スーパーロボツト大戦F

■スーパーロボット大戦F■

エピローグ〜碇シンジ〜

作・ワールドさま


 

シロッコが宇宙の藻屑となり、とりあえず世界には平穏が戻った・・・

地球へ帰還する船の中、碇シンジは一人の男に話しかけた。

男は一瞬戸惑ったような表情になったが、シンジの肩に手を置くと力強く頷いた。

シンジも同じように頷く。

男同士に余計な言葉は必要ないのである。

そう、この時すでにシンジは男坂を上り始めていたと言っていいだろう。

 

 

 

「あー、終わった終わった。今日はパーッとごちそうでも食べたい気分ね。もちろん作るのはアンタよ、バカシンジ」

「あら、アスカ。シンジ君ならいないわよ」

「えぇ!?いないって何よ」

「シンジ君、『強くなって帰ってきます』って旅に出ちゃったもの」

「な、なによそれぇ?」

「まぁ、いいんじゃない?今度のことで彼も彼なりに成長したみたいだし。こんな風に自分から積極的に動き出すなんて保護者冥利よね」

「ミサト!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。シンジがいなくなったのよ」

「だから旅に出ただけだって言ってるじゃない。あ!ひょっとしてアスカ・・・シンジ君のことが・・・」

「な・・・そんなんじゃないわよ!あたしが言いたいのはシンジがいない間、炊事洗濯掃除をどうするの、ってことよ!!」

「あ゛・・・・・・」

家事仕事に縁のない美女と美少女の動きが止まる。

二人の手から荷物が落ちる。とたんに体に疲労という名のおんぶお化けが襲いかかってくる。

ヒゥゥゥゥ

シラケ風が吹き抜けカメラがどんどん遠ざかる。

アイリス・アウト

 

 

 

 

 

 

「あ・・・終わっちゃいましたよ?どうしましょう」

「フン、オレに任せておけ。セイ!セリャ!ハイッ!!」

 

π

 

「す、凄い。地の文を破壊するなんて・・・」

「なに、お前も修行すればこの程度のことは出来るようになるさ」

「た、たぶんそこまではムリだと思いますけど・・・」

「気合いだ、気合い。ハッハッハ」

 

 

 

3ヶ月後

 

 

 

「シンジぃ答えろぉっ!!流派 東方不敗はぁっ」

「王者の風よっ!!」

「全新」

「系裂」

「「天覇驚乱っ!!」」

「「見よ、東方は、紅く燃えているぅぅぅっっっ!!!!!」」

ゴォォォォォ・・・・

二人のバックに炎が燃え上がる。その炎は見ていると、つい「島本和彦」と呟きたくなってしまう熱さがあった。

「シンジ、良くここまで耐えたな」

「ありがとうございます。ドモンさん」

そう。シンジが弟子入りしたのはドモン=カッシュであった。

実は当時、ドモンは今まで修行一筋で生きてきたため、大戦後レインと二人きりの生活を送ることに一抹の不安を感じていた。

そのため、シンジという乱入者の存在はありがたい物であり、快く受け入れたのである。

レインにしても、自分の父親がドモンの父を陥れたという事実が胸に引っかかり、あまりそばにいると心が痛むというジレンマがあったのだが、シンジを間に挟むことで、ドモンのそばにいながら距離を置くという二律背反をクリアできたのであった。

そしてシンジも。ドモンに体と精神を鍛えられただけではなく、レインの優しさとドモンへの純粋な愛情が、砂漠のように乾いていた彼の心を潤している。

ある意味完全な形の『家族』であった。

 

「ぷはーっ」

シンジは川の水で顔を洗った。水面に映る自分の顔はやけに魅力的だった。

そうか・・・今までの僕はただの碇シンジだったんだ・・・でも、今の僕は碇シンジという男なんだ。

思わずニッと笑いかける。そして話しかけたくなる。

「よくがんばったね」

 

「ドモーン、シンジくーん。ご飯できたわよぉ!!」

「はーい、今行きまーす」

 

「そう・・・シンジ君は明日日本に帰っちゃうんだ」

「ええ。いままでお世話になりました」

「日本に帰ってもしっかり修行するんだぞ」

「はい。もちろんです」

と、ドモンが立ち上がった。

「あらドモンどうしたの?」

「すぐ戻る」

そう言い残して出ていってしまった。

「まったくドモンったら何考えてるのかしら」

「あ、あの、レインさん」

「なに?」

「えっと・・・これからは二人でお幸せに・・・」

レインの顔が赤くなる。

「やっだ、もぉ。この子ったら」

バチーーーーン

シンジの背中に紅葉の入れ墨が(笑)

 

「おぉい、持ってきたぞ」

「何を持ってきたのよ?」

「カンだ」

「カン?」

ドモンがカンをそこに置いた。

 

 

 

 

 

 

「ド、ドモンさん?」

「これが最後の試練だ。その『完』を打ち砕いて日本に帰るんだ」

「がんばるのよ、シンジ君」

「・・・分かりました」

 

「行きますっ!!」

バキイィ

 

 

 

 

 

 

あぁ、やっぱりボクには無理・・・

「いや、無理じゃない。目を開けてよく見て見ろ」

 

 

 

 

「空?良かった・・・ボクにも出来たんだ・・・」

 

 

 

 

シンジは雲の上にいた。日本行きの飛行機の中だ。

3ヶ月ぶりのみんな・・・

元気だといいな・・・

 

 

 

そわそわそわそわそわそわ

 

うろうろうろうろうろうろ

 

惣流=アスカ=ラングレーは動物園のクマのように部屋の中を歩き続けていた。

それはもう、溶けてバターになってしまうのではないかというくらい。

「シンジが帰ってくる・・・」

 

どきどきどきどきどきどき

 

わくわくわくわくわくわく

 

いらいらいらいらいらいら

 

「あーん、もう、何であたしがこんな気分にならなきゃいけないのよ」

耐えきれずアスカは独り言を言い始める。

「だいたい、バカシンジの奴3ヶ月も家を開けて、あの不精者のミサトと二人っきりで暮らすことになったあたしの苦労を分かってるのかしら」

言うまでもないがミサトと同じくらいアスカも家事をしていない・・・

「ミサトはいいわよ、股開けばどんなごちそうでも奢ってくれる男共が周りにいくらでもいるんだから。でもあたしの晩御飯は惣菜かカップラーメンばかりだったのよ」

シンジのせいみたいだがシンジのせいではない・・・

「ああああーーーーーっ!!帰ってきたら奴隷のようにこき使ってやるんだから!泣いて謝ったって許さないわよ。あんたは永久無給で無休のハウスキーパーなんだから」

果たしてシンジはこんな家に帰ってくるのだろうか・・・

 

ピンポーン

 

あぁ・・・そこが地獄と知らずに帰ってきた少年が・・・

 

「はぁい!?」

八つ当たりの冷めていないアスカが怒った声でドアを開ける。

「ただいま、アスカ」

「−−−−っ!!」

久しぶりに見たシンジの顔。それは果てしなくさわやかな笑顔であった。

 

バタム

ドアが閉まった。

「え?アスカ、開けてよ。僕だよ。シンジだよ」

「ただいま留守にしております。御用の方はピーという発信音の後に・・・」

「留守番電話のフリしてどうするんだよ。アスカ開けてよ。アスカ!アスカ?」

 

ドンドンドン

ドアを叩く音。

アスカはそれを背中で感じていた。

 

「アスカ・・・また来るから・・・」

寂しそうな声を残してシンジの気配は去っていった。

 

足音が聞こえなくなるとアスカは玄関にへたりこんだ。

顔が酔っぱらったように真っ赤に染まり、心臓は耳から飛び出そうなくらいドキドキしている。

「なんで・・・?」

アスカが呟いた。

「カッコ良くなりすぎだよ、シンジの奴・・・」

目をキュッと閉じると、さっき見たばかりのシンジの笑顔が鮮明によみがえる。

「そういえばあいつ・・・謝らなかったな・・・」

昔のシンジなら、こんなことをされれば意味もなく「ごめん」と言ったはずだ。

それがなかったということは、確かに成長しているのだろう。

「ううっ・・・」

なぜかアスカの目から涙があふれ出す。

胸が苦しかった。勝手に成長したシンジが、こんな事をする自分が、何もかもがアスカを責め苛み、胸を締め付けた。

「くるしいよ・・・」

アスカの手が胸に伸びる。苦しさを中和しようと小ぶりな胸をグッと握る。

「シンジ・・・ごめん・・・」

そこにいないシンジに謝りながら、痛めつけるように激しく胸を揉みしだく。そして、右手はショーツの中にスルスルと滑り込む。

「シンジっ、シンジいぃっ!」

アスカは泣きながら絶頂を迎えた。

 

 

 

その頃シンジは公園にいた。

「よぅお、シンジ。久しぶりやな」

「元気してた?」

「あぁ。トウジもケンスケも元気そうだね」

「あったりまえやがな。ワシが元気なくすわけあらへんやろ」

「ところでシンジは何でこんなところに?」

「あ、いや、その・・・アスカに閉め出されちゃって・・・」

「なぁんや、帰る早々夫婦喧嘩かいな」

「ち、そんなんじゃないよ」

「照れるな照れるな」

「だからぁ・・・」

・・・

 

「そんじゃまたな」

「明日からは学校に来るんだろう?」

「うん。絶対行くよ。それじゃ」

 

 

 

シンジはまだ公園にいた。

「やっぱ、ミサトさんが帰るまで待った方がいいよな」

夕日が目にしみる。

そういえばあの時もこんな夕日だったっけ・・・

 

 

 

「立てえっ、シンジ!!」

「ドモンさん、僕にはもう無理ですよ」

「甘えるなっ!」

ビシッバキッドゴァッ

「ううっ・・・」

「泣け、叫べ、オレを憎んで立ち上がれ」

「ううっ・・・うおおおおおっっっ!!!」

「そうだ、それでいいんだ!漢ってのは命さえあれば大抵のことは出来るようになってるんだ」

「はいっ!!」

 

 

 

ドモンさん・・・

自分のことを決して「師匠」とは呼ばせなかった。

あの人の中にはレインさんと同じくらいの大きさで東方不敗さんが存在しているのだろう・・・

昨日まで一緒に暮らしていたのに・・・

なんだか無性に懐かしい・・・

 

「・・・くん」

・・・

「碇君」

「え?あ、綾波?」

「どうしたの?こんなところで」

「あ、いや。別に大したことじゃないんだ」

「そう・・・」

「・・・」

「私の家・・・来る?」

「え?」

「今日はごちそうだから・・・一人より二人の方がいいの・・・」

「あ、ありがとう」

 

ごちそうとやらはすぐに用意された。

「あ、綾波?」

「遠慮なく食べて」

シンジの前に置かれた皿には・・・トーストが一枚乗っているだけであった。

ただ、テーブルにはバターとマーガリンと10種類のジャムが並べてあった。

レイは一口ごとに違うジャムを乗せモクモクと食べている。

シンジも仕方なく同じようにトーストをかじる。

(これが綾波のごちそう・・・?)

シンジはレイに料理を教えた方がいいかもしれない、と本気で思った。

「デザートはこっち・・・」

「こっちって?」

「バスルームよ」

(バスルーム?スイカでも冷やしてるのかな。あ、スイカといえば・・・)

 

 

 

「シンジ、今日はスイカ割りでもやるか」

「はい、ドモンさん」

 

・・・

 

「よし、投げろ」

「ええっ?」

目隠しをしたドモンがシンジに妙な注文をする。

「危ないですよ」

「バカ、当たったってなんともない。それ以前に当たったりしない。早くしろ」

「行きますっ!」

「いや、出来れば不意をついて投げてもらいたかったんだが・・・」

シュキン

ドモンの手刀が煌めきスイカを4つに切り分ける。さらに、そのスイカを落とさないように受け止める。

見事な技であった。

「ほれ」

ドモンの投げるスイカをシンジがあたふたと受け止める。

「レイン」

もう一切れをレインに与え、自分はちゃっかり二切れ確保する。

 

 

 

「・・・くん」

・・・

「碇君」

「え?」

「どうしたのぼぅっとして」

「いやなんでもない・・・よおおっっ?!な、なんで綾波裸なのさ」

「碇君は服を着たままお風呂にはいるの?」

「そうじゃないけど、デザートを取りに来たんじゃなかったの?」

アッチの方を向きながら横目で綾波の裸を見ている姿はある意味男の縮図である(笑)

「デザートは私よ」

「な・・・」

「食べたくないの?」

「だ、ダメだよ綾波。こういうのは好きな人同士でないと・・・」

「碇君は私のこと嫌いなの?私は碇君のことが好きよ」

「き、嫌いなんかじゃないよ。だけどまだ・・・ほら、僕たち子供だし」

「愛に歳は関係ないわ」

「そうだけど・・・そうじゃないと思う・・・」

レイの白い手がシンジの顎をスゥっと撫でる。

(ドモンさん。こういうときボクはどうしたら・・・?)

 

「やめなよ、綾波君」

バスタブから突然美少年が姿を現した。水も滴るいい男である。

「カヲル君?死んだハズじゃ?」

「ああ、死んだよ。このボクは幽霊みたいなものさ。愛するシンジ君の危機に駆けつけるために無理して実体化したんだ」

ザバっと水音を立てて立ち上がるカヲルもやはりというか全裸だった。

「さぁ、この場はボクに任せて」

「いいの?」

「あぁ。でも、後でキスくらい請求しに行くかもしれないな」

「う゛・・・カヲル君?」

「冗談さ、ほら行きな」

シンジは一瞬振り返り・・・綾波の大事なところを見てしまい鼻血を押さえながら逃げ出すことになった。

 

「なんで邪魔するの?」

「愛のためさ」

「愛って何?」

「人を好きになること。その人のために何かをしようと思うこと。その人のためならいかなる犠牲をも払うという覚悟を持つこと」

「それなら私も碇君を愛しているわ」

「でもキミは彼の気持ちを考えなかった」

「でも彼は嫌がっていなかった。戸惑っていただけ」

「しかし喜んでいたわけじゃない」

「・・・喜ばせる自信はあったわ」

「体から入る愛もある、と言うのかい」

「そうよ」

「それは愛じゃない。『情』だ」

「情?」

「そう、情は愛に似て愛に非ず、情と愛は別物だ」

「わからないわ」

「それでもいいさ」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

二人は見つめ合っていた。

 

ただそれだけ

 

時間だけが過ぎていった

 

 

 

「そろそろミサトさん帰ってるかな」

シンジは家に向かって歩いていた。ら、突然悲鳴が聞こえた。

「何よっ、あなた達」

ミサトの声だった。

「へへっ、怒鳴るなよ姉ちゃん」

「そんなにいやらしい躰して、男誘ってんだろ」

「あたしが色っぽいのは認めるけどね、あんたらみたいなゲス野郎のために肌磨いてんじゃないわよ」

「言ってくれるじゃねぇか」

「怒った顔も色っぽいぜ。へへへ」

「ミサトさんっ!」

角を曲がると四人のチンピラに囲まれるミサトの姿があった。

「シンジ君?」

「なんだぁ?このガキ」

「ボウヤはお帰りの時間だぜ」

「ミサトさんを放せっ!」

「へぇ、このオッパイの大きな姉ちゃんはミサトっていうのか」

「お姉ちゃんは今晩俺らと遊ぶってさ。ボウヤは一人で帰ってオナニーしてな」

「ミサトさんを放せと言ってるんだ」

「わかんねぇガキだな。しばくぞ、コラぁ?」

「やめて!私ならつき合うからその子に手を出さないで」

「残念だなぁ。このガキをボコにしなくちゃ先へ進めないっつー、強制イベントが発生したみたいだ」

「へへっ、強制じゃ仕方ねぇなぁ」

チンピラ1が指を鳴らしながらシンジに近づいていく。

「逃げて、シンちゃん」

「おらっ」

チンピラ1の右フック。シンジはそれを少し体を引くだけでかわす。チンピラ1は勢い余って勝手に転ぶ。

「何しやがるっ!」

「殺すぞコラっ」

チンピラ達の迫力にシンジは思わず息をのむ。

いや、違う。息を吸ったのだ。そして腹の底から声を絞り出す。

 

「貴様ら答えろおぉぉっっ!!!流派東方不敗はあああっっっっ???!!!」

「な、なんだぁ?」

「に言ってんだ」

 

シンジの口が再び開いた。

 

「この、バカ弟子がああああぁぁっっっっ!!!!!」

 

一喝でチンピラ四人が吹き飛ばされる。ミサトもへたりこんだが、それはただ驚いただけのようだ。

味方認識系のマップ兵器であった(笑)

 

「な、なんだ、コイツ」

「だぁからお前はアホだというのだああぁっっ!!!」

一瞬でチンピラ2との間合いを詰めたシンジは顔面に拳を繰り出した。

ブワアっ

寸止めであった。それでもチンピラの長髪がオールバックになるくらいの威力である。

「ヒィ・・・」

 

離れたところでチンピラ3が懐に手を入れていた。

「ガキめ」

「ちょっち待ってね」

チンピラ3の頭に何かが押し当てられた。それは多分彼の懐にあるのと同じ物・・・

「なぁにをするツモリだったのかなぁ?」

「え、っへへへ。これをあのガキ、あ、いや、ぼっちゃんにプレゼントしようと思って・・・」

ポトリと拳銃が地面に落ちる。

「あ・り・が・と・う。・・・とっとと失せな!!」

「ひゃいっ」

チンピラーズは逃げ出した。

 

「ミサトさん・・・」

「シンジ君・・・」

二人はしばし見つめ合う。

「くーーーっ。格好良くなっちゃってぇ」

「え?ちょっと、ミサトさん?」

避けるまもなくシンジはミサトの胸の中に抱きしめられた。

「苦しい・・・」

「まぁたまたぁ、本当は気持ちイイくせに」

 

グリグリグリ

 

グリグリグリ

 

グリグリグリ

 

「碇君を放して」

「レイ?」

突然現れたのは綾波レイだった。

「碇君を放して」

「イヤって言ったら?」

「・・・怒るわ」

「しゃーない、やめとくか」

ようやくミサトの戒めが解けてシンジは息をつく。

「ふはあ、綾波、助かったよ」

「ううん。碇君、さっきはごめんなさい」

「え、いや、べつに・・・」

「なによそれ。怪しいわね」

「な、なんでもないです。それより早く帰りましょう。アスカが怒ってるかも・・・」

「そうね、帰りますか」

必死で誤魔化すシンジにミサトは乗ってあげた。

 

「たっだいまぁ」

「ただいま、アスカ」

「おじゃまします」

 

・・・・・・

 

「アスカ、いないのかな?」

 

ガバッ

シンジはアスカの部屋に飲み込まれた。明かりはついていないため部屋の様子は分からない。

「静かにして」

「アス、ムグ」

アスカの唇がシンジの口をふさいだ。

「ずっと・・・ずっと待ってたんだからね」

そう呟くと再び深い口づけを・・・

 

「ちょっとまったぁ!」

バーン!とミサトが効果線付きでドアを開け放つ。その後ろではレイが腕を組んだままジト目でアスカを睨んでいる。

「う゛・・・ナニよ・・・」

「一人で楽しもうなんてズルイんじゃない?」

言いつつ上着を脱ぎ捨てるミサト。そして、その隣ではレイがちゃっかり頷いてたりする。

「仕方ないわね、でもあたしが一番よ」

 

・・・

 

「あの・・・ボク、ドモンさん家に忘れモノしたんで、取りに戻りますっ」

シンジが突然逃げ出した。だが、言い訳は涙が出るほど大ボケだ。

「捕まえて!」

しかし、シンジはその手をかいくぐり玄関へ到達する。

「すぐ帰りますから」

「シンジ君、出かけるにはもう遅いんじゃないかな」

家を飛び出したシンジはカヲルの胸の中に飛び込んでいた。

「カヲル君ナイス」

ミサトのガッツポーズ。

「カヲル君?助けて、くれるんだよね?」

「大丈夫、恐くないから」

カヲルは囁いてシンジの耳たぶを優しく噛んだ。

 

夜は、長くなりそうだった。

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

あとがき(?)

 

ワールドです。

 

みなさん、強いシンジ君はキライですか?

私は気に入らなかったみたいです(笑)

だってほら、女性陣に圧倒されて修行の成果出せてないし・・・

あ、まぁ、対女性戦の修行はしてないんですけどね

 

しかし、セリフばっか。

アニメの脚本か、絵のないマンガか(爆)

レイとカヲルの問答シーンは結構感じ出せたと思うんだけどヌルいか?

 

注文と時間的余裕が有れば『長い夜』編を追加しようかな、なんて考えたりして・・・

 

じゃ、そーゆーことで

 

 


(update 99/09/18)