「記録映画アーカイブのご紹介 長崎の映像を中心に」
 
お話しの冒頭に、山内さんから、今回の主旨について、「戦前から数多く残されてきた文化映画、
記録映画には、いまでは失われてしまった事物などの様子が残っています。それら16ミリや
35ミリのフィルムに遺された情報は、歴史の史料としての価値を持ちます。いくつかの事例を紹介しながら、
解説をします。」との説明がありました。
 
【日本映画社】
 昭和15年、映画法の制定に伴って国内の文化・記録映画会社が統合され設立された。以後、平成4年に 
 至るまで、映画館で上映される「日本ニュース」「朝日ニュース」を製作。昭和20年〜21年には、広島・長崎の
 被爆の様子を撮影。
 
【記録映画保存センター】
 2008年(平成20年)に一般社団法人として、文化・記録映画製作会社のメンバーにより設立。失われていく
 フイルムの保存活用を目指している。
 
今回の上映作品は、
 
『産業戦士の一日』  1941年(昭和16年) 約26分  製作:三菱重工株式会社長崎造船所
 九州や西日本の少年たちへの今で言うリクルート用に作られた映像で、戦前の造船所の情景や長崎の
 町の様子がリアルに感じられる懐かしく微笑ましい作品だった。
 
『日本発見シリーズ 長崎』  1961年(昭和36年) 約30分  製作: 岩波映画製作所
 全国の都道府県が取り上げられた中の長崎県版の作品。原爆の被害状況や、県の有力産業である
 造船、水産、鉱業の様子等が密度濃く映されており、郷愁の念沸々の作品であった。
 
『テニアン島出撃準備のB29』 米軍撮影
 昭和20年8月9日、結果として長崎に投下された原子爆弾を搭載したB29機の、テニアン島での原爆
 積み込み作業の情景や、僚機が撮影した原爆投下、爆発の映像。映写が終わっても場内は、しばらくの間
 誰も一言の声も発しなかった。それほど強烈な印象であった。