Internet Alert "Frozen Drive"
インターネットアラート..フローズンドライブ
ATTACK1−解凍されたモノの未来
西暦2020年....
殺人犯輸送トラックが壊れた道を乗り越えて行く。 黒茶髪の少年が一人、動く監獄の中
閉じ込められていた。鉄格子の窓から見える景色..壊れた大地、 いや、 この場合
犯された大地とでも言った方が聞こえが良いか。その金色の目に写った世界は20世紀の小説家
達が予想した世界とは裏腹に荒廃していた。外界から目を逸らし少年はは、また眠りにつく。
「今度起きた時は一日しかたって無いはずだな..」
........ドガッ!!
『ギィクアアドアラカゥォァ!!! AFGOWPODMBNKW!!!』
突然こだまする謎の雄叫び。
「チッ、 二匹目の! もう現れやがったか? おい! スピードをあげろ!バイラスに
潰されるぞ!」
男は鉄格子の先に座っているドライバーに怒鳴った。
「殺人犯に言われたかねーよ! お前は黙って神さんにでも祈ってな! 俺も殺人犯の
輸送中に殺されたとあっちゃあ、 ヨメさんに顔がたたねーんでな!」
ドライバーはそのままギアを最大にシフトチェンジしエンジンを吹かす。
「しっかり捕まってな! 殺人小僧、 俺様の腕、見せてやるぜ!」
ドライバーはアクセルを思いっきり踏みトラックの最大スピードまであげ、 バイラスの
攻撃を避ける。
「オヤッサン! 次の攻撃は右から来るぞ! 左に迂回しろ! じゃなきゃなられる!」
「あいよ! 良く見てろよ小僧!」
ドライバーは思いっきりハンドルを左にきる。 タイヤが物凄い音を立てて唸る。
「オヤッサン! 次は後ろからだ! もっとスピードを上げろ! マインドアタックされるぞ!」
オヤッサンと呼ばれる男はその鍛えられた腕を思いっきりハンドルに叩き付ける。
「Shit! 小僧、 これ以上スピードは上げられねーぞ!」
「チッ、 万事休す..か」
バイラスの手が小型輸送トラックを襲う、 トラックはゆっくりとバイラスの手に捕まれ、 そして微塵に
砕かれて行く。 バイラスの雄叫びは犯された都会の街に鳴り響いた。
......一時間後..
荒廃したシティーを通り抜け、 二人の男を乗せたバイクが新たな街へと向かう。
「ふぅ.. 小僧、 おめえも結構切れるやつだな? 小せえ癖に大した奴だ。見直したぜ、 俺はANTIのランスロットだ。
今後も宜しくな!」
バイクの後ろから手を差し伸べるランスロット。 バイクを運転しているのは小僧と呼ばれる少年の
方だ。
「一緒に居たら見殺しにする訳にゃ行かないだろ? 人が死ぬのは想像すると気持ち悪いからな、 そう思わないかい
オヤッサン!」
固く握手を交わす二人。 バイクはスピードを上げてゆく。
「フッ、 人を殺してるクセに見殺しにできないとはな、 面白い小僧だな。 それとオヤッサンは止めてくれ、
これでもまだ30代前半なのだがな? そんなにふけて見えるか?」
「いいや別に、 俺も身体は18に見えても戸籍上38歳だ! 俺の事を小僧呼ばわりしたから呼び返した
だけだが? 俺の本当の年位、知ってたんだろ? ANTIのランスさん?」
「ばれてたか? 大した奴だぜ? 小僧..おっとぉ、お前さんの名前はなんて言うんだ?」
「新一だ..Shinichi」
ランスは驚いた顔をして新一を問う。
「おめえさん、 外見はアメリカンのクセして名前はジャップかい? こりゃまたしても一本取られたねぇ。」
バイクのエンジンが唸り、 ウィーリ走行する。
「おおっ!! 危ねー! 何すんだよぉ、 新一。 またバイラスに狙われるぞ、だからベイビーシットは嫌なんだ..」
「今、 なんて言った....」
「ヘ? ガキって呼んだのが嫌だったのか?」
「ジャップともう一回言ってみろ! 俺、じきじき貴様をバイラスのエサにするぞ!」
殺人鬼の様な目でランスを睨む新一。 怖がったのか、それとも呆れたのかランスはただこう答えるしかなかった。
「分かったから、 早くANTI本部に行こうぜ」
ANTI(Anti Networkvirus Tragedy intelligence Agency)
ドーム場の様に被われているギャラクシーネット制御用エージェンシー。裏家業の人間は別名バイラスアーミーとも呼ばれている
謎の組織。 そこになにが有りなにが起きるのかはANTIのメンバーと大統領以外誰も知らない。
「新一、 ムショでカードを貰ってないか? それが無いとヤベーぞ。」
自分のIDカードを取り出すランス。
「無いって言ったら?」
ランスは新一を睨みつける。
「冗談はよせ! ここはANTIのヘッドクォータズだ、 勝手なまねをしたら..貴様を殺さなきゃならん!それだけはしたくないんだ。
分かってくれるな? 新一よぉ。」
ランスの漆黒の目が新一に語りかける。 新一は全てを悟ったかの様にランスロットを答える。
「冗談など言ってない持ってないんだ、 悪かったな。ランス、お前のカードを見せて貰えるか?」
新一はランスからカードを奪い、カードを認識スロットにインサートした。
『IDcheck..all clear, please enter immidiately..』
ドアがアンロックされ新一はそのまま中へと歩いて行く。
「お、 おい! 俺のカードを返しやがれ!!」
新一は笑みを浮かべるとランスにカードを投げ、 手を左右に振った。
「Hasta La Vista、 Lancelot!髭、剃っときゃ十年若く見えると思うぜ。」
「ウルセー!!!......野郎! まーたやりやがった! 全くそういう所がガキなんだよアイツは....時間もかかりそうだし、一服するか..」
そう言いながら新一のカードをしまい、 マルボロに火をつけた。
コツコツコツと新一の靴の音が鳴り響く..
「思ったよりデカイな..しょうがない、 迎えに来てもらうか 司令様じきじきにな。」
そう言うと新一は横にあった非常ベルを眺める。次の瞬間、新一の拳がガラスを突き破る..拳の衝撃に耐えられなかったのか、
ガラスが氷のように宙を舞い、溶けながら床に落ちる。 コオリ..新一の目に一瞬、過去の悪夢がよみがえる..寒い機械..二十年間の孤独..
着せられたツミ..ソノウラミ..コオリ、 新一がこの世で最も嫌う物..新一が正気に戻ったのは警報が鳴り始めてからだった。
『Emergency..Emergency..Please Evacuate the Area..
Emergency..the System detected a Emergency..』
「ハハハハハ!! これでよし!っと後は待つだけだな!!!!..っぅぅ!!」
ベルが鳴り初め新一は笑いながら自分のエスコートを待ったその時、 ガコッ! 自分の頭に鈍い音がした..
眠りに付きたくないのに眠らされた時と同じ音が.... 寝たくない! 寝たくない! 寝たくない!その言葉が脳裏を
揺さぶる、 しかし新一は起き上がれない気持ち.. 全てが真っ暗になり、 また新たなる悪夢が始まる....
Frozen Drive
『Defrost』
「....ック..痛てて..ん、 起きれたのか? 俺は..それよりもここは何処だ?」
真っ暗な部屋の前に立つ一人の...この暗さの中、 男か女か区別がつかなかった。 そしてその人の横に在る巨大
な黒い物体。
「起きたわね..モニターに通信を繋ぐわ。長官の前では口答えしない事、 これは個人の忠告よ。」
高い声..モニターごしに立っているのは間違いなく女性だ。 その女性がモニターにスイッチを入れた..モニターから
まばゆい光が輝き映像が映し出される。
「グッドモーニング Mr.ナガシマ、 20年間、良くお休みなりまして?」
「ああ、 良く寝たよ、 ベッドが少し寒かったけどな。 俺は秘書と話している暇はねーんだ! 早く貴様の長官を出せ!」
新一は素早くベッドから飛び出る。
「コマンダーは私です。 私の名はMrs.ヨーク、 これからはヨーク長官と呼びなさい。これは命令です。」
モニターに映る30代後半の女性、髪は炎の様に赤くその瞳はダークグリーン。 新一は初めての印象で既に気に食わない女と感じていた。
だが、Mrs.ヨークのコーヒを飲むのを見た途端、新一の脳に衝撃が走った..しぐさ何処かで..と思いながら頭を軽く撫でる新一。
だがそれでも新一はモニターの中に映る女を好きにはなれなかった..刺ガアル..そう肌で感じていた。 まるで野獣が身の危険を感じるかの様に..
「俺はお前の命令になど従うつもりはないっ! 俺の家族を取り返しに来ただけだ! 分かってるな、 ババア! 先の殴った分
もしっかり返すつもりだぜ!」
モニターごしの女性がポケットから何かを取り出した。 新一はその物を見た途端飛び上がる。
「知ってるとは思うが俺は喧嘩のプロでねぇ、 拳銃なんかじゃぁ..」
新一は壁を蹴りより高く中を舞い女性から拳銃を奪った。
「俺を殺せないって事、 お忘れかシレイサンよぉ?」
モニターの中に居る女性はそれを見て小さな笑みを浮かべた。
「あらあらぁ、 そんな事、計算済みですわ、 Mr.ナガシマ。 これをご覧なさい。」
モニターの画面がきり変わりそこに写ったのはヨーク長官と同じ年の女性だった。
輝く金色の髪、 そして雪よりも白くそして冷たい肌、 閉じられた眼、 そのせいで眼の色は確認できなかった。その女性の美しさは二十年間変わっては居なかった。
「母さん!」
「ご名答、 良く出来ましたわ。 次の問題、 ワタクシが持ってるこのスイッチは一体何でしょう?」
小さく手を叩くしぐさをした後、 ヨーク長官は新一に小さなリモートコントローラを見せ付けた。 そしてボタンを押す仕草は
新一の顔色を赤から青へといっきに逆転させた。
「....キ、 キサマァ!! それを押したら..」
新一は女性のこめかみに銃を突き立てた。
「俺はこの女を殺す!」
モニターの女性は不敵な笑みを浮かべ動揺した様子が無い。
「..どうぞ。 その娘はANTIに入った時から死を覚悟しているのです、 さあ引き金を引きなさい!」
新一はこの答えに動揺していた。 まさかそんな事を国の組織の人間が言うなんて思っても見なかっただろう。
「クッ..撃つぞ! 俺は殺人犯だ、 殺しなんて屁でもねぇ!それにこんな組織の為に命を捨てる奴なんざ居る筈ねぇ!」
「フフフフ..嘘ね、真実はこうやって言うものよ。 今そこで拳銃を捨てないと、 アナタのママの命..止めて差し上げますわ。」
新一は強く拳を握る..自分の手のひらを爪が突き破る。 そして 新一の拳から少しづつ血が滲み出していた。
「わ、分かった..銃は返す、 だからそれだけは止めてくれ! 頼む!」
銃を捨てた新一を見てMrs.ヨークは笑い始める。
「どうしようかしら? 貴方はもうANTIに逆らったのよ、 信用出来る方がおかしいわ。このスイッチ押しましょうか?」
それを聞いて怒り狂う新一、 だが新一は何もできない常態にあった。 頭に拳銃を突き立てられていたのだ。
「Freeze、 Mr.ナガシマ。 このゲーム貴方の負けよ、 これ以上無駄なあがきは止めてください。」
「撃ちなさい、 ミス・シルバーストーン! Mr.ナガシマを丁重に地獄に送って上げなさい。」
シルバーストーンと呼ばれる女性の表情が険しくなる。ヨーク長官の声がシルバーストーンの耳を貫く。
「撃ちなさい! 命令です!」
シルバーストーンの手が激しく震える..新一は静かに目を閉じた、 その後にカチッと言う音がしたが、 新一は痛みを感じなかった。
なぜだと思いながら目を開く。
「面白いショーを見せてもらったわ貴方は晴れてANTIの一員よ、 その銃は初めからカラだったのよ。」
「貴様ぁ!!」
「フフフフ、 貴方には人権と言うものが無いの、 分かる? モチロンこの人にもねぇ。 ここアメリカでは重犯罪者以外の人間には
憲法で人権が約束されている、 でも犯罪者は奴隷扱いしちゃいけないって書いてないの、 だからMr.ナガシマ、 貴方はこの機関
の奴隷なのよ。 逃げる事は許されない、 全てを捨てる事さえできない、 貴方は寂しい存在の弱い生き物なの。 分かったかしら?」
コーヒーをゆっくりと飲むヨーク長官。 それを見ている新一ははらわたが煮え返っていた。 しかし、 彼女の言ったとおり新一は全て
を捨てられない弱い生き物、 今は従うしか道が無かった。
「分かった..だがその人だけは殺さないでくれ、 それだけが頼みだ。」
新一はより一層拳を強く握っていた。
「分かりました、 貴方をコントロールする良いモノです、 出来るだけ手放さないよう見張っておきましょう、 Mr.ナガシマ。
貴方に最初の任務を授けます、 シルバーストーン隊長が今日から貴方の上官となります。 素直に従い任務を遂行してください。覚えておいて
ください、 Mission failed イコール Goodbye motherだと言う事を..フフフフフ。」
映像が途切れた....その時、 新一の最後の堪忍袋の尾の切れた音も混ざっていたのかもしれない。 だが、 今の新一に怒りという感情
おろか悲しみの感情、 いや、 喜怒哀楽全てがヨーク長官の手に委ねられていた。それでも怒りをぶつけたいあまり、 新一はモニターを蹴り一発で破壊した。
新一の怒りを無視するかの様にシルバーストーンと呼ばれる女性は新一に命令する。
「第二バイラス撃退が貴方の最初の任務です。 それをただちに遂行してください。」
女性はそのまま壁のボタンを押し、 一つのドアが開いた。
「さあ、 来なさい、 今から貴方のドライブに案内します。」
「チッ、 お前も俺をガキ扱いするつもりかい? 俺はこれでも三十八だぜ、 Miss、 アンタなんて名前だ?」
新一はエレベータに乗り込む二人。 エレベーターは地下へと向かう。
「マリーでいいわ、 新一君、 貴方はドライブシステムの開発者の一員だったようね?」
新一の身体がピクっと動いた。
「良く知ってるな、だがあれは世界でアウトローされた..そのせいで....いや、何でも無い、 気にするな。」
「良く分からないけど、 今から貴方が乗り込むものはドライブシステム20バージョンよ。 貴方と雷蔵が作り始めたドライブシステムベータを改良し
それを完全体にしたものがVIRUS(バイラス)に勝てる汎用最終兵器ドライブ。 それを使うしかもう人類に生きる道は無いの。 さあ!」
エレベーターのドアが開きそこに在ったものは新一の知っているドライブとは全く違う、 兵器のドライブシステムであった。 蒼きボディ、 そして
黒いそして細いボディ、 必要以上に巨大な拳..肉弾戦用に作られた横幅の有る足、 顔は鼻と耳以外、人間のモノと同じ作りであった。
自分達が作っていたサイバネティックスのドライブがこんなに強大な兵器として存在していた、
昔のUNはこれを恐れていたが為に新一の家族を崩壊させたのにも関わらず、 今ここに恐れられた兵器が存在している。
「システム20バージョン....俺の時はまだベータだったぞ!それにドライブもこんなにでかくは無かったぞ!」
「幻のOS..バージョンベータ、 それは貴方以外誰も扱えなかった力..だから常人でも使えるよう改造したのよ。 時とお金を使ってね..
サイズもバイラスの繁殖とグロースに合わせてバージョンアップしているだけよ。」
マリーはドライブのスタートアップを作業員にオーダした。
「このシステムは貴方に負担を掛けないようセットアップされているわ、 ベータの様にドライブのダメージが貴方にフィードバックしないようにね..」
「詳しいんだな? 隊長サンよぉ、 何処でお勉強したんだ、 それは今じゃあ軍のトップシークレットファイルにある筈だぜ。」
マリーは有無を言わずひたすらスタートアッププログラムのコードを読んでいる。
「Xファイルのモルダーにでも頼んだのか? マリーさんよお? それともスカリーかい?」
「誰? モルダーとスカリーって?残念、 外れよ、 うちの諜報部隊にCIAとネットアーミーのトリプルエージェントがいてね..」
マリーは頬を赤くしながら語った、 恋とかそういう感情が良く分からない新一にもマリーがその諜報部員に恋している事ぐらい分かった。
「隊長サンがベータとサイバネティックスの事を知っていると言うのはよーく分かった。 速くドライブに入れてくれ! VIRUSをぶっ潰す!」
「良く、 乗る気になるわね。 ただでさえマインドネットが完全にプロテクトされているのかさえ分からない兵器。 その上、人体にどんな副作用があるのかどうかも
分からないサイバネティックスシステム..そんなのも気にせず平然として乗れるなんてね....Good Luck Mr.ナガシマ。」
マリーが微笑む、 新一は少し照れていた、 美形の女性に微笑まれる18才(本当は38だが)の気持ちは一言で言うと青春としか言えない。
「ああ..」
「あれぇ? 照れてるのかな? Mr.ナガシマ.. こうして見るとさっき私から拳銃を奪った子とは別人みたい。 人類に福音を..」
「う、 うるさい! と、 とにかくVIRUSを排除してくる。 指揮を頼むぞ隊長サン。」
「後、 これはアタシ個人の命令。 生きて帰ってきなさい。」
マリーは新一の手を握った。 マリーの茶色い瞳に見つめられ照れながらも新一はチップに乗り込んだ。
「今の俺は..生きていても死んでいても変わりねえ。 でもな、 美人なネーチャンの約束を破るほど堕ちちゃいねー。 任せろ、 生きて帰って来る..命令は守る。」
新一は狭い通路を通りぬけ暗い部屋へとたどり着いた。
「これは確かチップ..20年前と変わってねぇな、でも広さは10メートル位に増えたな。 これなら存分動けるぜ!」
新一の入ってきた通路が閉まり、 チップと呼ばれる部屋に明かりがつく。
『System Boot....2GB..6GB..290TB....580TB....10000TB..Done。
System Starting....Reading Cybernetics....』
「ブートは正常の様だ。 後はインストールを待つだけ..」
『Install will start....Warning installing..』
チップが揺れ動きドライブシステムの頭部へと運ばれてゆく。 そして頭部はCDのホルダーの様に開きチップはホルダーにマウントされる。
。新一は自分の意識がすべてドライブと繋がる感覚に襲われた。
『Cybernetical nerves....Found....Identity request....』
「Mr.ナガシマ、 これから貴方をスキャニングするわ、 これを投して話すから。 話したい時はアタシを思い描いて話なさい。」
『Ident....S H I N I C H I.. N A G A S H I M A....OK! System ALL CLEAR。』
新一の目の前にホログラフが現れ、 自分のスキャンされた姿が写し出されていた。
「今、 貴方はウォーフィールドに居る。 そこでの動き全てがドライブに伝わりドライブも同じ動作をする。 別に凄いシステムじゃないわ。
ここからが貴方の見せ場! 貴方のその肉弾戦技術を駆使してVIRUSを撃破! そしてMISSION COMPELTEよ。」
「と..いうこうとは、 システムは基本的にベータとは変わって無い訳か?」
「そうよ! バイラスのフォーマットは貴方の肉弾戦の腕に懸かってるわ!」
新一は小さく微笑む。
「....俺にとっちゃこのシステムは三日前に乗ったものと同じだ..」
新一はあらかじめ手を動かす動作をした。 ギィーガチャ..ガッガッガッガ..
「おかしい..手の動きが遅い..まあ何とかなる..勝たなきゃならねーんだ。 文句は言ってられねぇ..俺は勝つしかない..クソッ!」
「Mr.ナガシマ、 そこのリフトに乗って。そこからバイラスの巣に送るわ!」
新一は辺りを見回しリフトを探した、だがリフトらしき物は見つからなかった。
「このドライブの性能試させてもらう! 」
新一はウォーフィールドで空高く飛び上がった。
「チ、 チョット待ちなさい!! それは私の命令外よっ!」
ドライブはそのままANTIの装甲を突き破り地上へと舞い上がった。
「..痛くない! これなら行ける!隊長サンよぉ? VIRUSは何処だい?」
画像システムをイメージしマリーに語り掛ける新一。
「北東約30ヤード..旧メトロステーションの地下を根城にしているらしいわ。」
マリーのイメージが脳裏を横切る..
「オッケー、 VIRUSをぶっ潰したら連絡を取る!」
「ちょ、 ちょッと待ちなさい!!! 早まら....ザザーーー」
新一は北東をの方に向かい走り出した、 無論それに従いドライブも同じように行動を始めた。
高い雄叫びとともに現れる黒く醜い物体..皮は汚れたような黒い光を放ち、 その顔と呼べるものは
ドクロを意識したような凶悪な面構え。 手足は触手の様に動き、今もなお破壊された大地をその脚で汚染していた。
この光景は二十年前に予測されていた。 そう新一達、ナガシマテクノロジーが予想した
VIRUS。 その運命の回廊に迷う新一。
新一の戦いが始まった。
「死ね! ヤクザ蹴り!」
新一は自分の脚をまげ前に居る醜い人間の溶けたような、 凍ったような物体に蹴りを入れた。 見事に一発めは
命中。VIRUSは仰け反るがダメージの反応は無い。
「まだまだぁ! 飛び踵おと....ック..う..あ..何だこの感覚..頭が....ぐぁぁ!」
ドライブのバランスが宙で崩れ、 ドライブはビルの上に倒れ込む。 それを予知したかのようにVIRUSの腕が
ドライブの左足を掴む。
「ヤベッー..ここはトンズラこくしかねー。 どうすれば..」
確実なスピードで左足で引きずられるドライブ..それを自分の感覚で確認する新一....未だかつて無い恐怖がそこに在った..
「逃げないと死ぬ..でも逃げられない..俺の選択は......」
グチャ..鈍い音..何かが食いちぎられた音..それとも切り離されたのか..ANTIで確認で来たのはバイラスとその手に
握られた一本の脚だけだった。
『ギャァウドウアカガーーー! fvfnowinfouwjfnoewwhffo!!!!!!!』
また、 VIRUSの雄叫びが世界にこだました....
『EMERGENCY..EMERGENCY..EMERGENCY..EMERGENCY..SYSTEM DOWN
IN.. 1 MINUTE....PLEASE RECOVER PLEASE RECOVER.. SCAN FOR
VIRUS..SCAN FOR VIRUS』
「シンイチ、 生きていたのね! この信号しか帰ってこなかったから..心配していたのよ! どうやってVIRUSの手を
逃れたの?」
新一の顔は真っ青になり『Mission failed イコール Goodbye mother』が頭の中を駆け巡っていた。
新一はネット画面を映し出し、
「マリー、 ヨーク長官を呼んでくれ! 話がある!」
「でも..」
「速くしろ!」
その十八歳とは思えない怒りのこもった声で自分の上司までも動かしてしまった。
マリーが長官をアクセスする間、 またヨークの声が頭の中に浮かんでいた。
「何か御用? MR.ナガシマ?」
新一は拳を固く握り、 その場に土下座した。
「お前に頼みがある..MISSIONは確かにFAILした..だがもう一度チャンスをくれ。 今度は絶対勝つ! 頼みます..
ヨ..ヨーク長官!」
ヨーク長官が新一を見下し答えた。
「良いでしょう、 顔を上げなさい..無様な男は嫌いなのですが..好きにしなさい。」
「俺の頼みはドライブシステムを....」
続く..
To BE CONTINUED....
ども! Yuskeッス! この前は出来が悪くてすいません! 今度こそオッケーです!
とある有名なオリジのSS作家にお墨付きを貰ってきました! これからもおおえん
してね! P.S.バイラスのイメージ募集中!