スターオーシャン

■ラクア海岸の月光■

その4

作・ユーロさま


 

クロードが快感にうめいた。

「うっ…」

白魚のような指。その信じ難いほどの微細な動きが、クロードの肉棒を巧みに刺激していく。

「ねぇん…気持ちいい? クロード…?」

男を誘う妖しい目付きと、鼻にかかった甘い声が欲望を更にそそる。

「気持ちいいです…セリーヌさん…っ!」

その瞬間、セリーヌはまたしてもクロードの顔を引き寄せて、唇を重ね合わせ…躊躇いもせずにクロードの舌と自分のそれを絡めた。

最早舌の絡み合いは常識である。だが、セリーヌは更に一歩先に踏み込んだ。

この美女は、いくつのキスを知っているのだろう。

一つに、愛を確かめ合うキス。二つに、誘うためのキス。三つに、燃え上がるためのキス。

そして、四つに…。

(ああん…異性を惑わせるキスですのよ、クロード…)

キスは幻覚剤の一種である、とは誰の言葉だったかしら…?

ふふ…きっと、わたくしですわね…。

心の中で、セリーヌは何ともつかぬ笑いを浮かべていた。

 

第四のキス。

口唇を重ね、舌を絡め、互いに燃え上がる。

セリーヌは、立ったままのクロードの脚の間に、自分のすらりと長い脚を踏み込ませた。

そして、男が最も欲する女の下半身を、クロードの腰にぐっと押し付け、

誘うように肉棒にこすり付ける…無論、指の愛撫も怠りはしない。

第四のキスは、口と舌だけではないのだ。

「……!」

目の前の美女のテクニックには、驚かされてばかりだ。

(まだ、キスだけなのに…?)

ふっとクロードは冷静になった。

(一体、この先…)

どれほど驚かされるのだろう。

どれほど翻弄されるのだろう。

どれほど快感を味わうのだろう。

 

緊張は消え去らない。

下半身から伝わる、痺れにも似た悦楽はどんどん強くなっていく。

クロードもセリーヌを欲している。

セリーヌの下半身の動きに合わせ、クロードも分身を押し付けるように動かした。

それを意志表示と受け取ったのか、セリーヌは唇を離した。

糸を引く唾液と、恍惚とした紅い顔がとてつもなく扇情的だと、お互いがお互いに思った。

「クロード……横になって」

セリーヌが耳元で囁く。指先の愛撫をもストップし、とろんとした瞳で。

男を誘うのに最も効果的なのは、上目使いの虚ろな瞳と鼻にかかったかすれ気味の声だと、セリーヌは知っている。

(もう一つは、男の感じる所を攻める勇気かしらね…)

ほう、と荒い息を吐きながら、そんなことを思う。

 

セリーヌはクロードを可愛いと思った。

性の快感に悶える表情。自分の意地の悪い挑発に頬を染める一瞬。

おずおずと舌を絡めてくる瞬間に、セリーヌは愛しさを覚えずにはいられなかった。

(クロードのこの姿を知っているのはわたくしだけ…)

途端に、自分の下半身が熱くなるのを感じた。

藤色の下着の中に眠る「女」の欲望が、首をもたげて来た。

クロードの全てを包み込みたい。

クロードをわたくしで悶えさせたい。

クロードと愛し合いたい…。

クロードと欲望を満たし合いたい……。

母性というものか、それとも眠れる女の欲望か。

はたまた、愛か。

その問いに答えをすぐ出すのは、拙速というものだ。

だが、それを知った上で敢えて答えるなら…「愛欲」が最適かも知れない。

「愛」と「欲」の二つの意味を含む秀逸な言葉である。

 

セリーヌがそんな妄想に浸っている間に、クロードは海岸に横たわっていた。

セリーヌはクロードの体に添うように覆い被さると、軽くキスした。

「ふう…素敵よ、クロード…」

もう何度目のキスなのだろう。

セリーヌは唇をもぎ離した。

「好き…あなたから離れたくないの、クロード…」

愛を囁いたかと思うと、舌をクロードの首筋にいやらしく這わせていく…。

「………っ!!」

形容し難い痺れが、クロードの全身を駆け巡る。

這い上がる女の舌は、そのまま耳朶の裏を触れるか触れぬかの微妙なタッチで愛撫する。

快感がぞくりと、背筋を痺れさせる。

その瞬間、セリーヌは耳朶をカリッと噛んだ。

「う…ああっ…!」

断続的に電撃がほとばしった。

荒い息を吐きながら、クロードは喘ぐ。

熱っぽいその表情にセリーヌは満足した。

何て可愛いのかしら…? 予想通り、いえ、予想以上の反応をするのね……。

可愛がってあげる価値はたっぷりあるわ…。

途方もなく艶めかしい感情がセリーヌを支配する。

もっと気持ち良くなって、クロード…。

 

「セリーヌさん…」

「クロード…」

 

二人が求め合う。

人肌の温もりとは、何故かくも安心できるのだろうか?

しばし抱き合い、愛を確かめる。

………

沈黙の中に、響かぬ潮騒の音。

降り注ぐ月光。そして微かな星明かり。

柔らかな海岸の砂。

心地よい微風。

柔らかい肌。温かい肌。

 

おもむろにセリーヌはクロードを可愛がる。

「ねえ…クロード?」

「何ですか?」

瞬時の沈黙。そして、女の声。

 

「……ねえ………クロード…。『女』は初めて…?」

うふふ…余裕の笑みが、クロードをぞくぞくさせた…。

 

TO BE CONTINUED

 

 

 


(update 99/06/13)