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2002年07月6日〜14日 

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2002年08月19日

更新2002年08月24日

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2002年7月12日(金)
満足のフライトをした昨夜は、ぐっすりと眠れました。ホテルは、古いですが、窓の外の眺めはとてもいいです。朝は、寒いくらいです。ホテルを出発してすぐにカリの携帯が鳴りました。カリは、電話を終えると「誰かホテルにバッグを忘れたらしい。誰か忘れていないか?」誰も忘れていません。カリが「私かも知れない」と言ってホテルにユーターンしました。ホテルの中から戻って来たカリは、照れくさそうにバッグを持っていました。(^_^)長島さんが忘れた帽子が麓のコーヒーショップに預けてあり、アンディが取りに行きました。戻って来たアンディは、手にロープの切れ端を持っていて「これがあった」と。「帽子は?」全員が心配して聞くと、もう片方の手を見せて帽子を出しました。おどけた男です。(^_^)

今日は、フライト最終日です。目的地は、フィエシュです。3時間の移動です。ランディングは、ケーブル駅の近くです。標高1368m。ロープウェーで登って20分位歩いた場所からテイクオフです。標高2100m、高度差は、700m位です。サーマルポイントは、テイクオフしてすぐ前とケーブルの辺りだそうです。後ろに聳える山をトップアウト出来れば、氷河が見られるそうです。今日は、サーマルグループもクロカングループもクロスカントリーでオーバーワルドまで行くのを目標とするとカリに言われました。テイクオフして高度を取れたら移動ですが、最初の谷渡りが難しく、そこが越せれば、後は、それ程難しくないそうです。

クロカンの約束事として、「常にランディングする場所を確保して飛ぶ」ことを守れば難しくないと言います。しかし、初めての土地でのクロカンです。今までのアウトアンドリターンとは訳が違います。不安は隠せません。地図で位置を説明されました。谷のどんづまりの小さな街なので分かり易いそうです。ただし、「途中にライトプレーンの滑走路がいくつかあるので、その周辺には出来るだけ降りないようにしなさい」とカリに言われました。「もし、万一、降りてしまったら、IDカードは隠してチルアウトメンバーだと知られないようにしろ」とも。「日本語で喋っていれば何とかなる」とカリは笑って冗談を言いました。

今日は、日中は、良い天気が続きますが、夜になると雷雨の予報が出ているそうです。アンディ、カリがテイクオフして、トヨ、シマちゃんも出ました。私もテイクオフしました。出てすぐのテイクオフ前の小さなサーマルで皆さん回しています。トヨさんが外れてしまいました。どうにもいけません。ドンドン沈下して行きます。私もそのサーマルの仲間に入っていたのですが、どうしても上昇出来ません。トヨは、ずっと下がってしまいランディング方向に行ってしまいました。

私は、もうひとつのサーマルポイントであるケーブルのかかっている所に行きました。そこもありません。でも、沈まない場所がありました。回しても沈まない、と言う事はサーマルが弱いけれどあると言う事です。慎重に回し続けました。回していると正子が近づいて来ました。しかし、高度が低く周りの木に引っかかりそうでした。私は、丁寧に回し続けていました。突然「落ちました!」の無線が。振り向くと正子の機体が斜面に落ちていました。背の低い木に端が少し引っかかっています。「大丈夫?」「大丈夫です」と返事が返って来ました。長島さんはテイクオフしてすぐらしいです。私のすぐ下に落ちているので、多分、怪我はないなと分かりましたが、長島さんの所からは見えません。「降りた方がいいですか?」と長島さんに聞くと「私が降りますので飛んでいて下さい」と無線で言って来ました。長島さんがすぐに飛んで来て、高度処理をして正子の近くにトップランしました。流石に上手です。

機体の回収に少し手間取っているようです。私の方は、すっかり育ったサーマルの中をセンタリングしてテイクオフ前で飛んでいた人たちより高く上がっていました。そのまま上昇して行き高度を高く取りました。長島さんと正子は、回収が終わり、少し移動して、そこから再びテイクオフをしていました。草が深いらしくて走りづらいようですが、正子は、やっとテイクオフ成功しました。ケーブルの先でリフトがありましたが、大事を取って、余り深追いしないで、ランディングに向かったようです。長島さんも続いてテイクオフしました。低い高度から、その後、長島さんは、上げて行ったのです。素晴らしい技術だと感心しました。

私は、後ろの尾根より高く上がり、3000mを越えました。尾根を越えた所で、向こう側に氷河が見えました。空から見る氷河は、不思議な景色でした。もし、あの氷河の上に降りたらどうなるのだろう、と考えると怖くなりました。尾根上空は、氷河からの風とテイクオフからの風がぶつかっていて荒れていました。グラグラと揺らされました。デジカメで写真を撮り、ビデオでも撮影しました。

シマちゃんとエイコちゃんの機体が高い所を飛んでいます。そして、小川さんのシグマ5もすぐ近くを飛んでいます。私が高度を稼いでいる時に、早くもシマちゃんと小川さんは、谷渡りを開始しました。エイコちゃんも行くのかなと思っていたら、戻って来ました。私は、もう、これ以上は上がらないと思い、3000mで移動を開始しました。谷の先の山の高い位置を目指して飛びました。遠くからは白い点に見えましたが、斜面に拡げていたパラグライダーでした。そこからテイクオフするようです。その上に取り付く事が出来ました。小川さんとシマちゃんは、山から離れた所で高く上げていました。とても大きなサーマルにヒットしたみたいです。私は、取り付いた山で地道に上昇成分を探して上げていました。

取り付いた山をトップアウトして次の山を目指しました。カリが言っていた「最初の谷渡りが成功したら後は、それ程難しくない」と言っていた訳が分かりました。谷からのバレイウインドでリッジの風が使えるからです。谷を越えて山に取り付くと必ず、その先に上昇成分の風が吹いているのです。それ程の強さはありませんが、確実にゲイン出来ます。小川さんがどうした訳か低い所を飛んでいます。シマちゃんは高い所なのに・・・。私は、相変わらず地道に高度を稼いで行きました。尾根が続いている山の上を飛んで行きました。山の上には、凍った沼があったり、雪で覆われています。あんな所に不時着したら大変です。スイスは、標高が高いので不時着の時には、ヘリコプターで救出することになるのだろうと想像出来ました。3000m上空をクロカンフライトしているのが信じられません。その時、長島さんから「大久保さん、安全な場所に降ろして下さい。アンディが途中、回収してくれると思いますから」と意味不明な無線が入りました。どうも、沈んで行った赤いグライダーが私だと勘違いしているようでした。「私は、高度3000m上空をフライト中です」と言ったら「すみません、間違えました。ではさっきのグライダーは誰でしょう?」

高度が下がって来たら谷の方向に移動すれば、その先には、広いランディングポイントがあるのを確認しています。カリが言ったライトプレーンの滑走路が見えます。ふたつの滑走路がありました。それを過ぎて少し先を見たら、谷のドンづまりに集落が見えました。あれがオーバーワルドに違いない。高度は、2800mです。あそこ迄は、ワングライドで行けると思ったら気が楽になりました。

オーバワルドの降りられそうな場所は、すぐに見つかりました。広い草原です。草が刈った場所が上からはっきりと見えました。小川さんのグライダーが低い高度でそこに飛んで来ました。トップでの到着です。あんなに低い所を飛んでいたのに良く届いたものです。流石に老熟のフライヤー(?)です。シマちゃんはと言うと、ずっと向こうの谷間に飛んで行きました。シマちゃんも余裕があり、目的地に行けると判断して少し寄り道をしていたのだと思います。私が飛んでいる方と反対側の山を飛んでいました。私は、ケーブルの近くを飛んでいて、ビデオを取り出したのですが、結構荒れていて、撮影出来ませんでした。

遠くの方からカリが飛んで来ました。無線で私の位置を伝えると「確認しているヨ」と返事が来ました。クマさんも飛んでいました。オーバーワルドの先の氷河の上を飛んでいます。私は、高度が低くなったのでそちらには行かずランディングに向かいました。下の風は、テイクオフの方向とは逆で氷河の方向だそうです。バレイウインドって、普通、低い所から高い所に吹く風だと思っていたのでおかしいなあと思いましたが、確かにGPSの対地速度からすると氷河の方向からです。オーバーワルドの街に向かってアプローチしました。ビデオカメラを右手に持ってランディングしたら、最後の引きが出来ず転んでしまいました。(^_^;)約24キロのスイスでのクロカンを達成しました。(*^_^*)

カリ、長島さん、クマさん、小川さん、シマちゃんと私は、すぐ近くのレストランに行き休憩しました。ビールを頼み乾杯(^_^)/~(*^_^*)
のんびりとフライトの余韻に浸っていたら、トヨの無線です。「バンザイ、バンザイ!」緊迫した空気が流れました。一体何があったの?
正子がスピンに入りかけたらしいです。雲の吸い上げに入り翼端折りをしていたら機体が暴れ出して旋回を始めたそうです。トヨの指示でバンザイをして回復したそうですが、何とも驚きました。イト、トヨ、マコはあれからリフライトの為に再びテイクオフに上がったのでした。正子は、ワンサーマルで高い所まで上がったのですが、発達していた雲に吸い込まれて翼端折りをして脱出したそうです。しかし、荒れていた為に機体が暴れ出してスピンに入りかけたらしいです。無事に回復して何事もありませんでしたが、一歩間違えたら大事故となる所です。

その後、トヨは、根性のフライトで、たったひとりで私たちの軌跡を辿ってオーバワルドまで飛んで来たのでした。しかも、オーバーワルドを通り越して氷河まで行っていたのです。無線を聞いていて、長島さんは、通り過ぎたのに気が付き、慌ててレストランを出てトヨを探しました。遠く、氷河の上を飛んでいるトヨを見つけて誘導してトヨは、ランディングに戻って来ました。「街と言うからもっと大きいのを想像していて、こんな小さいとは気が付かなかった」と大物を彷彿させるトヨでした。(^_^)いやあ、それにしても凄い! 小川さんと言い、トヨ爺と言い、素晴らしい老熟のフライヤーです。

アンディが運転する車にマコ、エイコ、イトが乗ってオーバーワルドに来ました。私は、途中まで迎えに行きました。車が来て手を振ると、乗っていた彼らは「おめでとう!」とクロカンを祝福してくれました。楽しかったフライトツァーは、素晴らしいクロカンで最後を飾りました。

これからホテルに向かおうと言う時に、車は、駅に止まりました。そして、アンディが「ここでお別れです」と言って車から降りました。アンディは、電車で帰るのです。5日間、行動を共にしたアンディとの突然のお別れに寂しくなりました。でも、アンティの恋人が「早く帰って来て」と電話してきたそうです。アンディは、私たちとのお別れが悲しい反面、恋人との再会が嬉しいらしく複雑な表情をしていました。さようならアンディ(^^)/

今日の宿は、氷河の突端にあるグレイシャーホテル・ベルベデルです。古いホテルですが、新婚さんが良く利用するらしいです。氷河の中の見物に行きました。遅く到着した私たちの為にワインの売店のおばさんと少年は待っていてくれました。氷河の中で飲むワインは格別な味でした。少し甘い味でした。年々氷河が小さくなっているそうです。

最後の晩餐は、氷河ホテルのレストランです。どんな素晴らしい料理が出るかと期待していたらカレーライスでした。カレーが余り好きではない私としてはガッカリでした。ステーキかなにか食べたかったなあ・・・(^_^;) それはさておいて、。今回のツァーで新婚旅行として参加されたシマちゃんとエイコちゃんを祝福して乾杯をしました。おめでとう(^^)/(^_^)/~ 良い思い出が出来て良かったですネ。(^o^)

出国する時に免税店で買った日本酒は、まだ、一滴も飲んでいませんでした。毎晩遅いので飲む時間が無かったのです。今日は、皆さんに飲んで貰おうとレストランに持って来ました。でも、皆さん、日本酒は、余り好みではないようで私と小川さんが飲んだだけでした。さすがに2リットルは飲めません。残ったパックはカリに進呈しました。次のツァーの人たちで飲んでネ(*^_^*)

食後、カリから今回のツァーの感想と今後の希望のアンケートを取られました。私の感想は、レンクで沈下して復活したフライトと今日の氷河のクロカンが印象深かったと伝えました。そして、希望としては、もっと睡眠時間が欲しいと。これについては、大多数の人が合意していました。一日の行動時間が長く、若くない私たちにとっては、きつかったのです。でも、フライトの素晴らしさは、何事にも代え難い貴重な体験でした。

カリから全員にチョコのプレゼントがありました。チルアウトのパンフレットに包まれたスイスチョコです。そして、ひとりひとりに宛てたメッセージが書かれていました。いつの間に準備したのでしょう。カリとアンディのサインが記されていました。氷河ホテルでスイス最後の夜を過ごせた事は幸せでした。(*^_^*)

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不冷えで宿泊したホテルの部屋から ブレビエで宿泊したホテルの部屋から(その2) ホテルの朝食 同年代 フィエシュのテイクオフでブリーフィング 氷河が見えた!
とても大きな氷河 しつこく氷河3枚目 谷渡りへ 先行して高く上がっているのは 谷を渡ったらまた氷河 3000mの山並みを
山の上 どこまでも続く山 凍っている沼 最後の山 オーバワルド オーバワルド(その2)
ランディングしました(^_^) フィエシュの方角 乾杯!(^_^)/~ サーマルグループと合流 氷河のホテル ホテルの前
下は絶壁 氷河見物の通路で記念写真 氷河トンネル 氷柱 グレイシャワイン 説明
氷河の中 氷河ホテルをバックに 最後の晩餐 ワイン

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