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1998年4月〜6月の日記へ行く岩屋山ロールアウトでのフライト日記1998年
1998年7月〜9月の日記Last up date:1998年9月20日
1998年10月〜12月の日記へ行く

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1998年7月4日(土) 42日 (確率42/47)

先週の日曜(28日)はクロカンの学科検定がありました。でも、天気が悪いのは、分かっていたので、道の駅に登録はしませんでした。学科検定は、とても素直な問題で好感が持てました。私が受けていた国家試験と違って「落とす試験」の感じはしませんでした。勉強していれば、解答出来る問題でした。教科書を読んで貰いたい、と言う意志が表れていました。学科検定が終わって私もクロカン証を間もなく手にする事が出来ると思います。
今日は、昨日と違って風は、それ程強くないのですが、南西気味の風なので難しい向きでした。早い時間に講習生の人も飛んだそうです。この所、週末と言うと天気が悪いので、すこしでも天気が良いと大勢のフライヤーが飛びに来ます。みんな飛びたいのです。私が飛んだのは、午後になってからです。加藤さんと一緒にテイクオフに上がりました。風が丁度良いときに加藤さんは、見事にテイクオフして飛んで行きました。大箕山の上で暫くソアリングしていました。私は、順番待ちをしていましたが、前の人がなかなかテイクオフ成功しないので、しびれを切らしていました。ハングでいつも飛んでいる波多野さんが今日は、パラを持って南テイクオフに移動して行きました。見たら南の方に正面から良い風が入っていました。ハーネスを背負ったまま、南に移動して行きました。波多野さんが出るのをサポートした後、誰もいない南からひとりでテイクオフしました。でも、ルートを間違えてぶっ飛びとなってしまいました。4時過ぎにも1本飛びましたが、これも殆どぶっ飛びでした。まあ、2本飛べたので良しとしましょう。

1998年7月15日から28日まで、スペインに飛びに行きました。スペイン日記
をご覧下さい。夢の様な2週間でした。

1998年8月8日(土) 43日 (確率43/48)

スペインから帰ってから10日も経つのに、スペインの事が頭の中から離れません。初めて訪れたスペインは、とても友好的でした。出来れば、このままスペインで暫く暮らしたいと思った程でした。1ケ月ぶりに岩屋山で飛びました。昨夜、最終便で妻が東京から来ました。私は、昨夜は、24時迄仕事でしたので、とても眠くて仕方がありません。でも、岩屋山で飛べると思うと眠さも吹っ飛びました。道の駅で早取りの黒枝豆が売っていました。昨年、初めて食べた味が忘れられず、妻は、今夜の酒の肴にと沢山買い込みしました。道の駅で仲間と会い、久しぶりの再会の挨拶をしました。ショップに着いた頃、飛んでいる人が見えました。どうも加藤さんらしいです。加藤さんの奥さんが「今日は、朝、早く上がって行きました」と言っていました。新しい機体エキスパートで飛んでいるそうです。スペインでもエキスパートを見ました。ネクソンの後継機らしくとても細くて速そうな形でした。

加藤さんが降りてからテイクオフに上がりました。今日は、助教員の人が誰もいないので、「講習生のテイクオフを見て下さい」と加藤さんに頼まれました。今日の講習生の人は、上手な人ばかりだったので、不安はありませんでした。良い風の時に出て貰えば大丈夫と思ったのです。加藤さんは、グリーンパークで一日体験の人達の講習をしながら、ランディングの誘導もしなければならないので、本当に大変です。山頂は、少し強めの風でした。北西テイクオフの正面から入っていました。4-5mの風です。これ位の風だとクロスハンドテイクオフが適しています。私は、どちらかと言うとクロスの方が得意ですが、正面でも何とか出られます。講習生の人達は、クロスに自信がないと言うので、正面で出て貰う事にしました。しかし、人によっては、風が強い為に、少し待つと言う人もいました。自信がない時には、出ない方が良いと思います。飛ばなければ落ちる事もありません。他のスクールの人達が上がって来て、テイクオフは大勢になりました。妻も出ました。最近は、妻のテイクオフは安心して見ていられます。

加藤さんから、「講習生の人は少し待って貰いますので、大久保さん、飛んで下さい」と言われて飛ぶ事にしました。もうすぐ順番と言う時に、前の人がなかなかテイクオフしません。どうやら風が強い為に躊躇している様でした。イントラの人に少し待つ様にと言われて、場所を空けてくれました。少し強めですが、安定しているので、クロスでのテイクオフは容易に出来ました。テイクオフしてドラッグセンサーを垂らしましたが、風速が表示されません。それと、バリオの時計がスペイン時間になっているのに気が付きました。もう遅い! ドラッグセンサーのコネクターをしっかりと押し込んだら速度が表示されました。GPSの対地速度との関連もOKでした。11時少し過ぎにテイクオフしてフライト時間は、2時間51分でした。講習生をほっといてフライトしていたら、加藤さんから「テイクオフを見て欲しいのですが」と無線が入りました。面倒を見ると言っていながら少し長く飛び過ぎてしまいました。トップランしようとして高度を下げましたが、テイクオフ前に行くと何もしないでも上昇してしてしまいます。仕方が無くメインランディングに降ろす事にしました。私は、通常は、ラインが痛むの で、スパイラルはしない事にしているのですが、早く降りる為に、久しぶりにスパイラルをしました。たまには、しないと忘れてしまうし。

ランディングしてから、講習生の人達とテイクオフに上がりました。全員、上手にテイクオフして無事にランディング出来たのでほっとしました。今日は3時間近くも飛んだので満足でした。妻も2本で合計3時間位飛んだらしいです。講習生の人達にお礼を言われました。喜んで貰えて私も嬉しくなりました。誰でも、より多く飛びたいのは同じです。でも、講習生の人達は、イントラがいないと飛べないのですから、出来るだけ飛べる様にサポートして上げたいと思います。一歩間違えたら命にも係わるスポーツですから安易なフライトは禁物です。正しいフライトを早く身に付ける為にも、より多くのフライトを経験する事が必要です。黒井屋で夕食をしてから、あまご山荘に泊めて貰いました。あまご山荘で藤木さんと再会。お久しぶり。

1998年8月9日(日) 44日 (確率44/49)

昨夜、遅くから雨が降り出しました。今朝も音を立てて雨が降っていました。藤木さんは、希望的な立場からか「今日は、飛べますヨ」と言っていました。あまご山荘に泊まった人達は、誰も信用していないようでしたが、私は、やはり、希望的な観測から「晴れて飛べるかもしれない」と思いました。外を見る度に明るくなって行き、10時過ぎには、もうすっかり雨が上がってしまいました。「こうしてはいられない」と皆、急いで出かけました。ショップに行くとスクール号のハイエースがありません。無線を入れると松阪さんが「加藤さんが間もなく飛びます」と答えて来ました。道の駅に登録に行き、再びショップに戻り待っていると、加藤さんが飛んで戻って来ました。すぐに「上がりましょうか」と加藤さん。皆、急いで支度をしてテイクオフへ。風は、北西から1-2mで正面です。この様な弱い風の時は、クロスではなくて正面からの立ち上げの方が楽です。加藤さんは、見事にクロスで立ち上げて出て行きました。妻の番になった時、クロスでやろうとしたので、私は、「正面からやった方が良い」と言って正面からテイクオフさせました。一発で成功。その間に何人もの人が、クロスの立ち上げ に失敗していました。私も正面の立ち上げで一発でテイクオフしました。臨機応変にどの様な風でもテイクオフ出来る事の方がフライトの効率を良くすると思います。

この飛びは、サーマルが無くて、穏やかなぶっ飛びでした。でも、とても気持ちが良いフライトでした。講習生のTさんは、Bストールが出来ないと悩んでいました。ニューグライダーでは、翼端折りもしていないと言うので、加藤さんの指導で翼端折りを練習していた様です。無線の指示で「田んぼの上を飛ばないで、河原に行きなさい。土手に降ろしては駄目ですヨ」と聞こえました。どの様な飛びをしたのでしょう。Bストールは、滅多に使わない降下方法ですが、雲の吸い上げにあった時には、有効です。私は、Aストールを良くしていましたが、殆どのフライヤーは、「あんな怖い事を良くしますネ」と言います。私にとっては、フルストールは怖いけれど、BストールやAストールは普通の降下方法だと思っています。但し、しっかりした指導の基に練習する場合ですけれど・・・。片翼潰しも降下率は大きいので、時々やります。一歩操作を間違えると大きなリスクを負っています。自信を持って出来る人以外は決してしてはならないでしょう。スパイラル、片翼潰し、Bストール、Aストール、翼端折りの順序で降下率が少なくなると思います。これは、私の経験からです。違う経験をしている人もいる かも知れません。それは、それで良いと思います。機体によっても違いますし、空気の流れによっても違いますから。

2本目は、少しサーマルが出て来ました。テイクオフは大勢の人が並んでいます。順番が来て、今回も風が弱いので、正面から出ました。スペインでは一度も正面から立ち上げはしませんでした。ずっとクロスハンドでした。でも、正面の立ち上げも慣れるとどうという事はないと思います。パイロットの人は、クロスの立ち上げばかりしているので、正面からの立ち上げが出来ない人が大勢います。これでは、風が弱い時の立ち上げが難しいし、風待ちの時間が長くなるばかりです。風待ちする時は、正面から立ち上げる人と交代して貰いたいものです。

テイクオフして南のノーマルルートの尾根で弱いサーマルを拾って丁寧にセンタリングしました。10cm、20cmと少しずつでも上げがある所を探して飛びました。22分粘って飛びました。加藤さんは、例のエキスパートで高く上げていました。同じ空域を飛んでも上げる事が出来る加藤さんの技術は大したものだと改めて感心しました。センタリングしている所に次から次へと講習生が突っ込んで来ました。それをかわしながら飛び続けるのもしんどいものです。「今日は、付録な様なもの」と思い、ランディングへ向かいました。私が降りてから、次から次へと降りて来る人達を見ていたら、ランディング間近にブレークコードを腰迄引いている人が何人か見ました。これは、フルストールの危険があるからしない方が良いと教わっていた方法です。そして、さっき、翼端折りの練習をしていたTさんが翼端を折ったままランディングに流されて来ました。加藤さんは「河原に降りなさい。土手に降りては駄目ですヨ」と無線で指示していました。そうか、さっきもこの様な状況だったんだ、と思いました。本人は何をどのようにしたいのかはっきり分かっていないようでした。無事に河原に降りましたが、広い ランディングに降ろせる様に練習するのが先決だと思います。そうこうしているうちにパイロットのAさん(女性)が高い高度のままランディング上空に真っ直ぐに進入して来ました。加藤さんは「Aさん、どないするんや」と言っているうちに高度が低くなった所でターンをしてしまいました。「それはないヨ」と加藤さん。畑にキャノピーがバサリ。高度の見極めと高度処理、ランディングの予想、風の観測、考えて見れば、一回のフライトに一回のランディングしかないのですから、難しい事は事実です。でも、方法はいくらでもあります。八の字を描いて前に出ない様にして高度処理して最後は、直線滑空で降りる方法です。これが基本です。応用としては、ローリングする木の葉返しの様なハイテクニックもあります。基本をマスターした人がする方法ですから、アウトサイドする人には無理でしょう。今日も、良い勉強をさせて戴きました。
夕方の便で東京に帰る妻を伊丹空港に送る為に、サーマルタイム真っ盛りの時間に後ろ髪を引かれる思いで青垣を後にしました。

1998年8月20日(木) 45日 (確率45/50)

私の休日の前の日は、宿命的に遅い勤務です。翌日のフライトに間に合わせる為に、完全に整備をする事が私の義務です。と言う事で、昨日も寝不足でした。でも、ロールアウトのショップに来て、加藤さんの笑顔を見ると疲れも寝不足も吹っ飛んでしまうから不思議です。10日ぶりの岩屋でしたが懐かしいふるさとでした。講習生の人ばかりで、パイロットの人は見かけませんでした。というわけで、例によって加藤さんから、テイクオフの見張りを依頼されました。今日のメンバーは「危険」のない人だけだったので、安心してテイクオフを見る事が出来ました。
全員が出た後、私も、TAKの人達のサポートを受けて、テイクオフしました。北西テイクオフからクロスで出ました。出てから少しの間、南のノーマルルートでサーマルを拾って楽しみました。しかし、10分位で外してしまって諦めて、ランディングに向かいました。ランディング上空、約60m位で、ピッピッピッと鳴り始めました。サーマルがあったら回した方が良いと言うのが加藤さんの指導です。当然、回して見ました。上がるとは思っていませんでしたが・・・。TAKの講習生の人も同じグランドサーマルで上げているのが見えました。最初は、彼らの方がずっと高い高度を飛んでいましたが、10分位したら、私の方が高くなっていました。ランディングに向かっている時に、加藤さんから「大久保さん、まだ飛んでいるんですか?」と無線が入りました。

「はい、もう少しでランディングングします。ファイナルアプローチに入っています」と答えました。その後の5分位でグングン上昇したので、無線を入れておいた方が良いかなと思って「加藤さん、今、テイクオフ上空でサーマルに当たって980m、間もなく、1000mになります」と伝えました。「凄いですネ」と加藤さんから返答がありました。その後もずっとセンタリングを続けて、道の駅の上空で1200mになっていました。加藤さんに「今、道の駅の上空1200mにいます。安全山の方に流していいですか?」と言うと、「イイですヨ。気を付けて行って下さい」「ありがとうございます」と言うことで、久しぶりにミニクロカンをしてしまいました。街の上空を飛ぶのは初めてです。岩屋山のクロカンの入門コースは岩屋山から安全山ですが、一番安全係数が高いのがAコース、逃げるルートが比較的楽なBコース、高度獲得出来た時に取るCコースがあります。私は、全部のコースを経験していましたが、街の上空を飛んだのは、今回が初めてです。今日は、本流が北西の風でした。岩屋山から安全山へのルートでは、追い風です。50キロ位の対地速度で飛んでいます。安全山を右に見て、通り過ぎて、行 きました。その時の高度は、800mでした。更に、南に向かって進路を取りました。加古川の上空を飛んでいれば、いつでも河原に降ろせると思っていました。安全山を過ぎて更に行くと、広い休耕田がありました。私の為のランディング場と思い、そこに降ろす事にしました。ランディングしてすぐに加藤さんに携帯から電話しました。すぐに迎えを出してくれると言う事で、私、汗をかきながら機体を収納しました。着陸した途端に汗が流れて、喉がカラカラになりました。ボットの水を飲みましたが、今日の暑さには「焼け石に水」でした。暫くして、山本さんと西畑さんが迎えに来てくれました。「ありがとう」今日のフライトは、満足でした。(この日のフライトのバログラフを見て下さい)

講習生の人達が再度テイクオフに上がると言うので、私は、加藤さんに「車を降ろします」と言いました。「テイクオフを見て下さい」と言う加藤さんの依頼を受けて再び、テイクオフを見ました。前回の人以外に新しく別な人がテイクオフしましたが、一部の人が「飛び乗り」していたので、注意しました。南テイクオフから出る時にも、飛び乗る人がいます。岩屋山のテイクオフは狭いので、難しいのは事実です。でも、飛び乗ると、その瞬間に翼の速度が止まってしまうので、本当に危険なのです。
全員フライトして、再度、飛ぶと言うので、今度は私も飛ぶ事にしました。テイクオフで、全員が出るのを見届けてから私も出ようとしていたら、TAKの人達が大勢来ました。無線を聞いていたら、メンバーの中に「北條さん」と言う名前を耳にしました。「えっ、北條さん、ひょっとして憧れのみぃ?」そうです。劇的なみぃとの初の出会いです。みぃとは、約半年の付き合いです。と言ってもオフミでの出会いは、今日が処女。みぃとのツーショットを記録しました。いつか逢えるとは思っていましたが、まさか、今日とは思ってもいませんでした。このページを見ている人も是非、「みぃのホームページ」を見て下さいネ。とっても楽しいですヨ。
講習生の人達が出るのを見てから出たので、サーマルは「売り切れ」でぶっ飛びで終わりました。でも、本当に気持ちが良いフライトでした。講習生の人達が「ありがとう」と言ってくれて喜んで貰えたのが本当に嬉しかったです。
「みのり」で西畑さんと食事をして、「あまご」に宿泊しました。夜、西畑さんからの質問攻めに答えているうちに夜も更けて行きました。「あーあ、眠い」

1998年8月21日(金) 46日 (確率46/51)

昨夜、遅く迄、西畑さんと話していて寝不足です。でも、今日も良い天気のようです。いつものグリーンポートでモーニングコーヒーを飲んでショップに行くと、おや、懐かしい植松さんが来ていましたスイスアルプスで飛んで来たばかりです。「どうでしたか?」「良かったねえ」と定石の返事です。当然です。ヨーロッパは良いに決まっているんです。聞く方が間違っているのです。スペインも良かったし・・・。
今日は、吉井さんの「ベルテクス26」を借りて飛びました。ベルテックスは今、NOVAで売り出している最高のグライダーです。エキスパートと言う機体も出ていますが、私の様なサンデーフライヤーが乗れる様な物ではないようです。初めての機体は、いつも緊張です。「いつも初心者」の私は、どうも、このパターンです。そう言えばイクシオンに初めて乗った日も、弱い風のながでのテイクオフで失敗して大恥をかきました。

今日は、加藤さんと植松さんが高く上げている中、少し、風が入って来たかなと言う時に、北西から出ました。立ち上げて、大丈夫と思ったのですが、足下に先がなくて、飛び乗ってしまいました。昨日、講習生の人にさんざんと「飛び乗っては駄目ですヨ。飛び乗った瞬間に機体は止まるので、沈下します」と言ったばかりなのに、その通りの事をしてしまうとは・・・。人間とは、何と愚かな動物なのでしょうか。
失敗した時には、それが薄まるまで、飛ばない方が良いのです。時間が解決してくれます。すぐに飛ぶと、同じ失敗を繰り返す事があります。「失敗」で済めば良いですが、大きな事故になった時には、他人に迷惑をかけてしまいます。
加藤さんが見事にトップランし戻って来ました。吉井さんがアバックスと言う聞き慣れない機体で飛ぶことになりました。ニュージーランドに住んでいる安田さんが代理店をして販売しているそうです。とても性能が良い機体らしいです。東テイクオフから出ようとしているのですが、ベテランの吉井さんでも難しい風でした。何回かトライしたあとに無事にテイクオフしました。出た途端にグングン上げているのは、吉井さんの腕前もありますが、機体の性能もあるのかも知れません。

最近、立て続けにスクールに通っている主婦の古郷さんが東テイクオフから出る事になりました。講習生は原則として、南、又は、北西テイクオフから出ています。「えっ、私ですか?」信じられないと言うふうの古郷さん、堂々と出てしまいました。こうしてはいられない。私も出てしまいました。ベルテックスでの初フライト、とても剛性があってしっかりした翼形を作っていると言う感じです。ブレークコードは固めです。しかも、吉井さんは、相当、短くしていました。でも、とても感じが良いグライダーでしたイクシオンとの比較では、スピードは早いと思います。荒れた時にどうなのかは、経験出来ませんでした。2本目の飛びは、サーマルがなくてぶっ飛んでしまいました。でも、私より後に出た人が、先にランディングしたので「まあ、イイか」と言う思いです。空を見たら、もうサーマルは望めないかなと思い、更に、明日は、早番なので、これで帰る事にしました。スタ沈した時に、腕時計のバンドのピンが外れてなくなってしまいました。帰りに、コーナンと言う何でもショップによって時計のバンドを買って来ました。定価1200円でした。スタ沈しての代償でした。皆さん、テイクオフ 失敗もランディング失敗もお金が、かかりますから注意しましょうネ。そう言えば、今日、Nさんも畑に着陸してしまいましたネ。皆さん、くれぐれも飛び乗りとランディングショートには注意しましょう。

1998年9月1日(火) 47日 (確率47/52)

私の勤務の宿命から、休日の前日は、遅番の勤務です。しかも、朝の始発便の飛行機の出発体制が整う迄、仕事は続くので、日によっては、夜中の勤務になってしまいます。昨夜も同様でした。会社を出たのが、午前1時過ぎでした。帰宅後、シャワーを浴びて寝たのは、3時を回っていました。若くない身体では、6時に目覚ましをかけていても起きる事は出来ませんでした。「もう少し」と思っているうちに8時を過ぎてしまいました。朝食を食べてゆっくりと出かける事にしました。午前中のフライトは諦めて。
青垣に着いたのは、11時50分でした。ショップに着いて車から降りたら、スクール号が戻って来ました。加藤さんが降りて来て「もうそろそろ、大久保さんが来る頃だと思っていましたヨ」と笑顔で話していました。ショップの中に入ったら「おや、久しぶり」豪君が来ていました。爽やかな笑顔が返って来ました。先日の日本選手権は不成立でしたが、1本飛んだそうです。怪我の方はリハビリをしているとの事。若いから回復も早いのでしょう。そして、豪君の努力がものを言っています。今日も、夕方、プールに行って水の中を歩いてトレーニングをしていました。しかし、足の太さはやはり細くなっています。早く、元通りに回復する事を祈っています。

少ししたら、風の妖精さんこと松阪さんが来ました。「なんで松阪さんが来ているの?」と聞くと「夏休みです」との事。そして、もう午前中に2本、加藤さんのタンデムで飛んだそうです。講習生が3人いました。今日は、豪君がいるのでランディングは豪君に任せて加藤さんも飛びました。松阪さんとタンデムで今日3本目を飛びました。タンデムでサーマルもないのにトップアウトしてしまいました。スペインから戻った正ちゃんがブーメランでグイグイとセンタリングして上げています。加藤さんのタンデムもじっくりと上げていました。北西から皆、出たのですが、私が出る時には、風が変わって東から出ました。弱い風の中を出ました。南のノーマルルートの上で少しステイしましたが、サーマルに当たらず降りてしまいました。残念。私の後に出たHさんは、サーマルが出て来たらしく長く飛んでいました。その後、又、山頂に上がりました。加藤さんは、松阪さんの「お許し」が出て晴れて単独でフライトする事になりました。アバックスと言う機体です。講習生の人達(土橋、辻本、武貞、山本)を飛ばせてから出ました。加藤さ んは軽快に上げています。私は、渋い中をじっくりと浮きを探しながら飛びました。顔にポツリと雨粒が当たりました。急いでランディングに向かいました。私がランディングした途端にザーっと雨が降って来てしまいました。何と運が悪いこと。講習生の人達が駆け寄って来て、キャノピーをたたんでくれました。ありがとう。もう今日は終わりかな、と思っていたら雨が上がり明るくなって来ました。そして、「山頂に良い風が吹いている」と加藤さんが言いました。講習生の人達は、飛びたい様です。「大久保さん、飛びませんか。リッジで長い時間飛べるかも知れませんヨ」と加藤さん。そう言われると飛びたくなってしまい、又、山頂に上がりました。松阪さんが車を降ろしてくれる事になりました。講習生の人達を先に出してから加藤さんと私が拡げました。加藤さんは、弱い風が入ったときに、見事なクロステイクオフで出て行きました。私は、真似をしてクロスで立ち上げましたが、北寄りの風でしかも、弱くなってしまいました。仕方がなく、正面から出ました。松阪さんは、最後迄優しくサポートしてくれました。ありがとう、風の妖精さん。テイクオフしてすぐに南の尾根のノーマルルート に出ました。そしたら又、雨が降って来ました。今日はついていないなあ。慌ててランディングに向かいました。今日のフライトは、18分、9分、8分の合計25分でした。でも、楽しいフライトが出来ました。

黒井屋さんで皆、一緒に夕食を食べました。松阪さんの差し入れの美酒を飲みました。旨い! 食事の後、加藤さんの家でお酒を少し戴きました。そして、珍しい「黒豆の納豆」をご馳走になりました。関西の人は、余り納豆を好みません。私は、元々関東ですから、納豆は大好きです。それにしてもこの納豆の美味しかった事。加藤さんと分かれて、今日の宿、「あまご」に向かいました。ひとりで寝る事を覚悟していたら「あまご」に明かりが見えました。オートバイの山下さんが来ていました。「良かった」
山下さん差し入れのビールを飲みながら歓談しました。仲間っていいなあ。

1998年9月2日(水) 48日 (確率48/53)

山下さんに起こして貰いました。山下さんが朝食の準備迄してくれました。仲間っていいなあ。コーヒーを入れてくれてトーストを焼いてくれました。私は、朝は、弱くてとても目が覚めません。朝のうち、早い時間は青空が拡がっていたのですが、出かけようとしたら、ポツリと雨が落ちて来ました。空は、厚い雲で覆われて来ました。朝、山下さんにわき水の話しを聞きました。すぐ近くにあるそうなのでペットボトルに汲んで来ようと思いました。一休さんのわき水らしいです。朝、飲ませて貰った水がその水らしいです。とても美味しい水です。

道の駅に行き、フライトの登録をしました。森本さんと道の駅で会いました。ショップに行くと、昨日の講習生の土橋、辻本君と今日は、坂本君が来ました。それとグリーンパークの講習生として勝野君を紹介されました。空港勤務と言う事なので「どうぞよろしく」
加藤さんが「今日あたり、吉井さんが来ますヨ」と言っていたら、噂の主が現れました。アバックスを入手して快調の様です。そのうちに大村さんが来ました。平日だと言うのに今日は多いです。1台では乗り切れないので、私は、森本さんの車に乗せて貰い山頂に行きました。山頂は少し強めかな、と言う感じでした。加藤さんがアバックスでテイクオフして気流の状態を確認しました。「荒れていません」とトップランして降りました。でも、少し風が強めなので講習生の人達は、暫く待つ事になりました。初めに吉井さんが出ました。アバックスブルーです。とても綺麗なフォルムです。NOVAのグライダーと良く似ています。次に私が出ました。クロスで出ました。今日は、ベルテックス26ブルーです。ブレークコードを少し長くしました。テイクオフしてブレークコードを引いたら長過ぎました。10cm長くしたのですが、極端過ぎました。反省。手に一巻したら短か過ぎます。まあ、この方が無難だと思い、手を上げた状態で飛びました。でも、気持ちが悪いので早々にランディングしました。降りてからすぐにブレークコードを短くしました。もう一度飛んで微調整をする事にしました。講習生の人 も飛べる風になったらしく、加藤さんからグリーンパークの豪君に無線連絡がありました。豪君がランディングに来て、講習生の人達が次々と飛んで来ました。ARCの三崎校長が、私が早く降りたのを見て「大久保さんが降りるのだから、浮きがないのかなあ」と言っていました。私が飛び出た時は、確かに浮きがありませんでしたが、今は、サーマルが出始めました。ショップに戻り、山頂へ車の回収に向かう事にしました。私は、ショップでスタンバイしました。時間が早いけれど昼食にしました。ショップに車が1台来ていて、中でひとりの「美女」が読書をしていました。優しい笑顔が美しいあの北川さんでした。私と会うのは、2ケ月ぶりです。その間に高々度フライトをしたそうです。「何回飛んだんですか?」の質問に「5回です」「えっ、5回も?」「はい、今日飛べば・・・」「と言う事は、4回飛んだんですネ」と何ともピント外れの会話が楽しいですネ。

山頂のテイクオフの空が真っ黒になって来ました。ショップの周りにもポツリと雨です。パブリックの尾根の上で果敢に上げているグライダーがありました。多分、蔀さんでしょう。私は、雨が小降りなので、外で蔀さんらしい人の飛びを鑑賞しながら昼食を戴きました。
雨も止んで、午後のフライトに行く事になりました。人数が多いので、又、2台です。今度は、スクール号に乗せて貰いました。南テイクオフにも風が入っています。講習生の人達と加藤さんは、南に向かいました。私は、吉井さん、森本さんと東テイクオフに行きました。東では、ARCの人達と正ちゃんがいました。偶然にもベルテックスが3機あって、それが全部同じブルーでした。森本さんが出た後、私が出ました。その後に吉井さん。南の上でサーマルに当たりセンタリングを続けました。でも、今日のサーマルは弱いです。872m迄上がりましたが、それ以上は上がれませんでした。加藤さんは、講習生の人達が全員出た後、アバックスで出ましたが、あっと言う間に、私よりも高くなりました。吉井さん、森本さんも同様です。サーマルの捉え方はやはり、慣れていて上手です。この様な上手な人達と一緒に飛べる自分がとても幸せです。上手な人と同じ空域で飛んでいると真似をして飛んでいるので飛び方のスタイルも似て来る様です。1年前に岩屋に来た頃と較べると私のセンタリング時のフライト姿勢は全く違います。体重のかけ方が今の方がかかっていますし、センタリングが自然になりまし た。これも他のトンビ、いや失礼、フライヤーを見て真似しているからです。

このフライトは、1時間26分でした。パブリックの尾根迄行って、戻る時には、向かい風となり、アクセルを踏みました。アクセルを踏んだらスピードが出て前に進みます。塔迄戻って、飛んでいたら顔に雨が当たりました。新しい機体を濡らすのは勿体ない。アクセルを全部踏んでランディングに向かいました。ランディング上空で、高度が十分にあったので、ベルテックスの性能を確認しました。飛ぶ前に加藤さんに「安定していたら片翼潰しをして良いですか?」と聞きました。「ラインの2本で潰して下さい」と言う返事でした。そのとおりに2本で潰して見ました。片翼が潰れてもすぐには旋回に入りませんでした。旋回に入る前にもう一方の翼を抑えました。潰していたラインを戻しました。バババっと回復しました。ポンピングしなくても自然に戻りました。次に、左のAライザーを全部引き込んで潰しました。さっきより大きく潰れました。でも、この時も旋回には入りませんでした。そして、Aライザーを戻したらすぐに回復しました。そして、翼端潰しをしました。かなり力を要します。でも、安定して進みます。 機体の安全性能はイクシオンと同等かそれ以上の様な気がしました。スパイラルに入れようとしましたが、ブレークコードが固くてなかなか入ってくれませんでした。でも、少しだけスパイラルも出来ました。安定したグライダーと言う感じがしました。

今日のフライト時間合計は、1時間36分でした。慣れないグライダーで楽しいフライトをする事が出来ました。ショップに戻ってから、暫く、講習生の勝野君と話しをしました。パラを始めて間もない彼は、今、何もかもが新鮮な状態です。早く、岩屋山の山頂から飛べる日が来るといいネ。

1998年9月13日(日) 49日 (確率49/54)

1年前の昨日、即ち、1997年9月12日に初めて岩屋山に来たのでした。もうあれから1年の月日が経ちました。なんか、早い様で随分と長い年月を過ごした様な気がします。

昨夜は、いつもの様に休みの前日の遅番でした。今朝は、目覚ましで起こされて眠い眼をこすりながら家を出ました。青垣に着いたのは、8時45分でした。道の駅のすぐ前の道で、鹿児島の宮元さんの車とすれ違いました。メールで飛びに来る事は知っていました。宮本さんは、道の駅迄戻って来てくれました。先に上がる宮元さんと分かれて私は、道の駅で登録をしてからショップに行きました。日曜日なので大勢の人が来ていました。加藤さんが、私の車の所に来て、「車をここに置いていいでから、すぐに上がりませんか。タンデムのお客さんを飛ばしますので」と誘ってくれました。私は、折角の誘いだったので、すぐに準備して朝食も食べずにテイクオフへの車に乗り込みました。テイクオフには大勢のパラフライヤーと今迄、見た事もない位多くのハングを見ました。16機迄、数えましたが、その後、もっと増えたそうです。加藤さんは、北西テイクオフから出ました。今日のパッセンジャーは若い女性です。初めてのフライトに小さな胸をドキドキさせていたようです。私は、彼女のお腹の部分のハーネスを持ってサポートしました。「おじさん」のサポートに安心した様です。加藤さんは、ク ロステイクオフで見事に出ました。加藤さんのクロステイクオフは本当に見事です。芸術と言っても良いでしょう。豪君のテイクオフも芸術です。う〜ん、パラグライダーを芸術の分野に迄、導くこの親子は凄い!
加藤さんは、10分位飛んで、トップランで降りて来ました。トップランの時、小さなインシデントがありましたが、その回収も、「元猿」の加藤さんは、スルスルと木に登り、いとも簡単に終わらせました。凄い。これも芸術だ!

加藤さんは二人目のタンデムパッセンジャーを乗せて飛んで行きました。私は、他の二人のパイロットの人と南テイクオフに移動しました。東テイクオフでは、ハングが多くて、飛ぶには時間がかかると思った事と南に少しずつ風が入って来たからです。しかし、確実に風が入る迄、4時間の待ち時間があったのです。そんな事になるとも知らずに、私は、ルンルン気分で南で待機しました。他のクラブのパイロットの人達も来ましたが、同様に風待ちになってしまいました。余りにも長い待ち時間に、一緒に来た二人は一度降りて食事に行ってしまいました。残された私は、一人で待ちました。待つのは慣れています。良い風が来る迄は決して飛んではいけません。まだ未熟な頃に、飛んで痛い失敗をした事があります。

他のクラブの人達が次々と出始めたのは、12時を過ぎてからです。私は、残った人達のサポートを受けてテイクオフしました。テイクオフ直後、サーマルを感じて回しました。トップアウトして塔の近くに行きました。しかし、かなり強い風が吹いています。自由に動けません。こんな時に飛んでもオモロイことないと海老ちゃんが言っていました。私もそう思いました。そう思ったら急に空腹を感じました。降りようと思いました。加藤さんのタンデムも飛んでいますが、ハングのランディングに向かっています。私もハングのランディングを目指しました。先に飛んだ森本さんもハングのランディングに降りました。加藤さんのタンデムがハングのランディングに降りたのを確認してから、無線で「大久保ですが、今飛んでいますが、ハングのランディングに降ります」と連絡しました。「そのまま真っ直ぐ来て下さい」と返答がありました。ハングのランディング上空には、先客がいて高度処理をしていました。ランディング上空には、サーマルが出ていて降下しません。翼端を折って高度処理をしました。加藤さんから「右に回って下さい」と無線で指示があったので、翼端折りしながら旋回して、 そのまま翼端折りを直して右旋回して着陸しました。降りてから、「旋回中に翼端折りを直さない方がいいですヨ」と加藤さんから注意がありました。そう言われれば確かにそうです。アゲインストの風に向かって翼端を直すのが正しい方法です。スピンに入る危険性を回避する事はとても大切な事です。

タンデムで又、飛ぶ加藤さんは、牧田さんの運転する車でテイクオフへ上がりました。私は、植松さんに回収して貰いました。ショップに着いてから、遅い朝食兼昼食を食べようとショップの中に入って行きました。加藤さんの奥さんがいて、「大久保さん、今日は、おにぎりがたくさんありますヨ」と言いました。「私もおにぎり持っていますけど・・・」と言うと、私が持っていたクリームパンを見て「そのパンとおにぎりを交換しませんか」と言いました。「どうして?」「私、パンが食べたいんです」と。私は、今日、お赤飯のおにぎりを買って来ていたのです。「ええっ?」「大久保さんにいい物が来ているんだけどなあ」と奥さんがもったいぶって言いました。「これですヨ」とクロカン技能証を見せました。「クリームパンと交換してくれたら上げる」とだだをこねました。「上げますってば」と言う事で、クリームパンは加藤さんの奥さんの口に入ったのでした。技能証は後で加藤さんに直接、戴く事にしました。食後、暫く強い風が吹いていました。タンデムで飛んだ加藤さんに弁当を渡しに行った寺本さんが戻って来て「パイロットの人は、上に上がって待っていて下さいと加藤さんが言っ ていました」と言う事で、エリアを見学に来た人の車に乗せて貰い上がりました。テイクオフでは、まだ、強い風が吹き荒れていました。でも、何とかコントロールの範囲です。これより強い風を経験している私は、平気でした。藤木さんが出た後、出ました。今度は、少し長く飛びたいと思いました。塔の近くで強いサーマルに当たって一気に高度1300m迄上昇しました。その直後、雲中飛行となり、真っ白い世界で何も見えなくなりました。方向も分からずコンパスを90度の方向に向けて飛ぶように心がけました。即座に翼端折りして降下しました。5分位、白闇の世界を飛んで、町の姿が現れてほっとしました。加藤さんに無線を入れたら「その雲は大丈夫ですヨ」と返答が来ました。「安全山の方に行っていいですか?」「いいですヨ。気を付けて行って下さい」すぐに安全山に方向を向けました。フォローの風なので、45km/hrの対地速度で進みました。安全山迄はすぐに着きました。誰もこちらに向かって来ません。ひとりです。安全山上空に着いて800m以上あります。安全山の上でセンタリングしながら加藤さんに「今、安全山上空で飛んでいます」と報告を入れました。高度が低くなると無線が通じ なくなる為です。「分かりました。そのまま流してもいいですヨ」「了解しました」と答えて少し高度を獲得しながら南の方に流れて行きました。以前、加藤さんと一緒に飛んだときにもこのコースをとりましたが、あの時と較べて今日の方が高さがありました。あの時は、夫婦橋迄届きませんでした。今日は、夫婦橋迄行けそうです。南の方向に流して行き、あっと言う間に、夫婦橋を通過しました。対地速度は、65km/hrです。水のない加古川上空を飛びました。前方に高い所を走っている高圧線があります。遠くから見ると、とても高くて越えられそうにありません。駄目だったら近くで折り返そうと思いました。でも、近づくとずっと私の方が高い所を飛んでいました。無事に通過しました。ほっとしたらもう、降りても良いと思い始めました。山南町の田んぼに無事に着陸しました。稲刈りが終わった田んぼにおじさんがひとりいました。上空から大きな声で「そこに降ろさせて下さい」と言うと手を上げて応えてくれました。

降りてからおじさんに写真を撮って貰いました。「青垣から来たのかい?」とニコニコしながら聞いて来ました。「夫婦橋迄だったら送ってやるヨ」と言ってくれましたが、機体を畳むのに時間がかかるので丁重に断りました。ショップの奥さんに電話して降りた場所を報告しました。携帯電話はクロカンの必需品です。私の車で誰かに迎えに行かせますと言っていました。1時間位して生野さんの運転で古郷さんが一緒に回収に来てくれました。ありがとう。帰りの道の長いこと、こんなに飛んだのかなあと思いました。

クロカン技能証を受け取ったその日に大きなクロカンが出来て本当に嬉しいです。とても良い記念になりました。ショップに戻ったら加藤さんが「大久保さん、良かったですネ」と祝福してくれました。クロカン証のお礼に純米吟醸酒と言う普段口に出来ない酒を加藤さんにお渡ししました。本当にありがとうございました。1年で貰えるなんて想像もしていませんでした。
夜、鹿児島から来た宮元さんと飯野さんも一緒に食事してから、加藤さん宅で祝杯を上げました。皆さん、本当にありがとう。
私が出た後、東テイクオフでスタ沈が続出したそうです。幸い、怪我人はいなかったと言うことで安心しました。

1998年9月14日(月) 50日 (確率50/55)

昨夜は、宮元さん、飯野さんと共に「あまご」に泊めて貰いました。今朝も、とても良い天気です。喫茶店のモーニングサービスを食べてから道の駅に登録に行きました。道の駅には、植松さんと岸本さんがいて、朝、早く、テイクオフに上がったら10m/sec位の風だったと言っていました。昨日、とうとう飛ばなかった宮本さんと飯野さんは、今日は、駄目と諦めて次のエリアへ出発しました。

ショップに行くと加藤さんがタンデムのお客さんを飛ばすと言うので、私が車の回収をかって出ました。テイクオフに着くと、南テイクオフに強い風が入っていました。林の木々が唸っていました。とても駄目です。降りました。降りてから暫く風待ちの為にショップでダベっていました。飛べないときにも、この様に仲間と話しをしたりする楽しみがあります。昼前に再度、上がりましたが、その時は、飛べそうな風でした。豪君が出て、大垣さんが出ました。次は、私が出ようとハーネスを付けて待っていた時、大垣さんがテイクオフして直後、強烈なブローが入りました。大垣さんは直線に上昇しました。「何とか無事に!」と祈る気持ちでした。「前に出て!」と思わず怒鳴りました。もう出る風ではありません。直後、加藤さんから「大久保さん、出ないで下さい」と無線が入りました。「出ません」と答えました。30分位待ちましたが、収まりそうもありません。諦めて降りました。この日、広島福山から来たビジターの人がふたりいました。丁度昼食の時間だったので、皆でソバを食べに行きました。老夫婦だけでやっている小さな店ですが、とても美味しいです。

ショップに戻り、すっかり疲れ果てて、車の中で30分程、曝睡しました。16時半頃に岸本さんが、上がって見ます、と言って講習生の人達と上がりました。豪君も講習生の人達を見る為に上がりました。私は、多分、駄目だと思い、帰るつもりでいました。テイクオフに着いた豪君から「南に良い風が入っています。講習生の人も飛べる風です」と無線が入りました。後藤さんと顔を見合わせて「行って見ましょうか」と言う事で初飛びの人も一緒に上がりました。確かに信じられない位良い風です。広島のビジターの人が飛ぶときに現地に着きました。もうひとりの人は飛びませんでした。「飛ばないのですか?」と聞くと「今日の昼間の風の強さ位だと平気で飛んでいるんですが、初めてのエリアなので遠慮したんですヨ。今のこの風ではつまらないので私は飛びません」と言っていました。私は、今日の昼間の風は、危険な風だったと思います。私の過去の経験から言ってきっと危険な目に逢っていると信じています。まあ、風の強さは、ひとによって違うでしょうが、安定した海風のリッジは例外としても8m/sec以上の強さでは、危険が伴うと思います。昨日、飛ばなかった宮元さんの考えも、今日 の広島の方の考えも一理あるのでしょう。でも、私は、ぶっ飛びでも今日は、1本飛びたいので、飛びました。確かにサーマルはなく、ぶっ飛びでしたが、とても気持ちが良いフライトをする事が出来ました。夕方の1本、昨日のアーベントの時の講習生の人達の飛びと同様、貴重なフライトでした。どの様なフライトでも、飛べる事の幸せを、感謝の気持ちを忘れない様にしたいと思います。

1998年9月19日(土) 51日 (確率51/56)

17日の最終便で妻が来ました。しかし、18日は、台風一過、その影響で強風と少し雨が残っていました。気象情報については、少しうるさい私としては、当然、青垣に足を向ける事はしません。18日は、スペインで怪我をしたHさんを病院に見舞いに行きました。かなりの重傷ですが、当人は、腹をくくって明るく養生していました。少し安心しました。怪我をしたら、なかなかパラに復帰出来ません。少し、待ってでも、安全な気流で飛ぶようにしたいと思います。

さて、今日は、大阪地方は、良い天気です。予報では、青垣も良い筈でした。しかし、丹波を越える頃から雲行きが怪しくなって来ました。そして、柏原を過ぎる頃、遂に雨が降り始めました。でも、気象情報では、晴れると言っていたから・・・と納得させて青垣に向かいました。道の駅の登録のノートを見たら100人以上の人が登録していました。これで天気が良かったら飛ぶのに相当順番待ちだなあ、と心配になりました。朝、早く、飛んだ人がいました。加藤さんが、「とりあえず上がって下さい」と言うので初飛びの人と2回目の人の面倒を私が見る事になりました。南テイクオフには、とても良い風が入っています。加藤さんから「初飛びの人を先に出して下さい。サーマルが強くなると飛べなくなります」と無線が入りました。女性パイロットのMさんが飛ぶ準備をしていたので、先に出て貰う事にしました。しかし、クロスのテイクオフで少し早く振り向いてスタ沈してしまいました。2回続けた為に、植松さんから「Mさん、少し休んでHさん先に出して」と無線。初飛びのHさんに出て貰う事にしました。私は、Hさんに「絶対に飛び乗っては駄目ですヨ。最後迄走って下さい」と言いました。良 い風が入ったので、出しました。しかし、浮力を感じた途端にハーネスに腰を落としてしまいました。「立って」と大きな声で叫び、立ち上がり無事にテイクオフしました。「あれだけ言ったのに・・・」でも、無事にテイクオフ出来たからいいか。次は、2回目のAさんです。Aさんは、無事にテイクオフしました。その後、妻を出しました。久しぶりのパラですが、安定してクロスでテイクオフして行きました。Dさん、Nさん、F夫妻と続けて出て貰いました。

最初に上がった人達が全部出た頃、第2陣の人達が上がって来ました。その頃、雨がポツリ。風も不安定です。暫く様子を見ましたが、駄目です。止める事にしました。加藤さんも上がって来ましたが、一旦、降りる事にしました。降りて、昼食にしました。午後、再度上がりました。しかし、かなり風が強くて講習生の人達には無理な様です。妻を出した後、暫く様子を見ましたが、弱まりません。加藤さんから「講習生の人には無理なので、大久保さん飛んで下さい」と無線が入りました。それでは、と遠慮しないでクロスでテイクオフして飛びました。飛んだら雨が降って来ました。眼鏡が雨粒で濡れて前が見えません。「眼鏡のワイパーが欲しいなあ」なんて馬鹿な事を考えました。雨の中をランディングしました。すぐに先に降りた講習生の人や妻が手伝いに来てくれてキャノピーをたたんでくれました。

3時頃、嘘のように空が晴れました。すかさずテイクオフに上がりました。しかし、出ようとしていたら土砂降りの雨です。南テイクオフでは、雨宿りする場所がありません。木陰に身を隠しましたが、全身ずぶ濡れです。私は、山登りをしていたので、この程度の雨は平気ですが、機体だけは濡れない様にカバーしました。加藤さんから無線で「暫く様子をみて止んだら又飛べると思いますから待っていて下さい」と言われました。皆、大笑いです。こんな雨の中で又、飛ぶなんて・・・。でも、結果は、何人かの人が飛べたのですから凄いです。講習生の人に雨が止んでから出て貰いました。今回は、助教員の植松さんがいるので、私も安心でした。講習生の人が何人か出た時、キャノピーの動きが異常だと言う声が聞こえました。でも、気流は乱れている様には思えません。ピッチングの力が発生したときに、その動きを止める事が出来ずにピッチングされるままで飛んでいたらしいです。南テイクオフの入口で何人かのパイロットの人達がみていました。植松さんが「誰かダミーで飛んでくれないか」と無線で呼びかけましたが、反応がありませんでした。植松さんに「大久保さん、出てくれる」と言わ れて、出るつもりでいたので、準備しました。クロスの良い風が来た時に立ち上げて出ました。テイクオフ前に良いリッジの風が吹いていました。しかし、浮きはそれ程ではなかったので、ランディング方向に向かいました。途中、レベルキープが出来る所がありました。何回かセンタリングしました。しかし、又、雨が降り出しました。急いでランディングしました。ランディングでは加藤さんがビデオ撮影してくれました。条件が余り良くない日でしたが、2本飛びました。

夕食を皆と一緒にして、加藤さんの家で、松阪さん仕入れて来た、「美味しい日本酒」を味わいました。「田」と「耕」と言う酒です。とても、味が良くて、その夜、疲れもあって「あまご」で森本さん達と話しをしているうちに眠ってしまいました。

1998年9月20日(日) 51日 (確率51/57)

昨日と打って変わって、今日は快晴の空です。昨夜、一緒に「あまご」に泊まった寺本さんが、朝、5時半頃飛びに出かけました。私は、もっと眠っていたかったのですが、妻に「私達も行こうヨ」と促されて仕方なく出かけました。道の駅に登録してからテイクオフへ向かいました。テイクオフへの道で前からBMWが来ました。あれは、寺本さんの車です。植松さんと寺本さんが乗っていました。テイクオフは、強風がビュンビュンとのこと。それでは行っても仕方がない、と引き返しました。喫茶店に行ってモーニングサービスのコーヒーとトーストを食べました。
ショップに行くと大勢の人が来ていました。とても飛べる風ではないので、昨日、濡らした機体を乾かしたいので、ハングのランディング行って立ち上げて乾かす事にしました。ハングのランディングはとても良い風が吹いていました。クロスで立ち上げて頭上で止めて暫く乾燥させました。妻のグライダーも乾燥させました。風が強めなのでほどほどにして畳みました。ショップに戻ったら誰もいません。加藤さんの奥さんが、グリーンパークに練習に行った事を教えてくれました。

グリーンパークは風が弱くて何とか練習が出来ていました。日曜なので大勢の講習生の人が練習していました。南風の為、とても暑くて汗がダラダラ流れます。少し手伝ってから、妻と昼食に行きました。先日、連れて行って貰った「やぶ蕎麦」です。とても美味しくて、今日も、奥さんの話しを聞きました。ご夫婦でやっているこの店は、7人で一杯になる小さな店です。11時から16時迄しか開いていません。そして、毎月、16日と17日は定休日です。この日に大阪迄、蕎麦の材料を仕入れに行くのだそうです。
妻は、今日の便で東京に帰らなければならない為、早めに大阪に戻る事にしました。風が強かったり、雨が降ったりは自然相手のスポーツですから仕方がありません。条件が悪い時もありますが、岩屋山は他のエリアよりもフライト確率は高く、サーマルも多く出ます。悪い時だけではありません。次に良い条件の時に飛べる事を願って帰途に着きました。
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