１）其扇（そのぎ）をシーボルトが愛した証明
・出会いは１８２３年（文政６年）、シーボルト来日直後の出島の歓迎宴で
其扇は寄合町引田屋（ひけたや）卯太郎抱えの遊女で１７歳、シーボルト２８歳
・シーボルトは日本女性への感動を伯父宛の手紙で「結婚を考えている」と
・本名「楠本 滝（おたきさん）」を紫陽花の学名に登録するほどの熱愛
「Hydrangea Otaksa」（「Flora Japonica」）
鳴滝塾に咲いていたアジサイ
楠本家の墓は晧台寺実家は銅座町の こんにゃく屋
シーボルトは１８２８年追放となり１８５８年再来日し 母娘に再会
・１８２７年（文政１０年）５月６日、娘イネ（稲）誕生（実家で出産）
→「ふぉん・しいほるとの娘」（吉村 昭）という小説でにドラマ展開
・著書「日本」に挿絵でおたきさんの肖像を入れ、「Flora Japonica」に紫陽花の挿絵
２）其扇とシーボルトの出島での生活
・「園木」（呉 秀三 氏）を「其扇」と特定した古賀十二郎 氏の研究成果
・宴会で遊女を呼び入れ、なじみになれば「居続け」できた（出島出入り例外「傾城」）
・出島のオランダ商館幹部は皆、なじみ遊女がいて混血児を生む例多数
・シーボルトの同僚たちの遊女たち
前任商館長ヤン・コック・ブロンホフ：糸萩（女児出産、ラクダを贈る）
蔵役 ◎アルベルト・マヌエルー ：滝尾（引田屋卯太郎抱え）
◎フルケルキ・ヒストゥリュス ：高瀬（筑後屋甚蔵抱え）
◎ヒイトル・フォン・オウテレン ：左門太（引田屋卯太郎抱え）
絵師 フィレネエフェー ：青柳（油屋りう抱え）
薬剤師 ビュルゲルー ：千歳（引田屋卯太郎抱え、其扇の姉）
３）長崎遊女の歴史
・丸山・寄合両町が花街全盛時代（元禄５年1692年)
/ 遊女屋７７軒、遊女１４４３名
・明治５年（1872)遊女屋廃止まで花街は二重門があり、周囲は塀で囲まれていた
・客筋別に「日本行」「唐人行」「阿蘭陀行」と呼ばれていた
・日本行の客は、貿易商人、使役の武士（鍋島、薩摩、肥前、黒田など）、江戸役人
・「阿蘭陀行」は毎日、正門にある番所に出頭し、滞留届けを出す義務があったが
長期滞在が許されたのは遊女のみで、禿（かむろ）、遣手（やりて）は毎日交替し
出入りは厳重だった
（参考資料）「新訂 丸山遊女と唐紅毛人」（古賀十二郎）
「阿蘭陀商館物語」（宮永 孝）