸らせた。

「そうか、 リアベ..お前は一人でそのヨーク of ANTIの仮面をつけるのだな。お前がその険しい道を歩もうと言うのなら、 なにも言わん。 しかしな、 これだけは覚えておいてくれ..私は

いつでもお前の味方だ。 私はお前の本当の姿を知っている。」

「Everything is under control.. there is no problem in this agency. I do not need your help. I am the leader

of this Agency and I don’t need any of your advice to run it either。 Now please。」

ヨークは扉を指差す。

「The door is right there. Have a nice day Mr.Snipes。」

マイケルは席から立ち上がると、 ヨークに優しく微笑みかける。

「Good day Ms.York. I hope I did not bother your work.」

ヨークはマイケルを睨み付けるが、 マイケルはそれを気にせず振り向き、 ドアヘと脚を運ぶ。

 

シュン..カシャン..

 

ヨークは紅茶を一口飲み。 アメリカ政府から送られてきた、 他国のドライブ開発事情のアーカイブを読み直していた。

『マイケル、 貴方は何も分かってはいない..これ以上貴方を巻き込んでしまったら、 私はあの人になんて言えば良いの..

だからこれ以上、 私の事はかまわないで..』

アメリカ政府の書類には一滴の水で濡れていた..

『Emergency..Emergency..Emergency..Emergency....ALL ANTI MEMBERS REPORT To Your Assigned Areas..』

ヨークは書類から眼を上げ、 ネットワークでニューヨークサイナイホスピタルにコールを入れる。

「コード、 A・N・T・I・4・0・9, そちらのB棟、 精神科入院中のエミリー・クロフォードの状況を教えなさい..Yes, that is fine....I understand..There

will be an officer. He will be escorting her to the ANTI Head Quarters.」

ヨークはエミリーの様態を聞くと、 電話を切り、 セントラルコラドアヘト向かう。

 

『Emergency..City of Boston is underattack..Emergency..Boston is underattack..』

メインコラドアに居たマリーはスクリーンを見上げる。 スクリーンに移った北アメリカの地図にはノースイーストエリアが赤く点滅していた。

「ボストン....何故ボストンを..確かに人口はアメリカの中でもトップに入るけど..もっと別の理由の何かがあってもおかしくないわ。サンドラ、今日予定されている大学の

ビッグイベントを全てスクリーンに映し出して。 バイラスプログラマーは何かを探しているに違いない筈..その何かを先に見つけられれば対処するのはそんなに難しくない。

エミリーとシンイチ..この二人が戦闘不能の今、 バイラスを止める事はできない..でもバイラスの目的を阻止できればなんとかなるかも知れない。」

メインスクリーンには大学のイベントスケジュールが映し出された。 その中には大学の演劇公演、 大学祭、 そしてパブリックスピーチなどが入っていた。 マリーは眼を細くし、 スケジュールを

見つめる。

「大学祭..人を運ぶけど..バイラスがアタックを仕掛ける理由は無い..バイラスに演劇など関係無いし..コンサート..それも違う..となるとスピーチ。 そうか! スピーチをする人物を

狙ってるという事になるわ。 サンドラ、 パブリックスピーチの部分だけを写して。」

メインスクリーンのポインターがスピーチをクリックすると、 その部分だけが拡大され、 スケジュールを覆うようにスクリーンに映し出される。

「......!!」

マリーは電話回線をヨークの部屋へと繋ぐが、 誰も電話に出ない。

「Damn it!」

マリーは電話を振り落とすように切る。 そして、 スクリーンを見つめながら髪をクシャクシャにする。

「何事ですか! 私語は慎みなさい、 Ms.シルバーストーン。」

「ヨーク長官、 今はそれどころではありません。 バイラスがボストンを襲撃しています。 そして、 ボストンのハーバードユニバーシティーではプレジデンドがパブリックスピーチをしていらっしゃ

います。 ドライブが出撃出来ない今、 プレジデントの命を最優先しなければこの国はカオスに陥ってしまいます。」

マリーは状況を報告したが、 ヨークはマリーの言葉に動じず、 素早くネットワークをホワイトハウスの緊急ネットワークに繋ぐ。

その会話が終わると長官席に着き、 マリーに命令を下す。

「Ms.シルバーストーン、 直ちにドライブΩの発進準備を整えてください。」

マリーは驚きの声あまり、 ヨークに何も言い返せない。 エミリーは脳障害でサイナイホスピタルに入院している。 そのエミリーを乗せてまで守らないといけない人なのだろうか..プレジデントは

早急に退避すればなんとかなる筈。 やはり、 バイラスは、マリーの知っている範囲の情報を超えた物を探している。 マリーは我を取り戻すと、 ヨークに口論する。

「無理です! エミリーは能障害で、 戦闘などできる状態ではありません。」

「戦闘は無理だとしても、 ボストンの人々を逃がす盾にはなるでしょう?」

ヨークは冷たい笑みを浮かべる。

「そんな事をしたら..エミリーの死は確実です! 私はこのプランには反対です! エミリーを殺すつもりですか! 彼女はまだ子供なんですよ!」

マリーは机を強く叩いて、 叫ぶ。

「私はボストンの何万と言う人達の命がエミリー一人の命より大事だと思います。 You know it, Ms. Silverstone..In a war there is always

sacrifices.. and unfortunately This time it is Emily。」

無表情にマリーを見つめ、 声も上げずマリーにはっきりと現実を伝えるヨーク。 マリーは戦争がどういう物か知っていた。 確かに戦いには常に犠牲者が必要だ、 しかし彼女はそれを目当り

しすぎた。 彼女はその考え方についてはいけなかった。 彼女はあの戦いおいて、 犠牲者と言う人達を嫌と言うほど見てきたのだ。そして、 今また同じ敵の為に、 自分の家族と呼べる子供を犠牲

にしなくてはならない。 彼女はヨークの言葉に吐き気を感じた。

「論理的に考えれば、 一人の犠牲で何万の命を救うのは当然の事です。 しかし、 私は人として..エミリーの家族として貴方の命令を聞く事ができません。」

「では、 貴方はエミリーを犠牲にせず、 ボストンの人々を逃がす術を考えてあるのですね?」

ヨークは鋭くマリーを尋問する。

「....いえ、 ヨーク長官がおっしゃったプランが多分一番的確で迅速な方法です。でも、 私はそのプランを遂行できません。」

「そうですか..」

ヨークは無表情にモニターを見つめながらゆっくりと立ち上がる。

「それならば、 この作戦指揮は私が担当します。Ms.シルバーストーン、 貴方に指揮権はありません..しかし、 もし気が変ったと言うのなら戻ってきなさい。Guards

Please escort Ms.Silverstone out of the room。」

一人の男がマリーの背に銃をつきたてる。 そしてもう一方の男は彼女に手錠をはめ、ドアに向って歩き出す。

「I can walk to the exit without a escort, General York。」

メインコラドアを後にしたマリーは手錠を外されるのを確認すると、 メディカルセンターへと足を運んだ。 彼女はヨークのプラン以外に一つだけのラジカルなプランを考えていた..

それは、 シンイチを復活させる事..これは一か罰かの賭けであり、 ヨークにプランを提唱しようものなら直ちにリジェクトされてプランは不発で終わったかも知れない。 しかし、 もし

彼女が新一を起す事に成功すれば、 彼がバイラスを倒してくれるかも知れない。 そんな思いを胸に、 彼女は急いで新一の病室へと向った。

 

 

『System Boot....2GB..6GB..290TB....580TB....10000TB..D

one。System Starting....Reading Cybernetics....』

サンドラが素早くオペレーションデータをトランスファーし、 チャンがマリーのネットワークで認識コードを送る。

『Cybernetical nerves....Found....Identity request....』

ロードしたデータをドライブΩに転送する。

『Identity..not found! Bad Command Wrong connection.. please replace

the identity.』

「エミリー・クロフォード用人格コードBを入力。 そしてアドレナリンレベルを下げなさい。」

ヨークは素早く事を対処する。 チャンはデータをオーバーライトし、 データBを転送する。

『Identity Accepted..Arkashanarba finds Emily crawford as operator driver..』

「All unlock。」

ヨークが解除を命令する。 ドライブを固めていた、 チタンのパルプなどが全て外され、 Ωはサイバネティックスモデムへと移動する。

 

「....頭がアタイは..誰..しゅ....止めて..止めて..いやっ! 殺さないで!!」

頭を振りながらエミリーはウォーフィールドに座り込んでしまう。彼女の眼はいつもの輝きを失い、 灰色に変色している。 彼女の髪も黒から緑..緑から黒へと

変る。 この状況はメインコラドアのスクリーンに映し出されていた。 ANTIのメンバー全てはこの光景を目当りし、 エミリーの出撃を止めるようヨークに言うが、

ヨークは無表情に皆に命令する。

「もし..この作戦に異議が在るのなら今すぐここから出ていっても構わないのですよ。 しかし、 貴方達は国家の敵に回されるでしょう。 この光景は確かに辛いもの

かもしれません。 しかし、 彼女は戦う為に派遣されたドライバー、 この位の事は覚悟の上でここへ来たのです。さぁ、 モデムをボストンへコネクトしなさい。」

ヨークは声を上げず、 ただスクリーンを見つめながらマグカップを手に取る。

ANTIのメンバーは震えた指でモデムの転送アイコンをクリックする。 巨大な電話音と共にドライブはモニターから姿を消す。 サンドラが震える声でヨークに転送時間を

伝えた..

「転送時間..15分です..」

 

「はぁ..はぁ..はぁ..はぁ..シンイチ! お願い..起きて! このままではエミリーが死んでしまうわ!」

マリーは息切れした声で新一を力いっぱい揺する。 だが新一は眼を開けず、 ただ..スースーっという軽いいびきをあげながらベッドに横たわる。

「新一..言ったじゃない..私の願いを聞いてくれるって..だから起きてよ..」

泣きながら新一にすがり付くマリー。 その時新一は苦痛の声を上げ、 彼の穏やかな表情が苦痛を味わうものへと豹変した。

「....ぅぅ」

 

To Be continued..

 

NEXT EPISODE OF FROZEN DRIVE

 

戦場へと送られたエミリー、 未だにおきる様子のない新一、 この状況の中

バイラスに勝つ術はあるのか。 そして、 ヨークの以上なまでの指揮は何を

意味するのだろうか? 次回、 フローズンドライブ 『光と闇の狭間で..』

 

You must fight..

 

 

今回からはゆーすけの戯言から、 俳優達のお話しコーナーに代ります

ゆーすけ:ふぃー何ヶ月ぶりだろう、 やっと投稿した..長く辛い勉強のひびだった。

新一:クーカークーカー

ゆーすけ:おい、 もう起きて良いぞ!

新一:ムニャムニャ..俺は今超売れっ子俳優なんだぞ!! 付き合えぇぇぇ!!

ゆーすけ:ふぅ..みぞおちに蹴り!!

バキッ

新一:いってぇーーー!! なぁーにすんだよ!!人が折角良い夢見てたってのに..

ゆーすけ:カメラまだまわってるぞ..

新一:え..フッ、 そんな攻撃痛くも痒くもない..

ゆーすけ:本性ばればれやん! ほーら、 正拳突き!

バキッ

新一:いってぇー!! マネージャー、 ディレクターがいじめるぅ....(逃亡)

ゆーすけ:こんなやつが何故新一役に....つーわけで次回はもっと酷くなりますので

胃の弱い方は吐きながら読みましょう

 

 

 

 

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